JP2011089907A - 移動体の速度計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドップラーセンサ24によって得られるドップラー信号Sdに基づいて移動体の移動速度の急激な変化が生じる境界点を検出する。そして、境界点以前の第1期間における移動速度の最大速度としての第1速度データと、境界点以降の第2期間における移動速度の平均速度としての第2速度データとを求めてそれら最大速度および平均速度を表示する。ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃するといったように2つの移動体が存在する場合に、ゴルフクラブヘッドのヘッド速度とゴルフボールの初速との双方を1回の計測で的確に得ることができる。
【選択図】図6
Description
しかしながら、この速度計測装置では、ドップラーセンサから出力されるドップラー信号をFFT(高速フーリエ変換)などを用いて解析することにより、一定期間における移動体の平均速度を求めるものである。
そのため、直線的に移動する移動体の速度の計測は行えるが、ゴルフクラブや野球のバットのスイングのように、移動方向が常に変化し、なおかつ加減速を繰り返すような移動体の速度を正確に計測することは困難である。
これに対して、ドップラー法を用いた移動体の速度の計測方法として、速度を測定し続け、先に記憶された速度よりも速い任意の測定速度によって最高速度の記憶値を置き換えることで、速度の最大値を求める方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、ドップラー信号の周期データをメモリに蓄積しておき、メモリに蓄積された周期データに基づいて移動体の最高速度を求める方法が開示されている(特許文献2参照)。
例えば、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃した際におけるゴルフクラブヘッドの速度と、ゴルフボールの初速との両者を計測することを考える。
この場合、ゴルフクラブヘッドの速度については、ゴルフボールを打撃する直前の速度を計測することが適していると考えられる。また、ゴルフボールの初速については、打撃されてから所定期間におけるゴルフボールの平均速度を計測することが適していると考えられる。
したがって、従来技術では、移動体の最高速度を計測することはできるものの、移動体の平均速度を計測する上では不十分なものであった。
特に、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃するといったように2つの移動体が存在する場合には、移動体の特性に応じた速度計測を的確に行うことが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体の最高速度と平均速度との双方の計測および表示を的確に行う上で有利な移動体の速度計測装置を提供することにある。
また、本発明の移動体の速度計測装置は、移動体に向けて送信波を送信すると共に、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサと、前記ドップラー信号を、前記ドップラー周波数に対応付けられた中間データに変換すると共に、前記中間データを予め定められたサンプリング周期でサンプリングする検出部と、前記検出部でサンプリングされた前記中間データを時間経過に従って順番に蓄積する蓄積部と、前記蓄積部に蓄積された前記中間データの単位時間当たりの変化量の絶対値が予め定められている閾値を上回ったか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果が肯定である場合に、前記変化量の絶対値が前記閾値を上回った時点を境界点とし、前記中間データの先頭データのサンプリング時点から前記境界点までの期間を第1期間とし、前記境界点から前記中間データの最終データのサンプリング時点までの期間を第2期間として設定する期間設定部と、前記第1期間における前記中間データの最小値あるいは最大値に基づいて最高速度としての第1速度データを求める第1演算動作と、前記第2期間における前記中間データの平均値に基づいて平均速度としての第2速度データを求める第2演算動作とを行う演算部と、前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を表示可能な表示領域を有する表示部と、前記第1速度データおよび前記第2速度データの一方または双方を前記表示領域に表示させる制御部とを備えることを特徴とする。
したがって、移動体の最大速度と平均速度との双方を1回の計測で的確に得て表示することができ、使用者の利便性の向上を図る上で有利となる。
図1に示すように、移動体の速度計測装置10(以下単に速度計測装置10という)は、筐体12を備えている。
筐体12は、上下方向の厚さと、厚さよりも大きな寸法の左右方向の幅と、幅よりも大きな寸法の前後方向の長さを有している。
