JP2014061610A - 発泡体の製造方法 - Google Patents

発泡体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014061610A
JP2014061610A JP2012206637A JP2012206637A JP2014061610A JP 2014061610 A JP2014061610 A JP 2014061610A JP 2012206637 A JP2012206637 A JP 2012206637A JP 2012206637 A JP2012206637 A JP 2012206637A JP 2014061610 A JP2014061610 A JP 2014061610A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
propylene
resin composition
copolymer
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012206637A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Asari
壮史 浅利
Hironari Yamamoto
裕也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2012206637A priority Critical patent/JP2014061610A/ja
Publication of JP2014061610A publication Critical patent/JP2014061610A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】シルバーストリーク及びディンプルの発生が抑制され、表面外観に優れ、耐衝撃性が高い発泡体された発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体(A)40〜81質量%とエチレンとα−オレフィンとの共重合体(B)10〜30質量%と無機充填材(C)10〜30質量%(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100質量%とする)と、発泡剤(D)とを含有する樹脂組成物(X)を、または、
前記プロピレン系重合体(A)と前記エチレンとα−オレフィンとの共重合体(B)と前記無機充填材(C)に有機過酸化物を添加して溶融混練して得られた溶融混練物と発泡剤とを含有する樹脂組成物(Y)を、
ガスが充填され加圧されたキャビティ内に射出し、
前記樹脂組成物(X)または樹脂組成物(Y)を射出した後、1〜10秒後にキャビティ容積を拡大して、
前記樹脂組成物(X)または樹脂組成物(Y)を発泡させる
発泡体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡体の製造方法に関するものであり、詳細には、シルバーストリーク及びディンプルの発生が抑制され、表面外観に優れ、耐衝撃性が高い発泡体の製造方法に関するものである。
プロピレン系重合体を含有する樹脂組成物からなる発泡体、および、その発泡体の製造方法は、従来から知られている。
例えば、特許文献1には、特定量比のポリプロピレン系樹脂、及びメルトフローレートが1〜10g/10分である高分子量成分とメルトフローレートが20〜50g/10分である低分子量成分とを所定の割合で含有するエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を、射出発泡させる発泡体の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、プロピレン成分と、エチレン・1−オクテンランダム共重合体と、エチレン・1−ブテンランダム共重合体とを含有する樹脂組成物を、カウンタープレッシャー法によって発泡させる発泡体の製造方法が開示されている。
WO2009/041361公報 特許第3990236号公報
しかしながら、
特許文献1に記載の樹脂組成物を用いて、耐衝撃性が高い発泡体を製造すると、得られる発泡体表面にシルバーストリークと呼ばれる外観不良が発生するという問題がある。また、特許文献2に記載の樹脂組成物を用いて、耐衝撃性が高い発泡体を製造すると、シルバーストリークの発生は抑制されるものの、発泡体表面にディンプルと呼ばれる凹みが発生してしまうという問題がある。
以上の課題に鑑み、本発明はシルバーストリーク及びディンプルの発生が抑制され、表面外観に優れ、耐衝撃性が高い発泡体された発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
ガスが充填され加圧されたキャビティ内に、下記プロピレン系樹脂組成物(X)または下記プロピレン系樹脂組成物(Y)を射出し、
前記樹脂組成物(X)または前記樹脂組成物(Y)を射出した後、1〜10秒後にキャビティ容積を拡大して、
前記樹脂組成物(X)または前記樹脂組成物(Y)を発泡させる
発泡体の製造方法。
プロピレン系樹脂組成物(X)は、
下記プロピレン系重合体(A)と、
190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1g/10分未満であるエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)と、
発泡剤(D)とを含有し、
前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部である。
プロピレン系樹脂組成物(Y)は、
下記溶融混練物(Z)と発泡剤(D)とを含有し、
該溶融混練物(Z)100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部であり、
該溶融混練物(Z)は、
下記プロピレン系重合体(A)と、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)とに、
有機過酸化物(E)を添加して、
前記(A)と(B)と(C)と(E)を溶融混練して得られ、
前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
前記(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、有機過酸化物(E)の含有量が0.001〜0.5質量部である。
プロピレン系重合体(A)は、
エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とを有する共重合体部分(A−2)5〜25質量%、並びに、プロピレン単独重合体部分(A−1)75〜95質量%とを含有し(但し、(A)に含まれる(A−I)と(A−II)のそれぞれの含有量の合計を100質量%とする)、
共重合体部分(A−II)に含まれるエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量が25〜60質量%である(但し、(A−II)全体の質量を100質量%とする)。
本発明によれば、シルバーストリーク及びディンプルの発生が抑制され、表面外観に優れ、耐衝撃性が高い発泡体を得ることができる。
本発明で好ましく用いられる金型の開状態を示す図である。 本発明で好ましく用いられる金型の閉状態を示す図である。 実施例または比較例で得られた発泡体を示す図である。
本発明の発泡体の製造方法は、
ガスが充填され加圧されたキャビティ内に、下記プロピレン系樹脂組成物(X)または下記プロピレン系樹脂組成物(Y)を射出し、
前記樹脂組成物(X)または樹脂組成物(Y)を射出した後、1〜10秒後にキャビティ容積を拡大して、
前記樹脂組成物(X)または樹脂組成物(Y)を発泡させる
発泡体の製造方法である。
本発明の発泡体の製造方法で好ましく使用される金型と、その好ましい金型を使用する場合の発泡体の製造方法を、以下のとおり説明する。
