JP2014071239A - 光コネクタ部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面平滑性に優れた光コネクタ部品を提供する。
【解決手段】還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物から、スリーブ6、12やフェルール7などの光コネクタ部品を成形する。ポリスルホン組成物の組成比は、ポリスルホン100質量部に対して、無機針状結晶20〜90質量部が好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物から、スリーブ6、12やフェルール7などの光コネクタ部品を成形する。ポリスルホン組成物の組成比は、ポリスルホン100質量部に対して、無機針状結晶20〜90質量部が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、光コネクタを構成する部品、つまり光コネクタ部品に関するものである。
一般に、光ファイバケーブルを接続する際には、ケーブルの端部にフェルールと呼ばれる部品を取り付け、このフェルール同士をスリーブによって連結している。ケーブル同士は、それぞれのケーブル端部のフェルールをスリーブに嵌合して突き合わせた状態で保持し、フェルール接合端部においてケーブル被覆から突出させた光ファイバ素線を同軸上に一致させた状態で接続される。この構成において、軸ズレなどによる光通信の損失を低減するため、接合部での光ファイバ素線(その素線挿入孔)同士の同軸度を小さくする必要がある。このため、フェルール側では、スリーブに嵌合される嵌合部の外径真円度、光ファイバ素線を挿入する素線挿入孔の外径に対する同軸度、素線挿入孔の内径真円度や円筒度などについて高い寸法精度が要求される。一方、スリーブ側では、内径寸法を高精度化することが必要となる。なお、同軸度とは、軸線が一致していない程度をいう(JIS B 0182参照)。
このように、光コネクタ用フェルールやスリーブは、高精度が要求されることから、主に、金属やセラミックスなどで構成されている。例えば、ジルコニア粉末などのセラミックス粉末と樹脂材の混合材料を用いて射出成形や圧縮成形した成形品を焼成した後に、研磨などにより仕上げたセラミックス製のものが用いられている。
近年、光通信の普及に伴い、従来の基幹通信回線のみならず、一般家庭への引き込み線から家庭内通信にも光回線が使用されており、加工性を含めたコスト低減が要求されている。また、自動車の電装化が進展し、ナビゲーションシステムやAV機器においても、取り扱うデータ量が増大、大容量高速通信の必要性に伴い、従来のワイヤーハーネスは、スペース的にも重量的にも問題となりつつある。そのため光通信化が進展すると考えられている。よって、コネクタ部品も含めて軽量化と量産性を備えた加工性および低コスト化がより重要になっている。そこで、従来の通信用の光コネクタ用部品に比べて、コンパクトで軽量な構造が求められ、フェルールやスリーブの小型化、薄肉化、樹脂化などの検討が進められている。
例えば、樹脂を用い、射出成形時のバリの発生を抑制して加工性を上げる方法として、LCP、PPS、PEEK、POM、PAといったスーパーエンジニアリングプラスチックスやエンジニアリングプラスチックスを用いること、特にLCPやPEIが好ましいことが提案されている(特許文献1、2参照)
また、LCP/球状無機粒子からなる組成物の成形体が、LCPが有する強度、温度変化に対する寸法安定性、球状無機粒子によるLCPの異方性低減効果と表面平滑性を与える効果から、光ファイバ用コネクタに有用であることが開示されている。さらに、LCPをベース樹脂として用い、直径が30μm以下のガラスビーズを用いた組成物が線膨張係数が小さく寸法安定性に優れ、樹脂製光モジュールハウジングに好適であることが開示されている(特許文献3、4参照)
さらに、PPSおよび/またはLCP/ウィスカ/球状微粒子からなる樹脂組成物を光コネクタのスリーブやフェルールに用いることが提案されている(特許文献5参照)
一方、樹脂として配向が小さく、強度と耐熱性に優れるPEI、PES、PSFを用い、等方性を維持して補強効果のあるウィスカを配合させた樹脂組成物を用いた光コネクタ用プラスチックフェルールと、その製造方法が提案されており、PESとウィスカ(20〜60%)からなる組成物が開示されている。(特許文献6参照)
また、LCP/球状無機粒子からなる組成物の成形体が、LCPが有する強度、温度変化に対する寸法安定性、球状無機粒子によるLCPの異方性低減効果と表面平滑性を与える効果から、光ファイバ用コネクタに有用であることが開示されている。さらに、LCPをベース樹脂として用い、直径が30μm以下のガラスビーズを用いた組成物が線膨張係数が小さく寸法安定性に優れ、樹脂製光モジュールハウジングに好適であることが開示されている(特許文献3、4参照)
さらに、PPSおよび/またはLCP/ウィスカ/球状微粒子からなる樹脂組成物を光コネクタのスリーブやフェルールに用いることが提案されている(特許文献5参照)
一方、樹脂として配向が小さく、強度と耐熱性に優れるPEI、PES、PSFを用い、等方性を維持して補強効果のあるウィスカを配合させた樹脂組成物を用いた光コネクタ用プラスチックフェルールと、その製造方法が提案されており、PESとウィスカ(20〜60%)からなる組成物が開示されている。(特許文献6参照)
しかしながら、光コネクタにおいては、これを抜き差しするときの摩擦を低減すべく、スリーブやフェルールなどの光コネクタ部品に十分な表面平滑性が要求されるにもかかわらず、上述した特許文献1〜6で提案された技術では、成形後の表面平滑性が必ずしも十分ではないという不都合があった。
すなわち、特許文献1、2のように、樹脂組成物のベース樹脂としてスーパーエンジニアリングプラスチックスやエンジニアリングプラスチックスを用いても、ヒケ防止や強度アップを目的に一般的に公知の充填材を用いるだけでは、表面平滑性の不足によりコネクタとして着脱する際に削れが発生して通信阻害を起こす問題がある。また、加工性や強度は樹脂とフィラーの組み合わせや組成比により大きく変化するため、最適化が必要である。
