JP2014065966A - 機能水発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解容器内で生成した機能水を最大限利用可能な機能水発生器を提供することを目的とする。
【解決手段】 電解容器1内に陽極及び陰極から成る電気分解部4が設けられ、電解容器1内に供給された水Wを電気分解部4にて電気分解することにより機能水を生成した後、電解容器1の排出部3から機能水を排出する際に、陽極及び陰極の両電極の少なくとも一部が浸漬するように、電解容器1内に機能水を残留させ、電気分解部4の電極に対して機能水生成時とは逆向きの電流を流すことにより、機能水生成時に電極に付着した硬度成分を水中に溶出させる電極洗浄を行う機能水発生器であって、陽極と陰極とが垂直方向に平行に対向配置された構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、陽極及び陰極からなる電気分解部を用いて機能水を生成可能な機能水発生器に関する。
従来の電気二重層を利用したイオン濃度調整装置では、陽イオン用および陰イオン用の各イオン吸着電極間に電圧を印加して、水中のイオンを移動させることによりイオン量の制御を行い、軟水化および硬水化を行うものがある(特許文献1参照)。
しかしながら、上記イオン濃度調整装置では、吸着速度を上げるために印加電圧を高くすると、イオン吸着電極表面で電気二重層イオンが固着してしまい、イオンの吸着および脱着が行われなくなるために、硬度成分のみを増減させることができなくなるという問題がある。
また、別の従来例では、電気分解部を用いて水を電気分解し、機能水を作成する場合、陽極側に白金電極、陰極側に炭素電極を用いて電気分解を行い、陽極側で酸素発生(遊離した水素イオンを水中に溶出)させて、溶液のpHを低下(酸性化)させる。
この場合、電気分解用の水として水道水を用いると、陰極側の炭素電極でCaイオン、Mgイオンなどの硬度成分が吸着する。よって、得られた電気分解後の水(機能水)に含まれるCaイオンやMgイオン濃度を低減することができ、得られた機能水を噴霧式の加湿器に使用することで、家具や窓ガラスにカルシウム塩やマグネシウム塩が付着するのを抑制することが可能となる。また、機能水を加熱式の加湿器に使用することで、加湿フィルタ等に硬度成分がスケールとして堆積するのを抑制することが可能となる。
一方で、陰極に炭素電極を用いて何度も電気分解を行うと、炭素電極表面が硬度成分に覆われてしまい、イオン吸着電極の吸着容量が無くなるために、最終的には所望の電気分解ができなくなるため、適宜、電極の極性を反転させ、硬度成分を溶出させていた(特許文献2参照)。
特許3994418公報 特開2010−117080公報
ところで、特許文献2では、電気分解用の電極は、給水タンクの下部において電極表面が垂直方向になるように立てた状態で配置されているため、電極全体を洗浄しようとすると、電極の高さ分だけ機能水を残留させる必要があり、その分、利用できる機能水の量が少なくなっていた。
そこで、本発明においては、電解容器内で生成した機能水を最大限利用可能な機能水発生器を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、本発明に係る機能水発生器は、電解容器内に陽極及び陰極から成る電気分解部が設けられ、前記電解容器内に供給された水を前記電気分解部にて電気分解することにより機能水を生成した後、電解容器の排水口から前記機能水を排出する際に、前記陽極及び陰極の両電極が浸漬するように電解容器内に機能水を残留させ、電気分解部の電極に対して機能水生成時とは逆向きの電流を流すことにより、機能水生成時に電極に付着した硬度成分を水中に溶出させる電極洗浄を行う機能水発生器であって、前記陽極と陰極とが垂直方向に平行に対向配置されたことを特徴とする。
すなわち、本発明では、電気分解部の陽極及び陰極(以下、単に「電極」ということがある)を横倒しにして電極表面が水平方向を向くようにし、陽極と陰極とを垂直方向に間隔をおいて対向配置したため、電極の厚み方向が垂直方向となり、電極を立てた状態に比べて電解容器内に占める電気分解部の容積は小さくて済む。したがって、電極洗浄の際に、残存させる機能水量を少なくすることが可能となる。
