JP2014065449A - ハイブリッド車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速走行時の回生量を増加させるとともに、加速走行に移行する際の応答性を向上させる。
【解決手段】ハイブリッド車両の駆動装置は、エンジンと駆動輪との間に締結状態と解放状態とに切り換えられるクラッチを有する。また、ハイブリッド車両の駆動装置は、乗員のアクセル操作およびブレーキ操作に基づいて、クラッチを制御する車両制御ユニットを有する。車両制御ユニットは、PS1モードでの走行時に、アクセル操作およびブレーキ操作が解除された場合には、PS1モード信号を出力し(S18)、クラッチを締結状態に維持する。一方、車両制御ユニットは、PS1モードでの走行時に、アクセル操作が解除されてブレーキ操作が実施された場合には、EVモード信号を出力し(S15)、クラッチを締結状態から解放状態に切り換える。
【選択図】図12

Description

本発明は、エンジンおよびモータジェネレータを備えるハイブリッド車両の駆動装置に関する。
動力源としてエンジンおよびモータジェネレータを備えたハイブリッド車両が開発されている(特許文献1参照)。このようなハイブリッド車両においては、減速走行時に運動エネルギーを回収して燃費性能を向上させるため、ブレーキペダルの踏み込みに伴ってモータジェネレータを回生させている。例えば、特許文献1のハイブリッド車両においては、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて、油圧ブレーキやエンジンブレーキを作動させるとともに、モータジェネレータを回生させている。
特開2011−213181号公報
ところで、回生制動に適した走行モードと加速走行に適した走行モードとは、互いに異なる走行モードとなっている。このため、減速走行時に回生制動に適した走行モードが選択された場合には、モータジェネレータの回生量が増加するものの、アクセルペダルが踏み込まれて加速走行に移る際の応答性が低下してしまうという問題がある。一方、減速走行時に加速走行に適した走行モードが選択された場合には、アクセルペダルが踏み込まれて加速走行に移る際の応答性が高められるものの、モータジェネレータの回生量が低下してしまうという問題がある。したがって、モータジェネレータを回生させる減速走行時には、その後の走行状況を想定して適切な走行モードを選択することが重要となっている。
本発明の目的は、減速走行時の回生量を増加させるとともに、減速走行から加速走行に移る際の応答性を向上させることにある。
本発明のハイブリッド車両の駆動装置は、駆動輪に連結されるエンジンと、前記駆動輪に連結されるモータジェネレータと、を備えるハイブリッド車両の駆動装置であって、前記エンジンと前記駆動輪との間に設けられ、前記エンジンと前記駆動輪とを接続する締結状態と、前記エンジンと前記駆動輪とを切り離す解放状態とに切り換えられるクラッチ機構と、乗員のアクセル操作およびブレーキ操作に基づいて、前記クラッチ機構を制御する車両制御部と、を有し、前記車両制御部は、前記クラッチ機構が締結状態となる走行時に、アクセル操作およびブレーキ操作が解除された場合には、前記クラッチ機構を締結状態に維持する一方、前記クラッチ機構が締結状態となる走行時に、アクセル操作が解除されてブレーキ操作が実施された場合には、前記クラッチ機構を解放状態に切り換えることを特徴とする。
本発明によれば、アクセル操作およびブレーキ操作が解除された場合には、クラッチ機構が締結状態に維持される一方、アクセル操作が解除されてブレーキ操作が実施された場合には、クラッチ機構が解放状態に切り換えられる。このように、ブレーキ操作が解除される場合つまり乗員の制動意思が弱い場合には、クラッチ機構を締結状態に維持することにより、減速走行から加速走行に移行する際の応答性を向上させることが可能となる。一方、ブレーキ操作が実施される場合つまり乗員の制動意思が強い場合には、クラッチ機構を解放状態に切り換えることにより、減速走行時の回生量を増加させることが可能となる。
本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図である。 駆動装置の制御系を示すブロック図である。 各走行モードにおけるクラッチ、モータジェネレータ、エンジンの作動状態を示す説明図である。 各走行モードの切換順序を示す説明図である。 (a)および(b)はシリーズモードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はEVモードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はPS1モードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はPS2モードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はOD1モードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)はOD2モードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 (a)および(b)は直結モードにおける駆動装置の作動状態を示す概略図および共線図である。 