JP2014068713A - 留置針の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属針の針先に穿刺された際の痛みが低減される留置針の製造方法を提供する。
【解決手段】当該方法は、金属針10に対して金属針10の軸方向に相対移動する弾性変形可能な封止部材28を、金属針10の針先20の表面を覆う図7(A)の第1位置に配置する配置工程と、封止部材28が第1位置に配置された状態で金属針10の表面に対してエッチング処理を実行して、封止部材28に覆われていない金属針10の表面を粗面とするエッチング工程と、エッチング処理が実行された金属針10に対して、封止部材28を、第1位置から図7(D)の第2位置に移動させる移動工程と、中空の樹脂針14の基端部に設けられ、封止部材28によって封止可能な大きさの内部空間54を有する樹脂針ハブ16に、エッチング処理が実行された金属針10を、封止部材28が樹脂針ハブ16の内部空間54を封止する位置まで挿通する挿通工程と、を含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、輸液や採血の際に血管に穿刺されて留置される留置針の製造方法に関する。
患者に対して輸液や採血などの処置を行う際、留置針が用いられる。留置針は、中空の外針が先端から延びている中空の外針ハブと、外針内に挿通されており鋭利な針先を有する内針が先端から延びている内針ハブと、を有している。このような留置針の一例が、特許文献1に開示されている。
留置針は、以下のように使用される。まず、内針と外針とが、共に、患者の血管に穿刺される。次に、内針が、血管から引き抜かれると共に外針からも引き抜かれる。これにより、外針のみが血管に留置される。中空の外針が血管に留置されることによって、患者の血管から外針を介して血液を採取したり、患者の血管に外針を介して液体を注入したりすることが可能となる。
特開平11−332991号公報
ところで、外針ハブの基端側は開放されている。すると、上述したように外針が血管に留置された場合、血管から外針を介して流れてきた血液が外針ハブの開放された部分から漏れてしまうおそれがある。そこで、中空の外針ハブの開放された部分をゴムなどの弾性部材で液密に閉塞することが考えられる。通常、このような弾性部材は、内針ハブの内針によって貫通されている。これにより、内針を外針内に挿通させると、内針に貫通された弾性部材が、外針ハブの内部空間に装着されて当該内部空間を液密に閉塞する。
また、通常、内針は金属製である。また、内針には、種々の樹脂部材が取り付けられる。例えば、内針の基端部には、樹脂部材として樹脂製の持ち手が接合されることがある。また、内針には、樹脂部材として、内針に対して内針の軸方向に相対移動することによって内針の針先を覆うことができる樹脂製のプロテクタが接合されることもある。
本願発明者は、金属製の内針と樹脂部材とを接合する方法として、大成プラス株式会社によって提唱されたナノ・モールディング・テクノロジー(NMT)を採用するという従前にない新規な方法を考え出し、検討を試みている。NMTでは、内針をエッチング処理することによって、その表面を粗面とする。その後、粗面に対して接合性の樹脂部材、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)やポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)を当該粗面を覆うように成形する。具体的には、内針の周囲を金型で覆い、当該金型に軟化する温度に加熱した樹脂部材を流し込む。すると、流し込んだ樹脂部材が、粗面の凹部に入り込む。樹脂部材の温度が下がって樹脂部材が固まると、金属針と樹脂部材とが接合される。
しかしながら、内針の鋭利な針先の表面がエッチング処理されて粗面となった場合、当該針先が穿刺された患者が感じる痛みが大きくなってしまう。また、内針を覆うように樹脂部材を成形する過程において、内針が金型に当たることなどによって、内針の針先が曲がってしまうおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、NMTを採用し、金属製の針と樹脂部材とを接合させた留置針を製造するにあたり、簡易に、金属針の針先を曲げることなく、且つ金属針の鋭利な針先に穿刺された場合の痛みが低減可能である留置針の製造方法を提供することにある。
(1) 本発明の留置針の製造方法は、金属針の表面の一部に接触して覆っており上記金属針に対して上記金属針の軸方向に移動する弾性変形可能な封止部材を、上記金属針の針先の表面を覆う第1位置に配置する配置工程と、上記封止部材が上記第1位置に配置された状態において、上記金属針の表面に対してエッチング処理を実行することによって、上記封止部材に覆われていない上記金属針の表面を粗面とするエッチング工程と、エッチング処理が実行された上記金属針に対して、上記封止部材を、上記第1位置から上記第1位置よりも上記金属針の基端側の第2位置に移動させる移動工程と、中空の樹脂針の基端部に設けられており、上記封止部材によって封止されることが可能な大きさの内部空間を有するハブに、エッチング処理が実行された上記金属針を、上記封止部材が上記ハブの内部空間を封止する位置まで挿通する挿通工程と、を含む。
本構成によれば、エッチング工程において、封止部材が第1位置に位置している。つまり、エッチング工程において、封止部材が金属針の針先の表面を覆っている。これにより、金属針の針先が金型に当たることなどによって曲がってしまうことが防止可能である。
また、封止部材が第1位置に位置している状態において、金属針がエッチング処理されると、封止部材に覆われた針先はエッチング液に浸されず、封止部材に覆われていない針先以外はエッチング液に浸される。その結果、金属針の針先の表面は滑面に維持され、金属針の針先以外の表面は、エッチング処理によって滑面から粗面へと変化する。これにより、金属針の針先が患者に穿刺された場合に、患者が感じる痛みを小さくすることができる。
