JP6213242B2 - 移動体の計測装置および計測方法 - Google Patents
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Description
このようなドップラー法を用いて移動体の移動方向および移動速度の双方を計測する技術が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
上記特許文献1では、単一の送波器からの超音波を移動体(ゴルフクラブヘッド)に向けて送波するとともに、移動体で反射された反射波を異なる位置に設けられた3つの受波器で受波する。そして、各受波器で検出された反射波に含まれるドップラー信号成分に基づき、各受波方向における移動体の相対速度をそれぞれ算出し、これら相対速度に基づいて移動体の速度ベクトルを算出し、速度ベクトルの向きに基づいて移動体の移動方向(角度)を算出している。
また、上記特許文献2では、互いに離間して配置されている複数のアンテナを用いてそれぞれ計測された速度と、移動体の移動方向および移動速度との実測値との相関関係を予め求めておく。そして、計測時には、複数のアンテナでそれぞれ計測された各速度と、予め求められた相関関係とを用いて、移動体の移動方向および移動速度を算出している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つの受波器のみを用いて、移動体の移動方向および移動速度を計測できる移動体の計測装置および計測方法を提供することにある。
また、本発明の移動体の計測方法は、指向性を有し、供給される送信信号に基づいて移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成する単一のアンテナを配置し、前記アンテナに前記送信信号を供給するとともに、前記アンテナから供給される前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサを設け、前記ドップラーセンサから得られた前記ドップラー信号を周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する信号強度分布データ生成部を設け、前記信号強度分布データに基づいて、前記移動体の移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分に基づいて速度を算出する速度演算部を設け、所定の基準時刻における前記移動体の速度と前記基準時刻から所定時間経過後における前記移動体の速度との差分と、前記移動体の移動方向との相関関係を予め求めておき、前記差分と前記移動体の移動方向との相関関係に基づいて、前記速度演算部で算出された前記速度から前記移動方向を算出し、前記基準時刻は前記移動体が移動開始地点から所定距離離れた基準地点まで移動すると予測される時刻であり、前記所定時間は前記移動体が前記基準地点から所定の基準距離離れた移動後地点に到達すると予測される時間であり、前記所定時間を複数設定し、複数の前記所定時間は、前記移動体が前記基準地点から前記所定の基準距離の整数倍ずつ離れた複数の移動後地点にそれぞれ到達すると予測される時間である、ことを特徴とする。
したがって、単一のアンテナのみを用いて移動体の移動方向および移動速度を計測することができ、計測装置の低コスト化および小型化を図る上で有利となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、移動体がゴルフボールであり、本実施の形態にかかる移動体の計測装置は、ゴルフクラブヘッドによって打撃されたゴルフボールの移動方向と移動速度を計測するものである場合について説明する。なお、移動体は、野球用ボールやサッカーボールなどの球技用ボールであってもよく、空間を移動する移動体であればよい。
図1に示すように、移動体の計測装置10(以下単に計測装置10という)は、筐体12と、アンテナ14と、アンテナ支持部16と、表示部18と、入力部20とを含んで構成されている。
筐体12は、上下方向の厚さと、厚さよりも大きな寸法の左右方向の幅と、幅よりも大きな寸法の前後方向の長さを有し、矩形板状を呈している。
筐体12の上面1202は、長手方向を筐体12の前後方向に平行させたほぼ長方形を呈している。
上面1202の前後はそれぞれ筐体12の前面1204と後面1206とに接続されている。
また、上面1202に対向する下面1203には計測装置10を三脚などの固定具に取り付けるための不図示の雌ねじ(カメラネジ)が設けられている。
アンテナ14は、指向性を有し、後述するドップラーセンサ22(図6参照)から供給される送信信号に基づいて移動体に向けて送信波を送信するとともに、移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成しドップラーセンサ22に供給するものである。
本明細書においては、アンテナ14の利得が最大となる方向に沿って延在する仮想線をアンテナの指向方向を示す仮想軸Lとする。
本実施の形態では、アンテナ14は、矩形板状のパッチアンテナで構成され、厚さ方向の一方の面が送信波を送信しかつ反射波を受信する表面であり、表面の反対側が裏面となっている。
また、アンテナ14としてパッチアンテナを用いたので、計測装置10の小型化を図る上で有利となる。しかしながら、アンテナ14としてホーンアンテナなど従来公知の様々なアンテナが使用可能である。
なお、アンテナ14の指向角が狭すぎると、移動体の測定範囲が限定される不利があり、アンテナ14の指向角が広すぎると、測定対象となる移動体以外の物体からの不要な反射波を受信することになり測定精度を確保する上で不利となる。
そのため、アンテナ14の指向角は、5度〜90度とすることが移動体の測定範囲を確保しつつ測定対象外の物体からの不要な反射波の受信を抑制する上で有利である。
