JP2014070965A - 試験液製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固形製剤の溶出試験または崩壊試験に使用される試験液が容器に充填され、前記試験液の充填量が、前記溶出試験または崩壊試験を1回実施する際に用いる試験液量として規定された容量±1%の範囲内である試験液製品。
【選択図】図1
Description
溶出試験の試験液としては、強酸性から弱アルカリ性(pH1.2〜8.0)の各種緩衝液や水がある。製剤毎に、試験液の種類、試験液量をはじめとする溶出試験条件や適合条件が規定され、製造された製剤が溶出試験規格に適合しているかどうかが判定される。このとき、少なくとも6個の試料について同一の試験を行い、各試料からの有効成分の溶出率に基づき前記判定が行われる。
固形製剤の開発及び製造においては、製剤が試験液中、定められた規定時間内に崩壊するかどうかを確認する崩壊試験も行われるが、この崩壊試験に用いられる試験液についても同様の問題がある。
しかしその効果は充分とはいえない。例えば試験液がそのまま充填されている製品は、容器のサイズが大きいものが多いが、このような製品を運搬したり、該製品から規定の試験液量(例えば900mL)を正確に小分けする作業は重労働であり、特に女性には負担が大きい。
濃縮液が充填されている製品の場合、該濃縮液から調製される試験液と同量の試験液が充填された製品に比べて、運搬の負荷は少ないが、濃縮液を正確に希釈するのに手間がかかる。また、pH1.2等の低pHの試験液の場合、その濃縮液は非常に酸性が強く、取扱い上の注意が必要となる。
[1]固形製剤の溶出試験または崩壊試験に使用される試験液が容器に充填され、
前記試験液の充填量が、前記溶出試験または崩壊試験を1回実施する際に用いる試験液量として規定された容量±1%の範囲内である試験液製品。
[2]前記容器が、前記試験液を収容する、フィルムで構成される袋状の容器本体を備え、
前記容器本体が自立可能なものである[1]に記載の試験液製品。
例えば、本発明の試験液製品においては、1回の溶出試験または崩壊試験に必要な種類と量の試験液が正確に容器に充填されているため、試験実施者は、該容器を開封し、内容液をそのまま試験容器に移し替えるだけで、溶出試験または崩壊試験を開始できる。
そのため、従来、試験実施者が行っていた、試験に必要な前作業、例えば試験液の調製に必要な試薬や水の秤量作業、撹拌溶解作業、強酸性の試験液を調製する場合に、濃塩酸等の強酸を使用するために必要になるドラフト内での作業、pHの測定・調整作業、大量の試験液から規定の試験液量(例えば900mL)を正確に分取する作業等が不要となる。また、移し替え前後の容器入り試験液の重量を測定するだけで、移し替えられた試験液量を正確に求めることができる。
また、調製された試験液は、必要に応じてろ過滅菌された後、容器に充填されるが、容器に大量(例えば20L)の試験液を充填し、そこから一部の試験液を分取する場合、経時的に、容器の開閉の繰り返し等によって、残りの試験液に微生物の汚染や繁殖のおそれがある。本発明では、1回で使い切る量の試験液が容器に充填、密閉されているため、微生物の汚染や繁殖が生じにくい。
また、溶出試験や崩壊試験は37℃で行われるため、一般的には、規定量の試験液を試験容器に入れた後、37℃に加温している。これに対し、本発明の試験液製品を予め容器ごと恒温槽などで37℃に加温しておけば、内容液を試験容器に移し替えた後、ただちに試験を開始できる。そのため試験開始までの時間が節約でき、試験の効率を高めることができる。
このように、本発明の試験液製品は、画期的な利便性を有する。
前記袋状の容器本体は、自立可能なもの(例えばスタンディングパウチ)であることが好ましい。これにより、自立性を有さない袋状容器を用いる場合に比べて、保管場所や試験実施時の置き場所をとらない。置き場所をとらないことから、試験実施者の作業スペースが広くなり、作業性が向上する。
以下、本発明の試験液製品について、実施形態例を示して説明する。
図1に、本実施形態の試験液製品1の概略斜視図を示す。
試験液製品1は、固形製剤の溶出試験又は崩壊試験に使用される試験液2(図中、網掛け部分)が袋(容器本体)3に充填されたものである。
