JP2014067826A - 微細エレクトレットパターンの製造方法及びその検査方法 - Google Patents

微細エレクトレットパターンの製造方法及びその検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで、簡単かつ生産性の高い微細エレクトレットパターンの製造方法と、低コストで、高速かつ信頼性の高い微細エレクトレットパターンの検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法は、絶縁性基板上の導電層をエッチングすることにより形成した微細電極パターン上にエレクトレット層を形成する方法、任意の電荷パターンの形成位置が露出するようにマスクされた被エレクトレット絶縁性基板を帯電させることにより前記電荷パターンのエレクトレットを形成する方法、及び、電子線照射法、バックライト・サイラトロンによる電子注入法、レーザ光照射法、電離放射線照射法、又は軟X線照射法のいずれかによって被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法からなる群以外の方法を用いて、微細エレクトレットパターンを形成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細エレクトレットパターンの製造方法及びその検査方法に関する。
現在、エレクトレットは主に、エレクトレットコンデンサマイクロフォンに使用されている。エレクトレットの製造方法としては、基板電極上にコートされたエレクトレット用高分子フィルムに対し、コロナ放電を行って帯電させることにより、エレクトレット用高分子フィルムをエレクトレット化する方法が知られている。コロナ放電は、エレクトレット化技術として一般的に知られている技術であり、コロナ放電電圧値が高いほど高電荷密度の帯電が可能である。
また、携帯電話機に使用されるエレクトレットは非常に小さいため、通常は、大面積のエレクトレットを形成してから、所定の大きさに切断することにより製造されている。この製造方法は、コストが安く、表面電位が均一なエレクトレットが得られる優れた製造方法である。
近年では、非対称静電力を利用する新型静電発電機(例えば、非特許文献1)が注目されており、この新型静電発電機で使用されるエレクトレットには、微細パターン状のものが使用されている。ここで、非対称静電力を利用する新型静電発電機について説明する。図10は、非対称静電力を利用する新型静電発電機の概略構成の一例を示す斜視図である。
図10に示す新型静電発電機は、固定された上下の電極円板21,22と、2つの電極円板21,22間に配置された高速回転可能な回転円板20とを有する。回転円板20には、複数の樋型の電荷搬送体17が設けられている。電極円板22の上面には、微細パターン状の電荷注入電極19、微細パターン状のエレクトレット18、及び微細パターン状の電荷回収電極16が放射状に設けられている。また、電極円板21の下面にも、電極円板22の上面に形成された電荷注入電極19、エレクトレット18、及び電荷回収電極16と対向する位置に、微細パターン状の電荷注入電極19(図示せず)、微細パターン状のエレクトレット18(図示せず)、及び微細パターン状の電荷回収電極16(図示せず)が設けられている。新型静電発電機で用いられるエレクトレット18は、通常、長さ38mm、幅0.16mmの長手形状を有し、電荷注入電極19は、長さ38mm、幅0.08mmの長手形状を有し、電荷回収電極16は、長さ38mm、幅0.24mmの長手形状を有する。
このような構成の新型静電発電機では、電荷注入電極19を接地し、電荷回収電極16を所定の電位に維持した状態で、かつ、エレクトレット18が、その表面電位が所定の電位になるように電荷密度が与えられている状態で、回転円板20を回転させることにより、発電が行われる。具体的には、回転円板20を回転させると、回転円板20に設けられた各電荷搬送体17は、まず、2つの電極円板21,22の電荷注入電極19間を通過し、静電誘導で電荷が注入される。電荷注入電極19とエレクトレット18との間には順電界が形成されており、この順電界を通過中の電荷搬送体17は、強い静電力で加速され、運動エネルギーが蓄えられる。エレクトレット18と電荷回収電極16との間には逆電界が形成されており、この逆電界を通過中の電荷搬送体17は、弱い静電力で減速され、運動エネルギーの一部が消費される。残りの運動エネルギーが、回転円板20を回転させるのに使用されるだけでなく、電荷注入電極19から得た電荷の電位をより高めるのに消費される。その後、電荷搬送体17が電荷回収電極16と電気的に接触することで、電荷搬送体17が有する電荷の大部分が電荷回収電極16に移り、電気エネルギーが生成される。このようにして、電荷搬送体17が、2つの電極円板21,22の電荷注入電極19間、エレクトレット18間、電荷回収電極16間を順に通過しながら電気エネルギーが生成され、発電が行われる。
ところで、上記微細パターン状の電荷注入電極19及び上記微細パターン状の電荷回収電極16(以下、これらをまとめて微細電極パターンともいう。)は、絶縁性基板上の導電層を微細パターン状にエッチングすることにより製造される。一方、上記微細パターン状のエレクトレット18は、絶縁性基板上の導電層を微細パターン状にエッチングし、この微細パターン状の導電層上にさらにエレクトレット層を形成してコロナ放電を行うことにより製造される。しかし、この製造方法では、高電位のエレクトレットを作製することは難しい。その理由を以下に説明する。
通常、コロナ放電電荷(通常酸素分子、または窒素分子負イオン)は、電気力線に沿って、表面電位の低いところに向かう。そのため、上述したように、微細パターン状の導電層上に形成されたエレクトレット層に対し、コロナ放電帯電器からコロナイオンを放出すると、放出されたコロナイオンは最初のうちはまっすぐエレクトレット層に向かうが、エレクトレット層が少しでも帯電すると、後続のコロナイオンは、帯電したエレクトレット層を避けて両隣の電位が0Vに維持されている電荷注入電極19や電荷回収電極16の方に向かい、高電位のエレクトレットを作製できない。
また、上記微細パターン状のエレクトレットの製造方法には、コストがかかるという問題もある。すなわち、微細パターン状の導電層をエッチング法で形成するのは高コストであるし、さらに、微細パターン状の導電層上に選択的にエレクトレット層を形成するには特殊な装置が必要となり、高コスト化につながる。