ここで、機能水とは、電気分解により得られた酸性水を意味する。また、「陽極及び陰極の両電極が浸漬する」とは、陽極及び陰極間で通電が可能なように両電極ともに少なくとも一部が機能水に浸漬されていることを意味する。ただ、電極の全体に付着した硬度成分を効率よく溶出させるには、両方の電極の全体を機能水に浸漬することが望ましい。
なお、電気分解部の電極としては、電気分解によって溶解しない素材で構成されていればよい。具体的には、機能水生成時の陽極としてその表面で電気分解が生じやすい金属電極を、陰極としてイオンを吸着可能な電極を用いることができる。金属電極としては、白金が表面に存在する電極を用いることができ、具体的には、白金電極や白金でコートされた金属電極(たとえばチタン)を挙げることができる。これにより、機能水生成時に酸素ガスを放出し、残った水素イオンが水中に遊離することで、酸性化する。
一方、陰極のイオン吸着電極としては、導電性の炭素材料(例えばカーボン繊維、活性炭等)からなる炭素電極を用いることができ、中でもイオンを吸着する比表面積の大きい活性炭を炭素電極の少なくとも一部に用いるのが好ましい。活性炭電極では水道水等の水中に溶存しているMgイオン、Caイオンなどの硬度成分を活性炭電極の有する多孔質吸着面を利用して効果的に吸着させることが可能であり、また、万が一、経年利用により活性炭電極の吸着面が硬度成分で詰まって再生できなくなっても、白金に比して比較的安価であることから、活性炭電極を交換することで容易に初期状態に戻すことができる。
電気分解部の電極の配置としては、機能水生成時の陽極(金属電極)を、陰極(炭素電極)よりも上側に配してもよい。これにより、酸素ガスを発生する陽極が陰極よりも上側に配置されるので陰極に酸素ガスが溜まることがなく、電気分解を効率的に行うことができる。また、陽極を上に配置することで、ガス発生と同時に生成される酸アルカリイオン(電気分解時:Hイオン、電極洗浄時:OHイオン)が効率的に生成し、溶液内で対流することで電解容器内の機能水の濃度を一定化することができる。
ただ、水の電気分解は主に陽極にて行われるため、機能水生成時に生成した水素イオンは陽極の上下に拡散するため、電気分解の効率としてのロスが大きい。また、機能水生成時に硬度成分は陰極に吸着されるが、陽極-陰極間の水が少ない場合には、機能水を電気分解する際、硬度成分を電解容器に収容された水全体から吸着することが難しくなる。
上記問題点を解決するための手段としては、前記前記陽極が電解容器内の水面に追従して上下方向に移動可能であることを特徴とする。この場合、陽極は電極全体が常時水に浸漬した状態を維持すべく、水面の下方近傍(水面表面から1mm〜10mm下方)に位置するように、水面の変動に追従して移動するようにすればよい。
陽極端部に駆動機構を設けるなどして水面に追従して陽極の位置が上下方向に移動可能とすることで、機能水を電気分解する際、硬度成分を電解容器に収容された水全体から吸着することが可能となるため、機能水の硬度を充分に下げることができる。また、水の電解は主に陽極で行われるため、機能水生成時に生成した水素イオンを陽極の下方向にのみ拡散できるため、陽極で発生した水素イオンが陽極−陰極間の伝導に関与し電圧を下げる(電気伝導度を上げる)ことができるため、電気分解の効率を向上させることが可能となる。
また、陽極を上下方向に移動させるための他の手段として、前記電気分解部の陽極にフロートを取り付けることで前記陽極が電解容器内の水面に追従して上下方向に移動するようにしてもよい。
陽極にフロートを取り付けることで、特段の駆動機構を用いることなく、常時、陽極を水面から一定距離だけ下方へ離れて位置するように維持することができる。これにより、水を電気分解する際、硬度成分を電解容器に収容された水全体から吸着することが可能となる。従って、電気分解の効率としてのロスを最小化することが可能となる。
ただ、いずれにしても電極表面は水平方向を向くように配置されるため、陽極の下面側には酸素ガスがたまりやすくなる。そこで、電極表面に酸素の気泡が付着するのを抑制して良好な電気分解効率を維持するために、電解容器内の水を撹拌するスターラ―等の装置、あるいは、電気分解部の電極を振動又は揺動させる装置、超音波振動子など、電気分解部に付着する気泡を除去する気泡除去装置を併用するのが好ましい。
