JP2021126655A - 被膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機質材料に優れた吸水防止性、耐久性等を付与する被膜を形成する被膜形成方法を得る。
【解決手段】
本発明の被膜形成方法は、吸水率の小さい無機質材料の表面に対し、第1工程として合成樹脂エマルションを含む被覆材を塗付し、上記合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上、溶解度パラメータが9.5以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)を含み、
上記合成樹脂エマルションは、ガラス転移温度が15〜60℃であり、かつ平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、低吸水性の無機質材料に対する、新規な被膜形成方法に関するものである。
従来、建築物や土木構造物等の基材として用いられているセメント系の無機質材料に対し、その素材感を活かしつつ耐久性を向上させるために、クリヤー仕上げが行われている。
一般に無機質材料は、吸水性が高いため、吸水防止材等を塗付後、所望の被膜を形成する仕上げ方法が広く用いられている。例えば、特許文献1には、コンクリート表面に対し、溶剤系の吸水防止材(下塗り材)を塗付し、その表面にエマルション系透明合成樹脂からなる防水材(中塗り材)、さらに別の防水材(上塗り材)を塗付する方法が記載されている。このような方法によれば、コンクリート表面の吸水防止性が向上し、耐久性が高まるものと期待される。
しかし、無機質材料の中でも、表面が緻密であり吸水性が比較的小さい材料の場合、吸水防止材の浸透が不十分となり、上記効果が得られないおそれがある。さらには、中塗り材や上塗り材にハジキ等を生じ、仕上り性が不十分となるおそれがある。また、密着性が不十分となるおそれもある。
特開2002−89006号公報
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、無機質材料に対し、その質感を活かしつつ、優れた吸水防止性、耐久性等を付与することができる被膜形成方法を提供することを目的とするものである。
このような課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討の結果、第1工程として特定の被覆材(I)を塗付する方法に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の被膜形成方法は、以下の特徴を有するものである。
1.無機質材料に対し、透明被膜を形成する方法であって、
上記無機質材料は、吸水率が20%以下であり、
上記無機質材料の表面に対し、
第1工程として、合成樹脂エマルションを含む被覆材(I)を塗付、乾燥し透明被膜を形成し
上記被覆材(I)の合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、
ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上、溶解度パラメータが9.5以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)を含み、
上記合成樹脂エマルションは、ガラス転移温度が15〜60℃であり、かつ平均粒子径が120nm以下である
ことを特徴とする被膜形成方法。
2.上記合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする1.に記載の被膜形成方法。
3.上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)の含有量は、上記合成樹脂エマルションの固形分中に、3〜70重量%であることを特徴とする1.または2.に記載の被膜形成方法。
4.上記被覆材(I)の塗付、乾燥は、常温(0〜40℃)で行うことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の被膜形成方法。
5.第2工程として、透明被膜を形成する被覆材(II)を塗付することを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の被膜形成方法。
6.上記被覆材(I)と上記被覆材(II)の少なくとも一方が、着色透明被膜を形成することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の被膜形成方法。
7.上記無機質材料は、コンクリート、モルタル、押出し成形セメント板、またはALCである(ただし、その表面に既に被膜が形成されたものを除く)ことを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の被膜形成方法。
8.上記無機質材料は、押出し成形セメント板であることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の被膜形成方法。
本発明の被膜形成方法では、吸水性の小さい無機質材料の表面に対し、第1工程として特定の合成樹脂エマルションを含む被覆材(I)を塗付することにより、無機質材料の質感を活かしつつ、吸水防止性、耐久性等を付与する被膜を形成することが可能である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、無機質材料に対し、透明被膜を形成する方法に関するものである。本発明の透明被膜とは、透明性を有する被膜のことである。透明性とは、無機質材料が視認可能なものであればよい。
<無機質材料>
無機質材料は、建築物、土木構造物等の表面を構成する基材である。本発明の無機質材料は、吸水率が20%以下(好ましくは18%以下)であり、例えば、コンクリート、モルタル、押出成形セメント板、ALC等のセメント系基材が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの等であってもよい。本発明では特に、押出成形セメント板に対して適用することが好ましい。このような押出成形セメント板は、通常、セメント、けい酸質原料及び繊維質原料を主原料として、板状に押出成形しオートクレーブ養生したパネルであり、緻密な表面形状を有するものである。なお、吸水率は、JIS A 5441「素材比重、含水率及び吸水率試験」に準じて測定された値である。