このような問題を解決する方法として、例えば、特許文献1には、任意の電荷パターンの形成位置が露出するようにマスクされた被エレクトレット絶縁性基板を帯電させ、その後、マスクを剥がすことにより、任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法が提案されている。
また、特許文献2には、電子線照射法(ラジオエレクトレット化法)を用いて、被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法が提案されており、特許文献3には、バックライト・サイラトロン(擬似スパーク装置)による電子注入法を用いて、被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法が提案されている。
さらに、特許文献4〜6には、レーザ光照射法、電離放射線照射法、軟X線照射法等を用いて、狙いの空間に正負イオン(電離プラズマ)を発生させ、これを電場で移動させて被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法が提案されている。
特開2005−333716号公報 特開平6−313058号公報 特表2005−529574号公報 特開2004−77331号公報 特開平11−117172号公報 特開2011−87384号公報
"Asymmetric Electrostatic Forces and a New Electrostatic Generator" By Katsuo Sakai, Nova Science Publishers, Inc. New York
しかしながら、特許文献1で提案されている製造方法は、低コストであるが、生産性が悪い。これは、エレクトレットを形成する毎に、マスクを位置合わせして貼り付ける必要があり、また、一度使用したマスクについては除電する必要があるからである。
また、特許文献2で提案されている製造方法は、製造時間もコストも大変かかる。また、特許文献3で提案されている製造方法は、製造時間は短縮されるが、コストが高い。また、特許文献4〜6で提案されている製造方法は、高価な装置を必要とするため、コストが高い。
このように従来の微細エレクトレットパターンの製造方法では、製造コストが高く、生産性も未だ十分ではないため、低コストで、簡単かつ生産性の高い微細エレクトレットパターンの製造方法が要望されている。
また、微細エレクトレットパターンの検査方法にも次のような問題がある。すなわち、電荷パターンは不可視であるため、微細エレクトレットパターンを検査する場合には、電子顕微鏡で電荷パターンを可視化する必要がある。しかし、この方法は、コストのみならず、時間も大変かかる方法である。そのため、低コストで、高速かつ信頼性の高い微細エレクトレットパターンの検査方法が要望されている。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、低コストで、簡単かつ生産性の高い微細エレクトレットパターンの製造方法を提供する。また、低コストで、高速かつ信頼性の高い微細エレクトレットパターンの検査方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法は、絶縁性基板上の導電層をエッチングすることにより形成した微細電極パターン上にエレクトレット層を形成する方法、任意の電荷パターンの形成位置が露出するようにマスクされた被エレクトレット絶縁性基板を帯電させることにより上記電荷パターンのエレクトレットを形成する方法、及び、電子線照射法、バックライト・サイラトロンによる電子注入法、レーザ光照射法、電離放射線照射法、又は軟X線照射法のいずれかによって被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法からなる群以外の方法を用いて、微細エレクトレットパターンを形成することを特徴とする。
また、本発明の微細エレクトレットパターンの検査方法は、上記本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法によって形成された微細エレクトレットパターンを可視化し、可視化した上記微細エレクトレットパターンを、予め用意した検査用電荷パターンと比較することにより、上記微細エレクトレットパターンの良否を判定することを特徴とする。
本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法によれば、低コストで、簡単かつ生産性の高い微細エレクトレットパターンの製造方法を提供できる。
また、本発明の微細エレクトレットパターンの検査方法によれば、低コストで、高速かつ信頼性の高い微細エレクトレットパターンの検査方法を提供できる。
本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図である。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、図7(a)はコロナ放電前の状態、図7(b)はコロナ放電直後の状態、図7(c)はコロナ放電を行って所定時間放置後の状態を示している。 本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、図8(a)はコロナ放電前の状態、図8(b)はコロナ放電直後の状態、図8(c)はコロナ放電を行って所定時間放置後の状態、図8(d)は微細電極パターンの形成工程を示している。 本発明の微細エレクトレットパターンの検査方法の一例を説明するための図である。 非対称静電力を利用する新型静電発電機の概略構成の一例を示す斜視図である。
本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法は、絶縁性基板上の導電層をエッチングすることにより形成した微細電極パターン上にエレクトレット層を形成する方法、任意の電荷パターンの形成位置が露出するようにマスクされた被エレクトレット絶縁性基板を帯電させることにより上記電荷パターンのエレクトレットを形成する方法、及び、電子線照射法、バックライト・サイラトロンによる電子注入法、レーザ光照射法、電離放射線照射法、又は軟X線照射法のいずれかによって被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法からなる群以外の方法を用いて、微細エレクトレットパターンを形成することを特徴とする。これにより、低コストで、簡単かつ生産性の高い微細エレクトレットパターンの製造方法を提供できる。
