JP2014059300A - 水素センサ、および、それを用いた検出装置 - Google Patents

水素センサ、および、それを用いた検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】迅速に水素を検出可能な水素センサおよびその装置を提供する。
【解決手段】水素センサ(1)は、ヘテロコア構造をとる光ファイバ(10)と光ファイバ(20)と、光ファイバ(10)の外周に形成され、表面プラズモン共鳴を励起することが可能な金属(31)、たとえば、金と、誘電体(33)、たとえば、五酸化タンタル(Ta25)と、水素吸蔵金属(35)、たとえば、Pdとを有する。誘電体(33)は水素吸蔵金属を含む膜の誘電関数を調整する役割を果たし、金属におけるエバネッセント波の影響が水素吸蔵金属(35)に及ぼす厚さに形成されている。水素吸蔵金属(35)が水素を吸蔵・放出して、その誘電関数が変化する。金属(31)において、光ファイバ(10)の外界の屈折率変化に鋭敏に応答する表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する。誘電体(33)により水素吸蔵金属(35)を含む膜の誘電関数を調整する。
【選択図】図3

Description

本発明は、水素を検出する技術に関する。
本発明は、特に、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて微量の水素でも迅速に検出可能な技術に関する。
本発明は、また、SPRを用いて安全に水素を迅速に検出可能な技術に関する。
本発明は、さらに、多数の検出領域における水素をSPRを用いた複数のセンサを用いて、迅速かつ効率良く検出可能な技術に関する。
水素を検出するセンサは種々の産業分野において使用されている。
水素を検出する用途の1例として、液体水素燃料を使用するロケット及び宇宙輸送機等の燃料供給系統を例示する。
そのような燃料供給系統においては、微量な水素の漏洩を正確かつ迅速に、かつ、安全に検出することが望まれている。
そのような水素を検出するセンサとして、これまで種々提案されている。
たとえば、特許文献1(特開2011−197008号公報)は下記に概要を記す光ファイバ水素純度センサ及びシステムを開示する。
その構成は、水素純度多層検知チップを、水素化可能材料、例えば、パラジウムやパラジウム合金、またはパラジウム酸化物と、水素化不可能材料として貴金属である金、銀、銅、ニッケルを交互に積層することで多層検知材料を構成する。水素化可能材料は屈折率が光ファイバのクラッド層より高く、また水素化不可能材料は屈折率が光ファイバのクラッド層より低い。
その検出原理は、水素化可能材料を用いて水素化することで、水素化可能材料の屈折率プロファイルおよび誘電関数が変化するため、光ファイバ内の伝搬光の透過、反射、吸収における光学特性に変動がみられることを利用して、水素を検出する。
また、他の検出方法としては、上記多層検知チップをFBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)センサの周囲に成膜し、検知層である多層検知チップの水素化に伴う屈折率変動、光学吸収変化、検知材料応力変化、あるいは、それらの組み合わせによって光ファイバ伝搬光の伝送波長、パワーが変調されることを利用して水素を検出する方法が知られている。
特許文献2(特開2005−351651号公報)は、下記に概要を記す、水素分布計測を可能とする光ファイバ水素センサ及びそれを用いた測定法を開示する。
その構成は、白金触媒を担持した酸化タングステン薄膜を水素感応物質として使用し、その水素感応部を光ファイバの長尺方向に広く配置する。
エバネッセント波吸収方式では、光ファイバのコアに白金触媒を担持した酸化タングステン薄膜を500nm以下になるように成膜する。
他方、FBG型センサでは、FBG部のクラッドの周囲に白金触媒担持酸化タングステン粉末を膜厚1μm以上の厚さで固定化している。