本実施の形態では、アンテナ支持部16は、フレーム16Aと、ケース16Bとを備えている。
フレーム16Aは、筐体12の前面1204に設けられ筐体12の幅方向に延在する基部1602と、基部1602の両端から前方に起立する2つの柱部1604とで構成されている。
ケース16Bは、アンテナ14を平面視したときの輪郭よりも一回り小さい矩形板状を呈し、ケース16Bの4辺をアンテナ14の4辺に平行させた状態でアンテナ14の背面に取着されている。
より詳細には、ケース16Bは、アンテナ14に対向する矩形板状の底壁と、該底壁から起立する4つの側壁とを有し、これら4つの側壁の上部がアンテナ14の背面に接続されている。また、これら底壁と4つの底壁とアンテナ14とで囲まれた収容空間には、後述するドップラーセンサ22が収容されている。
また、アンテナ14とドップラーセンサ22とが一体的に設けられた一体型モジュールを用いてもよい。この場合、ドップラーセンサ22はアンテナ14の背面に一体的に設けられている。
このような一体型モジュールを用いた場合は、アンテナ14とドップラーセンサ22との間での信号経路の距離を短縮することで信号に加わるノイズを低減する上で有利となり、また、計測装置10の小型化を図る上で有利となる。
なお、ドップラーセンサ22は、筐体12に収容されていてもよい。
ケース16Bは、4つの側壁のうち対向する2つの側壁が2つの柱部1604の間に配置され、筐体12の左右方向に軸心を向けた支軸16Cを介して2つの柱部1604に回転可能に支持されている。
したがって、アンテナ支持部16は、仮想軸Lの傾きが変化可能となるようにアンテナ14を支持している。
本明細書においては、図4に示すように、仮想軸Lが後述する表示部18の表示面1802と平行する仮想平面Pとなす角度をアンテナ角θとする。本実施の形態では、アンテナ支持部16は、アンテナ角θが±90度の範囲で変化するようにアンテナ14を支持している。言い換えると、アンテナ角θは180度の範囲で変化する。なお、アンテナ角θの調整範囲は180度に限定されるものではなく、調整範囲をどのように設定するかは任意である。
ここで、図4に示すように仮想軸Lが筐体12の上方を向いた状態でアンテナ角θ=+90度であり、図5に示すように仮想軸Lが筐体12の前方を向いた状態でアンテナ角θ=0度であり、仮想軸Lが筐体12の後方を向いた状態でアンテナ角θ=−90度であり、したがって、アンテナ角θの調整範囲は±90度となる。
なお、本実施の形態では、アンテナ支持部16がアンテナ14を単一の支軸16C回りに回転可能に支持する場合について説明したが、アンテナ支持部16は仮想軸Lの傾きが変化可能となるようにアンテナ14を支持できればよく、アンテナ支持部16として従来公知の様々な機構が使用可能である。
たとえば、支軸16Cと直交する平面上を延在する別の支軸をさらに設けることにより、アンテナ支持部16がアンテナ14を2つの支軸回りに回転可能に支持する構成としてもよい。この場合は、アンテナ14の仮想軸Lの傾きの調整の自由度を確保する上でより有利となる。
さらに、本実施の形態では、図4、図5に示すように、アンテナ支持部16に、アンテナが予め定められた複数のアンテナ角θのいずれに位置しているかを示す角度表示部16Dが設けられている。これにより、アンテナ角θの確認の容易化が図られている。
角度表示部16Dは、一方の柱部1604に設けられた窓部と、ケース16Bの箇所に設けられた指標とで構成されている。
指標は、アンテナ角θの+90度、0度、−90度に対応したケース16Bの箇所にA、B、Cといった記号あるいは数字あるいは目盛線などで形成されている。
アンテナ14のアンテナ角θが+90度、0度、−90度のそれぞれに切り換えられると、ケース16Bの箇所に形成されたA、B、Cの指標が前記の窓部を介して選択的に露出されることでアンテナ14が複数のアンテナ角θのいずれに位置しているかが示されることになる。
なお、このような角度表示部16Dとして従来公知の様々な表示機構が使用可能である。
アンテナ14の利得が最大となる方向に沿って延在する直線をアンテナ14の指向方向を示す仮想軸Lとする。
仮想軸L上における利得を最大値とし、仮想軸を含む水平面内で利得が3dB低下する角度を水平角とし、仮想軸を含む鉛直面内で利得が3dB低下する角度を垂直角とする。
水平角は10度以上が好ましい。この範囲を下回ると十分な計測範囲が確保できない点で不利となる。本実施の形態では、水平角が32度である。
垂直角は120度以下が好ましい。この範囲内であると、ゴルフボールが打ち出されると想定される範囲内を十分な感度で計測できる点で有利となる。本実施の形態では、垂直角が80度である。
図7は、本実施の形態で使用したアンテナ14の利得分布を示すグラフである。図7のグラフにおいて、縦軸は利得の最大値(仮想軸L上の利得)からの利得低下量であり、横軸は仮想軸Lを0度とした角度である。上述したように、アンテナ14の利得分布は、水平角が32度、垂直角が80度となっている。
本実施の形態のように、移動体としてゴルフボール2を用いる場合には、アンテナ14における利得分布の広い側と利得分布が狭い側との比は、1.5〜5程度とするのが望ましい。
平面視した状態で、左右方向においてアンテナ14の仮想軸L上にティー201に載置されたゴルフボール2の中心点が配置されている。この中心点を移動開始位置O(あるいは原点O、すなわち移動体の移動開始位置)とする。これにより、ゴルフボール2の左右方向の移動は、仮想軸Lに沿っているとみなすことができる。すなわち、本実施の形態では、ゴルフボール2の左右方向の位置は仮想軸L上にあるものとして、上下方向の位置のみを算出する。
本実施の形態では、表示面1802は筐体12の前後方向に沿った長さが筐体12の左右方向に沿った幅よりも短い長方形を呈している。
表示部18は、計測結果である移動体の移動速度および回転数を含む様々な表示内容を数字、記号、アイコンなどの形態で表示面1802に表示させる。