上記本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法において、上記微細エレクトレットパターンは長手形状を有し、上記微細エレクトレットパターンの両側に、長手形状の微細電極パターンを形成することが好ましい。この場合、非対称静電力を利用する新型静電発電機に使用される微細エレクトレットパターン及び微細電極パターンを、低コストで、簡単かつ効率よく形成できる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、絶縁性基板上の上記微細エレクトレットパターンの形成位置に、導電性材料を射出することにより、上記微細エレクトレットパターン状の導電層を形成する工程と、上記微細エレクトレットパターン状の上記導電層上に、エレクトレット樹脂層を形成する工程と、上記エレクトレット樹脂層を帯電させることにより、帯電した上記エレクトレット樹脂層からなる上記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む方法が好ましい。この場合、導電性材料を射出成形するという簡単な方法で形成した微細エレクトレットパターン状の導電層を用いて、微細エレクトレットパターンを効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、絶縁性基板上の上記微細エレクトレットパターンの形成位置に、導電性材料を射出することにより、上記微細エレクトレットパターン状の導電層を形成する工程と、上記微細エレクトレットパターン状の上記導電層上に、帯電させたエレクトレット樹脂粉末を付着させることにより、帯電したエレクトレット樹脂層からなる上記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む方法が好ましい。この場合、導電性材料を射出成形するという簡単な方法で形成した微細エレクトレットパターン状の導電層を用いて、微細エレクトレットパターンを効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、一方の主面側に制御電極及びコロナ放電帯電器が設けられ、他方の主面上に接地電極が設けられた被エレクトレット絶縁性基板の上記一方の主面に対し、上記コロナ放電帯電器からのコロナ放電を、上記制御電極を用いて上記微細エレクトレットパターン状に制御しながら行うことにより、上記被エレクトレット絶縁性基板上に上記微細エレクトレットパターンを形成する方法が好ましい。この場合、制御電極を用いてコロナ放電を制御するという簡単な方法で、微細エレクトレットパターンを効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、一方の主面側にパルス電圧印加器が設けられ、他方の主面上に接地電極が設けられた被エレクトレット絶縁性基板の上記一方の主面に対し、上記パルス電圧印加器からのパルス電圧を、上記微細エレクトレットパターン状に印加することにより、上記被エレクトレット絶縁性基板上に上記微細エレクトレットパターンを形成する方法が好ましい。この場合、被エレクトレット絶縁性基板に印加するパルス電圧を制御するという簡単な方法で、微細エレクトレットパターンを効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、低い抵抗を有する非エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板上に、上記非エレクトレット樹脂層より高い抵抗を有するエレクトレット樹脂層を上記微細エレクトレットパターン状に形成する工程と、上記絶縁性基板を帯電させる工程と、帯電させた上記絶縁性基板を所定時間放置することにより、上記絶縁性基板上の上記エレクトレット樹脂層が形成されていない領域の電荷を自然放電させて、帯電した上記エレクトレット樹脂層からなる上記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む方法が好ましい。この場合、従来の安価なコロナ放電と、体積固有抵抗値の差に基づく電位減衰速度の差とを利用して、微細エレクトレットパターンを簡単に効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
上記微細エレクトレットパターンを形成する方法としては、エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板上の上記微細エレクトレットパターンの形成位置以外の位置に、上記エレクトレット樹脂層よりも低い抵抗を有する非エレクトレット樹脂層を形成する工程と、上記絶縁性基板を帯電させる工程と、帯電させた上記絶縁性基板を所定時間放置することにより、上記絶縁性基板上の上記非エレクトレット樹脂層の電荷を自然放電させて、帯電した上記エレクトレット樹脂層からなる上記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む方法が好ましい。この場合、従来の安価なコロナ放電と、体積固有抵抗値の差に基づく電位減衰速度の差とを利用して、微細エレクトレットパターンを簡単に効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。
また、本発明の微細エレクトレットパターンの検査方法は、上記本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法によって形成された微細エレクトレットパターンを可視化し、可視化した上記微細エレクトレットパターンを、予め用意した検査用電荷パターンと比較することにより、上記微細エレクトレットパターンの良否を判定することを特徴とする。これにより、低コストで、高速かつ信頼性の高い微細エレクトレットパターンの検査方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本実施形態1では、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の一例について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態1の微細エレクトレットパターンの製造方法を説明するための図である。なお、図1では、本実施形態1における製造工程の一部(後述の第1工程及び第2工程)を上から見た状態を示している。
まず、絶縁性基板1を用意し、絶縁性基板1の一主面側に、導電性材料5を射出する導電性材料射出部4と、エレクトレット樹脂粉末7を射出するエレクトレット樹脂射出部6とを配置する。