また、封止部材は、エッチング工程において第1位置に位置しているが、その後、第2位置に移動される。そして、第2位置の封止部材は、ハブの内部空間を封止する。つまり、本構成によれば、ハブの内部空間を封止するための封止部材を、エッチング工程における金属針の表面をマスクするための部材として流用することができる。
(2) 本発明の留置針の製造方法は、上記粗面に対して非接合性の樹脂で構成されており、上記金属針の針先を内包可能な内部空間を有し、且つ上記ハブの内部空間に収容可能な大きさのプロテクタを、上記エッチング工程が実行され且つ上記挿通工程が実行されていない上記金属針の表面の一部を覆うように成形するプロテクタ成形工程と、上記粗面に対して接合性の樹脂で構成されており、上記樹脂針及び上記ハブの内部空間に進入可能な大きさであり、且つ上記プロテクタを係止する係止部を、上記エッチング工程が実行され且つ上記挿通工程が実行されていない上記金属針の針先及び上記プロテクタの間における上記金属針の表面の一部を覆うように成形する係止部成形工程と、を更に含む。
本構成によれば、エッチング工程でエッチング処理された金属針の針先以外の表面が粗面である。ここで、プロテクタは、粗面に対して非接合性の樹脂で構成されている。よって、プロテクタは、プロテクタ成形工程において、粗面を接触した状態で粗面を覆っているが、粗面と接合はしない。一方、係止部は、粗面に対して接合性の樹脂で構成されている。よって、係止部は、係止部成形工程において、粗面と接合する。以上のように、本構成によれば、金属針に部材を接合することができ、且つ、金属針に部材を非接合状態で接触させることができる。
本発明によれば、エッチング工程において、封止部材が金属針の針先の表面を覆っている。また、エッチング工程においてエッチング処理された金属針は、その表面が滑面に維持され、その針先以外の表面が滑面から粗面へと変化する。以上により、本発明によれば、金属針の針先を曲げることなく、且つ金属針の鋭利な針先に穿刺された場合の痛みが低減される留置針を製造することができる。
図1は、留置針1の側面図である。 図2は、留置針1の縦断面図である。 図3は、金属針10が樹脂針14から抜かれた状態の留置針の側面図である。 図4は、金属針10が樹脂針14から抜かれた状態の留置針1の縦断面図である。 図5は、金属針10と金属針ハブ12と係止部22とプロテクタ18と被覆部材60とを模式的に示す外観斜視図である。 図6は、金属針10と係止部22とプロテクタ18と被腹部材60との側面図であり、(A)には一対の側板82、83が第1姿勢の状態が示されており、(B)には係止部22が基端板81の開口64と当接した状態が示されており、(C)には一対の側板82、83が第2姿勢の状態が示されている。 図7は、金属針10と封止部材28とを模式的に示した図であり、(A)には配置工程における側面図が示されており、(B)には配置工程における断面図が示されており、(C)にはプロテクタ成形工程及び係止部成形工程後における側面図が示されており、(D)には移動工程後における側面図が示されている。 図8は、金属針10の表面を5万倍に拡大した図である。
[留置針1の全体構成]
図1に示されるように、本実施形態の留置針1は、金属針10と、金属針10の基端部を固定する金属針ハブ12と、金属針10に外挿される樹脂針14と、樹脂針14の基端部を固定する樹脂針ハブ16(本発明のハブの一例)と、樹脂針ハブ16の内部空間54(図4参照)に収容されるプロテクタ18(図2、図4、及び図5参照)と、封止部材28(図2及び図4参照)とを備えている。
なお、本明細書では、留置針1が使用されて患者への針の穿刺が実行される際に、施術者から遠い側であって患者に近い側が先端側と称される。また、先端側に位置する留置針1、プロテクタ18、或いは留置針1やプロテクタ18を構成する各部材の端部が先端部と称される。また、施術者に近い側であって患者から遠い側が基端側と称される。また、当該基端側の端部が基端部と称される。また、本明細書において軸方向とは、留置針1に搭載された状態における金属針10及び樹脂針14の軸方向であり、例えば図1における左右方向である。
[金属針10]
図5に示されるように、金属針10は、所定長さを有し、先端が鋭利な針先20とされている。本実施形態において、金属針10は、ステンレスで構成されている。なお、金属針10は、後述するエッチング処理によって複数の凹みが形成可能な材質であるならば、ステンレス以外の金属、例えばアルミニウム合金、チタン、チタン合金などで構成されていてもよい。
本実施形態において、金属針10は中空である。また、金属針10には、開口11が形成されている。これにより、後述するように、金属針10が樹脂針14に挿通された状態において、金属針10が患者の血管に穿刺されると、患者の血液が金属針10の先端から内部に進入し開口11を介して金属針10と樹脂針14との間に流れ込む。ここで、後述するように、樹脂針14が透明性を有している場合、金属針10と樹脂針14との間に流れ込んだ血液を外部から視認することが可能である。
[金属針ハブ12]
図3及び図5に示されるように、金属針ハブ12は、概ね円柱形状の本体部12Aと本体部12Aに一体に取り付けられた持ち手部12Bとで構成されている。金属針ハブ12は、合成樹脂製である。本実施形態において、金属製ハブ12は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)やポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)で構成されているが、金属針10に形成された後述する凹みに流れ込み、金属と直接接合可能な流動性の高い樹脂であればよい。金属針ハブ12の先端部32には、軸方向に延びる孔33が形成されている。孔33には、金属針10の基端部が挿通された状態で接合されている。