本発明では、第1工程に先立ち、無機質材料に対し洗浄等の処理を行うこともできる。洗浄処理は、無機質材料に対し各種洗浄剤を塗付した後、水洗いする方法等を採用すればよい。
<被覆材(I)>
本発明の被膜形成方法は、無機質材料の表面に対し、第1工程として特定の被覆材(I)を塗付し透明被膜を形成する。本願発明における第1工程の被覆材(I)としては、透明性を有する被膜を形成するものであり、特定の合成樹脂エマルションを含むものを使用する。この被覆材(I)における合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、ホモポリマーのガラス転移温度(以下「Tg」ともいう。)が50℃以上(好ましくは60〜120℃)、溶解度パラメータ(以下「sp値」ともいう。)が9.5以下(好ましくは6〜9.5)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)(以下「(A)成分」ともいう。)を含むものである。このような成分を含む被覆材(I)を塗付することにより、無機質材料との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の吸水防止性、耐久性等を高めることができる。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記する。
本発明の(A)成分としては、例えば、tert−ブチルメタクリレート(Tg:107℃、sp値:9.07)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃、sp値:7.44)、等が挙げられる。(A)成分以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルメタクリレート(Tg:105℃、sp値:9.93)、エチルアクリレート(−20℃、sp値:10.2)、n−ブチルアクリレート(Tg:−56℃、sp値:9.77)、n−ブチルメタクリレート(Tg:20℃、sp値:9.45)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃、sp値:9.22)等が挙げられる。なお、ホモポリマーのガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)によって測定可能である。また、溶解度パラメータは、「ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE)」、1974年、VoL.14,No.2、P.147―154に記載の方法によって算出される値である。
上記(A)成分の含有量は、本発明の合成樹脂エマルションの固形分中に、3〜70重量%(より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは8〜40重量%)であることが好ましい。このような範囲である場合、上述の無機質材料との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の吸水防止性、耐久性等を高めることができる。また、合成樹脂エマルションの含有量は、被覆材(I)中に固形分として、好ましくは10〜50重量%(より好ましくは15〜45重量%)である。このような場合、上記効果を十分に発揮することができる。
また、合成樹脂エマルションのガラス転移温度は、モノマーの種類、混合比率等を選定することで調整できる。このガラス転移温度は、最終的な要求性能等を考慮して適宜設定すればよいが、本発明では、15〜60℃(より好ましくは15〜55℃)であることが好ましい。このような場合、本発明の効果をより一層高めることができる。なお、合成樹脂エマルションのガラス転移温度は、Foxの計算式により求めることができる。
さらに、合成樹脂エマルションは、平均粒子径が120nm以下(より好ましくは30nm以上100nm以下)であることが好ましい。このような場合、本発明の効果をより一層高めることができる。なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明の合成樹脂エマルションとしては、上記条件を満たすものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂エマルション、エポキシ変性アクリル樹脂エマルション、ウレタン変性アクリル樹脂エマルション、シリコン変性アクリル樹脂エマルション、フッ素変性アクリル樹脂エマルション、等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
本発明の合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることが好ましい。シリコン変性アクリル樹脂エマルションは、反応性シリル基含有化合物を必須成分として得られるものである。シリコン変性アクリル樹脂エマルション使用することにより、密着性、耐久性等を高めることができ、さらに耐汚染性、耐候性、耐黄変性、耐水性、耐薬品性等が良好な塗膜を形成することができる。
本発明において、シリコン変性アクリル樹脂エマルションとしては、例えば、モノマー成分として上記(A)成分を含み、さらに下記(1)〜(4)のいずれかの条件を満たすものが好適である。
(1)モノマー成分として反応性シリル基含有モノマーを含む合成樹脂エマルション
(2)モノマー成分として反応性シリル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及びカルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを含む樹脂に、シラン化合物を付加させてなる合成樹脂エマルション、
(3)樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤とを反応させてなる合成樹脂エマルション、
(4)樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤とを反応させ、さらにシラン化合物を付加させてなる合成樹脂エマルション、等が挙げられる。
反応性シリル基としては、珪素原子にアルコキシル基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン等が結合したものが挙げられる。本発明では、珪素原子にアルコキシル基が結合したアルコキシシリル基が好適である。
上記(1)、(2)における反応性シリル基含有モノマーは、反応性シリル基と重合性二重結合を含有する化合物であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