筐体12の上面14は、長手方向を筐体12の前後方向に平行させたほぼ長方形を呈している。
上面14の前後はそれぞれ筐体12の前部16と後部18とに接続されている。
前部16には後述するアンテナ24(図5)が組み込まれている。
また、上面14に対向する下面には速度計測装置10を三脚などの固定具に取り付けるための雌ねじ(カメラネジ)が設けられている。
表示面2002は、第1、第2、第3履歴表示領域2010、2012、2014と、第1表示領域2020と、第2表示領域2022と、第1単位表示領域2030と、第2単位表示領域2032と、計測モード表示領域2040と、バッテリ残量表示領域2050などを含んで構成されている。
第2単位表示領域2032は、第2表示領域2022に表示された速度の単位を表示するものであり、本実施の形態では、MPH(マイル単位の時速)、m/s(秒速)の2種類の表示が選択的になされるものである。
なお、第1、第2単位表示領域2030、2032に表示されている「%」は、後述するインパクト効率Ipの単位である。
本実施の形態では、液晶パネル20によって特許請求の範囲における「前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を表示可能な表示領域を有する表示部」が構成されている。
表示部は、液晶パネル20に限定されるものではなく、従来公知のさまざまな表示装置が使用可能である。
また、第1表示領域2020と第2表示領域2022によって特許請求の範囲における「前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を表示可能な表示領域」が構成されている。
本実施の形態では、計測モード表示領域2040にバットアイコン2040Aとボールアイコン2040Bとが表示される。
すなわち、計測モードがゴルフモードである場合には、バットアイコン2040Aとボールアイコン2040Bとの双方が非表示となる。
また、計測モードがバットモードである場合には、バットアイコン2040Aが表示され、ボールアイコン2040Bが非表示となる。
また、計測モードがボールモードである場合には、バットアイコン2040Aが非表示となり、ボールアイコン2040Bが表示される。
本実施の形態では、操作スイッチ22は、モード選択ボタン2202と、ファンクションボタン2204と、履歴ボタン2206と、電源ボタン2208とを備えている。
モード選択ボタン2202は、速度計測装置10の計測モードをゴルフモード、バットモード、ボールモードの何れかに選択させるためのものである。
また、モード選択ボタン2202を長押し(2秒以上)することにより、第1単位表示領域2030に表示される速度の単位を、m/sまたはMPHに選択的に切り替えるためのものである。
ファンクションボタン2204は、履歴されたデータのクリアなどを行うためのものである。
履歴ボタン2206は、履歴されたデータのスクロールなどを行うためのものである。
電源ボタン2208は、電源のオン、オフを行うためのものである。
速度計測装置10は、前記の液晶パネル20、操作スイッチ22に加えて、アンテナ24、ドップラーセンサ26、信号処理回路28、演算処理機構30を含んで構成されている。
なお、図5において符号2は移動体としてのゴルフクラブヘッドを示し、符号4はゴルフクラブを示し、符号6は移動体としてのゴルフボールを示す。
ドップラー信号とは、前記送信信号の周波数F1と前記受信信号の周波数F2との差分の周波数F1−F2で定義されるドップラー周波数Fdを有する信号である。
ドップラーセンサ26は、市販されている種々のものが使用可能である。
なお、前記の送信信号としては、例えば、24GHzのマイクロ波が使用可能であり、ドップラー信号Sdを得られるものであれば送信信号の周波数は限定されない。
従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。
Fd=F1−F2=V・F1/c (1)
ただし、V:移動体の速度、c:光速(3・108m/s)
したがって、(1)式をVについて解くと、(2)式となる。
V=c・Fd/F1 (2)
したがって、移動体の速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。
図7は、ドップラー信号Sdをウェーブレット解析した結果を示す図である。
横軸は時間t(ms)、縦軸はドップラー周波数Fd(Hz)および移動体の速度V(m/s)を示す。
このような線図は、例えば、ドップラー信号Sdをサンプリングしてデジタルオシロスコープに取り込んでデジタルデータに変換し、該デジタルデータをパーソナルコンピュータなどを用いてウェーブレット解析、あるいは、連続FFT解析することで得られる。
符号Aで示される周波数分布(速度分布)はゴルフボール6を打撃するまでの期間におけるゴルフクラブヘッド2に対応するドップラー周波数Fd(速度V)の検出結果を示している。