上記絶縁性基板1としては、その表面に導電性材料層を配置可能であれば特に限定されず、公知の絶縁性基板を使用できる。上記導電性材料射出部4には、導電性材料5をインクジェット方式で射出可能なインクジェット装置を用いることができ、導電性材料5には、導電性インクを用いることができる。上記エレクトレット樹脂射出部6には、トナージェット方式でエレクトレット樹脂粉末7を射出可能な乾式のトナージェット装置を用いることが好ましい。エレクトレット樹脂射出部6としてインクジェット装置を用いることもできるが、インクジェット方式で形成される層の厚みは通常1μm以下と非常に薄く、後段のフィルム化が難しくなる。これに対し、トナージェット方式で形成される層の厚みは通常10μm以上と厚く、後段のフィルム化が容易となるため、エレクトレット樹脂射出部6にはトナージェット装置を用いることが好ましい。
次に、絶縁性基板1を、図示しない搬送機構を用いて矢印方向に所定の速度で搬送させ、以下の第1〜第4工程を行う。
まず、第1工程では、搬送されてきた絶縁性基板1の微細エレクトレットパターン形成位置8に、導電性材料射出部4から導電性材料5をインクジェット方式で射出し、導電性材料5からなる微細エレクトレットパターン状の導電層2を形成する。導電層2の導電率は、アルミニウム等の金属より劣っていてもよい。これは、高速で電気信号を走らせる訳ではないため、一定の電位を維持していれば十分だからである。
次の第2工程では、搬送されてきた絶縁性基板1の導電層2上に、エレクトレット樹脂射出部6からエレクトレット樹脂粉末7をトナージェット方式で射出し、微細エレクトレットパターン状のエレクトレット樹脂層3を形成する。
次の第3工程では、絶縁性基板1上に形成されたエレクトレット樹脂層3を加熱溶融してフィルム化する。加熱溶融方法は特に限定されないが、例えば、表面がなめらかな加熱ローラを使用すると、鏡面のエレクトレット樹脂層を得ることができる。
次の第4工程では、絶縁性基板1のエレクトレット樹脂層3形成面に対し、コロナ放電を行う。これにより、上記第3の工程でフィルム化されたエレクトレット樹脂層3が帯電し、帯電したエレクトレット樹脂層3からなる微細エレクトレットパターンが得られる。
上記第1〜第4工程は、通常の大気中で連続的に行われる。また、製造速度は、通常数十cm/secである。
このように本実施形態1の微細エレクトレットパターンの製造方法によれば、微細エレクトレットパターン状の導電層2を、エッチング法によらず、安価なインクジェット方式で形成できるとともに、微細エレクトレットパターン状のエレクトレット樹脂層3を、化学的処理によらず、トナージェット方式で形成できるため、製造コストを大幅に下げることができる。また、通常の大気中で微細エレクトレットパターンを連続的に製造可能であるため、生産性を高めることができる。
なお、上記実施形態1において、導電性材料射出部4とエレクトレット樹脂射出部6との間にヒーター等の乾燥装置を配置しても良い。この場合、絶縁性基板1上に射出された導電性材料5の乾燥時間を短縮でき、生産性をより高めることができる。
また、上記実施形態1において、エレクトレット樹脂射出部6から帯電させたエレクトレット樹脂粉末を射出させるようにしてもよい。この場合、エレクトレット樹脂射出部6から帯電させたエレクトレット樹脂粉末を射出するだけで、帯電したエレクトレット樹脂層からなる微細エレクトレットパターンを形成できるため、前述のエレクトレット樹脂層を帯電させる第4工程が不要となり、微細エレクトレットパターンの製造方法が簡略化され、その結果、製造時間を短縮でき、さらなる低コスト化と生産性の向上につながる。
また、上記実施形態1では、微細エレクトレットパターンのみを形成する場合について説明したが、上記実施形態1の製造方法を利用して、図10に示す新型静電発電機に使用される微細エレクトレットパターン及び微細電極パターンを形成できる。これについて図2を用いて具体的に説明する。図2は、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、製造工程の一部を上から見た状態を示している。図2において、図1と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図2に示すように、絶縁性基板1の一主面側に導電性材料射出部4及びエレクトレット樹脂射出部6を配置し、絶縁性基板1を矢印方向に所定の速度で搬送させ、以下の工程を通常の大気中で連続して行う。
まず、搬送されてきた絶縁性基板1の微細エレクトレットパターン形成位置8a及び微細電極パターン形成位置8b,8cに、導電性材料射出部4から導電性材料5を射出する。これにより、微細エレクトレットパターン形成位置8aには、導電性材料5からなる長手形状を有する導電層2aが形成され、微細電極パターン形成位置8b,8cには、導電性材料5からなる長手形状を有する微細電極パターン2b,2cが形成される。そして、導電層2aに対してのみ、前述の第2〜第4の工程を行うことにより、帯電したエレクトレット樹脂層3からなる長手形状を有する微細エレクトレットパターンを形成する。この製造方法によれば、上記実施形態1の効果に加え、さらに、微細電極パターンを、従来のようにエッチング法によらず、安価なインクジェット方式で形成でき、微細電極パターンの製造コストを抑制できるという効果が得られる。なお、上記微細エレクトレットパターンは、図10に示す新型静電発電機に使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.16mmの長手形状を有する。また、上記微細電極パターン2b,2cは、図10に示す新型静電発電機の電荷注入電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.08mmの長手形状を有し、図10に示す新型静電発電機の電荷回収電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.24mmの長手形状を有する。
(実施形態2)
本実施形態2では、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態2の微細エレクトレットパターンの製造方法を説明するための図である。なお、図3では、本実施形態2における製造工程を横から見た状態を示している。
まず、被エレクトレット絶縁性基板9を用意し、被エレクトレット絶縁性基板9の一方の主面(ここでは、上面)側に、コロナ放電帯電器11及び制御電極13を配置し、他方の主面(ここでは、下面)上に接地電極10を配置する。本明細書において、被エレクトレット絶縁性基板とは、帯電によりエレクトレット化する絶縁性基板のことをいう。