減速走行時における走行モードの切換手順の一例を示すフローチャートである。 減速走行時における走行モードの切換状況の一例を示す説明図である。 減速走行時における走行モードの切換状況の一例を示す説明図である。 (a)および(b)は減速走行時における走行モードの切換状況の一例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置10を示す概略図である。図1に示すように、ハイブリッド車両に搭載される駆動装置10は、動力源として内燃機関であるエンジン11を備えている。また、駆動装置10は、動力源として第1モータジェネレータ(モータジェネレータ)M1を備えている。さらに、駆動装置10は、動力源として第2モータジェネレータ(第2のモータジェネレータ)M2を備えている。
エンジン11とモータジェネレータM2との間には、遊星歯車列によって構成される動力分割機構12が設けられている。動力分割機構12は、エンジン11のクランク軸13にダンパ機構14を介して連結されるキャリア15と、キャリア15に回転自在に支持されるピニオンギヤ16とを有している。ピニオンギヤ16には第1ギヤ部16aおよび第2ギヤ部16bが形成されており、第1ギヤ部16aと第2ギヤ部16bとは同軸上に配置されている。第1ギヤ部16aには第1サンギヤ17が噛み合っており、第2ギヤ部16bには第2サンギヤ18が噛み合っている。第1サンギヤ17にはモータ出力軸19を介してモータジェネレータM2のロータ20aが連結されており、第2サンギヤ18には中空軸21を介してシンクロハブ22が固定されている。また、ピニオンギヤ16の第1ギヤ部16aにはリングギヤ23が噛み合っており、リングギヤ23には中空軸24を介してスプライン歯25が固定されている。さらに、駆動装置10のケース26にはスプライン歯27が固定されている。このように、動力分割機構12は、回転要素として、キャリア15、ピニオンギヤ16、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18およびリングギヤ23を備えている。
図1に示すように、シンクロハブ22の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ30が噛み合っている。シンクロスリーブ30にはフォーク部材31が装着されており、フォーク部材31はアクチュエータ32の伸縮ロッド32aに連結されている。シンクロスリーブ30を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ30をスプライン歯25に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ30を介して第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ30を矢印b方向に移動させることにより、シンクロスリーブ30をスプライン歯27に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ30を介して第2サンギヤ18とケース26とを締結することが可能となる。また、シンクロスリーブ30を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ30はシンクロハブ22だけに噛み合った状態となる。
これらのシンクロハブ22、スプライン歯25およびシンクロスリーブ30によって、第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結する締結状態と、締結を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチCL3が構成されている。このクラッチCL3を締結することにより、第2サンギヤ18とリングギヤ23とを締結することができ、動力分割機構12を構成する複数の回転要素を一体に回転させることが可能となる。一方、クラッチCL3を解放することにより、第2サンギヤ18とリングギヤ23とを解放することができ、動力分割機構12を構成する複数の回転要素を個々に回転させることが可能となる。また、シンクロハブ22、スプライン歯27およびシンクロスリーブ30によって、第2サンギヤ18とケース26とを締結する締結状態と、締結を解除する解放状態とに切り換えられるクラッチCL4が構成されている。このクラッチCL4は、サンギヤ18をケース26に固定するブレーキ機構として機能している。
