JP2014065897A - 油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】精製処理を施したジアシルグリセロール高含有油脂であって、風味の良好な油脂組成物を提供することにある。
【解決手段】油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジアシルグリセロール含有率の高い油脂組成物に関する。
油脂は身体の栄養素やエネルギーの補給源(第1次機能)として欠かせないものであるが、加えて、味や香りなど嗜好性を満足させる、いわゆる感覚機能(第2次機能)を提供するものとして重要である。さらに、ジアシルグリセロールを高濃度に含む油脂は体脂肪燃焼作用等の生理作用(第3次機能)を有していることが知られている。
植物の種子、胚芽、果肉等から圧搾されたままの油脂には、トリアシルグリセロール以外に脂肪酸、モノアシルグリセロール、有臭成分等が含まれている。また、油脂は加工する際にエステル交換反応、エステル化反応、水素添加処理等で加熱工程を経ることで、微量成分が発生し、風味が低下する。これら油脂を食用油として使用するためには、これら微量成分を除去する事による風味改善が必要である。その手段として、高温減圧下で水蒸気と接触させる、いわゆる脱臭処理が一般的に行われている(特許文献1)。
また、ジアシルグリセロール高含有油脂については、良好な風味とするためジアシルグリセロールに富む油脂に有機酸を添加し、多孔性吸着剤で脱色処理した後、脱臭処理が行われている(特許文献2)。
特開昭59−68398号公報 特開平4−261497号公報
しかしながら、従来のような精製処理を行ったジアシルグリセロール高含有油脂組成物においても、風味が悪化してしまうことがあることが判明した。
従って、本発明は、精製処理を施したジアシルグリセロール高含有油脂であって、風味の良好な油脂組成物を提供することに関する。
そこで、本発明者は、精製処理されたジアシルグリセロール高含有油脂の風味の変化の原因について種々検討してきたところ、原料油脂の加水分解、加水分解により得られた脂肪酸とグリセリンとのエステル化及びその後の精製処理のうちのいずれかの段階で、総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が増加し、これが得られた油脂組成物の風味悪化の原因であることを突き止めた。そして、当該脂肪酸エステルの含有量を2質量%以下に抑制すれば風味の良好なジアシルグリセロール高含有油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(1)、(2)、(3)及び(4):
(1)油脂加水分解酵素を用いて原料油脂を加水分解する工程、
(2)加水分解反応物から冷却により固体を析出し、固体を分別により除去することで分別脂肪酸を得る工程、
(3)得られた分別脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させて油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上の油脂組成物を得る工程、
(4)得られた油脂組成物に吸着剤を接触させる工程
を含む、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物の製造法を提供するものである。
本発明のジアシルグリセロール高含有油脂組成物は、風味が良好であり、健康機能を有する油脂として広い範囲で応用可能である。
本発明の油脂組成物は、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%(以下、単に「%」で示す)以上であるが、さらに25%以上、さらに30%以上、さらに40%以上、さらに50%以上、さらに70%以上であることが、風味が良好である点から好ましい。上限は特に規定されないが、工業的生産性の点から99%以下が好ましく、98%以下がより好ましく、97%以下がさらに好ましい。具体的な好ましい油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合は、20〜99%であり、より好ましくは25〜99%、さらに好ましくは30〜99%、さらに好ましくは40〜99%、さらに好ましくは50〜98%、さらに好ましくは70〜97%である。なお、本発明において「油脂」とは、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものとする。
本発明における油脂組成物は、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロールの割合が10%以下であるが、さらに5%以下、さらに2.5%以下、さらに2%以下であるのが風味、外観、油脂の工業的生産性等の点で好ましい。油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロール割合は0%以上であるのが好ましく、0.1%以上であるのが風味、外観、油脂の工業的生産性等の点で好ましい。油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロールの割合は0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜2.5%がさらに好ましく、0.1〜2%がさらに好ましい。
本発明の油脂組成物は、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2%以下であることが、風味の点で重要である。当該総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルは、ジアシルグリセロール高含有油脂組成物の製造及び精製のいずれかの工程で副生するものと考えられる。当該脂肪酸エステルの含有量は、風味の点から2%以下であるが、1.9%以下が好ましく、1.8%以下がさらに好ましい。当該脂肪酸エステルは含有しないことがさらに好ましい。当該脂肪酸エステルの含有量の下限は、0であることが好ましいが、工業生産性の点から0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることがより好ましく、0.5%以上であることが好ましい。
また、当該脂肪酸エステルの含有量は、0〜1.9%、さらに0.1〜1.9%、さらに0.3〜1.9%、さらに0.5〜1.9%、さらに0.5〜1.8%が好ましい。
脂肪酸エステル体は脂肪酸とアルコールとのエステル体であり、総炭素数が43以上51未満のジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール、植物ステロールの脂肪酸エステル体、高級アルコールと脂肪酸エステルとのエステルワックスを含む。
当該脂肪酸エステルは、ガスクロマトグラフィー(GLC)によって存在を確認でき、定量することが可能である。当該脂肪酸エステル含有量を2%以下に低減するには、後記の分別による製造法を採用する他、カラムによる分離、分子蒸留等によっても行うことができる。
