JP2017014391A - 水性被覆材及び塗装物 - Google Patents

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辰介 原口
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Abstract

【課題】耐汚染性に優れた塗膜を得ることができる消泡性に優れた水性被覆材、及び耐汚染性に優れた塗膜を有する塗装物を提供する。【解決手段】ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及び/又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩等のエチレン性不飽和結合を有するイオン結合性塩(a)由来の構造単位を含む重合体(I)とコロイダルシリカ(II)を含む水性被覆材。また、この水性被覆材を塗装して得られた塗膜を有する塗装物。【選択図】なし

Description

本願発明は水性被覆材及び塗装物に関する。
近年、塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から、有機溶剤系塗料から水系塗料への変換が図られている。また、建材用途など屋外で使用される塗料について塗膜の耐汚染性が求められており、耐汚染性に優れた塗膜が得られる水系塗料の開発が行われている。
例えば、特許文献1及び2には、アクリル系重合体、コロイダルシリカ、アニオン系及びノニオン系界面活性剤を含む水性被覆材が開示されている。一方、特許文献3には、塗料など様々な用途に使用できる熱可塑性樹脂組成物として、反応性基を有するイオン性結合性塩を含む熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
国際公開第2005/075583号公報 国際公開第2010/143413号公報 国際公開第2013/129492号公報
特許文献1及び2に記載されている水性被覆材は、配合するコロイダルシリカの量が少量であっても、得られる塗膜の表面に露出するコロイダルシリカの量が多く、得られる塗膜の耐汚染性に優れている。しかしながら、塗膜の耐汚染性についてさらなる向上が求められていた。
また、特許文献3に記載されている熱可塑性樹脂組成物は、得られる塗膜の耐水性や耐候性に優れるが、耐汚染性に劣るものであった。
本発明の目的は、特許文献1及び2の問題点を解決し、耐汚染性に優れた塗膜を得ることができる水性被覆材、並びに耐汚染性に優れた塗膜を有する塗装物を提供することである。
本発明の要旨は、エチレン性不飽和結合を有するイオン結合性塩(a)由来の構造単位を含む重合体(I)とコロイダルシリカ(II)を含む及び水性被覆材にある。
前記イオン結合性塩(a)は、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及び/又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩が好ましく、下記化学式(1)で表されるイオン結合性塩(a)であることが好ましい。

前記化学式(1)中の、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Aは炭素数2〜4の直鎖状又は分枝状のアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基(OA)の平均付加モル数で2〜50であり、Qは、エチレン性不飽和結合を有するアンモニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するイミダゾリウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピロリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピロリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピペリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピラジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピリミジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するトリアゾリウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するトリアジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するキノリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するイソキノリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するインドリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するキノキサリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピペラジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するオキサゾリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するチアゾリニウムイオン、及びエチレン性不飽和結合を有するモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の水性被覆材は、さらにノニオン系界面活性剤(III)を含むことが好ましい。
本発明の水性被覆材において、前記コロイダルシリカ(II)の固形分量は、重合体(I)100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましくい。
本発明の水性被覆材において、前記重合体(I)は、前記イオン結合性塩(a)由来の構造単位を0.1〜10質量%含むことが好ましい。
本発明の水性被覆材において、前記ノニオン系界面活性剤(III)の量は、前記重合体(I)100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
本発明の水性被覆材は、さらにアニオン系界面活性剤(IV)を含むことが好ましい。また、本発明の水性被覆材において、前記重合体(I)に含まれる前記イオン結合性塩(a)由来の構造単位と前記アニオン系界面活性剤(IV)との総量は、前記重合体(I)100質量部に対して0.1〜2.4質量部であることが好ましい。
本発明の水性被覆材において、前記重合体(I)は、ポリオルガノシロキサン重合体の水性分散液中で単量体を重合して得られたものであることが好ましい。
本発明の塗装物は、本発明の水性被覆材を塗装して得られた塗膜を有する塗装物。