袋3は、一対のフィルムからなる胴部3aと、フィルムからなる底部3bとを有するスタンディングパウチである。
溶出試験液、崩壊試験液としてはそれぞれ、日本薬局方、米国薬局方、欧州薬局方等に記載されているものを特に限定することなく使用することができる。
溶出試験液としては、pH1.2〜8.0の種々のpHの緩衝液、水があり、該緩衝液としては、例えば、第十六改正日本薬局方に記載の溶出試験第1液(pH1.2)、酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)、溶出試験第2液(pH6.8)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)、リン酸塩緩衝液(pH8.0)等が挙げられる。
崩壊試験液としては、例えば第十六改正日本薬局方に記載の崩壊試験法では、崩壊試験第1液(pH1.2)、崩壊試験第2液(pH6.8)、水の3種が用いられる。
なお、崩壊試験第1液と溶出試験第1液とは同じものが使用されている。そのため、溶出試験液として水または溶出試験第1液を充填した試験液製品は、崩壊試験用の試験液製品として用いることもできる。
溶出試験を1回実施する際に用いる試験液量は、日本薬局方等にて製剤毎に規定されているが、通常、900mLである。したがって、試験液2が溶出試験液である場合、試験液2の充填量は、汎用性の点から、900mL±1%の範囲内であることが好ましい。
ただし試験液量が900mLではない場合(例えば500mLの場合)もあり、上記の範囲内に限定されるものではない。規定された各種試験液量に応じた充填量とすることができる。
崩壊試験を1回実施する際に用いる試験液量については、例えば第十六改正日本薬局方に記載の崩壊試験法では、「ビーカーに入れる試験液の量は、試験器が最も上がったとき、試験器の網面が液面から下へ少なくとも15mm以上離れるようにし、試験器が最も下がったとき、網面はビーカーの底から25mm以上で、試験器が完全に沈みことがあってはならない。」とされ、明確な液量の規定はない。そのため、崩壊試験を1回実施する際に用いる試験液量は、崩壊試験に用いる装置に応じ、上記の規定を満たすように、試験実施者によって規定される。一般的には、おおよそ900mL前後である。したがって、試験液2が崩壊試験液である場合、試験液2の充填量は、汎用性の点から、900mL±1%の範囲内であることが好ましい。
袋3において、胴部3aを構成する一対のフィルムは、側縁部、上縁部で溶着され、側縁シール部4a,4b、上縁シール部4cが形成されている。底部3bを構成するフィルムは、半折された状態で、胴部3aを構成する一対のフィルムの間に、半折した折り線が上となるように配置され、底部3bを構成するフィルムの折り線を境界とした一方の面、他方の面がそれぞれ、胴部3aを構成する一対のフィルムのうち対向するフィルムの下縁部に溶着され、下縁シール部4d,4eが形成されている。側縁シール部4a,4bと、下縁シール部4d,4eとが重なる領域では、胴部3aを構成する一対のフィルム同士が部分的に溶着している。
側縁シール部4a,4bには、それぞれ、上縁シール部4cの下端よりわずかに下側に、袋3を開封しやすくするために、切り欠き5a,5bが設けられている。
高防湿性フィルムの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂などの樹脂を原料とする未延伸又は延伸の樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属箔とを積層した金属箔積層フィルム;前記樹脂フィルムの片面又は両面にアルミニウム等の金属を蒸着させた金属蒸着フィルム;前記樹脂フィルムに有機系および/または無機系のバリア性コート剤(例えばポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、変性または無変性のポリビニルアルコールと不飽和カルボン酸塩との架橋物等)をコートしたコートフィルム;等が挙げられる。金属箔積層フィルムとしては、樹脂フィルムの片面又は両面に金属箔を積層したもの、2枚の樹脂フィルムの間に金属箔を挟み込んだもの等が挙げられる。高防湿性フィルムが複数の樹脂フィルムを含む場合、各樹脂フィルムの材質は同じでも異なってもよい。
