JP2014061637A - 2色成形型及び2色成形品の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形効率を低下させることなく、2色成形品を見栄え良く成形する。
【解決手段】基材(5)を成形するためのキャビティ型(11)及び第1コア型(13)の少なくとも一方に、型閉め状態のキャビティ(31)において、発泡樹脂層(7)を成形するときの第2コア型(15)のゲート(35)に対応する基材(5)部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)を、発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する他の基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)に比べて狭く形成するための凸部(47)を設ける。
【選択図】図6
【解決手段】基材(5)を成形するためのキャビティ型(11)及び第1コア型(13)の少なくとも一方に、型閉め状態のキャビティ(31)において、発泡樹脂層(7)を成形するときの第2コア型(15)のゲート(35)に対応する基材(5)部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)を、発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する他の基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)に比べて狭く形成するための凸部(47)を設ける。
【選択図】図6
Description
本発明は、2色成形型と該2色成形型を用いて2色成形品を成形する方法とに関し、特に、樹脂製基材の表面に発泡樹脂層が一体に積層された2色成形品を成形する場合に、発泡樹脂層の過剰発泡に起因して成形品の表面に膨れが発生することを防止する対策に関するものである。
特許文献1には、基材(樹脂部品)の表面にエラストマー部分を配置した2色成形品が開示されており、エラストマー部分を発泡タイプの樹脂層にすれば、該樹脂層が基材にフィットし、気密性等を向上させ得ることが記載されている。
このような2色成形品は、例えば、固定型と、第1可動型及び第2可動型とを備える2色成形型を用いて成形される。この2色成形型を用いた2色成形品の成形方法は、固定型と第1可動型とを型閉めしてこれら両型の間に形成される基材成形用のキャビティに第1溶融樹脂を射出充填して基材を成形し、次いで、該基材を固定型に保持したままの状態で、固定型と第2可動型とを型閉めして、固定型に保持された基材と第2可動型との間に形成される発泡樹脂層成形用のキャビティに、第2可動型に形成されたゲートから第2溶融樹脂を射出充填した後、第2可動型を型開き方向に移動させてキャビティ容積を拡大し、第2溶融樹脂を発泡させることにより、基材の表面に発泡樹脂層を一体に積層する、というものである。
上記2色成形品の製造方法では、発泡樹脂層成形用のキャビティに充填された第2溶融樹脂のうちゲートの近傍に位置する箇所の樹脂温が最も高く冷め難い。発泡樹脂層が部分的にでも高温を保ったまま成形型から取り出されると、その高温部分で発泡が過剰に進行するため、意匠面を構成する発泡樹脂層の表面に膨れが発生し、2色成形品の見栄えが悪くなる。
さりとて、成形した発泡樹脂層をゲートに対応する部分を含めて十分に冷ますように固定型と第2可動型との間で発泡樹脂層を冷却する時間を長く設定すると、成形サイクルが長くなり、2色成形品の成形効率が低下してしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形効率を低下させることなく、2色成形品を見栄え良く成形することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、基材において発泡樹脂層を成形するときのゲートの近傍に位置し且つ意匠面に対応する部分を薄く形成するようにしたものであり、具体的に以下の解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、樹脂製基材の表面に、意匠面を構成する発泡樹脂層が一体に積層された2色成形品を成形する2色成形型を対象とし、
前記基材の裏面側を成形する第1成形面を有する第1型と、