本発明の水性被覆材から得られる塗膜は、優れた耐汚染性を有する。
本発明の水性被覆材は、重合体(I)を含むものである。
[重合体(I)]
イオン結合性塩(a)
重合体(I)は、エチレン性不飽和結合を有するイオン結合性塩(a)(以下「単量体(a)」という。)由来の構造単位を含む重合体であり、単量体(a)は、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及び/又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩であることが好ましい。さらに、単量体(a)は前記化学式(1)で表される単量体であることが好ましい。重合体(I)に化学式(1)で表される単量体由来の構造単位を含むことにより、得られる水性被覆材の消泡性が向上し、塗膜の耐汚染性が向上する。
前記化学式(1)中のRの例としては、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、フェニル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ドデシルフェニル基、クミルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられ、メチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ドデシルフェニル基、クミルフェニル基がより好ましい。
前記化学式(1)中のAの例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられ、エチレン基がより好ましい。
前記化学式(1)中のnは2〜50であり、界面特性の観点から5〜50が好ましい。
前記化学式(1)中のQで表されるカチオンの例としては、ジメチルモノアクリル酸エチルアンモニウムイオン、ジメチルモノメタクリル酸エチルアンモニウムイオン、ジエチルモノアクリル酸エチルアンモニウムイオン、ジエチルモノメタクリル酸エチルアンモニウムイオン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−メタクリレートピペリジニウムイオンなどが挙げられ、ジメチルモノメタクリル酸エチルアンモニウムイオンがより好ましい。
単量体(a)の具体例としては、例えば、前記化学式(1)で表されるアミノイオンRE1000(商品名、日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルのメタクリル酸2−ジメチルアミノエチル塩、固形分30質量%)が挙げられる。
前記重合体(I)の製造に使用する単量体(a)の量は、単量体(a)並びに後述する単量体(b)、単量体(c)及び単量体(d)(以下まとめて「単量体」という。)の総量に対して、本発明の水性被覆材から得られる塗膜(以下、単に「塗膜」ともいう。)の耐汚染性の点から、0.1質量%以上が好ましく、消泡性及び耐水性の点から20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量部以下であり、最も好ましくは2.4質量部以下である。
重合体(I)に単量体(a)を含むと耐汚染性が向上する理由は重合体(I)の安定性が向上し、より多くのコロイダルシリカが表面に偏在化するためと推定している。
ラジカル重合性基を2つ以上有する単量体(b)
塗膜の耐汚染性及び耐水性の観点から、前記重合体(I)にはラジカル重合性基を2つ以上有する単量体(b)(「単量体(b)」という。)由来の構造単位を含むことが好ましい。前記重合体(I)の製造に使用する前記単量体(b)の量は、単量体の総量に対して、塗膜の耐汚染性、耐水性の点から0.1質量%以上が好ましく、耐水性の点から10質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
単量体(b)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルにヒドロキシ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジオールと(メタ)アクリル酸のジエステル化合物;ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等の金属含有ラジカル重合性単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1分子当たり3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸のポリエステル化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のアリル基を2つ以上有する単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
中でも、アリル基を2つ以上有する単量体を含むことで、塗膜の耐汚染性、耐水性がさらに向上する。特に、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が好ましく、アリル基を3つ有するトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが最も好ましい。
加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体(c)
塗膜の耐汚染性及び耐水性の観点から、前記重合体(I)には加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体(c)(「単量体(c)」という。)由来の構造単位を含むことが好ましい。前記重合体(I)の製造に使用する単量体(c)の量は、単量体の総量に対して、塗膜の耐汚染性、耐水性の点から0.1質量%以上が好ましく、耐水性の点から10質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
単量体(c)としては、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類;γ−アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等のアクリロイルオキシアルキルシラン類;γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシエチルトリクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等のメタクリロイルオキシアルキルシラン類などが挙げられる。
中でも、アクリロイルオキシアルキルシラン類、メタクリロイルオキシアルキルシラン類が好ましく、更にはアクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン類、メタクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン類が最も好ましい。