上述のごとく、電解容器内で電極表面から気泡を除去することが可能である場合、機能水生成時の陰極(炭素電極)を陽極(金属電極)よりも上側に配してもよい。これにより、洗浄水で炭素電極を直接的に洗い流すことが可能となり、陰極表面に残存したアルカリ水成分や硬度成分をより効果的に除去することができる。
また、電解容器を着脱可能に保持する本体部が設けられ、前記排水口は、電解容器が本体部から取り外された状態で、電解容器内に給水するための給水口として機能する構成としてもよい。
すなわち、上記構成では、排水口は、給水時に上向きにされて給水口として機能するため、電気分解部の陽極及び陰極は立てた状態となり、手の震えなどに対して水のこぼれにくい安定感のある給水が可能である。また、電極洗浄後、電解容器を本体部から取り外した状態で、硬度成分が溶解した残留水を廃棄する時、排水口は下向きとされて廃水口として機能する。このとき、電気分解部の陽極及び陰極は立てた状態となり、残留水は、排水口に向かって電極の表面を沿うように流れるため、電極表面にいまだ付着した硬度成分などを効果的に除去することが可能となる。
上記構成の機能水発生器において、排出部から排出された機能水はそのまま利用に供することもできるが、機能水をミスト又はスチームの形で空気中に放出する拡散部を備えた構成としてもよい。機能水を空気中に拡散させることで、加湿が可能であるとともに、硬度成分が家具や窓ガラスに付着するのを抑制することができる。
特に、拡散部として機能水をミスト化するミスト発生装置を用いる場合、酸性水である機能水をミスト化することによって、機能水のpHを変動させることなく、空間中、若しくは人体に噴射することが可能となり、空間中に噴射した際には機能水の有している殺菌効果による細菌感染の予防等、空気の洗浄化又は加湿用途として好適に使用することができる。また、肌などに噴射した際は、アストリンゼン効果による消毒効果、皮膚等の活性化、肌の引き締め効果等、美容用途として好適に使用することができる。
以上のように、本発明によれば、電気分解部の陽極と陰極とを垂直方向に平行に対向配置したため、電解容器内で生成した機能水を最大限利用することが可能となる。
本発明の実施形態を示す機能水発生器の構成を示す模式図であり、電解容器が満水の状態を示す。 上記機能水発生器において、電気分解により生成した機能水を拡散部に導入した状態を示す図である。 上記機能水発生装置において、電気分解時の反応を説明するための模式図である。 図3の上記機能水発生装置において、電極洗浄時の反応を説明するための模式図である。 電気分解部の概略構成斜視図である。 別の態様の電気分解部を用いた機能水発生装置において、電極洗浄後に生成したアルカリ水をアルカリ水貯蔵部に導入した状態を示す図である。 本発明の機能水発生器の動作を説明するための模式図である。 機能水発生器の第二の実施形態を示す模式図であり、電解容器が満水の状態を示す。 図8の機能水発生装置において、電気分解により生成した機能水を拡散部に導入した状態を示す模式図である。 電気分解時において、電流又は電極間隔を変化させた場合のpH値と電気分解時間との関係を示すグラフである。 機能水発生器の第三の実施形態を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る機能水発生器の構成を示す図であり、電解容器内に給水した状態を示す模式図であり、図2は図1の機能水発生器において生成した機能水を電解容器からは排水して拡散部に導入した状態を示す模式図である。
本発明の機能水発生器は一槽方式で、水Wを電解して機能水を生成する電解容器1と、機能水を空気中に拡散する拡散部2と、電解容器1の排水口15と拡散部2とを接続して電解容器1から拡散部2へ機能水を導入する排出部3と、電解容器1内に設置される電気分解部4と、電解容器1及び拡散部2が着脱可能に取り付けられる本体部5とを備えている。
排出部3は排水口15と拡散部2とを接続する配管6と、配管5の途中に介在する開閉弁7とから構成され、電解容器1内の水Wを排水可能とされている。電解容器1内の下部には電気分解部4が設けられる。電気分解部4は、機能水生成時の陽極としての白金電極9と、陰極としての炭素電極10から構成される。なお、電気分解部4は、白金電極9及び炭素電極10をユニット化して電解容器1に対して着脱可能に設ければ、メンテナンス及び電極交換が容易である点で好ましい。