このような表示部18として液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイを用いることができる。
本実施の形態では、入力部20は、モード選択ボタン、電源ボタンを含む複数の操作ボタンを含んで構成されている。なお、上述した表示部18をタッチパネル式ディスプレイにして、入力部20を表示部18で兼ねるようにしてもよい。
電源ボタンは、電源のオン、オフをおこなうためのものである。
なお、このような計測モード選択画面として従来公知の様々な表示形態が使用可能である。また、計測モードの選択にあたっては、必ずしも表示を伴わなくてもよく、従来公知の様々な選択形態が使用可能である。
なお、図11において符号2は移動体としてのゴルフボール、4はゴルフクラブヘッド、6はシャフト、8はゴルフクラブを示す。
計測装置10は、前記のアンテナ14、表示部18、入力部20に加えて、ドップラーセンサ22、計測処理部24などを含んで構成されている。
ドップラー信号Sdとは、前記送信信号の周波数F1と前記受信信号の周波数F2との差分の周波数F1−F2で定義されるドップラー周波数Fdを有する信号である。
ドップラーセンサ22は、市販されている種々のものが使用可能である。
なお、前記の送信信号としては、例えば、24GHzあるいは10GHzのマイクロ波が使用可能であり、ドップラー信号Sdを得られるものであれば送信信号の周波数は限定されない。
また、送信波の出力はたとえば10mW以下とする。これは、計測装置10をバッテリー駆動とした場合、使用可能時間を長くするため、消費電力はなるべく低く抑えることが望ましいためである。計測装置10において、アンテナ14からの送信波の送信に消費される電力は極めて大きい。このように、送信波の出力をたとえば10mW以下とすることによって、消費電力を低減し、バッテリーで駆動する計測装置10の使用可能時間を長くすることができる。
本実施の形態では、計測処理部24は、マイクロコンピュータ26によって構成されている。
マイクロコンピュータ26は、CPU26Aと、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM26B、RAM26C、インターフェース26D、表示用ドライバ26Eなどを含んで構成されている。
ROM26BはCPU26Aが実行する移動体の移動方向および移動速度を算出するための制御プログラムなどを格納し、RAM26Cはワーキングエリアを提供するものである。
インターフェース26Dは、ドップラー信号Sdを入力してCPU26Aに供給し、また、入力部20からの操作信号を受け付けてCPU26Aに供給するものである。
表示用ドライバ26EはCPU26Aの制御に基づいて表示部18を駆動するものである。
マイクロコンピュータ26は、機能的には、蓄積部30と、信号強度分布データ生成部32と、速度演算部34と、移動方向演算部36とを含んで構成されている。
また、蓄積部30と、信号強度分布データ生成部32と、速度演算部34と、移動方向演算部36は、CP26Aが前記制御プログラムを実行することで実現されるものであるが、これらの部分は、回路等のハードウェアで構成されたものであってもよい。
蓄積部30は、ドップラー信号Sdを予め定められたサンプリング周期で時間経過に従って順番に蓄積するものである。本実施の形態では、CPU26Aがドップラー信号Sdを前記サンプリング周期でサンプリングしてRAM26Cにドップラー信号Sdのサンプリングデータとして格納する。
蓄積部30は、たとえば、計測装置10の電源が投入されると同時にサンプリング動作を開始する。
図13において、初めの大きな振幅を呈する波形部分がゴルフクラブヘッド4によって生じるドップラー信号の部分を示し、その後に続く波形部分が打撃されたゴルフボール2によって生じるドップラー信号の部分を示している。
言い換えると、信号強度分布データ生成部32は、ドップラーセンサ22から得られたドップラー信号Sdを周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する。
本実施の形態では、信号強度分布データ生成部32は、蓄積部30に蓄積された時系列データであるドップラー信号Sdのサンプリングデータを予め定められた区間に特定して信号強度分布データの生成を実施する。ここで、ドップラー信号Sdのサンプリングデータの区間は予め定められた計測時間に基づいて特定される。
言い換えると、信号強度分布データ生成部32は、垂れ流し方式で蓄積されているドップラー信号Sdのサンプリングデータのうち、計測装置10に電源投入された後の一定の区間におけるサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施する。
すなわち、信号強度分布データ生成部32は、計測装置10への電源投入時刻を基準時点として、基準時点から数えてa個目までのサンプリングデータを除外し、a+1個目からb個目(a<b)までのサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施する。
この場合、a+1個目からb個目(a<b)までのサンプリングデータに、ゴルフクラブヘッド4による影響を受けたデータが含まれないように、上記の数値a、bを設定する。
数値a、bの設定は、所定の基準時刻TSおよび基準時刻TSから所定時間ΔT経過後の経過時刻TPに基づいて行われる。本実施の形態では、基準時刻TSは移動開始位置Oに対してゴルフボール2が約0.5m移動すると予測される時刻、経過時刻TPは移動開始位置Oに対してゴルフボール2が約2m移動すると予測される時刻となるように決定する。すなわち、信号強度分布データ生成部32は、計測装置10への電源投入時刻を基準として基準時刻TSおよび当該基準時刻TSから所定時間ΔT経過後を特定し、基準時刻TSと基準時刻TSから所定時間ΔT経過後との間の信号強度分布データを生成する。