符号Bで示される周波数分布(速度分布)はゴルフクラブヘッド2で打撃された以降の期間におけるゴルフボール6に対応するドップラー周波数Fd(速度V)の検出結果を示している。
符号Cで示される周波数分布(速度分布)はゴルフボール6を打撃した以降の期間におけるゴルフクラブヘッド2に対応するドップラー周波数Fd(速度V)の検出結果を示している。
なお、図7に示す周波数分布A,B,Cにおいて、ハッチングで示した部分はドップラー信号Sdの強度が大きく、実線で示した部分はドップラー信号Sdの強度がハッチングで示した部分よりも小さいことを示している。
また、周波数分布Cは、ゴルフクラブヘッド2がゴルフボール6を打撃することにより急激に減速する過程を示している。
また、周波数分布Bは、ゴルフクラブヘッド2で打撃されたゴルフボール6が周波数分布Aにおけるゴルフクラブヘッド2の最高速度よりも高い速度で打ち出されほぼ一定速度で移動する過程を示している。
従来、ドップラーセンサを用いた移動体の速度計測装置では、このように2つの移動体が同時に移動している場合には、これら複数の周波数分布が混在して検出されることから、2つの移動体の移動速度を特定して計測することは困難である。
(1)ゴルフクラブヘッド2の移動速度V(ドップラー周波数Fd)は、ゴルフボール6を打撃することで大きく減速する。
すなわち、ゴルフクラブヘッド2の移動速度V(ドップラー周波数Fd)の単位時間当たりの変化量は、ゴルフボール6の打撃時に大きく変化する。
ゴルフクラブヘッド2の最高速度(いわゆるヘッド速度)は、打撃前の期間におけるゴルフクラブヘッド2の移動速度Vの最高速度となる。
すなわち、ゴルフクラブヘッド2の最高速度は、図7の周波数分布Aにおけるドップラー周波数Fdの最高周波数に対応する移動速度となる。
(2)ゴルフボール6の移動速度V(ドップラー周波数Fd)は、ゴルフクラブヘッド2によって打撃された以降、ほぼ一定速度とみなすことができる。
ゴルフボール6の初速は、図7の周波数分布Bにおけるドップラー周波数Fdに対応する移動速度となる。
(3)したがって、周波数分布Aを判別して周波数分布Aにおける最高速度を求めることでゴルフクラブヘッド2の最高速度を計測できる。
また、周波数分布Bを判別して周波数分布Bにおける平均速度を求めることでゴルフボール6の初速を計測することができる。
本発明はこのようなこのような知見に基づいて、移動体の移動速度の変化が移動体によって互いに異なる傾向および特徴を有することに基づいてそれら移動体の移動速度を的確に計測するものである。
信号処理回路28は、ドップラーセンサ26から供給されるドップラー信号Sdを増幅し、予め定められた閾値を基準としてローレベルとハイレベルとの2値をとる2値化信号に変換するものである。
したがって、ドップラー信号Sdの周期は2値化信号の周期に対応することになり、言い換えると、ドップラー信号Sdの周波数は2値化信号の周波数に対応することになる。
本実施の形態では、演算処理機構30は、マイクロコンピュータ32によって構成されている。
マイクロコンピュータ32は、CPU32Aと、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM32B、RAM32C、インターフェース32D、表示用ドライバ32Eなどを含んで構成されている。
ROM32BはCPU32Aが実行する速度計測用プログラムなどを格納し、RAM32Cはワーキングエリアを提供するものである。
インターフェース32Dは、信号処理回路28から供給される2値化信号を入力してCPU32Aに供給し、また、操作スイッチ22からの操作信号を受け付けてCPU32Aに供給するものである。
表示用ドライバ32EはCPU32Aの制御に基づいて液晶パネル20を駆動するものである。
マイクロコンピュータ32は、機能的には、検出部34と、蓄積部36と、判定部38と、期間設定部40と、演算部42と、制御部44とを含んで構成されている。
また、検出部34と、判定部38と、期間設定部40と、演算部42と、制御部44とは、CPU32Aが前記速度計測用プログラムを実行することで実現されるものであるが、これらの部分は、回路等のハードウェアで構成されたものであってもよい。
本実施の形態では、検出部34は、2値化信号の周期をカウンタを用いて計数することにより2値化信号の周期を中間データとして生成する。
言い換えると、検出部34は、ドップラー信号Sdの周期をカウントすることにより時系列データとしての周期データを得ることにより、この周期データをドップラー周波数Fdに対応付けられた中間データとして生成する。
したがって、中間データの値とドップラー周波数Fdは反比例することになる。
なお、本実施の形態では、ドップラー周波数Fdに対応付けられた中間データが周期のデータである場合について説明するが、中間データはドップラー周波数Fdを表す周波数のデータであってもよい。