<金型>
本発明で好ましく使用される金型の開状態の断面を図1に示し、本発明で好ましく使用される金型の閉状態の断面を図2に示す。
金型1は、雄金型10及び雌金型20からなり、両金型を閉じた状態では、雄金型10と雌金型20の間にキャビティVが形成される。
雄金型10は、金型駆動部43と連結され、所望のキャビティクリアランスを形成できるように動くことができる。雄金型10の雄金型外周面11Aには、深さ1mm程度のガスランナ12がキャビティ形成面11Bを取り囲むように設けられている。さらに、雄金型10の雄金型外周面11Aには、例えば、深さ20μm、幅5mmのガス抜き用の溝13が、周方向に50mm間隔で、それぞれ金型を閉じた状態のキャビティVとガスランナ12とを連結するように設けられている。また雌金型内周面21Aのさらに外側の対向面21Cには、Oリング50が設けられ、このOリング50が、雄金型外周面11Aのさらに外側の対向面11Cと接触することによりキャビティVがシールされ、キャビティVへのガスの流入及びキャビティVからのガスの流出が防止され、加圧装置30で設定した圧力を保持できる。
雌金型20には、キャビティ形成面21Bと金型の外部とを連通する樹脂供給路22が設けられており、この樹脂供給路22には射出機41が接続されている。なお、樹脂供給路22は、雌金型20及び雄金型10のいずれに設けられていても良く、両方に複数個の樹脂供給路22が設けられていても良い。その設置場所や数は、成形体の形状や大きさによって適宜決定される。この樹脂供給路22の外側出口及びその近傍には任意に制御可能な開閉弁42を設け、射出機41のシリンダ内に貯えられた溶融状態の樹脂組成物の供給と停止を任意に制御できるようにしておくことが好ましい。
<射出工程>
本発明の発泡体の製造方法の射出工程は、ガスが充填され加圧されたキャビティ内に、樹脂組成物を射出する工程である。
まず、雌金型20と雄金型10とを嵌合させて図2のようにキャビティVを形成し、加圧装置30を稼動させてキャビティV内にガスを充填し、キャビティV内の圧力を、大気圧を越える圧力まで昇圧する。溶融状態の樹脂組成物を供給する前に、キャビティV内の圧力を大気圧以上にしておかないと、樹脂供給路22の樹脂注入ゲート24近傍におけるシルバーストリークを抑制できず、良好な外観を有する発泡体を得ることができない。昇圧されキャビティ内に充填されたガスの圧力は、安全性を鑑みて0.2〜2MPaであることが好ましい。
キャビティ内に充填するガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等が挙げられる。
続いて、発泡剤を含有させた溶融状態の樹脂組成物を、射出機41から昇圧されたキャビティV内へ樹脂供給路22を介して供給する。このとき、キャビティV内部に保持されているガスは、射出工程中および/または射出工程後にキャビティまたは金型の外部に排出する方法で除かれる。具体的にはガスランナを通じてキャビティまたは金型の外部に排出する方法、他のガス排出通路を設けてその通路から排出する方法で除かれることが好ましい。なお、ガスの排出は、大気に開放させることでキャビティ内のガスを排出する方法、真空ポンプ等の減圧装置を用いてキャビティ内のガスを強制的に排出する方法等で行われる。
射出工程における温度条件は、射出成形機で樹脂組成物を溶融させるシリンダ設定温度が150〜300℃、好ましくは180〜270℃であり、より好ましくは200〜260℃であり、溶融状態の樹脂組成物を冷却し固化させて発泡体を形成させるキャビティ面温度または金型設定温度が0〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜60℃である。
シリンダ設定温度を150℃以上とすることによって、溶融状態の樹脂組成物をキャビティV内に充填しやすくすることができ、得られる発泡体の外観を良好なものとすることが可能となる。また、シリンダ温度を300℃以下とすることによって、溶融状態の樹脂組成物が熱によって劣化してしまうことを防止することができる。
キャビティ面温度または金型設定温度を0℃以上とすることによって溶融状態の樹脂組成物をキャビティV内に充填しやすくすることができ、得られる発泡体の外観を良好なものとすることができる。また、キャビティ面温度を100℃以下とすることによって、得られた発泡体を効率よく冷却することができる。
また、溶融樹脂をキャビティ内に充填する際の射出成形機の背圧は、2MPa〜30MPa、好ましくは5〜20MPaである。背圧をこのような範囲とすることにより、シリンダ内での溶融樹脂の発泡を防止することができる。
樹脂組成物のキャビティ内への射出は、単軸射出方法、多軸射出方法、高圧射出方法、低圧射出方法、プランジャーを用いる射出方法等により行われることが好ましい。
キャビティへの樹脂組成物の注入量は、注入終了直後の時点でキャビティの全容積を樹脂組成物で充満できる量であることが好ましい。
<発泡工程>
本発明の発泡体の製造方法の発泡工程は、樹脂組成物をキャビティ内に射出した後、1〜10秒後にキャビティ容積を拡大して、前記樹脂組成物を発泡させる工程である。本発明では射出が完了してからキャビティ容積を拡大させ始めるまでの経過時間を遅延時間という。
遅延時間が1秒未満であると、ディンプルと呼ばれる凹みが発泡体表面に生じ、外観が悪化してしまうことがある。また、遅延時間が10秒を越えるとキャビティ内に充填された樹脂組成物が固化してしまい、目標とする発泡倍率が得られない場合がある。遅延時間は1〜10秒であることが好ましく、1〜5秒であることがより好ましく、1〜3秒であることがさらに好ましい。
キャビティ容積を拡大させる方法としては、可動側金型(金型駆動部と連結しており可動である金型であり、図1では雄金型10)を後退させてキャビティ容積を拡大させる方法(コアバック)が挙げられる。
樹脂組成物を発泡させて得られる発泡体の発泡倍率は、1.1倍以上5.0倍未満であることが好ましく、1.1倍以上3.0倍以下であることがより好ましく、1.1倍以上2.0倍以下であることがさらに好ましい。1.1倍以上とすることによって、発泡させていない成形体より軽量な成形体にすることができる。また、5.0倍未満とすることによって、発泡体内部の気泡が繋がってしまい、発泡体の外観や機械物性に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
本発明の発泡体の製造方法に用いられる樹脂組成物は、下記プロピレン系樹脂組成物(X)または下記プロピレン系樹脂組成物(Y)である。
プロピレン系樹脂組成物(X)は、
下記プロピレン系重合体(A)と、
190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1g/10分未満であるエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)と、
発泡剤(D)とを含有し、
前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部である。
プロピレン系樹脂組成物(Y)は、
下記溶融混練物(Z)と発泡剤(D)とを含有し、
該溶融混練物(Z)100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部であり、
該溶融混練物(Z)は、
下記プロピレン系重合体(A)と、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)とに、
有機過酸化物(E)を添加して、
前記(A)と(B)と(C)と(E)を溶融混練して得られ、
前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
前記(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、有機過酸化物(E)の含有量が0.001〜0.5質量部である。
