JP2014070138A - 親水性塗膜形成用組成物及び親水性塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる塗膜を形成することが可能な親水性塗膜用組成物を提供する。
【解決手段】(A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ及び(C)架橋剤を含む親水性塗膜形成用組成物であって、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める(A)膨潤性層状珪酸塩の固形分が1〜20質量%であり、(B)コロイダルシリカの固形分が70〜97質量%であり、(C)架橋剤の固形分が0.05〜20質量%であることを特徴とする親水性塗膜形成用組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、親水性塗膜形成用組成物及び該組成物から得られる親水性塗膜に関し、特には、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる塗膜を形成することが可能な親水性塗膜用組成物に関するものである。
特許第4812902号明細書(特許文献1)には、水分散コロイダルシリカと、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを含有するノニオン系界面活性剤とを含む水性塗料組成物が記載されており、該水性塗料組成物によって、耐汚染性及び耐温水性に優れ、自己洗浄能力を有する防汚層を有する防汚塗膜が得られると報告されている。
特許第4812902号明細書
かかる防汚塗膜は、長期メンテナンスフリーの塗膜として期待されており、耐汚染性及び耐温水性等の更なる向上が求められている。
そこで、本発明の目的は、かかる要求に応えるため、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる塗膜を形成することが可能な親水性塗膜用組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該親水性塗膜用組成物を成膜して得られる親水性塗膜を提供することにある。
例えば、特許第4812902号明細書にも記載されるように、塗料組成物中にコロイダルシリカを配合することで、得られる塗膜に親水性を付与し、耐汚染性及び耐温水性を改善できることが知られているが、本発明者は、コロイダルシリカを含む親水性塗膜形成用組成物に膨潤性層状珪酸塩及び架橋剤を特定量で更に配合することによって、親水性塗膜の耐汚染性、耐候性及び耐温水性を更に向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の親水性塗膜形成用組成物は、(A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ及び(C)架橋剤を含む親水性塗膜形成用組成物であって、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める(A)膨潤性層状珪酸塩の固形分が1〜20質量%であり、(B)コロイダルシリカの固形分が70〜97質量%であり、(C)架橋剤の固形分が0.05〜20質量%であることを特徴とする。
本発明の親水性塗膜形成用組成物の好適例においては、(C)架橋剤が、少なくともオキサゾリン系架橋剤を含む。
また、本発明の親水性塗膜は、上記親水性塗膜形成用組成物を乾燥又は硬化させて得られる。
本発明によれば、コロイダルシリカを含む親水性塗膜形成用組成物に膨潤性層状珪酸塩及び架橋剤を特定の含有量で配合することによって、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる塗膜を形成することが可能な親水性塗膜用組成物を提供することができる。
また、上記親水性塗膜用組成物を成膜することによって、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる親水性塗膜を提供することができる。なお、かかる親水性塗膜は、長期メンテナンスフリーの塗膜としても使用可能である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の親水性塗膜形成用組成物は、(A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ及び(C)架橋剤を含む親水性塗膜形成用組成物であって、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める(A)膨潤性層状珪酸塩の固形分が1〜20質量%であり、(B)コロイダルシリカの固形分が70〜97質量%であり、(C)架橋剤の固形分が0.05〜20質量%であることを特徴とする。なお、本発明において、固形分とは、親水性塗膜形成用組成物に使用される溶剤以外の成分であって、親水性塗膜を構成する成分を指す。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、(A)膨潤性層状珪酸塩は、塗膜の親水性を向上させ、耐汚染性、耐候性及び耐温水性を改善することができる。なお、膨潤性層状珪酸塩とは、水中に分散させた場合、層間に水が配位して膨潤する性質を持つ無機珪酸塩を意味し、少なくとも部分的に層間分離を起こすものも含まれる。
上記膨潤性層状珪酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ(雲母)等が挙げられる。