しかしながら、中間データとして周波数のデータを用いる場合には、信号処理としてFFT変換を行うなど処理回路の構成が複雑となりまた処理時間が長くなるなどの不利がある。これに対して本実施の形態のように、中間データとして周期のデータを用いると、処理回路の構成が簡素化され処理時間の短縮化を図る上でも有利となる。
本実施の形態では、中間データが周期を示すので、中間データが時間経過と共にN個(Nは2以上の自然数)連続して数値が増加したか否かを判定することで、移動体の移動速度が急激に減速したか否かを判定する。
すなわち、移動体がゴルフクラブヘッド2およびゴルフボール6の2つの移動体である場合、ゴルフクラブヘッド2が移動して静止状態にあるゴルフボール6を打撃すると、ゴルフクラブヘッド2の移動速度は打撃時点を境にして急激に減速し、ゴルフボール6は打ち出される。
言い換えると、判定部38は、一方の移動体が他方の移動体を打撃することにより一方の移動体の移動速度が急激に減速したか否かを判定するものである。
なお、ゴルフクラブヘッド2がゴルフボール6を打撃すると、ヘッド速度が5〜10m/s程度減速する。
すなわち、判定部38は、蓄積部36に蓄積された中間データの単位時間当たりの変化量の絶対値が予め定められた閾値を上回ったか否かを判定することで、移動体の移動速度が急激に減速したか否かを判定するものである。
しかしながら、判定部38が前記のように蓄積部36に蓄積された中間データが時間経過と共にN個連続して数値が増加あるいは減少したか否かを判定するものであった場合には、中間データに含まれるノイズが判定結果に与える影響を抑制する上でより有利となる。ここで、中間データに含まれるノイズとは、ドップラー信号Sdに含まれるノイズに起因するものである。
すなわち、期間設定部40は、図7に示すように、中間データがN個連続して数値が増加あるいは減少した時点を境界点t0とする。
期間設定部40は、中間データの先頭データのサンプリング時点t1から境界点t0までの期間を第1期間ΔT1とし、境界点t0から中間データの最終データのサンプリング時点t2までの期間を第2期間ΔT2として設定する。
なお、判定部38が、蓄積部36に蓄積された中間データの単位時間当たりの変化量の絶対値が予め定められた閾値を上回ったか否かを判定することで、移動体の移動速度が急激に減速したか否かを判定するものであった場合には、期間設定部40は、変化量の絶対値が閾値を上回った時点を境界点t0とする。
本実施の形態では、中間データが周期を示すので、演算部42は、第1期間ΔT1における中間データの最小値に基づいて最高速度としての第1速度データV1(図7)を求める第1演算動作を行う。
また、演算部42は、第2期間ΔT2における中間データの平均値に基づいて平均速度としての第2速度データV2(図7)を求める第2演算動作を行う。
本実施の形態では、演算部42による第2演算動作は、第2期間ΔT2において予め定められた上限値DHと下限値DLとの間に該当する中間データに対してなされる。
上限値DHは、第1速度データV1に対応する中間データに、予め定められた第1係数k1を乗じた値であり、下限値DLは、第1速度データV1に対応する中間データに、第1係数k1よりも小さな値であって予め定められた第2係数k2を乗じた値である。
第1係数k1、第2係数k2は例えば1.1〜1.9の間で設定することができる。
このように演算部42による第2演算動作を、上限値DHと下限値DLとの間に該当する中間データに対して行うことにより、中間データに含まれるノイズが第2演算動作に与える影響を抑制する上で有利となる。
本実施の形態では、中間データが周期のデータであるため、演算部42は、判定部38による判定結果が否定である場合に、蓄積部36に蓄積された全ての中間データの最小値に基づいて最高速度としての第3速度データV3を求める第3演算動作を行う。
本実施の形態では、操作スイッチ22によって特許請求の範囲における「前記制御部に対して計測モードを設定するための操作部」が構成されている。
また、制御部44は、第1乃至第4速度データV1乃至V4を第1表示領域2020、第2表示領域2022に表示させる。
本実施の形態では、第1速度データV1を第1表示領域2020に表示させ、第2速度データV2を第2表示領域2022に表示させ、また、第3速度データV3、第4速度データV4を第1表示領域2020に表示させる。
本実施の形態では、制御部44によって特許請求の範囲の「制御部」が構成されている。
制御部44は、第1、第2表示領域2020、2022に表示された速度データを記憶部としてのRAM32Cに時系列順に記憶している。
制御部44は、RAM32Cに記憶されている速度データを最新のものから3つずつ読み出して第1、第2、第3履歴表示領域2010、2012、2014に時系列順に表示させる。
第1、第2、第3履歴表示領域2010、2012、2014に表示させる速度データとして第1乃至第4速度データV1乃至V4の何れを用いるかは適宜設定される。
まず、移動体がゴルフクラブヘッド2とゴルフボール6との2つの移動体であり、ゴルフクラブヘッド2のヘッド速度と、ゴルフボール6の初速との双方を同時に計測する場合について説明する。
