JP2014065830A - 繊維強化プラスチックおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた機械的特性を有し、層間の接合強度に優れた繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部含まれていることを特徴とする繊維強化プラスチックとする。また、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部付与されてなる繊維強化プラスチック成形用基材を、加熱または加熱加圧して繊維強化プラスチックを成形する。
【選択図】なし
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部含まれていることを特徴とする繊維強化プラスチックとする。また、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部付与されてなる繊維強化プラスチック成形用基材を、加熱または加熱加圧して繊維強化プラスチックを成形する。
【選択図】なし
Description
本発明は、優れた機械的特性を有する繊維強化プラスチックおよびその製造方法に関するものである。
炭素繊維を強化材として使用した複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、線膨張係数が小さいので寸法安定性に優れることおよび、耐熱性、耐薬品性、耐疲労特性、耐摩耗性、電磁波シールド性、X線透過性にも優れることから、炭素繊維を強化材として使用した繊維強化プラスチックは、自動車、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。
具体例としては、炭素繊維フィラメントと他の有機繊維を混編、混織する方法や、炭素繊維および他の繊維をフィラメント状態のまま開繊し、シート状にしたものを積層した後、マトリックス樹脂のシート材とともにプレス等の技術手段により成型する方法、あるいは、炭素繊維および他の繊維を6mm以下の長さにカッティングしたカットファイバーを熱可塑性樹脂にコンパウンドの後、射出成型する方法などが挙げられる(特許文献1及び2等)。
フィラメント繊維による成型方法の場合、強度、剛性の高いハイグレードな繊維強化プラスチックの製造が可能であるものの、成型にかかるコストが非常に高く、一部の用途にのみ展開されているのが実状である。一方、射出成型を用いる方法では、加工特性に優れ、安価な繊維強化プラスチックが製造できるものの、添加する繊維が短くなり、剛性、耐衝撃性の面で十分な性能を得ることが困難である。
本発明の目的は、前記背景技術に鑑みなされたもので、優れた機械的特性を有し、層間の接合強度に優れた繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者が、検討した結果、強化繊維および熱可塑性繊維を一定の条件で混合した基材を用い、さらにこれに極細炭素繊維を添加することで、優れた強度、曲げ力学特性を有し、層間剥離が発生し難い繊維強化プラスチックが得られることを見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部含まれていることを特徴とする繊維強化プラスチックが提供される。
強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部付与されてなる繊維強化プラスチック成形用基材を、加熱または加熱加圧して繊維強化プラスチックを成形することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法が提供される。
本発明の繊維強化プラスチックは、極細炭素繊維を含有していることによって、強化繊維同士や基材同士を強固に結合し、曲げ強度や曲げ弾性率といった機械的特性が格段に向上している。さらに強化繊維として炭素繊維と耐熱有機繊維、特にアラミド繊維を併用することで耐衝撃性能に優れている。また、本発明の製造方法によれば、射出成形のように炭素繊維や耐熱有機繊維といった強化繊維が切断されて短くなったり、塊状となったりすることがなく、繊維間の交絡を成形できるため、成形体として十分な強度や弾性率を発揮することができる。しかも、上記製造方法によれば、極細炭素繊維を、強化繊維間や基材の層間にも均一に配することができ、十分に強化繊維や基材間を結合し、繊維強化プラスチックの機械的特性をさらに向上させることができる。
本発明の繊維強化プラスチックは、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる繊維強化プラスチックであり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなる。
本発明における強化繊維の形態は、カットファイバー(短繊維)であり、高い剛性を保持するために、繊維長は、20〜150mmであり、好ましくは20〜120mm、より好ましくは20〜100mm、さらに好ましくは20〜80mmである。
本発明においては、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明における強化繊維の形態は、カットファイバー(短繊維)であり、高い剛性を保持するために、繊維長は、20〜150mmであり、好ましくは20〜120mm、より好ましくは20〜100mm、さらに好ましくは20〜80mmである。