また、特許文献3、4のように、LCPをベース樹脂に使用し、球状粒子を充填したものはLCPの寸法安定性を活用しながら、うねりが少ない成形体を与えるが、表面平滑性では未だ不十分である。
同様に、特許文献5に開示されたPPSおよび/またはLCPにウィスカと球状無機粒子を組み合わせた組成物も表面平滑性が不十分であった。
さらに、特許文献6においてPESとウィスカからなる組成物が開示されているが、その強度や加工性はベース樹脂の分子量や組成比により変化するために最適化が必要である。また、この特許文献6では、樹脂成分としてLCPが最適であるとしている。
そこで、本発明の目的は、表面平滑性に優れた光コネクタ部品を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物から成形されている光コネクタ部品を提供する。
本発明によれば、還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物が成形加工時の流動性に優れるため、表面平滑性、寸法安定性および強度に優れた光コネクタ部品が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1には、本発明の実施の形態1を示す。
[発明の実施の形態1]
図1には、本発明の実施の形態1を示す。
この実施の形態1に係る光コネクタ20は、図1に示すように、2本の光ファイバケーブル8を接続するためのものであり、各光ファイバケーブル8の端部に取り付けられる一対のプラグ1と、これらのプラグ1を互いに突き合わせた状態で保持して連結するアダプタ11とから構成されている。さらに、各プラグ1はそれぞれ6個の光コネクタ部品、すなわち、フード(ブーツ)2、ストッパ3、接続ナット4、スプリング5、スリーブ6およびフェルール7から構成されている。また、アダプタ11は5個の光コネクタ部品、すなわち、スリーブ12、一対のスリーブホルダ13および一対のハウジング14から構成されている。
ここで、スリーブ6、12およびフェルール7はいずれも、還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物から成形されたものである。
このポリスルホンは、典型的には、2価の芳香族基(芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基)とスルホニル基(−SO2 −)と酸素原子とを含む繰返し単位を有する樹脂である。ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性の点から、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、さらに、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)や、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
(1)−Ph1 −SO2 −Ph2 −O−
(Ph1 およびPh2 は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(2)−Ph3 −R−Ph4 −O−
(Ph3 およびPh4 は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、アルキリデン基、酸素原子または硫黄原子を表す。)
(3)−(Ph5 )n −O−
(Ph5 は、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPh5 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Ph1 〜Ph5 のいずれかで表されるフェニレン基は、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、p−フェニレン基であることが好ましい。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基およびn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基および2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記フェニレン基にある水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基ごとに、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
(1)−Ph1 −SO2 −Ph2 −O−
(Ph1 およびPh2 は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(2)−Ph3 −R−Ph4 −O−
(Ph3 およびPh4 は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、アルキリデン基、酸素原子または硫黄原子を表す。)
(3)−(Ph5 )n −O−
(Ph5 は、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPh5 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Ph1 〜Ph5 のいずれかで表されるフェニレン基は、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、p−フェニレン基であることが好ましい。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基およびn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基および2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記フェニレン基にある水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基ごとに、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
Rであるアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基および1−ブチリデン基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜5である。
ポリスルホンは、繰返し単位(1)を、全繰返し単位の合計含有量に対して、50モル%以上有することが好ましく、80モル%以上有することがより好ましく、繰返し単位として実質的に繰返し単位(1)のみを有することがさらに好ましい。なお、ポリスルホンは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。
ポリスルホンは、それを構成する繰返し単位に対応するジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とを重縮合させることにより、製造することができる。例えば、繰返し単位(1)を有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として、下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を用い、ジヒドロキシ化合物として、下記式(5)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として、下記式(6)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として、下記式(7)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。
(4)X1 −Ph1 −SO2 −Ph2 −X2
(X1 およびX2 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。Ph1 およびPh2 は、前記と同義である。)
(5)HO−Ph1 −SO2 −Ph2 −OH
(Ph1 およびPh2 は、前記と同義である。)
(6)HO−Ph3 −R−Ph4 −OH
(Ph3 、Ph4 およびRは、前記と同義である。)
(7)HO−(Ph5 )n −OH
(Ph5 およびnは、前記と同義である。)
前記重縮合は、塩基性化合物を用いて、溶媒中で行うことが好ましい。塩基性化合物としては、炭酸のアルカリ金属塩が好ましく用いられる。炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリであってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ)であってもよいし、両者の混合物であってもよく、炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましく用いられ、重炭酸アルカリとしては、重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムが好ましく用いられる。溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましく用いられ、中でも、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の極性溶媒が好ましく用いられる。
(4)X1 −Ph1 −SO2 −Ph2 −X2
(X1 およびX2 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。Ph1 およびPh2 は、前記と同義である。)
(5)HO−Ph1 −SO2 −Ph2 −OH
(Ph1 およびPh2 は、前記と同義である。)
(6)HO−Ph3 −R−Ph4 −OH
(Ph3 、Ph4 およびRは、前記と同義である。)
(7)HO−(Ph5 )n −OH
(Ph5 およびnは、前記と同義である。)
前記重縮合は、塩基性化合物を用いて、溶媒中で行うことが好ましい。塩基性化合物としては、炭酸のアルカリ金属塩が好ましく用いられる。炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリであってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ)であってもよいし、両者の混合物であってもよく、炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましく用いられ、重炭酸アルカリとしては、重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムが好ましく用いられる。溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましく用いられ、中でも、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の極性溶媒が好ましく用いられる。
前記重縮合において、仮に副反応が生じなければ、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比が1:1に近いほど、炭酸のアルカリ金属塩の使用量が多いほど、重縮合温度が高いほど、また、重縮合時間が長いほど、得られるポリスルホンの重合度が高くなりやすく、還元粘度が高くなりやすい。しかし、実際は、副生する水酸化アルカリ等により、ハロゲノ基のヒドロキシル基への置換反応や解重合等の副反応が生じ、この副反応により、得られるポリスルホンの重合度が低下しやすく、還元粘度が低下しやすいので、この副反応の度合いも考慮して、所望の還元粘度を有するポリスルホンが得られるように、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比、炭酸のアルカリ金属塩の使用量、重縮合温度および重縮合時間を調整することが好ましい。