本実施形態において、金属針ハブ12は、以下に説明する手順によって金属針10と接合されるように成形される。つまり、少なくとも金属針10の基端部の周囲を覆った金属針ハブ12の形状の金型に、加熱により軟化されたPPSまたはPBTが流し込まれる。ここで、金属針10は、後述するエッチング処理によって、その表面が粗面に形成されている。そして、PPSまたはPBTは、当該粗面に対して接合性の樹脂である。よって、金型に流し込まれたPPSまたはPBTは、金属針10と接合される。なお、金属針ハブ12は、接着剤によって金属針10に接着されてもよい。
金属針ハブ12の先端部32の基端側には、円環状の段差面34が形成されている。また、金属針ハブ12の先端部32の径は、後述する樹脂針ハブ16の内部空間54(図4参照)の内径とほぼ同径である。これにより、金属針ハブ12の先端部32は、樹脂針ハブ16の基端側に形成された開口である基端側開口部52(図4参照)から樹脂針ハブ16の内部空間54に挿入されて、図1及び図2に示されるように、樹脂針ハブ16に装着される。つまり、金属針ハブ12は、樹脂針ハブ16に対して着脱可能である。
[樹脂針14]
図3及び図4に示される樹脂針14の長さは、金属針10よりも短い。樹脂針14は、金属針10に外挿可能な細管からなっている。つまり、樹脂針14は中空であり、金属針10は樹脂針14に挿通される。
樹脂針14の材質は、何等限定されるものではない。しかし、樹脂針14の材質は、患者の血管に留置される際に、血管壁等を傷付けないようにするために、適度な可撓性を有するものであることが望ましい。例えば、樹脂針14の形成材料としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン、ポリプロピレン等の各種の軟質樹脂が用いられる。樹脂針14は、患者の血管に留置された後において、内部を流通する液体の流れが把握出来るように、透明性を有していることが好ましい。
[樹脂針ハブ16]
図3及び図4に示されるように、樹脂針ハブ16は、概ね円筒形状を呈している。樹脂針ハブ16には、内部空間54が形成されている。内部空間54は、基端側開口部52を通じて、樹脂針ハブ16の基端側で開口されている。樹脂針ハブ16の内部空間54には、図2に示されるように、後述するプロテクタ18及び被覆部材60並びに封止部材28が金属針10に貫通された状態で収容される。樹脂針ハブ16の材質は、樹脂針14と同様に、内部を流通する液体の流れが把握出来るように、透明性を有していることが好ましい。例えば、樹脂針ハブ16の形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が用いられる。
図3及び図4に示されるように、樹脂針ハブ16の先端部50には、軸方向に延びる貫通孔56が設けられている。貫通孔56には、樹脂針14の基端部が挿通されて固定されている。つまり、樹脂針ハブ16は、樹脂針14の基端部に設けられている。樹脂針ハブ16に固定された樹脂針14の基端部は、樹脂針ハブ16の先端側から内部空間54に突出している。つまり、樹脂針ハブ16の内部空間54は、樹脂針14の内部空間、つまり樹脂針14の内孔と連通されている。
以上により、樹脂針14に金属針10が挿通された状態(図1の状態)で金属針10の針先20が患者の血管に穿刺され、金属針10が樹脂針14から引き抜かれると(図3参照)、樹脂針14の先端部が血管に留置される。そして、血管を流れる血液は、血管に留置された樹脂針14の内孔を介して、内部空間54まで流通される。
また、図3及び図4に示されるように、樹脂針ハブ16の基端側と先端側の間の側面には、装着部66が形成されている。装着部66には、内部空間54と連通された開口67が設けられている。開口67には、液を血管に注入するための器具68が装着可能である。そして、当該液は、当該器具68から内部空間54及び樹脂針14の内孔を介して、血管まで流通される。なお、後述するように、内部空間54は、基端側開口部52よりも先端側において、封止部材28によって液密に閉塞されるため、上記血液や上記液が内部空間54の基端側開口部52を通って外部に漏れることはない。
なお、樹脂針ハブ16の先端部50への樹脂針14の固定方法には、例えば、接着剤を用いたり、カシメピン等を用いたりする従来と同様な方法が採用される。
[封止部材28]
本実施形態では、図7に示されるように、金属針10には、封止部材28が取り付けられている。封止部材28は、軸方向に沿って延びた概ね円柱状の部材であり、金属針10の表面の一部を覆っている。また、封止部材28には、先端側の底面の中央部から基端側の底面の中央部に亘って軸方向に沿ったスリットが形成されている。金属針10が、当該内孔と接触しつつ当該スリットに挿通される。
封止部材28は、金属針10に対して軸方向に相対移動可能である。後述する留置針1の製造工程において、最初、封止部材28は、金属針10の先端部に取り付けられている。その後、封止部材28は、先端部から基端側に移動される。そして、その後、金属針10が樹脂針14及び樹脂針ハブ16に挿通される挿通過程において、封止部材28は、樹脂針ハブ16の内部空間54を区画する内面に圧接または固着される(図2参照)。つまり、封止部材28は、当該圧接または固着が可能な大きさである。すなわち、封止部材28の軸方向に直交する面における径は、内部空間54の内径と同じまたは若干大きな径である。以上により、内部空間54が、封止部材28によって先端側内部空間54Aと基端側内部空間54Bとに分断される(図4参照)。つまり、樹脂針ハブ16の内部空間54の大きさは、封止部材28によって封止されることが可能な大きさである。
