JP2014062701A - ヒートポンプシステムおよびそれを用いた冷却システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートポンプでくみ上げる温度差を低減して効率のよいヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】第一ヒートポンプ2は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とを有する。第二ヒートポンプ3は、第一蒸発器7を兼ねる凝縮器12を介して、第一ヒートポンプ2と接続される。第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器14とに、熱源流体(16)が順に通される。第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、被加温流体(9)を相変化させずに加温する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプを用いたヒートポンプシステムと、それを用いた冷却システムに関するものである。
従来、下記特許文献1に開示されるように、蒸発器(1)において排温水等から熱をくみ上げ、凝縮器(3)において水を加熱して蒸気を発生させるヒートポンプが知られている。
また、下記特許文献2に開示されるように、ヒートポンプを上下複数段(HP1,HP2)で構成し、上下のヒートポンプを接続する熱交換器(HE1)を通して給水を加熱し、最上段のヒートポンプ(HP2)の凝縮器(HE2)から蒸気を取り出すシステムも提案されている。
さらに、下記特許文献3に開示されるように、ヒートポンプ(10,10´)を左右並列に設置し、各ヒートポンプの凝縮器(12,12´)に水を通して高温水を得る装置も提案されている。
特開昭58−40451号公報(第2図) 特開2006−348876号公報(図1) 実開昭60−23669号公報(第2図)
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明のように、単段のヒートポンプを用いるだけでは、熱をくみ上げる温度差、つまり蒸発器側と凝縮器側との温度差が大きく、ヒートポンプの効率が悪い。
また、前記特許文献2に記載の発明のように、ヒートポンプを単に上下複数段に設置しても、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献1に記載の発明と同様に、ヒートポンプ全体で見た場合のくみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
また、前記特許文献3に記載の発明のように、ヒートポンプを左右並列に設置しても、左右のヒートポンプが同一構成で、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献2に記載の発明と同様に、くみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
さらに、熱源流体が温水や排ガスなどであり、ヒートポンプに熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴う場合、左右同一構成で並列に設置されたヒートポンプに熱源流体を通すだけでは、下流側のヒートポンプでは熱源流体の温度が低下してしまうので、これを考慮する必要もある。
本発明が解決しようとする課題は、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることにある。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応できるヒートポンプシステムを提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、第一蒸発器と第二蒸発器とを有する第一ヒートポンプと、前記第一蒸発器を兼ねる凝縮器を介して前記第一ヒートポンプと接続される第二ヒートポンプとを備え、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの蒸発器とに、熱源流体が順に通され、前記第一ヒートポンプの凝縮器において、被加温流体を相変化させずに加温することを特徴とするヒートポンプシステムである。
請求項1に記載の発明によれば、第一ヒートポンプの第二蒸発器と、第二ヒートポンプの蒸発器とから熱をくみ上げて、第一ヒートポンプの凝縮器において、被加温流体を相変化させずに加温することができる。この際、熱源流体は、第一ヒートポンプの第二蒸発器を通された後、第二ヒートポンプの蒸発器に通される。これにより、第一ヒートポンプの第二蒸発器において熱源流体が冷やされた分を第二ヒートポンプがカバーして、第二蒸発器を通過後の熱源流体からも再び熱をくみ上げることができる。また、第一ヒートポンプでは、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機の電力を少なくでき、ヒートポンプシステムの効率を向上することができる。
請求項2に記載の発明は、前記第一ヒートポンプは、複数段のヒートポンプから構成され、前記第一ヒートポンプを構成する各段のヒートポンプは、蒸発器として第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、前記各第一蒸発器は、隣接する上下のヒートポンプ同士を接続し、熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、前記各第二蒸発器を順に通されることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステムである。