上記(2)における水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。(2)におけるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
上記(2)、(4)におけるシラン化合物としては、反応性シリル基を一分子中に2個以上有するものが用いられ、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等の3官能アルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン類;テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン等のアセトキシシラン類等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、反応性シリル基を一分子中に1個有する化合物を併用することもできる。
上記(3)、(4)における官能基の組み合わせとしては、例えば、水酸基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アルコキシシリル基どうし等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上の反応性シリル基とそのほかの置換基を有する化合物であり、具体的には、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン等があげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
これらモノマーと共重合可能なその他の共重合モノマーとしては、例えば、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸含有ビニルモノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等の塩素含有モノマー;
エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアルキレングリコールモノアリルエーテル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等を使用することができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。この他、エチレン性不飽和二重結合含有紫外線吸収剤、エチレン性不飽和二重結合含有光安定剤等を用いることもできる。
シリコン変性アクリル樹脂エマルションにおけるシリコン成分量は、エマルションの固形分中にSiO換算で0.1〜30重量%(より好ましくは0.2〜10重量%)が好ましい。シリコン成分量がこのような範囲であることにより、上述の無機質材料との密着性において優れた性能を発揮し、無機質材料の耐久性等を高めることができる。
なお、SiO換算とは、Si−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO)となって残る重量分にて表したものである。一般に、アルコキシシランやシリケート等は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノールどうしやシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO)となる。これらの反応は一般式、
RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→nSiO+(2n+2)ROH
という反応式で表される。本発明では、この反応式をもとにシリコン成分量の換算を行っている。
被覆材(I)により形成される被膜の隠蔽率は、好ましくは60%以下(より好ましくは20%以下、さらに好ましくは8%以下)である。なお、形成被膜の隠蔽率は、隠蔽率試験紙の上に塗付厚(乾燥膜厚)が50μmとなるように塗付した試験体を用い、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計を用いて測定し、算出した値である。
第1工程における被覆材(I)は、上記合成樹脂エマルションに加えて、顔料を含み、着色透明被膜を形成するものであってもよい。このような着色透明被膜を形成することにより、無機質材料の色ムラ等を効果的に抑えることができる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、群青、コバルトグリーン、鉄クロム複合酸化物、マンガンビスマス複合酸化物、マンガンイットリウム複合酸化物、マンガン鉄コバルト複合酸化物等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、メタリック顔料等の機能性顔料、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪石粉、珪藻土等の体質顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
第1工程における被覆材(I)は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を含むものであってもよい。さらに、本発明の効果が著しく損なわれない限り、合成樹脂エマルションとして上記以外の合成樹脂エマルションを含むこともできる。被覆材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
第1工程では、このような被覆材を基材に均一に塗付する。塗付器具は特に限定されず、刷毛、スプレー、ローラー、コーター等公知の塗付器具を使用することができる。被覆材を塗装する際の所要量は、基材の種類・状態等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30〜500g/m(より好ましくは80〜200g/m)程度である。また、所要量は、固形分換算で、好ましくは10〜250g/m(より好ましくは20〜100g/m)程度である。被覆材の塗付、乾燥は、好ましくは常温(0〜40℃)で行えばよい。
本発明では、第1工程の後、吸水防止性、耐久性、または美観性等を高める目的で、さらに第2工程として、第1工程と同様の被覆材または第1工程とは異なる被覆材を塗付することもできる。