本発明の油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、風味の点から、8%以下であることが好ましく、7.5%以下であることがより好ましく、7%以下であることがより好ましく、6.5%以下であることがより好ましい。飽和脂肪酸の含有量の下限は0が好ましいが、通常、飽和脂肪酸の含有量は1%以上である。また、油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、0〜7.5%、さらに0〜7%、さらに1〜6.5%が好ましい。
不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、さらに16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、さらに16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、飽和脂肪酸の含有量は、風味の点から、8%以下であることが好ましく、7.5%以下であることがより好ましく、7%以下であることがより好ましく、6.5%以下であることがより好ましい。また、飽和脂肪酸の含有量の下限は0が好ましいが、通常、飽和脂肪酸の含有量は1%以上である。また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、飽和脂肪酸の含有量は、0〜7.5%、さらに0〜7%、さらに1〜6.5%が好ましい。
不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、さらに16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、さらに16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。
天然に存在する二重結合を有する不飽和脂肪酸は一般にシス型であるが、熱履歴によりトランス型に異性化を起こす場合がある。本発明の油脂組成物中のジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、オレイン酸がトランス型となったもの、すなわちエライジン酸の含有量は、生理効果の点から1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。エライジン酸の含有量の下限は0が好ましい。
また、二重結合を2個有する炭素数18の脂肪酸(「全リノール酸」と呼ぶ)に対する、二重結合を2個有しかつトランス型二重結合を含む炭素数18の脂肪酸(「トランス型リノール酸」と呼ぶ)の割合を百分率で表したもの(「トランス体含有率(%)」と呼ぶ)は、通常精製処理の程度に比例して高くなる傾向がある。
油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中、トランス体含有率は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2.5%以下がさらに好ましい。トランス体含有率の下限は0が好ましい。
また、油脂組成物のジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、トランス体含有率は4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2.5%以下がさらに好ましい。トランス体含有率の下限は0が好ましい。
本発明の油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中、α−リノレン酸(C18:3)の含有量は、風味、酸化安定性の点から、10%以下であるのが好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下であるのがさらに好ましく、2%以下であるのがさらに好ましい。また、α−リノレン酸の含有量の下限は、0であることが好ましいが、通常、α−リノレン酸の含有量は0.1%以上である。また、油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量は、0〜8%、さらに0〜5%、さらに0〜3%、さらに0〜2%、さらに0.1〜2%が好ましい。
また、本発明の油脂組成物のジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、α−リノレン酸(C18:3)の含有量は、風味、酸化安定性の点から、10%以下であるのが好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下であるのがさらに好ましく、2%以下であるのがさらに好ましい。また、α−リノレン酸の含有量の下限は、0であることが好ましいが、通常、α−リノレン酸の含有量は0.1%以上である。また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量は、0〜8%、さらに0〜5%、さらに0〜3%、さらに0〜2%、さらに0.1〜2%が好ましい。
また、モノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中、リノール酸(C18:2)の含有量は、風味、酸化安定性の点から、20%以上であるのが好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、40%以上がさらに好ましく、45%以上がさらに好ましく、50%以上がさらに好ましい。また、α−リノレン酸の含有量の上限は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることが好ましい。また、油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量は、20〜60%、さらに25〜60%、さらに30〜60%、さらに40〜60%、さらに45〜55%、さらに50〜55%が好ましい。
また、本発明の油脂組成物のジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、リノール酸(C18:2)の含有量は、風味、酸化安定性の点から、20%以上であるのが好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、40%以上がさらに好ましく、45%以上がさらに好ましく、50%以上がさらに好ましい。また、α−リノレン酸の含有量の上限は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることが好ましい。また、ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量は、20〜60%、さらに25〜60%、さらに30〜60%、さらに40〜60%、さらに45〜55%、さらに50〜55%が好ましい。