前記基材の表面側を成形する第2成形面を有し、型閉め状態で前記第2成形面と前記第1型の第1成形面との間に基材成形用のキャビティを形成する第2型と、
前記発泡樹脂層の表面側を成形する第3成形面と該第3成形面の周縁に開口するゲートとを有し、型閉め状態で前記第3成形面と前記基材の表面との間に発泡樹脂層成形用のキャビティを形成する第3型と、を備え、
前記第1型及び第2型の少なくとも一方には、型閉め状態のキャビティにおいて、前記発泡樹脂層を成形するときの前記第3型のゲートに対応する基材部分の成形箇所で且つ前記発泡樹脂層の意匠面に対応する基材部分の成形箇所の型間隔を、前記発泡樹脂層の意匠面に対応する他の基材部分の成形箇所の型間隔に比べて狭く形成するための凸部が設けられている
ことを特徴とする。
前記基材の裏面側を成形する第1成形面を有する第1型と、
前記基材の表面側を成形する第2成形面を有し、型閉め状態で前記第2成形面と前記第1型の第1成形面との間に基材成形用のキャビティを形成する第2型と、
前記発泡樹脂層の表面側を成形する第3成形面と該第3成形面の周縁に開口するゲートとを有し、型閉め状態で前記第3成形面と前記基材の表面との間に発泡樹脂層成形用のキャビティを形成する第3型と、を備え、
前記第1型及び第2型の少なくとも一方には、型閉め状態のキャビティにおいて、前記発泡樹脂層を成形するときの前記第3型のゲートに対応する基材部分の成形箇所で且つ前記発泡樹脂層の意匠面に対応する基材部分の成形箇所の型間隔を、前記発泡樹脂層の意匠面に対応する他の基材部分の成形箇所の型間隔に比べて狭く形成するための凸部が設けられている
ことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の2色成形型を用いて2色成形品を成形する方法であって、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして、前記第1成形面と前記第2成形面との間に形成された基材成形用のキャビティに第1溶融樹脂を射出充填することで、前記発泡樹脂層を成形するときの前記第3型のゲートに対応する部分で且つ前記発泡樹脂層の意匠面に対応する部分が、前記発泡樹脂層の意匠面に対応する他の部分に比べて薄い基材を成形し、
次いで、前記基材が残った状態の第1型と前記第3型とを型閉めして、前記第3成形面と前記基材の表面との間に形成された発泡樹脂層成形用のキャビティに前記ゲートから第2溶融樹脂を射出充填して発泡させることで、前記基材の表面に発泡樹脂層を積層する
ことを特徴とする。
前記第1型と前記第2型とを型閉めして、前記第1成形面と前記第2成形面との間に形成された基材成形用のキャビティに第1溶融樹脂を射出充填することで、前記発泡樹脂層を成形するときの前記第3型のゲートに対応する部分で且つ前記発泡樹脂層の意匠面に対応する部分が、前記発泡樹脂層の意匠面に対応する他の部分に比べて薄い基材を成形し、
次いで、前記基材が残った状態の第1型と前記第3型とを型閉めして、前記第3成形面と前記基材の表面との間に形成された発泡樹脂層成形用のキャビティに前記ゲートから第2溶融樹脂を射出充填して発泡させることで、前記基材の表面に発泡樹脂層を積層する
ことを特徴とする。
第1の発明によれば、第1型及び第2型の少なくとも一方には、基材成形用のキャビティにおいて、発泡樹脂層を成形するときの第3型のゲートに対応する基材部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層の意匠面に対応する基材部分の成形箇所の型間隔を、発泡樹脂層の意匠面に対応する基材部分の成形箇所の型間隔に比べて狭く形成するための凸部が形成されているので、基材成形用のキャビティに溶融樹脂を射出充填して基材を成形すると、該基材は前記凸部に対応する型間隔が狭い箇所で部分的に薄く成形される。その後、第3型を型閉めした状態で基材の表面と第3成形面との間に形成される発泡樹脂層成形用のキャビティに第3型のゲートから溶融樹脂を射出充填して発泡させることにより、基材の表面に発泡樹脂層を一体に積層することができる。このように発泡樹脂層を積層するときには、第3型のゲートに対応する箇所に基材の薄く形成された部分が配置されるので、発泡樹脂層成形用のキャビティに充填された溶融樹脂のうち最も冷め難いゲートの近傍に位置する箇所の樹脂温を、基材の薄く形成された部分を介して成形型側に速やかに逃がすことができる。換言すると、第3型のゲートの近傍に位置する箇所の樹脂に成形型の型温の影響を大きく及ぼすことができる。これにより、同箇所の樹脂温を短時間で十分に冷ますことができる。その結果、発泡樹脂層が成形型から取り出された後に過剰発泡することを回避して、意匠面を構成する発泡樹脂層の表面に膨れが発生することを防止できる。また、発泡樹脂層を成形型内で冷却する時間を長く設定しなくても済むので、成形サイクルが長くならない。したがって、製造効率を低下させることなく、2色成形品を見栄え良く成形することができる。