なお、これら膨潤性層状珪酸塩は、天然物でも合成物であってもよく、また、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める膨潤性層状珪酸塩の固形分は、1〜20質量%であることを要し、5〜15質量%であることが好ましい。上記膨潤性層状珪酸塩の固形分が1質量%未満では、塗膜の親水性向上効果が得られず、一方、20質量%を超えると、耐温水性が低下する。
また、上記膨潤性層状珪酸塩は、沈降法による平均粒子径が、0.1〜10μmであることが好ましい。該平均粒子径が0.1μm未満では、塗膜の親水性向上効果が十分に得られない場合があり、一方、10μmを超えると、塗膜の外観等が悪化する場合がある。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、(B)コロイダルシリカは、塗膜に親水性を付与し、耐汚染性及び耐温水性を改善することができる。また、上記コロイダルシリカは、塗膜の硬化性を向上させることもできる。更に、本発明によれば、(B)コロイダルシリカに(A)膨潤性層状珪酸塩を組み合わせることによって、親水性及び硬化性の更なる向上効果が得られ、耐汚染性、耐候性及び耐温水性を大幅に向上させることができる。
上記コロイダルシリカは、環境の面から、水分散コロイダルシリカが好ましい。水分散コロイダルシリカとは、シリカ粒子が水媒体中に分散したものである。また、コロイダルシリカには、様々なタイプがあり、特に限定されるものではないが、平均粒子径が5〜100nmのほぼ球状のシリカ粒子が媒体中に分散したタイプ、太さ5〜50nm、長さ40〜400nm程度の鎖状に凝集したシリカ粒子が媒体中に分散したタイプ、平均粒子径10〜50nmの球状シリカ粒子が長さ50〜400nmのパールネックレス状に連なったものが媒体中に分散したパールネックレス状タイプ、平均粒子径5〜50nmのシリカ粒子が環状に凝集して媒体中に分散した環状タイプ等が挙げられる。本発明においては、耐汚染性の観点から、球状シリカ粒子が媒体中に分散したタイプのコロイダルシリカを使用することが好ましい。また、コロイダルシリカ中に分散する球状シリカ粒子は、平均粒子径が、5〜100nmであることが好ましい。該平均粒子径が5nm未満では、耐汚染性が低下する場合があり、一方、100nmを超えると、塗膜外観が悪化する傾向がある。
ほぼ球状又は球状のシリカ粒子が水中に分散したタイプのコロイダルシリカは、市販品として容易に入手することができ、その具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックス−20、スノーテックス−O、スノーテックス−C、スノーテックス−Sや、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20、AT−20N、AT−20A及びAT−300等が挙げられる。
鎖状に凝集したシリカ粒子が水中に分散した鎖状タイプのコロイダルシリカは、市販品として容易に入手することができ、その具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックス−UP及びスノーテックス−OUP等が挙げられる。
パールネックレス状に連なった球状シリカ粒子が媒体中に分散したパールネックレス状タイプのコロイダルシリカは、市販品として容易に入手することができ、その具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックス−PS−S、スノーテックス−PS−M、スノーテックス−PS−SO及びスノーテックス−PS−MO等が挙げられる。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占めるコロイダルシリカの固形分は、70〜97質量%であることを要し、75〜90質量%であることが好ましい。上記コロイダルシリカの固形分が70質量%未満では、塗膜の硬化性や親水性を向上させる効果が発揮されず、逆に97質量%を超えると、塗膜の外観が悪くなる傾向にある。
水分散コロイダルシリカは、一般に、その製造方法に起因するNaを含むが、本発明においては、シリカ粒子の分散性が向上するため、そのNaを含んだアルカリ性タイプの水分散コロイダルシリカが好ましい。また、水分散コロイダルシリカは、そのpHが、8〜10であることが好ましく、8.5〜9.5であることが更に好ましい。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、(C)架橋剤は、(B)コロイダルシリカ中のシリカ粒子との間に架橋構造を形成し、塗膜強度の他、耐温水性等も向上させることができる。上記架橋剤は、例えば、シランカップリング剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤(即ち、オキサゾリン基を有する架橋剤)等が挙げられる。なお、これら架橋剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。しかしながら、架橋剤が少なくともオキサゾリン系架橋剤を含む場合、耐温水性が顕著に向上する。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める架橋剤の固形分は、0.05〜20質量%であることを要し、0.2〜18質量%であることが好ましい。上記架橋剤の固形分が0.05質量%未満では、塗膜強度や耐水性を向上させる効果が発揮されず、逆に20質量%を超えると、貯蔵安定性が悪くなる傾向にある。