図8はゴルフクラブヘッド2およびゴルフボール6を移動体として計測する場合の速度計測装置10の設置状態を説明する平面図、図9はゴルフクラブヘッド2およびゴルフボール6を移動体として計測する場合の速度計測装置10の動作を示すフローチャートである。
なお、この場合、制御部42が液晶パネル20を制御することにより、図2に示すように、計測モード表示領域2040におけるバットアイコン2040Aおよびボールアイコン2040Bの双方が非表示であり、ゴルフモードであることが表示されている。
速度計測装置10は、地面の上に載置してもよいし、あるいは、三脚などの固定具を介して設置してもよい。
これにより、アンテナ24から送出された送信波W1がゴルフボール6およびゴルフククラブヘッド2に当たり、反射波W2がアンテナ24に受信可能な状態となる。
具体的には、送信波W1がゴルフクラブヘッド2およびゴルフボール6に反射され、反射波W2がドップラーセンサ26で受信され、ドップラーセンサ26でドップラー信号Sdが生成される(ステップS12)。
ドップラー信号Sdは、信号処理回路28によって2値化信号に変換されたのち、検出部34によってドップラー周波数Fdに対応付けられた中間データに変換され、この中間データがサンプリングされ、時系列データとして蓄積部36に蓄積される(ステップS14)。
ステップS16が肯定ならば、期間設定部40によって、蓄積部36に蓄積された中間データに基づいて、第1期間ΔT1、第2期間ΔT2が設定される(ステップS18)。
次いで、ステップS10でゴルフモードが設定されたことに基づいて制御部44が演算部42を制御することで、演算部42は、第1速度データV1を求める第1演算動作と第2速度データV2を求める第2演算動作とを実行する(ステップS20、S22)。
制御部44は、図2に示すように、第1速度データV1をヘッド速度として第1表示領域2020に表示させ、第2速度データV2をボール初速として第2表示領域2022に表示させ(ステップS24)、計測動作を終了する。
なお、ゴルフモードの場合、予め制御部44によって、第1単位表示領域2030、第2単位表示領域2032に表示される速度の単位はm/sあるいはMPHの何れかに設定されている。
すなわち、ステップS16が否定であるということは、ゴルフクラブ4をスウィングしているが、ゴルフクラブヘッド2がゴルフボール6が打撃しておらず、いわゆる素振りがなされていることになる。
したがって、この場合には、ゴルフクラブへッド2のヘッド速度としての第3速度データV3のみを計測、表示すればよい。
次いで、制御部44は、第3速度データV3をヘッド速度として第1表示領域2020に表示させ(ステップS24)、計測動作を終了する。
この場合、制御部44は、第2表示領域2022にはゼロ表示を行わせ、ゴルフボール6の初速の計測がなされていないことを表示する。
すなわち、制御部44に対して表示モードを設定するための操作スイッチ22(操作部に相当)を設ける。
制御部44は、操作部が操作されることにより表示モードとして第1表示モードが設定されると、制御部44は、第1速度データV1および第2速度データV2の双方を表示領域に表示させる。
制御部44は、操作部が操作されることにより表示モードとして第2表示モードが設定されると、制御部44は、第1速度データV1のみを表示領域に表示させる。
制御部44は、操作部が操作されることにより表示モードとして第3表示モードが設定されると、制御部44は、第2速度データのみを表示領域に表示させる。
このようにすると、使用者が必要とする速度データを的確に表示する上で有利となる。
ここで初速効率Rは、式(3)で示されるように、第1速度データV1に対する第2速度データV2の比率に相当する。
R=(V2/V1) (3)
さらに、式(4)で示されるように、予め定められた初速効率Rの最大値Rm(理論最大効率)に対する初速効率Rの比率をインパクト効率Ipとして算出し、このインパクト効率Ipを第1速度データV1と共に液晶パネル20に表示させるようにしてもよい。
Ip=(R/Rm)×100(%) (4)
数値例を挙げると次のとおりである。
V1:40m/s、V2:60m/s、R:1.5、 Ip:100%
V1:40m/s、V2:55m/s、R:1.38、Ip: 92%
(ただし、Rm=1.5とする)
ただし、本例では、ティーバッティングのように、ティーに載置された野球用のボールを野球用のバットで打撃する場合について説明する。
図10は野球用のバット50を移動体として計測する場合の速度計測装置10の設置状態を説明する平面図、図11は野球用のバット50を移動体として計測する場合の速度計測装置10の動作を示すフローチャートである。
なお、この場合、制御部42が液晶パネル20を制御することにより、図3に示すように、計測モード表示領域2040におけるバットアイコン2040Aが表示され、ボールアイコン2040Bが非表示であり、バットモードであることが表示されている。