白金を触媒とした酸化タングステンをクラッドとしてコア部周囲に成膜したファイバ型水素センサは、水素がなければエバネッセント波の吸収は無く通常の光ファイバと同様に光は伝搬する。他方、水素が存在すると、白金触媒担持酸化タングステンは水素と反応し、タングステンブロンズを形成し、エバネッセント波が吸収され、伝搬光量が大きく減衰する。水素ガス濃度に応じて光ファイバの伝送光パワーが変動する。この変動を利用して、光強度から水素濃度を検出する。
さらに、光ファイバ多点計測装置である光パルス試験器(OTDR:Optical TimeDomain Reflectmetry )、分布計測装置(OFDR:Optical FrequencyDomain Reflectmetry)などを用いることで、多点を計測可能な分布光ファイバ計測も可能にする。
特開2011−197008号公報 特開2005−351651号公報
たとえば、液体水素燃料を使用するロケット及び宇宙輸送機等の燃料供給系統などにおける水素ガスの漏洩を検出する水素センサに特に求められることは、水素吸蔵時の応答速度である。
上記例示した方式では、水素吸蔵材料の屈折率変化および反射率変化を得るために、その水素吸蔵材料を多層膜チップや膜として生成する場合、比較的大きな厚みをもたせる(膜厚を大きくする)必要がある。そうすると、水素吸蔵材料の容積が増大し、水素をその吸蔵材料に吸蔵・放出する際に時間がかかってしまうという問題がある。
他方、水素吸蔵材料の膜厚を薄く作ると、水素吸蔵材料の屈折率変化、反射率変化、膨張は僅かであるために、水素を検出する事が難しい。
このように、水素吸蔵材料の膜厚に関して二律背反する課題が存在する。
光ファイバを用いる水素センサは、水素吸蔵材料による水素吸蔵時の変化を捉えるために、光を外へ漏らす構造として、光ファイバのクラッド層を削っているものが提案されている。しかしながら、その方法では機械的強度が低下し、長期間、実用的に使用しにくい。
また、FBGを用いる場合、水素吸蔵材料の膨張を、その吸蔵材料が成膜されたFBGが膨張することで屈折率格子間隔が変化し、ブラッグ反射波長の変化から水素を検知するが、このFBGは、温度によってもブラッグ反射波長が変化するために、その温度を補償するセンサがさらに必要となり、装置構成が複雑になる。
さらに、水素の漏洩を安全に検出するため、水素を検出するセンサ部に電気的接点を有しない、防爆型のセンサが要望されている。
以上の課題および要望は、液体水素燃料を使用するロケット及び宇宙輸送機等の燃料供給系統における微量な水素の漏洩を迅速かつ正確に検出する場合に限らず、水素などガスを迅速かつ正確に検出する要望のある種々の他の分野、用途においても同様である。
以上から、水素を迅速に検出可能な水素センサを提供することが望まれている。
また、機械的強度も高い、水素センサを提供することが望まれている。
さらに、安全に使用可能な、水素センサを提供することが望まれている。
また、上記要望されている水素センサを用いて、構成が簡単な水素を検出する装置(システム)を提供することが望まれている。
特に、広範囲にわたる多数の検出地点(多点)における水素を、迅速かつ効率良く検出可能な装置が望まれている。
本発明によれば、貫通型(または、光通過型)光ファイバ水素センサ、すなわち、所定の長さの第1の光ファイバと、当該第1の光ファイバの両端に前記第1の光ファイバとヘテロコア構造を規定するように接続され、光を伝搬する第2光ファイバと、前記第1の光ファイバの外周に形成された、表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴を励起することが可能な金属の膜と、当該金属の膜の外周に形成された誘電体の膜と、当該誘電体の膜の外周に形成された水素吸蔵金属の膜とを具備し、
前記誘電体の膜は、前記水素吸蔵金属の膜を含む誘電関数を調整する役割を果たす、
水素センサが提供される。