本実施形態において、封止部材28は、弾性変形可能な材質で構成されており、詳細には金属針10が封止部材28から抜かれた状態であっても樹脂針ハブ16の内部空間54の基端側を液密に閉塞する軟質の素材で構成されている。このような素材としては、例えば、金属針10が封止部材28から抜かれた状態で、弾性によって封止部材28に形成されたスリットを閉鎖可能であるシリコンゴムが挙げられる。以上より、封止部材28は、金属針10の挿通の有無にかかわらず、樹脂針ハブ16の先端側内部空間54A及び基端側内部空間54Bの間を液密に閉塞する。
樹脂針ハブ16に配置された封止部材28の軸方向における位置は、装着部66よりも基端側である。これにより、血管を流れる血液は、血管に留置された樹脂針14の内孔、先端側内部空間54A、及び装着部66の開口67を通って、開口67に装着された器具68内へ流通される。
[係止部22]
図4及び図5に示されるように、金属針10の針先20の近傍、つまり金属針10の針先20及び後述するプロテクタ18の間には、係止部22が成形されている。係止部22は、金属針10の表面を覆うように成形されている。詳細には、係止部22は、金属針10の針先20の近傍位置における周方向の一部或いは全周において金属針10の表面を覆うように設けられている。これにより、金属針10の見かけ上の径が、係止部22が形成されている位置において、他の位置よりも大径化される。
係止部22の材質は、合成樹脂である。詳細には、係止部22は、後述するエッチング処理が施された金属針10と接合される材質で構成されている。具体的には、本実施形態において、係止部22は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)或いはポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)で構成されている。
本実施形態において、係止部22は、金属針ハブ12と同様にして、金属針10と接合するように成形される。つまり、少なくとも金属針10の針先20の近傍の周囲を覆った金型に、加熱により軟化されたPPSまたはPBTが流し込まれる。ここで、金属針10は、後述するエッチング処理によって、その表面が粗面に形成されている。そして、PPSまたはPBTは、当該粗面に対して接合性の樹脂である。よって、金型に流し込まれたPPSまたはPBTは、金属針10と接合される。なお、係止部22と金属針ハブ12とが同素材である場合、係止部22と金属針ハブ12との成形は、共通の金型を使用することによって同時に実行されてもよい。
軸方向に直交する直交面における係止部22の最大の長さ(以下、係止部22の最大径とも記す。)は、軸方向に直交する面における樹脂針ハブ16の内部空間54の最小の長さよりも短い。つまり、係止部22は、樹脂針ハブ16の内部空間54に進入可能な大きさである。
また、係止部22の最大径は、樹脂針14の内孔の径よりも若干長い。しかし、樹脂針14は軟質の素材で構成されているため、係止部22は、樹脂針14に進入可能である。また、封止部材28も軟質の素材で構成されているため、係止部22は、封止部材28のスリットに挿通可能である。
また、係止部22の最大径は、金属針10に対して相対移動する後述するプロテクタ18に形成された開口64の径よりも長い。これにより、係止部22は、金属針10に対して相対移動するプロテクタ18と当接して、プロテクタ18を係止する。
[プロテクタ18]
図2、図4、及び図5に示されるように、金属針10における係止部22よりも基端側には、プロテクタ18が成形されている。プロテクタ18は、金属針10の表面の一部を覆うように成形されている。
軸方向と直交する面におけるプロテクタ18の最大の長さは、樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bの内径の最小長さよりも短い。これにより、プロテクタ18は、樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bに収容可能である。つまり、プロテクタ18は、樹脂針ハブ16の内部空間54に収容可能な大きさである。
プロテクタ18の材質は、合成樹脂である。詳細には、プロテクタ18は、後述するエッチング処理が施された金属針10と接合されない材質で構成されている。具体的には、本実施形態において、プロテクタ18は、ポリプロピレン樹脂(PP)或いはポリエチレン樹脂(PE)で構成されている。
本実施形態において、プロテクタ18は、金属針10と一体成形されたものである。つまり、プロテクタ18は、金属針10と接触するように成形される。なお、プロテクタ18と金属針10とは、後述する開口64の縁において接触している。以下にプロテクタ18の成形について詳述する。少なくとも金属針10における係止部22よりも基端側の周囲を覆ったプロテクタ18の形状の金型に、加熱により軟化されたPPまたはPEが流し込まれる。ここで、金属針10は、後述するエッチング処理によって、その表面が粗面に形成されている。しかし、PP及びPEは、当該粗面に対して非接合性の樹脂である。よって、金型に流し込まれたPPまたはPEは、金属針10を覆って後述する開口64の部分で接触するが、金属針10と接合されない。そのため、プロテクタ18は、金属針10を覆った状態のまま、金属針10に対して軸方向に相対移動可能である。
プロテクタ18には、内部空間84が形成されている。プロテクタ18は、基端板81と、一対の側板82、83とを備えており、基端板81及び一対の側端82、83は、それぞれ上記の内部空間84を区画している。なお、本実施形態では、側板は一対であるが、以下で説明するように金属針10の針先20を内包することが可能であるならば、側板は一対でなくてもよい。
基端板81は、軸方向と交差する面に沿った板状の部材であり、内部空間84の基端側の面を構成している。つまり、基端板81は、プロテクタ18の内部空間84における金属針10の基端側を区画している。
基端板81の中央部には、開口64が形成されている。開口64には、金属針10が挿通されている。プロテクタ18は、金属針10が挿通される開口64の縁において、金属針10と接触している。つまり、基端板81に形成された開口64の内径と金属針10の径とは、ほぼ同じ長さである。詳細には、基端板81に形成された開口64の内径が金属針10の径よりも極僅かに長い。