<被覆材(II)>
被覆材(II)は、第2工程として透明被膜を形成するものを使用する。被覆材(II)は、合成樹脂を必須成分とするものである。合成樹脂は、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このような合成樹脂としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂(合成樹脂エマルション)、NAD型樹脂、溶剤可溶型樹脂、無溶剤樹脂型等が挙げられ、1液タイプ、2液タイプ等特に限定せず用いることができる。本発明では特に、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂を含むものが好ましい。また、合成樹脂として上記被覆材(I)と同様のものを使用することもできる。
また、上記被覆材(II)は、上記合成樹脂に加えて顔料を含み、着色透明被膜を形成するものであることが好ましい。着色透明被膜を形成することにより、無機質材料の色ムラ等を効果的に抑えることができる。着色顔料としては、上記と同様のものを使用することができる。また、被覆材(II)により形成される被膜の隠蔽率は、好ましくは60%以下(より好ましくは10〜50%)である。
被覆材(II)は、上記樹脂成分に加えて、低汚染化剤等を含有することができる。低汚染化剤としては、シリケート化合物が好ましく、さらにはアルキレンオキサイド変性シリケートが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等があげられ、このうちエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドが好ましく使用される。このような特定の変性シリケートの作用によって被膜表面の親水性が高まり、耐汚染性において優れた性能を発揮することができる。
本発明の被覆材(II)は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば、増粘剤、湿潤剤、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等を含むものであってもよい。被覆材は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
上記被覆材(II)は、上記被覆材(I)が塗付された基材に第2工程として均一に塗付する。塗付器具は特に限定されず、刷毛、スプレー、ローラー等公知の塗付器具を使用することができる。被覆材を塗装する際の所要量は、基材の種類・状態等を勘案して適宜設定すればよいが、好ましくは30〜500g/m(より好ましくは80〜200g/m)程度である。また、所要量は、固形分換算で、好ましくは10〜250g/m(より好ましくは20〜100g/m)程度である。被覆材の塗付、乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
本発明では、被覆材(I)、及び被覆材(II)を塗付後に得られる積層被膜も、透明性を有する。このような被覆材(I)と被覆材(II)は、両方が透明被膜を形成するものであればよいが、本発明では、被覆材(I)と被覆材(II)の少なくとも一方が、着色透明被膜を形成することが好ましい。さらには、被覆材(II)が着色透明被膜を形成することが好ましい。これにより、無機質材料の色ムラ等をよりいっそう効果的に抑えることができる。
<被覆材(III)>
本発明の被膜形成方法では、表面保護性や機能性付与を目的として、上記被覆材(I)が塗付された基材、または上記被覆材(II)が塗付された基材に、さらに、最表面に透明被覆材(III)による被膜を形成することもできる。本発明では、被覆材(III)として、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ、及び樹脂成分を含むことが好ましい。
このうちシリカは、粒子自体の硬度が高く、さらに粒子表面にシラノール基を多く有すること等によって、優れた汚染防止効果を発揮するものである。シリカの平均一次粒子径は、好ましくは1〜200nm(より好ましくは3〜100nm)である。この範囲内であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカを併用することもできる。なお、ここに言う平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
被覆材(III)のシリカは、シリカゾルに由来するものが好適であり、さらにはpH5.0以上8.5未満(好ましくは6.0以上8.0以下)の水分散性シリカゾルに由来するものがより好適である。
このような中性タイプの水分散性シリカゾルは、シリケート化合物を原料として製造することができる。シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グルコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。
被覆材(III)における樹脂成分としては、各種樹脂が使用できる。具体的には、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。このような樹脂成分としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適である。
被覆材(III)におけるシリカと樹脂成分との固形分重量比(シリカ:樹脂成分)は、好ましくは0.5:1〜5:1、より好ましくは0.8:1〜4:1、さらに好ましくは1:1〜3:1である。このような比であれば、汚染防止効果に加え、密着性において十分な効果が得られ、本発明の効果が安定して発揮される。
被覆材(III)は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含むものであってもよい。被覆材(III)は、上述の各成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
被覆材(III)は、被覆材(I)が塗付された基材に第2工程として、または被覆材(II)が塗付された基材に第3工程として全面に塗付すればよい。塗付器具は特に限定されず、例えば、刷毛、ローラー、スプレー等の公知の塗付器具を使用することができる。被覆材(III)を形成する際の被覆材の所要量は、固形分換算で、好ましくは0.1〜50g/m(より好ましくは0.5〜20g/m)程度である。被覆材の塗付、乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
