JP2014062811A - 測定治具 - Google Patents

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岳 大石
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Abstract

【課題】穴部よりも拡径して設けられた拡径部の高さを正確に測定できる測定治具を提供する。
【解決手段】ガイド穴と同軸に形成された吸気側バルブ穴の開口端に連なり、当該吸気側バルブ穴よりも拡径して設けられたシュラウド部の高さを測定する測定治具20であって、ガイド穴に挿し込まれる基準軸31bと、当該基準軸31bと同軸に設けられる保持部31aと、これら基準軸31bと保持部31aの間に設けられ、開口端に当接して基準軸31bの位置決めを行う位置決め部32と、保持部31aに摺動自在に設けられてシュラウド部の先端に配置される測定リング35と、この測定リング35に接する測定子43を有する測定器34を備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、基準穴と同軸に形成された穴部の開口端に連なり、当該穴部よりも拡径して設けられた拡径部の高さを測定する測定治具に関する。
一般に、基準穴と同軸に形成された穴部の開口端に設けられた傾斜面の加工精度を測定する測定治具が知られている。この種の測定治具として、従来、基準面に対しバルブが傾斜して配置されているシリンダヘッドに組み付けられたバルブシートのフェース面の加工精度を検査するための検査治具であって、前記シリンダヘッドに組み付けられる前記バルブを案内するバルブガイドに挿通可能な軸部と、前記軸部と同軸に設けられ、前記フェース面に合致したテーパーを有するフェース部と、前記軸部と同軸に、かつ、前記フェース部の大径側に逆向きのテーパーとして設けられ、前記基準面と前記バルブの軸がなす角の2倍のテーパー角を有する測定テーパー部と、を備えた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成によれば、基準面から検査治具の測定テーパー部までの高さ距離を測定することにより、シリンダヘッドに組み付けられたバルブシートのフェース面の高さを容易に測定することができ、このフェース面の加工精度を容易に検査することができる。
特開2004−245617号公報
ところで、近年、エンジンの燃費向上を目的として、吸気側のバルブ穴の開口端の周囲の一部に燃焼室側に突出するシュラウド部(拡径部)が形成されることがある。このシュラウド部は、吸気側のバルブ穴から燃焼室に流れる吸入空気にタンブル流(縦渦流)を生成する機能を有するものである。このため、シュラウド部がバルブ穴の開口端の周囲に精度良く加工されることが重要であり、開口端に設けられたバルブシートのフェース面の縁部からシュラウド部の先端までの距離(高さ)を正確に測定することが重要となっている。
しかし、シュラウド部の高さの測定に従来の測定装置を使用した場合、基準穴と基準軸との間にクリアランスが生じることに加え、シュラウド部は、バルブ穴の開口端の周囲に半円状に形成されるため、基準軸及び測定器に倒れが生じ、上記したシュラウド部の高さを正確に測ることが困難であるといった問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、穴部よりも拡径して設けられた拡径部の高さを正確に測定できる測定治具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基準穴と同軸に形成された穴部の開口端に連なり、当該穴部よりも拡径して設けられた拡径部の高さを測定する測定治具であって、前記基準穴に挿し込まれる軸部と、当該軸部と同軸に設けられる保持軸部と、これら軸部と保持軸部の間に設けられ、前記開口端に当接して前記軸部の位置決めを行う位置決め部材と、前記保持軸部に摺動自在に設けられて前記拡径部の先端に配置される摺動部材と、この摺動部材に接する測定子を有する測定器とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、開口端に当接して前記軸部の位置決めを行う位置決め部材を備えるため、この位置決め部材を開口端に当接させることで軸部及び測定器の倒れが防止される。