本発明の機能水発生器は、前述のごとく、電解容器1を本体部5に対して着脱可能とすることで、電極洗浄後に、容器内に残存した水を本体部5を動かすことなしに、簡易に排水することが可能となる。これによって、ユーザーメンテナンスを平易化することができる。また、洗浄時に本体部5等に余計な水が掛かることを防げるため、回路系のショートによる誤作動を防止できる。なお、着脱時の電気的接触を取るため、電解容器1側、本体部5側の双方に接点を設け、電気的な接触を取るようにする。
具体的には、図3及び図4に示すように、本体部5に装着された状態の電解容器1の白金電極9及び炭素電極10に通電するための接触電極11が本体部5に設けられる。接触電極11にはスイッチング回路12を介して定電流発生源13が接続される。接触電極11に供給される電流の向きは、制御装置14において切り替え制御される。制御装置14はマイコンからなり、電気分解部4に供給する電流量及び電流の向きを制御するほか、開閉弁7の開閉、拡散部2の運転等を制御する。
白金電極9及び炭素電極10はともに平板状に形成されており、白金電極9と炭素電極10とが垂直方向に間隔をおいて平行に対向配置される。本実施形態では、白金電極9は炭素電極10よりも上側に配される。
排水口15は、電気分解部4よりも高い位置、すなわち、白金電極9の上面よりも高い位置に設けられる。これにより、開閉弁7を開放して排水口15から電解容器1内の水Wを排水しても、図2に示すように、白金電極9及び炭素電極10全体が水Wに浸漬した状態で保たれる。
このとき、白金電極9及び炭素電極10は、図5に示すように、横倒しにして電極表面が水平方向Xを向くようにし、両電極9及び10を垂直方向Yに間隔をおいて対向配置したため、電極9及び10の表面を垂直方向Yに向けて立てた状態に比べて電解容器内に占める電気分解部4の容積は小さくて済む。
したがって、白金電極9及び炭素電極10全体が水Wに浸漬した状態を保つだけの水量を残してその他を排水する場合に、排水量を多くすることが可能となる。なお、本発明において電極表面が水平方向Xを向くとは、電極表面が垂直方向に向いて立てた状態に比べて横倒しすることで電気分解部の容積が小さくなればよく、多少水平方向に対して傾斜した状態であっても何ら問題はない。
上記構成の機能水発生器の動作について説明する。図7は、機能水発生器の動作内容の概略を説明するための図である。先ず、給水口1aから一槽式の電解容器1内に水Wが供給される。使用する水Wとしては、普通の水道水を用いることができる。具体的に、例えば、大阪府八尾市の水道水(pH=7.5、硬度約50mg/L)を用いた場合、水500mLに対し、電流値:500mA、電極サイズ:150mm×100mm、電極間距離:15mmにて電流を印加した特、電圧値:30V以下という比較的低い電圧値で電気分解を行うことができる。
これにより、ユーザーのランニングコストを低減することが可能である。なお、水道水単独での使用も可能であるが、必要に応じて、KCl、NaClなどの電解添加剤を0.1〜1wt%程度添加して電気分解を促進(電圧値を低下)させても良い。
電解容器1内が満水になって電気分解部4の電極9及び10が水に浸漬した状態で電気分解が実施される。電気分解は、図3に示すように、白金電極9を陽極、炭素電極10を陰極として実行される。電気分解により生成した機能水は酸性化する。具体的に、電気分解を行う水が500mlの場合、500mA、電極サイズ:150mm×100mm、電極間距離:15mmで4分間電気分解を行うことで、pH=3.0〜3.2程度の酸性の機能水が得られる。
なお、本実施形態の機能水発生器は、バッチ方式で電気分解が行われる。バッチ方式とは、電解容器に所定量の水を加えた後は実質的に電解容器内の水の出し入れを行うことなく、電気分解を実行することを意味する。
電気分解時は、陽極である白金電極9から酸素ガスを放出し、残った水素イオンが水中に遊離することで、下記反応式(1)に示すように酸性化する。
Figure 2014065966
一方、陰極である炭素電極10では水道水等の水中に溶存しているMgイオン、Caイオンなどの硬度成分を下記反応式(2)で示すように炭素電極の有する多孔質吸着面を利用して電気二重層イオンとして効果的に吸着させている。