[被覆材(I)]
・被覆材(I−A)
合成樹脂エマルションA[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径78nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−A)を得た。
・被覆材(I−B)
合成樹脂エマルションB[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(t-ブチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のt-ブチルメタクリレート含有量10重量%、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量10重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg38℃、平均粒子径75nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−B)を得た。
・被覆材(I−C)
合成樹脂エマルションC[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg50℃、平均粒子径72nm)]100重量部、造膜助剤5重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−C)を得た。
・被覆材(I−D)
合成樹脂エマルションD[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量8重量%、固形分50重量%、Tg36℃、平均粒子径75nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−D)を得た。
・被覆材(I−E)
合成樹脂エマルションE[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量0.5重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径82nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−E)を得た。
・被覆材(I−F)
合成樹脂エマルションF[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量30重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg27℃、平均粒子径85nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−F)を得た。
・被覆材(I−G)
合成樹脂エマルションG[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量6重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径78nm)]100重量部、造膜助剤3重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−G)を得た。
・被覆材(I−H)
合成樹脂エマルションH[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg12℃、平均粒子径72nm)]100重量部、造膜助剤3重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−H)を得た。
・被覆材(I−I)
合成樹脂エマルションI[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径130nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−I)を得た。
・被覆材(I−J)
合成樹脂エマルションJ[アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量20重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径80nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−J)を得た。
・被覆材(I−K)
合成樹脂エマルションK[シリコン変性アクリル樹脂エマルション(シクロヘキシルメタクリレート・メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体のメチルトリメトキシシラン付加物、固形分中のシクロヘキシルメタクリレート含有量4重量%、固形分中のシリコン成分量2重量%、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径75nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I−K)を得た。
・被覆材(I―L)
合成樹脂エマルションL[アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、固形分50重量%、Tg32℃、平均粒子径80nm)]100重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を均一に混合し被覆材(I―L)を得た。
[被覆材(II)]
・被覆材(II−A)
合成樹脂エマルションC100重量部に対し、顔料(酸化チタン、黄色酸化鉄、べんがら、カーボンブラック)1.2重量部、造膜助剤4重量部、紫外線吸収剤0.2重量部、消泡剤0.1重量部、及び水10重量部を常法により混合・攪拌することによって被覆材(II−A)を製造した。
(隠蔽率測定)
被覆材(I−A)〜(I−L)、及び被覆材(II−A)をそれぞれ、被覆材(II−A)を、隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータで塗付し、温度23℃・湿度50%環境下(以下「標準状態」という)で24時間乾燥させて得た試験片(乾燥膜厚50μm)について、色彩色差計「CR−300」(ミノルタ株式会社製)を用いて黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を測定し、これらより隠蔽率を算出した。その結果、被覆材(I−A)〜(I−L)の隠蔽率はいずれも5%以下、被覆材(II−A)の隠蔽率34%であった。
