JP2014061777A - 車両用空調制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内面に親水性処理又は吸水性処理によって防曇性被膜1aが設けられたウインドガラス1と、内気導入口3bと外気導入口3aとを開閉して内気と外気との混合比率を切り替え可能な第1ダンパ11と、内気及び外気をウインドガラス1内面に送風するブロアファン4と、第1ダンパ11とブロアファン4を制御するコントロールユニット7とを備え、ウインドガラス1内面の水分が氷結する可能性を少なくとも車両運転状態及び車内状態に基づいて判定する氷結リスク判定手段9を備え、コントロールユニット7は、氷結する可能性があると判定されたとき、ウインドガラス1内面に送風する外気の比率を増加する外気増量制御を実行する。
【選択図】 図2
Description
しかし、内気は、その内部に含有する水分が多いため、内気循環を多用した場合、車室内の湿度が上昇し、ウインドガラスの曇り発生頻度が高くなる。
そこで、ガラス表面に防曇処理が施されたウインドガラスが提案されている。この防曇ガラスは、例えば、ガラス表面に親水性又は吸水性の被膜が形成され、曇りの原因である結露が発生し難いように構成されている。
しかし、ガラス表面に付着した水分が親水性被膜の飽和水分量を超えたとき、親水性被膜が保持できる水分量が飽和するため、過剰水分が出現し、この過剰水分によってガラス表面に液滴や氷結による曇りが発生する。また、飽和水分量を超えない場合でも、親水性被膜中に含まれる水分により氷結が発生し、ガラス表面に曇りが発生する虞がある。
ガラス表面に吸水性処理を施した場合には、吸水性被膜に保持された水分の氷結により組織破壊を生じ、結果的にガラス表面に曇りが発生する虞がある。
しかし、特許文献1では、夫々のセンサによってウインドガラスの氷結状態や結露状態を検知するため、ウインドガラスの状態を検知してからガラス加熱装置や防曇用空調装置が作動を開始するまでの間、ウインドガラスには氷結や結露による曇りが発生している。つまり、ガラス加熱装置等が作動開始するまでの間は、乗員の前方視認性が低下し、安全性の悪化を招く虞がある。また、特許文献1では、ガラス加熱装置等によって、ウインドガラスの氷結や結露を除去しているため、寒冷時には、暖房用電力に加えてガラス加熱装置等を作動させるための電力が必要になり、燃費悪化を招く虞もある。
しかも、ガラス加熱装置等を用いて防曇ガラスの水分除去(除湿)を行った場合、その防曇機能上、水分除去に伴ってガラス表面の水膜が全体的に薄くなるため、ウインドガラスを伝播した外気温度によって水膜が再氷結する虞がある。
吸水性被膜が形成された防曇ガラスを併用した場合にも、同様に氷結を検知した後でなければ、ガラス加熱装置等が作動しない。
また、ウインドガラス内面の水分が氷結する可能性を少なくとも車両運転状態及び車内状態に基づいて判定する氷結リスク判定手段を備えているため、ウインドガラス内面の氷結リスクを事前に検知することができる。
図1に示すように、本実施例では、ウインドガラス1と、空調装置2と、走行用モータ(図示略)等を備えた電気自動車Vの空調制御装置を例として説明する。
尚、本発明は、電気自動車V以外にガソリンエンジン車に適用しても良く、特に、ディーゼルエンジン車やハイブリッド車のようなガソリンエンジン車に比べてエンジン冷却水温度が上昇し難い車両に対して有効である。
具体的には、ウインドガラス1の内面に親水層としての防曇性被膜1aが積層され、この防曇性被膜1aが親水性を付与する材料、例えば界面活性剤を含有している。
このウインドガラス1は、防曇性被膜1aがウインドガラス1内面に付着した水分を水膜に形成することによって防曇機能を発現している。
図1に示すように、空調装置2は、空調ダクト3と、ブロアファン4(送風手段)と、エバポレータ5と、ヒータ6と、コントロールユニット7(制御手段)等を備えている。
この空調装置2は、空調風の温度、風量及び吹出方向等を乗員が設定した設定温度(例えば25℃)、設定風量(例えば中風量)及び設定方向(例えばデフロスタモード)に応じて制御し、車室内温度を自動制御可能なオートエアコンである。空調装置2の空調風は、外気又は内気、或いは外気と内気の混合気によって形成されている。