請求項2に記載の発明によれば、ヒートポンプシステム全体でみると、三段以上のヒートポンプから構成されることになる。そして、熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、第一ヒートポンプの各第二蒸発器を順に通された後、第二ヒートポンプの蒸発器に通され、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器において、被加温流体を相変化させずに加温することができる。
請求項3に記載の発明は、熱源流体と被加温流体とを熱交換する熱交換器をさらに備え、この熱交換器を通過後の熱源流体が、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器に通されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートポンプシステムである。
請求項3に記載の発明によれば、熱源流体は、熱交換器にて被加温流体と直接または間接に熱交換した後、第一ヒートポンプの第二蒸発器へ送られる。仮に前記熱交換器がない場合、熱源流体の初期温度が第一ヒートポンプの凝縮器での被加温流体の加温目標温度よりも高いと、エクセルギーに無駄を生じるおそれがある。ところが、本請求項に記載の発明によれば、前記熱交換器において、ヒートポンプを用いることなく被加温流体を加温した後、ヒートポンプの熱源とすることができる。これにより、高温の熱源流体を単にヒートポンプの熱源とするだけの場合よりも、ヒートポンプの消費電力を下げることができ、省エネルギーを図ることができる。
請求項4に記載の発明は、前記第一ヒートポンプの凝縮器において、被加温流体としての空気、水または油を加温することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプシステムである。
請求項4に記載の発明によれば、空気を温めて温風としたり、水を温めて温水としたり、各種油を温めたりすることができる。
さらに、請求項5に記載の発明は、前記第一ヒートポンプの凝縮器に、被加温流体としての空気、水または油を通して、前記第一ヒートポンプの冷媒を冷却しつつ、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの蒸発器とに、熱源流体として空気、水または油を通して、これら流体の冷却を図ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプシステムを用いた冷却システムである。
請求項5に記載の発明によれば、前記各請求項に記載のヒートポンプシステムを冷凍機のような冷却システムとして用いることができる。つまり、第一ヒートポンプの凝縮器において、ヒートポンプの冷媒を空冷、水冷または油冷しながら、第一ヒートポンプの第二蒸発器や、第二ヒートポンプの蒸発器において、各種流体の冷却を図ることができる。
本発明によれば、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることができる。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応することができる。
本発明のヒートポンプシステムの実施例1を示す概略図である。 理想サイクルのT−S線図である。 従来公知の単段のヒートポンプ(逆カルノーサイクル)のT−S線図である。 先願の蒸気発生システムおよび本発明のヒートポンプシステムの実施例1のT−S線図である。 図4において、ヒートポンプの段数を増やした場合を示す図である。 本発明のヒートポンプシステムの実施例2を示す概略図である。 本発明のヒートポンプシステムの実施例3を示す概略図である。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本発明のヒートポンプシステムは、出願人が先に提案し特許出願中の蒸気発生システム(特願2011−79370)の変形例であり、蒸気を発生させることに代えて、各種流体を相変化させずに加温するシステムである。
図1は、本発明のヒートポンプシステム1の実施例1を示す概略図である。本実施例のヒートポンプシステム1は、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを備える。
第一ヒートポンプ2は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では単段のヒートポンプから構成される。具体的には、第一ヒートポンプ2は、圧縮機4、凝縮器5、膨張弁6および蒸発器7,8が順次環状に接続されて構成される。ここで、第一ヒートポンプ2は、蒸発器として、第一蒸発器7と第二蒸発器8との二つの蒸発器を備える。これら蒸発器7,8は、並列に接続されてもよいが、本実施例では直列に接続されている。図示例では、第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒は、第一蒸発器7と第二蒸発器8とを順に通された後、圧縮機4へ送られる。
圧縮機4は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。凝縮器5は、圧縮機4からのガス冷媒を凝縮液化する。膨張弁6は、凝縮器5からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。蒸発器7,8は、膨張弁6からの冷媒の蒸発を図る。
従って、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7,8において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器5において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7,8において外部から熱をくみ上げ、凝縮器5において被加温流体を相変化させずに加温する。凝縮器5には、被加温流体の供給路9と排出路10とが接続されている。