<プロピレン系重合体(A)>
プロピレン系樹脂組成物(X)または溶融混練物(Z)に用いられるプロピレン系重合体(A)について、以下のとおり説明する。
プロピレン系重合体(A)は、
エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とを有する共重合体部分(A−II)5〜25質量%、並びに、プロピレン単独重合体部分(A−I)75〜95質量%とを含有し(但し、(A)に含まれる(A−I)と(A−II)のそれぞれの含有量の合計を100質量%とする)、
共重合体部分(A−II)に含まれるエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量が25〜60質量%である(但し、(A−II)全体の質量を100質量%とする)。
プロピレン系重合体(A)は、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とを有する共重合体部分(A−II)、並びに、プロピレン単独重合体部分(A−I)とを含有する。
プロピレン系重合体(A)に含まれる共重合体部分(A−II)の含有量は5〜25質量%であり、単独重合体部分(A−I)の含有量は75〜95質量%である(但し、プロピレン系重合体(A)に含まれる単独重合体部分(A−I)と共重合体部分(A−II)のそれぞれの含有量の合計を100質量%とする)。
共重合体部分(A−II)の含有量は5〜25質量%とすることによって、発泡成形体にシルバーストリーク及びディンプルが発生することを抑制することができ、好ましくは7〜25質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。
共重合体部分(A−II)に含まれるエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位となる炭素数4〜10のα−オレフィンとして、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテンである。
共重合体部分(A−II)としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体部分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体部分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体部分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体部分、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体部分、プロピレン−1−ブテン共重合体部分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体部分、プロピレン−1−オクテン共重合体部分、プロピレン−1−デセン共重合体部分等が挙げられ、好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体部分、プロピレン−1−ブテン共重合体部分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体部分、より好ましくは、プロピレン−エチレン共重合体部分である。
共重合体部分(A−II)に含まれるエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量は、25〜60質量%であり、好ましくは30〜60質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である(但し、共重合体部分(A−II)全体の質量を100質量%とする)。
プロピレン系重合体(A)としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−オクテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−オクテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−デセン)共重合体等が挙げられ、中でも好ましくは(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体である。
プロピレン単独重合体部分(A−I)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]A-I)は、樹脂組成物の成形加工性を高める観点から、0.1〜5dl/gであり、好ましくは0.3〜4dl/gであり、より好ましくは0.5〜3dl/gである。
共重合体部分(A−II)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η]A=II)は、樹脂組成物の成形加工性を高め、発泡体の表面外観を良好にする観点から、1〜20dl/gであり、好ましくは1〜10dl/gであり、より好ましくは2〜7dl/gである。
また、プロピレン単独重合体部分(A−I)の極限粘度([η]A-I)に対する共重合体部分(A−II)の極限粘度([η]A-II)の比([η]A-II/[η]A-I)は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜9である。
本発明において、135℃テトラリン中で測定される極限粘度(単位:dl/g)は、以下の方法によって測定される値である。
温度135℃とした恒温槽中で、ウベローデ型粘度計を用いて、テトラリンを溶媒とし、濃度0.1dl/g、0.2dl/g及び0.5dl/gの3点について還元粘度を測定する。そして、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって、極限粘度を求める。
プロピレン系重合体(A)として、プロピレン単独重合体部分(A−I)と共重合体部分(A−II)とを、少なくとも2の重合槽を用いて前段工程と後段工程からなる多段重合方法によって得られるものを用いる場合、前段工程の重合槽から重合体の一部を抜き出し前段工程で得られる重合体部分の極限粘度を求め、また、後段工程の重合槽から最終重合体の一部を抜き出し最終重合体の極限粘度を求め、
そして、重合時の物質収支から前段工程で得られる重合体部分と後段工程で得られる重合体部分のそれぞれの含有量を求め、
これらの極限粘度の値と、それぞれの重合体の含有量から、後段工程で得られる重合体部分の極限粘度を算出する。
プロピレン系共重合体(A)が、単独重合体部分(A−I)を前段の重合工程で得て、共重合体部分(A−II)を後段の重合工程で得る方法によって製造される共重合体である場合、プロピレン単独重合体部分(A−I)及び共重合体部分(A−II)の含有量、極限粘度([η]Total、[η]A-I、[η]A-II)の測定及び算出の手順は、以下のとおりである。なお、極限粘度([η]Total)は、プロピレン系重合体(A)の全体の極限粘度を示す。
前段の重合工程で得た単独重合体部分(A−I)の極限粘度([η]A-I)、後段の重合工程後の最終重合体(成分(A−I)と成分(A−II)の混合物)の前記の方法で測定した極限粘度([η]Total)、最終重合体に含有される共重合体部分(A−II)の含有量から、共重合体部分(A−II)の極限粘度[η]A-IIを、下記式から計算する。
[η]A-II=([η]Total−[η]A-I×XI)/XII
[η]Total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度(dl/g)
[η]A-I:前段重合工程で得た重合体部分の極限粘度(dl/g)
I:プロピレン系重合体(A)全体に対する単独重合体部分(A−I)の質量比
II:プロピレン系重合体(A)全体に対する共重合体部分(A−II)の質量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求める。