すなわち、基準時刻は移動体が移動開始地点から所定距離(本実施の形態では0.5m)移動すると予測される時刻であり、所定時間ΔTは移動体が所定距離から所定の基準距離(たとえば1.5m)の整数倍の距離離れた地点に到達すると予測される時間である。なお、移動開始地点から所定距離離れた地点、すなわち基準時刻に移動体が到達すると予測される地点を「基準地点」、移動開始地点から基準距離の整数倍離れた地点、すなわち基準時刻から所定時間(ΔT)経過後に移動体が到達すると予測される地点を「移動後地点」という。
あるいは、計測装置10への電源投入時刻を基準時点として、経過時間に基づいてゴルフクラブヘッドによる影響を受けたデータが含まれないように、サンプリングデータを予め定められた区間に特定してもよい。
図14において、周波数fが低い領域で信号強度Pが高くなっている部分は、ゴルフクラブヘッド4による反射波W2に対応しており、その後に続く信号強度の山の部分が打撃されたゴルフボール2による反射波W2に対応している。
信号強度分布データPAからドップラー周波数成分を検出する方法としては以下の手順が例示される。
(1)信号強度分布データPAについて移動平均を取ることによってノイズの影響を抑制した信号強度分布データを得る。
(2)移動平均を取った信号強度分布データPAにおいて信号強度のピーク値、あるいは、信号強度の山の中央値に対応する周波数をドップラー周波数成分(ドップラー周波数)として検出する。
なお、ドップラー周波数成分の検出方法は、信号強度分布データPAに含まれるノイズの影響を抑制し、ドップラー周波数成分を正確かつ安定して検出できればよいのであり、上記の手順に限定されるものではない。
従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。
Fd=F1−F2=2・V・F1/c (1)
ただし、V:ゴルフボール2の速度、c:光速(3・108m/s)
したがって、式(1)をVについて解くと、(2)式となる。
V=c・Fd/(2・F1) (2)
すなわち、ゴルフボール2の速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。
したがって、ドップラー信号Sdからドップラー周波数Fdの周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分から式(2)に基づいてゴルフボール2の速度Vを求めることができる。
したがって、ゴルフボール2の移動軌跡がアンテナの指向性を示す仮想軸Lに対して外れるほど式(2)によって得られるゴルフボール2の移動速度の誤差が増大する傾向となる。
より詳細には、図15(a)に示すように、アンテナ14の指向性を示す仮想軸Lに対して角度θをもって移動する移動体の移動速度は、実際の移動速度よりもcosθ遅く計測される。
すなわち、予め上述した相関関係を取得しておけば、この相関関係に基づいて速度VSおよびVTからゴルフボール2の移動方向を求めることが可能となる。
本実施の形態では、ゴルフボール2の移動方向を次のように定義する。
図16および図17に示すように、移動開始位置Oを通る仮想線CLを含む基準鉛直面Pvと、移動開始位置Oを通り基準鉛直面Pvと直交する基準水平面Phとを設定する。
言い換えると、予め定められた移動開始位置Oを通り水平方向に延在する仮想線CLを含み鉛直方向に延在する平面を基準鉛直面Pvとする。移動開始位置Oを通り基準鉛直面Pvと直交する平面を基準水平面Phとする。
ゴルフボール2の移動軌跡を基準鉛直面Pvに投影した場合に投影した移動軌跡と基準水平面Ph(仮想線CL)とがなす角度を上下角度θyとする。
ゴルフボール2の移動軌跡を基準水平面Phに投影した場合に投影した移動軌跡と基準鉛直面Pvとがなす角度を左右角度θxとする。
ここで、ゴルフボール2はティーから目標地点に向けて左右方向にぶれなく打ち出すのが前提である。このため、本実施の形態では、左右角度θxを常時0とし、ゴルフボール2の移動方向を上下角度θyで定義する。
より詳細には、所定の基準時刻TSおよび経過時刻TPにおいて実測して得た速度VSおよびVPの差分ΔVを算出する。
また、予め実測して得た差分ΔVと、実測して得たゴルフボール2の上下角度θyとの相関関係に基づいて、差分ΔVから上下角度θyを算出する。
このように複数の時刻において得た複数の速度の差分の平均値から上下角度θyを算出することにより、1つのアンテナ14を用いて移動体の移動位置と移動速度とを計測することができる。
まず、専用のゴルフボール打ち出し装置(スイングロボット)によって移動開始位置Oに位置するゴルフボール2を、さまざまな速度、方向にて打ち出す。言い換えると、上下角度θy、移動速度Vαを異ならせて打撃する。
そして、移動体の移動方向および移動速度を高精度に計測可能な基準計測器によってゴルフボール2の上下角度θy、移動速度Vαを計測し、上下角度θy、速度の差分ΔVαの実測データを取得する。
このような基準計測器として、例えば、特許第4104384号に開示されているような従来公知のさまざまな計測装置が使用可能である。
また、上下角度θy、移動速度Vαの計測と同時に、本実施の形態の計測装置10Aを用いることにより、速度演算部34によって速度VSおよびVPを取得する。すなわち、上下角度θy、差分ΔVαの実測データに対応する差分ΔVを取得する。
したがって、本実施の形態では、移動方向演算部36による移動方向の算出は、予め実測され得られている基準時刻における移動体の速度VSおよび経過時刻における移動体の速度VPと、予め実測され得られているゴルフボール2の移動方向との相関関係を示す移動方向算出用の相関式に基づいてなされる。