被加温流体は、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において相変化せずに温度上昇を図られる気体または液体であり、典型的には空気、水または油である。被加温流体が空気の場合、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、空気を温めて温風を製造することができる。被加温流体が水の場合、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、水を温めて温水を製造することができる。被加温流体が油の場合、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、たとえば熱媒油を温めることができる(ヒートポンプシステム1は熱媒ボイラとなる)。
第一ヒートポンプ2の回路には、所望により、圧縮機4の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器5の出口側に受液器を設置したり、圧縮機4の入口側にアキュムレータを設置したり、凝縮器5から膨張弁6への冷媒と蒸発器7,8から圧縮機4への冷媒とを混ぜることなく熱交換する液ガス熱交換器を設置したりしてもよい。このことは、第一ヒートポンプ2に限らず、第二ヒートポンプ3についても同様である。また、第一ヒートポンプ2や第二ヒートポンプ3が複数段の場合には、それを構成する各段のヒートポンプについても同様である。
第二ヒートポンプ3は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では単段のヒートポンプから構成される。第二ヒートポンプ3は、基本的には第一ヒートポンプ2と同様の構成である。つまり、第二ヒートポンプ3は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14が順次環状に接続されて構成される。但し、第二ヒートポンプ3は、第一ヒートポンプ2のように二つの蒸発器を備える必要はない。そして、第二ヒートポンプ3は、蒸発器14において、熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器12において、第一ヒートポンプ2の冷媒を加熱して自身の冷媒は凝縮を図られる。
第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とは、本実施例では次のようにして接続される。すなわち、第二ヒートポンプ3の圧縮機11からの冷媒と第一ヒートポンプ2の膨張弁6からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器15を備え、この間接熱交換器15が第二ヒートポンプ3の凝縮器12であると共に第一ヒートポンプ2の第一蒸発器7とされる。但し、上下のヒートポンプ2,3は、間接熱交換器15に限らず、中間冷却器(直接熱交換器など)で接続されてもよい。
第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器14とには、熱源流体路16を介して熱源流体が順に通される。従って、ヒートポンプシステム1は、これら蒸発器8,14において、熱源流体から熱をくみ上げ、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、被加温流体を相変化させずに加温する。
熱源流体は、特に問わないが、各ヒートポンプ2,3において顕熱を与えるもの、すなわち熱を与えつつ自身は温度低下を伴う流体が好適に用いられる。たとえば、蒸気使用設備からのドレン、燃焼装置(ボイラなど)からの排ガス、工場などから排出される排温水、またはオイルフリー式圧縮機からの高温の圧縮空気もしくはその冷却水が用いられる。なお、オイルフリー式圧縮機の廃熱を用いる場合、オイルフリー式圧縮機のインタークーラやアフタークーラの箇所に、各ヒートポンプ2,3を設置して、オイルフリー式圧縮機の廃熱を熱源に被加温流体を加温すればよい。
本実施例のヒートポンプシステム1によれば、熱源流体は、まずは第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8を通された後、第二ヒートポンプ3の蒸発器14を通される。これにより、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8において熱源流体が冷やされた分を第二ヒートポンプ3がカバーして、第二蒸発器8を通過後の熱源流体からも再び熱をくみ上げることができる。また、第一ヒートポンプ2では、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機4の電力を少なくでき、ヒートポンプシステム1の効率を向上することができる。
言い換えれば、ヒートポンプシステム1は、全体でみるとあたかも複数段(本実施例では二段)のヒートポンプ2,3で構成されてなり、くみ上げるエネルギーの一部(典型的には半分)を中段からくみ上げることになるので、成績係数を増加させることができる。また、最下段からくみ上げるエネルギーを減らす(典型的には半分にする)ことができるので、低段側(第二ヒートポンプ3)の圧縮機11の容量を小さくすることができる。
なお、本実施例のヒートポンプシステム1は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒の飽和温度をT1、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8の出口側の熱源流体温度をT2、および第二ヒートポンプ3の蒸発器14の出口側の熱源流体温度をT3とした場合に、T3<T1<T2となるよう構成される。
図2は、熱を与えられる流体の入口部の状態がTの飽和水、熱を与えられる流体の出口部の状態がTの飽和蒸気であり(つまり熱を与えられる流体は潜熱を与えられる)、熱を与える流体の入口部の状態がTの飽和水、熱を与える流体の出口部の状態がTの過冷却水(つまり熱を与える流体は顕熱を奪われる)の条件において、理想的に熱をくみ上げる場合(以下、理想サイクルという。)のT−S線図である。つまり、縦軸が温度、横軸がエントロピーを示している。