還元粘度は重合度の目安となり、前記重縮合で得られるポリスルホンの還元粘度が高いほど、すなわち重合度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が安定したものとなる。ただし、ポリスルホンの還元粘度があまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなりやすく、その成形に必要な温度が高くなりやすく、また、流動性が下がりやすい。このような観点から、前記重縮合で得られるポリスルホンの還元粘度は、0.30〜0.45dl/gが好ましく、0.35〜0.42dl/gがより好ましく、0.35〜0.38dl/gがさらに好ましい。
また、本発明におけるポリスルホンとして、市販のポリスルホンを使用することもできる。市販のポリスルホンとして、例えば住友化学(株)製のポリエーテルスルホン樹脂、スミカエクセル3600P、4100P等が挙げられる。
一方、無機針状結晶は、いわゆるウィスカと呼ばれるもので、主にセラミック系のものが知られている。具体的には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、黒鉛、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、ウォラストナイト、雲母などが挙げられる。これらの中でも、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、雲母が特に適している。
ウィスカは単結晶針状結晶であるため、理論値に近い機械的強度が得られ、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性に優れている。また、ウィスカは繊維長が一般に数μmから数百μmの短繊維であり、そのアスペクト比は30〜300の値である。こうしたウィスカをポリスルホンに配合することにより、ポリスルホン組成物の強度を高めるとともに、ポリスルホン組成物の異方性を抑制することができる。
本発明においては、ポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物が、目的とするポリスルホン組成物を与える。ポリスルホンと無機針状結晶の組成比が特定の範囲内の値をとることにより、特に優れた物性バランスを与える。本発明において、ポリスルホン100質量部に対して、無機針状結晶が20質量部以上が好ましい。無機針状結晶が20質量部未満では、ポリスルホン組成物の強度が得られず、好ましくない。また、90質量部を越えると、ポリスルホン組成物の流動性が低下するために好ましくない。ポリスルホン組成物の強度を十分に得るには、無機針状結晶は25質量部以上がより好ましく、流動性に加えてより表面平滑性を得るには、無機針状結晶は70質量部以下がさらに好ましい。さらに、十分な流動性、寸法安定性、表面平滑性と強度を得るには、無機針状結晶は25質量部以上、50質量部以下が好ましい。
本発明のポリスルホン組成物においては、所望により、必要な物性を損なわない範囲で充填剤が用いられる。このような無機充填剤としては、板状充填材であってもよいし、粒状充填材であってもよい。また、充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、炭化ケイ素および炭酸カルシウムが挙げられる。粒状充填材としては、ガラスビーズ、ガラス粉、中空ガラス、カオリン、クレー、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、長石粉、酸性白土、ろう石クレー、セリサイト、シリマナイト、ベントナイト、スレート粉、シラン等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、胡粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、バライト粉、ブランフィックス、沈降性硫酸カルシウム、焼石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩、水和アルミナ等の水酸化物、アルミナ、酸化アンチモン、マグネシア、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、珪砂、石英、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土等の酸化物、二硫化モリブデン等の硫化物、金属粉粒体、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の有機高分子、臭素化ジフェニルエーテル等の有機低分子量結晶等の材質からなり、球形フィラー、或いは、アスペクト比が小さい粉粒体も含まれる。
本発明のポリスルホン組成物には、必要に応じて、各種の添加剤や有機充填剤を製造工程中、或いは、その後の加工工程において添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、界面活性剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤が挙げられる。また、有機充填剤としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等のポリスルホン以外の熱可塑性樹脂、およびフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明におけるポリスルホン組成物を製造する方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、溶液状態で各成分を混合し、溶媒を蒸発させるか、非溶媒中に沈澱させる方法が挙げられる。工業的見地からみると、溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている1軸または2軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。好ましくは押出機が用いられ、このような押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。特に2軸の高混練押出機が好ましい。この押出機を用いて溶融混練し、押し出されるストランドを連続的に切断することで、ペレット状にポリスルホン組成物が調製される。