その他単量体(d)
前記重合体(I)は、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)以外の単量体(「その他単量体(d)」という。)由来の構成単位を含んでいてもよい。前記重合体(I)中の単量体(d)由来の構造単位の含有量は、塗膜の耐候性や柔軟性の観点から70質量%以上が好ましく、塗膜の耐汚染性の点から99.8質量%以下が好ましく、より好ましくは97.5質量%以下である。
単量体(d)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体;ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体;メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル;グリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有ラジカル重合性単量体;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等の光安定化作用を有する(メタ)アクリレート;2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレート;2−アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ラジカル重合性単量体;(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケトン等のカルボニル基及び/又はアルデヒド基含有エチレン性不飽和単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等のラジカル重合性単量体が挙げられる。
重合体(I)の製造方法
前記重合体(I)の製造方法としては、乳化重合法又は溶液重合後に水に分散させる方法などが好ましい。乳化重合法により重合体(I)を得る為には、例えば、界面活性剤の存在下、ラジカル重合性単量体混合物を重合系内に供給し、ラジカル重合開始剤により重合を行わせる方法等の公知の方法を使用することができる。
乳化重合法で重合した場合、得られた重合体(I)の分散液は、重合後、塩基性化合物の添加により系のpHを好ましくはpH8.5〜11.0、より好ましくはpH9.0〜10.0に調整する。
添加する塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。好ましくは、アンモニアである。
重合開始剤
前記重合体(I)の製造に用いる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合に用いられるものが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、単量体の総量100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、重合の進行や反応の制御を考慮に入れると、0.02〜5質量部であることがより好ましい。
また、重合体(I)の分子量を調整するために分子量調整剤を使用してもよい。分子量調整剤の例としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤が挙げられる。分子量調整剤の使用量は、単量体の総量100質量部に対して1質量部以下が好ましい。
ポリオルガノシロキサン重合体
また、前記重合体(I)の製造において、単量体の重合は、ポリオルガノシロキサン重合体の水性分散液中で行うこともできる。
ポリオルガノシロキサン重合体は、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジメチルジアルコキシシラン類や、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ジメチルサイクリックス(ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物)等のジメチルシロキサン環状オリゴマー類や、ジメチルジクロロシラン等を原料として合成することができる。得られる重合体(I)の熱安定性等の性能やコストに優れる点から、ジメチルシロキサン環状オリゴマーを用いることが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン重合体の質量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましい。前記ポリオルガノシロキサン重合体の質量平均分子量が10,000以上であれば、塗膜に充分な耐候性が発現しやすい。
前記ポリオルガノシロキサン重合体は重合体(I)の原料である重合性単量体の総量100質量部に対して、0.3〜50質量部用いることが耐汚染性と耐水性の点から好ましい。より好ましくは0.5〜5質量部である。
前記重合体(I)の平均粒子径は80nm以上であると、本発明の水性被覆材の貯蔵安定性や塗膜の耐汚染性が向上しやすい。前記重合体(I)の平均粒子径が170nm以下であると、塗膜の耐水性が向上しやすい。なお、重合体(I)の平均粒子径は、動的光散乱法により検出された微粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて平均粒子径を算出するキュムラント解析法により求める。この測定は濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)を用い、付属のソフトウェアにより解析処理することで算出する。
本発明の水性被覆材中の重合体(I)の含有量は、20〜60質量%が好ましい。前記重合体(I)の含有量は多いほど塗装作業性がより向上する。また、前記重合体(I)の含有量は少ないほど貯蔵安定性がより向上する。前記重合体(I)の含有量は、より好ましくは30〜50質量部であり、更に好ましくは35〜45質量部である。
本発明の水性被覆材は、前記コロイダルシリカ(II)を含むものである。
[コロイダルシリカ(II)]
前記コロイダルシリカ(II)は、塗膜に親水性を付与し、それにより耐汚染性を向上させる成分である。
前記コロイダルシリカ(II)としては、例えば、酸性を示す水性コロイダルシリカ、アルカリ性を示す水性コロイダルシリカ、カチオン性コロイダルシリカ等が挙げられる。
酸性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製の商品名:スノーテックスO(SiO固形分20質量%)が挙げられる。
アルカリ性を示す水性コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製の商品名:スノーテックスXS(SiO固形分20質量%)、同スノーテックスNXS(SiO固形分20質量%)、同スノーテックスN(SiO固形分20質量%)、同スノーテックスS(SiO固形分30質量%)、同スノーテックスNS(SiO固形分20質量%、粒子径8〜11nm)等が挙げられる。