高防湿性フィルムとしては、上記の中でも、アルミニウム箔積層フィルムが好ましい。
ただし本発明はこれに限定されるものではなく、防湿性の低いフィルム、例えば前記ポリエステル樹脂、前記ポリアミド樹脂などの樹脂を原料とする未延伸又は延伸の樹脂フィルムの単体又は積層体を基材フィルムとして用いてもよい。積層体である場合、積層体を構成する複数の樹脂フィルムの材質は同じでも異なってもよい。
試験液製品の保管期間が短い場合は、このような防湿性の低い樹脂フィルムを用いても試験液量の減少、pHの変化等を充分に抑制し得る。また、このような樹脂フィルムは、高防湿性フィルムに比べて安価であり、また金属箔積層フィルムに比べて廃棄しやすい利点がある。そのため、これを基材フィルムとして用いた袋は、使い捨て容器として有用である。
基材フィルムの厚みは、機械強度、可撓性等の観点から、5〜500μmの範囲内が好ましく、7〜200μmの範囲内がより好ましい。
シーラントフィルムとしては、ヒートシール性を有するフィルムであれば特に限定されないが、ラミネートフィルムの最内層(袋3の内表面となる層)に配置されるシーラントフィルムとしては、試験液2が吸着しにくい、袋3から試験液2への溶出が生じにくい等の点から、ポリオレフィン樹脂フィルムであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどが挙げられる。
シーラントフィルムの厚みは特に限定されないが、通常、20μm〜300μm程度である。
シーラントフィルムと基材フィルムとの積層方法は、特に限定されず、接着剤を用いたドライラミネート法、熱接着性樹脂を用いた押出ラミネート法等の公知の方法を使用することができる。
袋3の容量が、試験液2の充填量+30mL以上であると、袋3を開封するときに試験液2の漏れが生じにくく、試験液2の充填量+300mL以下であると、所定量の試験液2を充填したときに、容器が過剰に大きくならず、使用後の廃棄物の量が少ない。
試験液2は、充填する試験液2の種類に応じて、日本薬局方等の規定に従って調製できる。
試験液2を充填する袋3としては、市販のものを用いてもよく、上記のようなラミネートフィルムを用いて作製したものを用いてもよい。袋3の作製方法は特に限定されず、袋3形状のスタンディングパウチの作製方法として公知の方法により実施できる。
得られた試験液製品1に対し、滅菌処理を行ってもよい。滅菌処理は、例えば、120℃、30〜60分間の湿熱殺菌の条件で実施できる。
例えば試験液を収容する、フィルムから構成される袋状の容器本体の形状は、前述した袋3の形状に限定されない。例えば、袋3と異なる形状のスタンディングパウチであってもよく、スタンディングパウチ以外の袋であってもよい。スタンディングパウチ以外の袋としては、例えば、ガゼット袋、三方シール袋、四方シール袋などの平袋等が挙げられる。作業効率の向上効果の点では、容器本体が、自立可能なものであることが好ましく、スタンディングパウチまたはガゼット袋であることが特に好ましい。
スパウトとしては、注出口に口栓を有する口栓付きスパウトが好ましい。口栓付きスパウトを具備すると、開封・封止が容易であり、また、溶出試験用ガラスベッセル等への試験液の投入が容易となり、試験の準備時間が短縮される。
さらには、口栓には、一旦開封されたら、開封された証拠が残るタンパーエビデント付きの口栓構造を採用することが好ましい。一旦開封された試験液製品においては、収容されている試験液のpHが変化しやすくなる。タンパーエビデント付きの口栓構造を採用することにより品質を保証することができる。
試験液が充填される容器は、試験液を収容する容器本体が、袋状以外の形状であってもよい。袋状以外の形状としては、試験液を充填した後、直ちに密閉できる構造のものが好ましく、例えばボトル形状、ポリタンク形状等が挙げられる。ただし廃棄物の低減という観点では、容器本体の形状が袋状であることが好ましい。
容器本体の形状がボトル形状やポリタンク形状である場合、その材質としては、廃棄物処理上、廃棄しやすいものが好ましく、例えばPET、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