本発明においては、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明においては、強化繊維として、炭素繊維のみを用いるか、耐衝撃性を高めるため、炭素繊維と耐熱性有機繊維とを併用することが好ましい。
本発明で用いる炭素繊維(後述する極細炭素繊維を除く)としては、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維の原料としては特に限定するものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。
本発明で用いる炭素繊維(後述する極細炭素繊維を除く)としては、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維の原料としては特に限定するものではないが、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取扱性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。
本発明に用いる耐熱有機繊維は、融点、軟化点、または熱分解開始温度が250℃以上の耐熱性有機繊維であることが好ましく、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリエーテルアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどが好ましく使用できる。なかでも耐衝撃性、生産性、価格などからアラミド繊維が好ましく使用できる。
本発明におけるアラミド繊維とは、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、又はこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーであり、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。特にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドが、耐衝撃性の点から好ましい。
本発明においては、炭素繊維:耐熱有機繊維は重量比で、好ましくは100:0〜40:60、より好ましくは90:10〜40:60、さらに好ましくは70:30〜40:60である。炭素繊維の割合が少ないと曲げ強度や曲げ弾性率といった優れた機械的特性が得られ難くなる傾向にある。一方で、耐熱有機繊維を上記割合で含有させることにより耐衝撃性を向上させる上で有利である。
本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリプロプピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂が好ましく使用される。
上記熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm3/10分、より好ましくは16〜40cm3/10分、さらに好ましくは16〜30cm3/10分であることが好ましい。上記の溶融特性を有することにより、熱可塑性樹脂が、強化繊維間に十分に含浸し、さらに得られる繊維強化プラスチックの剛性や、耐衝撃性の向上が容易となる。特に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、上記メルトボリュームフローレイトを有する樹脂を用いることで、上記効果がより顕著に表れることがわかった。
上記熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm3/10分、より好ましくは16〜40cm3/10分、さらに好ましくは16〜30cm3/10分であることが好ましい。上記の溶融特性を有することにより、熱可塑性樹脂が、強化繊維間に十分に含浸し、さらに得られる繊維強化プラスチックの剛性や、耐衝撃性の向上が容易となる。特に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、上記メルトボリュームフローレイトを有する樹脂を用いることで、上記効果がより顕著に表れることがわかった。
本発明においては、強化繊維:熱可塑性樹脂が重量比で5:95〜70:30であり、好ましくは20:80〜60:40である。強化繊維の重量比が5重量%未満では、十分な力学的特性、すなわち曲げ強度や、曲げ弾性率を得ることができず、一方、熱可塑性樹脂の重量比が30重量%未満では、強化繊維を十分に結合して繊維強化プラスチックを形成するのが難しくなる。
本発明の繊維強化プラスチックは、直径200nm以下の極細炭素繊維が、強化繊維100重量部に対して、0.1〜10重量部含有していることが肝要であり、これを満たすことにより、成型後の繊維強化プラスチック基材の物理特性の向上がみられる。これは極細の炭素繊維が層間剥離を妨げる結果、部材として剛性が高まり、各種の機械的特性が向上するためと考えられる。本発明の極細炭素繊維は、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の各種炭素系ナノ物質をいうが、直径200nm以下であればこれら列挙したものに限定されない。極細炭素繊維が、強化繊維100重量部に対して、0.1重量部未満では、層間剥離を抑制する効果が得られず、一方、10重量部では、層間剥離の効果にミクロな部位でムラが生じて全体として逆に応力集中が起こり、機械的特性が逆に低下する場合がある。