なお、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータを上下角度θy算出用のマップとして記憶しておき、各マップを用いて上下角度θyを算出してもよい。その場合にはそれらマップをマイクロコンピュータのメモリ、例えば、ROMに設けるなど任意である。
横軸は差分ΔVを示し、縦軸は上下角度θyを示している。記号●は離散的に計測された上下角度θyと差分ΔVとのデータを示している。
特性線kが上下角度θyと差分ΔVとの相関関係を示しており、特性線kを示す相関式(回帰式)は、例えば、2次の多項式で示されている。
まず、図19を参照して、速度の差分ΔVと、ゴルフボール2の移動方向との相関関係を示す相関式の設定について説明する。
まず、専用のゴルフボール打ち出し装置(スイングロボット)を用いてゴルフボール2を、上下角度θyおよび移動速度Vαを異ならせて打撃し、上下角度θyおよび移動速度Vαを実測する(ステップS10)。
同時に、計測装置10を用いて基準時刻TSにおける速度VSおよび経過時刻TPにおける速度VPを計測する(ステップS12)。
次いで、計測装置10とは別のコンピュータにより、速度VSおよび速度VPに基づいて差分ΔVを算出する(ステップS14)。
次いで、差分ΔVと上下角度θyとの相関関係を示す相関式を算出する(ステップS16)。
そして、ステップS16によって得られた3つの相関式を計測装置10に設定する(ステップS18)。
予め図19の処理が実施され、計測装置10に前記の相関式が設定されているものとする。
まず、使用者は、ゴルフボール2の打ち出し方向においてゴルフボール2から1m後方の箇所に、アンテナ14をゴルフボール2に向けてケース260を設置する。
ケース260は、例えば地面Gの上に載置すればよい。
なお、ケース260の設置位置(すなわち、アンテナ14の設置位置)は、図16に示した相関式の算出時と略同一にするよう使用者に注意を促す。すなわち、計測装置10における計測は、相関式を決定する実測時における移動体の移動開始位置とアンテナとの相対位置と略同一位置にして行う。
これにより、アンテナ14から送出された送信波W1がゴルフボール2に当たり、反射波W2がアンテナ14に受信可能な状態となる。
使用者が入力部20を操作することにより、計測装置10はゴルフボール2の移動方向および移動速度を計測するための計測モードに設定される(ステップS40)。
信号強度分布データ生成部32は、蓄積部30へのサンプリングが開始されると、予め定められた区間にわたるドップラー信号Sdのサンプリングデータを特定する(ステップS46)。
そして、信号強度分布データ生成部32は、信号強度分布データPAを生成する(ステップS48)。
次いで、速度演算部34は、信号強度分布データPAから基準時刻TSにおける速度VSおよび経過時刻TPにおける速度VPを算出する(ステップS50)。
次いで、移動方向演算部36は、速度VSと速度VPとの差分ΔVを算出し(ステップS52)、予め設定されている相関式から差分ΔVに基づいて上下角度θyを算出する(ステップS54)。
このようにして得られた上下角度θyが移動方向として表示部18に供給されて表示され、速度VSおよびVPが移動速度として表示部18に供給されて表示される(ステップS60)。以上で一連の計測動作が終了する。
本実施の形態によれば、移動体(ゴルフボール2)に向けて送信波W1を送信するとともに、移動体から反射された反射波W2を受信する単一のアンテナを設け、予め得られているアンテナを用いて計測された複数の速度と移動方向との実測値との相関関係に基づき、測定された各速度から移動方向を算出するようにした。
したがって、単一のアンテナのみを用いて移動体の移動方向および移動速度を計測することができ、計測装置10の低コスト化および小型化を図る上で有利となる。
また、計測装置10を製造する際、基準となる任意の測定器もしくは数台の測定器を用いて作製したデータを平均して相関式を作成し、全数に当てはめる。より好ましくは、1台ごとに個別に相関式を作製してもよい。これにより、計測装置10をより高精度化することができる。
また、相関関係に基づいて移動方向を計測することから、移動方向の精度を確保しつつ、計測装置10の製造上の位置精度の許容差、具体的には、アンテナ14の位置精度の許容差を緩和できるため、製造コストの低減を図る上で有利となる。
特に、従来のゴルフシミュレータ装置では、高速度カメラで撮影したゴルフボール2の画像データに基づいてゴルフボール2の挙動の計測を行い、その計測結果に基づいてゴルフボール2の弾道のシミュレーションを行うものが多い。このような画像データを用いるゴルフシミュレータ装置では、照明光や外光の変化が高速度カメラで撮影した画像データに影響を及ぼすことから、高速度カメラの動作設定を簡単に行うことが難しく不利である。
これに対して本実施の形態では、照明光や光の影響を受けることがないため、計測装置10、ゴルフシミュレータ装置の設定作業の簡素化を図る上で有利となる。
また、高速度カメラを用いる場合は、ゴルフボール2をその移動方向と直交する方向から撮影しなくてはならないため、高速度カメラをゴルファーの正面に配置する必要があり、ゴルファーの視界に高速度カメラが入ることから、ゴルファーに圧迫感を与える不都合がある。
これに対して本実施の形態では、アンテナをゴルフボール2の後方に離れた箇所に配置すればよいため、ゴルファーの視界にアンテナが入りにくく、ゴルファーに与える圧迫感を抑制する上で有利となる。
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、計測装置10を小型の可搬式装置としたが、第2の実施の形態では、計測装置10のアンテナ14をホーンアンテナとするとともに、マイクを設けサンプリングデータの取得時期を特定しやすくした。
マイク46は、ゴルフボール2がゴルフクラブヘッド4によって打撃された際に発生する打撃音を収音し音声信号を検出するものである。