また、モノアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明における油脂組成物は、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するトリアシルグリセロールの割合が4.9〜69.9%であることが好ましく、さらに6.9〜39.9%、さらに6.9〜29.9%であるのが生理効果、油脂の工業的生産性、外観の点で好ましい。また、トリアシルグリセロールの構成脂肪酸は、ジアシルグリセロールと同じ構成脂肪酸であることが、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
また、本発明における油脂組成物は、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対する遊離脂肪酸(塩)の割合が、5%以下であることが好ましく、さらに0〜2%、さらに0〜1%であるのが風味、油脂の工業的生産性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物において、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量の油脂組成物中の含有量は、95%以上であることが好ましく、さらに98%以上、さらに99%以上であるのが風味、油脂としての使用の点で好ましい。また、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量の油脂組成物中の含有量は、99.8%以下、さらに99.75%以下、さらに99.7%以下であることが油脂の工業生産の点で好ましい。
また、本発明の油脂組成物は、ドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−III 18(09)(DGF Standard Methods 2009(14.Supplement),C−III 18(09),“Ester−bound 3−chloropropane−1,2−diol(3−MCPD esters)and glycidol (glycidyl esters)”)にて測定されるMCPD−FSの含有量が3ppm以下であるのが好ましく、さらに2ppm以下、さらに1ppm以下であることが、風味の重さを改善するという点から好ましい。
DGF標準法C−III 18(09)は、GC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析計)による油脂の微量分析法であり、3−クロロプロパン−1,2−ジオール及びそのエステル(MCPDエステル)並びにグリシドール及びそのエステルの測定方法である。これら4成分の含有量合計がMCPD−FSの分析値として測定される。
本発明においては、当該標準法7.1記載のオプションA(“7.1 Option A:Determination of the sum of ester−bound 3−MCPD and glycidol”)の方法を用いる。測定方法の詳細は実施例に記載した。
本発明の油脂組成物は、油脂を加水分解して得られた脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのグリセロリシス反応等を行い、その後精製処理を行うことにより得ることができるが、前記総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量の少ない油脂組成物を効率的に得る点から、次の工程(1)、(2)、(3)及び(4)を含む方法により製造するのが好ましい。
(1)油脂加水分解酵素を用いて原料油脂を加水分解する工程、
(2)加水分解反応物を冷却し固体を析出し、固体を分別により除去し、分別脂肪酸を得る工程、
(3)得られた分別脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させて油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上の油脂組成物を得る工程、
(4)得られた油脂組成物に吸着剤を接触させる工程。
本発明の油脂組成物の製造に用いる原料油脂は、植物性油脂、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、例えば、大豆油、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、コーン油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ゴマ油、シソ油、アマニ油等の植物性油脂、さらに魚油、ラード、牛脂、バター脂等の動物性油脂、あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油等の油脂類を挙げることができるが、植物油脂がより好ましく、大豆油、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、コーン油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油等がさらに好ましい。なかでも、サフラワー油、コーン油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油及びオリーブ油は、α−リノレン酸が少なく、加水分解後のトランス不飽和脂肪酸含量を低減させる点から好ましい。また、油脂は、原料の全部又は一部に、油脂の精製処理において脱臭を行っていない油脂、即ち未脱臭油脂を用いるのが、加水分解後のトランス不飽和脂肪酸含量を低減できるので好ましい。
工程(1)の原料油脂の加水分解は、油脂加水分解酵素を用いて温和な条件で行うのが風味の点で好ましい。
油脂の酵素分解法に使用する油脂加水分解酵素としては、リパーゼが好ましい。リパーゼは、動物由来、植物由来のものはもとより、微生物由来の市販リパーゼを使用することもできる。例えば、微生物由来リパーゼとしては、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のものが挙げられる。
さらに、油脂加水分解酵素を担体に固定化した固定化油脂加水分解酵素を用いることが酵素活性を有効利用できる点から好ましい。また、固定化酵素を用いることは、加水分解反応物と酵素の分離が簡便である点からも好ましい。
油脂加水分解酵素の加水分解活性は20U/g以上、さらに100〜10000U/g、さらに500〜5000U/gの範囲であることが好ましい。ここで酵素の1Uは、40℃において、油脂:水=100:25(質量比)の混合液を攪拌混合しながら30分間加水分解をさせたとき、1分間に1μmolの遊離脂肪酸を生成する酵素の分解能を示す。
油脂加水分解酵素は充填塔に充填した状態での使用や攪拌槽での使用のどちらでもよいが、固定化酵素の破砕抑制の点から充填塔に充填した状態で使用することが好ましい。
