JP2014063893A - 磁気センサ、磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気センサ、磁気センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイボンディング時の貼り付け誤差に起因して発生するバイアス磁界のオフセット成分をフリー磁性層に作用する誘導磁界から除去して、センサ出力の直線性の低下を抑制すること。
【解決手段】本発明の磁気センサ(1)は、ハーフブリッジ回路を形成するように同一センサチップ(2)上に一対の磁気抵抗効果素子(21a、21b)が設けられ、一対の磁気抵抗効果素子(21a、21b)が、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層と、交換結合によってフリー磁性層に対してバイアス磁界を印加する反強磁性層とを有し、一対の磁気抵抗効果素子(21a、21b)の各フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、各反強磁性層に各フリー磁性層にバイアス磁界を印加させる構成にした。
【選択図】図8

Description

本発明は、電流の大きさを測定する磁気センサに関し、特に磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ及び磁気センサの製造方法に関する。
従来、電気自動車やソーラー電池などの分野では、被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する磁気検出素子を備えた磁気センサが用いられている。磁気センサに使用される磁気検出素子としては、例えば、GMR素子などの磁気抵抗効果素子がある。
GMR素子は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層及びフリー磁性層を基本的な膜構成としている。固定磁性層は、反強磁性層上に積層されており、反強磁性層との間で生じる交換結合磁界(Hex)により磁化方向が一方向に固定されている。フリー磁性層は、固定磁性層上に非磁性層(非磁性中間層)を介して積層され、外部磁界により磁化方向が変化する。GMR素子を備えた磁気センサにおいては、被測定電流からの誘導磁界(測定磁界)の印加によって変化するフリー磁性層の磁化方向と、固定層磁性の磁化方向との関係で変動するGMR素子の電気抵抗値により被測定電流の電流値を検出する。
GMR素子を備えた磁気センサとしては、GMR素子の電気抵抗値と外部磁界の強さとの間の直線関係を高めるために、フリー磁性層にバイアス磁界を印加するハードバイアス層を設けた磁気センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる磁気センサにおいては、同一チップ上の各GMR素子に対して誘導磁界の印加方向に対して直交方向にバイアス磁界が印加されており、フリー磁性層の磁化方向が同一方向に揃えられ、検出感度が向上されている。
特開2006−66821号公報
一般的に、このようなGMR素子はフリー磁性層に対して直交する方向に誘導磁界が印加されると高精度な出力が得られるように設計されている。ところで、センサチップをリードフレーム等にダイボンディングする場合、約±3度の範囲でセンサチップが傾いて貼り付けられる場合がある。この場合、バイアス磁界によるフリー磁性層の磁化方向が、誘導磁界の印加方向に対して斜めに交差する。このため、フリー磁性層に作用するバイアス磁界には誘導磁界の印加方向に平行な磁気成分が生じ、この磁気成分がフリー磁性層に作用する誘導磁界に対してオフセット成分として作用する。これにより、特許文献1に記載の磁気センサでは、センサチップが傾いて貼り付けられると、センサ出力の直線性が悪化するという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ダイボンディング時の貼り付け誤差に起因するセンサ出力の直線性の低下を抑制できる磁気センサ及び磁気センサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気センサは、ハーフブリッジ回路を形成するように同一センサチップ上に一対の磁気抵抗効果素子が設けられ、前記一対の磁気抵抗効果素子が、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層と、交換結合によって前記フリー磁性層に対してバイアス磁界を印加する反強磁性層とを有し、前記一対の磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層の磁化方向は互いに逆向きであり、前記一対の磁気抵抗効果素子の各フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、前記各反強磁性層が前記各フリー磁性層にバイアス磁界を印加することを特徴とする。
本発明の磁気センサの製造方法は、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層と、交換結合によって前記フリー磁性層に対してバイアス磁界を印加する反強磁性層とを有する一対の磁気抵抗効果素子が、ハーフブリッジ回路を形成するように同一センサチップ上に設けられた磁気センサの製造方法であって、第1の方向に磁界を印加しながら、第1の磁気抵抗効果膜を前記センサチップ上に形成するステップと、前記第1の方向に対して逆向きとなる第2の方向に磁界を印加しながら、第2の磁気抵抗効果膜を前記センサチップ上に形成するステップと、前記第1の磁気抵抗効果膜及び前記第2の磁気抵抗効果膜をエッチングし、前記一対の磁気抵抗効果素子を形成するステップとを有し、前記一対の磁気抵抗効果素子は、前記一対の磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層の磁化方向は互いに逆向きになるように形成され、前記各フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、前記各反強磁性層により前記各フリー磁性層にバイアス磁界が印加されることを特徴とする。