また、保持軸部に摺動自在に設けられて前記拡径部の先端に配置される摺動部材と、この摺動部材に接する測定子を有する測定器とを備えるため、開口端に位置決めされた位置決め部材に対する摺動部材の相対高さから拡径部の高さを精度よく正確に測定することができる。
この構成において、前記位置決め部材と当接する開口端を有する開口部と、前記開口端の周囲に設けられ、当該開口端からの高さが予め基準高さに設定された基準拡径部とを有するマスターゲージを備え、前記位置決め部材を、前記マスターゲージの開口端に配置するとともに、前記摺動部材を前記基準拡径部の先端に配置した状態で、前記測定器で測定した前記基準高さの測定値を基準値とし、前記位置決め部材を、前記穴部の開口端に配置するとともに、前記摺動部材を前記拡径部の先端に配置し、前記基準値との差分を測定しても良い。
この構成によれば、位置決め部材を、穴部の開口端に配置するとともに、摺動部材を拡径部の先端に配置し、基準値との差分を測定することにより、拡径部の加工精度の良否を簡単、かつ、正確に判別することができる。
また、前記穴部は、エンジンのシリンダヘッドのバルブ穴であり、前記拡径部は、前記バルブ穴の開口端の周囲の少なくとも一部に燃焼室側に突出して形成されたシュラウド部としても良い。
この構成によれば、加工が施されたシュラウド部の高さを精度よく正確に測定することができる。
また、前記バルブ穴は、前記開口端にバルブと接触する接触面を有するバルブシートを備え、前記位置決め部材は、前記接触面の燃焼室側の縁部に当接する大きさに形成されても良い。この構成によれば、バルブ穴に位置決め部材を配置する際に、この位置決め部材がバルブシートの接触面の燃焼室側の縁部と周方向に亘って接触するため、当該位置決め部材をバルブシートに安定して配置させることができ、拡径部の高さをより正確に測定することができる。
本発明によれば、開口端に当接して前記軸部の位置決めを行う位置決め部材を備えるため、この位置決め部材を開口端に当接させることで軸部及び測定器の倒れが防止される。
また、保持軸部に摺動自在に設けられて前記拡径部の先端に配置される摺動部材と、この摺動部材に接する測定子を有する測定器とを備えるため、開口端に位置決めされた位置決め部材に対する摺動部材の相対高さから拡径部の高さを精度よく正確に測定することができる。
また、本発明によれば、位置決め部材を、穴部の開口端に配置するとともに、摺動部材を拡径部の先端に配置し、マスターゲージの基準値との差分を測定することにより、拡径部の加工精度の良否を簡単、かつ、正確に判別することができる。
また、本発明によれば、穴部は、エンジンのシリンダヘッドのバルブ穴であり、前記拡径部は、前記バルブ穴の開口端の周囲の少なくとも一部に燃焼室側に突出して形成されたシュラウド部であるため、加工が施されたシュラウド部の高さを精度よく正確に測定することができる。
また、本発明によれば、開口端にバルブと接触する接触面を有するバルブシートを備え、位置決め部材は、接触面の燃焼室側の縁部に当接する大きさに形成されているため、バルブ穴に位置決め部材を配置する際に、この位置決め部材がバルブシートの縁部と周方向に亘って接触するため、当該位置決め部材をバルブシートに安定して配置させることができ、拡径部の高さをより正確に測定することができる。
エンジンのシリンダヘッドの断面図である。 シュラウド部を示す部分拡大図である。 シュラウド部の高さを測定する測定治具の部分断面図である。 図3の部分拡大図である。 マスターバルブをバルブ穴に配置した状態を示す部分断面図である。 図5の部分拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、測定対象物であるエンジンのシリンダヘッド1の断面図である。シリンダヘッド1には、燃焼室1aに通じる吸気側バルブ穴(穴部)2が設けられ、その燃焼室1aに対する開口端2aには吸気バルブシート3が設けられている。吸気バルブシート3は円形のリング状をなし、その内周面にはテーパー状のフェース面(接触面)3aが形成されている。