本発明の親水性塗膜形成用組成物は、フッ素系界面活性剤を含有しないことが好ましい。例えば、特許第4812902号明細書に記載されるように、耐汚染性の観点から、フッ素系界面活性剤を塗料組成物に配合することが知られている。しかしながら、フッ素系界面活性剤を含む塗料組成物は、塗装作業時(具体的には、自動塗装機内での塗料循環時、塗装後のブース内での排水循環時)に泡が生じ易いという課題を有していた。本発明の親水性塗膜形成用組成物によれば、上述のように、特定量のA成分、B成分及びC成分を組み合わせることによって、耐汚染性、耐候性及び耐温水性を大幅に向上できるため、フッ素系界面活性剤を使用する必要がない。従って、本発明の親水性塗膜形成用組成物がフッ素系界面活性剤を含有しない場合、優れた塗装作業性を確保することができる。
なお、フッ素系界面活性剤には、分子内にCF(CF−で構成されるパーフルオロアルキル基や、対応するパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤等が含まれ、具体例としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルケニルスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルカルボン酸塩等のアニオン型フッ素系界面活性剤;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型フッ素系界面活性剤;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン型フッ素系界面活性剤;パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキル基を含有するオリゴマー等のノニオン型フッ素系界面活性剤が挙げられる。
また、本発明の親水性塗膜形成用組成物は、コロイダルシリカの分散性、塗膜の耐汚染性、塗膜形成時のフロー性を向上させる目的で、フッ素系界面活性剤以外のノニオン系界面活性剤(D)を含有することが好ましい。かかるノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが好ましく、これ以外にも、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びアルキル(ポリ)グリコシド等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、耐雨筋汚染性の観点から、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド付加物が好ましい。
本発明の親水性塗膜形成用組成物において、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める(D)ノニオン系界面活性剤の固形分は、0.1〜15.0質量%であることが好ましく、0.5〜10.0質量%であることが更に好ましい。上記(D)ノニオン系界面活性剤の固形分が0.1質量%未満では、塗膜の成膜性及び外観が悪化する場合があり、一方、15.0質量%を超えると、塗膜の耐水性が低下し、耐久性が悪化する場合がある。
本発明の親水性塗膜形成用組成物は、その製造効率及び塗装性を考慮して、希釈剤を含むことが好ましい。希釈剤としては、環境面を考慮し、純水、蒸留水、イオン交換水又は水道水を用いることが好ましい。また、水分散コロイダルシリカを用いる場合には、塗膜外観が低下する恐れがあるため、希釈剤に有機溶媒が含まれることは好ましくない。
本発明の親水性塗膜形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記(A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ、(C)架橋剤、(D)フッ素系界面活性剤以外のノニオン系界面活性剤、及び希釈剤の他、塗料業界において通常使用される各種添加剤を適宜配合することができる。これら添加剤としては、例えば、充填剤、硬化促進剤、増粘剤、酸化防止剤、レベリング剤及び顔料分散剤等が挙げられ、特に、充填剤としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ベントナイト、酸化チタン(光触媒機能を有さない顔料)、カーボンブラック、ベンガラ、リトポン等の各種塗料用体質顔料や、着色顔料が使用可能である。なお、これら添加剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の親水性塗膜形成用組成物は、上記(A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ及び(C)架橋剤と、必要に応じて適宜選択される各種成分とを混合することにより調製できる。
また、本発明の親水性塗膜形成用組成物は、表面張力が、40dyn/cm(25℃)以下であることが好ましく、30dyn/cm(25℃)以下であることが更に好ましい。表面張力が40dyn/cm(25℃)を超えると、均一な塗膜形成が困難となるため、十分な塗膜性能が発揮できない場合がある。
更に、本発明の親水性塗膜形成用組成物は、150℃、30分間の加熱残分が、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることが更に好ましい。該加熱残分が0.1質量%未満では、塗膜の硬化性や耐汚染性の向上効果が小さい場合があり、10.0質量%を超えると、塗膜の外観が悪くなる傾向がある。
本発明の親水性塗膜は、上述の親水性塗膜形成用組成物を成膜して得られ、具体的には、上述の親水性塗膜形成用組成物を乾燥又は硬化させて得られることを特徴とする。上記親水性塗膜形成用組成物を成膜して得られる塗膜は、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れるため、長期メンテナンスフリーの塗膜として使用可能である。