油脂の加水分解反応に用いる酵素量(乾燥質量)は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、分解する油脂100質量部(以下、単に「部」で示す)に対して0.01〜30部、さらに0.1〜20部、さらに1〜10部が好ましい。また、水の量は、分解する油脂100部に対して10〜200部、さらに20〜100部、さらに30〜80部が好ましい。水は、蒸留水、イオン交換水、脱気水、水道水、井戸水等いずれのものでも構わない。グリセリン等その他の水溶性成分が混合されていても良い。必要に応じて、酵素の安定性が維持できるようにpH3〜9の緩衝液を用いてもよい。
反応温度は、酵素の活性をより有効に引き出し、分解により生じた遊離脂肪酸が結晶とならない温度である0〜70℃、さらに20〜50℃とすることが好ましい。また反応は、分解脂肪酸組成物の酸化劣化抑制の点から空気との接触が出来るだけ回避されるように、窒素等の不活性ガス存在下で行うことが好ましい。
本発明において、油脂の加水分解は、回分式、連続式、又は半連続式で行うことができる。油脂と水の装置内への供給は、並流式、向流式どちらでもよい。加水分解反応装置に供給される油脂及び水は、必要により予め脱気又は脱酸素した油脂及び水を用いることが油脂の酸化抑制の点から好ましい。
工程(2)において、加水分解反応物から冷却により固体を析出し、固体を分別により除去し、分別脂肪酸を得る工程は、風味のよいジアシルグリセロール高含有油脂組成物を得る点、及び前記脂肪酸エステルの増加を防止する点から重要である。
固体を析出させる冷却温度は、脂肪酸原料の種類によって適宜選択されるが、−5〜15℃、更に0〜15℃、更に2〜13℃、更に3〜11℃、殊更3〜9℃であることが好ましい。該冷却温度範囲に至るまでの冷却速度は、目的の脂肪酸組成物中の飽和脂肪酸量をより低減できる点、生産性向上の点から10℃/分以下、更に0.1〜8℃/分であるが、殊更0.3〜5℃/分が好ましい。
析出した固体の除去手段としては、静置分離、濾過、遠心分離、脂肪酸に湿潤剤水溶液を混合し分離する方法等が挙げられる。界面活性剤及び無機電解質を含む水溶液である湿潤剤水溶液を固体が析出した脂肪酸に混合すると、析出した飽和脂肪酸結晶が疎水性から親水性になり、油相から水相へ移動して水相へ分散するため、脂肪酸組成物よりなる液体の油相から容易に分離することができる。
分別後の分別脂肪酸中の飽和脂肪酸濃度は8%以下が好ましく、7.5%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましい。飽和脂肪酸の下限は0であるのが好ましいが、通常は1%以上である。
工程(3)の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応は、リパーゼの存在下に行うのが好ましい。リパーゼは、固定化担体にリパーゼを固定化した固定化リパーゼを用いるのが好ましい。
得られた油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合は20%以上であるが、さらに25%以上、さらに30%以上、さらに40%以上、さらに50%以上、さらに70%以上であることが、風味が良好である点から好ましい。上限は特に規定されないが、工業的生産性の点から99%以下が好ましく、98%以下がより好ましく、97%以下がさらに好ましい。具体的な好ましい油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合は、20〜99%であり、より好ましくは25〜99%、さらに好ましくは30〜99%、さらに好ましくは40〜99%、さらに好ましくは50〜98%、さらに好ましくは70〜97%である。
エステル化反応を行う際の原料の仕込み比は、グリセリン基のモル数に対する脂肪酸基のモル数の比R(R=脂肪酸等(mol)/グリセリン(mol))を0.5〜5.0、さらに1.0〜4.0、さらに1.2〜3.0、さらに1.5〜2.5とすることが、反応油の組成が最適になる点(反応油中の脂肪酸等及びグリセリンの残存量、並びにモノアシルグリセロール又はトリアシルグリセロールの生成量が抑制され、蒸留負荷が低減すると共にジアシルグリセロール高含有となり、生産効率が高くなる点)から好ましい。
固定化リパーゼを用いて、グリセリンと脂肪酸等とを反応させる方法は、特に限定されず、固定化リパーゼと原料(グリセリンと脂肪酸等)を接触させればよく、接触手段としては、浸漬、攪拌、固定化リパーゼを充填したカラムにポンプ等で通液する方法等が挙げられる。攪拌する場合、生産効率の点、固定化リパーゼの破砕抑制の点から、10〜1000r/minが好ましく、さらに50〜700r/min、さらに100〜600r/minが好ましい。
エステル化反応に用いる固定化リパーゼ量(乾燥質量)は、リパーゼの活性を考慮して適宜決定することができるが、脂肪酸等とグリセリンを合計した原料100部に対して、0.1〜50部、さらに0.5〜30部、さらに1.0〜15部が好ましい。
また、エステル化反応の反応温度は、特に限定されないが、20〜80℃、さらに30〜70℃が反応性の点で好ましい。また、反応時間は、工業的な生産性の点から、10時間以内が好ましく、さらに0.1〜8時間、さらに0.2〜7時間、さらに0.3〜6時間が好ましい。
工程(4)は、得られた油脂組成物に吸着剤を接触させて精製する工程である。
吸着剤処理は、油脂組成物に吸着剤等を接触させ、色相、風味をさらに良好とする工程である。吸着剤としては、多孔質吸着剤が好ましく、例えば、活性炭、二酸化ケイ素、及び固体酸吸着剤が挙げられる。固体酸吸着剤としては酸性白土、活性白土、活性アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、アルミニウムシリケート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を用いることができる。なかでも、副生成物の含有量を低減する点、風味及び色相を良好とする点から、固体酸吸着剤が好ましく、酸性白土、活性白土が特に好ましい。吸着剤の使用量は、色相、風味をさらに良好とする点、生産性が良好である点から、油脂組成物に対して3%未満が好ましく、さらに0.1%〜2.5%未満、さらに0.2〜2%、とりわけ0.3〜1.75%が好ましい。
また、本発明の油脂組成物の精製工程として、通常油脂に対して用いられる精製工程を用いることもできる。具体的には、トップカット蒸留工程、酸処理工程、水洗工程、脱臭工程、薄膜蒸発処理工程等を挙げることができる。
トップカット蒸留工程は、油脂組成物を蒸留することにより、脂肪酸等の軽質の副生物を除去する工程をいう。
酸処理工程は、油脂にクエン酸等のキレート剤を添加、混合し、さらに油水分離や減圧脱水することにより水分を除き、不純物を除去する工程をいう。キレート剤の使用量は、油脂に対して0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