第2の発明によれば、基材において、発泡樹脂層を成形するときのゲートに対応する部分で且つ発泡樹脂層の意匠面に対応する部分を、発泡樹脂層の意匠面に対応する他の部分に比べて薄く形成するので、該基材の表面に発泡樹脂層を積層するときに、発泡樹脂層成形用のキャビティに充填された溶融樹脂のうち最も冷め難いゲートの近傍に位置する箇所の樹脂温を、短時間で十分に冷ますことができる。これにより、発泡樹脂層を成形型内で冷却する時間を長く設定しなくても、意匠面を構成する発泡樹脂層の表面に膨れが発生することを防止できる。したがって、製造効率を低下させることなく、2色成形品を見栄え良く成形することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態》
図1は、自動車用のインストルメントパネルにおける上側の車幅方向における右半分を構成するアッパーパネル1を表面側から示す斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面構造を示す断面図である。
図1は、自動車用のインストルメントパネルにおける上側の車幅方向における右半分を構成するアッパーパネル1を表面側から示す斜視図である。図2は、図1のII−II線における断面構造を示す断面図である。
アッパーパネル1は、自動車のフロントガラスの下方に配設される。このアッパーパネル1は、図1に示すように、車両の左右方向については、車室の左右方向における中央部の近傍から右端に亘って延び、車両の前後方向については、図2に示すように、フロントガラスの下縁の近傍から後方に向かって下方へ緩やかに湾曲しながら延びている。アッパーパネル1の後方端には、加飾パネル100が接続される。
アッパーパネル1の車幅方向における右端寄りの部分には、図1に示すように、車両の前後方向に延びる略円筒状の突起部3が一体に突設されている。この突起部3には、車両後方に開口するサイドベントエア吹出口3aと、上側側方に開口するサイドデフロスターエア吹出口3bと、が形成されている。
上記アッパーパネル1は、本実施形態に係る2色成形型9を用いて成形される2色成形品であって、図2に示すように、樹脂製の基材5と、該基材5の表面に一体に積層された発泡樹脂層7と、を備えた2層構造を有している。このアッパーパネル1の意匠面は発泡樹脂層7によって構成されている。
基材5は、発泡樹脂層7の意匠面に対応する湾曲部5aと、該基材5の前後及び右側の端縁から下方に延びる側壁部5bと、該側壁部5bから外方に延びる鍔部5cと、を備え、これらが一体に形成されてなる。
基材5を構成する樹脂材は、発泡樹脂層7を構成する樹脂材よりも剛性の高い樹脂材であり、例えば、ポリプロピレン(PP)や、これにガラス繊維などの強化材が混入された樹脂材(GEPP)などの汎用樹脂材からなるポリオレフィン系樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリカABSなどである。
発泡樹脂層7は、基材5の鍔部5cを除く表面のほぼ全体に亘って設けられていて、アッパーパネル1の意匠面を構成している。この発泡樹脂層7の表面全体には、樹脂密度が高いソリッド層からなるスキン層7aが形成され、該スキン層7aの内部には、多数の隙間を有しスキン層7aに比べて樹脂密度が低い発泡層7bが一体に形成されている。
発泡層7bは、発泡樹脂層7においてアッパーパネル1の意匠面を構成する部分、つまり基材5の湾曲部5aに対応する部分全体に形成されている。一方、基材5の側壁部5bに沿う部分には、スキン層7a(ソリッド層)のみが、発泡樹脂層7の発泡層7bを含む部分よりも薄く形成されている。
上記発泡樹脂層7を構成する樹脂材は、例えば、サーモプラスチックスチレンやサーモプラスチックオレフィンなどの熱可塑性樹脂にゴム成分などの弾性材が混入された発泡性を有する樹脂材であり、後述する成形方法の記載欄で述べるが、上記基材5を成形型9の発泡樹脂層成形用のキャビティ43内に配置した状態で、前記アッパーパネル1の後端縁に位置する基材5の側壁部5bに沿う箇所に接続するように図1に仮想線で示すランナー37を経てゲート35から成形型9のキャビティ43内に溶融状態で射出充填される。