また本発明によれば、反射型光ファイバ水素センサ、すなわち、所定の長さの第1の光ファイバと、当該第1の光ファイバの一方の端部に前記第1の光ファイバとヘテロコア構造を規定するように接続され、光を伝搬する第2光ファイバと、前記第1の光ファイバの外周および他方の端部に形成された、表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴を励起することが可能な金属の膜と、当該金属の膜の外周に形成された誘電体の膜と、当該誘電体の膜の外周に形成された水素吸蔵金属の膜とを具備し、
前記誘電体の膜は、前記水素吸蔵金属の膜の誘電関数を調整する役割を果たし、
前記第1の光ファイバの他方の端部に形成された、前記金属の膜と、前記誘電体の膜と、前記水素吸蔵金属の膜とが、前記第1の光ファイバに入射した光を反射する役割を果たす、
水素センサが提供される。
好ましくは、前記誘電体の膜は、前記金属の膜におけるエバネッセント波の影響が前記水素吸蔵金属の膜に及ぼす厚さに応じて形成されている。
また好ましくは、前記第1の光ファイバはシングルモード光ファイバであり、前記第2の光ファイバはマルチモード光ファイバである。
上述した本発明の水素センサの動作原理を述べる。
本発明の水素センサは、光ファイバを用いた、いわゆる、光ファイバ水素センサである。
基本的な構造として、第1の光ファイバの外周に光を漏洩させる構造となっている。その形態としては、ヘテロコア構造をとる場合はそうでない場合とがある。
a.ヘテロコア構造なし
第1の光ファイバの外周に配設された水素吸蔵金属の膜が水素を吸蔵・放出して、体積の変化を起こす。それにより、水素吸蔵金属の膜の屈折率プロファイルおよび誘電関数が変化する。水素吸蔵金属の膜に接している誘電体の膜は、水素吸蔵金属を含む膜の誘電関数を調整する役割を果たす。
第1の光ファイバの外周に配設された金属の膜は、第1の光ファイバの外界の屈折率変化に鋭敏に応答する表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する。
水素吸蔵金属が水素を吸蔵しなければ金属の膜においてエバネッセント波の吸収は無く、第1の光ファイバにおいて通常の光ファイバと同様に光は伝搬する。他方、水素吸蔵金属が水素を吸蔵するとエバネッセント波が吸収され、光ファイバの伝搬光量が大きく減衰する。この減衰を、当該水素センサに接続された検出手段において検出することで、水素を検出することができる。
b.ヘテロコア構造
好ましくは、第1の光ファイバと第2の光ファイバとはヘテロコア構造をとる。すなわち、コア径の小さな第1の光ファイバとコア径の大きな第2の光ファイバとを融着させて、ヘテロコア構造を形成し、第2の光ファイバからの伝搬する光を第1の光ファイバの外界から漏洩可能にして、第1の光ファイバの外周に形成された金属の膜における表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する。
水素吸蔵金属および誘電体の膜の作用は上述した通りである。
上述したとおり、水素センサとしては、ヘテロコア構造をとることが望ましいが、基本的には、第1の光ファイバから外周に伝搬光が漏洩可能となっていればよい。
水素雰囲気中に光ファイバ水素センサを配置すると、水素吸蔵金属の膜が水素を含み、その誘電関数および屈折率プロファイルが変化し、また体積膨張をする。
誘電関数の変化によって光ファイバの周囲に成膜された金属における、表面プラズモン共鳴(SPR)の共鳴波長が変化するから、共鳴波長の変化量から水素を計測することができる。
また、SPRにおける共鳴波長の変化に伴ってその反射スペクトル自体がシフトを生じる結果、ある光ファイバ中の伝搬波長に着目すると、その光強度が変化するから、その光強度変化を検出するため単一光源と受光部により計測する構成も可能となる。
さらに好ましくは、反射のスペクトルを可視光に領域にシフトすることもできる。
SPR現象を励起可能な金属、誘電体、水素吸蔵金属の好ましい材質は、これら相互関係によって選択される。
SPR現象を励起可能な金属は、好ましくは、金、誘電体はタンタル、さらに好ましくは、五酸化タンタル(Ta25)、そして、水素吸蔵金属はパラジウムである。
これらの膜の厚さは、好ましくは、金の膜の厚さは10〜50nmであり、5酸化タンタルの膜の厚さは、50〜70nmであり、パラジウムの膜の厚さは、2〜10nmである。