Figure 2014065966
なお、本実施形態では、図3及び図5に示すように、炭素電極10よりも白金電極9が上側に配置されているため、電気分解により白金電極9から酸素ガスが発生しても発生した酸素ガスが炭素電極10に付着して電気分解を阻害するおそれはない。ただ、白金電極の下面側には酸素ガスがたまりやすくなる。
そこで、より効率的に電気分解を行うため、白金電極にスリットを設けたり、短冊状に形成した複数の白金電極を水平方向に間隔をおいて並べたり、若しくはメッシュ状にすることでガスを溜まりにくくすることができるとともに、白金電極上で生成する酸アルカリイオンを白金電極の上下で効果的に対流させることができる。さらに、電解容器内の水を撹拌する装置、あるいは、電気分解部の電極を振動又は揺動させる装置、超音波振動子など、電気分解部に付着する気泡を除去する気泡除去装置を用いれば、電極9,10に接触する水の面積が増加し、さらには電解容器内の水が均質化されることによって、より効率よく電気分解を行うことができる。
また、電解容器1内の水をより効率良く対流させるため、電極9,10の端部と電解容器1の間には、接触電極11に接続される電極基端部を除いて最低5mm以上の間隔が開いていることが望ましい。こうすることで、気泡除去装置の作用と相まって電解容器1内の対流がより起こりやすくなり、より効率よく電気分解を行うことができる。
上記電気分解により、生成した機能水中の硬度成分濃度を低減することができ、得られた機能水を噴霧式の加湿器に使用することで、家具や窓ガラスにカルシウム塩やマグネシウム塩が付着するのを抑制することが可能となる。また、機能水を加熱式の加湿器に使用することで、加湿フィルタ等に硬度成分がスケールとして堆積するのを抑制することができる。
機能水のpHは2.5以上5.0以下であることが好ましい。この機能水を拡散部2においてミスト化することによって、機能水のpHを変動させることなく、空気中又は人体に噴射することが可能となり、空気中に噴射した際には酸性の機能水の殺菌効果によって細菌感染の予防が可能となる。肌などに噴射した際は、アストリンゼン効果による消毒効果、皮膚等の活性化、肌の引き締め効果を奏する。なお、ミストMは、たとえば、超音波振動子、あるいはエアポンプによる霧吹きの原理を用いて発生させることができる。
また、拡散部2にスチーム発生装置を用いることで、水の沸騰で機能水のpHは多少中性側にシフトするが、元になる機能水は電気分解により硬度成分を低下させた水であるため、水道水をスチームに使用した場合に問題となる硬度成分(スケール)の噴出口付近への堆積を防止し、噴出口が詰まって噴出しなくなるといったトラブルの発生を抑制することができる。
従って、水道水のみの利用であっても、特段のメンテナンス無しに、長期間スチームの稼働が可能というユーザーメリットを奏する。無論、スチーム噴射により、空気中には加湿効果、肌などに噴射した際は、温スチームによる肌の潤い改善の効果を奏する。なお、スチーム発生の為には水を沸騰化させる必要があるが、これは例えばセラミックヒーター等の昇熱器により1段回、若しくは多段階で昇熱、沸騰化して良い。なお、散水槽はミスト発生槽、スチーム発生槽のどちらであっても良く、また、双方を備えたものであっても良い。
なお、前記電解容器1内及び拡散部2のいずれの水中にも卑金属を含まないことが望ましい(ここで、卑金属とは例えば白金、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム等、酸性水である機能水に対して安定な金属以外を指すものとする)。これは鉄や銅等の金属材料が機能水の流路に存在すると、機能水と酸化還元反応を起こすことで機能水のpHが中性化してしまい、所望のpHの機能水が取り出せなくなるからである。従って、上述のヒーターにおいても、セラミックヒーター等、機能水と反応を起こしにくい材料であることが望ましい。
制御装置14は、電解容器1内の水に所定量の電流が流れた時点で電気分解を終了し、開閉弁7を開放することで、生成した機能水は排出部3を通って拡散部2に導入される。拡散部2では、機能水をミスト化又はスチーム化する装置が設けられており、制御装置14によってこの装置の運転が開始され、これによって機能水がミストM又はスチームの状態で空気中に拡散する。