上記ゲート35に対応するアッパーパネル1の側壁部5bには、加飾パネル100の端部が当接される。このため、アッパーパネル1と加飾パネル100等とが組み合わせられてインストルメントパネルを構成した後には、発泡樹脂層7においてゲート35に対応する基材5の側壁部5bに沿う部分は、意匠面を構成せず、外観上視認できなくなる。
本実施形態における基材5の湾曲部5aは、発泡樹脂層7を形成するときの上記ゲート35に対応する部分で且つ発泡樹脂層7の意匠面に対応する部分に、裏面側が凹陥されて当該部分が当該湾曲部5aの他の部分に比べて薄く形成された薄肉部6を有している。この基材5の薄肉部6は、湾曲部5aの他の部分における厚さの0.75倍〜0.35倍程度の厚さである。
また、後に詳述するが、上記スキン層7aは、基材5をセットした成形型9のキャビティ43内に射出充填した溶融樹脂が基材5表面及び型成形面に接触して基材5の表面温度及び型温により冷却されることで形成され、上記発泡層7bは、上記溶融樹脂の基材5表面の近傍及び型成形面の近傍にスキン層7aが生成され始めた時点で、キャビティ容積を拡大して溶融樹脂を発泡させることにより形成される。
上記の如く構成されたアッパーパネル1は、図3及び図4に示す2色成形型9を用いて成形される。図3は、2色成形型9の型開き状態を示す断面図である。図4は、2色成形型9の型閉め状態を示す断面図である。
2色成形型9は、図3に示すように、第1型であるキャビティ型(固定型)11と、第2型である第1コア型(可動型)13と、第3型である第2コア型(可動型)15と、を備えている。キャビティ型11は、第1コア型13及び第2コア型15の両方の型と左右両側で型閉め及び型開き可能に構成されている。第1コア型13は、キャビティ型11と共同して基材5を成形するための成形型である。第2コア型15は、キャビティ型11と共同して発泡樹脂層7を成形するための成形型である。
キャビティ型11は、基材5の裏面側、具体的には基材5の裏面全体を成形するための鉛直方向に延びる同形状の第1成形面17を両側面に有している。また、キャビティ型11は、鉛直方向に延びるキャビティ回転軸19により上下方向から支持されて、図示しない駆動装置による駆動で回転する。第1コア型13及び第2コア型15は、図3及び図4に示すように、キャビティ型11に対して同時に型閉め及び型開きを行うようになっている。
第1コア型13は、図3に示すように、基材5の表面側、具体的には基材5の表面全体及び端面を成形するための鉛直方向に延びる第2成形面21を有する。第2成形面21の周縁において、基材5の例えば後方に位置する側壁部5bを成形する箇所には、ゲート23が開口している。このゲート23はランナー25の一端に形成され、該ランナー25の他端はスプルー27の一端に連通し、該スプルー27の他端は、基材5を構成する樹脂材である第1溶融樹脂R1を射出する図示しない第1射出機のノズル29に連通している。この第1コア型13は、図4に示すように、キャビティ型11との型閉め状態で、第2成形面21とキャビティ型11の第1成形面17との間に基材成形用のキャビティ31を形成する。
第2コア型15は、図3に示すように、発泡樹脂層7の表面側、具体的には発泡樹脂層7の表面全体を成形するための鉛直方向に延びる第3成形面33を有している。第3成形面33の周縁において、基材5の例えば後方に位置する側壁部5bに沿う発泡樹脂層7のスキン層7a(ソリッド層)部分を成形する箇所には、ゲート35が開口している。このゲート35は、第1コア型13のゲート23と同様に、ランナー37及びスプルー39を介して、発泡樹脂層7を構成する樹脂材である第2溶融樹脂R2を射出する図示しない第2射出機のノズル41に連通している。この第2コア型15は、キャビティ型11との型閉め状態で、キャビティ型11に図4に仮想線で示す基材5が保持されている場合には、該基材5の表面と第3成形面33との間に発泡樹脂層成形用のキャビティ43を形成する。
上記キャビティ型11において、基材5の湾曲部5aの裏面を成形する部分で且つ第2コア型15との型閉め状態で該第2コア型15のゲート35に対応する部分には、キャビティ型11本体よりも熱伝導率の高い金属板45が設けられている。この金属板45は、第1成形面17のうち基材5の湾曲部5aを成形する部分の一部を構成し、第1成形面17のうち基材5の湾曲部5aの裏面を成形する他の部分よりも第1コア型13側に突出している。