また、開口64の内径は、軸方向に直交する直交面における係止部22の最大の長さ、つまり係止部22の最大径よりも短い。つまり、開口64の内径は、直交面に沿った係止部22の断面における中心と当該中心から最も離れた縁との距離よりも短い。
一対の側板82、83は、軸方向に沿った板状の部材であり、内部空間84の軸方向に沿った周面を構成している。一対の側板82、83は、基端板81の縁部から軸方向に沿って先端側、つまり金属針10の針先20側に向かって延設されている。つまり、一対の側板82、83は、基端板81の中央部に形成された開口を挟むようにして延設されている。
一対の側板82、83は、基端部から先端側へ向かうに従って、金属針10から遠ざかるように傾斜した第1傾斜板86と、第1傾斜板86の先端部から先端側へ向かうに従って、金属針10に近づくように傾斜した第2傾斜板87とを備えている。第2傾斜板87によって、一対の側板82、83の相互の隙間は、先端側において狭くなっている。
一対の側板82、83は、基端側が基端板81に連結されていると共に先端側が何れの部材とも連結されていない。これにより、一対の側板82、83は、当該側板82、83自身の弾性力によって、基端板81との連結部を中心として、矢印85(図2及び図6(C)参照)の方向に回動可能である。つまり、一対の側板82、83は、回動することによって、図2に示される第1姿勢、及び図4に示される第2姿勢の間で、弾性的に姿勢変化する。
図2に示される第1姿勢は、一対の側板82、83に外部から何らの力も付与されていない状態における一対の側板82、83の姿勢である。第1姿勢における一対の側板82、83の先端部の相互の隙間、つまり第2傾斜板87の相互の隙間は、第1幅である。第1幅の長さは、金属針10の径よりも長い。よって、一対の側板82、83が第1姿勢の状態において、金属針10は、一対の側板82、83の先端部を通過することが可能である。
図4に示される第2姿勢は、一対の側板82、83に外部(本実施形態では後述する被覆部材60)から金属針10に近づく向きの力が付与された状態における一対の側板82、83の姿勢である。つまり、本実施形態では、一対の側板82、83は、第1姿勢側に付勢されている。第2姿勢における一対の側板82、83の先端部の相互の隙間、つまり第2傾斜板87の相互の隙間は、第2幅である。第2幅の長さは、金属針10の径よりも短い。詳細には、本実施形態においては、図4に示されるように、一対の第2傾斜板87は軸方向において重なった状態であるため、隙間が存在しない。よって、一対の側板82、83が第2姿勢の状態において、金属針10は、一対の側板82、83の先端部を通過することが不可能である。
一対の側板82、83の先端部以外の相互の隙間は、一対の側板82、83の姿勢にかかわらず金属針10の径よりも大きい。これにより、内部空間84は、金属針10の針先20を内包することが可能である。
また、プロテクタ18の一対の側板82、83には、移動止め部88が形成されている。移動止め部88の機能については、後述される。
[被覆部材60]
図4及び図5に示されるように、金属針10におけるプロテクタ18よりも基端側には、被覆部材60が成形されている。被覆部材60は、金属針10の表面を覆うように成形されている。
軸方向と直交する面における被覆部材60の最大の長さは、軸方向と直交する面における樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bの最小の長さと略同じである。これにより、被覆部材60は、樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bに嵌合されるように収容されることが可能である。つまり、被覆部材60は、その少なくとも一部が樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bに収容可能な大きさである。
被覆部材60の材質は、合成樹脂である。詳細には、被覆部材60は、プロテクタ18と同様に後述するエッチング処理が施された金属針10と接合されない材質で構成されている。具体的には、本実施形態において、被覆部材60は、ポリプロピレン樹脂(PP)或いはポリエチレン樹脂(PE)で構成されている。
本実施形態において、被覆部材60は、金属針10の周囲に成形されたものである。以下に詳述する。少なくとも金属針10におけるプロテクタ18よりも基端側の周囲を覆った後述する被覆部材60の形状の金型に、加熱により軟化されたPPまたはPEが流し込まれる。ここで、金属針10は、後述するエッチング処理によって、その表面が粗面に形成されている。しかし、PPまたはPEは、当該粗面に対して非接合性の樹脂である。よって、金型に流し込まれたPPまたはPEは、金属針10を覆って接合されない。そのため、被覆部材60は、金属針10を覆った状態のまま、金属針10に対して軸方向に相対移動可能である。
被覆部材60は、軸方向に沿って延びた概ね筒形状である。被覆部材60の基端部61は、他の部分に比べて、内径が短くなっている。詳細には、被覆部材60の内径は、基端部61において、一対の側板82、83の相互の最大間隔、つまり第1傾斜板86及び第2傾斜板87の境界部における一対の側板82、83の間隔よりも短く、且つ基端板81における軸方向と直交する面における最大の長さよりも長い。また、被覆部材60の内径は、基端部61以外において、上記最大間隔よりも長い。これにより、被覆部材60は、プロテクタ18を被覆可能である。
[液を血管に注入するための器具68]