これらのクラッチCL3,CL4は、共用される1つのシンクロスリーブ30を有している。このシンクロスリーブ30をアクチュエータ32によってスライドさせることにより、双方のクラッチCL3,CL4の作動状態を切り換えることができる。すなわち、シンクロスリーブ30を矢印a方向に移動させることにより、クラッチCL3を締結状態に切り換えることが可能となり、クラッチCL4を解放状態に切り換えることが可能となる。また、シンクロスリーブ30を図1に示す中立位置に移動させることにより、クラッチCL3,CL4を共に解放状態に切り換えることが可能となる。さらに、シンクロスリーブ30を矢印b方向に移動させることにより、クラッチCL4を締結状態に切り換えることが可能となり、クラッチCL3を解放状態に切り換えることが可能となる。
図1に示すように、リングギヤ23とスプライン歯25とを連結する中空軸24には駆動ギヤ33が固定されており、この駆動ギヤ33に噛み合う従動ギヤ34が中空軸24に平行となる前輪出力軸35に回転自在に支持されている。従動ギヤ34にはスプライン歯36が固定されており、このスプライン歯36に隣接するシンクロハブ37が前輪出力軸35に固定されている。また、シンクロハブ37の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ38が噛み合っている。シンクロスリーブ38にはフォーク部材39が装着されており、フォーク部材39はアクチュエータ40の伸縮ロッド40aに連結されている。アクチュエータ40によってシンクロスリーブ38を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ38をスプライン歯36に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ38を介してリングギヤ23と前輪出力軸35とを連結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ38を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ38をシンクロハブ37だけに噛み合わせることができ、前輪出力軸35からリングギヤ23を切り離すことが可能となる。このように、前輪出力軸35と従動ギヤ34との間には、シンクロハブ37、スプライン歯36およびシンクロスリーブ38からなるクラッチ(クラッチ機構)CL1が設けられている。なお、前輪出力軸35の一端部にはデファレンシャル機構41が接続されており、前輪出力軸35はデファレンシャル機構41を介して駆動輪としての前輪42fに連結されている。
また、前輪出力軸35の他端部には従動ギヤ43が固定されており、この従動ギヤ43に噛み合う駆動ギヤ44が前輪出力軸35に平行となる中空軸45に固定されている。中空軸45にはシンクロハブ46が固定されており、このシンクロハブ46に隣接するスプライン歯47が、モータジェネレータM1のモータ出力軸48に固定されている。また、シンクロハブ46の外周部には、軸方向に移動自在にシンクロスリーブ49が噛み合っている。シンクロスリーブ49にはフォーク部材50が装着されており、フォーク部材50はアクチュエータ51の伸縮ロッド51aに連結されている。アクチュエータ51によってシンクロスリーブ49を矢印a方向に移動させることにより、シンクロスリーブ49をスプライン歯47に噛み合わせることが可能となる。これにより、シンクロスリーブ49を介してモータジェネレータM1のロータ52aを前輪出力軸35に連結することが可能となる。一方、シンクロスリーブ49を図1に示す中立位置に移動させることにより、シンクロスリーブ49をシンクロハブ46だけに噛み合わせることができ、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離すことが可能となる。このように、モータジェネレータM1と駆動ギヤ44との間には、シンクロハブ46、スプライン歯47およびシンクロスリーブ49からなるクラッチCL2が設けられている。なお、前輪出力軸35の一端部には駆動ギヤ60が固定されており、この駆動ギヤ60に噛み合う従動ギヤ61が前輪出力軸35に平行となる後輪出力軸62に固定されている。モータジェネレータM1の中心を貫通して後方に延びる後輪出力軸62には、トランスファクラッチ63等を介して駆動輪としての後輪42rに連結されている。
続いて、図2は駆動装置10の制御系を示すブロック図である。図2に示すように、モータジェネレータM1のステータ52bにはインバータ64が接続されており、モータジェネレータM2のステータ20bにはインバータ65が接続されている。また、双方のインバータ64,65には、通電ライン66,67を介してバッテリ68が接続されている。ハイブリッド車両には、電動機および発電機として機能するモータジェネレータM1,M2のトルクや回転数(回転速度)を制御するモータ制御ユニット70が設けられている。モータ制御ユニット70は、後述する車両制御ユニット73からのモータ動力要求値に基づき制御信号を設定し、このモータ動力要求値が得られるようにインバータ64,65に制御信号を出力する。また、ハイブリッド車両には、バッテリ68の充電状態SOC、電流、電圧、温度等を監視するバッテリ制御ユニット71が設けられている。さらに、ハイブリッド車両には、エンジン11のトルクや回転数(回転速度)を制御するエンジン制御ユニット72が設けられている。エンジン制御ユニット72は、車両制御ユニット73からのエンジン動力要求値に基づき制御信号を設定し、このエンジン動力要求値が得られるように図示しないスロットルバルブやインジェクタ等に制御信号を出力する。