カチオン性コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製の商品名:スノーテックスAK(SiO固形分19質量%)が挙げられる。これらのコロイダルシリカは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記コロイダルシリカ(II)は、水を分散媒にしたものであっても有機溶剤を分散媒としたものであってもよい。
本発明の水性被覆材中のコロイダルシリカ(II)の含有量は、重合体(I)100質量部に対して、固形分換算で0.1〜20質量部が好ましい。前記コロイダルシリカ(II)の含有量が0.1質量部以上であれば、塗膜の耐汚染性が向上する。また、前記コロイダルシリカ(II)の含有量が20質量部以下であれば、塗膜の耐水性を低下させることなく、塗膜の耐汚染性を向上させることができる。前記コロイダルシリカ(II)の含有量は、より好ましくは0.5〜8質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
また、前記コロイダルシリカ(II)の平均粒子径は、1〜60nmであることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が60nm以下であれば、本発明により得られた水性被覆材の乾燥工程においてコロイダルシリカ(II)が塗膜表層に偏在化し耐汚染性が向上しやすくなる。
本発明の水性被覆材は、前記重合体(I)とコロイダルシリカ(II)以外に、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤
本発明の水性被覆材には、重合体(I)100質量部に対して界面活性剤を0.1〜10重量部含むことが好ましい。界面活性剤の含有量は多いほど重合体(I)の重合安定性及び水性被覆材の安定性が向上する。また、界面活性剤の含有量は少ないほど耐水性などの塗膜性能を損なうことなく優れた安定性を維持することができる。より好ましい含有量は2〜5重量部である。
使用可能な界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤(III)、アニオン系界面活性剤(IV)、並びに高分子乳化剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤(III)
ノニオン系界面活性剤(III)の含有量は、重合体(I)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましく、0.3〜2質量部が最も好ましい。ノニオン系界面活性剤の前記含有量は多いほど得られる塗膜の耐汚染性が向上する。また、ノニオン系界面活性剤の含有量は少ないほど水性被覆材としての安定性や耐水性を損なうことなく、塗膜の耐汚染性が向上する。
ノニオン系界面活性剤(III)としては、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が16以上のノニオン系界面活性剤が含まれることがより好ましい。HLBとは、親水親油バランスのことであり、下記式(2)から求められるグリフィン法(全訂版 新・界面活性剤入門、p128)により算出した値である。
ノニオン系界面活性剤のHLB=(親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)×20 (2)
ノニオン系界面活性剤(III)のHLBは、より好ましくは17以上であり、18以上であると得られる塗膜表面の親水性がさらに高くなるため、さらに好ましい。
HLBが16以上のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン誘導体、ポリオキシアルキレンアリールエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルのホルマリン縮合物が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。
ノニオン系界面活性剤におけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル部は、例えば、炭素原子数1〜36の直鎖型もしくは分岐型アルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのポリオキシアルキレン部は、特に優れた親水性と制電性を有する塗膜が得られる点から、ポリオキシエチレンであることが好ましい。また、ポリオキシエチレンの平均繰り返し単位数は、特に優れた耐汚染性を有する塗膜が得られる点から、30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのノニオン系界面活性剤のうち、特に好ましいのは下記式(3)で表される界面活性剤である。
O−(C0)−H (3)
(ここで、mは2以上の正の整数であり、Rは炭素原子数1〜36の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。)
式(3)で表されるノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、花王(株)製の商品名:エマルゲン1150S−60(R:主に炭素原子数11のアルキル基、m=50、HLB=18.5)、同エマルゲン1135S−70(R:主に炭素原子数11のアルキル基、m=35、HLB=17.9)、等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤(IV)
アニオン系界面活性剤(IV)としては、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルの燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの燐酸エステル塩などの界面活性剤が挙げられる。これらのアニオン系界面活性剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前述の硫酸エステル塩にはホルマリン縮合物も含む。
好ましいアニオン系界面活性剤(IV)の具体例としては、例えば、日本乳化剤(株)製の商品名:ニューコール707SF(ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩)、花王(株)製の商品名:ラテムルE−1000A(ポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩)等が挙げられる。