図1及び図2に示されるように、本実施形態において、器具68には、3つの接続部、つまり第1接続部71、第2接続部72、及び第3接続部73が設けられている。3つの接続部71、72、73は、器具68の内部において繋がっている。第1接続部71は、チューブ74を介して樹脂針ハブ16に設けられた装着部66の開口67と接続されている。第2接続部72及び第3接続部73は、それぞれチューブ(不図示)を介して液体バッグ(不図示)などと連結可能である。第2接続部72及び第3接続部73の各々に、異なる種類の液体が貯留された液体バッグがチューブを介して連結されることによって、これらの液体バッグから器具68、樹脂針ハブ16、及び樹脂針14を介して、2種類の液体を患者に注入することが可能となる。
[金属針10の樹脂針14に対する挿抜]
以下に、金属針10が樹脂針14に挿通される際のプロテクタ18及び被覆部材60の動作について説明する。
金属針10の先端が、樹脂針ハブ16の基端側開口部52から基端側内部空間54B(図4参照)に挿通される。その後、金属針10の先端は、基端側内部空間54Bを通過して、封止部材28を貫通され、先端側内部空間54Aを通過する。次に、金属針10の先端は、樹脂針14の内孔に挿通される。これにより、金属針10の先端が、樹脂針14の先端から突出される(図1参照)。
金属針10が樹脂針ハブ16に挿通される際、プロテクタ18及び被覆部材60は、プロテクタ18が被覆部材60に覆われた状態(図2に示された状態)で、樹脂針ハブ16の基端側内部空間54Bに収容される。また、金属針10の先端が樹脂針14の先端から突出された状態において、金属針ハブ12は、樹脂針ハブ16に対して装着される。つまり、図2に示されるように、プロテクタ18及び被覆部材60は、樹脂針ハブ16及び金属針ハブ12に挟まれた状態で、樹脂針ハブ16の内部空間54に収容される。また、被覆部材60は、樹脂針ハブ16の内部空間54に収容された状態で樹脂針ハブ16と嵌合されている。
以下に、金属針10が樹脂針14から抜かれる際のプロテクタ18及び被覆部材60の動作について説明する。
金属針10が樹脂針14に挿通された状態(図1及び図2参照)において、金属針10が樹脂針14に対して基端側に相対移動されることによって、金属針10が樹脂針14から抜かれる。金属針10が樹脂針14に対して基端側に向けて相対移動すると、金属針10に固定された金属針ハブ12及び係止部22も樹脂針14に対して基端側に向けて相対移動する。ここで、金属針10に対して相対移動可能なプロテクタ18及び被覆部材60は、被覆部材60が樹脂針ハブ16と嵌合されているために、樹脂針14に対して相対移動しない。なお、このとき、プロテクタ18は、通常状態である第1姿勢である(図2及び図6(A)参照)。
樹脂針14に対して基端側に向けて相対移動する係止部22は、第1姿勢のプロテクタ18の一対の側板82、83の相互の隙間からプロテクタ18の内部空間84に進入する。次いで、金属針10の針先20が、当該隙間からプロテクタ18の内部空間84に進入する。そして、係止部22が更に基端側に向けて移動すると、係止部22がプロテクタ18の基端板81と当接する(図6(B)参照)。係止部22が基端板81と当接すると、プロテクタ18は、係止部22に押されて、樹脂針14に対して基端側に向けて相対移動する。これにより、プロテクタ18の第1傾斜板86が被覆部材60の基端部61を押す状態となる。しかし、被覆部材60は、樹脂針ハブ16の内部空間54に嵌合されるように収容されているため、相対移動しない。これにより、プロテクタ18が、被覆部材60の基端部61の内部空間に押し込まれるように移動して、第1姿勢(図2及び図6(A)参照)から第2姿勢(図4及び図6(C)参照)に姿勢変化する。以上の結果、金属針10の針先20は、一対の側板82、83の隙間を介してプロテクタ18の内部空間84から外部へ出ることが不可能となる。つまり、金属針10の針先20が、プロテクタ18の内部空間84に収容された状態が維持される。
以上の説明を換言すると、被覆部材60が、プロテクタ18に対して、金属針10の針先20側に相対移動されることによって、被覆部材60は、一対の側板82、83を外側から押圧して第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させる。
なお、プロテクタ18が被覆部材60に対して更に相対移動されて、移動止め部88が被覆部材60よりも基端側に位置すると、図4及び図6(C)に示されるように、移動止め部88が被覆部材60の基端部61に押圧された状態でなくなって、外側に開いた状態となる。これにより、プロテクタ18が被覆部材60に対して先端側に相対移動することが防止される。
金属針10が樹脂針14に対して今までよりも強い力で基端側に相対移動されると、被覆部材60と樹脂針ハブ16との嵌合が解除される。これにより、被覆部材60は、プロテクタ18に押されてプロテクタ18と一体に、樹脂針14に対して基端側に相対移動する。その結果、金属針10が、樹脂針14から抜かれる(図3及び図4参照)。つまり、金属針10、プロテクタ18、被覆部材60、及び金属針ハブ12が、樹脂針14及び樹脂針ハブ16から分離される。このとき、金属針10の針先20は、プロテクタ18に覆われている(図4参照)。
[留置針1の製造工程]
以下、上述した留置針1が製造される工程が説明される。留置針1の製造工程は、配置工程、エッチング工程、プロテクタ成形工程、係止部成形工程、移動工程、及び挿通工程を含む。
[配置工程]
配置工程では、図7(A)及び図7(B)に示されるように、封止部材28が、金属針10の針先20の表面を覆う位置に配置される。図7(A)に示される封止部材28の位置が、本発明の第1位置である。図7(B)に示されるように、第1位置の封止部材28は、金属針10の針先20を完全に覆っているため、金属針10の針先20が、封止部材28から突出することはない。
[エッチング工程]
エッチング工程では、封止部材28が第1位置に配置された状態で、金属針10の表面に対してエッチング処理が実行される。エッチング処理が実行されることによって、封止部材28に覆われていない金属針10の表面が粗面に形成され、封止部材28に覆われている金属針10の針先20の表面が滑面に形成される。