これらの構成によれば、被測定電流からの誘導磁界の印加方向に対して感度軸方向が傾くように基板が配置されると、一方の磁気抵抗効果素子のフリー磁性層では誘導磁界に対してバイアス磁界がプラス方向に作用し、他方の磁気抵抗効果素子のフリー磁性層では誘導磁界に対してバイアス磁界がマイナス方向に作用する。したがって、バイアス磁界のオフセット成分によって一対の磁気抵抗効果素子の感度が互いに逆向き変化するため、一対の磁気抵抗効果素子の感度変化が相殺されてセンサ出力の直線性の低下が抑制される。また、フリー磁性層と反強磁性層との間の交換結合によってバイアス磁界が印加されるため、強磁場によって磁気抵抗効果素子が磁気的に破壊されることがない。さらに、バイアス磁界の印加方向が、フリー磁性層と反強磁性層の成膜時の磁界印加方向で決定されるため、容易に製造することができる。
本発明の磁気センサにおいては、前記一対の磁気抵抗効果素子によって形成される複数の前記ハーフブリッジ回路からなるフルブリッジ回路を有する。この構成によれば、各ハーフブリッジ回路においてセンサ出力の直線性の低下が抑制されるため、当該ハーフブリッジを組み合わせたフルブリッジ回路においてもセンサ出力の直線性の低下が抑制される。
本発明の磁気センサによれば、強磁場に対する耐性が強く、容易に製造可能であり、さらにダイボンディング時の貼り付け誤差に起因するセンサ出力の直線性の低下を抑制できる。
磁気センサの直線性低下の説明図である。 磁気センサの誘導磁界とセンサ出力との関係を示す図である。 磁気センサにおいて、センサチップ毎の直線性データの説明図である。 磁気センサにおいて、一対のセンサチップの差動出力の直線性の説明図である。 磁気センサにおいて、一対のセンサチップの差動出力の直線性の説明図である。 本実施の形態に係る磁気センサの模式図である。 本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 本実施の形態に係る磁気センサによる直線性低下の抑制原理の説明図である。 本実施の形態に係る測定電流に対する直線性のシミュレーション結果の説明図である。 本実施の形態に係るバイアス構成の説明図である。 本実施の形態に係るセンサチップの製造方法の説明図である。 本実施の形態に係るセンサチップの製造方法の説明図である。 比較例に係る磁気センサの出力線形性の説明図である。 比較例に係る磁気センサの出力線形性の説明図である。 本実施の形態に係る磁気センサの出力線形性の説明図である。
図1Aに示すように、磁気抵抗効果素子を備える磁気センサにおいて、センサチップ51をリードフレームにダイボンディングする場合、センサチップ51の感度軸方向(磁気抵抗効果素子52a、52bのPin方向)を電流路から発生する誘導磁界(外部磁界)の印加方向に一致させることが望まれている。しかしながら、ダイボンディングにおいてセンサチップ51を高精度に貼り付けることが困難であり、±3度の範囲でセンサチップ51が傾いて貼り付けられる場合がある。この場合、センサチップ51の感度軸方向と電流路から発生する誘導磁界の印加方向に角度誤差が生じ、磁気センサのセンサ出力の直線性が低下する。
より詳細には、センサチップ51上には、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bがPin方向に対して直交方向に隣接して配置され、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bによってハーフブリッジ回路が形成されている。また、センサチップ51上には、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bを挟むようにハードバイアス層53が形成されている。各ハードバイアス層53は、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bのPin方向に直交する一方向にバイアス磁界を発生しており、このバイアス磁界を一対の磁気抵抗効果素子52a、52bのフリー磁性層に作用させている。
センサチップ51が傾いて貼り付けられると、センサチップ51の感度軸方向と誘導磁界の印加方向(理想感度軸方向)との間に角度差が生じ、図1Bに示すようにバイアス磁界Fbによるフリー磁性層の磁化方向が、誘導磁界Faの印加方向に対して斜めに交差する。これにより、フリー磁性層に作用するバイアス磁界Fbには誘導磁界Faの印加方向に平行な磁気成分が生じ、フリー磁性層に作用する誘導磁界に対してオフセット成分Fcとして作用する。このとき、プラス方向(一方向)に印加された誘導磁界Faに対しては、バイアス磁界Fbのオフセット成分Fcがマイナス方向に作用し、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bのプラス方向の感度を共に減少させる。一方、図1Cに示すようにマイナス方向(逆方向)に印加された誘導磁界Faに対しては、バイアス磁界Fbのオフセット成分Fcがマイナス方向に作用し、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bのマイナス方向の感度を共に増加させる。