吸気バルブシート3の上方には円筒状のバルムステムホルダ4が設けられている。バルムステムホルダ4の軸線方向に形成されたガイド穴4a(基準穴)には、吸気バルブ5のステム5bが嵌合して摺動し、その下端に設けられた吸気バルブ5の傘部5aが吸気バルブシート3のフェース面3aへ接離するようになっている。C1は吸気バルブ5の軸線(軸心)であり、この軸線C1に対して、吸気バルブシート3とバルムステムホルダ4が同軸で配置されている。
また、吸気側バルブ穴2に対してシリンダヘッド1の中央を挟んで反対側には排気側バルブ穴6が設けられ、ここにも同様に排気バルブシート7、バルムステムホルダ8及び排気バルブ9が設けられている。7aはフェース面、8aはガイド穴、9aは排気バルブ9の傘部、9bはステムである。C2は排気バルブ9の軸線であり、この軸線C2に対して、排気バルブシート7とバルムステムホルダ8が同軸で配置されている。軸線C1と軸線C2は所定の挟み角をなしている。
本構成では、図2に示すように、吸気側バルブ穴2の開口端2aの周囲に燃焼室1a側に突出するシュラウド部(拡径部)10が形成されている。このシュラウド部10は、吸気側バルブ穴2から燃焼室1aに流れる吸入空気にタンブル流を生成する機能を有し、燃焼室1a内の流動を促進してエンジンの燃焼安定性や燃費の向上を図るものである。
シュラウド部10は、吸気側バルブ穴2の開口端2aの周囲の一部に円弧状に設けられた壁部であり、具体的には、図1に示すように、開口端2aにおける排気側バルブ穴6と反対側に位置する縁部に設けられている。
シュラウド部10は、開口端2aの周囲に精度良く加工されることが重要となり、シュラウド部10が加工されたシリンダヘッド1について、シュラウド部10の高さを正確に測定して、管理することが重要となっている。本構成では、シュラウド部10の高さHは、図2に示すように、吸気バルブシート3のフェース面3aの燃焼室1a側の縁部3bと、シュラウド部10の内壁10aに沿った先端10bとの間の距離として設定される。吸気バルブシート3は、フェース面3aの外側に、このフェース面3aと比べて、軸線C3となす角度が大きい傾斜角度に形成された傾斜面3cを備え、この傾斜面3cとフェース面3aとの境界が上記した縁部3bとなり、この縁部3bがシュラウド部10の高さHの基端となる。
図3は、シュラウド部10の高さを測定する測定治具20を示す部分断面図であり、図4は、図3の部分拡大図である。また、図5は、マスターバルブ30を吸気側バルブ穴2に配置した状態を示す部分断面図であり、図6は、図5の部分拡大図である。
測定治具20は、図3に示すように、大別して、シュラウド部10の高さを測定するマスターバルブ30と、このマスターバルブ30と組み合わせて用いられ、予め、シュラウド部10の基準高さH1に設定された基準拡径部を有するマスターゲージ60とを備えて構成されている。
マスターバルブ30は、軸部材31と、この軸部材31に設けられたバルブ形状の位置決め部(位置決め部材)32と、当該軸部材31の上部に着脱自在に取付けられたホルダ33と、このホルダ33の一端に支持された測定器34と、当該ホルダ33と位置決め部32との間の軸部材31に摺動自在に設けられる測定リング35とを備える。
軸部材31は、金属製の多段をなす丸棒状部材であり、上段でホルダ33を保持する保持部(保持軸部)31aと、下段の基準軸(軸部)31bとを備え、下方へ向かって次第に細くなるように変化するとともに、各部は同一軸線C3上に同軸形成されている。
また、位置決め部32は、保持部31aと基準軸31bとの間に設けられ、バルブを模した形状に形成されている。この位置決め部32は、軸部材31と同一軸線C3上に位置するように組み付けられているが、これらを一体に形成しても良いことは勿論である。