遠心式ブロアファン4は、外気導入口3aと内気導入口3bとの下流側且つエバポレータ5の上流側に配設され、所定風量の空調風を車室内へ送風可能に構成されている。このブロアファン4は、ファンモータ4aによって回転駆動される。
このエバポレータ5は、コンプレッサ(図示略)に連結され、冷媒の蒸発潜熱を用いて空調風を冷却する冷房用熱交換器である。尚、コンプレッサは、冷媒の粘性を考慮して、外気温度が0℃以下のとき、強制停止するように設定されている。
このヒータ6は、バッテリ(図示略)に接族され、エバポレータ5を通過した空調風(冷風)を再加熱する暖房用熱交換器である。以上により、第2ダンパ12の回転動作によって、ヒータ6を通過する空調風(温風)とヒータ6をバイパスする空調風(冷風)との混合比率が調整され、車室内へ供給される空調風温度が調節されている。
図3に示すように、ROMには、車速と外気温度と氷結リスク判定値Aとの相関関係を車速に応じて予め設定された氷結リスク判定マップが格納されている。この氷結リスク判定マップは、実験或いはシミュレーション等に基づいて設定され、車速が高い程、また、外気温度が高い程、氷結リスク判定値Aが高くなる特性に設定されている。
これら外気増量制御、内気増量制御及び内外気切替制御では、ウインドガラス1内面が氷結する可能性があると判定されたとき、第3ダンパ13及び第4ダンパ14を回転動作させてデフロスタ吹出口3cからウインドガラス1内面に空調風を送風している。
通常、外気は乗員が乗車している車室内の内気よりも湿度が低いため、外気増量制御では、ウインドガラス1内面が氷結する前段階において、内気に比べて外気の比率を増加した低湿度の空調風をウインドガラス1内面に吹き出すことにより、防曇性被膜1aの表面に付着した水膜を気化し、薄膜化している。
防曇性被膜1aの表面に付着した水膜が急除湿によって薄膜化されたとき、薄膜化した水膜はウインドガラス1を伝播した外気温度によって氷結し易くなっている。
そこで、外気増量制御を実行する前段階において、外気よりも温度が高い内気の比率を増加した高温の空調風をウインドガラス1内面に吹き出すことにより、ウインドガラス1を昇温し、ウインドガラス1を伝搬する外気温度の影響を低下して薄膜化された水膜の氷結を防止している。尚、内気は高温・高湿であるため、内気増量制御後の水膜の厚さは内気増量制御前の水膜の厚さよりも若干厚くなっているが、後行程の外気増量制御によって急除湿が実行されるため、ウインドガラス1に氷結に起因した曇りは発生しない。
外気増量制御はウインドガラス1内面を急除湿可能であるものの、外気に比べて高温の内気の比率が低いため、外気増量制御を実行しないときに比べて暖房機能が低下する。
そこで、内気循環割合を増加した内気増量行程を複数回繰り返すことによって、車室内温度を上昇させることができる。また、外気導入割合を増加した外気増量行程を複数回繰り返すことによって、防曇性被膜1aの表面に付着した水膜の除湿(緩除湿)を促進できる。尚、内外気切替制御における外気導入割合を増加したときの外気比率は、外気増量制御のときの外気比率よりも低く設定されている。
本実施例では、次式(1)によって氷結リスク値Rを演算し、氷結リスク値Rが所定値、例えば40以上のとき、ウインドガラス1の氷結リスクがあると判定している。
R=A+k1×T+k2×M+k3×P …(1)
尚、Aは氷結リスク判定値、Tは車室内温度、Mはウインドガラス1内面近傍の湿度、Pは乗員数、k1〜k3は夫々補正係数である。
まず、各センサ21〜25及び操作パネル26から入力された入力信号を読込み(S1)、空調装置2が起動されているか否か判定する(S2)。S2の判定の結果、空調装置2が起動されていない場合、リターンする。
次に、S4にて、キーの操作状態に基づいて運転モードか否か判定する。
ここで、運転モードとは、空調装置2を作動させることが可能な状態、例えばキーがレディモードに操作された状態である。S4の判定の結果、運転モードではない場合、リターンする。
氷結リスク値Rは、氷結リスク判定値A、車室内温度T、湿度M、乗員数Pに基づいて式(1)により演算する。次に、ウインドガラス1内面の氷結リスクの有無を判定する(S6)。S6では、S5で演算した氷結リスク値Rが40以上の場合、氷結リスク有り、氷結リスク値Rが40未満の場合、氷結リスク無しと判定する。