上記被エレクトレット絶縁性基板9としては、帯電によりエレクトレット化が可能なものであれば特に限定されず、公知のエレクトレット材料から形成されるものを用いることができる。上記コロナ放電帯電器11は、コロナイオンを放出するものである。上記制御電極13は、コロナイオンが通過可能な孔13aを有し、外部からの印加電圧に基づいてコロナイオンが孔13aを通過するのを制御するものである。制御電極13としては、公知のイオンモジュレーション電極等を用いることができる。コロナ放電電圧値と制御電極13への印加電圧値を高くすることで、高電荷密度の帯電が可能である。上記接地電極10としては、例えば、導電性ゴムローラを用いることができる。なお、被エレクトレット絶縁性基板9の下面に導電層が形成され、その導電層が接地されている場合は、接地電極10を省略できる。
次に、被エレクトレット絶縁性基板9を、図示しない搬送機構を用いて矢印方向に所定の速度で搬送させ、コロナ放電帯電器11からのコロナ放電を、制御電極13を用いて微細エレクトレットパターン状に制御しながら行い、微細エレクトレットパターン14を形成する。
具体的には、制御電極13に例えば−50Vの電圧を印加すると、制御電極13に設けられた孔13aの中での電気力線の向きが上向き、つまり、被エレクトレット絶縁性基板9側からコロナ放電帯電器11側に向かう方向となり、コロナ放電帯電器11からのコロナイオンが制御電極13の孔13aを通過し、被エレクトレット絶縁性基板9に向かう。一方、制御電極13に例えば+50Vの電圧を印加すると、電気力線の向きが下向き、つまり、コロナ放電帯電器11側から被エレクトレット絶縁性基板9側に向かう方向となり、コロナ放電帯電器11からのコロナイオンが制御電極13の孔13aを通過するのを防止する。このように制御電極13を用いてコロナ放電帯電器11からのコロナ放電を制御しながら、被エレクトレット絶縁性基板9上に微細エレクトレットパターン14を形成する。
上記の製造工程は全て、大気中でかつ明所で連続的に行われる。また、製造速度は、通常数十cm/secである。
このように本実施形態2の微細エレクトレットパターンの製造方法によれば、下面に接地電極10が配置された被エレクトレット絶縁性基板9の上面に対し、コロナ放電帯電器11からのコロナ放電を、制御電極13を用いて微細エレクトレットパターン状に制御しながら行うことで、微細エレクトレットパターンを簡単かつ低コストで形成できる。また、通常の大気中で微細エレクトレットパターンを連続的に製造可能であるため、生産性を高めることができる。
上記実施形態2では、微細エレクトレットパターンのみを形成する場合について説明したが、上記実施形態2の製造方法を利用して、図10に示す新型静電発電機に使用される微細エレクトレットパターン及び微細電極パターンを形成できる。これについて図4を用いて具体的に説明する。図4は、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、製造工程を横から見た状態を示している。図4において、図1又は図3と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図4では、上述したように、コロナ放電帯電器11からのコロナ放電を、制御電極13を用いて制御しながら行うことによって、長手形状を有する微細エレクトレットパターン14を形成した後、微細エレクトレットパターン14の両側に、導電性材料射出部4から導電性材料5を微細パターン状に射出することにより、導電性材料5からなる長手形状を有する微細電極パターン2dを形成する。これにより、微細電極パターンを、従来のようにエッチング法によらず、安価なインクジェット方式で形成でき、微細電極パターンの製造コストを抑制できる。なお、上記微細エレクトレットパターン14は、図10に示す新型静電発電機に使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.16mmの長手形状を有する。また、上記微細電極パターン2dは、図10に示す新型静電発電機の電荷注入電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.08mmの長手形状を有し、図10に示す新型静電発電機の電荷回収電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.24mmの長手形状を有する。
(実施形態3)
本実施形態3では、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を図5を用いて説明する。図5は、本実施形態3の微細エレクトレットパターンの製造方法を説明するための図である。図5において、図3と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図5では、本実施形態3における製造工程を横から見た状態を示している。
まず、被エレクトレット絶縁性基板9を用意し、被エレクトレット絶縁性基板9の一方の主面(ここでは、上面)側にパルス電圧印加器15を配置し、他方の主面(ここでは、下面)上に接地電極10を配置する。なお、絶縁性基板9の下面に導電層が形成され、その導電層が接地されている場合は、接地電極10を省略できる。
上記パルス電圧印加器15は、外部からの画像信号に従って所定のパルス電圧を被エレクトレット絶縁性基板9に対し印加し、被エレクトレット絶縁性基板9を帯電させるものである。パルス電圧印加器15のパルス電圧値を高くすることで、高電荷密度の帯電が可能である。ここで、外部からの画像信号とは、微細エレクトレットパターンに対応する画像を示すものである。パルス電圧印加器15としては、例えば、静電記録用マルチスタイラスを用いることができる。図5では、パルス電圧印加器15を被エレクトレット絶縁性基板9に密着させて設置しているが、被エレクトレット絶縁性基板9に対し所定のパルス電圧を印加できれば、密着させずに近接させて設置してもよい。
次に、被エレクトレット絶縁性基板9を、図示しない搬送機構を用いて矢印方向に所定の速度で搬送させ、パルス電圧印加器15からのパルス電圧を、微細エレクトレットパターン状に印加する。その結果、被エレクトレット絶縁性基板9上に微細エレクトレットパターン14が形成される。
具体的には、パルス電圧印加器15は、外部から送信されてきた画像信号に従って選択されたスタイラス(金属ワイヤー)に数百ボルトのパルス電圧を印加すると、その先端で微小なコロナ放電が発生して、その片方の極性のイオンが被エレクトレット絶縁性基板9上に着地することで、微細エレクトレットパターン14が形成される。
上記の製造工程は全て、大気中でかつ明所で連続的に行われる。また、製造速度は、通常数十cm/secである。