重合体(I)に含まれる前記イオン結合性塩(a)由来の構造単位と前記アニオン系界面活性剤(IV)との総量は、重合体(I)100質量部に対して0.1〜2.4質量部であることが好ましい。言い換えると、アニオン系界面活性剤(IV)の含有量は、重合体(I)に含まれるイオン結合性塩(a)由来の構造単位とアニオン系界面活性剤(IV)の総量が、重合体(I)100質量部に対して0.1質量部以上となる量が好ましく、2.4質量部以下となる量が好ましい。アニオン系界面活性剤(IV)の含有量は、多いほど塗膜の耐汚染性が向上し、少ないほど消泡性及び耐水性が向上する傾向がある。
本発明の水性被覆材は、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤等の公知の各種添加剤を含んでいてもよい。またポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂等の他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類、イソシアネート類等の硬化剤を含んでいてもよい。
なお、造膜助剤としては、水系塗料に通常用いられているものが使用でき、例えば、炭素原子数5〜10の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族アルコール類;芳香族基を含有するアルコール類;一般式HO−(CHCHXO)−R(ここにおいて、Rは炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、Xは水素原子又はメチル基であり、pは1〜5の整数である。)で表される(ポリ)エチレングリコール又は(ポリ)プロピレングリコール等のモノエーテル類;一般式RCOO−(CHCHXO)−R(ここにおいて、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、Xは水素原子又はメチル基であり、qは1〜5の整数である。)で表される(ポリ)エチレングリコールエーテルエステル又は(ポリ)プロピレングリコールエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのモノ又はジイソブチレート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート等が挙げられる。
本発明の水性被覆材は、前記重合体(I)及びコロイダルシリカ(II)と、前記の界面活性剤及び添加剤等の任意成分を混合することによって得られる。
本発明の水性被覆材は種々の基材の塗装に用いることができる。基材としては、例えば、コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、ゴム、プラスチック、FRP(Fiber Reinforced Plastics)基材等が挙げられる。
水性被覆材を基材に塗布する方法としては、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の公知の方法が挙げられる。
本発明の塗装物は、基材に本発明の水性被覆材を塗装して得られた塗膜を有する塗装物である。塗装に際し、基材に塗布された水性被覆材を乾燥して塗膜を形成させる。乾燥温度は、0〜200℃が好ましく、10〜140℃がより好ましく、40〜110℃がさらに好ましい。
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。なお、本実施例欄における「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
水性被覆材の評価は以下に示す方法で行った。
[評価用塗板の作製]
各水性被覆材に造膜助剤としてブチルセロソルブ(12部)を添加して試験用塗料とした。黒色アクリル板(三菱レイヨン(株)製)に、前記試験用塗料をバーコーター#48にて塗布し、100℃で5分間乾燥した。流水で洗浄した後、室温で1日間乾燥したものを、水接触角、耐水性の評価用塗板とした。
[水接触角(耐汚染性)の評価方法]
自動接触角計DM500(協和界面科学(株)製)を用い、23℃雰囲気下において評価用塗板に1μLの蒸留水を滴下し、30秒経過後の水接触角を測定した。評価は以下の基準で行った。水接触角が低いほど、得られる塗膜の表面は親水性が高く、雨水による自浄作用によって耐汚染性が向上する。
「a」:30°以下
「b」:30°より大きく50°以下
「c」:50°より大きい
重合体(I)の製造
[製造例1] ポリオルガノシロキサン重合体水分散液の調製
下記原料組成物をホモミキサーで予備混合し、圧力式ホモジナイザーを用いて200kg/cmの圧力で強制乳化して、原料となるプレエマルションを得た。
次いで、水(90部)及びドデシルベンゼンスルホン酸(10部)を、攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら、前記原料プレエマルションを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させ、冷却して、下記水酸化ナトリウム水溶液を加えてポリオルガノシロキサン共重合体水分散液(SiEm)を調製した。得られた分散液の固形分は18%、ポリオルガノシロキサン共重合体の質量平均分子量は120,000であった。
原料組成物:
環状ジメチルシロキサンオリゴマーの3〜7量体混合物 98部
γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン 2部
脱イオン水 310部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.7部
水酸化ナトリウム水溶液:
水酸化ナトリウム 1.5部
脱イオン水 30部
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、温度計、及び滴下ポンプを備えたフラスコに下記初期原料混合物を仕込み、フラスコの内温を40℃に昇温した後に下記還元剤水溶液及び第1開始剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
初期原料混合物:
SiEm(固形分:18%) 5部
脱イオン水 82部
第1単量体混合物:
イオン結合性塩(a)
アミノイオンRE1000(商品名、日本乳化剤(株)製、固形分30%) 3部
単量体(b)
トリアリルシアヌレート 1部
単量体(d)
メチルメタクリレート 8.8部
2−エチルヘキシルアクリレート 24.3部
還元剤水溶液:
硫酸鉄(II)七水和物 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸 0.00027部
イソアスコルビン酸ナトリウム一水和物 0.13部
脱イオン水 6部
第1開始剤水溶液:
パーブチルH69(商品名、日本油脂(株)製) 0.02部
脱イオン水 1部
次いで、還元剤水溶液を添加してから0.5時間後に、下記第2単量体混合物と第2開始剤水溶液をそれぞれ別の場所から滴下を同時に開始し、第2単量体混合物は2.75時間かけて全量を滴下し、第2開始剤水溶液は3時間かけて全量を滴下した。これらの滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、第2開始剤水溶液の滴下終了後は75℃で1時間保持した。