一方、機能水の大部分が排出された後の電解容器1内には、電極9及び10の全体が浸漬するだけの量の機能水が残留する。すなわち、電極9及び10の全体が浸漬するだけの機能水が残留する高さに排水口15が形成され、開閉弁7を開放するだけで必要な量の機能水が残留するようになっている。
電解容器1では、電極9及び10が機能水に浸漬した状態で、図4に示すように、制御装置14によって電気分解時とは逆向きの電流を流すことにより、電極洗浄が行われる。この場合、炭素電極10が陽極となり、白金電極9が陰極となる。これにより、陽極である炭素電極10では電極表面に付着した硬度成分Mが下記反応式(3)に示すようにM2+となって水中に溶出する。
Figure 2014065966
一方、陰極となる白金電極の表面では、下記反応式(4)で表される反応が起こり、水素ガス(H)と水酸化イオン(OH-)が発生する。すなわち、上記反応により残留水をアルカリ水化でき、炭素電極に吸着したCaイオン、Mgイオンなどの硬度成分を溶出させることが可能である。なお、ここで残留水に印加する電流値は機能水の残留量に依らず、上記機能水生成時と同等の電気量を流せば良く、例えば500mAで4分間、又は、250mAで8分間等であれば良い。
本実施形態では、電気分解、機能水の排水及び電極洗浄は、制御装置14によって自動的に実行される。これにより、ユーザーの利便性を高めることができるほか、自動的に電極を良好な状態に維持することができる。ただ、電気分解後に手動で機能水の排水及び電極洗浄を行うようにしてもよい。
Figure 2014065966
上記陽極及び陰極は一対以上であれば良く、例えば、陽極と陰極とを垂直方向に間隔をおいて交互に配置してもよい。また、炭素電極の硬度成分の溶出は、電解容器内で機能水を生成する都度行っても良いし、5回乃至は10回程度機能水を生成した後、行なっても良い。また、排出部3は、途中で分離可能に設けられる。図1に示すように排出部3が一体に接続されているとき、すなわち、電解容器1が本体部5に装着されているときのみ排水口15から水を排出可能としている。一方、図3及び図4に示すように、排出部3を分離したとき、すなわち、電解容器1を本体部5から取り外したときは水が排出されない弁を用いるのが好ましい。
また、上記電気分解部4の電気分解に用いられる水としては、水道水を用いることが望ましい。これは、水道水には予めCaイオン、Mgイオンなどの硬度成分が含まれており、これらがイオン伝導に寄与するため、比較的低電圧で電気分解が可能となるからである。従って、通常の水道水により、比較的低い電圧値を用いた場合であっても低電圧(低電力)で電気分解を行うことができ、ユーザーのランニングコストを低減することができる。硬度成分溶存量が比較的低い地域などでは、便宜上、KCl、NaCl等の電解添加剤を微量添加(0.1〜1wt%程度)しても良い。
なお、本実施形態では白金電極を陽極として電気分解を行うことで機能水を生成しているが、ここで陽極に用いる電極は溶解しない電極部材であればよく、カーボン等でも良いが、水の電気分解を効率的に行いやすい金属、例えば白金、金、パラジウム、ロジウム、イリジウムの内、いずれか1つの金属(またはその合金)が好適であり、例えばチタンからなる電極の表面を白金でコートしたものでもよい。
上記構成の機能水発生器においては、電極洗浄後の硬度成分が溶出した水は、次回の機能水生成までにユーザーで廃棄すれば良く、次回の使用直前に廃棄、新しい溶液の供給を行なっても良いが、硬度成分の電極への再付着を防止するため、毎回の使用後に廃棄することが望ましい。
図8、9は、本発明の第二実施形態を示す図であり、図8は電解容器が満水の状態の機能水発生器の模式図を示し、図9は電気分解により生成した機能水を拡散部に導入した状態の機能水発生器の模式図を示す。本実施形態においては、白金電極9にフロートを取り付けた点が図1における機能水発生器と異なる点であり、他の構成は図1と同様とされている。
本実施形態の機能水生成器は、電解容器1中の陽極としての白金電極9の端部にフロート8を取付けることで、白金電極9について、液面に追従して位置が上下方向に移動可能とされる。すなわち、図8に示すように、電解容器1内に収容された水を電気分解する際には、白金電極9は水面に追従して電解容器1の上部まで上昇し、取水した水全体に対して電気分解して機能水を生成する。