このように本実施形態3の微細エレクトレットパターンの製造方法によれば、下面に接地電極10が配置された被エレクトレット絶縁性基板9の上面に対し、パルス電圧印加器15からのパルス電圧を微細エレクトレットパターン状に印加するという簡単な方法で、被エレクトレット絶縁性基板9上に微細エレクトレットパターン14を低コストで形成できる。また、通常の大気中で微細エレクトレットパターンを連続的に製造可能であるため、生産性を高めることができる。
上記実施形態3では、微細エレクトレットパターンのみを形成する場合について説明したが、上記実施形態3の製造方法を利用して、図10に示す新型静電発電機に使用される微細エレクトレットパターン及び微細電極パターンを形成できる。これについて図6を用いて具体的に説明する。図6は、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、製造工程を横から見た状態を示している。図6において、図1又は図5と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6では、上述したように、パルス電圧印加器15からのパルス電圧を微細パターン状に印加することにより長手形状を有する微細エレクトレットパターン14を形成した後、微細エレクトレットパターン14の両側に、導電性材料射出部4から導電性材料5を微細パターン状に射出することにより、導電性材料5からなる長手形状を有する微細電極パターン2dを形成する。これにより、微細電極パターンを、従来のようにエッチング法によらず、安価なインクジェット方式で形成でき、微細電極パターンの製造コストを抑制できる。なお、上記微細エレクトレットパターン14は、図10に示す新型静電発電機に使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.16mmの長手形状を有する。また、上記微細電極パターン2dは、図10に示す新型静電発電機の電荷注入電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.08mmの長手形状を有し、図10に示す新型静電発電機の電荷回収電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.24mmの長手形状を有する。
(実施形態4)
本実施形態4では、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を図7を用いて説明する。図7は、本実施形態4の微細エレクトレットパターンの製造方法を説明するための図であり、図7(a)はコロナ放電前の状態、図7(b)はコロナ放電直後の状態、図7(c)はコロナ放電を行って所定時間放置後の状態を示している。図7において、図3と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図7では、本実施形態4における製造工程を横から見た状態を示している。
まず、図7(a)に示すように、エレクトレット樹脂層9aと、非エレクトレット樹脂層9bとからなる絶縁性基板を用意する。エレクトレット樹脂層9aは、微細エレクトレットパターン状に配置されており、1014Ωcm以上の体積固有抵抗を有する。非エレクトレット樹脂層9bは、エレクトレット樹脂層9aの周囲に配置されており、1013Ωcm以下の体積固有抵抗を有する。エレクトレット層9aの厚みは、電荷保持能力の観点から10μm以上が好ましい。非エレクトレット層9bの厚みは特に限定されないが、後述のインクジェット方式で形成された場合は1μm程度である。
ここで、エレクトレット樹脂層9aと非エレクトレット樹脂層9bとからなる絶縁性基板は、例えば、非エレクトレット樹脂層9bからなる絶縁性基板の一主面(ここでは、上面)に対し、エレクトレット樹脂を微細エレクトレットパターン状にトナージェット方式で塗布してエレクトレット樹脂層9aを形成することにより得られる。
そして、以上のようにして製造されたエレクトレット樹脂層9aと非エレクトレット樹脂層9bとからなる絶縁性基板の下面に接地電極10を設け、絶縁性基板の上面にコロナ放電帯電器11を設け、絶縁性基板を、図示しない搬送機構を用いて矢印方向に所定の速度で搬送させ、以下の第1〜第2工程を行う。
まず、第1工程では、エレクトレット樹脂9aと非エレクトレット樹脂9bとからなる絶縁性基板の上面にコロナ放電を行い、帯電させる。これにより、図7(b)に示すように、電荷14aが蓄積されたエレクトレット樹脂層9a及び非エレクトレット樹脂層9bが得られる。コロナ放電を行った直後は、エレクトレット樹脂層9a及び非エレクトレット樹脂層9bはいずれも所定の抵抗を有するため、エレクトレット樹脂層9a及び非エレクトレット樹脂層9bはほとんど同電位に帯電する。コロナ放電電圧値を高くすることで、高電荷密度の帯電が可能である。
次の第2工程では、上記第1工程のコロナ放電を行った後、所定時間放置する。これにより、図7(c)に示すように、低抵抗の非エレクトレット樹脂層9bの電位はほぼゼロボルトまで自然減衰し、エレクトレット樹脂層9aのみに電荷14aが残り、帯電したエレクトレット樹脂層9aからなる微細エレクトレットパターンが得られる。コロナ放電後の放置時間は、非エレクトレット樹脂層9bの体積固有抵抗の値に依存する。
上記の製造工程は、大気中でかつ明所で連続的に行われる。また、製造速度は、通常数十cm/secである。
このように本実施形態4の微細エレクトレットパターンの製造方法によれば、非エレクトレット樹脂層9b上に微細エレクトレットパターン状のエレクトレット樹脂層9aが形成されてなる絶縁性基板に対しコロナ放電を行い、その後、所定時間放置するという簡単な方法で、帯電したエレクトレット樹脂層9aからなる微細エレクトレットパターンを効率よく形成でき、製造コストを大幅に下げることができる。また、通常の大気中で微細エレクトレットパターンを連続的に製造可能であるため、生産性を高めることができる。
上記実施形態4では、エレクトレット樹脂層と非エレクトレット樹脂層とからなる絶縁性基板の製造方法として、非エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板上にエレクトレット樹脂層を微細エレクトレットパターン状に形成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板に対し、インクジェット方式で非エレクトレット樹脂を、微細エレクトレットパターンの形成位置以外の領域に塗布して非エレクトレット樹脂層を形成する方法も挙げられる。この場合、非エレクトレット樹脂層が連続し、かつ、その末端が接地されていれば、絶縁性基板の下面に接地電極を設ける必要はなく、また、コロナ放電により帯電した非エレクトレット樹脂層の電荷は、横方向に流れて消滅することになる。