水素吸蔵金属の膜厚は、水素検出感度(応答性)に応じて規定される。膜厚が薄いほうが水素を検出可能な時間は短い。
また本発明によれば、上記した、光がセンサを貫通する(通過する)貫通型水素センサまたは反射型水素センサを用いた水素検出装置が提供される。
本発明の水素センサは、表面プラズモン共鳴(表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴)を利用することで、水素吸蔵金属の膜を薄く形成してもその水素吸蔵時の変化を捉える事が出来る。その結果、水素吸蔵金属の膜厚を薄くすることができ、水素センサの応答速度(検出時間)が改善した。
さらに、表面プラズモン共鳴を利用することで、水素の検出感度の向上が可能となった。
本発明の水素センサは、好ましくは、マルチモードファイバを用いることで、表面プラズモン共鳴による反射の波長スペクトルが広帯域になり、そのために、より鋭敏に水素吸蔵時の変化を捉える事ができる。
さらに好ましくは、反射のスペクトルを可視光に領域にシフトすることもできる。
本発明の水素センサは、光ファイバ中の伝搬光を漏洩させるための構造を、ヘテロコア構造とすることで、光を漏洩させながらも、センサ構造の強度が確保され、種々の環境において長期間安定に使用でき、実用性が高い。
本発明の水素センサは、センサ部に電気的接点を有しない防爆型の水素センサであり、安全性に優れる。
本発明の水素センサは、小型・堅牢であり、種々の雰囲気に適用することができる。
上記本発明の水素センサを複数用い、測定装置で複数の水素センサの検出結果を検出する多点水素検出装置も提供することができる。
図1は本発明の水素検出装置の第1の構成例を示す図である。 図2は本発明の水素検出装置の第2の構成例を示す図である。 図3は、図1、図2の水素検出装置に適用可能な本発明の実施の形態の水素センサを図解する図であり、図3(A)は水素センサの長手方向の断面図であり、図3(B)は図3(A)の線B−Bにおける断面図であり、図3(C)は図3(A)のA方向から見た第1の光ファイバの断面であり、図3(D)はエバネッセント波の挙動の概要を図解した図である。 図4は図2に図解した水素センサを製造する工程を図解した図である。 図5は図3を参照して述べた水素センサの反射スペクトルを示す図である。 図6は図3を参照して述べた光ファイバ水素センサの水素吸蔵金属としてパラジウムを用い、その薄膜を5nmとしたときの実時間応答を示す図である。 図7は図3を参照して述べた光ファイバ水素センサの水素吸蔵金属としてパラジウムを用い、その薄膜を3nmとしたときの実時間応答を示す図である。 図8は図3を参照した述べた水素センサの水素ガス濃度に対する伝送波長850nmにおける光損失特性を示す図である。 図9は本発明の水素検出装置の第3の構成例を示す図である。 図10は図9の水素検出装置に適用する水素センサの1つの構成を示す断面図である。 図11は図9を参照して述べた水素検出装置の構成例で、図10に示す水素センサを用いた場合の1点目(前段)に接続されたものの実時間応答を示す図である。 図12は図9を参照して述べた水素検出装置の構成例で、図10に示す水素センサを用いた場合の、前段に1点目の水素センサがあり、2点目(後段)に接続されたものの実時間応答を示す図である。 図13は図9を参照して述べた水素検出装置の構成例で、図10に示す水素センサを用いた場合の、水素ガス濃度に対する伝搬波長850nmにおける光損失特性を示す図である。 図14は図1に対応した実験装置の構成図である。 図15は空気中で水素センサを加熱したときの光損失応答特性を示す図である。 図16は、加熱しない水素センサとして、水素吸蔵金属としてパラジウム(Pd)を用い、膜厚3nmとした場合の光損失応答特性を示す図である。 図17はアルゴンで水素センサを加熱したときの光損失応答特性を示す図である。
本発明の実施の形態の水素センサおよびその水素センサを用いた検出装置を添付図面を参照して述べる。
まず、図1、図2を参照して水素検出装置の構成例を述べる。