この理想サイクルつまり実線で囲まれた三角形の面積が、前記条件を実現するための最小動力(理想動力)となる。そして、このときの成績係数COP=2×(T/(T−T))となる。
一方、図3は、従来公知の単段のヒートポンプ(逆カルノーサイクル)のT−S線図である。但し、図3は、膨張弁出口損失、圧縮機過熱損失は無視し、熱交換性能を無限大とした場合を示している。この場合、成績係数COP=T/(T−T)となる。二点鎖線Aで示すように、ヒートポンプを上下二段にしても同様である。
図2と図3とを比較すると、図3の四角形の面積から図2の三角形の面積を引いた分が、理想サイクルと比べて余分な動力といえ、その分だけ成績係数は低下する。
一方、図4は、前述した先願(特願2011−79370)の蒸気発生システムのT−S線図である。この場合、成績係数COP=(4/3)×(T/(T−T))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の4/3倍となる。なお、T=(T+T)/2、S=(S+S)/2とした。図3と比べて、右下の箇所が欠けることで、この分だけ動力を軽減して、効率を増すことができる。
また、図4では、段数を二段としたが、段数を増やせば、図5に示すように、サイクルで囲まれる面積をさらに少なくすることができ、蒸気発生システムの効率をさらに向上することができる。段数を無限大とした場合、理論上、COP=2×(T/(T−T))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の2倍とできる。
さて、以上の理論は、先願の蒸気発生システムだけでなく、本実施例のヒートポンプシステム1にも同様に適用できる。本実施例では、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、被加温流体が相変化されずに加温されることを考慮し、図2の理想サイクルに近づけるには、次のように構成するのが好ましい。つまり、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、被加温流体は、温度変化を無視できるのが好ましい。たとえば、第一ヒートポンプ2の凝縮器5に通される被加温流体は、流量が多いことにより温度変化を無視できるのが好ましい。あるいは、第一ヒートポンプ2の凝縮器5の入口側と出口側の被加温流体の温度差が小さい(つまり温度差が設定範囲内に収まる)のが好ましい。一例として、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、被加温流体の貯留タンクとの間で、被加温流体を循環させる場合、第一ヒートポンプ2の出入口における温度差を小さくできる。
図6は、本発明のヒートポンプシステム1の実施例2を示す概略図である。本実施例2のヒートポンプシステム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
前記実施例1では、第一ヒートポンプ2を単段で構成し、第二ヒートポンプ3も単段で構成したが、各ヒートポンプ2,3の段数は適宜に変更可能である。言い換えれば、前記実施例1では、単段の第一ヒートポンプ2と単段の第二ヒートポンプ3とを組み合わせて、ヒートポンプシステム1の全体でみると、あたかも二段のヒートポンプ2,3で構成した例を示したが、ヒートポンプシステム1を構成するヒートポンプの段数は適宜に変更可能である。なお、複数段(多段)のヒートポンプには、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいは両者の組合せのヒートポンプが含まれる。
ヒートポンプシステム1を三段以上のヒートポンプで構成する場合(典型的には第一ヒートポンプ2を複数段にする場合)、最下段のヒートポンプ(第二ヒートポンプ3)を除き、すべての段の第一ヒートポンプ2において、蒸発器として第一蒸発器7と第二蒸発器8とを設け、各第一蒸発器7で上下隣接するヒートポンプ同士を接続し、各第二蒸発器8には上段から下段へ向けて熱源流体を順に通せばよい。その後、その熱源流体を、第二ヒートポンプ3の最下段の蒸発器14に通せばよい。そして、最上段のヒートポンプ2の凝縮器5において、被加温流体を加温すればよい。
たとえば、図6は、第一ヒートポンプ2を上下二段で構成し、第二ヒートポンプ3を単段で構成した例を示している。言い換えれば、ヒートポンプシステム1を三段のヒートポンプから構成している。図6のヒートポンプシステム1では、最下段のヒートポンプ(第二ヒートポンプ3)を除き、各ヒートポンプ(各段の第一ヒートポンプ2A,2B)の蒸発器として第一蒸発器7A,7Bと第二蒸発器8A,8Bとが設置され、第一蒸発器7A,7Bで上下隣接するヒートポンプ同士を接続し、第二蒸発器8A,8Bには熱源流体が通される。その際、熱源流体は、上段から下段へ向けて各第二蒸発器8A,8Bを通された後、第二ヒートポンプ3の蒸発器14に通される。
なお、本実施例のヒートポンプシステム1は、上段ヒートポンプ2Aの膨張弁6Aから圧縮機4Aへの冷媒の飽和温度をT1、上段ヒートポンプ2Aの第二蒸発器8Aの出口側の熱源流体温度をT2、および下段ヒートポンプ2Bの第二蒸発器8Bの出口側の熱源流体温度をT3とした場合に、T3<T1<T2となるよう構成される。また、下段ヒートポンプ2Bの膨張弁6Bから圧縮機4Bへの冷媒の飽和温度をT1´、下段ヒートポンプ2Bの第二蒸発器8Bの出口側の熱源流体温度をT2´(=T3)、および第二ヒートポンプ3の蒸発器14の出口側の熱源流体温度をT3´とした場合に、T3´<T1´<T2´となるよう構成される。第一ヒートポンプ2の段数がさらに増した場合も同様に、隣接する上下のヒートポンプ同士で、同様の関係が成立するように構成される。
本実施例2のように、ヒートポンプシステム1を構成するヒートポンプの段数を増すことで、図5に基づき説明したように、ヒートポンプシステム1の効率をさらに向上することができる。