(実施例1〜13、比較例1)
無機質材料(押出し成形セメント板)に対し、第1工程として被覆材(I)を所要量100g/mで全面に刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥させ、側面養生した後さらに14日間乾燥させて試験体を作製し、以下の評価を行った。各試験体の形成被膜は、基材の質感を活かした仕上がりであった。なお、使用した被覆材(I)、無機質材料の吸水率、並びに結果は表1に示す。
・吸水防止性試験
試験体を垂直に固定し、その試験体に対しホースを用いて60分間連続的に散水を行い、その際の色変化を観察した。評価基準は、試験前後で色変化が認められなかったものを「◎」、色変化がほとんど認められなかったものを「○」、色変化が認められたものを「△」、著しい色変化が認められたものを「×」とした。
吸水防止性試験後の試験体について、JIS K 5600−5−6に準じ、クロスカット法にて密着性を評価した。評価基準は、欠損部面積が5%以内のものを「◎」、欠損部面積が5%超20%以内のものを「○」、欠損部面積が20%超35%以内のものを「△」、欠損部面積が35%超のものを「×」とした。
・耐久性試験
試験体について、水浸漬(20℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間を1サイクルとする温冷繰返しを合計10サイクル行った。その後、JIS K 5600−5−6に準じ、クロスカット法にて密着性を評価した。評価基準は、欠損部面積が5%以内のものを「◎」、欠損部面積が5%超20%以内のものを「○」、欠損部面積が20%超35%以内のものを「△」、欠損部面積が35%超のものを「×」とした。
Figure 2021126655
(実施例14)
実施例1と同様の方法で、第1工程として被覆材(I−A)を塗付後、第2工程として被覆材(II−A)を所要量100g/mで全面に刷毛塗りし、標準状態で24時間乾燥させ、側面養生した後さらに14日間乾燥させて試験体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、すべての試験において「◎」の評価が得られた。また、得られた試験体は、基材の質感を活かした仕上がりであり、基材の色ムラも抑制されていた。
(実施例15)
実施例14と同様の方法で、第1工程として被覆材(I−A)、第2工程として被覆材(II−A)を塗付後、第3工程として下記の被覆材(III)を全面に所要量3g/m(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生させて試験体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、すべての試験において「◎」の評価が得られた。また、得られた試験体は、基材の質感を活かした仕上がりであり、基材の色ムラの抑制、汚染防止性についても優れていた。
・被覆材(III)
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=1.5:1(固形分重量比)の水分散液。
(参考例1〜2)
無機質材料として、フレキシブル板(吸水率24%)を使用し、第1工程として被覆材(I−A)、被覆材(I−L)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験体を作成し、同様の評価を行った。その結果、参考例1では、すべての試験において「◎」、参考例2ではすべて試験において「○」の評価が得られた。また、得られた試験体は、基材の質感を活かした仕上がりであり、基材の色ムラも抑制されていた。
Figure 2021126655

Claims (8)

  1. 無機質材料に対し、透明被膜を形成する方法であって、
    上記無機質材料は、吸水率が20%以下であり、
    上記無機質材料の表面に対し、
    第1工程として、合成樹脂エマルションを含む被覆材(I)を塗付、乾燥し透明被膜を形成し
    上記被覆材(I)の合成樹脂エマルションは、当該合成樹脂を構成するモノマーとして、
    ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上、溶解度パラメータが9.5以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)を含み、
    上記合成樹脂エマルションは、ガラス転移温度が15〜60℃であり、かつ平均粒子径が120nm以下である
    ことを特徴とする被膜形成方法。
  2. 上記合成樹脂エマルションは、シリコン変性アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする請求項に記載の被膜形成方法。
  3. 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)の含有量は、上記合成樹脂エマルションの固形分中に、3〜70重量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被膜形成方法。
  4. 上記被覆材(I)の塗付、乾燥は、常温(0〜40℃)で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被膜形成方法。
  5. 第2工程として、透明被膜を形成する被覆材(II)を塗付することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被膜形成方法。
  6. 上記被覆材(I)と上記被覆材(II)の少なくとも一方が、着色透明被膜を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の被膜形成方法。
  7. 上記無機質材料は、コンクリート、モルタル、押出し成形セメント板、またはALCである(ただし、その表面に既に被膜が形成されたものを除く)ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の被膜形成方法。
  8. 上記無機質材料は、押出し成形セメント板であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の被膜形成方法。
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