水素検出装置(1)
図1は本発明の第1実施の形態の水素検出装置(水素検出システム)100の構成例を示す図である。
水素検出装置100は、水素センサ1と、水素センサ1の両端に接続された2本の光ファイバ20A、20Bと、水素センサ1の入射側の一方の光ファイバ20Aに所定波長の光を入射させる発光素子102と、水素センサ1の出射側の他方の光ファイバ20Bからの射出光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光素子104と、受光素子104の信号に基づいて水素センサ1において検出した水素を測定する測定装置106とを有する。
発光素子102としては、たとえば、LED、LDなどを用いることができる。
受光素子104としては、たとえば、フォトダイオードを用いることができる。
なお、受光素子104と測定装置106とを、光スペクトルアナライザに代えることもできる。
水素検出装置(2)
図2は本発明の第2実施の形態の水素検出装置(水素検出システム)200の構成例を示す図である。
水素検出装置200は、メイン光ファイバ2と、それぞれが図1に図解した水素センサ1に対応する複数の水素センサ1−1〜1−nと、複数の水素センサ1−1〜1−nとメイン光ファイバ2とを接続する複数の個別光ファイバ20−1〜20−nと、メイン光ファイバ2を介して複数の光ファイバ20−1〜20−nに接続された反射/後方散乱光強度分布測定装置202、たとえば、OTDRを有する。
複数の水素センサ1−1〜1−nはそれぞれ、水素を検出すべき場所に配設される。
測定装置202、たとえば、OTDRは、メイン光ファイバ2を経由して、複数の光ファイバ20−1〜20−nに、光パルスを入射し、そして、各水素センサにおける水素に応じて変化する、後方散乱光の位置および強度を測定して、各水素センサで検出した水素を検出する。
水素検出装置100、200の動作については後述するが、本発明の実施の形態の水素センサ1は、このような水素検出装置に好適に適用され得る。
水素センサ(構造)
図3は本発明の実施の形態の水素センサ1を図解する図である。
図3(A)は本実施の形態の水素センサの長手方向の断面図であり、図3(B)は図3(A)の線B−Bにおける断面図であり、図3(C)は図3(A)のA方向から見た第1の光ファイバ10の断面図であり、図3(D)はエバネッセント波の概要を図解した図である。
水素センサ1は、光ファイバを用いた光ファイバ水素センサであり、第1の光ファイバ10と、その両端に接続された第2の光ファイバ20A、20Bとを有する。
水素センサ1は、たとえば、図1に例示した水素検出装置100に適用する場合、第2光ファイバ20A、20B(図1における光ファイバ20A、20Bに対応)を介して、発光素子102、受光素子104に接続して使用される。
第1の光ファイバ10は、たとえば、石英ガラスで形成され、好ましくは、シングルモードファイバを用いて形成されており、その基本構成は、第1コア11と、その外周に形成された第1クラッド13とを有する。
第2光ファイバ20は、たとえば、石英ガラスで形成され、好ましくは、マルチモード光ファイバを用いて形成されており、その基本構成は、第2コア21と、その外周に形成された第2クラッド23とを有する。
基本的には、第1の光ファイバ10は、その中の伝搬光を外部に漏洩させるための構造を持つように構成される。
以下、その好適な例として、ヘテロコア構造をとる場合を例示する。
ヘテロコア構造
図3(A)に図解した例示のように、第2の光ファイバ20の途中を切断し、その切断部分に、第1の光ファイバ10を挿入するように、第1コア11の端面と第2コア21の端面とを対向させて融着して、第2の光ファイバ20の第2コア21内に第1の光ファイバ10の第1コア11を組み込み、ヘテロコア構造とする。
ここで、第1の光ファイバ10の第1コアの直径φ11は、第2の光ファイバ20の第2コアの直径φ21より小さい。すなわち、φ11<φ21である。たとえば、φ11=3μm、φ21=50μmである。
