JP2014060049A - 非水電解質二次電池用正極活物質 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池に用いたときに、高容量を得ることができると共に、高電流密度となる領域において十分な充放電特性を得ることができる正極活物質を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池用正極活物質は、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとからなり、該正極活物質の全量に対して1〜16質量%の範囲のFeを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質に関する。
電気自動車用二次電池として用いられている充放電可能な非水電解質二次電池は、走行距離を長くするために高いエネルギー密度(容量密度)を備えることが望まれる。そこで、近年、前記非水電解質二次電池の正極活物質として、FeFを用いることが検討されている。前記正極活物質は、導電助剤、結着剤等と混合されて正極材料を形成する。
前記FeFは、理論エネルギー密度(可逆容量)が高く、例えば、FeFを正極活物質としLiを負極活物質とする非水電解質二次電池は、約240mAh/gの理論エネルギー密度を有するとされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−130265号公報
一方、前記非水電解質二次電池は、電気自動車用二次電池として用いるときには、高速走行時や登坂時等の高負荷がかかり高電流密度となる領域における充放電特性(以下、高負荷特性ということがある)に優れていることが望まれる。前記充放電特性は、例えば、所定の初期電位から所定の電位まで放電したときの容量密度で示される。
しかしながら、FeFからなる正極活物質は、前記非水電解質二次電池に用いたときに高電流密度となる領域において十分な充放電特性を得ることができないという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、前記非水電解質二次電池に用いたときに、高容量を得ることができると共に、高電流密度となる領域において十分な充放電特性を得ることができる正極活物質を提供することを目的とする。
FeFからなる正極活物質を前記非水電解質二次電池に用いたときに高電流密度となる領域において十分な充放電特性を得ることができない理由として、FeFが電気的に絶縁性であることが考えられる。電気的に絶縁性である材料を正極活物質に用いる場合には、正極材料に対する導電助剤の添加量を増加する必要がある。しかし、導電助剤の添加量を増加すると正極材料全体における正極活物質としてのFeFの量が相対的に低減し、正極材料の単位重量当たりのエネルギー密度が低くなる。
そこで、前記目的を達成するために、本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとからなる非水電解質二次電池用正極活物質であって、該正極活物質の全量に対して1〜16質量%の範囲のFeを含むことを特徴とする。
本発明の正極活物質は、FeF自体を酸化してFeとしているので、FeFの表面の少なくとも一部にFeが形成されることとなり、これにより電気伝導性が発現する。この結果、本発明の正極活物質は、高電流密度となる領域においても十分な充放電特性を得ることができる。
本発明の正極活物質は、Feの含有量が正極活物質の全量に対して1質量%未満では、電気伝導性を得ることができない。また、Feの含有量が正極活物質の全量に対して16質量%を超えると、相対的にFeFの含有量が低減し、十分な容量を得ることができない。
また、本発明の正極活物質は、前記正極活物質の全量に対して3〜15質量%の範囲のFeを含むことが好ましい。本発明の正極活物質は、前記正極活物質の全量に対して前記範囲のFeを含むことにより、確実にFeFの容量を維持しつつ、高電流密度となる領域において十分な充放電特性を得ることができる。
本発明の正極活物質は、Feの含有量が正極活物質の全量に対して3質量%未満では、十分に電気伝導性を得ることができないことがある。また、Feの含有量が正極活物質の全量に対して15質量%を超えると、相対的にFeFの含有量が低減し、十分な容量を得ることができないことがある。
さらに、本発明の正極活物質は、前記正極活物質の全量に対して13〜15質量%の範囲のFeを含むことが好ましい。本発明の正極活物質は、前記正極活物質の全量に対して前記範囲のFeを含むことにより、5mA/cm程度の高電流密度となる領域において、FeFのみからなる正極活物質の2倍程度の容量を得ることができる。
本発明の正極活物質を用いる非水電解質二次電池の一構成例を示す説明的断面図。 本発明の正極活物質を用いる非水電解質二次電池の高負荷特性を示すグラフ。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態の非水電解質二次電池は、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に配設される電解質層4とを備える。正極2、負極3及び電解質層4は、ケース5に密封して収容されており、ケース5は、カップ状のケース本体6と、ケース本体6を閉蓋する蓋体7とを備え、ケース本体6と蓋体7との間には絶縁樹脂8が介装されている。また、正極2は蓋体7の天面との間に正極集電体9を備えており、負極3はケース本体6の底面との間に負極集電体10を備えている。尚、非水電解質二次電池1において、ケース本体6は負極板として、蓋体7は正極板として作用する。
非水電解質二次電池1において、正極2は、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを正極活物質として含み、該正極活物質は導電助剤及び結着剤と混合されて正極材料を形成している。Feは、例えば、FeFの粉末を大気中、200℃以上の温度で焼成することにより得ることができ、焼成温度と焼成時間を変えることによりその生成量を制御することができる。前記正極活物質は、正極活物質の全量に対して1〜16質量%の範囲のFeを含むことが必要であり、3〜15質量%の範囲のFeを含むことが好ましく、13〜15質量%の範囲のFeを含むことがさらに好ましい。