本発明の親水性塗膜は、基材又は基材上に形成された下地塗膜上に形成されるのが好ましい。上記基材としては、耐汚染性、耐候性及び耐温水性の観点から、建材等に使用されるものが好ましく、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、石綿セメント板、パルプセメント板、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート板、ALC板、石膏ボード等の無機建材や、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属建材等が代表的なものとして挙げられる。これら基材は、その表面が平滑なものであってもよいし、凹凸形状を有するものであってもよい。
上記下地塗膜は、基材と塗膜との長期間密着性を発現させる働きをなすものであり、その形成には、ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、エポキシ/ ポリアミン樹脂、ウレタン樹脂等を結合剤とする各種の溶剤系又は水系塗料等が使用される。なお、下地塗膜の機能としては、基材密着性や耐アルカリ性、耐エフロレッセンス性等が要求される。また、下地塗膜は、1層の塗膜であってもよいし、複数層の塗膜により形成されてもよい。
特に、基材が外壁用基材であり、塗膜に耐候性や耐凍害性等が要求される場合、上記下地塗膜を形成する塗料には、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、有機無機複合系樹脂等を結合剤とする溶剤系又は水系塗料が使用される。
また、上記下地塗膜は、本発明の親水性塗膜との密着性の観点から、水に対する接触角が120°以下であることが好ましい。かかる接触角を達成するため、上記下地塗膜を形成する塗料は、結合剤として無機系樹脂、特にSi−OR基(Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基)を有する化合物を含有するものが好ましく、その含有量は、固形分換算で0.1〜50質量%であることが好ましい。
Si−OR基(Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基)を有する化合物を含有する塗料としては、加水分解性シリル基含有ビニル系塗料や、オルガノポリシロキサン系塗料、及びシランカップリング剤添加塗料等が挙げられる。
上記下地塗膜用の塗料には、結合剤の他、各種機能を付与するため、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料等の各種添加剤を必要に応じて配合してもよく、体質顔料、着色顔料又は防錆顔料が配合される場合には、更に分散剤、沈降防止剤、増粘剤等を配合するのが好ましい。
また更に、本発明の親水性塗膜は、水に対する接触角が、1°〜40°であることが好ましく、5°〜30°であることが更に好ましい。該接触角が40°を超えると、塗膜の防汚性能が低下する場合がある。
本発明の親水性塗膜形成用組成物及び上記下地塗膜用塗料の塗装方法としては、刷毛塗装、スプレー塗装、ロール塗装及びディッピング塗装等の塗装手段等が利用でき、基材又は下地塗膜上に塗装した塗料を、例えば、常温で乾燥させるか又は300℃以下の温度で焼付けることにより、硬化塗膜を形成することが可能である。場合により、予め基材を加熱しておき(プレヒート)、その上から塗料を塗装し、硬化塗膜を形成することもできる。
本発明の親水性塗膜は、膜厚が、0.1〜2μmであることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記例中、「部」及び「%」は、光沢保持率の場合を除き、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<実施例1〜11及び比較例1〜4>
表1〜3中に記載の配合処方に従い、実施例1〜11の塗料組成物(本発明の親水性塗膜形成用組成物)及び比較例1〜4の塗料組成物を調製した。なお、表1〜3中に記載の配合剤を以下に示す。
<膨潤性層状珪酸塩>
・合成マイカA:NTS−5(5質量%スラリー水溶液、平均粒径11μm、トピー工業(株)製)
・合成マイカB:ME−100(10質量%スラリー水溶液、平均粒径5〜7μm、コープケミカル(株)製)
・天然マイカA:SYA−41R(5質量%スラリー水溶液、平均粒径45μm、(株)ヤマグチマイカ製)
・天然マイカB:W−40H(5質量%スラリー水溶液、平均粒径33μm、(株)レプコ製)
<コロイダルシリカ>
・コロイダルシリカA:スノーテックスC(水分散コロイダルシリカ、平均粒径10〜20nm、pH9.0、固形分20質量%、日産化学工業(株)製)
・コロイダルシリカB:スノーテックスOUP(水分散コロイダルシリカ、平均粒径40〜100nm、pH3.8、固形分15質量%、日産化学工業(株)製)
<架橋剤>
・オキサゾリン系架橋剤:エポクロス WS−500(オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、固形分40質量%、(株)日本触媒製)
・シランカップリング剤:KBM403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、固形分100質量%、信越化学工業(株)製)
・カルボジイミド系架橋剤:カルボジライトE−03A(固形分40質量%、日清紡(株)製)
<分散剤>
・ノニオン系界面活性剤:プルロニックL−44(成分:プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドブロックポリマー、固形分100質量%、(株)ADEKA製)
<フッ素系界面活性剤>