このように構成することにより、第1の光ファイバ10のコア11の直径φ11が細いヘテロコア部において、第2の光ファイバ20からの伝搬光の多くは第1の光ファイバ10の外界(外周に位置する部分、本実施の形態では、後述する貴金属31)に漏洩する構造となっている。
このように、光ファイバ中の伝搬光を漏洩させるための構造を、ヘテロコア構造とすることで、光を漏洩させながらも、構造強度が確保され実用性が高い水素センサとなる。
水素検出部分
第1の光ファイバ10の第1クラッド13の外周には水素を検出する下記の部分が形成されている。すなわち、水素を検出する部分は、第1クラッド13の外周に、金属31の膜、誘電体33の膜、水素を吸蔵する金属(水素吸蔵金属)35の膜が積層されて形成されている。
水素吸蔵金属
水素吸蔵金属35の膜は、水素を吸収して体積を変化させる。この体積変化から水素を検出することができる。
水素吸蔵金属35の膜が水素を吸蔵・放出すると、その光学特性が変化し、水素吸蔵金属35の膜の屈折率プロファイルおよび誘電関数が変化する。原理的には、この変化を用いると水素を検出することができる。
水素吸蔵金属は、種々知られており、以下に例示する。
水素吸蔵金属としては、たとえば、パラジウム(Pd)系、バナジウム(V)系、Ti−Fe系、チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケルなどの遷移元素の合金をベースにした、AB2型、希土類元素、ニオブ、ジルコニウムに対して触媒効果を持つ遷移元素を含む合金をベースにしてAB5型、水素との親和力が強いカルシウムとニッケルなどの遷移元素と合金を中心とするCa系合金などを知られている。
本実施の形態の水素センサ1の水素吸蔵金属35としては、これらの水素吸蔵金属を使用することができるが、本実施の形態では、水素吸蔵金属35として、好適には、パラジウム(Pd)を使用した。その理由は、パラジウム(Pd)は、自分の体積の935倍もの水素を吸収可能であり、検出の応答性が高く、膜厚を薄く成膜することができ、本実施の形態の水素センサ1の水素吸蔵金属として使用するのが好ましいからである。
さらに、水素検出の応答速度を向上させる(検出時間を短縮する)ためには、水素吸蔵金属35として、パラジウム(Pd)のナノ粒子、もしくは、パラジウム(Pd)の薄膜、さらには、パラジウム合金薄膜、あるいは、白金(Pt)ナノ粒子、疎に成膜される白金メッキで構成することが好ましい。
水素吸蔵金属35の膜の厚さは、水素を検出する応答速度または検出感度に応じて規定する。
なお、本明細書において、便宜的に、上述したナノ粒子、白金メッキ、疎に成膜されるナノ粒子などを膜と総称する。
水素吸蔵金属の膜厚は二律背反する課題に遭遇している。すなわち、水素吸蔵材料の屈折率プロファイル(反射率プロファイル)および誘電関数の変化を十分に得るために水素吸蔵材料に厚みをもたせると(厚くすると)、水素吸蔵金属の容積の増加に伴い、水素をその吸蔵材料に吸蔵・放出する際に時間がかかり、応答性が低い。他方、水素吸蔵材料の膜を薄く作ると、その材料の屈折率変化、反射率変化、膨張は僅かであるために、水素を捉える(検出する)事が難しい。
本願発明においては、このような二律背反する課題を克服するため、ヘテロコア部の周囲を覆って、表面プラズモン共鳴(SPR)を励起することのできる金属31の膜、好ましくは、貴金属の膜を成膜(形成)している。
金属の膜および表面プラズモン共鳴
第1の光ファイバ10のクラッド層に第2の光ファイバ20からの伝搬光が入射され、クラッド層の表面には金属層31にエバネッセント波が広がるように、ヘテロコア部の周囲を覆って表面プラズモン共鳴(SPR)を励起することのできる金属31の膜(薄膜)、好ましくは、貴金属の膜(薄膜)が成膜(形成)されている。
一般には、空気中から入射する光は金属中の電子疎密波(プラズモン)とはカップリングしないが、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属、好ましくは、金などの貴金属の表面にガラス内部から入射する場合では、たとえば、nmオーダーの表面では、光はプラズモンとカップリングする。これを表面プラズモン共鳴(SPR)と呼ぶ。