このように、理想感度軸方向に対してセンサチップ51の感度軸方向が傾くことで、誘導磁界がプラス方向及びマイナス方向のいずれに印加されても、磁気センサのセンサ出力の直線性が低下する。図2に示すように、この磁気センサの出力特性は、誘導磁界をプラス方向に大きくした場合には、磁気センサの理想の出力特性に対してセンサ出力が減少する方向に離間し、誘導磁界をマイナス方向に大きくした場合には、磁気センサの理想の出力特性に対してセンサ出力が増加する方向に離間する。図3に示すように、この直線性の悪化は、センサチップ51の傾きに依存しており、傾きが大きくなるほど顕著になる。例えば、センサチップ51が±3.0度傾くと、直線性が0.45[%FS]悪化する。これは、誘導磁界から電流値を1/10000の精度で測定する場合に大きな誤差となる。
このような直線性の悪化は、図4Aに示すように、差動出力を得るための一対のセンサチップ51a、51b間の角度差によっても発生する。この場合、各センサチップ51a、51bの一対の磁気抵抗効果素子52a、52bによって、差動出力用のフルブリッジ回路が構成されている。また、センサチップ51a、51bのバイアス磁界の印加方向は、同一方向に向けられている。各センサチップ51a、51bが、互いに逆向きに傾いた状態では、誘導磁界の印加方向と各センサチップ51a、51bの感度軸方向とがなす角度α、βに角度差が生じる(α−β≠0)。この場合、図4Bに示すように、一方のセンサチップ51aでは、傾きが+1.5度から離れるのにつれてセンサ出力の直線性が悪化し、他方のセンサチップ51bでは、傾きが−2.0度から離れるのにつれてセンサ出力の直線性が悪化する。このため、両センサチップ51a、51bのセンサ出力の差動出力を取る場合でも直線性の悪化を抑制できない。
一方、図5Aに示すように、各センサチップ51a、51bが、同一方向に同じ角度だけ傾いた状態では、誘導磁界の印加方向と各センサチップ51a、51bの感度軸方向とがなす角度α、βに角度差が生じない(α−β=0)。この場合、図5Bに示すように、両方のセンサチップ51a、51bの傾きに対して同じようにセンサ出力の直線性が悪化するため、両センサチップ51a、51bのセンサ出力の差動出力を取ることで直線性の悪化を抑制できる。しかしながら、センサチップ51a、51bのダイボンディング時に、両センサチップ51a、51bの角度差を無くすようにリードフレームに貼り付けることは困難である。
本発明者は、センサチップの傾きによって、一対の磁気抵抗効果素子のフリー磁性層に作用する誘導磁界に対してバイアス磁界の磁気成分がオフセット成分として作用することを発見し、本発明をするに至った。すなわち、本発明者は、一対の磁気抵抗効果素子のフリー磁性層に対してバイアス磁界の磁気成分を逆向きに作用させることで、一対の磁気抵抗効果素子における出力感度の変動を相殺し、センサチップの貼り付け精度に起因したセンサ出力の直線性の低下を抑制することを見出した。また、本実施の形態の磁気センサでは、ハードバイアスを用いた場合には強磁場によって磁気的に破壊されるだけでなく、製造プロセスが煩雑になることから、ハードバイアスの代わりにエクスチェンジバイアス(Exchange Bias)を用いるようにしている。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本実施の形態に係る磁気センサの模式図である。磁気センサ1は、磁気比例式磁気センサであり、被測定電流が流れる電流線の近傍に配置される。この磁気センサ1は、一対の磁気抵抗効果素子21が作り込まれた一対のセンサチップ2a、2bを有している。センサチップ2a上には一対の磁気抵抗効果素子21a、21bによってハーフブリッジ回路が形成され、センサチップ2b上には一対の磁気抵抗効果素子21c、21dによってハーフブリッジ回路が形成されている。磁気比例式磁気センサには、センサチップ2a、2bの磁気抵抗効果素子21a−21dによって、被測定電流による誘導磁界(測定磁界)に基づいて電流線に流れる電流値を測定するフルブリッジ回路25が形成されている。
この場合、同一センサチップ2a上の磁気抵抗効果素子21a、21bは、Pin方向が互いに逆向き(反平行)に向けられている。同様に、同一センサチップ2b上の磁気抵抗効果素子21c、21dは、Pin方向が互いに逆向き(反平行)に向けられている。また、誘導磁界の印加方向に隣接する磁気抵抗効果素子21a、21cは、Pin方向が互いに逆向き(反平行)に向けられ、同様に誘導磁界の印加方向に隣接する磁気抵抗効果素子21b、21dは、Pin方向が互いに逆向き(反平行)に向けられている。磁気抵抗効果素子21a、21bは同一センサチップ2a上に同時にパターニング(蝕刻)されたものであり、磁気抵抗効果素子21c、21dは同一センサチップ2b上に同時にパターニング(蝕刻)されたものである。
このように構成されたフルブリッジ回路25では、電流線からの誘導磁界に応じて2つのセンサ出力が出力される。フルブリッジ回路25では、磁気抵抗効果素子21aと磁気抵抗効果素子21cとの間の接続点に電源Vccが印加され、磁気抵抗効果素子21b及び磁気抵抗効果素子21dのそれぞれにグラウンド(GND)が接続されている。磁気抵抗効果素子21aと磁気抵抗効果素子21bとの間の接続点から第一のセンサ出力(Out1)が取り出され、磁気抵抗効果素子21cと磁気抵抗効果素子21dとの接続点から第二のセンサ出力(Out2)が取り出される。
