JP2014062882A - 移動体の回転数計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力部20には、移動体である球体の径情報が入力される。計測処理部24はドップラー信号および径情報に基づいて、前記移動体の移動速度および回転数を算出する。計測処理24部は、所定の計測時間中に継続して得られるドップラー信号のうち、ピーク値の最大値を用いて移動速度を算出するとともに、周波数幅の最大値を用いて回転数を算出する。表示部18は、算出された移動速度および回転数を含む表示内容を表示する。
【選択図】図1
Description
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態にかかる回転数計測装置10の外観を示す斜視図であり、図2は、回転数計測装置10の正面図である。
図1に示すように、移動体の回転数計測装置10(以下単に回転数計測装置10という)は、筐体12と、アンテナ14と、アンテナ支持部16と、表示部18と、入力部20とを含んで構成されている。
筐体12は、上下方向の厚さと、厚さよりも大きな寸法の左右方向の幅と、幅よりも大きな寸法の前後方向の長さを有し、矩形板状を呈している。
筐体12の上面1202は、長手方向を筐体12の前後方向に平行させたほぼ長方形を呈している。
上面1202の前後はそれぞれ筐体12の前面1204と後面1206とに接続されている。
また、上面1202に対向する下面1203には回転数計測装置10を三脚などの固定具に取り付けるための不図示の雌ねじ(カメラネジ)が設けられている。
アンテナ14は、指向性を有し、後述するドップラーセンサ22(図6参照)から供給される送信信号に基づいて移動体に向けて送信波を送信するとともに、移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成しドップラーセンサ22に供給するものである。
本明細書においては、アンテナ14の利得が最大となる方向に沿って延在する仮想線をアンテナの指向方向を示す仮想軸Lとする。
本実施の形態では、アンテナ14は、矩形板状のパッチアンテナで構成され、厚さ方向の一方の面が送信波を送信しかつ反射波を受信する表面であり、表面の反対側が裏面となっている。
また、アンテナ14としてパッチアンテナを用いたので、回転数計測装置10の小型化を図る上で有利となる。しかしながら、アンテナ14としてホーンアンテナなど従来公知の様々なアンテナが使用可能である。
なお、アンテナ14の指向角が狭すぎると、移動体の測定範囲が限定される不利があり、アンテナ14の指向角が広すぎると、測定対象となる移動体以外の物体からの不要な反射波を受信することになり測定精度を確保する上で不利となる。
そのため、アンテナ14の指向角は、5度〜90度とすることが移動体の測定範囲を確保しつつ測定対象外の物体からの不要な反射波の受信を抑制する上で有利である。
本実施の形態では、アンテナ支持部16は、フレーム16Aと、ケース16Bとを備えている。
フレーム16Aは、筐体12の前面1204に設けられ筐体12の幅方向に延在する基部1602と、基部1602の両端から前方に起立する2つの柱部1604とで構成されている。
ケース16Bは、アンテナ14を平面視したときの輪郭よりも一回り小さい矩形板状を呈し、ケース16Bの4辺をアンテナ14の4辺に平行させた状態でアンテナ14の背面に取着されている。
より詳細には、ケース16Bは、アンテナ14に対向する矩形板状の底壁と、該底壁から起立する4つの側壁とを有し、これら4つの側壁の上部がアンテナ14の背面に接続されている。また、これら底壁と4つの底壁とアンテナ14とで囲まれた収容空間には、後述するドップラーセンサ22が収容されている。
また、アンテナ14とドップラーセンサ22とが一体的に設けられた一体型モジュールを用いてもよい。この場合、ドップラーセンサ22はアンテナ14の背面に一体的に設けられている。
このような一体型モジュールを用いた場合は、アンテナ14とドップラーセンサ22との間での信号経路の距離を短縮することで信号に加わるノイズを低減する上で有利となり、また、回転数計測装置10の小型化を図る上で有利となる。
なお、ドップラーセンサ22は、筐体12に収容されていてもよい。
ケース16Bは、4つの側壁のうち対向する2つの側壁が2つの柱部1604の間に配置され、筐体12の左右方向に軸心を向けた支軸16Cを介して2つの柱部1604に回転可能に支持されている。