プロピレン系重合体(A)全体に対する単独重合体部分(A−II)の質量比(XII)は、単独重合体部分とプロピレン系重合体(A)全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めることもできる。結晶融解熱量は、示差走査型熱分析(DSC)により測定できる。
II=1−(ΔHf)Total/(ΔHf)
(ΔHf)Total:ブロピレン重合体(A)全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf):単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
プロピレン系重合体(A)中の共重合体部分(A−II)のコモノマーに由来する単位の含有量((Cα’)II)は、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン系重合体(A)全体のコモノマーに由来する単位の含有量((Cα’)Total)を測定し、次式を用いて計算により求められる。
(Cα’)II=(Cα’)Total/XII
(Cα’)Total:プロピレン系重合体(A)全体のコモノマーに由来する単位の含有量(質量%)(Cα’)II:共重合体部分(A−II)のコモノマーに由来する単位の含有量(質量%)
プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、単独重合体部分(A−I)を第1工程(前段と称する)で製造し、共重合体部分(A−II)を第2工程(後段と称する)で製造する第1工程の重合反応槽と第2工程の重合反応槽を連結させた多段重合方法を用いることが好ましい。重合は重合触媒を用いて行われる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
上記の触媒系としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報に記載の触媒系が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)の単独重合体部分(A−I)の13C−NMRで測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は、高い剛性を有する発泡体を得るという観点から、0.97以上であることが好ましく、0.98以上であることがより好ましい。
プロピレン共重合体(A)の230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の成形加工性を高める観点から、0.05〜500g/10分であることが好ましく、1〜120g/10分であることがより好ましく、1〜80g/10分であることが更に好ましく、5〜50g/10分であることが更にいっそう好ましい。
<エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)>
プロピレン系樹脂組成物(X)または溶融混練物(Z)に用いられるエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)について、以下のとおり説明する。
共重合体(B)は、エチレンに由来する構成単位の含有量が、50質量%以上のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体である(但し、エチレンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位の含有量の合計を100質量%とする)。
共重合体(B)は、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよく、好ましくはランダム共重合体である。
共重合体(B)に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、環状構造を有するα−オレフィン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
共重合体(B)として、具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−(3−メチル−1−ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
共重合体(B)に含まれる炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、1〜49質量%であることが好ましく、5〜49質量%であることがより好ましく、10〜49質量%であることが更に好ましい。
共重合体(B)の190℃、2.16kgf荷重下で、JIS−K−7210に準拠して測定されたメルトフローレートは、1g/10分未満であり、好ましくは0.7g/10分以下であり、より好ましくは0.5g/10分以下である。共重合体(B)のメルトフローレートを1g/10分未満にすることによって、発泡体の表面外観を良好にし、発泡体の耐衝撃強度を高くすることができる。
また、共重合体(B)の密度は、発泡体の表面外観を良好にするという観点から0.85〜0.89g/cm3であることが好ましく、0.85〜0.88g/cm3であることがより好ましく、0.855〜0.875g/cm3であることが更に好ましい。
共重合体(B)は、重合触媒を用いて製造することができる。重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。
均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物及び有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒系としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いる触媒系が挙げられる。
なお、共重合体(B)は、市販品を用いてもよい。例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
<無機充填材(C)>
プロピレン系樹脂組成物(X)または溶融混練物(Z)に用いられる無機充填材(C)について、以下のとおり説明する。
無機充填材(C)としては、非繊維状無機充填材又は繊維状無機充填材が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非繊維状無機充填材としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。このうちタルクを用いることが好ましい。
非繊維状無機充填材は、無処理のまま使用してもよいが、プロピレン系重合体(A)との界面接着性を向上させ、かつ、プロピレン系重合体(A)に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、又はチタンカップリング剤、若しくは界面活性剤で表面を処理して使用してもよい。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
非繊維状無機充填材の平均粒子径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。ここで本発明における「平均粒子径」とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
非繊維状無機充填材は、粉状、フレーク状、顆粒状などが挙げられ、いずれの形態のものを用いてもよい。
繊維状無機充填材としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましく、繊維状マグネシウムオキシサルフェートを用いることがより好ましい。