前記導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック等の炭素材料を挙げることができる。また、前記結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。
前記正極材料は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを前記範囲で含む正極活物質と、前記導電助剤とをボールミル等を用いて混合する。次に、得られた混合物を前記結着剤と混合して前記正極材料とする。前記正極材料は、成形することにより正極2とすることができる。
次に、負極3は、例えば、金属リチウム、リチウム合金等を用いることができる。
次に、電解質層4は、例えば、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した非水系電解質溶液をセパレータに浸漬させたものを挙げることができる。前記リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等を挙げることができ、前記非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒等を挙げることができる。
次に、集電体9,10としては、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、銅等のメッシュからなるものを挙げることができる。
本実施形態の非水電解質二次電池1によれば、前記正極活物質が前記範囲のFeを含むので、FeFの高容量を維持しつつ、高電流密度となる領域において十分な充放電特性(高負荷特性)を得ることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、FeF粉末(アルドリッチ社製)3gを、大気中、200℃の温度で30分間焼成し、その後大気中で自然冷却させて、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを含む正極活物質を得た。
本実施例で得られた前記正極活物質は、X線回折パターンから、FeFと、Feとを含むことが確認された。次に、前記正極活物質中のFeの含有量を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)により測定したところ、該正極活物質の全量に対して5質量%であった。結果を表1に示す。尚、前記FeF粉末の測定値をFeF100質量%、Fe0質量%として、装置固有の誤差を補正した。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質の粉末200mgを圧粉成型機を用いて30MPaの圧力で押圧し、ペレット状の成形体を作製した。次に、前記成形体に上下から1MPaの圧力を掛けた状態で、該成形体の電気抵抗値を測定し、該電気抵抗値、該成形体の厚さ、該成形体の加圧面の面積から、前記正極活物質の電気伝導率を算出したところ、3.1×10−10S/cmであった。結果を表2に示す。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質と、ケッチェンブラック(ライオン株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC600JD)とを、正極活物質:ケッチェンブラック=7:3の質量比となるように混合し、遊星ボールミルを用いて360rpmで1時間処理して混合することにより、該正極活物質と該ケッチェンブラックとの混合物を得た。
次に、前記混合物30mgを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.45mgを含むエマルジョンと、メノウ乳鉢で混合し、圧粉成型機によりペレット状に成形した。次に、前記ペレット状に成形した正極材料を、アルミニウムメッシュからなる正極集電体9に貼り合わせて、正極2を形成した。
次に、SUS板にSUSメッシュを溶接してなる負極集電体10にリチウム箔を貼り付けて負極3を形成した。
次に、有底円筒状のSUS製ケース本体6の内部に、負極集電体10がケース本体6の底面に接するようにして負極3を配置し、負極3上にポリプロピレン微多孔膜からなるセパレータを重ね合わせた。次に、前記セパレータ上に、前記のようにして得られた正極2及び正極集電体9を、正極2が該セパレータに接するように重ね合わせた。次に、前記セパレータに非水系電解質溶液を注入し、電解質層4を形成した。
前記非水系電解質溶液としては、エチレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとを7:3の質量比で混合した混合溶媒に、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。
次に、ケース本体6に収容された負極集電体10、負極3、電解質層4、正極2、正極集電体9からなる積層体を、SUS製蓋体7で閉蓋した。このとき、ケース本体6と蓋体7との間に、リング状の絶縁樹脂8を配設することにより、図1に示す非水電解質二次電池1を得た。
次に、本実施例で得られた非水電解質二次電池1を用い、室温(25℃)の大気中で、Li/Liに対して1.5〜4.5Vの範囲の電圧、0.1〜5mA/cmの範囲の電流密度で放電試験を行った。このときの電流密度と容量密度との関係を図2に示す。
〔実施例2〕
本実施例では、焼成温度を300℃とした以外は、実施例1と全く同一にして、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを含む正極活物質を得た。
本実施例で得られた前記正極活物質は、X線回折パターンから、FeFと、Feとを含むことが確認された。次に、前記正極活物質中のFeの含有量を実施例1と全く同一にして測定したところ、該正極活物質の全量に対して10質量%であった。結果を表1に示す。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、ペレット状の成形体を作製し、該成形体の電気抵抗値を測定した。前記電気抵抗値、前記成形体の厚さ、該成形体の加圧面の面積から、前記正極活物質の電気伝導率を算出したところ、1.7×10−9S/cmであった。結果を表2に示す。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、図1に示す非水電解質二次電池1を得た。