したがって、アンテナ支持部16は、仮想軸Lの傾きが変化可能となるようにアンテナ14を支持している。
本明細書においては、図4に示すように、仮想軸Lが後述する表示部18の表示面1802と平行する仮想平面Pとなす角度をアンテナ角θとする。本実施の形態では、アンテナ支持部16は、アンテナ角θが±90度の範囲で変化するようにアンテナ14を支持している。言い換えると、アンテナ角θは180度の範囲で変化する。なお、アンテナ角θの調整範囲は180度に限定されるものではなく、調整範囲をどのように設定するかは任意である。
ここで、図4に示すように仮想軸Lが筐体12の上方を向いた状態でアンテナ角θ=+90度であり、図5に示すように仮想軸Lが筐体12の前方を向いた状態でアンテナ角θ=0度であり、図3に示すように仮想軸Lが筐体12の後方を向いた状態でアンテナ角θ=−90度であり、したがって、アンテナ角θの調整範囲は±90度となる。
なお、本実施の形態では、アンテナ支持部16がアンテナ14を単一の支軸16C回りに回転可能に支持する場合について説明したが、アンテナ支持部16は仮想軸Lの傾きが変化可能となるようにアンテナ14を支持できればよく、アンテナ支持部16として従来公知の様々な機構が使用可能である。
たとえば、支軸16Cと直交する平面上を延在する別の支軸をさらに設けることにより、アンテナ支持部16がアンテナ14を2つの支軸回りに回転可能に支持する構成としてもよい。この場合は、アンテナ14の仮想軸Lの傾きの調整の自由度を確保する上でより有利となる。
さらに、本実施の形態では、図4、図5に示すように、アンテナ支持部16に、アンテナが予め定められた複数のアンテナ角θのいずれに位置しているかを示す角度表示部16Dが設けられている。これにより、アンテナ角θの確認の容易化が図られている。
角度表示部16Dは、一方の柱部1604に設けられた窓部と、ケース16Bの箇所に設けられた指標とで構成されている。
指標は、アンテナ角θの+90度、0度、−90度に対応したケース16Bの箇所にA、B、Cといった記号あるいは数字あるいは目盛線などで形成されている。
アンテナ14のアンテナ角θが+90度、0度、−90度のそれぞれに切り換えられると、ケース16Bの箇所に形成されたA、B、Cの指標が前記の窓部を介して選択的に露出されることでアンテナ14が複数のアンテナ角θのいずれに位置しているかが示されることになる。
なお、このような角度表示部16Dとして従来公知の様々な表示機構が使用可能である。
本実施の形態では、表示面1802は筐体12の前後方向に沿った長さが筐体12の左右方向に沿った幅よりも短い長方形を呈している。
表示部18は、計測結果である移動体の移動速度および回転数を含む様々な表示内容を数字、記号、アイコンなどの形態で表示面1802に表示させる。
このような表示部18として液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイを用いることができる。
本実施の形態では、入力部20は、モード選択ボタン、電源ボタンを含む複数の操作ボタンを含んで構成されている。なお、上述した表示部18をタッチパネル式ディスプレイにして、入力部20を表示部18で兼ねるようにしてもよい。
電源ボタンは、電源のオン、オフをおこなうためのものである。
なお、このような計測モード選択画面として従来公知の様々な表示形態が使用可能である。また、計測モードの選択にあたっては、必ずしも表示を伴わなくてもよく、従来公知の様々な選択形態が使用可能である。
また、このようにモード選択をおこなうのではなく、入力部20に対して、移動体である球体の径の値を直接入力するようにしてもよい。
以下の説明では、計測モードをボールモードに選択し、移動体として使用者が投げた野球ボール6の移動速度および回転数を計測する場合について説明する。
なお、図7において符号6は球体の移動体としての野球ボールを示し、符号Mは野球ボール6を投球する使用者を示す。
回転数計測装置10は、前記のアンテナ14、表示部18、入力部20に加えて、ドップラーセンサ22、計測処理部24などを含んで構成されている。
ドップラー信号とは、送信信号の周波数F1と受信信号の周波数F2との差分の周波数F1−F2で定義されるドップラー周波数Fdを有する信号である。
ドップラーセンサ22は、市販されている種々のものが使用可能である。