S7の後、外気増量制御を所定時間実行して防曇性被膜1a表面の急除湿を行い(S8)、S9へ移行する。S9では、内外気切替制御を所定時間(例えば2分)実行して防曇性被膜1a表面の緩除湿と暖房促進を行った後、リターンする。
S10では、暖房重視制御を行った後、リターンする。
暖房重視制御では、内気循環の比率を暖房に最適な比率、例えば60%に設定し、第3ダンパ13及び第4ダンパ14を回転動作させてデフロスタ吹出口3cからウインドガラス1内面に空調風を集中して吹き付ける。これにより、暖房効果を促進しつつ、ウインドガラス1の昇温を図っている。
キーが操作された時刻t0において、電気自動車Vの走行が開始され、空調装置2に車載電源(図示略)から電力が供給される。空調装置2の作動開始直後は、ウインドガラス1を昇温するため、既知の防曇性被膜1aの飽和水分量に基いて予想された飽和時間(時刻t1)まで、内気比率を100%に増加する。車室内温度は、100%の内気循環によって急激に上昇する。
車室内温度が目標温度(25℃)に達した時刻t2において、内気比率を60%に低下させて暖房重視制御を行なう。車室内温度は25℃に維持される。
内気増量制御に連続した時刻t4〜t5の間において、外気比率を100%に増加して所定時間外気増量制御を行なう。車室内温度はウインドガラス1の急除湿に伴い低下する。
内外気切替制御を終了した時刻t6において、内気比率を60%に設定して暖房重視制御を行なう。これにより、車室内温度は25℃に維持される。
この車両用空調制御装置によれば、事前にウインドガラス1内面の水分が氷結する氷結リスクを検知することができるため、ウインドガラス1内面に氷結に起因した曇りを発生させることなく、低湿度の外気をウインドガラス1内面に送風してウインドガラス1の曇りを未然に防止することができる。また、ウインドガラス1内面を低湿度の外気導入によって除湿できるため、別途ガラス加熱装置等のような除湿機構を設ける必要がなく、除湿機構を作動させるための消費電力を抑制することができる。それ故、乗員の前方視認性を確保しつつ、車両の燃費改善を図ることができる。
1〕前記実施例においては、ウインドガラス内面に防曇性被膜として親水性被膜が形成された例を説明したが、ウインドガラス内面に親水性と吸水性との両方又は吸水性のみの機能を備えた防曇性被膜を設けることも可能である。
1a 防曇性被膜
2 空調装置
3a 外気導入口
3b 内気導入口
3c デフロスタ吹出口
4 ブロアファン
7 コントロールユニット
9 氷結リスク判定手段
11 第1ダンパ
V 電気自動車
Claims (4)
- 内面に親水性処理又は吸水性処理が施されたウインドガラスと、内気導入口と外気導入口とを開閉して内気と外気との混合比率を切り替え可能な内外気切替手段と、内気及び外気を前記ウインドガラス内面に送風する送風手段と、前記内外気切替手段と送風手段を制御する制御手段とを備えた車両用空調制御装置において、
前記ウインドガラス内面の水分が氷結する可能性を少なくとも車両運転状態及び車内状態に基づいて判定する氷結リスク判定手段を備え、
前記制御手段は、氷結する可能性があると判定されたとき、前記ウインドガラス内面に送風する外気の比率を増加する外気増量制御を行なうことを特徴とする車両用空調制御装置。 - 前記制御手段は、前記外気増量制御の直前において、前記ウインドガラス内面を昇温することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調制御装置。
- 前記制御手段は、前記外気増量制御の直前において、前記ウインドガラス内面に送風する内気の比率を増加する内気増量制御を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調制御装置。
- 前記制御手段は、前記外気増量制御の直後において、内気と外気の比率を複数回交互に増加する内外気切替制御を行なうことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用空調制御装置。
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