繊維状無機充填材は、無処理のまま使用してもよいが、プロピレン系重合体(A)との界面接着性を向上させ、かつ、プロピレン系重合体(A)に対する分散性を向上させるために、シランカップリング剤、又は高級脂肪酸金属塩で表面を処理して使用しても良い。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
電子顕微鏡観察によって測定した繊維状無機充填材の平均繊維長は、3μm以上であり、好ましくは3〜20μmであり、更に好ましくは8〜15μmである。また、アスペクト比は、10以上であり、好ましくは10〜30であり、更に好ましくは12〜25である。そして、電子顕微鏡観察によって測定した平均繊維径は、好ましくは、0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.3〜1.0μmである。
<発泡剤(D)>
プロピレン系樹脂組成物(X)またはプロピレン系樹脂組成物(Y)に用いられる発泡剤(D)について、以下のとおり説明する。
発泡剤(D)は、溶剤型発泡剤であっても、分解型発泡剤であっても、物理発泡剤であっても、これらを組み合わせたものであってもよい。
溶剤型発泡剤とは、樹脂組成物に含まれ、その樹脂組成物が金型キャビティへ射出され、金型キャビティ中で蒸発して発泡剤として機能する物質をいう。溶剤型発泡剤としては、プロパン、ブタン、ネオペンタン、ヘプタン、イソヘキサン、ヘキサン、イソヘプタン、ヘプタン等の低沸点脂肪族炭化水素や、フロンガスで代表される低沸点のフッ素含有炭化水素等が挙げられる。
分解型発泡剤とは、樹脂組成物に含まれ、その樹脂組成物が射出成形機へと供給され、射出成形機のシリンダ温度条件下で発泡剤が分解して炭酸ガス、窒素ガス等の気体を発生する化合物をいう。分解型発泡剤は、無機系の発泡剤であっても有機系の発泡剤であってもよく、また気体の発生を促すクエン酸のような有機酸やクエン酸ナトリウムのような有機酸金属塩等を発泡助剤と併用してもよい。
分解型発泡剤の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
(1)無機系発泡剤:重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム
(2)有機系発泡剤:(a)N−ニトロソ化合物:N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン;
(b)アゾ化合物:アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート;
(c)スルフォニルヒドラジド化合物:ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド;
(d)アジド化合物:カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアジド、p−トルエンスルフォニルアジド
物理発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが挙げられる。中でも、二酸化炭素、窒素、を用いることが好ましい。物理発泡剤は、超臨界状態で用いてもよい。
発泡剤(D)としては、分解型発泡剤が好ましく、分解型発泡剤として重炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩又は炭酸水素塩がより好ましい。その際、有機カルボン酸を発泡助剤として併用することが望ましい。分解型発泡剤と発泡助剤の配合比は、分解型発泡剤が30〜65質量%であり、発泡助剤が35〜70質量%であることが好ましい(但し、分解型発泡剤と発泡助剤の含有量の合計を100質量%とする)。
発泡剤(D)の配合方法は、溶剤型発泡剤または分解型発泡剤の場合には、上記プロピレン系重合体(A)、共重合体(B)及び無機充填材(C)に予め配合して上記成分と共に射出成形機のシリンダの最上流側に、または、原料ホッパーに投入してもよく、シリンダの途中から投入してもよい。また、発泡剤(D)とプロピレン系重合体(A)で予めマスターバッチを作成し、このマスターバッチと残りの成分を混合してもよい。発泡剤(D)が物理発泡剤の場合には、物理発泡剤は溶融状態の樹脂組成物に投入し混合してもよい。
<有機過酸化物(E)>
溶融混練物(Z)に用いられる有機過酸化物(E)について、以下のとおり説明する。
有機過酸化物(E)は、分解してラジカルを発生した後、プロピレン系重合体(A)または共重合体(B)から水素を引き抜く作用を有する有機過酸化物である。有機過酸化物(E)としては、公知の有機過酸化物を適用することができる。有機過酸化物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物(E)としては、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、その他、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン等である。
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等である。
ハイドロパーオキサイド類としては、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等)である。
ジアルキルパーオキサイド類としては、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等である。
ジアシルパーオキサイド類としては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、オルソメチルベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等である。
パーオキシジカーボネート類としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等)である。
パーオキシエステル類としては、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,6−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等である。
有機過酸化物(E)は、常温で固体であるものを用いることが好ましく、粉状又は粒状のものを用いることがより好ましい。その粒子径は、取扱いの便利さや、均一な有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を製造するという観点から、粒子径100〜2000μm以下(もしくは9メッシュ篩通過)であり、好ましくは100〜1000μm以下(もしくは16メッシュ篩通過)であり、より好ましくは100〜500μm以下(もしくは32メッシュ篩通過)である。ここで粒子径とは、粒子径加積曲線の質量百分率50%にあたる粒子径(D50)のことである。
有機過酸化物(E)として、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンを用いることが好ましい。常温での取扱い及び安全性の観点から、より好ましくはtert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンであり、さらに好ましくは2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンである。
<その他>
本発明の発泡体の製造方法に用いられる樹脂組成物は、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、分散剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明の発泡体の製造方法に用いられる樹脂組成物は、上記プロピレン系重合体(A)、及び共重合体(B)以外の樹脂を含有していてもよい。