基準軸31bは、バルムステムホルダ4のガイド穴4aの内径D1(図1参照)よりも小さい外径D2をなし、少なくともガイド穴4aに挿入可能な外径に形成される。勿論、外径D2をガイド穴4aの内径D1と略同一に形成することが望ましい。
ホルダ33は、略角柱状をなして軸部材31の左右へ張り出し、その中央部に設けた穴部に軸部材31の保持部31aが貫通している。穴部から一方側へ張り出す腕部33aには、測定器34が貫通する穴部と、この穴部に連なって先端まで達する割り溝(不図示)とが形成されている。また、腕部33aの側部には、この溝幅を調整する調整ネジ40が設けられ、この調整ネジ40によって測定器34がホルダ33に固定される。
測定器34は、標準型のダイヤルゲージであり、ボディ42から軸心C5方向に延出して、先端43aが測定リング35に当接する測定子43を備える。この測定子43は、軸心方向に伸縮可能に構成され、この伸縮によって測定された値を表示部45へ表示するようになっている。
表示部45は、例えば、測定子43の伸縮に応じて中心軸を中心に回転する針と目盛板(それぞれ不図示)とを備え、この針が示す目盛の数値によって伸縮量が表示される。本実施形態では、表示部45は、目盛板を針と独立して回転可能に構成され、針が示す所定の値をゼロ点(基準値)として設定することができる。
測定リング35は、上段35aよりも下段35bが拡径した円柱状部材であり、中心に保持部31aが貫通する貫通孔35cが形成される。この貫通孔35cには、測定リング35が保持部31aを摺動するように軸受メタル36が配置されている。
また、測定リング35の上段35aとホルダ33との間には、バネ部材37が配置され、測定リング35を位置決め部32に接触する方向に付勢している。さらに、測定リング35は、下段35bの上面35dに測定子43の先端43aが当接可能に構成され、測定リング35の摺動に伴い、測定器34の測定子43が伸縮する。
ホルダ33の軸部材31に対する取付け高さは、微調整機構46並びに第1固定ネジ47及び第2固定ネジ48により調整可能になっている。すなわち、第1固定ネジ47及び第2固定ネジ48を緩めれば、ホルダ33を測定器34と一体に軸部材31の上を上下移動させることができ、第1固定ネジ47及び第2固定ネジ48を締め付ければ、所定の高さで固定できる。また、第1固定ネジ47を緩め、第2固定ネジ48を締め付けた状態で、微調整機構46の調整ネジ49によりホルダ33の高さを微調整できる。
第2固定ネジ48は、ホルダ33の上方に配置され、軸部材31の保持部31aが貫通する小アーム50の側面に設けられ、第2固定ネジ48を緩めると、ネジ部の先端が軸部材31の保持部31a外周面から離れて、小アーム50の上下移動を許容する。また、第2固定ネジ48を締め付けると、ネジ部の先端が軸部材31の保持部31a外周面へ押し当てられて小アーム50の上下移動を不可にする。
微調整機構46は、調整つまみ51、調整ネジ49、小アーム50並びに第1固定ネジ47及び第2固定ネジ48で構成される。小アーム50の一端は軸部材31の保持部31aへ上下移動自在に嵌合され、他端には調整ネジ49の上端が止めリング等の適宜手段により回転自在かつ軸方向移動不可に固定されている。
調整ネジ49の下端側は、ホルダ33の腕部33aと反対側へ延出する腕部33bの先端部を下方へ貫通している。
腕部33bの先端は、略水平に割られた二股部をなし、この溝52内に調整つまみ51が設けられている。調整つまみ51は中心部を調整ネジ49が貫通するとともに、調整ネジ49と一体化している。調整ネジ49は小アーム50に対して固定されているため、ホルダ33及び小アーム50がそれぞれ軸部材31に対して相対移動可能な状態で調整つまみ51を回転させると、ホルダ33と小アーム50の間隔を接近又は離反させるようになっている。
そこで、第2固定ネジ48を締め付け、第1固定ネジ47を緩めた状態で、調整つまみ51により調整ネジ49を回転させれば、ホルダ33全体が上下動し、所定位置で第1固定ネジ47を締め付ければホルダ33の高さ方向を微調整できる。