従来のカットファイバー(短繊維)からなる繊維強化プラスチックでは、射出成型によるものが一般的であり、かかる方法では、炭素繊維等は射出成型時に切断されての繊維長が短くなり、耐熱有機繊維が塊状になるため、短繊維でも長い繊維長を有したままで、それらを均一に配することが難しく、十分な曲げ強度や曲げ弾性率、耐衝撃性を得ることができない。
以上に説明した本発明の繊維強化プラスチックは以下の方法に製造することができる。すなわち、強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部付与されてなる繊維強化プラスチック成形用基材(以下、単に基材と称することがある)を、加熱または加熱加圧して繊維強化プラスチックを成形する製造方法である。この方法により、柔軟で立体形状への賦型が容易であるだけでなく、基材を構成する強化繊維に極細炭素繊維を付与し易くし、かつ基材間にも極細炭素繊維が多く配された基材とすることができ、これを単層で用い繊維間の結束を強くし、特にこれを積層して用いても層間の剥離を抑え、強化繊維のプラスチックの機械的特性を格段に向上させることができる。
本発明で用いる基材においては、上記のように強化繊維:熱可塑性繊維が重量比で5:95〜70:30であり、好ましくは20:80〜60:40である。強化繊維の重量比が5重量%未満では、十分な力学的特性、すなわち曲げ強度や、曲げ弾性率を得ることができず、一方、熱可塑性樹脂の重量比が30重量%未満では、熱可塑性繊維を溶融し十分に繊維間に含浸させて繊維強化プラスチックを成形するのが難しくなる。
本発明の熱可塑性繊維は、前記の熱可塑性樹脂を溶融紡糸等により繊維状に成形したものを好ましく提示でき、前記のように該熱可塑性樹脂は、ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した、メルトボリュームフローレイトが、好ましくは12〜60cm3/10分、より好ましくは16〜40cm3/10分、さらに好ましくは16〜30cm3/10分である。
本発明における熱可塑性繊維の形態は、また、炭素繊維や耐熱有機繊維と同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、繊維長は好ましくは20〜150mmであり、より好ましくは30〜100mm、さらに好ましくは35〜80mm、よりさらに好ましくは35〜65mmである。また、同様の観点から、繊維径は、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは5〜60μmである。
本発明においては、基材の柔軟性を確保するために繊維の伸度を高くすることが有用である。一般に、強化繊維は高モジュラスであり、熱可塑性繊維の伸度を高く設計することが望ましい。特に融点や軟化点が高く、溶融粘度が高い熱可塑ポリマーからなる熱可塑性繊維を用いた場合、該繊維の伸度を高くすることにより、基材の柔軟性を高めることができる。よって、熱可塑性繊維の伸度は、好ましくは30%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは60%以上である。一方、伸度があまり大きすぎても、ニードルパンチ等で繊維が伸び成形性が悪くなるため、好ましくは150%以下、より好ましくは120%以下、さらに好ましくは100%以下とするのが望ましい。特に、熱可塑性繊維としてポリカーボネート繊維を用いる場合は、上記伸度とすることが好ましい。
本発明で用いる基材は、強化繊維と熱可塑性繊維を混合したものである。強化繊維を予めマトリックス樹脂となる熱可塑性繊維と混合することにより、均一な基材を作成可能であり、例えばポリカーボネート樹脂のように溶融時の粘度が高い樹脂であっても、強化繊維近傍にマトリックス樹脂を存在させることが可能となるため、強化繊維とマトリックス樹脂とを容易に密着することができる。
本発明で用いる基布としては、不織布の形態であることが好ましく、乾式不織布、湿式不織布のいずれもが使用可能であるが、剛性、耐衝撃性を特に要求される製品においては、繊維長の長いことが有益であるため、乾式不織布法にて作成することがより好ましい。また、繊維は開繊機、カードなどの工程により一方向に引き揃えられることが剛性、耐衝撃性をより向上させる。
一方、湿式不織布法においては、完成した繊維強化プラスチックの剛性面では劣るものの、黒鉛、セラミックなどに代表されるフィーラーを同時に添加することにより、耐熱性、導電性、蓄熱性、伝熱性、電磁波遮蔽性などの新たな機能を追加した繊維強化プラスチックの作成が可能であり、非常に有用である。