例えば、スチレン樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(X)または溶融混練物(Z)に含まれる
プロピレン系重合体(A)と、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)のそれぞれの含有量は、
前記重合体(A)の含有量が40〜81重量%であり、
前記共重合体(B)の含有量が10〜30重量%であり、
前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%である(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)。
好ましくは、プロピレン系重合体(A)の含有量が60〜81質量%であり、共重合体(B)の含有量が10〜20質量%であり、無機充填材(C)の含有量が15〜20質量%である。
前記重合体(A)の含有量を60質量%以上にすることによって、発泡体の剛性や表面外観を優れたものにすることができ、81質量%以下にすることによって、発泡体の耐衝撃性を優れたものにすることができる。
また、共重合体(B)の含有量を10質量%以上にすることによって、発泡体の耐衝撃性を優れたものにすることができ、30質量%以下にすることによって、発泡体の剛性を優れたものにでき発泡体の表面にディンプルが発生することを防止して表面外観を優れたものにすることができる。
また、無機充填材(C)の含有量を10質量%以上にすることによって、発泡体の表面にディンプルが発生することを防止して表面外観を優れたものにすることができ、30質量%以下にすることによって、発泡体の耐衝撃性を優れたものにすることができる。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(X)に含まれる発泡剤(D)の含有量は、前記(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計、または、前記(A”)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、好ましくは、1〜4質量部である。発泡剤(D)の含有量を0.1質量部以上にすることによって、発泡倍率の高い発泡体を得ることができ、5質量部以下にすることによって、発泡体の表面外観を優れたものにすることができる。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(Y)に含まれる発泡剤(D)の含有量は、溶融混練物(Z)100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、好ましくは、1〜4質量部である。発泡剤(D)の含有量を0.1質量部以上にすることによって、発泡倍率の高い発泡体を得ることができ、5質量部以下にすることによって、発泡体の表面外観を優れたものにすることができる。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(Y)に含まれる溶融混練物(Z)は、
プロピレン系重合体(A)と、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)とに、
有機過酸化物(E)を添加して、
前記(A)と(B)と(C)と(E)とを溶融混練して得られる。
有機過酸化物(E)の添加量は、前記(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、0.001〜0.5質量部であり、好ましくは0.001〜0.1質量部であり、より好ましくは0.005〜0.05質量部である。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(X)の製造方法としては、プロピレン系重合体(A)と、
エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
無機充填材(C)を溶融混練し、その溶融混練物に発泡剤(D)を添加してもよく、
前記(A)と(B)と(C)の溶融混練物のメルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)は、成形加工性の観点から、好ましくは0.1〜300g/10分であり、より好ましくは30〜150g/10分であり、さらに好ましくは30〜120g/10分である。
本発明の発泡体の製造方法に用いられるプロピレン系樹脂組成物(Y)に含まれる溶融混練物(Z)のメルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重、JIS−K−7210に準拠)は、成形加工性の観点から、好ましくは20〜150g/10分であり、より好ましくは30〜130g/10分であり、さらに好ましくは50〜120g/10分である。
前記(A)と(B)と(C)の溶融混練物、または、溶融混練物(Z)の製造方法としては、例えば、各原料成分を180℃以上、好ましくは180〜300℃、より好ましくは180〜250℃で溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練には、例えば、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる発泡体は、ドアトリム、インストルメントパネル等の自動車内装部品、サイドプロテクトモール、バンパー、ソフトフェイシア、マッドガード等の自動車外装部に好適に利用可能であり、また、家電材料、OA機器材料、医療用材料等にも利用可能である。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。実施例及び比較例で使用したプロピレン系重合体(A)、共重合体(B)、無機充填材(C)及び発泡材(D)を下記に示す。
<原料成分>
(1)プロピレン系重合体(A)
(1−1)(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体(A1)
プロピレン単独重合体成分(A−1−I)と(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2−I)からなる。特開2004−182981号公報に記載の方法によって得られる重合触媒を用い、液相−気相重合法を用いて前段の重合工程でプロピレン単独重合体成分(A−1−I)を得、後段の重合工程で(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2−I)を得た。得られた(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体(A1)の物性を下記に示す。
・(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体(A1)
メルトフローレート(230℃、2.16kgf荷重):36g/10分
(A1)中のエチレン含有量:6.5重量%
極限粘度([η]total):1.86dl/g
[η]A―1-II/[η]A―2-I=4.44
・プロピレン単独重合体成分(A−1−I)
極限粘度([η]A-1-I):0.91dl/g
・(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2−I)
(A1)中の(A−2−I)の含有量(要件(I)に該当):21.4重量%
(A−2−I)中のエチレン含有量(要件(II)に該当):30.4重量%
極限粘度([η]A-2-I):4.0dl/g
(2)共重合体(B)
(2−1)エチレン−ブテンランダム共重合体(B1)
商品名ENGAGE EG7387(ダウ・ケミカル日本(株)製)
α−オレフィン:1−ブテン(ブテン含有量:24.0質量%)
密度:0.870(g/cm3
メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重):0.5g/10分
(2−2)エチレン−オクテンランダム共重合体(B2)