なお、前記の送信信号としては、たとえば、24GHzあるいは10GHzのマイクロ波が使用可能であり、ドップラー信号Sdを得られるものであれば送信信号の周波数は限定されない。これにより、回転数計測装置10の汎用性を高めることができる。
また、送信波の出力はたとえば10mW以下とする。これは、回転数計測装置10をバッテリー駆動とした場合、使用可能時間を長くするため、消費電力はなるべく低く抑えることが望ましいためである。回転数計測装置10において、アンテナ14からの送信波の送信に消費される電力は極めて大きい。このように、送信波の出力をたとえば10mW以下とすることによって、消費電力を低減し、バッテリーで駆動する回転数計測装置10の使用可能時間を長くすることができる。
従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。
Fd=F1−F2=2・V・F1/c (1)
ただし、V:移動体の移動速度、c:光速(3・108m/s)
したがって、(1)式をVについて解くと、(2)式となる。
V=c・Fd/(2・F1) (2)
すなわち、移動体の移動速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。
したがって、ドップラー信号Sdからドップラー周波数Fdを検出し該ドップラー周波数Fdから移動速度Vを求めることができる。
図8は、移動体(野球ボール6)の回転数を検出する原理の説明図である。
移動体の表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が90度に近い(略90°)表面の部分である第1部分Aでは送信波W1が効率よく反射され、したがって、第1部分Aでは反射波W2の強度が高い。
一方、移動体の表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が0度(略0°)に近い表面の部分である第2部分B、第3部分Cでは送信波W1が効率よく反射されず、したがって、第2、第3部分B、Cでは反射波W2の強度が低い。
第2部分Bは、移動体の回転によって移動する方向と移動体の移動方向とが反対向きとなる部分である。
第3部分Cは、移動体の回転によって移動する方向と移動体の移動方向とが同じ向きとなる部分である。
すると、以下の式が成立する。
VA=V (4)
VB=VA−ωr (5)
VC=VA+ωr (6)
(ただし、Vは移動体の移動速度、ωは角速度(rad/s)、rは移動体の半径)
したがって、第1、第2、第3速度V1、V2、V3を計測できれば、式(4)に基づいて第1速度VAから移動体の移動速度Vが求められることができる。また、(5)式または(6)式に基づいて、第2、第3速度V2、V3から角速度ωが求められるので、角速度ωから回転数を算出することができる。なお、上記式(5),(6)に示すように、回転数の算出には移動体の半径の値を用いるため、入力部20から、球体の径情報を入力する。
すなわち、後述する速度・回転数算出部30Bは、移動体である球体の表面のうち、送信波W1の送信方向となす角度が略90°である第1部分Aと、送信波W1の送信方向となす角度が略0°かつ球体の回転方向が球体の移動方向と反対向きとなる第2部分Bと、送信波W1の送信方向となす角度が略0°かつ球体の回転方向が球体の移動方向と同じ向きとなる第3部分Cと、からの反射波を用いてそれぞれ速度を算出し、第1部分Aからの反射波W2を用いて算出した第1の速度VAは球体の移動速度Vを示し、第2部分Bからの反射波W2を用いて算出した第2の速度VBは第1の移動速度VAから球体の角速度ωと球体の半径rとの積を差し引いた値を示し、第3部分Cからの反射波W2を用いて算出した第3の速度VCは第1の移動速度VAに球体の角速度ωと球体の半径rとの積を加えた値を示すものとし、第1の速度VA、第2の速度VBおよび第3の速度VCから球体の角速度ωを算出することによって球体の回転数を算出する。
図9は、専用の装置によって打ち出された移動体を回転数計測装置10で計測した場合におけるドップラー信号Sdをウェーブレット解析した結果を示す図である。
横軸は時間t(ms)、縦軸はドップラー周波数Fd(kHz)および移動体の移動速度V(m/s)を示す。また、横軸における時刻t0は、移動体が打ち出された時刻を示す。
このような線図は、たとえば、ドップラー信号Sdをサンプリングしてデジタルオシロスコープに取り込んでデジタルデータに変換し、該デジタルデータをパーソナルコンピュータなどを用いてウェーブレット解析、あるいは、FFT解析することで得られる。