本発明において、強化繊維と熱可塑性繊維とが、少なくとも一部で交絡していることが好ましい。かかる交絡としては、厚さ方向に切断した基材の切断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:12倍)にて観察し、基材の厚さの半分以上の長さにわたって、厚さ方向(厚さ方向に対し、±45°以内の方向を含む)に配列している5本以上の短繊維が絡み合って集束した繊維束が、基材表面を観察し1cm2当たり1ケ以上あることが好ましい。かかる交絡の存在により、基材の取扱いが容易になり、かつ、立体成形性においても有利な構造となる。よって、あまり上記交絡が多すぎても、基布が硬くなる傾向にあり、強化繊維と熱可塑性繊維とが両方で5本以上絡み合った繊維束の数(交絡数)は、基材表面において、好ましくは1〜50ケ/cm2であり、より好ましくは1〜20ケ/cm2である。なお、この交絡は、ニードルパンチ不織布の場合は針の打ち込み密度により、ウォーターニードルの場合は水柱の密度により、湿式不織布の場合は繊維の水中への分散、撹拌の条件の調整により上記範囲とすることができる。
また、本発明においては、強化繊維同士、強化繊維が炭素繊維と耐熱有機繊維からなる場合、それらが少なくとも一部で交絡していることが好ましい。これによって、熱可塑性樹脂中に強化繊維が交絡せずに含有される繊維強化プラスチックと対比し、高い剛性や耐衝撃性を発揮することができる。かかる観点から、上記交絡の状態としては、強化繊維と熱可塑性繊維、または、強化繊維同士が不織布形状として互いの繊維が交絡していることが好ましい。
基材をニードルパンチ不織布とする場合は、打ち込み密度を、好ましくは200〜800本/cm2、好ましくは300〜700本/cm2とすることが望ましい。打ち込み密度が200本/cm2未満では、十分に繊維同士を交絡させることができず、基材の形態維持性が低下し、繊維強化プラスチックに立体成型する際に目付に変動し易くなる。一方、打ち込み密度が200本/cm2超えると、基材が硬くなり易く好ましくない。
また、基材の1枚の目付は、好ましくは50〜500g/cm2、より好ましくは70〜400g/cm2、70〜300g/cm2とすることが好ましい。目付が50g/cm2未満では取扱い性が悪くなる傾向があり、500g/cm2を超えると基材が硬くなり立体成形性が低下する傾向にある。
上記基材を用いて本発明の繊維強化プラスチックを成形する際は、基材を1枚または複数積層して用いることができる。本発明においては、1枚の基布の目付を上記範囲とすることにより、積層数を増やしても、基材が複雑な金型にも柔軟に適応して、立体成形を容易に行うことができる。
不織布の作成方法としては、一般的な乾式不織布、湿式不織布のいずれもが使用可能であるが、剛性、耐衝撃性を特に要求される製品においては、繊維長の長いことが有益であるため、乾式不織布法にて作成することがより好ましい。また、繊維は開繊機、カードなどの工程により一方向に引き揃えられることが剛性、耐衝撃性をより向上させる。
上記基材に、極細炭素繊維を付与する方法としては、極細炭素繊維を水等の媒体に分散させた分散体に基材を浸漬させマングルで絞液し、乾燥させる方法、又は、該分散体を基材にスプレーする方法等を採用することができる。この際、分散体中の極細炭素繊維の濃度やマングルの絞り圧の調整によって、前記の付与量とすることができる。分散体中の極細炭素繊維は特に限定されないが、例えば2〜50重量%、さらに5〜30重量%等を採用することができる。
繊維強化プラスチックの成型方法としては、プレス成型、スタンパブル成型などが好適例として示されるが、一般的な熱圧成型法は全て適用可能である。この際、熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で加熱または加熱加圧を行うことで、繊維強化プラスチックを成形することができる。この際、極細繊維は、強化繊維に絡みつき、樹脂中に含有された状態で留まり、強化繊維同士や基材同士を強固に結合し、高い曲げ強度や曲げ弾性率を向上させる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)繊維強化プラスチックの曲げ強度、弾性率
JIS K 7171に準拠し、厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を用いて、支点間距離80mmでの3点曲げにて測定した。
(7)繊維強化プラスチックの衝撃強度
JIS K 7111に準拠し、厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を用いて測定した。
(8)層間剥離強度(ILSS)
JIS K 7057に準拠し、厚さ2mm、長さ20mm、幅10mmの試験片を用いて、支点間距離10mm、試験速度1.0mm/分、圧子の曲率半径が荷重側5.0mm、支点側2.0mmにて層間剥離強度を測定した。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)繊径
キーエンス社製光学顕微鏡DEGITAL MICROSCOPE VHX−1000を用い1000倍で繊維断面の直径を10本測定し、その平均値とした。
(3)繊維の引張強度、伸度、弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂のメルトボリュームフローレイト
ISO 1133に準拠して300℃、荷重1.2kgにて測定した。
(5)各繊維の融点、軟化点、熱分解開始温度
株式会社リガク社製示差熱分析装置TAS200にて窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定し算出した。
(6)繊維強化プラスチックの曲げ強度、弾性率