試験液が充填される容器としては、試験液の取り出しやすさ、試験液取り出し後の廃棄物の少なさ等の点で、フィルムから構成される袋状の容器本体と、該容器本体から内容物を注出するスパウトとを備える容器が好ましく、該容器本体がスタンディングパウチまたはガゼット袋であるものが特に好ましい。
<実施例1>
濃塩酸(関東化学製試薬特級)70mLおよび塩化ナトリウム(和光純薬製、試薬特級)20.0gを正確に計り、日局精製水(共栄製薬製)に溶解して全量を正確に10Lとした。
得られた溶液の900mLを、900mL容量のメスフラスコに正確に分取し、下記のラミネート袋1の上部開口から充填した。その後、該ラミネート袋1の上部開口をヒートシールして密封し、試験液製品を得た。
ラミネート袋1:ナイロンフィルムと低密度ポリエチレンフィルムとが積層したラミネートフィルムからなるラミネート袋(株式会社キタミ、MBAタイプスタンド袋、容量約1000mL)。図1に示す袋3と同様の形状(胴部3bの上縁部が溶着されていない状態)で、充填前の縦×横のサイズはおよそ235mm×120mm。
残りの溶液についても同様の操作(分取、ラミネート袋1への充填、密封)を行い、溶出試験第一液900mLが正確に分包された試験液製品11個を得た。
リン酸二水素一カリウム(関東化学製試薬特級)17.0gおよびリン酸一水素二ナトリウム(関東化学製試薬特級)17.75gを正確に計り、日局精製水(共栄製薬製)に溶解して全量を正確に10Lとした。
得られた溶液の900mLを、900mL容量のメスフラスコに正確に分取し、下記のラミネート袋2の上部開口から充填した。その後、該ラミネート袋2の上部開口をヒートシールして密封し、試験液製品を得た。
ラミネート袋2:ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミ箔とナイロンフィルムとポリプロピレンフィルムとがこの順に積層したラミネートフィルムからなるラミネート袋(株式会社キタミ、HRSタイプスタンド袋、容量約1000mL)。図1に示す袋3と同様の形状(胴部3bの上縁部が溶着されていない状態)で、充填前の縦×横のサイズはおよそ235mm×120mm。
残りの溶液についても同様の操作(分取、ラミネート袋2への充填、密封)を行い、溶出試験第二液(pH6.8のうすめたリン酸緩衝液)900mLが正確に分包された試験液製品11個を得た。
無水リン酸水素二ナトリウム71.0gを(和光純薬製、試薬特級)、日局精製水(共栄製薬製)に溶かし10Lとした。この液に、クエン酸一水和物(純正薬品製、試薬特級)53gを日局精製水(共栄製薬製)に溶かして10Lとした液を加えてpH8.0に調整した。
得られた溶液の900mLを、900mL容量のメスフラスコに正確に分取し、下記のラミネート袋3の上部開口から充填した。その後、該ラミネート袋3の上部開口をヒートシールして密封し、試験液製品を得た。
ラミネート袋3:ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミ箔とナイロンフィルムとポリプロピレンフィルムとがこの順に積層したラミネートフィルムからなるラミネート袋(株式会社キタミ、HRSタイプスタンド袋、容量約1000mL)。図1に示す袋3と同様の形状(胴部3bの上縁部が溶着されていない状態)で、充填前の縦×横のサイズはおよそ235mm×120mm。
残りの溶液についても同様の操作(分取、ラミネート袋3への充填、密封)を行い、pH8.0 リン酸水素二Na・クエン酸緩衝液900mLが正確に分包された容器入り試験液12個を得た。
2 試験液
3 袋(容器本体)
Claims (2)
- 固形製剤の溶出試験または崩壊試験に使用される試験液が容器に充填され、
前記試験液の充填量が、前記溶出試験または崩壊試験を1回実施する際に用いる試験液量として規定された容量±1%の範囲内である試験液製品。 - 前記容器が、前記試験液を収容する、フィルムで構成される袋状の容器本体を備え、
前記容器本体が、自立可能なものである請求項1に記載の試験液製品。
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