そして、各制御ユニット70〜72を統括的に制御するとともに、アクチュエータ32,40,51やトランスファクラッチ63等を制御するため、ハイブリッド車両には車両制御ユニット(車両制御部)73が設けられている。車両制御ユニット73には、セレクトレバーの操作状況を検出するインヒビタスイッチ74、乗員によるアクセルペダルの操作状況を検出するアクセルペダルセンサ75、乗員によるブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキペダルセンサ76、車速を検出する車速センサ77等が接続されている。車両制御ユニット73は、各種センサ74〜77からの情報に基づき車両状態(要求駆動力や車速等)を判定し、所定の制御プログラムやモードマップ等を用いて車両状態に応じた走行モードを設定する。そして、車両制御ユニット73は、車両状態および走行モードに応じたエンジン動力やモータ動力を設定し、各制御ユニット70〜72やアクチュエータ32,40,51等に対して制御信号を出力する。なお、各制御ユニット70〜73は、通信ネットワーク78を介して相互に接続されている。また、各制御ユニット70〜73は、CPU、ROMおよびRAM等によって構成されている。
また、走行モードの判定に用いられる要求駆動力、つまり乗員が車両に対して要求する駆動力は、アクセルペダルの踏み込み量、アクセルペダルの踏み込み速度、スロットルバルブ開度、吸気管負圧等に基づき演算される。例えば、アクセルペダルの踏み込み量が大きい場合には要求駆動力が大きく演算される一方、アクセルペダルの踏み込み量が小さい場合には要求駆動力が小さく演算される。また、アクセルペダルの踏み込み速度が速い場合には要求駆動力が大きく演算される一方、アクセルペダルの踏み込み速度が遅い場合には要求駆動力が小さく演算される。また、スロットルバルブ開度が大きい場合には要求駆動力が大きく演算される一方、スロットルバルブ開度が小さい場合には要求駆動力が小さく演算される。また、吸気管負圧が大きい場合(吸気管圧力が低い場合)には要求駆動力が大きく演算される一方、吸気管負圧が小さい場合(吸気管圧力が高い場合)には要求駆動力が小さく演算される。なお、要求駆動力を演算する際には、アクセルペダルの踏み込み量、アクセルペダルの踏み込み速度、スロットルバルブ開度および吸気管負圧等の情報のうち、1つまたは複数の情報に基づき演算することが可能である。
続いて、車両状態に応じて設定される各走行モードについて説明する。図3は各走行モードにおけるクラッチCL1〜CL4、モータジェネレータM1,M2、エンジン11の作動状態を示す説明図である。図4は各走行モードの切換順序を示す説明図である。図5(a)および(b)はシリーズモードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図6(a)および(b)はEVモードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図7(a)および(b)はPS1モードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図8(a)および(b)はPS2モードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図9(a)および(b)はOD1モードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図10(a)および(b)はOD2モードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。図11(a)および(b)は直結モードにおける駆動装置10の作動状態を示す概略図および共線図である。なお、図5(a)〜図11(a)の概略図においては、ダンパ機構14、後輪出力軸62、トランスファクラッチ63を省いて図示している。また、図5(b)〜図11(b)の共線図において、符号Sαは第1サンギヤ17を示し、符号Sβは第2サンギヤ18を示し、符号Cはキャリア15を示し、符号Rはリングギヤ23を示している。
図3および図4に示すように、図示するハイブリッド車両には、走行モードとして、シリーズモード、EVモード、PS1モード、PS2モード、OD1モード、OD2モードおよび直結モードの7つの走行モードが設定されている。