JIS K 7171に準拠し、厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を用いて、支点間距離80mmでの3点曲げにて測定した。
(7)繊維強化プラスチックの衝撃強度
JIS K 7111に準拠し、厚さ2mm、長さ100mm、幅10mmの試験片を用いて測定した。
(8)層間剥離強度(ILSS)
JIS K 7057に準拠し、厚さ2mm、長さ20mm、幅10mmの試験片を用いて、支点間距離10mm、試験速度1.0mm/分、圧子の曲率半径が荷重側5.0mm、支点側2.0mmにて層間剥離強度を測定した。
[実施例1]
強化繊維として繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維を用い、熱可塑性繊維として、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm3/10分間)を290℃にて溶融押し出し、直径30μm、伸度60%のフィラメントを得、これを51mmにカットしたポリカーボネート繊維と用い、これらの繊維を、重量比で40:60に混合し、開繊機にて混合して繊維の引き揃え性を向上させ、カード工程を通過させることで目付200g/m2の繊維ウェブを作成した。
得られた繊維ウェブを、直径150nm、長さ8μmのカーボンナノチューブ(昭和電工制VGCF)を10重量%分散させた水(水分散体)に浸漬させマングルで絞液し乾燥させた。上記に繊維ウェブにおいて、強化繊維100重量部に対するカーボンナノチューブの付与量は、浸漬後のマングルの絞り圧の調整によっても行った。
さらに得られた繊維ウェブをニードルパンチ機に通して38番針にて針深度10mm、打ち込み密度を500本/cm2として目付200g/m2のプラスチック成形用基材を得た。上記基材を12枚積層し、予め離型処理を施したステンレス板で挟み、ホットプレス熱盤上にセットした後、同じく予め離型処理を施した鋼製スペーサーを使用して、圧力5MPa、温度300℃にてプレス成型し、繊維強化プラスチックを成形した。
強化繊維として繊維径7μmの炭素繊維(東邦テナックス製、引張強度4200MPa)を35mmにカットした繊維を用い、熱可塑性繊維として、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトL−1225L メルトボリュームフローレイト 18cm3/10分間)を290℃にて溶融押し出し、直径30μm、伸度60%のフィラメントを得、これを51mmにカットしたポリカーボネート繊維と用い、これらの繊維を、重量比で40:60に混合し、開繊機にて混合して繊維の引き揃え性を向上させ、カード工程を通過させることで目付200g/m2の繊維ウェブを作成した。
得られた繊維ウェブを、直径150nm、長さ8μmのカーボンナノチューブ(昭和電工制VGCF)を10重量%分散させた水(水分散体)に浸漬させマングルで絞液し乾燥させた。上記に繊維ウェブにおいて、強化繊維100重量部に対するカーボンナノチューブの付与量は、浸漬後のマングルの絞り圧の調整によっても行った。
さらに得られた繊維ウェブをニードルパンチ機に通して38番針にて針深度10mm、打ち込み密度を500本/cm2として目付200g/m2のプラスチック成形用基材を得た。上記基材を12枚積層し、予め離型処理を施したステンレス板で挟み、ホットプレス熱盤上にセットした後、同じく予め離型処理を施した鋼製スペーサーを使用して、圧力5MPa、温度300℃にてプレス成型し、繊維強化プラスチックを成形した。
[実施例2]
炭素繊維の代わりに繊維径12μmのアラミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維を用いた以外は実施例1の場合と同様の処理をし、プラスチック成形用基材を作成し、さらに繊維強化プラスチックを成形した。
炭素繊維の代わりに繊維径12μmのアラミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維)(帝人テクノプロダクツ製 テクノーラ(商標)、引張強度3400MPa)を51mmにカットした繊維を用いた以外は実施例1の場合と同様の処理をし、プラスチック成形用基材を作成し、さらに繊維強化プラスチックを成形した。
[実施例3]
炭素繊維の代わりに炭素繊維とアラミド繊維を50:50で予め混綿した繊維を用いた以外は実施例1の場合と同様の処理をし、プラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを作成した。
炭素繊維の代わりに炭素繊維とアラミド繊維を50:50で予め混綿した繊維を用いた以外は実施例1の場合と同様の処理をし、プラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを作成した。
[実施例4〜6]
熱可塑性繊維をポリカーボネート繊維から直径18μmのポリプロピレン繊維に変更し、プレス成型の温度を220℃とした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
熱可塑性繊維をポリカーボネート繊維から直径18μmのポリプロピレン繊維に変更し、プレス成型の温度を220℃とした以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
[実施例7〜9、比較例3、4]