水洗工程は、油脂に水を接触させ、油水分離を行う操作を行う工程をいう。水洗により水溶性の不純物を除去することができる。水洗工程は複数回(例えば3回)繰り返すことが好ましい。
薄膜蒸発処理工程とは、蒸留原料を薄膜状にして加熱し、油脂から軽質留分を蒸発させ、処理を行った油脂を残留分として得る処理である。当該処理は薄膜式蒸発装置を用いて行われる。薄膜式蒸発装置としては、薄膜を形成する方法によって、遠心式薄膜蒸留装置、流下膜式蒸留装置、ワイプトフィルム蒸発装置(Wiped film distillation)等が挙げられる。
脱臭処理は、油脂組成物を減圧水蒸気蒸留する処理であり、処理温度は、120〜270℃で行うことができ、さらに150〜260℃、さらに180〜250℃が好ましい。また、処理時間は、1〜300分で行うことができ、さらに3〜180分、さらに5〜110分が好ましい。
本発明においては、特に精製処理の最終工程で脱臭処理を施すのが、油脂組成物の風味を良好とする点から好ましい。このときの処理条件は、通常の脱臭処理よりも低熱履歴(マイルド)となるような条件を用いることが好ましい。
通常の脱臭処理は、190〜220℃で120〜300分、220〜250℃で30〜180分、あるいは250〜270℃で5〜60分等であり、一方、低熱履歴の場合の脱臭処理は、120〜230℃、さらに好ましくは175℃〜230℃で、1〜110分、さらに好ましくは5〜110分である。
特に、油脂組成物の風味を良好とする点から、(A)処理温度が120℃以上205℃以下の場合、処理時間は5〜110分が好ましく、さらに15〜70分が好ましく、(B)処理温度が205℃超215℃以下の場合、処理時間は5〜50分が好ましく、さらに8〜45分、さらに12〜40分が好ましく、(C)処理温度が215℃超230℃以下の場合、処理時間は5〜30分が好ましく、さらに7〜27分、さらに10〜24分が好ましい。
また、圧力は0.01〜4kPa、さらに0.03〜1kPaであるのが油脂の風味を良好とする点から好ましい。同様の点から、水蒸気の量は、油脂に対して0.1〜20%が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。
脱臭処理では、水蒸気の代わりに水を導入し、装置内で水蒸気として接触させてもよい。また、水蒸気の代わりに不活性ガスを接触させる処理を行ってもよい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられるが、窒素が好ましい。不活性ガスを接触させる処理条件は、水蒸気と同様の条件が好ましい。
油脂組成物を脱臭処理する方法は特に限定されず、バッチ式、半連続式、連続式等で行ってもよい。処理すべき油脂の量が少量の場合はバッチ式を用い、多量になると半連続式、連続式を用いることが好ましい。
半連続式装置としては、例えば数段のトレイを備えた脱臭塔からなるガードラー式脱臭装置等が挙げられる。連続式装置としては、薄膜状の油脂と水蒸気を接触させることが可能な、構造物が充填された薄膜脱臭装置等が挙げられる。
本発明の油脂組成物には、さらに一般の食用油脂と同様に、保存性及び風味安定性の向上を目的として、抗酸化剤を添加することができる。抗酸化剤としては、ローズマリー抽出物等の天然抗酸化剤、トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、リン脂質等が挙げられる。
また、本発明の油脂組成物には、調理品の食感又は風味の向上、生理機能付与等の点から乳化剤等を添加することができる。添加剤等としては、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のポリオール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、植物ステロール、植物ステロールエステル等が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂とまったく同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。例えば、ドリンク、デザート、アイスクリーム、ドレッシング、トッピング、マヨネーズ、焼肉のたれ等の水中油型油脂加工食品;マーガリン、スプレッド等の油中水型油脂加工食品;ピーナッツバター、フライングショートニング、ベーキングショートニング等の加工油脂食品;ポテトチップ、スナック菓子、ケーキ、クッキー、パイ、パン、チョコレート等の加工食品;ベーカリーミックス;加工肉製品;冷凍アントレ;冷凍食品等に利用することができる。
次に本発明の実施態様の具体例を示す。
〔1〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物。
〔2〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である〔1〕の油脂組成物。
〔3〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である〔1〕または〔2〕の油脂組成物。
〔4〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が、好ましくは20〜99質量%、より好ましくは25〜99質量%、より好ましくは30〜99質量%、さらに好ましくは40〜99質量%、さらに好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは70〜99質量%である〔1〕の油脂組成物。
〔5〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロールの割合が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である〔1〕〜〔4〕のいずれかの油脂組成物。
〔6〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロールの割合が、好ましくは0、より好ましくは0.1質量%以上である〔1〕〜〔5〕のいずれかの油脂組成物。
〔7〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するモノアシルグリセロールの割合が好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜2.5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である〔1〕〜〔4〕のいずれかの油脂組成物。
〔8〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量の含有量が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上である〔1〕〜〔7〕のいずれかの油脂組成物。
〔9〕油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量の含有量が、好ましくは99.8質量%以下、より好ましくは99.75質量%以下、さらに好ましくは99.7質量%以下である〔1〕〜〔8〕のいずれかの油脂組成物。