図3および図5に示すように、シリーズモードにおいては、クラッチCL2,CL3が締結され、クラッチCL1,CL4が解放される。このように、クラッチCL1〜CL4を制御することにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続される一方、前輪出力軸35から動力分割機構12が切り離される。また、第2サンギヤ18とリングギヤ23とが締結されるため、動力分割機構12を介してエンジン11とモータジェネレータM2とは直結された状態となる。このシリーズモードは、例えば低車速領域かつ要求駆動力が大きい場合に設定される走行モードとなっている。シリーズモードを設定することにより、エンジン動力によってモータジェネレータM2を発電させながら、モータジェネレータM1のモータ動力を用いた走行が可能となる。これにより、モータジェネレータM1に多くの電力を供給することができ、大きなモータトルクを得ることが可能となる。なお、シリーズモードにおいては、前輪出力軸35から動力分割機構12が切り離されるため、停車時においてもモータジェネレータM2による発電が可能となっている。
また、シリーズモードでの走行中に要求駆動力が低下した場合には、モータジェネレータM2の発電を停止させるEVモードに切り換えられる。図3および図6に示すように、EVモードにおいては、クラッチCL2が締結され、クラッチCL1,CL3,CL4が解放される。このEVモードを設定することにより、要求駆動力の低下に伴ってエンジン11を停止させることができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図7に示すように、パワースプリットモードとも呼ばれるPS1モードにおいては、クラッチCL1,CL2が締結され、クラッチCL3,CL4が解放される。このように、クラッチCL1〜CL4を制御することにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続されるとともに、前輪出力軸35に動力分割機構12が接続される。また、第2サンギヤ18およびリングギヤ23の拘束が解かれるため、動力分割機構12を介してエンジン動力はリングギヤ23とモータジェネレータM2とに分配され、モータジェネレータM2の回転数を制御することでリングギヤ23の無段変速が可能となる。このPS1モードは、例えば低中車速領域かつ要求駆動力が大きい場合に設定される走行モードとなっている。PS1モードを設定することにより、エンジン動力を無段変速させながら前輪出力軸35に伝達するとともに、モータジェネレータM1のモータ動力を前輪出力軸35に伝達しながら、ハイブリッド車両を走行させることが可能となる。
また、PS1モードでの走行中に高車速領域に達した場合には、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離して走行するPS2モードに切り換えられる。図3および図8に示すように、PS1モードからPS2モードに切り換える際には、PS1モードの状態からクラッチCL2が解放されるとともにモータジェネレータM1が停止される。このPS2モードを設定することにより、高車速領域においてモータジェネレータM1を駆動輪42f,42rから切り離すことが可能となる。これにより、モータジェネレータM1の引きずり損失を解消することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図9に示すように、オーバードライブモードとも呼ばれるOD1モードにおいては、クラッチCL1,CL2,CL4が締結され、クラッチCL3が解放される。これにより、前輪出力軸35にモータジェネレータM1が接続されるとともに、前輪出力軸35に動力分割機構12が接続される。また、第2サンギヤ18がケース26に固定されることから、エンジン動力を固定変速比で増速してリングギヤ23に伝達することが可能となる。このOD1モードは、例えば中車速領域かつ要求駆動力が小さい場合に設定される走行モードとなっている。OD1モードを設定することにより、エンジン動力を増速させながら前輪出力軸35に伝達するとともに、モータジェネレータM1のモータ動力を前輪出力軸35に伝達しながら、ハイブリッド車両を走行させることが可能となる。
また、OD1モードでの走行中に高車速領域に達した場合には、前輪出力軸35からモータジェネレータM1を切り離して走行するOD2モードに切り換えられる。図3および図10に示すように、OD1モードからOD2モードに切り換える際には、OD1モードの状態からクラッチCL2が解放されるとともにモータジェネレータM1が停止される。このOD2モードを設定することにより、高車速領域においてモータジェネレータM1を駆動輪42f,42rから切り離すことが可能となる。これにより、モータジェネレータM1の引きずり損失を解消することができ、ハイブリッド車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図3および図11に示すように、直結モードにおいては、クラッチCL1,CL3が締結され、クラッチCL2,CL4が解放される。これにより、前輪出力軸35に動力分割機構12が接続される。また、第2サンギヤ18とリングギヤ23とが締結されることから、動力分割機構12を介してエンジン11とモータジェネレータM2とは直結された状態となる。この直結モードは、例えば高車速領域かつ要求駆動力が大きい場合に設定される走行モードとなっている。直結モードを設定することにより、前述したOD1モードやOD2モードよりも変速比を増大つまりダウンシフトさせることが可能となる。すなわち、直結モードにおいては、エンジン動力を等速で前輪出力軸35に伝達することができるため、大きな駆動力でハイブリッド車両を走行させることが可能となる。なお、高車速領域において実行される直結モードにおいては、前述したPS2モードやOD2モードと同様に、駆動輪42f,42rからモータジェネレータM1が切り離される。