したがって、符号DAで示す周波数分布は、信号強度が強く、第1速度VAに対応する部分である。
符号DBで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第2速度VBに対応する部分である。
符号DCで示す周波数分布は、周波数分布DAよりも信号強度が低く、第3速度VCに対応する部分である。
したがって、ドップラー信号Sdの強度を周波数について解析することにより、周波数分布DA、DB、DCを特定し、それぞれの周波数分布DA、DB、DCから前記の式(4)、(5)、(6)の原理を用いることによって、第1、第2、第3速度VA、VB、VCを時系列データとして得ることができるのである。
すなわち、後述する速度・回転数算出部30Bは、ドップラー信号Sdの信号強度分布データのうち、信号強度が相対的に高い成分を第1部分Aからの反射波成分、信号強度が相対的に低い成分のうち第1部分Aからの反射波成分よりも周波数が低い成分を第2部分Bからの反射波成分、信号強度が相対的に低い成分のうち第1部分Aからの反射波成分よりも周波数が高い成分を第3部分Cからの反射波成分として球体の回転数を算出する。
このような処理は、従来公知の様々な信号処理回路を用いることによって、あるいは、信号処理プログラムに基づいて動作するマイクロプロセッサを用いることによって実現可能である。
より詳細には、上記式(2)によって算出される移動体の移動速度は、アンテナ14の指向性を示す仮想軸Lと一致する方向の移動速度成分である。したがって、移動体の移動軌跡がアンテナ14の指向性を示す仮想軸Lに対して外れるほど式(2)によって得られる移動体の移動速度の誤差が増大する傾向となる。
図10(a)に示すように、アンテナ14の指向性を示す仮想軸Lに対して角度θをもって移動する移動体の移動速度は、実際の移動速度よりもcosθ遅く計測される。
ここで、図10(a)に示すように、移動体がアンテナ14から十分遠方に位置する場合には、送信波は一般的には平面波(より詳細には、仮想軸Lに対して垂直な波面Wを有する平面波)となる。すなわち、アンテナ14から送信された送信波の波面Wの法線方向は、仮想軸Lと常時一致する。このため、一定方向に移動する移動体の移動方向と波面Wの法線方向との角度θは常時一定である(図10(a)においては、θ1=θ2となる)。これにより、移動体の移動速度の誤差(遅れ)は、常時一定である。
また、使用者が自らの投球の速度および回転数を計測する場合などは、使用者自身が回転数計測装置10の操作をおこなう必要があり、移動体の移動開始地点(使用者の位置)とアンテナ14の設置位置(回転数計測装置10の設置位置)とを大きくすることができない。
そして、得られた所定時間分のドップラー信号のうち、周波数のピーク値を用いて移動体の移動速度を、振幅の最大値を用いて移動体の回転数を算出する。すなわち、後述する演算部30(図7参照)は、所定の計測時間中に継続して得られるドップラー信号のうち、ピーク値の最大値を用いて移動速度を算出するとともに、幅の最大値を用いて前記回転数を算出する。
これにより、移動体がアンテナ14の近傍を通過し、通常の計測方法では角度誤差が生じる可能性があるような場合でも、移動体の移動速度および回転数を安定して計測することができる。
計測処理部24は、ドップラーセンサ22から供給されるドップラー信号Sdを入力して演算処理をおこなうことにより、移動体(本実施の形態では野球ボール6)の移動速度および回転数を算出するものである。
本実施の形態では、計測処理部24は、マイクロコンピュータ26によって構成されている。
マイクロコンピュータ26は、CPU26Aと、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM26B、RAM26C、インターフェース26D、表示用ドライバ26Eなどを含んで構成されている。
ROM26BはCPU26Aが実行する移動体の移動速度および回転数を算出するための制御プログラムなどを格納し、RAM26Cはワーキングエリアを提供するものである。
インターフェース26Dは、ドップラー信号Sdを入力してCPU26Aに供給し、また、入力部20からの操作信号を受け付けてCPU26Aに供給するものである。
表示用ドライバ26EはCPU26Aの制御に基づいて表示部18を駆動するものである。
マイクロコンピュータ26は、機能的には、蓄積部28と、演算部30と、制御部32とを含んで構成されている。