マスターゲージ60は、マスターバルブ30でシュラウド部10の高さHを測定する際の基準値を設定するためのものである。マスターゲージ60は、図3に示すように、金属によって形成されており、軸部材31の基準軸31bが挿入される軸孔部61と、マスターバルブ30の位置決め部32と当接する開口端62aを有する開口部62と、この開口部62の開口端62aの周囲に設けられ、内径及び高さが予め基準径及び基準高さに設定された基準拡径部63とを備える。
これら軸孔部61、開口端62a及び基準拡径部63は、それぞれ同一の軸線C4上に形成されている。
軸孔部61の内径D3は、上記した基準軸31bの外径D2と略同一に形成されており、基準軸31bの外周面は軸孔部61の内周面に密接し、マスターバルブ30の軸線C3はマスターゲージ60の軸線C4と一致する。
開口端62aには、バルブ形状に形成された位置決め部32の傾斜面(下面)32aと密着するように全周に亘って傾斜面が形成されている。これにより、開口端62aと位置決め部32との密着度が向上し、マスターバルブ30の軸ぶれ及び軸方向への移動が抑えられ、正確な測定が可能となる。基準拡径部63は、予め、シュラウド部10の内径R2及び高さH2(図5参照)の加工基準値となる基準径R1及び基準高さH1に設定されており、マスターバルブ30をマスターゲージ60に配置するとともに、測定リング35の下段35bを基準拡径部63の上端(先端)63aに配置することにより、測定器34の測定子43が測定リング35の下段35bの上面35dに接触させて伸縮し、この伸縮に伴う値が表示部45に表示される。
本実施形態では、図4に示すように、測定リング35の下段35bの角部35eは、円弧状に形成され、この円弧状の角部35eの一部35fが基準拡径部63の上端63aに当接するように、測定リング35の下段35bの径が設定される。これにより、シリンダヘッド1のように、シュラウド部10の先端10bに軸線C1に垂直な面が設けられないような構成においても、正確にシュラウド部10の高さを測定可能となる。
次に、本実施形態の動作を説明する。
まず、図3に示すように、マスターバルブ30をマスターゲージ60に組み付ける。具体的には、マスターバルブ30の基準軸31bをマスターゲージ60の軸孔部61に挿入し、マスターバルブ30の位置決め部32をマスターゲージ60の開口端62aに当接させるとともに、基準拡径部63の上端(先端)63aに測定リング35を配置する。これによれば、基準軸31bの外周面が軸孔部61の内周面に密接することにより、マスターバルブ30の軸線C3はマスターゲージ60の軸線C4と一致する。さらに、位置決め部32と開口端62aとが密着することにより、マスターバルブ30の軸ぶれ及び軸方向への移動が抑えられる。さらに、測定リング35は、バネ部材37によって基準拡径部63の上端63aに押付けられ、図4に示すように、この測定リング35は、下段35bの角部35eの一部35fが基準拡径部63の上端63aに当接した状態で配置される。
続いて、第1固定ネジ47及び第2固定ネジ48を緩めて、測定器34の測定子43の先端43aが測定リング35の下段35bの上面35dへ当接するようにホルダ33の位置を調整し、必要により第2固定ネジ48を締め付けてから、調整つまみ51を回して微調整することにより測定子43の位置を決める。そして、測定子43の伸縮量に対応して表示部45の針が示す値を取得する。この値は、基準高さH1に相当する値であるため、目盛板を回転させて、この測定値をゼロ点(基準値)に設定する。
次に、マスターゲージ60からマスターバルブ30を取り外し、図5に示すように、このマスターバルブ30をシリンダヘッド1の吸気側バルブ穴2に配置する。具体的には、マスターバルブ30の基準軸31bを吸気側バルブ穴2のバルムステムホルダ4に挿し込むとともに、位置決め部32を吸気側バルブ穴2の開口端2aの吸気バルブシート3に接触するように配置するとともに、シュラウド部10の先端10bに測定リング35を配置する。