そして、金属板45は、キャビティ型11と第1コア型13との型閉め状態で形成される基材成形用のキャビティ31において、発泡樹脂層7を成形するときの第2コア型15のゲート35に対応する基材5部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層7の意匠面に対応する基材5部分の成形箇所における型間隔Dを、発泡樹脂層7の意匠面に対応する他の基材5部分の成形箇所における型間隔Dに比べて狭く形成するための凸部47を構成している。これにより、発泡樹脂層成形用のキャビティ43に充填された第2溶融樹脂R2のうち最も冷め難いゲート35近傍に位置する箇所の樹脂温を短時間で十分に冷ますことができる。
つまり、キャビティ型11と第1コア型13とを型閉めして形成される基材成形用のキャビティ31に第1溶融樹脂R1を射出充填して基材5を成形すると、該基材5は上記凸部47に対応する型間隔Dが狭い箇所で部分的に薄く成形されて薄肉部6を構成する。その後、キャビティ型11と第2コア型15とを型閉めして形成された発泡樹脂層成形用のキャビティ43に第2コア型15のゲート35から第2溶融樹脂R2を射出充填して発泡させることにより、基材5の表面に発泡樹脂層7を一体に積層するときには、第2コア型15のゲート35に対応する箇所に基材5の薄肉部6が配置されるので、発泡樹脂層成形用のキャビティ43に充填された第2溶融樹脂R2のうち最も冷め難いゲート35近傍に位置する箇所の樹脂温を、基材5の薄肉部6を介してキャビティ型11側及び第2コア型15側に速やかに逃がすことができる。換言すると、第2コア型15のゲート35の近傍に位置する箇所の溶融樹脂R2にキャビティ型11及び第2コア型15の型温の影響を大きく及ぼすことができる。これにより、当該箇所の樹脂温を短時間で十分に冷ますことができる。
次に、上記2色成形型9を用いてアッパーパネル1を成形する方法について、図4に加えて、図5〜図7を参照しながら説明する。図5(a),(b)は、アッパーパネル1の成形方法の前半工程を示す成形工程図である。図6(a),(b)は、アッパーパネル1の成形方法の後半工程を示す成形工程図である。図7は、アッパーパネル1を2色成形型9から取り出した様子を示す最終工程図である。
アッパーパネル1を成形するには、まず、第1コア型13及び第2コア型15をキャビティ型11に対して接近させ、図4に示すように、これら第1コア型13及び第2コア型15とキャビティ型11とを同時に型閉めして、キャビティ型11の一方側(図4で左側)に位置する第1成形面17と第2成形面21との間に基材成形用のキャビティ31を形成すると共に、キャビティ型11の他方側(図4で右側)に位置する第1成形面17と第3成形面33との間にキャビティ43’を形成する。
次いで、第1射出機のノズル29から第1溶融樹脂R1(例えば、ポリプロピレン)を射出することにより、該第1溶融樹脂R1をスプルー27及びランナー25を経てゲート23から基材成形用のキャビティ31に射出充填して、該キャビティ31内に第1溶融樹脂R1を行き渡らせる。そして、図5(a)に示すように、キャビティ型11及び第1コア型13の型温により第1溶融樹脂R1を冷却し固化させることで、基材成形用のキャビティ31に基材5を成形する。
このとき、基材成形用のキャビティ31において、発泡樹脂層7を成形するときの第2コア型15のゲート35に対応する基材5部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層7の意匠面に対応する基材5部分の成形箇所における型間隔Dは、キャビティ型11に設けられた凸部47の存在によって発泡樹脂層7の意匠面に対応する他の基材5部分の成形箇所における型間隔Dに比べて狭く形成されているので、前記凸部47に対応する型間隔Dが狭い箇所で、該凸部47の突出分だけ基材5の裏面が凹陥されて基材5に部分的に薄い薄肉部6が形成される。
一方、第2射出機のノズル41からも第2溶融樹脂R2(例えば、サーモプラスチックオレフィンを含む複合樹脂材)を射出することにより、該第2溶融樹脂R2をスプルー39及びランナー37を経てゲート35から第1成形面17と第3成形面33との間に形成されたキャビティ43’に射出するが、基材5の初回成形時においては、キャビティ型11に基材5がセットされていないので、ショートショットとなり、当該キャビティ43’に成形された不良成形品は後に型開きされた際に廃棄する。また、基材5の初回成形時には、第2射出機のノズル41からの第2溶融樹脂R2の射出を行わないようにしてもよい。