ポリスルホンおよび無機針状結晶を混合または混練するときの順序については特に限定はない。例えば、予めポリスルホンに無機針状結晶を含有させ混合した後に、混練装置に投入して溶融混練する方法や、混練装置にポリスルホンを投入して溶融したところに無機針状結晶を投入して混練する方法、混練装置にはじめに無機針状結晶を入れ、その後にポリスルホンを投入して溶融混練する方法が挙げられる。
ポリスルホン組成物の成形法としては、溶融成形法が好ましく、その例としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法およびプレス成形が挙げられる。中でも射出成形法が好ましい。
以上説明したように、本発明のポリスルホン組成物は、還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含んでいるので、成形加工時の流動性に優れる。そのため、このポリスルホン組成物から成形された成形品(スリーブ6、12およびフェルール7)は、表面平滑性、寸法安定性および強度に優れる。
しかも、このポリスルホン組成物から成形された成形品では、所定の寸法精度と擦れに対する耐久性を維持しつつ、金属製品と比べて、小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、スリーブ6、12およびフェルール7に本発明を適用した場合について説明した。しかし、スリーブ6、12およびフェルール7以外の光コネクタ部品(例えば、ストッパ3、接続ナット4、スプリング5、スリーブホルダ13、ハウジング14など)についても、本発明を同様に適用することができる。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、スリーブ6、12およびフェルール7に本発明を適用した場合について説明した。しかし、スリーブ6、12およびフェルール7以外の光コネクタ部品(例えば、ストッパ3、接続ナット4、スプリング5、スリーブホルダ13、ハウジング14など)についても、本発明を同様に適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した原材料は、以下のとおりである。
チタン酸カリウムウィスカとして、大塚化学(株)製のチタン酸カリウムウィスカ「ティスモ D102」(繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm)を用いた。
チョップドガラス繊維として、オーウェンス・コーニング製のグラスロンチョップドストランド「CS03 JA PX−1」(繊維径10μm、繊維長3mm)を用いた。
ガラスビーズとして、ポッターズバロティーニ製のガラスビーズ「EGB731−PN」(平均粒径20μm、粒径の範囲45〜2μm)を用いた。
<参考例1>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン628.9g(2.19モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.36dl/gであった。
<参考例2>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン626.0g(2.18モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.41dl/gであった。
<参考例3>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン621.1g(2.16モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.48dl/gであった。
<参考例4>
攪拌機、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、無水酢酸1347.6g(13.2モル)および1−メチルイミダゾール0.194gを入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで30分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、320℃で1時間保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。このプレポリマーの流動開始温度は、261℃であった。次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、327℃であった。ここで、流動開始温度とは、フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mmおよび長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポアズ)の粘度を示す温度である。
<参考例1>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン628.9g(2.19モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.36dl/gであった。
<参考例2>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン626.0g(2.18モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.41dl/gであった。
<参考例3>