排水口15から機能水を排水すると、図9に示すように、機能水の水面に追従して白金電極9が下降する。そして、電解容器1内に残留した水に対して機能水生成時とは逆向きの電流を印加することで、機能水生成時に活性炭電極に最大限吸着された硬度成分を最小限の水量にて溶出除去することができる。
図10は、実際に電極間隔を変えた場合の機能水の生成時間を比較したものである(電解条件:水300mLに対し、電極サイズ:90mm×70mm、電極間距離:10mmにて300mA、500mA電流を印加)。
陽極固定時(電極間隔:10mm)に対し、水面に追従させる(電極間隔:25mm、電極位置=液面下3mm)ことで、例えばpH4.5の機能水を生成するための時間を比較すると、500mAの電流印加の場合、約8秒、300mAの電流印加の場合、電流値にも依るが、約12秒の時間短縮(6〜8%程度)が見られる。これは主として、機能水生成時生成した水素イオンを白金電極の下方向にのみ拡散できるため、陽極で発生した水素イオンが陽極−陰極間の伝導に関与し電圧を下げる(電気伝導度を上げる)ことが可能となり、これによって電気分解の効率を向上させることができるためと考えられる。
この様に、陽極を水面に追従させて動かすことで、電解時間の短縮化を図ることができる。また、機能水生成時に活性炭電極に最大限吸着された硬度成分を最小限の水量にて溶出除去することができる。なお、陽極は、水面表面から1mm〜10mm下方に位置するように水面の変動に追従して移動するようにすればよい。フロートは、電解容器壁面を摺動しながら上下方向に移動可能となる様、平滑な部材からなることが好ましい。また、印加する電流値が大きくなるに従って、短縮される時間は短くなる。その一方で、電極の寿命は短くなるため、電流密度としては120A/m以下とすることが望ましい。
図11は、本発明の第三の実施形態を説明するための模式図である。本実施形態においては、排出部3を分離して電解容器1を本体部5から取り外すと、排水口15は自動的に閉鎖される。なお、排水口15は手動で開放可能に設けられ、給水時に給水口1aとして機能する。
すなわち、給水時に排水口15は、上向きにされて手動で開放された後に、給水口1aとして電解容器1内に水Wが供給される。水Wとしては、普通の水道水を用いることができる。電解容器1内を満水にした後、電解容器1を元の状態(排水口15が横向きになった状態)にして本体部5に装着する。着脱時の電気的接触を取るため、電解容器1側、本体部5側の双方に接点を設け、電気的な接触を取るようにする。
電解容器1を本体部5に装着することにより、すなわち、排出部3が一体に接続された状態で排水口15は開放状態となり、排出部3の開閉は開閉弁7の開閉によって制御される。なお、本体部5から電解容器1に給電され、電気分解が開始される。1〜3分程度の電気分解を行うことで、pH=2.5〜5.0程度の機能水が生成する。
電気分解完了後、機能水発生器本体に設けられた開閉弁7をOPENにすることで、電解容器1において生成された機能水は排出部3を介して本体部5に導入される。(機能水発生器本体に機能水を導入した後、電解容器内に逆向き電流を印加することにより、残留水に対し、活性炭電極に付着した硬度成分を溶出除去することが可能である)
すなわち、本実施形態では、排水口は、給水時に上向きにされて給水口として機能するため、電気分解部の陽極及び陰極は立てた状態となり、手の震えなどに対して水のこぼれにくい安定感のある給水が可能である。また、電極洗浄後、電解容器を本体部から取り外した状態で、硬度成分が溶解した残留水を廃棄する時、排水口は下向きとされて廃水口として機能する。このとき、電気分解部の陽極及び陰極は立てた状態となり、残留水は、排水口に向かって電極の表面を沿うように流れるため、電極表面に残った硬度成分などを効果的に除去することが可能となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。たとえば、本実施形態では、白金電極9は炭素電極10よりも上側に配されているが、これに限らず、図6に示すように、炭素電極10を白金電極9よりも上側に配することも可能である。これにより、電気分解部を内部に設けた容器を洗浄する際、洗浄水で炭素電極をより直接的に洗い流すことが可能である。