商品名ENGAGE EG8842(ダウ・ケミカル日本(株)製)
α−オレフィン:1−オクテン(オクテン含有量:40.6質量%)
密度:0.852(g/cm3
メルトフローレート(190℃、2.16kgf荷重):1g/10分
(3)無機充填材(C)
(3−1)タルク(C1)
商品名:JR−46(林化成(株)製)
平均粒子径:2.7μm
(平均粒子径:遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水・アルコール中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50)
(4)発泡剤(D)
(4−1)化学発泡剤(D1)
商品名:セルマイクMB3064(三協化成株式会社製)、炭酸塩系発泡剤を含有するマスターバッチ、炭酸塩系発泡剤の含有量:40質量%(マスターバッチ全体を100質量%とする)
(5)有機過酸化物(E)
(5−1)有機過酸化物(E1)
商品名:パーカドックス14(化薬アクゾ(株)製)、有機過酸化物8質量%とホモポリプロピレンパウダー92質量%との混合物(マスターバッチ)
<物性の測定>
原料成分及び樹脂組成物の物性は、下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−7210に規定された方法に従って測定した。
・プロピレン系重合体(A):測定温度は230℃で、荷重は2.16kgf
・共重合体(B):測定温度は190℃で、荷重は2.16kgf
・樹脂組成物:測定温度は230℃で、荷重は2.16kgf
(2)極限粘度
プロピレン単独重合体成分(A−1)及び(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2)の割合、極限粘度([η]total、[η]A-1、[η]A-2)の測定及び算出は、下記の方法で行った。
前段の重合工程で得たプロピレン単独重合体成分(A−1)の極限粘度([η]A-1)、後段の重合工程後の最終重合体(プロピレン単独重合体成分(A−1)及び(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2)の合計)の極限粘度([η]total)、最終重合体に含有される(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2)の含有量(重量比)から、後段の工程で重合された(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2)の極限粘度[η]IIを、下記式から計算して求めた。
[η]A-2=([η]total−[η]A-1×XI)/XII
[η]total:後段重合工程後の最終重合体の極限粘度(dl/g)
[η]A-1:前段重合工程後に重合槽より抜き出した重合体パウダーの極限粘度(dl/g)
XI:前段の工程で重合されたプロピレン単独重合体成分(A−1)の重量比
XII:後段の工程で重合された(プロピレン−エチレン)共重合体成分(A−2)の重量比
尚、XI、XIIは重合時の物質収支から求めた。
(3)発泡体の耐衝撃性
発泡体の耐衝撃性はHIGH RATE IMPACT TESTER(Reometrics.Inc製)により、測定温度:23℃、ダート径:1/2インチ、速度:5m/secで、内径が3インチのリングにより固定したサンプルを打ち抜き、変位と荷重の波形を測定した。その後、打ち抜きに要するエネルギー値を算出し、これを「耐衝撃性」とした。
(4)ディンプル評価
実施例及び比較例で得られた発泡体の表面の凹凸状態を目視で観察し、発泡体の表面外観の品質(ディンプル)を10段階で評価した。
評価点数が高いほど、ディンプルは目立たない傾向である。
遅延時間:1.5秒以上の条件で、評価結果が6以上のサンプルを外観○とし、
遅延時間:1.5秒以上の条件で、評価結果が5以下のサンプルを外観×として、
総合評価結果を判定した。
(5)シルバーストリークの評価
実施例及び比較例で得られた発泡体の表面について、樹脂の流れ方向と並行に見られる放射状の模様の有無(シルバーストリークの有無)を目視で観察することにより評価した。
○:発泡体の表面のシルバーストリークが目視では確認できない
×:シルバーストリークが目立つ
〔実施例1〜2、比較例1〜3〕
上記の原料成分を表1に示した組成割合で配合し、タンブラーで均一に予備混合した後、得られた混合物を、2軸押出機((登録商標)TEX44αII:神戸製鋼(株)製、バレル内径:44mmφ、スクリュ回転数:200rpm、シリンダ温度:200℃)を用いて溶融混練した。この溶融混練物を二軸混練機に移し、混練機のダイ部入り口にセットした織金網フィルター(50メッシュ、開き目:410μm)及び焼結フィルター((登録商標):ナスロンフィルターNF15N:日本精線製)で濾過した後にダイ部より押し出した。この押出物を冷水により冷却固化、切断して、樹脂成分のペレットを得た。また、このときの押出速度は50kg/時間であった。
発泡体は以下の手順で製造した。まず、実施例1〜2及び比較例1〜2では、中央に1点のダイレクトゲートを有する金型のキャビティ内部にガス供給管から空気ガスを封入してキャビティ内を表1に記載の圧力になるよう調整した。比較例3では、この手順は行わなかった。このときの、射出成形機(ENGEL400トン)のシリンダ設定温度は230℃であり、金型設定温度は50℃であった。
次いで表1に記載の樹脂成分をシリンダ内に投入し、この樹脂成分100質量部に対して、発泡材(D)を3質量部添加して混練した。この混練物を、キャビティのクリアランス(図2の閉状態にある雄金型10と雌金型20の隙間)2mmの金型キャビティ内に射出した。
射出完了後、所定の保持(遅延)時間(それぞれ、0.5秒、1.5秒、3.0秒)経過後、移動側金型を1.5mm後退しキャビティの容積を拡大させることで樹脂組成物を発泡させた。30秒間冷却後に型を開き、発泡倍率:1.8倍の発泡体を製造した。得られた発泡体を図3に示した。発泡体表面について、ディンプル評価、及びシルバーストリーク評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2014061610
10 雄金型
11 雄金型表面
11A 雄金型外周面
11B キャビティ形成面
11C 雄金型外周面
12 ガスランナ
13 ガス抜き用の溝
20 雌金型
21 雌金型表面
21A 雌金型内周面
21B キャビティ成形面
22C 外側の対向面
22 樹脂供給路
23 ガスランナ
24 樹脂注入ゲート
30 加圧装置
41 射出成形機
42 開閉弁
43 金型駆動部
50 Oリング
V キャビティ

Claims (2)

  1. ガスが充填され加圧されたキャビティ内に、下記プロピレン系樹脂組成物(X)または下記プロピレン系樹脂組成物(Y)を射出し、
    前記樹脂組成物(X)または前記樹脂組成物(Y)を射出した後、1〜10秒後にキャビティ容積を拡大して、
    前記樹脂組成物(X)または前記樹脂組成物(Y)を発泡させる
    発泡体の製造方法。
    プロピレン系樹脂組成物(X)は、
    下記プロピレン系重合体(A)と、
    190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1g/10分未満であるエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
    無機充填材(C)と、
    発泡剤(D)とを含有し、
    前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
    前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
    前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