磁気抵抗効果素子21a−21dは、電流線からの誘導磁界が印加されることで抵抗値が変化する特性を備えている。図7に示すように、磁気抵抗効果素子21a−21dは、エクスチェンジバイアス構造のGMR(Giant Magneto Resistance)素子であり、センサチップ2a上にシード層31、強磁性固定層(固定磁性層)32、非磁性中間層33、フリー磁性層34、反強磁性層35、保護膜36を積層して形成されている。また、強磁性固定層32は、第1の強磁性層37、反平行結合膜38、第2の強磁性層39を積層して形成される。この場合、例えば、シード層31はNiFeCr、第1の強磁性層37は60FeCo、反平行結合膜38はRu、第2の強磁性層39は90CoFe、非磁性中間層33はCu、フリー磁性層34はNiFe、反強磁性層35はIrMn、保護膜36はTaでそれぞれ構成されている。
磁気抵抗効果素子21a−21dは、誘導磁界の印加によって強磁性固定層32のピン方向に対してフリー磁性層の磁化方向が変化することで抵抗値が変化する。このような構成により、誘導磁界の大きさに応じて第一、第二のセンサ出力(Out1、Out2)が変化する。第一、第二のセンサ出力は、差動増幅器3で差動増幅され、誘導磁界に略比例した磁気センサ1のセンサ出力として出力される。また、反強磁性層35とフリー磁性層34の間では交換結合が生じており、この交換結合によってフリー磁性層34に対してバイアス磁界(交換結合磁界)が印加されている。この場合、同一センサチップ2a上の磁気抵抗効果素子21a、21bは、バイアス磁界の印加方向が互いに逆向き(反平行)に向けられている。同様に、同一センサチップ2b上の磁気抵抗効果素子21c、21dは、バイアス磁界の印加方向が互いに逆向き(反平行)に向けられている。
このように構成された磁気センサ1では、センサチップ2が傾いた場合であっても、フリー磁性層に作用する誘導磁界にオフセット成分として作用するバイアス磁界の磁気成分が除去される。このオフセット成分の除去により、磁気センサ1のセンサ出力の直線性(理想直線に対する乖離率)の低下が抑制される。また、磁気抵抗効果素子21a−21dは、外乱磁場に耐性が強いエクスチェンジバイアス構造を採用しているため、強磁場によってハードバイアス構造のように磁気的に破壊されることがなく、製造プロセスも簡略化できる。
図8を参照して、センサチップが傾けて貼り付けられる場合に、磁気センサの直線性の低下が抑制される原理について詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る磁気センサによる直線性の低下の抑制原理の説明図である。なお、図8においては、一対のセンサチップのうち一方のセンサチップを例示して説明するが、他方のセンサチップについても同様な理由で直線性の低下が抑制される。
ここでは、図8Aに示すように、センサチップ2aが、誘導磁界の印加方向、すなわち理想感度軸方向に対して一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの感度軸方向を約3度傾いて、リードフレーム上に貼り付けられているものとする。各磁気抵抗効果素子21a、21bでは、フリー磁性層と反強磁性層との間の交換結合によるバイアス磁界の印加方向が一対の磁気抵抗効果素子21a、21bのピン方向に対して直交している。このため、バイアス磁界による一対の磁気抵抗効果素子21a、21bのフリー磁性層の磁化方向が、それぞれ誘導磁界の印加方向に対して直交せずに斜めに交差する。
上述したように、バイアス磁界は、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bで互いに逆向きとなるようにそれぞれに印加されている。よって、一方の磁気抵抗効果素子21aでは、バイアス磁界によるフリー磁性層の磁化方向が、誘導磁界の印加方向との角度を拡げる方向(時計回り)に約3度回転する。他方の磁気抵抗効果素子21bでは、バイアス磁界によるフリー磁性層の磁化方向が、誘導磁界の印加方向との角度を狭める方向(時計回り方向)に約3度回転する。したがって、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bのフリー磁性層の磁化方向は、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの間の回転中心Pを基準として点対称の関係となる。なお、回転中心Pは磁気抵抗効果素子21a、21bの間に設定される。
この場合、図8Bに示すように、磁気抵抗効果素子21aのフリー磁性層では、バイアス磁界Fbが誘導磁界Faの印加方向(理想感度軸方向)に平行な磁気成分Fcを含んでいる。この磁気成分Fcは、磁気抵抗効果素子21aのフリー磁性層に対しプラス方向に印加される誘導磁界Faに対し、オフセット成分としてマイナス方向に作用する。一方、図8Cに示すように、磁気抵抗効果素子21bのフリー磁性層では、バイアス磁界Fbが誘導磁界Faの印加方向(理想感度軸方向)に平行な磁気成分Fcを含んでいる。この磁気成分Fcは、磁気抵抗効果素子21bのフリー磁性層に対してプラス方向に印加される誘導磁界Faに対し、オフセット成分としてプラス方向に作用する。
このため、一方の磁気抵抗効果素子21aの感度が減少され、他方の磁気抵抗効果素子21bの感度が増加する。よって、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bにおけるオフセット成分による感度変化が相殺され、センサチップ2が傾いた状態でもセンサ出力の直線性の低下が抑制される。なお、上記した例では、プラス方向に誘導磁界が印加される構成としたが、マイナス方向に誘導磁界Fが印加されても、同様にセンサ出力の直線性の低下が抑制される。