次に、図5(b)に示すように、第1コア型13及び第2コア型15とキャビティ型11とを同時に型開きして、第1コア型13及び第2コア型15をキャビティ型11から離間させる。そして、キャビティ型11をキャビティ回転軸19の駆動により180度回転させて、キャビティ型11の第1成形面17上に基材5を残したままの状態で、該基材5を保持している一方側の第1成形面17と、基材5成形前の他方側の第1成形面17とを入れ替える。
それから、第1コア型13及び第2コア型15をキャビティ型11に対して接近させ、これら第1コア型13及び第2コア型15とキャビティ型11とを再び型閉めして、キャビティ型11の一方側(図6で左側)に位置する第1成形面17と第2成形面21との間に基材成形用のキャビティ31を形成すると共に、キャビティ型11の他方側(図6で右側)に位置する第1成形面17に保持された基材5の表面と第3成形面33との間に発泡樹脂層成形用のキャビティ43を形成する。
続いて、第1射出機のノズル29から第1溶融樹脂R1をスプルー27及びランナー25を経てゲート23から基材成形用のキャビティ31に射出充填して、該キャビティ31内に第1溶融樹脂R1を行き渡らせると共に、第2射出機のノズル41から第2溶融樹脂R2をスプルー39及びランナー37を経てゲート35から発泡樹脂層成形用のキャビティ43に射出充填して、該キャビティ43内に第2溶融樹脂R2を行き渡らせる。
上記発泡樹脂層成形用のキャビティ43に射出充填された第2溶融樹脂R2における基材5表面近傍及び第2コア型15の第3成形面33近傍の部分は、基材5の表面温度及び第2コア型の型温により冷却されて早期に固化し始め、スキン層7aが生成される。このスキン層7aの生成され始めの段階では、該スキン層7aは未だ完全に固化しきっておらず、また後に発泡層7bを構成する第2溶融樹脂R2の内側部分は基材5の表面温度及び型温の影響を受け難く、粘度の高いゲル状態になっている。
そして、上記第2溶融樹脂R2における基材5の表面近傍及び第2コア型15の成形面33近傍の部分にスキン層7aが生成され始めた時点で(第2溶融樹脂R2が固化する過程で)、図6(b)に示すように、第2コア型15の第3成形面33と基材5の表面との間隔が発泡樹脂層7の所望の厚さとなるように、第2コア型15を型開き方向(図5(b)に矢印で示す方法)に後退移動させて、キャビティ容積を例えば1.25倍〜4.5倍に拡大する。
これにより、それまで基材5の表面と第2コア型15の第3成形面33との間で圧縮されていた第2溶融樹脂R2が第2コア型15の第3成形面33に引っ張られると共に、第2溶融樹脂R2中の化学反応により発生したガスや不活性ガス等により発泡膨張する。その結果、表面全体にスキン層7aが形成されると共に、該スキン層7aの内部に発泡層7bが一体に形成された発泡樹脂層7が基材5の表面に一体に積層される。
このように基材5の表面に発泡樹脂層7を積層するときには、第2コア型15のゲート35に対応する箇所に基材5の薄肉部6が配置されているので、発泡樹脂層成形用のキャビティ43に充填された第2溶融樹脂R2のうち最も冷め難いゲート35の近傍に位置する箇所の樹脂温を、基材5の薄肉部6を介してキャビティ型11側及び第2コア型15側に速やかに逃がすことができ、短時間で十分に冷ますことができる。
しかる後、図7に示すように、第1コア型13及び第2コア型15とキャビティ型11とを同時に型開きして、第1コア型13及び第2コア型15をキャビティ型11から離間させた後に、アッパーパネル1をキャビティ型11から脱型して取り出し、第2コア型15のゲート35に残留して固化し発泡樹脂層7に付着しているゲート残留固化物を切除して、アッパーパネル1が得られる。
上述した工程を繰り返すことで、キャビティ型11の両側面で第1コア型13及び第2コア型15と共同してアッパーパネル1の成形を連続して行える。
−実施形態の効果−
図8(a)は、本実施形態に係るアッパーパネル1の成形過程における発泡樹脂層7成形時の要部の様子を示す断面図である。図8(b)は、本実施形態に係るアッパーパネル1の成形型9から取り出した後の要部の様子を示す断面図である。図9(a)は、参考例の形態に係るアッパーパネル1の成形過程における発泡樹脂層7成形時の要部の様子を示す断面図である。図9(b)は、参考例の形態に係るアッパーパネル1の成形型9から取り出した後の要部の様子を示す断面図である。