本実施形態では、吸気バルブシート3は、図5に示すように、吸気バルブ5の傘部5a(図1)と接触するフェース面3aの外側に、このフェース面3aと比べて、軸線3Cとなす角度が大きい傾斜角度に形成された傾斜面3cが形成されている。そして、位置決め部32は、下面32aの一部がフェース面3aにおける燃焼室1a側の縁部3b、すなわち、フェース面3aと傾斜面3cとの境界部分に当接する大きさ、及び形状に形成される。この構成によれば、吸気側バルブ穴2に位置決め部32を配置する際に、この位置決め部32が吸気バルブシート3のフェース面3aの縁部3bと周方向に亘って接触するため、当該位置決め部32を吸気バルブシート3に安定して配置させることができ、軸部材31及び測定器34の倒れが防止される。このため、シュラウド部10の高さH1を精度良く、正確に測定することができる。
さらに、本実施形態では、フェース面3aにおける燃焼室1a側の縁部3bは、シュラウド部10の高さH1の基端となっているため、この縁部3bに位置決め部32を配置することにより、シュラウド部10の高さH1を簡単、かつ、正確に測定することができる。
さらに、位置決め部32は、上記した縁部3bに当接することにより、フェース面3aに接触することが抑制されるため、フェース面3aの傷付きが防止され、ガス漏れによる燃費の低下を防ぐことができる。
さらに、本実施形態では、図6に示すように、測定リング35は、下段35bの角部35eの一部35fがシュラウド部10の先端10bに当接するように配置されることにより、シリンダヘッド1のように、シュラウド部10の先端10bに軸線C1に垂直な面が設けられないような構成においても、正確にシュラウド部10の高さを測定可能となる。
続いて、マスターバルブ30を吸気側バルブ穴2に配置した状態で、測定器34の表示部45に表示される値を計測し、基準値との差分(H2−H1)を測定する。本実施形態では、マスターゲージ60で設定された基準値との差分を測定することにより、この差分の大きさに基づいて、シュラウド部10の加工精度の良否を簡単に判断することができる。
さらに、本実施形態では、ガイド穴4aへ基準軸31bを挿入するだけで済むため、測定作業が容易かつ迅速になり、効率化する。特に、基準軸31bは単なる棒状をなすだけであり、従来構成のように、軸部と同軸に設けられ、フェース面に合致したテーパーを有するフェース部と、軸部と同軸に、かつ、フェース部の大径側に逆向きのテーパーとして設けられ、基準面とバルブの軸がなす角の2倍のテーパー角を有する測定テーパー部とを備え、この基準面から検査治具の測定テーパー部までの高さ距離を測定する構成を不要とするので、マスターバルブ30の構造を簡単にすることができる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、ガイド穴4aと同軸に形成された吸気側バルブ穴2の開口端2aに連なり、当該吸気側バルブ穴2よりも拡径して設けられたシュラウド部10の高さを測定する測定治具20であって、ガイド穴4aに挿し込まれる基準軸31bと、当該基準軸31bと同軸に設けられる保持部31aと、これら基準軸31bと保持部31aの間に設けられ、開口端2aに当接して基準軸31bの位置決めを行う位置決め部32と、保持部31aに摺動自在に設けられてシュラウド部10の先端10bに配置される測定リング35と、この測定リング35に接する測定子43を有する測定器34を有するマスターバルブ30と、位置決め部32と当接する開口端62aを有する開口部62と、開口端62aの周囲に設けられ、高さが予め基準高さH1に設定された基準拡径部63とを有するマスターゲージ60とを備え、位置決め部32を、マスターゲージ60の開口端62aに配置して、測定器34の測定子43を測定リング35の下段35bの上面35dに接触させ、基準高さH1の測定値をゼロ点とし、更に、位置決め部32を、シリンダヘッド1の吸気側バルブ穴2の開口端2aに配置し、測定器34の測定子43をシュラウド部10の内壁10aの先端10bに接触させ、ゼロ点との差分を測定するため、この差分の大きさに基づいて、シュラウド部10の加工精度の良否を簡単に判断することができる。