上記実施形態4では、微細エレクトレットパターンのみを形成する場合について説明したが、上記実施形態4の製造方法を利用して、図10に示す新型静電発電機に使用される微細エレクトレットパターン及び微細電極パターンを形成できる。これについて図8を用いて具体的に説明する。図8は、本発明の微細エレクトレットパターンの製造方法の他の例を説明するための図であり、製造工程を横から見た状態を示している。図8(a)はコロナ放電前の状態、図8(b)はコロナ放電直後の状態、図8(c)はコロナ放電を行って所定時間放置後の状態、図8(d)は微細電極パターンの形成工程を示している。図8において、図1又は図7と同一構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8(a)〜図8(c)では、前述の図7(a)〜図7(c)を用いて説明したように、非エレクトレット樹脂層9b上に微細エレクトレットパターン状のエレクトレット樹脂層9aが形成されてなる絶縁性基板に対しコロナ放電を行い、所定時間放置することにより、帯電したエレクトレット樹脂層9aからなる長手形状を有する微細エレクトレットパターンを形成する。その後、図8(d)に示すように、微細エレクトレットパターンの両側に、導電性材料射出部4から導電性材料5を微細パターン状に射出することにより、導電性材料5からなる長手形状を有する微細電極パターン2dを形成する。これにより、微細電極パターンを、従来のようにエッチング法によらず、安価なインクジェット方式で形成でき、微細電極パターンの製造コストを抑制できる。なお、上記微細エレクトレットパターンは、図10に示す新型静電発電機に使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.16mmの長手形状を有する。また、上記微細電極パターン2dは、図10に示す新型静電発電機の電荷注入電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.08mmの長手形状を有し、図10に示す新型静電発電機の電荷回収電極として使用される場合、通常、長さ38mm、幅0.24mmの長手形状を有する。
(実施形態5)
本実施形態5では、本発明の微細エレクトレットパターンの検査方法の一例を図9を用いて説明する。図9は、本実施形態5に係る微細エレクトレットパターンの検査方法を説明するための図である。なお、図9では、本実施形態5における検査工程を上から見た状態を示している。
まず、一主面上に不可視の微細エレクトレットパターン32が形成されたエレクトレットシート31を用意し、エレクトレットシート31の微細エレクトレットパターン32形成面側に、着色化部34及び画像読取部35を配置する。
上記着色化部34は、帯電した着色粉末を放出し、不可視の微細エレクトレットパターン32を可視化する。着色化部34としては、例えば、帯電した着色粉末であるトナーを放出可能な現像装置を用いることができ、特に静電搬送による非接触現像を行うものが好ましい。具体的には、電子写真用現像装置等が挙げられる。上記画像読取部35は、可視化された微細エレクトレットパターン33に光を照射してその反射光を電気信号に変換して画像データを作製し、作製した画像データを、予め用意した検査用画像データと比較し、その良否を判定する。ここで、検査用画像データとは、微細エレクトレットパターンが正しく製造されているかどうかを検査するための検査用電荷パターンを画像データ化したものである。画像読取部35としては、公知のラインセンサ等を用いることができる。
そして、エレクトレットシート31を、図示しない搬送機構を用いて矢印方向に所定の速度で搬送させ、以下の工程を行う。
まず、着色化部34は、搬送されてきたエレクトレットシート31に対し、帯電した着色粉末を放出する。放出された着色粉末は、静電気を利用してエレクトレットシート31の微細エレクトレットパターン32上に付着する。これにより、微細エレクトレットパターン32を可視化できる。
次に、画像読取部35は、搬送されてきたエレクトレットシート31上の可視化された微細エレクトレットパターン33に対し、微小なスポット光を照射し、その反射光を受光して電気信号に変換して画像データを作製する。そして、作製した画像データを、予め用意した検査用画像データと画素ごとに比較し、微細エレクトレットパターンの良否を判定する。作製した画像データと検査用画像データとが一致する場合は、微細エレクトレットパターンは良好に製造されていると判断できる。
上記の工程は全て連続的に行われる。
本実施形態5の微細エレクトレットパターンの検査方法によれば、不可視の微細エレクトレットパターン32が形成されたエレクトレットシート31を所定の速度で搬送させながら、微細エレクトレットパターン32を帯電した着色粉末を用いて可視化し、可視化した微細エレクトレットパターン33を画像データに変換し、この画像データを予め用意しておいた検査用画像データと比較するという簡単な方法で、微細エレクトレットパターンの良否を連続的に判定できるため、高速かつ確実に検査できる。また、従来のように電子顕微鏡を必要とせず、公知の電子写真技術を利用して微細エレクトレットパターンを可視化できるため、検査コストを大幅に削減できる。
本発明は、マイクロフォン等の音響素子、電圧計等の計測装置、静電発電機等の発電装置等に使用可能な微細エレクトレットパターンの製造方法及びその検査方法として利用可能である。
1 絶縁性基板
2 微細パターン状の導電層
2a 微細パターン状の導電層
2b 微細電極パターン
2c 微細電極パターン
2d 微細電極パターン
3 微細パターン状のエレクトレット樹脂層
4 導電性材料射出部
5 導電性材料
6 エレクトレット樹脂射出部
7 エレクトレット樹脂粉末
8 微細エレクトレットパターン形成位置
8a 微細エレクトレットパターン形成位置
8b 微細電極パターン形成位置
8c 微細電極パターン形成位置
9 被エレクトレット絶縁性基板
9a エレクトレット樹脂層
9b 非エレクトレット樹脂層
10 接地電極
11 コロナ放電帯電器
13 制御電極
13a 孔
14 微細エレクトレットパターン
14a 電荷
15 パルス電圧印加器
16 電荷回収電極
17 電荷搬送体
18 エレクトレット
19 電荷注入電極
20 回転円板
21 電極円板
22 電極円板
31 エレクトレットシート
32 微細エレクトレットパターン
33 可視化された微細エレクトレットパターン
34 着色化部
35 画像読取部

Claims (14)