図8(a)は、本実施形態に係るアッパーパネル1の成形過程における発泡樹脂層7成形時の要部の様子を示す断面図である。図8(b)は、本実施形態に係るアッパーパネル1の成形型9から取り出した後の要部の様子を示す断面図である。図9(a)は、参考例の形態に係るアッパーパネル1の成形過程における発泡樹脂層7成形時の要部の様子を示す断面図である。図9(b)は、参考例の形態に係るアッパーパネル1の成形型9から取り出した後の要部の様子を示す断面図である。
例えば、基材5に薄肉部6が形成されておらず、基材5が全体に亘って略均一な厚さである場合には、図9(a)に示すように、基材5の表面に発泡樹脂層7を一体に積層したときに、発泡樹脂層成形用のキャビティ43に充填された第2溶融樹脂R2のうちゲート35の近傍に位置する箇所の樹脂温が冷め難いため、発泡樹脂層7が部分的に高温を保ったまま成形型9から取り出され兼ねない。発泡樹脂層7が部分的にでも高温を保ったまま成形型9から取り出されると、図9(b)に示すように、その高温部分で発泡が過剰に進行して、該発泡樹脂層7の内部が部分的に空洞化する。そうなると、意匠面を構成する発泡樹脂層7の表面に膨れが発生するため、アッパーパネル1の見栄えが悪くなる。
これに対して、本実施形態によると、発泡樹脂成形用のキャビティ43に充填された第2溶融樹脂R2のうち、図8(a)に示すゲート35の近傍に位置する最も冷め難い箇所の樹脂温を十分に冷ますことができる。これにより、発泡樹脂層が2色成形型9から取り出された後に過剰発泡することを回避して、図8(b)に示すように、意匠面を構成する発泡樹脂層7の表面に膨れが発生することを防止できる。また、発泡樹脂層7を成形型9内で冷却する時間を長く設定しなくても済むので、成形サイクルが長くならない。したがって、成形効率を低下させることなく、アッパーパネル1を見栄え良く成形することができる。
なお、上記実施形態では、キャビティ型11に設けられた凸部47の存在により、基材成形用のキャビティ31における型間隔Dが部分的に狭く形成されている構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、キャビティ型11に、基材成形用のキャビティ31における型間隔Dを狭く形成するための上記凸部47が設けられていてもよい。また、当該凸部47は、キャビティ型11及び第1コア型13の両方の型に設けられていてもよい。
すなわち、キャビティ型11及び第1コア型13の少なくとも一方に、型閉め状態のキャビティ31において、発泡樹脂層7を成形するときの第2コア型15のゲート35に対応する基材5部分の成形箇所で且つ発泡樹脂層7の意匠面に対応する基材5部分の成形箇所における型間隔Dを、発泡樹脂層7の意匠面に対応する他の基材5部分の成形箇所における型間隔Dに比べて狭く形成するための凸部47が設けられていればよい。このような構成によれば、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
以上、上記実施形態では、自動車用のインストルメントパネルを構成するアッパーパネル1に本発明を適用した場合を例示したが、本発明は、ドアトリム、リアコンソールリッドなどの2色成形品を成形する2色成形型及びこれを用いて2色成形品を成形する方法にも適用可能である。また、上記実施形態が例示であり、それらの各構成要素や処理プロセスの組合せに、さらにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
以上説明したように、本発明は、2色成形型と該2色成形型を用いて2色成形品を成形する方法について有用であり、特に、成形効率を低下させることなく、2色成形品を見栄え良く成形することが要望される2色成形型及び2色成形品の成形方法に適している。
D 型間隔
R1 第1溶融樹脂
R2 第2溶融樹脂
1 アッパーパネル(2色成形品)
5 基材
7 発泡樹脂層
11 キャビティ型(第1型)
13 第1コア型(第2型)
15 第2コア型(第3型)
31 基材成形用のキャビティ
35 第2コア型のゲート
43 発泡樹脂層成形用のキャビティ
47 凸部
R1 第1溶融樹脂
R2 第2溶融樹脂
1 アッパーパネル(2色成形品)
5 基材
7 発泡樹脂層
11 キャビティ型(第1型)
13 第1コア型(第2型)
15 第2コア型(第3型)
31 基材成形用のキャビティ
35 第2コア型のゲート
43 発泡樹脂層成形用のキャビティ