また、本実施の形態においては、各センサチップ2a、2bにおいて直線性の低下が抑制されるため、センサチップ2a、2bを組み合わせてフルブリッジ回路を構成しても直線性が悪化することがない。すなわち、誘導磁界の印加方向に対して各センサチップ2a、2bの感度軸方向に角度差が生じていても、センサチップ2a、2b個々のセンサ出力の直線性が向上されているため、両センサチップ2a、2bのセンサ出力の差動出力を取る場合でも直線性が悪化することがない。
図9を参照して、センサチップを傾けた場合の被測定電流に対する直線性のシミュレーション結果について説明する。図9は、被測定電流に対する直線性のシミュレーション結果の説明図である。比較例に係るセンサチップは、図1Aに示すように、一対の磁気抵抗効果素子でバイアス磁界の向きが同一方向である点について、本実施の形態に係るセンサチップと異なる。
図9において、本実施の形態に係るセンサチップ2は、被測定電流の大きさを変えても、センサ出力の直線性が略0.0[%FS]付近となっている。これは、上述したように、センサチップ2の傾きによる一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの感度変化が相殺されるからである。これに対して比較例に係るセンサチップ51(図1参照)では、センサ出力の直線性が被測定電流の変化に応じてお椀型に変化する。具体的には、被測定電流が流れていない状態でもセンサ出力の直線性が略0.20[%FS]となっている。これは、各磁気抵抗効果素子52a、52bのフリー磁性層に作用するバイアス磁界が、理想感度軸方向である誘導磁界の印加方向に平行な磁気成分を生じさせるためである。
そして、被測定電流が0[A]から20[A]に変化すると、センサ出力の直線性が0.20[%FS]から−0.45[%FS]に変化する。同様に、被測定電流が0[A]から−20[A]に変化すると、センサ出力の直線性が0.20[%FS]から−0.45[%FS]に変化する。このように、比較例に係るセンサチップ51では、センサ出力の直線性が大きく変化するため、誘導磁界から電流値を高精度に測定する場合に大きな誤差を生じる。
図13から図15を参照して、比較例と比較しながら本実施の形態に係る磁気センサの出力線形性について説明する。図13及び図14は、比較例に係る磁気センサの出力線形性の説明図である。図15は、本実施の形態に係る磁気センサの出力線形性の説明図である。
比較例に係る一対の磁気抵抗効果素子61a、61bは、それぞれ磁界ゼロ状態でフリー磁性層の磁化方向とピン方向とが平行となるように調整されている(図13Aは、バイアス磁界が印加された状態を示す)。また、磁気抵抗効果素子61a、61bのピン方向は同一方向に向けられている。この場合、図13Aに示すように、外部磁界Hに対する抵抗変化率は、外部磁場H=0でピークとなる曲線Cで示される。曲線Cは、低磁場側と高磁場側で非線形となっており、低磁場側と高磁場側の間の傾斜部分が線形領域L1、L2になっている。このため、外部磁界Hの変化を精度よく検出するためには線形領域L1、L2の中心のバイアス点BP1、BP2に対応するバイアス磁界を印加する必要がある。このように、バイアス磁界を印加すると、外部磁界ゼロ状態では、フリー磁性層の磁化方向とピン方向とが約45°で交差する。
この比較例に係る一対の磁気抵抗効果素子61a、61bにおいてセンサチップが傾いて貼り付けられると、センサ出力が線形領域L1、L2から外れてしまう。具体的には、図13Bに示すように、センサチップの傾きがない場合には、フリー磁性層の磁化方向の回転角度が±θ1の範囲で回転される。この範囲内では、センサ出力が線形領域L2の範囲内に収まっている。これに対して、図13Cに示すように、センサチップの傾きがある場合には、外部磁界方向も傾き、フリー磁性層の磁化方向の回転角度が±θ1よりも大きな±θ2の範囲で回転される。これは、図14Aに示すように、外部磁界ゼロ状態のフリー磁性層の磁化方向がバイアス磁界によって約45°に向けられており、フリー磁性層の初期の磁化方向に直交する外部磁界の成分Haが強くなるためである。
図13Cに示すように、フリー磁性層の磁化方向の回転角度が大きくなると、センサ出力が線形領域L2の範囲内に収まらなくなる。また、図14Bに示すように、一対の磁気抵抗効果素子61a、61bでブリッジ回路を形成すると、センサチップの傾きがない場合には線形性が得られるのに対し、センサチップの傾きがある場合には線形成が得られない。具体的には、一対の磁気抵抗効果素子61a、61bでは高磁場側で感度が小さくなり、差動出力も高磁場側で感度が小さくなっている。
図15Aに示すように、本実施の形態に係る磁気抵抗効果素子21a、21bでは、外部磁界ゼロ状態でバイアス磁化印加時のフリー磁性層の磁化方向が逆向きになっている。このため、図15Bに示すように、磁気抵抗効果素子21aは、外部磁界Hをプラス方向に大きくした場合には、理想の出力特性に対してセンサ出力が増加する方向に離間し、外部磁界Hをマイナス方向に大きくした場合には、理想の出力特性に対してセンサ出力が減少する方向に離間する。また、磁気抵抗効果素子21bは、外部磁界Hをプラス方向に大きくした場合には、理想の出力特性に対してセンサ出力が減少する方向に離間し、外部磁界Hをマイナス方向に大きくした場合には、磁気センサの理想の出力特性に対してセンサ出力が増加する方向に離間する。よって、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの差動出力をとることで、センサチップ2の傾きによる一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの感度変化が相殺され、良好な線形性を得ることができる。