次に、本実施例で得られた非水電解質二次電池1を用いた以外は実施例1と全く同一にして、放電試験を行った。このときの電流密度と容量密度との関係を図2に示す。
〔実施例3〕
本実施例では、焼成温度を400℃とした以外は、実施例1と全く同一にして、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを含む正極活物質を得た。
本実施例で得られた前記正極活物質は、X線回折パターンから、FeFと、Feとを含むことが確認された。次に、前記正極活物質中のFeの含有量を実施例1と全く同一にして測定したところ、該正極活物質の全量に対して14質量%であった。結果を表1に示す。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、ペレット状の成形体を作製し、該成形体の電気抵抗値を測定した。前記電気抵抗値、前記成形体の厚さ、該成形体の加圧面の面積から、前記正極活物質の電気伝導率を算出したところ、5.2×10−9S/cmであった。結果を表2に示す。
次に、本実施例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、図1に示す非水電解質二次電池1を得た。
次に、本実施例で得られた非水電解質二次電池1を用いた以外は実施例1と全く同一にして、放電試験を行った。このときの電流密度と容量密度との関係を図2に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、実施例1で用いたFeF粉末を全く焼成することなく正極活物質とした。
本比較例の前記正極活物質は、X線回折パターンから、FeFのみからなることが確認された。次に、前記正極活物質中のFeの含有量を実施例1と全く同一にして測定したところ、該正極活物質の全量に対して0質量%であった。結果を表1に示す。
次に、本比較例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、ペレット状の成形体を作製し、該成形体の電気抵抗値を測定したところ、測定範囲を超過し測定することができなかった。このため、前記正極活物質の電気伝導率を1.0×10−10S/cm以下と判定した。結果を表2に示す。
次に、本比較例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、図1に示す非水電解質二次電池1を得た。
次に、本比較例で得られた非水電解質二次電池1を用いた以外は実施例1と全く同一にして、放電試験を行った。このときの電流密度と容量密度との関係を図2に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、焼成温度を500℃とした以外は、実施例1と全く同一にして、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとを含む正極活物質を得た。
本比較例で得られた前記正極活物質は、X線回折パターンから、FeFと、Feとを含むことが確認された。次に、前記正極活物質中のFeの含有量を実施例1と全く同一にして測定したところ、該正極活物質の全量に対して27質量%であった。結果を表1に示す。
次に、本比較例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、ペレット状の成形体を作製し、該成形体の電気抵抗値を測定した。前記電気抵抗値、前記成形体の厚さ、該成形体の加圧面の面積から、前記正極活物質の電気伝導率を算出したところ、8.1×10−9S/cmであった。結果を表2に示す。
次に、本比較例で得られた前記正極活物質を用いた以外は実施例1と全く同一にして、図1に示す非水電解質二次電池1を得た。
次に、本比較例で得られた非水電解質二次電池1を用いた以外は実施例1と全く同一にして、放電試験を行った。このときの電流密度と容量密度との関係を図2に示す。
Figure 2014060049
Figure 2014060049
表1,2から、FeFのみ(比較例1)では電気伝導性を示さず、該FeFを酸化してなるFeを含む(実施例1〜3、比較例2)ことにより電気伝導性が発現することと、Feの含有率が多くなるほど電気伝導率が高くなることが明らかである。
また、図2から、FeFと、該FeFを酸化してなるFeとからなる正極活物質であり、該正極活物質の全量に対して5〜14質量%の範囲のFeを含む実施例1〜3の非水電解質二次電池1は、FeFのみからなる正極活物質を含む比較例1の非水電解質二次電池1に対し、同等の初期容量密度を備え、1〜4mA/cmの高電流密度となる領域においてより高い容量密度を示し、高負荷特性に優れていることが明らかである。また、前記正極活物質の全量に対して14質量%のFeを含む実施例3の非水電解質二次電池1は、5mA/cmの高電流密度においても、比較例1の非水電解質二次電池1に対し、2倍程度の容量密度を備えており、高負荷特性に非常に優れていることが明らかである。
一方、前記正極活物質の全量に対して27質量%のFeを含む比較例2の非水電解質二次電池1は、2〜5mA/cmの高電流密度において、高負荷特性に非常に優れているものの、初期容量密度では比較例1の非水電解質二次電池1に及ばないことが明らかである。
1…非水電解質二次電池、 2…正極、 3…負極、 4…電解質層。

Claims (3)

  1. FeFと、該FeFを酸化してなるFeとからなる非水電解質二次電池用正極活物質であって、該正極活物質の全量に対して1〜16質量%の範囲のFeを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 請求項1記載の非水電解質二次電池用正極活物質において、前記正極活物質の全量に対して3〜15質量%の範囲のFeを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1又は請求項2記載の非水電解質二次電池用正極活物質において、前記正極活物質の全量に対して13〜15質量%の範囲のFeを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
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