カーボンナノチューブ水分散体中のカーボンナノチューブの濃度を調整し(比例的に濃度を変更)、さらにマングルの絞り圧を調整することによって、表1の強化繊維100重量部に対するカーボンナノチューブの付着量となるようにした以外は、実施例1と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
カーボンナノチューブ水分散体中のカーボンナノチューブの濃度を調整し(比例的に濃度を変更)、さらにマングルの絞り圧を調整することによって、表1の強化繊維100重量部に対するカーボンナノチューブの付着量となるようにした以外は、実施例1と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
[比較例1]
繊維ウェブをカーボンナノチューブ水分散体に含浸しなかった以外は、実施例3と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
繊維ウェブをカーボンナノチューブ水分散体に含浸しなかった以外は、実施例3と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
[比較例2]
繊維ウェブをカーボンナノチューブ水分散体に含浸しなかった以外は、実施例6と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
繊維ウェブをカーボンナノチューブ水分散体に含浸しなかった以外は、実施例6と同様にしてプラスチック成形用基材を作成し、繊維強化プラスチックを成形した。
本発明は、優れた機械的特性を有する繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供するものであり、該繊維強化プラスチックは、補強用、摩擦・摺動用、自動車、船舶などの産業用部品、電気・電子機器、AV機器、OA機器、建築用の部品・部材、建材、建具、パッキン類又はシール類などに好適に用いることができる。
Claims (11)
- 強化繊維と熱可塑性樹脂とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性樹脂30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部含まれていることを特徴とする繊維強化プラスチック。
- 強化繊維が、炭素繊維(極細炭素繊維を除く)、および/または、融点、軟化点又は熱分解開始温度が250℃以上の耐熱有機繊維である請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
- 耐熱有機繊維が、アラミド繊維、ポリオキシベンザゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維の少なくとも一種である請求項2に記載の繊維強化プラスチック。
- 熱可塑性樹脂が、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 強化繊維の繊維長が5〜150mmである請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 強化繊維の平均繊維直径が5〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 熱可塑性樹脂のメルトボリュームフローレイトが16〜60cm3/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 炭素繊維と耐熱有機繊維との両方を含み、該炭素繊維と該耐熱有機繊維が少なくとも一部で交絡している請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 強化繊維と熱可塑性繊維とからなり、強化繊維5〜70重量%および熱可塑性繊維30〜95重量%からなり、直径200nm以下の極細炭素繊維が、該強化繊維100重量部に対して0.1〜10重量部付与されてなる繊維強化プラスチック成形用基材を、加熱または加熱加圧して繊維強化プラスチックを成形することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
- 熱可塑性繊維が、ポリプロプピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる請求項9に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 強化繊維および熱可塑性繊維からなる基材に、極細炭素繊維を分散させた分散体を浸漬または散布することにより、極細炭素繊維を付与する請求項9または10に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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JP2020066186A (ja) * | 2018-10-25 | 2020-04-30 | トヨタ自動車株式会社 | 繊維強化樹脂の製造装置 |
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-
2012
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