図10を参照して、本実施の形態に係るエクスチェンジバイアス構成について説明する。ここでは、ハードバイアス構成と比較しつつ、エクスチェンジバイアス構成について説明する。図10は、バイアス構成の説明図である。図10Aは、上記した比較例に係るハードバイアス構成であり、図10Bは、ハードバイアス構成の変形例であり、図10Cは、本実施の形態に係るエクスチェンジバイアス構成である。
図10Aに示すハードバイアス構成では、磁気抵抗効果素子52a、52bとハードバイアス層53とが交互に配置されている。磁気抵抗効果素子52a、52bは、一方のハードバイアス層53側から他方のハードバイアス層53側に向って帯状に延在する複数の素子部57を有している。複数の素子部57は、一対のハードバイアス層53間において平行に配置されており、隣接する素子部57間が導電部58によってミアンダ形状に接続されている。各磁気抵抗効果素子52a、52bにおいて、平面視において素子部57の延在方向に対する直交方向がPin方向になっている。
このハードバイアス構成では、各ハードバイアス層53が素子部57の延在方向に平行な一方向に着磁されている。したがって、磁気抵抗効果素子52a、52bに対して同一方向のバイアス磁界が印加される。このため、比較例に係るハードバイアス構成では、センサ出力の直線性の低下を抑制することができない。この場合、ハードバイアス層53の着磁方向を個々に変えることで、一対の磁気抵抗効果素子52a、52bに対して互いに逆方向のバイアス磁界を印加することも考えられるが、ハードバイアス層53の着磁方向を個々に変えることは困難である。
これに対し、図10Bに示すハードバイアス構成の変形例では、ハードバイアス層43の着磁方向を個々に変えることなく一対の磁気抵抗効果素子41a、41bに互いに逆向きのバイアス磁界を印加するように構成されている。図10Bでは、ハードバイアス層43を三角形に形成した例を示している。このハードバイアス構成では、複数の素子部44毎に一対のハードバイアス層43が形成されており、複数の素子部44はそれぞれの延在方向において一対のハードバイアス層43に挟まれている。一方のハードバイアス層43は、素子部44の一端に隣接する側面42がハードバイアスの着磁方向に向って当該一端から離れるように傾斜している。よって、一方のハードバイアス層43は、着磁方向に交差する側面42から素子部44の延在方向に対して平行な漏洩磁界を発生する。
他方のハードバイアス層43は、一方のハードバイアス層43の三角形を180度回転させた形状を有しており、素子部44の他端に隣接する側面42がハードバイアスの着磁方向に向って当該他端に近付くように傾斜している。よって、他方のハードバイアス層43は、着磁方向に交差する側面42から素子部44を介して漏洩磁界を吸収する。このようにハードバイアス層43からの漏洩磁界によって、素子部44の延在方向にバイアス磁界が印加される。また、このハードバイアス構成は、磁気抵抗効果素子41a、41b間を横切る中心線Cを基準として対称に形成されている。よって、磁気抵抗効果素子41a、41bで互いに逆向きのバイアス磁界を印加することが可能となっている。
このように、ハードバイアス構成の変形例では、一対のハードバイアス層43が着磁方向に交差する側面42によって、ハードバイアス層43の漏洩磁界を各素子部44に印加するように構成されている。これにより、ハードバイアス層43を一方向に着磁するだけで、一対の磁気抵抗効果素子41a、41bに対して互いに逆向きのバイアス磁界を印加することを可能にしている。しかしながら、このハードバイアス層43は、強磁場の影響により磁気的に破壊される可能性がある。例えば、磁気センサの近傍の電流路に大電流が流れて強磁場が発生すると、ハードバイアス層43の磁化方向が乱れた状態で保持されて初期状態に戻らない場合がある。また、ハードバイアス層43の形状や位置によってバイアス磁界の印加方向が定まるため、容易に製造することができない。
図10Cに示す本実施の形態に係るエクスチェンジバイアス構成では、ハードバイアス層を形成することなく、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bに互いに逆向きのバイアス磁界を印加するように構成されている。このエクスチェンジバイアス構成でも、上記ハードバイアス構成と同様に、帯状に延在する複数の素子部26を平行に配置して、複数の素子部26官を導電部27によってミアンダ形状に接続している。各磁気抵抗効果素子21a、21bにおいて、平面視において素子部26の延在方向に対する直交方向がPin方向になっている。
一対の磁気抵抗効果素子21a、21bでは、フリー磁性層と反強磁性層の界面における交換結合により、反強磁性層からフリー磁性層に対して、素子部26の延在方向に沿ったバイアス磁界が印加される。フリー磁性層及び反強磁性層は、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの製造プロセスにおいて磁界を印加しながら成膜されている。このとき、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bで磁界の印加方向を逆にしてフリー磁性層と反強磁性層を成膜することで、磁気抵抗効果素子21a、21bで互いに逆向きのバイアス磁界を印加することを可能にしている。