水中の硬度成分は活性炭表面の白金電極対向面に多くが付着するため、水道水等の洗浄水で電解容器を洗い流す時、洗浄水からの水圧が直接的に炭素電極に掛かり、活性炭表面を効果的に洗うことができるため、残存したアルカリ水成分、残存した硬度成分をより効果的に洗い流すことが可能である。
また、炭素電極を上に配置することにより、電気分解される水はすべて炭素電極を通過することになるため、炭素電極の吸着作用により、水中の微粒子等のホコリ成分を吸着でき、水の清浄化も図ることができる。なお、効果的に洗浄水で炭素電極を洗い流すため、炭素電極はできるだけ多孔質であるものが好適であり、また、厚みは4mm以下であることが望ましい。
なお、より効率的に電気分解を行うため、炭素電極にスリットを設けたり、短冊状に形成した複数の炭素電極を水平方向に間隔をおいて並べたり、若しくはメッシュ状にすることで、白金電極で生じたガスを溜まりにくくすることができるとともに、白金電極上で生成する酸アルカリイオンを炭素電極の上下で効果的に対流させることができる。
1 電解容器
2 拡散部
3 排出部
4 電気分解部
5 本体部
6 配管
7 開閉弁
8 フロート
9 白金電極
10 炭素電極
11 接触電極
12 スイッチング回路
13 定電流発生源
14 制御装置
15 排水口

Claims (12)

  1. 電解容器内に陽極及び陰極から成る電気分解部が設けられ、前記電解容器内に供給された水を前記電気分解部にて電気分解することにより機能水を生成した後、電解容器の排水口から前記機能水を排出する際に、前記陽極及び陰極の両電極が浸漬するように電解容器内に機能水を残留させ、前記電気分解部の電極に対して機能水生成時とは逆向きの電流を流すことにより、機能水生成時に電極に付着した硬度成分を水中に溶出させる電極洗浄を行う機能水発生器であって、前記陽極と陰極とが垂直方向に平行に対向配置されたことを特徴とする機能水発生器。
  2. 前記電気分解部の陽極が陰極よりも上側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の機能水発生器。
  3. 前記陽極が電解容器内の水面に追従して上下方向に移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の機能水生成器。
  4. 前記電気分解部の陽極にフロートを取り付けることを特徴とする請求項3に記載の機能水生成器。
  5. 前記電気分解部の陰極が陽極よりも上側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の機能水発生器。
  6. 前記電解容器内に、前記電気分解部に付着する気泡を除去する気泡除去装置が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の機能水発生器。
  7. 前記電解容器内において、陽極及び陰極の端部は電極基端部を除いて前記電解容器の内壁から5mm以上離れていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の機能水発生器。
  8. 前記排水口から排出された機能水をミスト又はスチームの形で空気中に放出する拡散部を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の機能水発生器。
  9. 前記電解容器内及び拡散部のいずれの水中にも卑金属を含まないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の機能水発生器。
  10. 前記電解容器を着脱可能に保持する本体部が設けられ、前記排水口は、電解容器が本体部から取り外された状態で、電解容器内に給水するための給水口として機能することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の機能水発生器。
  11. 空気の清浄化又は加湿用途として用いられることを特徴とする請求項8又は9に記載の機能水発生器。
  12. 美容用途として用いられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の機能水発生器。
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