また、蓄積部28と、演算部30と、制御部32とは、CPU26Aが前記制御プログラムを実行することで実現されるものであるが、これらの部分は、回路等のハードウェアで構成されたものであってもよい。
蓄積部28は、ドップラー信号Sdを予め定められたサンプリング周期で時間経過に従って順番に蓄積するものである。本実施の形態では、CPU21Aがドップラー信号Sdを前記サンプリング周期でサンプリングしてRAM21Cにドップラー信号Sdのサンプリングデータとして格納する。
蓄積部28は、たとえば、回転数計測装置10の電源が投入されると同時にサンプリング動作を開始する。
図12は、野球ボール6を投球した際のドップラー信号Sdの一例を示す線図であり、横軸に時間t(sec)、縦軸に振幅(任意単位)をとっている。
図12において、初めの大きな振幅を呈する波形部分が使用者の動きによって生じるドップラー信号の部分を示し、その後に続く波形部分が投球された野球ボール6によって生じるドップラー信号の部分を示している。
言い換えると、信号強度分布データ生成部30Aは、ドップラーセンサ22から得られたドップラー信号Sdを周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する。
本実施の形態では、信号強度分布データ生成部30Aは、蓄積部28に蓄積された時系列データであるドップラー信号Sdのサンプリングデータを予め定められた区間に特定して信号強度分布データの生成を実施する。すなわち、信号強度分布データ生成部30Aは、所定の計測時間中の各時刻(サンプリング間隔周期)におけるドップラー信号を信号強度分布データに変換する。ドップラー信号Sdのサンプリングデータの区間は予め定められた計測時間に基づいて特定される。
言い換えると、信号強度分布データ生成部30Aは、垂れ流し方式で蓄積されているドップラー信号Sdのサンプリングデータのうち、野球ボール2が投球された後の一定の区間におけるサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施する。
また、図13(b)〜(d)に示すように、時刻の経過(すなわち、移動体と回転数計測装置10との距離の増加)に伴って、信号強度STの値は小さく、信号強度分布の幅SWも狭くなっている。
これは、図10に示したように、移動体が回転数計測装置10の近傍にあるとき(たとえば時刻t1、図14(a))は、角度誤差に基づく速度の計測誤差が生じて移動速度が実際に遅く計測されているからである。一方で、移動体の位置が角度誤差を無視できるほど遠方まで達した時刻(たとえば時刻t4、図14(d))では、移動体と回転数計測装置10との距離が増加したため、信号強度は低くなったものの、角度誤差が解消されたため、周波数の値は真の移動速度を示す値に近づいている。
また、速度・回転数算出部30Bは、ドップラー周波数のピーク値を用いて移動速度を算出するとともに、ドップラー信号の高周波側において信号強度がピーク値から所定レベル低い値となる点と、ピーク値を取る点と、の間の幅を用いて回転数を算出するようにしてもよい。これは、低周波側では高周波側と比較して、移動体以外の障害物(たとえば、野球ボール6の投球をおこなう投手の身体など)に起因するノイズ成分が含まれている可能性が高いためである。
また、制御部32は、算出された移動体の移動速度および回転数を表示部18に表示させる。
図15は、野球ボール6を移動体として計測する場合の回転数計測装置10の設置状態を説明する平面図である。また、図16、は野球ボール6を移動体として計測する場合の回転数計測装置10の動作を示すフローチャートである。
計測モードが選択されると(ステップS12:Yes)、回転数計測装置10は、選択されたモードで移動体となる球技用ボールの径情報を特定する(ステップS14)。
すなわち、回転数計測装置10の上面1202(表示面1802)を投球方向と反対方向に向けるとともに、前面1204を上方に向け、後面1206を地面に向ける。そして、アンテナ14のアンテナ角θを調整し仮想軸Lを投球方向と合致させる。
この場合、アンテナ角θはたとえば−90度となる。
回転数計測装置10は、地面の上に載置してもよいし、あるいは、三脚などの固定具を介して設置してもよい。
これにより、アンテナ14から送出された送信波W1が野球ボール6に当たり、反射波W2がアンテナ14に受信可能な状態となる。