〔10〕油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が、好ましくは1.9質量%以下、より好ましくは1.8質量%以下である〔1〕〜〔9〕のいずれかの油脂組成物。
〔11〕油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が、好ましくは0、より好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である〔1〕〜〔10〕のいずれかの油脂組成物。
〔12〕油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が、好ましくは0〜1.9質量%、より好ましくは0.1〜1.9質量%、さらに好ましくは0.3〜1.9質量%、さらに好ましくは0.5〜1.9質量%、さらに好ましくは0.5〜1.8質量%である〔1〕〜〔9〕のいずれかの油脂組成物。
〔13〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下さらに好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以下であり、また、好ましくは0、より好ましくは1質量%以上である〔1〕〜〔12〕のいずれかの油脂組成物。
〔14〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは0〜7.5質量%、より好ましくは0〜7質量%、さらに好ましくは1〜6.5質量%である〔1〕〜〔12〕のいずれかの油脂組成物。
〔15〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のトランス体含有率が好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である〔1〕〜〔14〕のいずれかの油脂組成物。
〔16〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、また、好ましくは0、より好ましくは0.1質量%以上である〔1〕〜〔15〕のいずれかの油脂組成物。
〔17〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量が、好ましくは0〜8質量%、より好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である〔1〕〜〔15〕のいずれかの油脂組成物。
〔18〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である〔1〕〜〔17〕のいずれかの油脂組成物。
〔19〕油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量が、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは25〜60質量%、さらに好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは40〜60質量%、さらに好ましくは45〜55質量%、さらに好ましくは50〜55質量%である〔1〕〜〔17〕のいずれかの油脂組成物。
〔20〕ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以下であり、また、好ましくは0、より好ましくは1質量%以上である〔1〕〜〔19〕のいずれかの油脂組成物。
〔21〕ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のトランス体含有率が、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である〔1〕〜〔20〕のいずれかの油脂組成物。
〔22〕ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のα−リノレン酸(C18:3)の含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、また、好ましくは0、より好ましくは0.1質量%以上である〔1〕〜〔21〕のいずれかの油脂組成物。
〔23〕ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中のリノール酸(C18:2)の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である〔1〕〜〔21〕のいずれかの油脂組成物。
〔24〕油脂組成物中のドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−III 18(09)にて測定されるMCPD−FSの含有量が、好ましくは3ppm以下、より好ましくは2ppm以下、より好ましくは1ppm以下である〔1〕〜〔23〕のいずれかの油脂組成物。
〔25〕次の工程(1)、(2)、(3)及び(4):
(1)油脂加水分解酵素を用いて原料油脂を加水分解する工程、
(2)加水分解反応物から冷却により固体を析出し、固体を分別により除去することで分別脂肪酸を得る工程、
(3)得られた分別脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させて油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上の油脂組成物を得る工程、
(4)得られた油脂組成物に吸着剤を接触させる工程
を含む、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20%以上、モノアシルグリセロールの割合が10%以下であり、総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2%以下である油脂組成物の製造法。
〔26〕固体を析出させる冷却温度が、好ましくは−5〜15℃、より好ましくは0〜15℃、さらに好ましくは2〜13℃、さらに好ましくは3〜11℃、さらに好ましくは3〜9℃である〔25〕の製造法。
〔27〕該冷却温度範囲に至るまでの冷却速度が、好ましくは10℃/分以下、より好ましくは0.1〜8℃/分、より好ましくは0.3〜5℃/分である〔26〕の製造法。
〔28〕分別後の分別脂肪酸中の飽和脂肪酸濃度が好ましくは8%以下、より好ましくは7.5%以下、より好ましくは7%以下である〔25〕〜〔27〕の製造法。
〔分析方法〕
(i)MCPD−FSの測定(ドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−III 18(09)オプションA準拠)