エクスチェンジバイアス構成の一対の磁気抵抗効果素子21a、21bは、ハードバイアス構成とは異なり、大電流等で強磁場が印加されてもゼロ磁場に戻ることで、フリー磁性層を初期の磁化状態に戻すことが可能となっている。また、バイアス磁界の印加方向が、フリー磁性層と反強磁性層の成膜時の磁界印加方向で決定されるため、製造プロセスを簡略化できる。
以下、図11及び図12を参照して、磁気センサのセンサチップの製造方法について説明する。図11及び図12は、センサチップの製造方法の説明図である。なお、図11及び図12は、センサチップの製造方法の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
図11Aに示すように、磁気センサ1においては、基板11(ウェーハ)上に応力緩和層として熱シリコン酸化膜12が形成される。熱シリコン酸化膜12上には、アルミニウム酸化膜13が形成される。アルミニウム酸化膜13は、例えば、スパッタリング等の方法により成膜することができる。また、基板11としては、シリコン基板等が用いられる。
次に、図11Bに示すように、アルミニウム酸化膜13上に第1の磁気抵抗効果膜14aが形成される。このとき、第1の磁気抵抗効果膜14aのフリー磁性層及び反強磁性層の成膜中に第1の方向に磁界が印加される。第1の方向は、素子部26の延在方向に沿う方向であり、ピン方向に直交する方向である。これにより、フリー磁性層と反強磁性層の間の交換結合により、フリー磁性層に対して第1の方向にバイアス磁界が印加される。
次に、図11Cに示すように、第1の磁気抵抗効果膜14a上にレジスト層15が形成され、フォトリソグラフィ及びエッチングにより第1の磁気抵抗効果膜14a上の所定エリアにレジスト層15が残存する。次に、図11Dに示すように、イオンミリングによってレジスト層15から露出した第1の磁気抵抗効果膜14aが除去される。このとき、第1の磁気抵抗効果膜14aの下層のアルミニウム酸化膜13も所定深さまで除去される。次に、図11Eに示すように、イオンミリングによるアルミニウム酸化膜13の除去部分を埋めるように、再びアルミニウム酸化膜13が形成される。ここでは、レジスト層15の表面にもアルミニウム酸化膜16が形成される。
次に、図12Aに示すように、イオンミリングによって露出したアルミニウム酸化膜13上に第2の磁気抵抗効果膜14bが形成される。このとき、第2の磁気抵抗効果膜14bのフリー磁性層及び反強磁性層の成膜中に、第2の方向に磁界が印加される。第2の方向は、第1の方向に対して逆向きの方向であり、ピン方向に直交する方向である。これにより、フリー磁性層と反強磁性層の間の交換結合により、フリー磁性層に対して反強磁性層から第2の方向にバイアス磁界が印加される。また、レジスト層15上にも、第2の磁気抵抗効果膜14bが形成されるが、レジスト層15の表面のアルミニウム酸化膜16により、第2の磁気抵抗効果膜14bの形成時の熱によるレジストアウトガスの発生が抑制されている。
次に、図12Bに示すように、リフトオフによりレジスト層15と共に余分な第2の磁気抵抗効果膜14bが除去されて、第1の磁気抵抗効果膜14aの上面が露出される。次に、図12Cに示すように、第1、第2の磁気抵抗効果膜14a、14b上に再びレジスト層17が形成され、フォトリソグラフィ及びエッチングにより第1、第2の磁気抵抗効果膜14a、14b上にストライプ状にレジスト層17が残存する。次に、図12Dに示すように、イオンミリングによってストライプ状のレジスト層17から露出した第1、第2の磁気抵抗効果膜14a、14bが除去される。次に、図12Eに示すように、リフトオフによりストライプ状のレジスト層17が除去されて、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bが形成される。一対の磁気抵抗効果素子21a、21bは、フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、各反強磁性層が各フリー磁性層にバイアス磁界を印加している。
そして、各センサチップに一対の磁気抵抗効果素子21a、21bによって磁界検出用のハーフブリッジ回路が作り込まれる。磁気抵抗効果素子21a、21bとしては、TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)、GMR素子(巨大磁気抵抗効果素子)などを用いることができる。例えば、GMR素子として、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層、フリー磁性層を有する多層膜で構成されるスピンバルブ型GMR素子やスピンバルブ型TMR素子を用いることができる。
スピンバルブ型GMR素子としては、ミアンダ形状を有するGMR素子である。このミアンダ形状においては、リニアリティを考慮すると、ピン(Pin)方向の幅Dが0.5μm〜10μmであることが好ましい。このようなミアンダ形状にすることにより、ホール素子よりも少ない端子数(2端子)で磁気抵抗効果素子の出力を採ることができる。また、スピンバルブ型TMR素子としては、リニアリティを考慮すると、ピン方向の幅が0.5μm〜10μmの長方形であることが好ましい。
次に、図12Fに示すように、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bが絶縁層としてのポリイミド層18に埋設され、ポリイミド層18上にシリコン酸化膜19が形成される。そして、このように回路パターンが作り込まれた基板は、ダイシングによって個々のセンサチップ2に分割され、一対のセンサチップ2をリードフレームにダイボンディングすることで磁気センサ1が形成される。