・フッ素系界面活性剤:メガファックF−444(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、固形分100%、DIC(株)製)
次いで、実施例1〜11及び比較例1〜4の塗料組成物のそれぞれを、塗着量が70〜80g/m(wet質量)となるように、塗膜性能評価用試験板上に吹付塗装した。これを常乾した後、室温で3日間乾燥させ、塗板を作製した。作製した塗板に関し、塗膜の外観、耐汚染性、耐雨筋汚染性、耐候性、耐温水性の各性能評価試験を行った。なお、起泡性の性能評価試験については、実施例1〜11及び比較例1〜4の塗料組成物を対象にして行われた。結果を表1〜3中に示す。なお、塗膜性能評価用試験板の作製、並びに各性能評価試験の試験方法及び評価基準の詳細は、以下に記載される。
<塗膜性能評価用試験板の作製>
基材として石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプレポリマー溶液シーラー「Vセラン#100シーラー」(大日本塗料(株)製、酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶剤で100%希釈したもの)を塗着量が90〜100g/m(wet質量)となるように吹付塗装した。これを100℃で5分間乾燥させた。次いで、上塗り塗料としてアクリルシリコーン樹脂系塗料「Vセラン#500エナメル」(大日本塗料(株)製、酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶剤で40%希釈したもの)を塗着量が80〜90g/m(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥させ、塗膜性能評価用試験板を作成した。得られた上塗り塗膜(下地塗膜)の水に対する接触角は60°(20℃)であり、また、その塗膜中のSi−OR基の含有量は1.5質量%であった。
<塗膜外観>
得られた塗膜の外観を、下記評価基準に基づく目視観察により、評価した。
◎・・・良好(透明な膜)
○・・・やや良好(一部白濁)
△・・・不良(全体的にやや白濁)
×・・・不良(全体的に白濁)
<耐汚染性>
塗板上にカーボンブラック分散液(ターペン溶液)をスポイトで数滴滴下して流し塗りした後、水の霧吹きによってそれを洗い流し、その耐汚染性を、下記評価基準に基づく目視観察により、評価した。
◎・・・カーボンブラックの完全除去
○・・・ごく軽微な汚染(カーボンブラックがほとんど除去される)
△・・・少しの汚染(カーボンブラックが部分的に残る)
×・・・汚染著しい(カーボンブラックが全体的に残る)
<耐雨筋汚染性>
平面に対して10度に傾斜し、長さ30cmで深さ3mmの溝が3mmピッチで刻まれた屋根を有する架台上に、上記塗板を、降雨が塗膜表面に筋状に流れ落ちるように南向きに垂直に取り付け、その状態で12ヶ月間暴露した後、試験前の塗膜外観と比較した塗膜表面の汚染状態を、下記評価基準に基づく目視観察により、判定した。
◎・・・汚れは無く、雨筋も確認されない
○・・・わずかな汚れは有るが、雨筋は確認されない
△・・・局所的な汚れが有り、雨筋が薄く確認される
×・・・全面にかなりの汚れが有り、雨筋がはっきりと確認される
<耐候性>
サンシャインウェザー−オーメーターを用いた5000時間の耐候性試験を行い、その耐候性を下記評価基準に基づいて判定した。
◎・・・塗膜外観に変化は無く、光沢保持率95%以上
○・・・塗膜外観の変化がわずかにあり、光沢保持率80%以上95%未満
×・・・塗膜外観の変化が著しく、光沢保持率80%未満
<起泡性>
100mlサンプル瓶に、20mlサンプルを添加し蓋をした。次いで1分間サンプル瓶を上下に振り、その後の泡立ち具合を、下記評価基準に基づく目視観察により、評価した。
○・・・微量ではあるが泡立つ
△・・・サンプル体積と同等の体積の泡が生じる
×・・・サンプル体積と比較して2倍以上の体積の泡が生じる
<耐温水性>
上記のように作製した塗板を80℃の温水中に3時間浸漬させた。浸漬中及び乾燥後の塗膜外観を、下記評価基準に基づく目視観察により、評価した。
◎・・・浸漬中及び塗膜乾燥後の両方で、塗膜外観に変化無し
○・・・浸漬中で軽微な白化が起こるが、塗膜乾燥後には変化無し
△・・・浸漬中では白化が酷く、塗膜乾燥後では光沢低下や白化等の軽微な変化有り
×・・・浸漬中での白化が酷く、塗膜乾燥後では光沢低下や白化等の顕著な変化有り
Figure 2014070138
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表1〜3から、実施例1〜11の塗料組成物は、耐汚染性、耐候性及び耐温水性の全てを向上できることが分かる。また、実施例11の塗料組成物の結果から分かるように、起泡性の観点から、フッ素系界面活性剤を含有しないことが好ましい。

Claims (3)

  1. (A)膨潤性層状珪酸塩、(B)コロイダルシリカ及び(C)架橋剤を含む親水性塗膜形成用組成物であって、該親水性塗膜形成用組成物の固形分全体に占める(A)膨潤性層状珪酸塩の固形分が1〜20質量%であり、(B)コロイダルシリカの固形分が70〜97質量%であり、(C)架橋剤の固形分が0.05〜20質量%であることを特徴とする親水性塗膜形成用組成物。
  2. (C)架橋剤が、少なくともオキサゾリン系架橋剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の親水性塗膜形成用組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の親水性塗膜形成用組成物を乾燥又は硬化させて得られる親水性塗膜。
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