ここで、粗面とは、エッチング処理が施されることにより形成される多数の凹みによって、凹凸を有する面である。なお、本実施形態において、各凹みの直径は、20〜300nmであるが、各凹みの直径は前記の径に限らない。図8は、ステンレスで構成された金属針10の表面を5万倍に拡大した図である。図8において、黒く影のように示されている部分が、上述した凹みである。また、滑面とは、以下に詳述するエッチング処理が施されないことによって上記の複数の凹みが形成されていない面である。
本願におけるエッチング処理は、流動性の高い樹脂と直接接合させるための微小な凹みを金属表面に形成させる処理を意味する。以下に、金属針10に施されるエッチング処理が説明される。なお、以下で説明するエッチング処理は一例であり、処理の工程や金属針10が浸漬される溶液の種類などが異なっていてもよい。
エッチング処理は、水洗処理及び浸漬処理を含む。水洗処理では、ステンレス用の脱脂剤、鉄用の脱脂剤、または市販の一般向け中性洗剤を用意して、用意した洗剤を水に溶かし、数%程度の濃度の水溶液とする。そして、この水溶液の温度を約40〜70℃として、金属針10を5〜10分浸漬する。これにより、金属針10が水洗され、脱脂される。
浸漬処理では、金属針10を硫酸水溶液に数分間浸漬する。ここで、硫酸水溶液としては、例えば、ステンレスを全面腐食するようなものである塩酸等ハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、ハロゲン化金属塩などの水溶液が挙げられる。また、硫酸水溶液の濃度は、例えば10〜15%程度である。また、硫酸水溶液の温度は、例えば60〜70℃である。金属針10が上述した硫酸水溶液に浸漬されることにより、金属針10の表面には上述した凹みが形成される。なお、金属針10は、浸漬処理の後、十分に水洗されることが好ましい。
上記処理工程を施した金属針10をインサート成形することで、金属針10と金属針ハブ12及び係止部22とで構成され、金属針10と金属針ハブ12及び係止部22とに強い接合力を有する針を簡易に作製できる。
以上説明したエッチング処理では、金属針10が水洗処理及び浸漬処理で種々の水溶液に浸漬される際、金属針10の表面のうち、封止部材28によって覆われた針先20の部分には、当該水溶液が接触しない。そのため、金属針10にエッチング処理が施された後であっても、金属針10の表面のうち、封止部材28によって覆われた部分には、凹みが形成されない。つまり、当該部分は、滑面に維持される。
一方、金属針10の表面のうち、封止部材28によって覆われていない部分には、当該水溶液が接触する。そのため、金属針10にエッチング処理が施されると、金属針10の表面のうち、封止部材28によって覆われていない部分に、凹みが形成される。つまり、当該部分は、粗面に形成される。
[プロテクタ成形工程]
エッチング工程が実行された後、プロテクタ成形工程が実行される。プロテクタ成形工程は、プロテクタ18を、金属針10の表面の一部を覆うように成形する工程である。プロテクタ18の成形は、上述したように、少なくとも金属針10における係止部22よりも基端側の周囲を覆ったプロテクタ18の形状の金型に、加熱により軟化されたPPまたはPEが流し込まれることによって実行される。これにより、図7(C)に示されるように、プロテクタ18が金属針10を覆うように成形される。なお、本実施形態では、プロテクタ成形工程において、被覆部材60も同時に成形される。
なお、プロテクタ成形工程が実行される順序は、後述する移動工程の実行前であっても実行後であってもよい。また、プロテクタ成形工程が実行される順序は、後述する挿通工程の実行前である。また、プロテクタ成形工程が実行される順序は、後述する係止部成形工程の実行前であっても実行後であってもよい。
[係止部成形工程]
エッチング工程が実行された後、係止部成形工程が実行される。係止部成形工程は、係止部22を、金属針10の針先20及びプロテクタ18の間における金属針10の表面の一部を覆うように成形する工程である。係止部22の成形は、上述したように、少なくとも金属針10の針先20の近傍の周囲を覆った金型に、加熱により軟化されたPPSまたはPBTが流し込まれることによって実行される。これにより、図7(C)に示されるように、係止部28が金属針10を覆うように成形される。なお、本実施形態では、係止部成形工程において、金属針ハブ12(図3参照)も同時に成形される。
なお、係止部成形工程が実行される順序は、後述する移動工程の実行前であっても実行後であってもよい。また、係止部成形工程が実行される順序は、後述する挿通工程の実行前である。また、係止部成形工程が実行される順序は、プロテクタ成形工程の実行前であっても実行後であってもよい。
[移動工程]
エッチング工程が実行された後、移動工程が実行される。本実施形態では、エッチング工程が実行され、その次に、プロテクタ成形工程及び係止部成形工程が実行された後、移動工程が実行される。移動工程では、封止部材28が、図7(C)に示される位置から図7(D)に示される位置に移動される。つまり、移動工程では、封止部材28が、金属針10に対して、第1位置から第1位置よりも金属針10の基端側の位置である第2位置に移動される。
[挿通工程]
移動工程が実行された後、挿通工程が実行される。挿通工程は、金属針10を樹脂針ハブ16及び樹脂針14に挿通する工程である。
以下に詳述する。最初に、封止部材28に貫通され且つ係止部22とプロテクタ18と被覆部材60と金属針ハブ12とが成形された金属針10の先端部が、樹脂針ハブ16の基端側開口部52(図4参照)から内部空間54に挿入される。金属針10が更に先端側に挿入されると、金属針10の先端部が、樹脂針14の内孔に挿入される。金属針10が更に先端側に挿入されると、金属針10の長さが樹脂針14よりも長いために、金属針10の先端部が、樹脂針14の先端から突出される(図1及び図2参照)。