続いて、車両制御ユニット73によって実行される減速走行時の走行モードの切換制御について説明する。図12は減速走行時における走行モードの切換手順の一例を示すフローチャートである。また、図13および図14は減速走行時における走行モードの切換状況の一例を示す説明図である。なお、図12〜図14には、アクセルペダルが踏み込まれる状況をアクセルONとして示し、アクセルペダルの踏み込みが解除される状況をアクセルOFFとして示している。同様に、図12〜図14には、ブレーキペダルが踏み込まれる状況をブレーキONとして示し、ブレーキペダルの踏み込みが解除される状況をブレーキOFFとして示している。また、アクセルペダルの踏み込み(アクセル操作)が実施されたか否かは、アクセルペダルセンサ75によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量に基づき判定される。この場合において、アクセルペダルの踏み込み量がゼロを上回る場合に、アクセル操作が実施されたと判定しても良く、アクセルペダルの踏み込み量がゼロ以外の所定値を上回る場合に、アクセル操作が実施されたと判定しても良い。同様に、ブレーキペダルの踏み込み(ブレーキ操作)が実施されたか否かは、ブレーキペダルセンサ76によって検出されるブレーキペダルの踏み込み量に基づき判定される。この場合において、ブレーキペダルの踏み込み量がゼロを上回る場合に、ブレーキ操作が実施されたと判定しても良く、ブレーキペダルの踏み込み量がゼロ以外の所定値を上回る場合に、ブレーキ操作が実施されたと判定しても良い。
図12に示すように、ステップS10では、セレクトレバーがDレンジ(前進レンジ)に操作されているか否かが判定される。ステップS10において、Dレンジが選択されていると判定された場合には、ステップS11に進み、車速、要求駆動力、および後述するモード信号に基づいて、走行モードが設定される。続いて、ステップS12では、走行モードがPS1モードであるか否かが判定される。ステップS12において、走行モードがPS1モードであると判定された場合、つまりクラッチCL1が締結状態となる走行モードであると判定された場合には、ステップS13に進み、アクセル操作が解除されているか否かが判定される。ステップS13において、アクセル操作が解除されていると判定された場合には、ステップS14に進み、ブレーキ操作が実施されているか否かが判定される。なお、ステップS10においてDレンジ以外が選択されていると判定された場合、ステップS12においてPS1モード以外が設定されていると判定された場合、ステップS13においてアクセル操作が実施されていると判定された場合には、再びステップS10から各種条件が判定される。
ステップS14において、ブレーキ操作が実施されていると判定された場合には、ステップS15に進み、モード信号としてEVモード信号が出力される。そして、走行モードを設定するステップS11においては、EVモード信号に基づいて走行モードがPS1モードからEVモードに切り換えられる。図13に符号αで示すように、アクセルペダルが解放されるだけでなくブレーキペダルが踏み込まれる減速走行時には、乗員の制動意思が強いと想定されるため、走行モードがPS1モードからEVモードに切り換えられ、モータジェネレータM1による回生(発電)が実施される。このEVモードにおいては、図6(a)に示すように、クラッチCL1が解放されることから、駆動輪42f,42rからエンジン11を切り離すことが可能となる。これにより、駆動輪42f,42rからモータジェネレータM1に多くのトルクを伝達することができるため、モータジェネレータM1の回生量を増大させることが可能となる。このように、ブレーキペダルの踏み込みによって乗員の強い制動意思が確認された場合には、回生制動に適したEVモードを選択することにより、モータジェネレータM1の回生量を増大させて燃費性能を向上させることが可能となる。なお、ブレーキペダルが踏み込まれる減速走行時においては、クラッチCL1を解放状態に切り換えてからモータジェネレータM1を発電させても良く、モータジェネレータM1を発電させてからクラッチCL1を解放状態に切り換えても良い。
一方、ステップS14において、ブレーキ操作が解除されていると判定された場合には、ステップS16に進み、車両の減速力が所定値Faを下回るか否かが判定される。なお、車両の減速力とは、車重と減速度(負側の加速度)とを乗じて演算される値の絶対値である。また、所定値Faとは、車重および車速に基づいて演算される走行抵抗値であり、一定速走行時に必要とされる駆動力である。ステップS16において、減速力が所定値Faを下回ると判定された場合には、ステップS17に進み、車速が所定値Vaを上回るか否かが判定される。続いて、ステップS17において、車速が所定値Vaを上回ると判定された場合には、ステップS18に進み、モード信号としてPS1モード信号が出力される。そして、走行モードを設定するステップS11においては、PS1モード信号に基づいて走行モードはPS1モードのまま維持される。図14に符号αで示すように、アクセルペダルと共にブレーキペダルが解放される減速走行時には、走行モードはPS1モードのまま維持され、モータジェネレータM1による回生(発電)が実施されることになる。