47 凸部
Claims (2)
- 樹脂製基材(5)の表面に、意匠面を構成する発泡樹脂層(7)が一体に積層された2色成形品(1)を成形する2色成形型(9)であって、
前記基材(5)の裏面側を成形する第1成形面(17)を有する第1型(11)と、
前記基材(5)の表面側を成形する第2成形面(21)を有し、型閉め状態で前記第2成形面(21)と前記第1型(11)の第1成形面(17)との間に基材成形用のキャビティ(31)を形成する第2型(13)と、
前記発泡樹脂層(7)の表面側を成形する第3成形面(33)と該第3成形面(33)の周縁に開口するゲート(35)とを有し、型閉め状態で前記第3成形面(33)と前記基材(5)の表面との間に発泡樹脂層成形用のキャビティ(43)を形成する第3型(15)と、を備え、
前記第1型(11)及び第2型(13)の少なくとも一方には、型閉め状態のキャビティ(31)において、前記発泡樹脂層(7)を成形するときの前記第3型(15)のゲート(35)に対応する基材(5)部分の成形箇所で且つ前記発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)を、前記発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する他の基材(5)部分の成形箇所における型間隔(D)に比べて狭く形成するための凸部(47)が形成されている
ことを特徴とする2色成形型(9)。 - 請求項1に記載の2色成形型(9)を用いて2色成形品(1)を成形する方法であって、
前記第1型(11)と前記第2型(13)とを型閉めして、前記第1成形面(17)と前記第2成形面(21)との間に形成された基材成形用のキャビティ(31)に第1溶融樹脂(R1)を射出充填することで、前記発泡樹脂層(7)を成形するときの前記第3型(15)のゲート(35)に対応する部分で且つ前記発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する部分が、前記発泡樹脂層(7)の意匠面に対応する他の部分に比べて薄い基材(5)を成形し、
次いで、前記基材(5)が残った状態の第1型(11)と前記第3型(15)とを型閉めして、前記第3成形面(33)と前記基材(5)の表面との間に形成された発泡樹脂層成形用のキャビティ(43)に前記ゲート(35)から第2溶融樹脂(R2)を射出充填して発泡させることで、前記基材(5)の表面に発泡樹脂層(7)を積層する
ことを特徴とする2色成形品(1)の成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012207505A JP2014061637A (ja) | 2012-09-20 | 2012-09-20 | 2色成形型及び2色成形品の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012207505A JP2014061637A (ja) | 2012-09-20 | 2012-09-20 | 2色成形型及び2色成形品の成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014061637A true JP2014061637A (ja) | 2014-04-10 |
Family
ID=50617360
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012207505A Pending JP2014061637A (ja) | 2012-09-20 | 2012-09-20 | 2色成形型及び2色成形品の成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014061637A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020076000A (ja) * | 2018-11-07 | 2020-05-21 | 日立化成株式会社 | 発泡成形体及び発泡成形体の製造方法 |
-
2012
- 2012-09-20 JP JP2012207505A patent/JP2014061637A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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