挿通工程において、係止部22は、金属針10と一体に樹脂針ハブ16及び樹脂針14に挿入される。そして、樹脂針14の先端部が樹脂針14の先端から突出された状態において、係止部22の位置は樹脂針14に覆われる位置である。
また、挿通工程において、封止部材28は、樹脂針ハブ16の内部空間54の所定位置まで押し込まれる。ここで、所定位置は、図2に示されるように、樹脂針ハブ16の内部空間54を封止する位置、つまり内部空間54における装着部66よりも基端側であって、内部空間54を先端側内部空間54Aと基端側内部空間54Bとに分断する位置である。つまり、挿通工程では、金属針10は、第2位置の封止部材28が樹脂針ハブ16の内部空間54を封止する位置となるように、樹脂針ハブ16及び樹脂針14に挿通される。すなわち、移動工程において封止部材28が移動される第2位置は、挿通工程において金属針10が樹脂針ハブ16及び樹脂針14に挿通されたときに、封止部材28が樹脂針ハブ16の内部空間54を封止する位置となるような位置である。
また、挿通工程において、プロテクタ18及び被覆部材60は、図2に示されるように、装着部66と基端側開口部52との間、つまり基端側内部空間54Bに収容される。この際、被覆部材60は、図6(A)に示されるように、プロテクタ18を覆った状態である。
また、挿通工程において、金属針10の先端部が樹脂針14の先端から突出された状態において、金属針ハブ12は樹脂針ハブ16に装着された状態となる。これにより、図1及び図2に示されるように、樹脂針ハブ16が基端側開口部52において金属針ハブ12によって蓋をされた状態となる。そして、金属針ハブ12によって蓋をされた樹脂針ハブ16の内部空間54には、封止部材28、プロテクタ18、及び被覆部材60が収容されている。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、エッチング工程において、封止部材28が第1位置に位置している。つまり、エッチング工程において、封止部材28が金属針10の針先20の表面を覆っている。これにより、金属針10の針先20が金型に当たることなどによって曲がってしまうことが防止可能である。
また、本実施形態によれば、封止部材28が第1位置に位置している状態において、金属針10がエッチング処理されると、針先20は封止部材28に覆われているためエッチング液に浸されず、針先20以外は封止部材28に覆われていないためエッチング液に浸される。その結果、金属針10の針先20の表面は滑面に維持され、金属針10の針先20以外の表面は、エッチング処理によって滑面から粗面へと変化する。これにより、金属針10の針先が患者に穿刺された場合に、患者が感じる痛みを小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、封止部材28は、エッチング工程において第1位置に位置しているが、その後、第2位置に移動される。そして、第2位置の封止部材28は、樹脂針ハブ16の内部空間54を封止する。つまり、本実施形態によれば、樹脂針ハブ16の内部空間54を封止するための封止部材28を、エッチング工程における金属針10の表面をマスクするための部材として流用することができる。
また、本実施形態によれば、エッチング工程でエッチング処理された金属針10の針先20以外の表面が粗面である。ここで、プロテクタ18は、粗面に対して非接合性の樹脂で構成されている。よって、プロテクタ18は、プロテクタ成形工程において、粗面に接触した状態で粗面を覆っているが、粗面と接合はしない。一方、係止部22は、粗面に対して接合性の樹脂で構成されている。よって、係止部22は、係止部成形工程において、粗面と接合する。以上のように、本実施形態によれば、金属針10に部材を接合することができ、且つ、金属針10に部材を非接合状態で接触させることができる。
1・・・留置針
10・・・金属針
14・・・樹脂針
16・・・樹脂針ハブ
18・・・プロテクタ
22・・・係止部
28・・・封止部材
54・・・内部空間
60・・・被覆部材
81・・・基端板
82・・・側板
83・・・側板
84・・・内部空間

Claims (2)

  1. 金属針の表面の一部に接触して覆っており上記金属針に対して上記金属針の軸方向に移動する弾性変形可能な封止部材を、上記金属針の針先の表面を覆う第1位置に配置する配置工程と、
    上記封止部材が上記第1位置に配置された状態において、上記金属針の表面に対してエッチング処理を実行することによって、上記封止部材に覆われていない上記金属針の表面を粗面とするエッチング工程と、
    エッチング処理が実行された上記金属針に対して、上記封止部材を、上記第1位置から上記第1位置よりも上記金属針の基端側の第2位置に移動させる移動工程と、
    中空の樹脂針の基端部に設けられており、上記封止部材によって封止されることが可能な大きさの内部空間を有するハブに、エッチング処理が実行された上記金属針を、上記封止部材が上記ハブの内部空間を封止する位置まで挿通する挿通工程と、を含む留置針の製造方法。
  2. 上記粗面に対して非接合性の樹脂で構成されており、上記金属針の針先を内包可能な内部空間を有し、且つ上記ハブの内部空間に収容可能な大きさのプロテクタを、上記エッチング工程が実行され且つ上記挿通工程が実行されていない上記金属針の表面の一部を覆うように成形するプロテクタ成形工程と、
    上記粗面に対して接合性の樹脂で構成されており、上記樹脂針及び上記ハブの内部空間に進入可能な大きさであり、且つ上記プロテクタを係止する係止部を、上記エッチング工程が実行され且つ上記挿通工程が実行されていない上記金属針の針先及び上記プロテクタの間における上記金属針の表面の一部を覆うように成形する係止部成形工程と、を更に含む留置針の製造方法。
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