ところで、図7(a)に示すように、PS1モードは、クラッチCL1を締結することで駆動輪42f,42rにエンジン11およびモータジェネレータM1を接続する走行モードであり、低中車速領域かつ要求駆動力が大きい場合に設定される走行モードである。また、図6(a)に示すように、EVモードは、クラッチCL1を解放することで駆動輪42f,42rにモータジェネレータM1のみを接続する走行モードであり、低車速領域かつ要求駆動力が小さい場合に設定される走行モードである。このように、PS1モードは、モータ動力およびエンジン動力によって駆動輪42f,42rを駆動する走行モードであり、EVモードに比べて加速走行に適した走行モードである。このため、EVモードでの走行中にアクセルペダルが大きく踏み込まれた場合には、エンジン11を始動するとともにクラッチCL1が締結され、EVモードから加速走行に適したPS1モードに切り換えられることになる。
ここで、ブレーキペダルの踏み込みが解除される減速走行時においては、乗員の制動意思が弱いことから、図14に破線Xで示すように、減速走行から加速走行に移行することも考えられる。そこで、前述したように、ブレーキ操作の解除によって乗員の弱い制動意思が確認された場合には、加速走行に適したPS1モードを予め選択することにより、アクセルペダルの踏み込みに対する応答性を高めている。すなわち、ブレーキ操作が解除される減速走行時において、回生制動に適したEVモードを選択してしまうと、その後アクセルペダルが大きく踏み込まれた場合には、エンジン11を始動するとともにクラッチCL1を締結してPS1モードに切り換えることが必要となる。このように、ブレーキペダルが踏み込まれていない減速走行時にEVモードを選択することは、再加速時にEVモードからPS1モードへの切り換えを伴うことから、減速走行から加速走行に移る際の応答性を低下させる要因となるのである。
なお、図12に示すように、ブレーキ操作が解除される減速走行時であっても、ステップS16において減速力が所定値Fa以上であると判定された場合には、ステップS15においてEVモード信号が出力される。すなわち、モータジェネレータM1を積極的に回生制動させる回生モード等の設定により、車両が急減速している場合には、回生制動に適したEVモードが設定される。また、ブレーキ操作が解除される減速走行時であっても、ステップS17において車速が所定値Va以下であると判定された場合には、ステップS15においてEVモード信号が出力される。すなわち、図14に符号βで示すように、所定値Vaを下回る低車速領域まで車速が低下した場合には、低速走行に適したEVモードが設定される。
続いて、減速走行時における走行モードの切換状況について図面に基づき改めて説明する。ここで、図15(a)および(b)は減速走行時における走行モードの切換状況の一例を示す説明図である。図15(a)にはブレーキ操作が解除されたときの切換状況が示され、図15(b)にはブレーキ操作が実施されたときの切換状況が示されている。
アクセルペダルが踏み込まれる車両走行時においては、車両状態(要求駆動力,車速)に応じて走行モードが設定される。図15(a)に示すように、車両状態が特性線L1を下回る領域であれば、走行モードとしてEVモードが設定され、車両状態が特性線L1を上回る領域であれば、走行モードとしてPS1モードが設定される。すなわち、要求駆動力が所定値を下回る場合には、クラッチCL1が解放されるEVモードが設定される一方、要求駆動力が所定値を上回る場合には、クラッチCL1が締結されるPS1モードが設定される。なお、走行モード(EVモード,PS1モード)の設定時に要求駆動力と比較される所定値とは、所定の制御プログラムやマップデータ等を用いて設定される値である。この所定値は、図15に特性線L1で示すように、車速に応じて変化する値であるが、これに限られることはなく、要求駆動力と比較される所定値として固定値を採用しても良い。また、EVモードからPS1モードに切り換える際に要求駆動力と比較される所定値と、PS1モードからEVモードに切り換える際に要求駆動力と比較される所定値とを分けて設定しても良い。