  1. 絶縁性基板上の導電層をエッチングすることにより形成した微細電極パターン上にエレクトレット層を形成する方法、任意の電荷パターンの形成位置が露出するようにマスクされた被エレクトレット絶縁性基板を帯電させることにより前記電荷パターンのエレクトレットを形成する方法、及び、電子線照射法、バックライト・サイラトロンによる電子注入法、レーザ光照射法、電離放射線照射法、又は軟X線照射法のいずれかによって被エレクトレット絶縁性基板上に任意の電荷パターンのエレクトレットを形成する方法からなる群以外の方法を用いて、微細エレクトレットパターンを形成することを特徴とする微細エレクトレットパターンの製造方法。
  2. 前記微細エレクトレットパターンは長手形状を有し、
    前記微細エレクトレットパターンの両側に、長手形状の微細電極パターンを形成する請求項1に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  3. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    絶縁性基板上の前記微細エレクトレットパターンの形成位置に、導電性材料を射出することにより、前記微細エレクトレットパターン状の導電層を形成する工程と、
    前記微細エレクトレットパターン状の前記導電層上に、エレクトレット樹脂層を形成する工程と、
    前記エレクトレット樹脂層を帯電させることにより、帯電した前記エレクトレット樹脂層からなる前記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  4. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    絶縁性基板上の前記微細エレクトレットパターンの形成位置に、導電性材料を射出することにより、前記微細エレクトレットパターン状の導電層を形成する工程と、
    前記微細エレクトレットパターン状の前記導電層上に、帯電させたエレクトレット樹脂粉末を付着させることにより、帯電したエレクトレット樹脂層からなる前記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  5. 前記導電層は、前記導電性材料をインクジェット方式で射出することにより形成される請求項3又は4に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  6. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    一方の主面側に制御電極及びコロナ放電帯電器が設けられ、他方の主面上に接地電極が設けられた被エレクトレット絶縁性基板の前記一方の主面に対し、前記コロナ放電帯電器からのコロナ放電を、前記制御電極を用いて前記微細エレクトレットパターン状に制御しながら行うことにより、前記被エレクトレット絶縁性基板上に前記微細エレクトレットパターンを形成するものである請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  7. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    一方の主面側にパルス電圧印加器が設けられ、他方の主面上に接地電極が設けられた被エレクトレット絶縁性基板の前記一方の主面に対し、前記パルス電圧印加器からのパルス電圧を、前記微細エレクトレットパターン状に印加することにより、前記被エレクトレット絶縁性基板上に前記微細エレクトレットパターンを形成するものである請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  8. 前記パルス電圧印加器は、静電記録用のマルチスタイラスである請求項7に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  9. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    低い抵抗を有する非エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板上に、前記非エレクトレット樹脂層より高い抵抗を有するエレクトレット樹脂層を前記微細エレクトレットパターン状に形成する工程と、
    前記絶縁性基板を帯電させる工程と、
    帯電させた前記絶縁性基板を所定時間放置することにより、前記絶縁性基板上の前記エレクトレット樹脂層が形成されていない領域の電荷を自然放電させて、帯電した前記エレクトレット樹脂層からなる前記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  10. 前記微細エレクトレットパターンを形成する方法は、
    エレクトレット樹脂層からなる絶縁性基板上の前記微細エレクトレットパターンの形成位置以外の位置に、前記エレクトレット樹脂層よりも低い抵抗を有する非エレクトレット樹脂層を形成する工程と、
    前記絶縁性基板を帯電させる工程と、
    帯電させた前記絶縁性基板を所定時間放置することにより、前記絶縁性基板上の前記非エレクトレット樹脂層の電荷を自然放電させて、帯電した前記エレクトレット樹脂層からなる前記微細エレクトレットパターンを形成する工程と、を含む請求項1又は2に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  11. 前記絶縁性基板の帯電は、コロナ放電により行う請求項9又は10に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の微細エレクトレットパターンの製造方法によって形成された微細エレクトレットパターンを可視化し、
    可視化した前記微細エレクトレットパターンを、予め用意した検査用電荷パターンと比較することにより、前記微細エレクトレットパターンの良否を判定することを特徴とする微細エレクトレットパターンの検査方法。
  13. 前記微細エレクトレットパターンの可視化は、帯電した着色粉末を前記微細エレクトレットパターンに付着させることにより行う請求項12に記載の微細エレクトレットパターンの検査方法。
  14. 前記微細エレクトレットパターンの良否判定は、
    前記可視化した微細エレクトレットパターンに光を照射し、その反射光を電気信号に変換して画像データを作製し、前記作製した画像データを、予め用意した前記検査用電荷パターンを示す画像データと比較することにより行う請求項12に記載の微細エレクトレットパターンの検査方法。
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