フタ付試験管に油脂サンプル約100mgを計量し、内標(3−MCPD−d5/t−ブチルメチルエーテル)50μL、t−ブチルメチルエーテル/酢酸エチル混合溶液(体積比8:2)500μL、及び0.5Nナトリウムメトキシド1mLを添加して攪拌した後、10分間静置した。ヘキサン3mL、3.3%酢酸/20%塩化ナトリウム水溶液3mLを添加し攪拌した後、上層を除去した。さらにヘキサン3mLを添加し攪拌した後、上層を除去した。フェニルボロン酸1g/95%アセトン4mL混合液を250μL添加して攪拌した後、密栓し、80℃で20分間加熱した。これにヘキサン3mLを加え攪拌した後、上層をガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)に供して、MCPD−FSの定量を行った。なお、MCPD−FS含有量が0.144ppm以下の場合をND(検出限界以下)とした。
(ii)グリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の夫々のピーク面積の比率を感度補正し、グリセリド組成を求めた。
<GLC条件>
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=340℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
(iii)構成脂肪酸組成
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により求めた。
(iv)脂肪酸エステル
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析し、全ピーク面積に対する炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルのピーク面積の比率から油脂組成物中の総炭素数43以上51未満脂肪酸エステルの含有量を求めた。
<GLC条件>
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:CP,TAP for Triglyceride(VARIAN社製)
キャリアガス:1.7mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=345℃
ディテクター:FID、T=355℃
オーブン温度:220℃で12分間保持、10℃/分で305℃まで昇温、15分間保持、10℃/分で355℃まで昇温、30分間保持
〔風味評価〕
風味の評価は、5人のパネルにより、各人1〜2gを生食し、下記に示す基準にて官能評価することにより行い、その平均値を四捨五入して示した。
4:刺激味がほとんど無く、風味が非常に良い
3:刺激味が少なく、風味が良い
2:やや刺激味があり、風味がやや悪い
1:刺激味があり、風味が悪い
〔油脂組成物の製造〕
(1)ハイリノールヒマワリ油100質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に3℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、ヒマワリ油分別脂肪酸Aを得た。
(2)ヒマワリ分別脂肪酸A100質量部とグリセリン15質量部とを混合し、酵素によりエステル化反応を行い、ジアシルグリセロール(DAG)含有油脂を得た。得られたエステル化物から、蒸留により脂肪酸とモノアシルグリセロール(MAG)を除去した後、酸処理(10%クエン酸水溶液を2%添加)及び水洗(蒸留水3回)を行い、処理油を得た。処理油に水蒸気を接触させ脱臭を行い、次いで、活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業)を接触させ、脱色油を得た。さらに、水蒸気を接触させ脱臭を行い、油脂Aを得た。分析値を表1に示す。
(1)ハイリノールヒマワリ油35質量部とハイオレインヒマワリ油45質量部とナタネ油20質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に8℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、ヒマワリ分別脂肪酸Bを得た。
(2)ヒマワリ分別脂肪酸Bを用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Bを得た。分析値を表1に示す。
(1)ハイリノールヒマワリ油35質量部とハイオレインヒマワリ油45質量部とナタネ油20質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に3℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、ヒマワリ分別脂肪酸Cを得た。
(2)ヒマワリ分別脂肪酸Cを用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Cを得た。分析値を表1に示す。
(1)ハイリノールヒマワリ油90質量部とハイオレインヒマワリ油10質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸に湿潤剤15g(水94%、デシル硫酸ナトリウムとドデシル硫酸ナトリウムの混合物2%、硫酸マグネシウム4%)を添加して、段階的に12℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、ヒマワリ分別脂肪酸Dを得た。
(2)ヒマワリ分別脂肪酸Dを用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Dを得た。分析値を表1に示す。
(1)ハイリノールヒマワリ油79質量部とハイオレインヒマワリ油9質量部とアマニ油12質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に3℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、ヒマワリ分別脂肪酸Eを得た。
(2)ヒマワリ分別脂肪酸Eを用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Eを得た。分析値を表1に示す。
ヒマワリ分別脂肪酸D100質量部とグリセリン10質量部とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてグリセロリシス反応を行い、ジアシルグリセロール(DAG)含有油脂を得た。得られたグリセロリシス反応物から、蒸留により脂肪酸とモノアシルグリセロールを除去した後、酸処理(10%クエン酸水溶液を2%添加)及び水洗(蒸留水5回)を行い、処理油を得た。処理油に水蒸気を接触させ脱臭を行い、次いで、活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業)を接触させ、脱色油を得た。さらに、水蒸気を接触させ脱臭を行い、油脂Fを得た。分析値を表1に示す。
油脂B50質量部とナタネ油50質量部を混合し、油脂Gを得た。分析値を表1に示す。