トリガ信号発生部48は、マイク46によって検出された音声信号の振幅が予め定められたしきい値を上回ったときに、トリガ信号trgを生成して計測処理部24に供給するものである。
トリガ信号trgは、計測処理部24に対して後述するデータ処理の開始を指示するものである。
なお、上述したようにトリガ信号発生部48が単に打撃音に応じてトリガ信号trgを生成するものである場合、計測装置10の設置環境によっては以下の不都合が生じることが懸念される。
すなわち、計測装置10の設置環境が例えば複数の打席を備えるゴルフ練習場である場合、計測装置10の測定対象となる打席以外の周囲の打席の打撃音によってもトリガ信号trgが生成され、計測装置10の誤動作が発生することが懸念される。
したがって、本実施の形態では、以下のように構成することで上記誤動作の防止を図っている。
トリガ信号発生部48には、マイク46からの音声信号に加えて、ドップラーセンサ22からのドップラー信号Sdが入力される。
そして、トリガ信号発生部48は、ドップラー信号Sdを受信し、かつ、打撃音の音声信号が予め定められたしきい値を上回ったときに、トリガ信号trgを生成して計測処理部24に供給する。この場合、当初発生するドップラー信号Sdはゴルフクラブヘッド4の動きを検出したものとなる。
したがって、トリガ信号発生部48は、ゴルフクラブヘッド4の動きと打撃音の両方でトリガ信号trgを生成するため、計測装置40の誤動作を的確に防止する上で有利となる。
トリガ信号発生部48はトリガ信号trgを生成できれば、マイク46以外のセンサを用いても良い。例えば、予め定められた特定の位置(例えば移動開始位置O)を通過するゴルフクラブヘッド4を検出する光センサを設け、該光センサの検出信号に基づいてトリガ信号発生部48がトリガ信号trgを生成するなど任意である。しかしながら、光センサは設置する位置や方向を厳密に調整する必要があることから、本実施の形態のようにマイク46を用いる方が設置作業の簡素化を図る上で有利となる。
図22乃至図24に示すように、アンテナ14は、ケース260に収容保持されている。
ケース260は、後板2602と、上下左右の側板2604A、2604B、2604C、2604Dと、脚部2606とを含んで構成されている。
後板2602は矩形板状を呈し、上下の辺を水平方向と平行させ、上方に至るほど後方に傾斜するように設けられている。
上下左右の側板2604A〜2604Dは、後板2602の上下左右の辺から起立され、各側板2604A〜2604Dの前縁により矩形状の開口が形成されている。
脚部2606は、下部の側板2604Bの下面中央に設けられ地面や床面に設置される。
アンテナ14は、前記の開口を介して前方を向いた状態で後板2602の前面に取着され、後板2602と側板2604A〜2604Dとで囲まれた空間に収容されている。アンテナ14の前部は、各側板2604A〜2604Dの前縁よりも後方に位置している。
前記開口は、送信波W1および反射波W2の透過が可能な材料で形成された図示しないカバーによって覆われており、アンテナ14の防塵および保護が図られている。
本実施の形態では、図22に示すように正面から見てアンテナ14は後板2602の略中央部に配置されている。
言い換えると、信号強度分布データ生成部32は、ドップラーセンサ22から得られたドップラー信号Sdを周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する。
具体的には、信号強度分布データ生成部32は、蓄積部30に蓄積されたトリガ信号trgに基づいて、蓄積部30に蓄積された時系列データであるドップラー信号Sdのサンプリングデータを予め定められた区間に特定して信号強度分布データの生成を実施する。ここで、ドップラー信号Sdのサンプリングデータの区間はトリガ信号trgに基づいて特定される。
言い換えると、信号強度分布データ生成部32は、垂れ流し方式で蓄積されているドップラー信号Sdのサンプリングデータのうち、ゴルフボール2が打撃された後の区間におけるサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施する。
より具体的には、実施の形態2では、球技用ボールであるゴルフボール2を打撃するゴルフクラブヘッド4(打撃具)の動きを検知するセンサと、センサによる検知結果に基づいて、球技用ボールが打撃具によって打撃されたことを示すトリガ信号trgを発生するトリガ信号発生部48と、を備え、信号強度分布データ生成部32は、トリガ信号trgに基づいて基準時刻TSおよび当該基準時刻TSから所定時間ΔT経過後を特定し、基準時刻TSと基準時刻TSから所定時間ΔT経過後との間の信号強度分布データを生成する。本実施の形態では、センサは、打撃具による球技用ボールの打撃音を集音するマイクとした。そして、トリガ信号発生部48は、打撃具による球技用ボールの打撃音が集音され、かつドップラーセンサ22によってドップラー信号が生成された場合に、トリガ信号trgを発生させるようにした。
次に第3の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態および第2の実施の形態では、蓄積部30に蓄積された時系列データであるドップラー信号Sdのサンプリングデータを予め定められた区間に特定して信号強度分布データの生成を実施した。
そして、サンプリングデータを予め定められた区間に特定する方法として、計測装置への電源投入時点またはトリガ信号trgの検出時点を基準時点として、基準時点から数えてa個目までのサンプリングデータを除外し、a+1個目からb個目(a<b)までのサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施するものとして説明した。