速度計測装置10は、三脚などの固定具を介して設置する。
これにより、アンテナ24から送出された送信波W1がバット50に当たり、反射波W2がアンテナ24に受信可能な状態となる。
具体的には、送信波W1がバット50およびボール52に反射され、反射波W2がドップラーセンサ26で受信され、ドップラーセンサ26でドップラー信号Sdが生成される(ステップS112)。
以下、ステップS114、S116の処理は、図9のステップS14、S16と同様であるため説明を省略する。
次いで、制御部44は、図3の場合と同様に、第3速度データV3をスウィング速度として第1表示領域2020に表示させ、第2表示領域2022をゼロ表示とし(ステップS128)、計測動作を終了する。
なお、バットモードの場合、予め制御部44によって、第1単位表示領域2030に表示される速度の単位はkm/hに設定されている。
次いで、制御部44は、図3に示すように、第1速度データV1をスウィング速度として第1表示領域2020に表示させ、第2表示領域2022をゼロ表示とし(ステップS122)、計測動作を終了する。
送信波W1としてマイクロ波を用いる場合、野球用のバット50では反射波W2が発生するのに対して、野球用のボール52の材質によっては送信波W1の大半が吸収されてしまうので反射波W2の強度が低くなることがある。
そのため、ボール52からの反射波W2によって生成されるドップラー信号Sdは信号処理回路28において有効な信号として認識されず、したがって、2値化信号が検出されないため、ステップS116の判定は否定となり、ステップS126、S128が実行されることになる。
しかしながら、ボール52からの反射波W2によって生成されるドップラー信号が信号処理回路28において有効な信号として認識されて2値化信号が検出された場合には、蓄積部36に蓄積された中間データに含まれる誤差が大きなものとなる。
このように誤差が含まれた中間データを用いて第3速度データV3を求めると、第3速度データV3の精度が低下することになる。
そこで、ステップS116が肯定となった場合には、第1期間ΔT1の中間データのみを用いて第1速度データV1を計測し、この第1速度データV1を第1表示領域2020に表示させている。これにより、ボール52の影響を除いたバット50の速度を正確に計測して表示させることができる。
すなわち、制御部44は、第1速度データV1および第2速度データV2の双方または一方を前記の表示領域に表示させるごとに計測回数を計数する。例えば、制御部44は、計数カウンタをインクリメントすることで計測回数を計数する。
そして、制御部44は、計数した計測回数を液晶パネル20(例えば第2表示領域2022)に計測回数(この場合はバットのスウィング回数)として表示させる。
この場合、計数動作のリセットは、電源のオフによってなされてもよいし、制御部44が操作スイッチ22によるリセット操作を受けることによってなされてもよい。
このようにすると、使用者はバットのスウィング回数を視認することができ使い勝手を高める上で有利となる。
なお、このような計数動作、スウィング回数の表示動作は、計測モードがゴルフモード、バットモード、ボールモードの何れに設定されている場合にも行うようにしてもよい。
したがって、計測モードが後述するボールモードに設定されている場合は、制御部44は、計数した計測回数を、シュート回数として液晶パネル20に表示させることになる。
図12はサッカー用のボール60を移動体として計測する場合の速度計測装置10の設置状態を説明する平面図、図13はサッカー用のボール60を移動体として計測する場合の速度計測装置10の動作を示すフローチャートである。
なお、この場合、制御部42が液晶パネル20を制御することにより、図4に示すように、計測モード表示領域2040におけるバットアイコン2040Aが非表示であり、ボールアイコン2040Bが表示され、ボールモードであることが表示されている。
速度計測装置10は、地面の上に載置するか、あるいは、三脚などの固定具を介して地面に設置する。
これにより、アンテナ24から送出された送信波W1がボール60に当たり、反射波W2がアンテナ24に受信可能な状態となる。
具体的には、送信波W1が使用者の足およびボール52に反射され、反射波W2がドップラーセンサ26で受信され、ドップラーセンサ26でドップラー信号Sdが生成される(ステップS212)。
以下、ステップS214、S216の処理は、図9のステップS14、S16と同様であるため説明を省略する。
次いで、制御部44は、図4の場合と同様に、第4速度データV4をボール速度として第1表示領域2020に表示させ、第2表示領域2022をゼロ表示とし(ステップS228)、計測動作を終了する。
なお、ボールモードの場合、予め制御部44によって、第1単位表示領域2030に表示される速度の単位はkm/hに設定されている。
ステップS218、S220の処理は、図9のステップS18、S22と同様であるため説明を省略する。