図7は、本発明のヒートポンプシステム1の実施例3を示す概略図である。本実施例3のヒートポンプシステム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
本実施例3では、前記実施例1の構成に、熱源流体と被加温流体との熱交換器17をさらに付加したものである。この熱交換器17は、熱源流体と被加温流体とを直接に接触させて熱交換する直接熱交換器であってもよいし、図示例のように、熱源流体と被加温流体とを非接触で熱交換する間接熱交換器であってもよい。いずれにしても、この熱交換器17を通過後の熱源流体が、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8を通され、さらに第二ヒートポンプ3の蒸発器14を通される。
ヒートポンプシステム1が仮に熱交換器17を備えない場合、熱源流体の初期温度(第二蒸発器8の入口温度)が第一ヒートポンプ2の凝縮器5での被加温流体の加温目標温度よりも高いと、エクセルギーに無駄を生じるおそれがある。ところが、本実施例では、熱交換器17において、ヒートポンプを用いることなく被加温流体を加温した後、各ヒートポンプ2,3の熱源とすることができる。これにより、高温の熱源流体を単に各ヒートポンプ2,3の熱源とするだけの場合よりも、各ヒートポンプ2,3の消費電力を下げることができ、省エネルギーを図ることができる。
なお、本実施例3のヒートポンプシステム1において、ヒートポンプの段数を前記実施例2のように増加させることができるのは言うまでもない。
前記各実施例では、熱源流体から熱をくみ上げ、被加温流体を加温する場合について説明したが、そのようなヒートポンプシステム1を冷却システムとして用いることもできる。
具体的には、前記各実施例の構成において、第一ヒートポンプ2の凝縮器5に、被加温流体(たとえば空気、水または油など)を通して、第一ヒートポンプ2の冷媒を冷却しつつ、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8と、第二ヒートポンプ3の蒸発器14とに、熱源流体(たとえば空気、水または油など)を通して、これら流体の冷却を図ればよい。つまり、熱源流体は、被冷却流体ということができる。
このようにして、前記各実施例のヒートポンプシステム1を冷凍機のような冷却システムとして用いることができる。つまり、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、ヒートポンプ2の冷媒を空冷、水冷または油冷しながら、第一ヒートポンプ2の第二蒸発器8や、第二ヒートポンプ3の蒸発器14において、各種流体の冷却を図ることができる。
本発明のヒートポンプシステム1およびそれを用いた冷却システムは、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、被加温流体は、第一ヒートポンプ2の凝縮器5において、相変化せずに単に昇温される構成であれば、各種流体を用いることができる。
1 ヒートポンプシステム
2 第一ヒートポンプ
2A 上段ヒートポンプ
2B 下段ヒートポンプ
3 第二ヒートポンプ
4 (第一ヒートポンプの)圧縮機
5 (第一ヒートポンプの)凝縮器
6 (第一ヒートポンプの)膨張弁
7 (第一ヒートポンプの)第一蒸発器
8 (第一ヒートポンプの)第二蒸発器
9 供給路
10 排出路
11 (第二ヒートポンプの)圧縮機
12 (第二ヒートポンプの)凝縮器
13 (第二ヒートポンプの)膨張弁
14 (第二ヒートポンプの)蒸発器
15 間接熱交換器
16 熱源流体路
17 熱交換器

Claims (5)

  1. 第一蒸発器と第二蒸発器とを有する第一ヒートポンプと、
    前記第一蒸発器を兼ねる凝縮器を介して前記第一ヒートポンプと接続される第二ヒートポンプとを備え、
    前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの蒸発器とに、熱源流体が順に通され、
    前記第一ヒートポンプの凝縮器において、被加温流体を相変化させずに加温する
    ことを特徴とするヒートポンプシステム。
  2. 前記第一ヒートポンプは、複数段のヒートポンプから構成され、
    前記第一ヒートポンプを構成する各段のヒートポンプは、蒸発器として第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、
    前記各第一蒸発器は、隣接する上下のヒートポンプ同士を接続し、
    熱源流体は、上段のヒートポンプから順次下段のヒートポンプへと、前記各第二蒸発器を順に通される
    ことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステム。
  3. 熱源流体と被加温流体とを熱交換する熱交換器をさらに備え、
    この熱交換器を通過後の熱源流体が、前記第一ヒートポンプの第二蒸発器に通される
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートポンプシステム。
  4. 前記第一ヒートポンプの凝縮器において、被加温流体としての空気、水または油を加温する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム。
  5. 前記第一ヒートポンプの凝縮器に、被加温流体としての空気、水または油を通して、前記第一ヒートポンプの冷媒を冷却しつつ、
    前記第一ヒートポンプの第二蒸発器と、前記第二ヒートポンプの蒸発器とに、熱源流体として空気、水または油を通して、これら流体の冷却を図る
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒートポンプシステムを用いた冷却システム。
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