また、使用者Mが表示面1802を容易に視認できる状態となる。
なお、移動体としてゴルフボールなど他の球技用ボールの移動速度および回転数を計測する場合にも、移動体の移動開始位置からからたとえば1.5m〜2.0m程度前方の箇所に回転数計測装置10を設置する。
具体的には、送信波W1が野球ボール6に反射され、反射波W2がドップラーセンサ22で受信され、ドップラーセンサ22でドップラー信号Sdが生成される(ステップS16)。
ドップラー信号Sdは、蓄積部28によりサンプリング周期でサンプリングされて時系列データとして蓄積部28に蓄積される(ステップS18)。
なお、計測データどのような表示形態で表示させるかは任意である。具体的には、たとえば表示形態を選択する表示モードを設定するための操作を入力部20に対しておこなうことで、制御部32がその操作を受け付け、移動速度および回転数の双方あるいは一方を表示させるようにすれば良い。
また、回転数計測装置10は、所定の計測時間中に継続して得られるドップラー信号Sdのうち、ピーク周波数の最大値を用いて移動速度を算出するとともに、周波数幅SWの最大値を用いて回転数を算出する。これにより、回転数計測装置10の近傍を移動体が移動する場合であっても、角度誤差の影響を受けづらくして、測定精度を向上させることができる。
また、回転数計測装置10は、入力部20を介して移動体である球体の径情報を入力させるので、移動体の回転数の算出に不可欠な径情報を容易に取得することができる。たとえば入力部20から球技用ボールの種類を入力するようにすれば、使用者が球体の径情報を直接知らなくても回転数の計測をおこなうことができる。また、たとえば入力部20から球体の径の値を入力するようにすれば、計測に特殊なサイズの球体を用いるような場合にも対応することができる。
また、回転数計測装置10において、予め球体の径情報ごとに相関式を生成しておき、直径情報に基づいて相関式を選択して移動速度および回転数を算出するようにすれば、計測時に生じる各種のノイズの影響を低減することができ、移動速度および回転数の算出精度を向上させることができる。
また、回転数計測装置10において、記送信波の周波数帯域を24GHzあるいは10GHzとすれば、回転数計測装置10の汎用性を高めることができる。
また、回転数計測装置10において、送信波の出力を10mW以下とすれば、回転数計測装置10における消費電力を低減させることができ、回転数計測装置10がバッテリーで駆動される場合にも実用性を向上させることができる。
また、回転数計測装置10において、アンテナ14と前記ドップラーセンサ22とが一体的に設けられた一体型モジュールを構成するようにすれば、回転数計測装置10をさらに小型化することができ、可搬性を向上させることができる。また、回転数計測装置10の設置面積が減少させることができるため、使用者等の近くに設置しても邪魔になりにくくすることができる。
また、回転数計測装置10において、バッテリーに蓄電された電力を用いて駆動するようにすれば、計測場所を選ばずに計測をおこなうことができ、回転数計測装置10の利便性を向上させることができる。
したがって、表示面1802の向きとアンテナ14の仮想軸Lの向きを同一の向きから反対の向きの間まで調整することができるため、表示部18の視認性および移動体の移動速度の測定精度の双方を確保する上でより有利となる。
Claims (12)
- 指向性を有し、供給される送信信号に基づいて球体の移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成するアンテナと、
前記アンテナに前記送信信号を供給するとともに、前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサと、
前記球体の径情報が入力される入力部と、
前記ドップラー信号および前記径情報に基づいて、前記移動体の移動速度および回転数を算出する計測処理部と、
前記算出された移動速度および回転数を含む表示内容を表示する表示部と、
少なくとも前記表示部を保持する筐体と、
を備えることを特徴とする移動体の速度計測装置。 - 前記アンテナは、所定の計測時間中継続して前記送信波の送信および前記反射波の受信をおこない、
前記ドップラーセンサは、前記所定の計測時間中継続して前記送信信号の供給および前記ドップラー信号の生成をおこない、