第2単量体混合物:
イオン結合性塩(a)
アミノイオンRE1000(商品名、日本乳化剤(株)製、固形分30%) 4.3部
単量体(d)
メチルメタクリレート 47.3部
2−エチルヘキシルアクリレート 14.8部
アクリル酸 1.6部
脱イオン水 24.4部
第2開始剤水溶液:
パーブチルH69 0.03部
脱イオン水 5部
その後、40℃まで冷却し、28%アンモニア水(1.45部)を添加後、下記原料を順次添加して重合体の水分散液を得た。固形分は40.6%であった。
界面活性剤水溶液:
エマルゲン1150S−60(商品名、花王(株)製、固形分60%) 1.66部
脱イオン水 1.66部
コロイダルシリカ(II)水分散液:
スノーテックスNS(商品名、日産化学工業(株)製、固形分20%) 20部
[実施例2〜12、比較例1〜2]
第1単量体混合物、第2単量体混合物、界面活性剤水溶液、コロイダルシリカ水分散液を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして水性被覆材を得た。
表1中の略号は、以下の化合物又は市販品を示す。また、表1の単位は水接触角を除いて全て質量部である。
TAC:トリアリルシアヌレート
AMA:アリルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
2−EHA:2―エチルヘキシルアクリレート
SZ−6030:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
AA:アクリル酸
アミノイオンRE1000:商品名、日本乳化剤(株)製
エマルゲン1150S−60:商品名、花王(株)製
ニューコール707SF:商品名、日本乳化剤(株)製
アデカリアソープSR−1025:商品名、(株)ADEKA製
スノーテックスNS:商品名、日産化学工業(株)製
表1に示すように、イオン結合性塩(a)由来の構造単位を含まない重合体を用いた比較例1及び2の水性被覆材を塗装して得られた塗膜は親水性が低いため耐汚染性が不十分であるが、イオン結合性塩(a)由来の構造単位を含まない重合体(I)を含む各実施例の水性被覆材を塗装して得られた塗膜は親水性が高いため耐汚染性に優れていることが判った。

Claims (11)

  1. エチレン性不飽和結合を有するイオン結合性塩(a)由来の構造単位を含む重合体(I)とコロイダルシリカ(II)を含む水性被覆材。
  2. 前記イオン結合性塩(a)がポリオキシアルキレンアリールエーテルの硫酸エステル塩及び/又はポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩である請求項1記載の水性被覆材。
  3. 前記イオン結合性塩(a)が下記化学式(1)で表される請求項2記載の水性被覆材。

    前記化学式(1)中の、Rは、置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、又は置換されているかもしくは非置換の炭素数7〜31のアリールアルキル基であり、Aは炭素数2〜4の直鎖状又は分枝状のアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基(OA)の平均繰り返し単位数で2〜50であり、Qは、エチレン性不飽和結合を有するアンモニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するイミダゾリウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピロリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピロリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピペリジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピラジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピリミジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するトリアゾリウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するトリアジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するキノリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するイソキノリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するインドリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するキノキサリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するピペラジニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するオキサゾリニウムイオン、エチレン性不飽和結合を有するチアゾリニウムイオン、及びエチレン性不飽和結合を有するモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種である。
  4. さらにノニオン系界面活性剤(III)を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の水性被覆材。
  5. 前記コロイダルシリカ(II)の固形分量が、重合体(I)100質量部に対して0.1〜20質量部である請求項1から4のいずれか1項に記載の水性被覆材。
  6. 前記重合体(I)が、前記イオン結合性塩(a)由来の構造単位を0.1〜10質量%含む請求項1から5のいずれか1項に記載の水性被覆材。
  7. 前記ノニオン系界面活性剤(III)を、前記重合体(I)100質量部に対して0.01〜10質量部含む請求項1から6のいずれか1項に記載の水性被覆材。
  8. さらにアニオン系界面活性剤(IV)を含む請求項6に記載の水性被覆材。
  9. 前記重合体(I)に含まれる前記イオン結合性塩(a)由来の構造単位と前記アニオン系界面活性剤(IV)との総量が前記重合体(I)100質量部に対して0.1〜2.4質量部である請求項8に記載の水性被覆材。
  10. 前記重合体(I)が、ポリオルガノシロキサン重合体の水性分散液中で単量体を重合して得られたものである請求項1から9のいずれか1項に記載の水性被覆材。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の水性被覆材を塗装して得られた塗膜を有する塗装物。
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