ところで、ゴルフクラブヘッド4のヘッドスピードは、ゴルファーによって異なり、また、スウィングごとにばらつく。ヘッドスピードが異なれば、打撃されたゴルフボール2の移動速度も異なり、その結果、上記特定する区間が同一であっても、サンプリングデータを取得するゴルフボール2の基準地点に対する位置がばらつくことになる。
サンプリングデータを取得するゴルフボール2の位置(範囲)が異なると、速度VSおよびVPとゴルフボールの移動方向との相関関係も影響を受け、最終的に算出される移動方向の値が影響を受けることなる。
したがって、ゴルフボール2の移動速度に拘わらずゴルフボール2が同一の位置(範囲)にあるときのサンプリングデータを特定できるように、ゴルフボール2の移動速度に応じてサンプリングデータを特定する区間を補正することが、最終的に算出される移動方向の精度を確保する上で好ましい。
サンプリングデータ特定手段50による補正は、移動開始位置Oに対して前方に離間した位置を予め設定しておき、ゴルフクラブヘッド4がゴルフボール2を打撃してから前記位置に到達するまでの間のサンプリングデータを除外するものである。
すなわち、移動開始位置Oから前方に予め定められた距離X離間した位置をサンプリング区間開始位置Osとして設定しておく。
サンプリングデータ特定手段50は、蓄積部30から得たドップラー信号Sdのサンプリングデータ、電源投入時点またはトリガ信号trgに基づいて信号強度分布データPAを生成する機能を有している。ただし、サンプリングデータの区間を特定することなく、電源投入以後またはトリガ信号trg以後のサンプリングデータに基づいて信号強度分布データPAを生成する点が信号強度分布データ生成部32と異なる。
より詳細には、図14に示すように周波数fが低い領域で信号強度Pが高くなっている部分に相当する信号強度分布データPAからドップラー周波数成分を検出し、それらドップラー周波数成分に基づいて仮の移動速度Vβを求める。
仮の移動速度Vβは、厳密に言うとゴルフクラブヘッド4の移動速度であるが、仮の移動速度Vβをゴルフボール2の仮の移動速度とみなしても誤差は無視できる。
サンプリングデータ特定手段50は、以下に示す式(3)に基づいて電源投入以後またはトリガ信号trgの検出時点(基準時点)から予め定められた距離Xまでのサンプリングデータ数aを求める。
a=(X/Vβ)/(1/Ts) (3)
ただし、Ts:蓄積部30のサンプリング周期
したがって、サンプリングデータのうちa個のサンプリングデータは、ゴルフクラブヘッド4がゴルフボール2を打撃してから距離Xの位置に到達するまでのサンプリングデータである。
サンプリングデータ特定手段50は、サンプリングデータ数aを信号強度分布データ生成部32に供給する。
これにより、信号強度分布データ生成部32は、第1の実施の形態と同様に、基準時点から数えてa個目までのサンプリングデータを除外し、a+1個目からb個目(a<b)までのサンプリングデータを特定して信号強度分布データの生成を実施する。
これ以降の処理は第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
すなわち、実施の形態3では、電源投入時刻またはトリガ信号発生時刻以降かつ基準時刻よりも早い時刻における移動体の速度を算出し、移動体が基準地点に到達する時刻を予測して、基準時刻を補正するサンプリングデータ特定手段50を備え、信号強度分布データ生成部32は、サンプリングデータ特定手段50によって補正された基準時刻から所定時間経過後までの信号強度分布データを生成する。
なお、第3の実施の形態では、サンプリングデータ特定手段50を、信号強度分布データ生成部32および速度演算部34と独立して設けた場合について説明したが、サンプリングデータ特定手段50と同様の機能を、信号強度分布データ生成部32および速度演算部34によって実現するようにしてもよいことは無論である。
Claims (12)
- 指向性を有し、供給される送信信号に基づいて移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成する単一のアンテナと、
前記アンテナに前記送信信号を供給するとともに、前記アンテナから供給される前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサと、
前記ドップラーセンサから得られた前記ドップラー信号を周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する信号強度分布データ生成部と、
前記信号強度分布データに基づいて、前記移動体の移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分に基づいて速度を算出する速度演算部と、
予め実測され得られている基準時刻における前記移動体の速度と前記基準時刻から所定時間経過後における前記移動体の速度との差分と、前記移動体の移動方向との相関関係に基づいて、前記速度演算部で算出された前記速度から前記移動方向を算出する移動方向演算部と、を備え、
前記基準時刻は前記移動体が移動開始地点から所定距離離れた基準地点まで移動すると予測される時刻であり、前記所定時間は前記移動体が前記基準地点から所定の基準距離離れた移動後地点に到達すると予測される時間であり、
前記所定時間を複数設定し、複数の前記所定時間は、前記移動体が前記基準地点から前記所定の基準距離の整数倍ずつ離れた複数の移動後地点にそれぞれ到達すると予測される時間である、
ことを特徴とする移動体の計測装置。 - 前記計測装置への電源投入時刻以降または前記球技用ボールが前記打撃具によって打撃されたことを示すトリガ信号の発生時刻以降、かつ前記基準時刻よりも早い時刻における前記移動体の速度を算出し、前記移動体が前記基準地点に到達する時刻を予測して、前記基準時刻を補正するサンプリングデータ特定手段を備え、