このように形成された磁気センサ1では、被測定電流からの誘導磁界の印加方向(理想感度軸方向)に対して感度軸方向が傾くようにセンサチップ2が配置された場合でもセンサ出力の直線性の低下が抑制される。すなわち、一方の磁気抵抗効果素子21aのフリー磁性層では、誘導磁界に対してバイアス磁界がプラス方向に作用し、他方の磁気抵抗効果素子21bのフリー磁性層では、誘導磁界に対してバイアス磁界がマイナス方向に作用する。したがって、バイアス磁界のオフセット成分によって一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの感度が互いに逆向き変化するため、一対の磁気抵抗効果素子21a、21bの感度変化が相殺されてセンサ出力の直線性の低下が抑制される。また、フリー磁性層と反強磁性層との間の交換結合によってバイアス磁界が印加されるため、強磁場によって一対の磁気抵抗効果素子21a、21bが磁気的に破壊されることがない。さらに、バイアス磁界の印加方向が、フリー磁性層と反強磁性層の成膜時の磁界印加方向で決定されるため、容易に製造することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における各素子の接続関係、大きさなどは適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態においては、磁気比例式磁気センサを例示して説明しているが、この構成に限定されない。本発明は、磁気平衡式磁気センサに適用することも可能である。また、本実施の形態では、フルブリッジ回路の2つのセンサ出力の差動出力を得る構成としたが、この構成に限定されない。磁気センサは、ハーフブリッジ回路の1つのセンサ出力を得るものであってもよい。また、本実施の形態では、各センサチップに形成されたハーフブリッジ回路を2つ組み合わせてフルブリッジ回路を形成する構成としたが、この構成に限定されない。1つのセンサチップにフルブリッジ回路を形成してもよい。これらの構成であっても、センサ出力の直線性の低下を抑制することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
本発明は、電気自動車やハイブリッドカーのモータ駆動用の電流の大きさを検出する磁気センサ及び磁気センサの製造方法に適用することが可能である。
1 磁気センサ
2a、2b センサチップ
3 差動増幅器
14a 第1の磁気抵抗効果膜
14b 第2の磁気抵抗効果膜
21a−21d 磁気抵抗効果素子
25 フルブリッジ回路
26 素子部
27 導電部
34 フリー磁性層
35 反強磁性層

Claims (3)

  1. ハーフブリッジ回路を形成するように同一センサチップ上に一対の磁気抵抗効果素子が設けられ、
    前記一対の磁気抵抗効果素子が、磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層と、交換結合によって前記フリー磁性層に対してバイアス磁界を印加する反強磁性層とを有し、
    前記一対の磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層の磁化方向は互いに逆向きであり、
    前記一対の磁気抵抗効果素子の各フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、前記各反強磁性層が前記各フリー磁性層にバイアス磁界を印加することを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記一対の磁気抵抗効果素子によって形成される複数の前記ハーフブリッジ回路からなるフルブリッジ回路を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 磁化方向が固定された固定磁性層と、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層と、交換結合によって前記フリー磁性層に対してバイアス磁界を印加する反強磁性層とを有する一対の磁気抵抗効果素子が、ハーフブリッジ回路を形成するように同一センサチップ上に設けられた磁気センサの製造方法であって、
    第1の方向に磁界を印加しながら、第1の磁気抵抗効果膜を前記センサチップ上に形成するステップと、
    前記第1の方向に対して逆向きとなる第2の方向に磁界を印加しながら、第2の磁気抵抗効果膜を前記センサチップ上に形成するステップと、
    前記第1の磁気抵抗効果膜及び前記第2の磁気抵抗効果膜をエッチングし、前記一対の磁気抵抗効果素子を形成するステップとを有し、
    前記一対の磁気抵抗効果素子は、前記一対の磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層の磁化方向は互いに逆向きになるように形成され、前記各フリー磁性層の磁化方向が互いに逆向きになるように、前記各反強磁性層により前記各フリー磁性層にバイアス磁界が印加されることを特徴とする磁気センサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017078594A (ja) * 2015-10-19 2017-04-27 アルプス電気株式会社 磁気センサ、磁界の測定方法、電流センサ、および電流の測定方法
JP2018112481A (ja) * 2017-01-12 2018-07-19 アルプス電気株式会社 磁気センサ
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