本実施形態によれば、吸気側バルブ穴2は、開口端2aに吸気バルブ5と接触するフェース面3aを有する吸気バルブシート3を備え、位置決め部32は、フェース面3aにおける燃焼室1a側の縁部3bに当接する大きさ、及び形状に形成されるため、吸気側バルブ穴2に位置決め部32を配置する際に、この位置決め部32が吸気バルブシート3のフェース面3aの縁部3bと周方向に亘って接触することにより、当該位置決め部32を吸気バルブシート3に安定して配置させることができ、軸部材31及び測定器34の倒れが防止される。このため、シュラウド部10の高さH1を精度良く、正確に測定することができる。
本願発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、吸気側バルブ穴2の周囲に形成されたシュラウド部10の高さに限るものではなく、基準穴と同軸に形成された穴部の開口端に連なり、当該穴部よりも拡径した拡径部を備えるものであれば、この拡径部の高さを測定することに使用できる。
また、本実施形態では、マスターゲージ60を備え、このマスターゲージ60で測定された基準値と実際に加工が施されたシュラウド部10の高さとの差分を測定する構成としたが、測定器34を、吸気バルブシート3のフェース面3aの縁部3bに対する測定リング35の相対高さ位置に基づいて、シュラウド部10の高さを換算可能とし、実際のシュラウド部10の高さを測定しても良い。
この構成では、実際に1度測定するだけで済むため、測定作業をより簡素化することができる。
1a 燃焼室
2 吸気側バルブ穴(開口部)
2a 開口端
3 吸気バルブシート(バルブシート)
3a フェース面(接触面)
3b 縁部
3c 傾斜面
4a ガイド穴(基準穴)
5 吸気バルブ
5a 傘部
H1 基準高さ
R2 高さ
10 シュラウド部(拡径部)
10a 内壁
10b 先端
20 測定治具
30 マスターバルブ
31 軸部材
31a 保持部(保持軸部)
31b 基準軸(軸部)
32 位置決め部(位置決め部材)
34 測定器
35 測定リング
43 測定子
60 マスターゲージ
61 軸孔部
62 開口部
62a 開口端
63 基準拡径部
63a 上端(先端)

Claims (4)

  1. 基準穴と同軸に形成された穴部の開口端に連なり、当該穴部よりも拡径して設けられた拡径部の高さを測定する測定治具であって、
    前記基準穴に挿し込まれる軸部と、当該軸部と同軸に設けられる保持軸部と、これら軸部と保持軸部の間に設けられ、前記開口端に当接して前記軸部の位置決めを行う位置決め部材と、前記保持軸部に摺動自在に設けられて前記拡径部の先端に配置される摺動部材と、この摺動部材に接する測定子を有する測定器とを備えたことを特徴とする測定治具。
  2. 前記位置決め部材と当接する開口端を有する開口部と、前記開口端の周囲に設けられ、当該開口端からの高さが予め基準高さに設定された基準拡径部とを有するマスターゲージを備え、
    前記位置決め部材を、前記マスターゲージの開口端に配置するとともに、前記摺動部材を前記基準拡径部の先端に配置した状態で、前記測定器で測定した前記基準高さの測定値を基準値とし、前記位置決め部材を、前記穴部の開口端に配置するとともに、前記摺動部材を前記拡径部の先端に配置し、前記基準値との差分を測定することを特徴とする請求項1記載の測定治具。
  3. 前記穴部は、エンジンのシリンダヘッドのバルブ穴であり、前記拡径部は、前記バルブ穴の開口端の周囲の少なくとも一部に燃焼室側に突出して形成されたシュラウド部であることを特徴とする請求項1または2に記載の測定治具。
  4. 前記バルブ穴は、前記開口端にバルブと接触する接触面を有するバルブシートを備え、前記位置決め部材は、前記接触面の燃焼室側の縁部に当接する大きさに形成されたことを特徴とする請求項3に記載の測定治具。
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