次いで、制御部44は、図4に示すように、第2速度データV2をボール速度として第1表示領域2020に表示させ、第2表示領域2022をゼロ表示とし(ステップS224)、計測動作を終了する。
送信波W1としてマイクロ波を用いる場合、サッカー用のボール60では反射波W2が発生するのに対して、通常、使用者の足ではその物理的特性から送信波W1の大半が吸収されるので反射波W2の強度は低いものである。
そのため、足からの反射波W2によって生成されるドップラー信号Sdは信号処理回路28において有効な信号として認識されず、したがって、2値化信号が検出されないため、ステップS216の判定は否定となり、ステップS226、S228が実行されることになる。
しかしながら、足からの反射波W2によって生成されるドップラー信号が信号処理回路28において有効な信号として認識されて2値化信号が検出された場合には、蓄積部36に蓄積された中間データに含まれる誤差が大きなものとなる。
このように誤差が含まれた中間データを用いて第4速度データV4を求めると、第4速度データV4の精度が低下することになる。
そこで、ステップS216が肯定となった場合には、第2期間ΔT2の中間データのみを用いて第2速度データV2を計測し、この第2速度データV2を第1表示領域2020に表示させている。これにより、足の影響を除いたボール60の速度を正確に計測して表示させることができる。
また、ボールモードの場合に、サッカーボールを例にとって説明したが、計測の対象となる移動体は、バレーボールや野球のボールなど任意である。
したがって、移動体の最大速度と平均速度との双方を1回の計測で的確に得て表示することができ、使用者の利便性の向上を図る上で有利となる。
特に、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールを打撃するといったように2つの移動体が存在する場合に、ゴルフクラブヘッドのヘッド速度とゴルフボールの初速との双方を1回の計測で的確に得ることができるため、使用者の利便性の向上を図る上で有利となる。
Claims (12)
- 移動体に向けて送信波を送信すると共に、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサと、
前記ドップラー信号を、前記ドップラー周波数に対応付けられた中間データに変換すると共に、前記中間データを予め定められたサンプリング周期でサンプリングする検出部と、
前記検出部でサンプリングされた前記中間データを時間経過に従って順番に蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された前記中間データが時間経過と共にN個(Nは2以上の自然数)連続して数値が増加あるいは減少したか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が肯定である場合に、前記中間データがN個連続して数値が増加あるいは減少した時点を境界点とし、前記中間データの先頭データのサンプリング時点から前記境界点までの期間を第1期間とし、前記境界点から前記中間データの最終データのサンプリング時点までの期間を第2期間として設定する期間設定部と、
前記第1期間における前記中間データの最小値あるいは最大値に基づいて最高速度としての第1速度データを求める第1演算動作と、前記第2期間における前記中間データの平均値に基づいて平均速度としての第2速度データを求める第2演算動作とを行う演算部と、
前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を表示可能な表示領域を有する表示部と、
前記第1速度データおよび前記第2速度データの一方または双方を前記表示領域に表示させる制御部と、
を備えることを特徴とする移動体の速度計測装置。 - 移動体に向けて送信波を送信すると共に、前記移動体で反射された反射波を受信し、ドップラー周波数を有するドップラー信号を生成するドップラーセンサと、
前記ドップラー信号を、前記ドップラー周波数に対応付けられた中間データに変換すると共に、前記中間データを予め定められたサンプリング周期でサンプリングする検出部と、
前記検出部でサンプリングされた前記中間データを時間経過に従って順番に蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された前記中間データの単位時間当たりの変化量の絶対値が予め定められている閾値を上回ったか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が肯定である場合に、前記変化量の絶対値が前記閾値を上回った時点を境界点とし、前記中間データの先頭データのサンプリング時点から前記境界点までの期間を第1期間とし、前記境界点から前記中間データの最終データのサンプリング時点までの期間を第2期間として設定する期間設定部と、