    (A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部である。
    プロピレン系樹脂組成物(Y)は、
    下記溶融混練物(Z)と発泡剤(D)とを含有し、
    該溶融混練物(Z)100質量部に対して、発泡剤(D)の含有量が0.1〜5質量部であり、
    該溶融混練物(Z)は、
    下記プロピレン系重合体(A)と、
    エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(B)と、
    無機充填材(C)とに、
    有機過酸化物(E)を添加して、
    前記(A)と(B)と(C)と(E)を溶融混練して得られ、
    前記重合体(A)の含有量が40〜81質量%であり、
    前記共重合体(B)の含有量が10〜30質量%であり、
    前記無機充填材(C)の含有量が10〜30質量%であり(但し、(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量%とする)、
    前記(A)と(B)と(C)のそれぞれの質量の合計を100質量部として、当該100質量部に対して、有機過酸化物(E)の含有量が0.001〜0.5質量部である。
    プロピレン系重合体(A)は、
    エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位とプロピレンに由来する構成単位とを有する共重合体部分(A−2)5〜25質量%、並びに、プロピレン単独重合体部分(A−1)75〜95質量%とを含有し(但し、(A)に含まれる(A−I)と(A−II)のそれぞれの含有量の合計を100質量%とする)、
    共重合体部分(A−2)に含まれるエチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量が25〜60質量%である(但し、(A−2)全体の質量を100質量%とする)。
  2. 前記プロピレン系樹脂組成物(X)または前記プロピレン系樹脂組成物(Y)の230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが、30〜150g/10分である請求項1又は2に記載の発泡体の製造方法。
JP2012206637A 2012-09-20 2012-09-20 発泡体の製造方法 Pending JP2014061610A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206637A JP2014061610A (ja) 2012-09-20 2012-09-20 発泡体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206637A JP2014061610A (ja) 2012-09-20 2012-09-20 発泡体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014061610A true JP2014061610A (ja) 2014-04-10

Family

ID=50617339

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206637A Pending JP2014061610A (ja) 2012-09-20 2012-09-20 発泡体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014061610A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018119089A (ja) * 2017-01-27 2018-08-02 サンアロマー株式会社 発泡性ポリプロピレン組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018119089A (ja) * 2017-01-27 2018-08-02 サンアロマー株式会社 発泡性ポリプロピレン組成物
JP7015635B2 (ja) 2017-01-27 2022-02-15 サンアロマー株式会社 発泡性ポリプロピレン組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2005097842A1 (ja) プロピレン系多段重合体及びその製造方法、並びにプロピレン系樹脂組成物
JPWO2011046103A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂組成物、および射出発泡成形体
JP4999462B2 (ja) プロピレン系樹脂押出発泡体
JP5202942B2 (ja) プロピレン系樹脂押出発泡体の製造方法
EP4112678A1 (en) Polypropylene-based resin foamed particles, method for producing same, and polypropylene-based resin foam molded body
CN106496800B (zh) 一种低收缩微发泡聚丙烯及其制备方法
JP2014061609A (ja) 発泡体の製造方法
JP2009001772A (ja) ポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体
JP5203587B2 (ja) プロピレン系重合体及び発泡成形体
JP2019137847A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその発泡成形体
JP2006240051A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法
JP2014205760A (ja) 発泡体の製造方法
JP2014061610A (ja) 発泡体の製造方法
JP2007130992A (ja) ポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体
JP6896419B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物及びその発泡体
JP2012107097A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる射出発泡成形体
JP2008290282A (ja) ポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体
JP2005224963A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製法
JP2010106093A (ja) 射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる射出発泡成形体
JP2011094068A (ja) 射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる射出発泡成形体
JP6845689B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物及びその発泡体
Sipaut et al. The effect of different peroxide on LDPE foam properties in the presence of polyfunctional monomers
JP5270935B2 (ja) 発泡成形体用プロピレン系樹脂組成物およびその発泡成形体
JP4085673B2 (ja) プロピレン重合体組成物およびこれを用いて得られた発泡成形体
JP2003128854A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法およびその発泡体