前記計測処理部は、所定の計測時間中の各時刻における前記ドップラー信号を信号強度分布データに変換し、前記所定の計測時間中の前記信号強度分布データのうち、前記ドップラー周波数のピーク値の最大値を用いて前記移動速度を算出するとともに、前記信号強度分布データの分布幅が最大値を取る時刻における前記ドップラー信号の信号強度分布データを用いて前記回転数を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記計測処理部は、前記ドップラー信号の高周波側において前記信号強度が前記ピーク値から所定レベル低い値となる点と、前記ドップラー信号の低周波側において前記信号強度が前記ピーク値から所定レベル低い値となる点と、の間の幅を用いて前記回転数を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記計測処理部は、前記ドップラー信号の高周波側において前記信号強度が前記ピーク値から所定のレベル低い値となる点と、前記ピーク値を取る点と、の間の幅を用いて前記回転数を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記計測処理部は、前記球体表面のうち、前記送信波の送信方向となす角度が略90°である第1部分と、前記送信波の送信方向となす角度が略0°かつ前記球体の回転方向が前記球体の移動方向と反対向きとなる第2部分と、前記送信波の送信方向となす角度が略0°かつ前記球体の回転方向が前記球体の移動方向と同じ向きとなる第3部分と、からの反射波を用いてそれぞれ速度を算出し、前記第1部分からの反射波を用いて算出した第1の速度は前記球体の移動速度を示し、前記第2部分からの反射波を用いて算出した第2の速度は前記第1の移動速度から前記球体の角速度と前記球体の半径との積を差し引いた値を示し、前記第3部分からの反射波を用いて算出した第3の速度は前記第1の移動速度に前記球体の角速度と前記球体の半径との積を加えた値を示すものとし、前記第1の速度、前記第2の速度および前記第3の速度から前記球体の角速度を算出することによって前記球体の回転数を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。
- 前記計測処理部は、前記ドップラー信号の前記周波数分布データのうち、信号強度が相対的に高い成分を前記第1部分からの反射波成分、信号強度が相対的に低い成分のうち前記第1部分からの反射波成分よりも周波数が低い成分を前記第2部分からの反射波成分、信号強度が相対的に低い成分のうち前記第1部分からの反射波成分よりも周波数が高い成分を前記第3部分からの反射波成分として前記球体の回転数を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動体の回転数計測装置。
- 前記球体は球技用ボールであり、
前記入力部には、前記球技用ボールの種類が入力され、
前記計測処理部には、前記入力部に入力される種類の前記球技用ボールの径が記録されている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記入力部には、前記球体の径の値が入力される、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記計測処理部は、あらかじめ前記球体の前記径情報ごとに前記ドップラー周波数から前記移動速度および前記回転数を算出する相関式を有し、前記入力部に入力された前記径情報に基づいて前記相関式を選択して前記移動速度および前記回転数を算出する、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記送信波の周波数帯域が24GHzあるいは10GHzであり、前記送信波の出力が10mW以下である、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。 - 前記アンテナと前記ドップラーセンサとが一体的に設けられた一体型モジュールを構成している、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。 - 電力を蓄電するバッテリーを備え、
前記バッテリーに蓄電された前記電力を用いて駆動する、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の移動体の回転数計測装置。
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