前記第1期間における前記中間データの最小値あるいは最大値に基づいて最高速度としての第1速度データを求める第1演算動作と、前記第2期間における前記中間データの平均値に基づいて平均速度としての第2速度データを求める第2演算動作とを行う演算部と、
前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を表示可能な表示領域を有する表示部と、
前記第1速度データおよび前記第2速度データの一方または双方を前記表示領域に表示させる制御部と、
を備えることを特徴とする移動体の速度計測装置。 - 前記制御部に対して表示モードを設定するための操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部が操作されることにより前記表示モードとして第1表示モードが設定されると、前記制御部は、前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方を前記表示領域に表示させ、
前記制御部は、前記操作部が操作されることにより前記表示モードとして第2表示モードが設定されると、前記制御部は、前記第1速度データのみを前記表示領域に表示させ、
前記制御部は、前記操作部が操作されることにより前記表示モードとして第3表示モードが設定されると、前記制御部は、前記第2速度データのみを前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記表示領域は、前記第1速度データを表示する第1表示領域と、前記第2速度データを表示する第2表示領域とを備える、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記制御部に対して計測モードを設定するための操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部が操作されることにより前記計測モードとして第1計測モードが設定されると、前記制御部は、前記判定部による前記判定結果が否定である場合に、前記蓄積部に蓄積された全ての前記中間データの最小値あるいは最大値に基づいて最高速度としての第3速度データを求める第3演算動作を前記演算部に行わせると共に、前記第3速度データを前記表示領域に表示させ、前記制御部は、前記判定部による前記判定結果が肯定である場合に、前記第1速度データを前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記制御部に対して計測モードを設定するための操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部が操作されることにより前記計測モードとして第2計測モードが設定されると、前記制御部は、前記判定部による前記判定結果が否定である場合に、前記蓄積部に蓄積された全ての前記中間データの平均値に基づいて平均速度としての第4速度データを求める第4演算動作を前記演算部に行わせると共に、前記第4速度データを前記表示領域に表示させ、前記制御部は、前記判定部による前記判定結果が肯定である場合に、前記第2速度データを前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記演算部による前記第2演算動作は、前記第2期間において予め定められた上限値と下限値との間に該当する前記中間データに対してなされる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記上限値は、前記第1速度データに対応する前記中間データに、予め定められた第1係数を乗じた値であり、
前記下限値は、前記第1速度データに対応する前記中間データに、前記第1係数よりも小さな値であって予め定められた第2係数を乗じた値である、
ことを特徴とする請求項7記載の移動体の速度計測装置。 - 前記送信波はマイクロ波である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記制御部は、前記第1速度データに対する前記第2速度データの比率を初速効率として算出すると共に、前記初速効率を前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記制御部は、前記第1速度データに対する前記第2速度データの比率を初速効率として算出すると共に、予め定められた初速効率の最大値に対する前記初速効率の比率をインパクト効率として算出し、前記インパクト効率を前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。 - 前記制御部は、前記第1速度データおよび前記第2速度データの双方または一方を前記表示領域に表示させるごとに計測回数を計数すると共に、計数された計測回数を前記表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動体の速度計測装置。
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