図15(a)に示すように、PS1モードでの走行状態(符号α)からアクセル操作およびブレーキ操作が解除された場合には、乗員の制動意思が弱く再加速の可能性があることから、矢印Xaで示すように、車速が所定値Vaを上回る領域では、加速走行に適したPS1モードに走行モードが維持される。また、矢印Xbで示すように、車速が所定値Va以下となる領域では、低速走行に適したEVモードに走行モードが切り換えられる。一方、図15(b)に示すように、PS1モードでの走行状態(符号α)からアクセル操作が解除されてブレーキ操作が実施された場合には、乗員の制動意思が強く再加速の可能性が少ないことから、矢印Xcで示すように、直ちに回生制動に適したEVモードに走行モードが切り換えられる。すなわち、車両状態が特性線L1を上回る領域であったとしても、ブレーキ操作が実施された場合には、直ちにPS1モードからEVモードに走行モードが切り換えられることになる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、前輪出力軸35と従動ギヤ34との間にクラッチCL1を設けているが、これに限られることはなく、駆動輪42f,42rと動力分割機構12との間であれば他の位置にクラッチCL1を設けても良い。また、回転同期機能を備えたシンクロメッシュによってクラッチCL1〜CL4を構成しているが、これに限られることはなく、噛合クラッチであるドグクラッチによってクラッチCL1〜CL4を構成しても良い。さらに、クラッチCL1〜CL4としては、噛合クラッチに限られることはなく、摩擦クラッチによってクラッチCL1〜CL4を構成しても良い。
前述の説明では、1つの車両制御ユニット73を車両制御部として機能させているが、これに限られることはなく、複数の制御ユニットによって車両制御部を構成しても良い。また、前述の説明では、走行モードとして、シリーズモード、EVモード、PS1モード、PS2モード、OD1モード、OD2モードおよび直結モードを備えているが、これに限られることはない。例えば、EVモードおよびPS1モードからなる2つの走行モードだけを設定しても良い。このように、走行モードを削減する際には、併せてクラッチCL2〜CL3を削減しても良い。
前述の説明では、複合遊星歯車式の動力分割機構12を備えているが、動力分割機構12を構成する遊星歯車列としては、複合遊星歯車列に限られることはなく単一遊星歯車列であっても良い。例えば、図示する場合には、動力分割機構12に2つのサンギヤ17,18を組み込んでいるが、これに限られることはなく、1つのサンギヤを用いて動力分割機構12を構成しても良い。また、前述の説明では、リングギヤ23に駆動輪42f,42rを連結し、第1サンギヤ17にモータジェネレータM2を連結しているが、これに限られることはなく、リングギヤ23にモータジェネレータM2を連結し、第1サンギヤ17に駆動輪42f,42rを連結しても良い。なお、図示する駆動装置10は、四輪駆動用の駆動装置であるが、これに限られることはなく、前輪駆動用や後輪駆動用の駆動装置に対して本発明を適用しても良い。
10 駆動装置
11 エンジン
12 動力分割機構
42f,42r 駆動輪
73 車両制御ユニット(車両制御部)
CL1 クラッチ(クラッチ機構)
M1 第1モータジェネレータ(モータジェネレータ)
M2 第2モータジェネレータ(第2のモータジェネレータ)

Claims (4)

  1. 駆動輪に連結されるエンジンと、前記駆動輪に連結されるモータジェネレータと、を備えるハイブリッド車両の駆動装置であって、
    前記エンジンと前記駆動輪との間に設けられ、前記エンジンと前記駆動輪とを接続する締結状態と、前記エンジンと前記駆動輪とを切り離す解放状態とに切り換えられるクラッチ機構と、
    乗員のアクセル操作およびブレーキ操作に基づいて、前記クラッチ機構を制御する車両制御部と、を有し、
    前記車両制御部は、
    前記クラッチ機構が締結状態となる走行時に、アクセル操作およびブレーキ操作が解除された場合には、前記クラッチ機構を締結状態に維持する一方、
    前記クラッチ機構が締結状態となる走行時に、アクセル操作が解除されてブレーキ操作が実施された場合には、前記クラッチ機構を解放状態に切り換えることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  2. 請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記車両制御部は、アクセル操作が解除された場合に前記モータジェネレータを発電させることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  3. 請求項1または2記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記車両制御部は、要求駆動力が所定値を上回る場合に前記クラッチ機構を締結状態に切り換えることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置において、
    前記エンジン、前記駆動輪および第2のモータジェネレータに連結される動力分割機構を有し、
    前記動力分割機構は、前記エンジンと前記クラッチ機構との間に設けられることを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。
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