攪拌機、窒素導入管、温度計、および先端に受器を付したコンデンサーを備えた容量2000mlの重合槽に、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン621.1g(2.16モル)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン525.0g(2.10モル)、および重合溶媒としてジフェニルスルホン784.0gを入れ、系内に窒素ガスを流通させながら180℃まで昇温した後、無水炭酸カリウム301.8gを加え、290℃まで徐々に昇温し、290℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、固化した反応マスを細かく粉砕した後、温水により洗浄して塩化カリウムを除去した。さらに、アセトンとメタノールの混合溶媒での洗浄を数回行い、重合溶媒であるジフェニルスルホンを除去し、次いで水で洗浄した後、150℃で加熱乾燥を行った。得られた粉末状のポリスルホンの平均粒径は500μmであった。このポリスルホンの還元粘度は0.48dl/gであった。
<参考例4>
攪拌機、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、無水酢酸1347.6g(13.2モル)および1−メチルイミダゾール0.194gを入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで30分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、320℃で1時間保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。このプレポリマーの流動開始温度は、261℃であった。次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、327℃であった。ここで、流動開始温度とは、フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mmおよび長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポアズ)の粘度を示す温度である。
前記のようにして得られたポリスルホン、液晶ポリエステルから、後述のポリスルホンペレット、液晶ポリエステルペレットを得て、120℃で3時間乾燥した後、日精樹脂工業(株)製の射出成形機「UH−1000型」を用いて、シリンダー温度360℃、金型温度150℃で各試験片を成形し、下記に示す各項目を評価した。
<成形収縮率>
64mm角、厚さ3mmの平板形状の成形試験片を成形し、流れ方向(MD)の成形収縮率と流れに対して直角方向(TD)の成形収縮率を測定した。測定にあたっては、各方向2辺の平均値を用いた。異方性として、TD/MD比を求めて記載した。
<曲げ強度、曲げ弾性率>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を成形し、ASTM D790に準拠して、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
<表面平滑性>
64mm角、厚さ3.0mmの平板形状の成形試験片を成形し、(株)東京精密製の表面粗さ測定機「サーフコム30C型」により、JIS B0601−1994に準拠してRa値(表面粗さ)を測定した。
<流動長>
エス・エイチ・アイプラスチックマシナリー(株)(住友重機械工業(株))製の射出成形機「ネオマットN47/28」を用いて、厚さ3mm、幅8mmの楕円バーフロー金型を金型温度120℃に調整し、射出圧力127.4MPa(1300kgf/cm2 )、射出速度60%で、2段階の温度(340℃、360℃)で流動長を測定した。
<実施例1〜5>
参考例1で得られたポリスルホンと無機針状結晶としてチタン酸カリウムウィスカとを表1に示す組成でタンブラーミキサーを用いて30分間ブレンドした後、(株)池貝製の2軸押出機「PCM−30」を用いてシリンダー温度340℃で造粒し、ポリスルホン組成物ペレットを得た。その評価結果も表1に示した。
<成形収縮率>
64mm角、厚さ3mmの平板形状の成形試験片を成形し、流れ方向(MD)の成形収縮率と流れに対して直角方向(TD)の成形収縮率を測定した。測定にあたっては、各方向2辺の平均値を用いた。異方性として、TD/MD比を求めて記載した。
<曲げ強度、曲げ弾性率>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を成形し、ASTM D790に準拠して、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
<表面平滑性>
64mm角、厚さ3.0mmの平板形状の成形試験片を成形し、(株)東京精密製の表面粗さ測定機「サーフコム30C型」により、JIS B0601−1994に準拠してRa値(表面粗さ)を測定した。
<流動長>
エス・エイチ・アイプラスチックマシナリー(株)(住友重機械工業(株))製の射出成形機「ネオマットN47/28」を用いて、厚さ3mm、幅8mmの楕円バーフロー金型を金型温度120℃に調整し、射出圧力127.4MPa(1300kgf/cm2 )、射出速度60%で、2段階の温度(340℃、360℃)で流動長を測定した。
<実施例1〜5>
参考例1で得られたポリスルホンと無機針状結晶としてチタン酸カリウムウィスカとを表1に示す組成でタンブラーミキサーを用いて30分間ブレンドした後、(株)池貝製の2軸押出機「PCM−30」を用いてシリンダー温度340℃で造粒し、ポリスルホン組成物ペレットを得た。その評価結果も表1に示した。
ポリスルホンと無機針状結晶を含むポリスルホン組成物は、優れた流動性と、異方性の小ささ、すなわち、優れた寸法安定性と、表面平滑性、強度を有する結果が得られた。
<実施例6>
ポリスルホンとして参考例2で得られたものを使用したこと以外は、実施例1〜5と同様にポリスルホン組成物ペレットを得て評価した。結果を表1に示した。
<実施例6>
ポリスルホンとして参考例2で得られたものを使用したこと以外は、実施例1〜5と同様にポリスルホン組成物ペレットを得て評価した。結果を表1に示した。
ポリスルホンと無機針状結晶を含むポリスルホン組成物は、優れた流動性と、異方性の小ささ、すなわち、優れた寸法安定性と、表面平滑性、強度を有する結果が得られた。
<比較例1>