前記信号強度分布データ生成部は、前記サンプリングデータ特定手段によって補正された前記基準時刻から前記所定時間経過後までの前記信号強度分布データを生成することを特徴とする請求項1に記載の移動体の計測装置。 - 前記サンプリングデータ特定手段は、前記信号強度分布データのうち相対的に周波数が低い領域で信号強度が高くなっている部分に相当するドップラー周波数成分を検出し、検出した当該ドップラー周波数成分に基づいて前記移動体の仮の移動速度を求め、当該仮の移動速度を用いて前記移動体が前記基準地点に到達する時刻を予測することを特徴とする請求項2に記載の移動体の計測装置。
- 予め定められた移動開始位置を通り水平方向に延在する仮想線を含み鉛直方向に延在する平面を基準鉛直面とし、
前記移動開始位置を通り前記基準鉛直面と直交する平面を基準水平面とし、
前記移動体が前記移動開始位置から移動したときの移動軌跡を前記基準鉛直面に投影して得られた移動軌跡と前記基準水平面とがなす角度を上下角度とし、
前記移動体が前記移動開始位置から移動したときの移動軌跡を前記基準水平面に投影して得られた移動軌跡と前記基準鉛直面とがなす角度を左右角度とした場合、
前記移動方向演算部によって算出される前記移動方向は前記上下角度と前記左右角度の何れかで示され、
前記アンテナの利得分布は前記上下角度と前記左右角度とで異なるとともに、前記利得分布が広い側を前記移動方向演算部によって算出される前記移動方向となるように設置する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の移動体の計測装置。 - 前記アンテナにおける前記利得分布の広い側と前記利得分布が狭い側との比は、1.5〜5である、
ことを特徴とする請求項4記載の移動体の計測装置。 - 前記移動方向演算部による前記移動方向の算出は、
予め実測され得られている前記基準時刻における前記移動体の速度と前記所定時間経過後における前記移動体の速度との差分と、予め実測され得られている前記移動体の移動方向との相関関係を示す移動方向算出用の相関式に基づいてなされ、
前記移動方向算出用の相関式は、前記移動体の移動開始位置と前記アンテナとの相対位置を固定して実測した前記移動方向を用いて決定され、
前記計測装置における計測は、前記相関式を決定する実測時における前記移動体の移動開始位置と前記アンテナとの相対位置と略同一位置にして行う、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の移動体の計測装置。 - 前記信号強度分布データ生成部は、前記計測装置への電源投入時刻を基準として前記基準時刻および当該基準時刻から前記所定時間経過後を特定し、前記基準時刻と前記基準時刻から前記所定時間経過後との間の前記信号強度分布データを生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の移動体の計測装置。
- 前記移動体は、打撃具により打撃される球技用ボールであり、
前記打撃具の動きを検知するセンサと、
前記センサによる検知結果に基づいて、前記球技用ボールが前記打撃具によって打撃されたことを示すトリガ信号を発生するトリガ信号発生部と、をさらに備え、
前記信号強度分布データ生成部は、前記トリガ信号に基づいて前記基準時刻および当該基準時刻から前記所定時間経過後を特定し、前記基準時刻と前記基準時刻から前記所定時間経過後との間の前記信号強度分布データを生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の移動体の計測装置。 - 前記センサは、前記打撃具による前記球技用ボールの打撃音を集音するマイクであることを特徴とする請求項8記載の移動体の計測装置。
- 前記トリガ信号発生部は、前記打撃具による前記球技用ボールの打撃音が集音され、かつ前記ドップラーセンサによって前記ドップラー信号が生成された場合に、前記トリガ信号を発生させることを特徴とする請求項8または9記載の移動体の計測装置。
- 前記移動体は、球技用ボールである、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の移動体の計測装置。 - 指向性を有し、供給される送信信号に基づいて移動体に向けて送信波を送信するとともに、前記移動体で反射された反射波を受信して受信信号を生成する単一のアンテナを配置し、
前記アンテナに前記送信信号を供給するとともに、前記アンテナから供給される前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサを設け、
前記ドップラーセンサから得られた前記ドップラー信号を周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データを生成する信号強度分布データ生成部を設け、
前記信号強度分布データに基づいて、前記移動体の移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分に基づいて速度を算出する速度演算部を設け、
所定の基準時刻における前記移動体の速度と前記基準時刻から所定時間経過後における前記移動体の速度との差分と、前記移動体の移動方向との相関関係を予め求めておき、
前記差分と前記移動体の移動方向との相関関係に基づいて、前記速度演算部で算出された前記速度から前記移動方向を算出し、
前記基準時刻は前記移動体が移動開始地点から所定距離離れた基準地点まで移動すると予測される時刻であり、前記所定時間は前記移動体が前記基準地点から所定の基準距離離れた移動後地点に到達すると予測される時間であり、
前記所定時間を複数設定し、複数の前記所定時間は、前記移動体が前記基準地点から前記所定の基準距離の整数倍ずつ離れた複数の移動後地点にそれぞれ到達すると予測される時間である、
ことを特徴とする移動体の計測方法。
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