ナタネ油70質量部とアマニ油30質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。脂肪酸100質量部とグリセリン15質量部とを混合し、酵素によりエステル化反応を行い、ジアシルグリセロール(DAG)含有油脂を得た。得られたエステル化物から、蒸留により脂肪酸とモノアシルグリセロール(MAG)を除去した後、酸処理(10%クエン酸水溶液を2%添加)及び水洗(蒸留水3回)を行い、処理油を得た。処理油に水蒸気を接触させ脱臭を行い、次いで、活性白土(ガレオンアースV2R、水澤化学工業)を接触させ、脱色油を得た。さらに、水蒸気を接触させ脱臭を行い、油脂Hを得た。分析値を表1に示す。
ハイリノールヒマワリ油100質量部を用いたい以外は油脂Hと同様にして、油脂Iを得た。分析値を表1に示す。
ハイリノールヒマワリ油35質量部とハイオレインヒマワリ油45質量部とナタネ油20質量部を用いた以外は、油脂Hと同様にして、油脂Jを得た。分析値を表1に示す。
サフラワー油100質量部を用いた以外は、油脂Hと同様にして、油脂Kを得た。分析値を表1に示す。
ハイオレインヒマワリ油100質量部を用いた以外は、油脂Hと同様にして、油脂Lを得た。分析値を表1に示す。
(1)大豆油100質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に−3℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、大豆分別脂肪酸を得た。
(2)大豆分別脂肪酸を用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Mを得た。分析値を表1に示す。
ナタネ油100質量部を用いた以外は、油脂Hと同様にして、油脂Nを得た。分析値を表1に示す。
(1)大豆油70質量部とナタネ油30質量部と水100質量部を混合し、酵素により加水分解反応を行い、脂肪酸を得た。得られた脂肪酸を段階的に−3℃まで冷却し、脂肪酸を析出させた。析出した脂肪酸を、遠心分離により分別し、大豆ナタネ分別脂肪酸を得た。
(2)大豆ナタネ分別脂肪酸を用いた以外は、油脂Aと同様にして、油脂Oを得た。分析値を表1に示す。
Figure 2014065897
実施例1〜8及び比較例1〜7
表1に示す組成の油脂組成物について、風味を評価した。その結果を表2に示す。
(評価基準)
4 刺激味がほとんどなく、風味が非常に良い
3 刺激味が少なく、風味が良い
2 やや刺激味があり、風味がやや悪い
1 刺激味があり、風味が悪い
Figure 2014065897
表2より、炭素数43以上51未満の脂肪酸エステル量が2%以下の油脂組成物は、風味が良いことがわかる。

Claims (15)

  1. 油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物。
  2. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸含有量が10質量%以下である請求項1記載の油脂組成物。
  3. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸含有量が0〜5質量%である請求項1記載の油脂組成物。
  4. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸含有量が0〜2質量%である請求項1記載の油脂組成物。
  5. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が8質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物。
  6. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が1〜6.5質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物。
  7. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量が20〜60質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の油脂組成物。
  8. 油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量が30〜55質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の油脂組成物。
  9. 油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が0.1〜1.9質量%である請求項1〜8のいずれか1項記載の油脂組成物。
  10. 油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が0.5〜1.9質量%である請求項1〜8のいずれか1項記載の油脂組成物。
  11. 油脂組成物中のドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−III 18(09)にて測定されるMCPD−FSの含有量(ppm)が3ppm以下である請求項1〜10のいずれか1項記載の油脂組成物。
  12. 次の工程(1)、(2)、(3)及び(4):
    (1)油脂加水分解酵素を用いて原料油脂を加水分解する工程、
    (2)加水分解反応物を冷却し固体を析出し、固体を分別により除去することで分別脂肪酸を得る工程、
    (3)得られた分別脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させて、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上である油脂組成物を得る工程、
    (4)得られた油脂組成物に吸着剤を接触させる工程
    を含む、油脂組成物中のトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール及び遊離脂肪酸の総量に対するジアシルグリセロールの割合が20質量%以上、モノアシルグリセロールの割合が10質量%以下であり、油脂組成物中の総炭素数43以上51未満の脂肪酸エステルの含有量が2質量%以下である油脂組成物の製造法。
  13. 得られる油脂組成物が、ドイツ脂質科学会(DGF)標準法C−III 18(09)にて測定されるMCPD−FSの含有量(ppm)が3ppm以下である請求項12記載の製造法。
  14. 得られた油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量が8質量%以下である請求項12又は13記載の製造法。
  15. 得られた油脂組成物中の油脂を構成する脂肪酸中のα−リノレン酸の含有量が10質量%以下である請求項12〜14のいずれかに記載の製造法。
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