無機針状結晶を含まないこと以外は、実施例1〜5と同じ操作をした。その結果を表1にまとめた。寸法安定性や表面平滑性は優れるものの、強度が低かった。
<比較例2、3>
無機針状結晶の代わりにガラス繊維を用いたこと以外は、実施例1〜5と同じ操作をした。その結果を表1にまとめた。表面平滑性が悪く、また、ガラス繊維を43質量部添加した場合(比較例3)には、寸法安定性も低下(TD/MD比が拡大)した。
<比較例4>
ポリスルホンとして参考例3で得られたものを使用したこと以外は、実施例1〜5と同様にポリスルホン組成物ペレットを得て評価した。結果を表1に示した。寸法安定性、強度、表面平滑性は優れるものの、薄肉流動性が極端に低いものであった。
<比較例5、6>
参考例4で得られた液晶ポリエステル(LCP)とガラスビーズとを表1に示す組成でタンブラーミキサーを用いて30分間ブレンドした後、(株)池貝製の2軸押出機「PCM−30」を用いてシリンダー温度350℃で造粒し、LCP組成物ペレットを得た。そのようにして得られたLCP組成物ペレットを120℃で3時間乾燥した後、日精樹脂工業(株)製の射出成形機「UH−1000型」を用いて、シリンダー温度360℃、金型温度150℃で各試験片を成形し、上記の各項目を評価した。その評価結果も表1に示した。寸法安定性が低く、表面平滑性も低いものであった。
<比較例1>
無機針状結晶を含まないこと以外は、実施例1〜5と同じ操作をした。その結果を表1にまとめた。寸法安定性や表面平滑性は優れるものの、強度が低かった。
<比較例2、3>
無機針状結晶の代わりにガラス繊維を用いたこと以外は、実施例1〜5と同じ操作をした。その結果を表1にまとめた。表面平滑性が悪く、また、ガラス繊維を43質量部添加した場合(比較例3)には、寸法安定性も低下(TD/MD比が拡大)した。
<比較例4>
ポリスルホンとして参考例3で得られたものを使用したこと以外は、実施例1〜5と同様にポリスルホン組成物ペレットを得て評価した。結果を表1に示した。寸法安定性、強度、表面平滑性は優れるものの、薄肉流動性が極端に低いものであった。
<比較例5、6>
参考例4で得られた液晶ポリエステル(LCP)とガラスビーズとを表1に示す組成でタンブラーミキサーを用いて30分間ブレンドした後、(株)池貝製の2軸押出機「PCM−30」を用いてシリンダー温度350℃で造粒し、LCP組成物ペレットを得た。そのようにして得られたLCP組成物ペレットを120℃で3時間乾燥した後、日精樹脂工業(株)製の射出成形機「UH−1000型」を用いて、シリンダー温度360℃、金型温度150℃で各試験片を成形し、上記の各項目を評価した。その評価結果も表1に示した。寸法安定性が低く、表面平滑性も低いものであった。
本発明は、特に、表面平滑性、寸法安定性、強度などの特性が要求される光コネクタ部品に好適に適用することができる。
1……プラグ
2……フード
3……ストッパ
4……接続ナット
5……スプリング
6……スリーブ
7……フェルール
8……光ファイバケーブル
11……アダプタ
12……スリーブ
13……スリーブホルダ
14……ハウジング
20……光コネクタ
2……フード
3……ストッパ
4……接続ナット
5……スプリング
6……スリーブ
7……フェルール
8……光ファイバケーブル
11……アダプタ
12……スリーブ
13……スリーブホルダ
14……ハウジング
20……光コネクタ
Claims (3)
- 還元粘度が0.45dl/g以下のポリスルホンおよび無機針状結晶を含むポリスルホン組成物から成形されていることを特徴とする光コネクタ部品。
- 前記ポリスルホン組成物の組成比が、前記ポリスルホン100質量部に対して、前記無機針状結晶20〜90質量部であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ部品。
- 前記ポリスルホン組成物は、前記ポリスルホンが下記式(1)で表される繰返し単位を有するポリスルホンであることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ部品。
(1)−Ph1 −SO2 −Ph2 −O−
(Ph1 およびPh2 は、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020100858A1 (ja) * | 2018-11-14 | 2020-05-22 | 住友化学株式会社 | 芳香族ポリスルホンの製造方法 |
WO2021192419A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | 株式会社フジクラ | 光コネクタ部品、光通信部品用樹脂組成物及び光通信部品 |
-
2012
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CN112996838A (zh) * | 2018-11-14 | 2021-06-18 | 住友化学株式会社 | 芳香族聚砜的制造方法 |
JPWO2020100858A1 (ja) * | 2018-11-14 | 2021-09-27 | 住友化学株式会社 | 芳香族ポリスルホンの製造方法 |
EP3882298A4 (en) * | 2018-11-14 | 2022-08-24 | Sumitomo Chemical Company Limited | PROCESS FOR PRODUCTION OF AROMATIC POLYSULFONE |
JP7359779B2 (ja) | 2018-11-14 | 2023-10-11 | 住友化学株式会社 | 芳香族ポリスルホンの製造方法 |
CN112996838B (zh) * | 2018-11-14 | 2024-02-23 | 住友化学株式会社 | 芳香族聚砜的制造方法 |
WO2021192419A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | 株式会社フジクラ | 光コネクタ部品、光通信部品用樹脂組成物及び光通信部品 |
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