図3(D)に例示したように、エバネッセント波が金属31の薄膜のSPRとカップリングする。このカップリングにより、ガラスから入射する光のエネルギーは表面プラズモン波に一部移乗し、その時の共鳴条件を満たす波長(ガラス内部)で共鳴的な励起がなされる。この共鳴波長(波数)は金属31の外の屈折率によって変化する。したがって、SPRの共鳴波長の変化から、水素吸蔵金属35の屈折率の変化を捉える事ができる。
本願発明においては、このように、金属31の薄膜による周囲の屈折率変化を鋭敏に検知することのできる、表面プラズモン共鳴を利用することで、水素吸蔵金属35の膜を薄く形成してもその水素吸蔵時の変化を捉える事ができる。その結果、水素センサ1の応答速度が改善する。また、金属31の薄膜による表面プラズモン共鳴を利用することで、水素の検出感度の向上が達成することができる。
なお、本実施の形態の水素センサ1においては、水素吸蔵・放出に起因する水素吸蔵金属35の体積(容積)変化を直接検出するのではなく、表面プラズモン共鳴(SPR)を励起する金属31の薄膜による第1の光ファイバにおける共鳴波長(波数)条件の変化を用いて水素吸蔵金属35の誘電関数の変化を捉えて水素を検出して、水素吸蔵金属の膜厚に関する、上述した水素吸蔵金属の膜厚に関する上述した二律背反する課題を克服している。
したがって、本発明の実施の形態では、水素吸蔵金属35の膜厚を薄くして、水素検出の感度を高めることができる。すなわち、金属31を用いることにより、検出速度を高めるため、水素吸蔵金属35の膜厚を薄くしても迅速な水素検出性能を発揮させることができる。
誘電体
水素吸蔵金属35は、水素の吸収・放出に起因して、屈折率プロファイルおよび誘電関数が変化をする。他方、貴金属31は、表面プラズモン共鳴による共鳴波長条件の変化を起こす作用をする。
これらを直接結合しても、所望の波長領域では水素検出の機能を達成することはできない。これを解決するため、本願発明は、水素吸蔵金属35と金属31とを結合するため、金属31と水素吸蔵金属35との間に誘電体33を介在させている。
すなわち、誘電体33は、水素吸蔵金属35を含む膜の誘電関数を調整する役割を果たす。誘電体33の膜厚は、表面プラズモン共鳴によるエバネッセント波の影響が水素吸蔵金属35まで及ぶ範囲である。
誘電体33の膜厚が厚すぎてエバネッセント波の影響が水素吸蔵金属35に及ばないと、水素吸蔵金属35の誘電関数を含む膜の調整する役割を発揮しない。
水素吸蔵金属35を含む膜の誘電関数を調整する誘電体33としては、たとえば、タンタル、好適には、五酸化タンタル(Ta25)、二酸化シリコン(SiO2)などを用いることができる。
タンタルまたは五酸化タンタルを使用すると、二酸化シリコンに比べて、誘電体33の膜厚を薄くすることができるので、誘電体33として五酸化タンタルを用いることが望ましい。
また、タンタルまたは五酸化タンタルは水素吸蔵金属35にパラジウム(Pd)を使用した場合への適合性に優れる。
水素センサの基本動作
水素吸蔵金属35が、吸蔵・放出した水素に応じて、誘電関数および反射率(屈折率)のプロファイルが変化し、または体積膨張・収縮をする。
誘電体33により、水素吸蔵金属35を含む膜の誘電関数を変化させ、第1の光ファイバ10に形成された金属31における表面プラズモン共鳴の共鳴波長が変化し、共鳴波長が変化する。
その結果、第2の光ファイバ20から第1の光ファイバ10に伝搬されて入射した光のスペクトルが変化する。
たとえば、図1に図解した水素検出装置100の測定装置106において、その変化量から水素濃度を計測することができる。
図1の検出装置100において、共鳴波長の変化で水素を測定する場合、発光素子102は白色光源を用い、受光素子104と測定装置106とを光スペクトルアナライザに代えて測定することができる。
また、表面プラズモン共鳴における共鳴波長の変化に伴ってその反射スペクトル自体がシフトを生じる結果、ある光ファイバ中の伝搬波長に着目すると、その光強度が変化する。その結果、単一光源、たとえば、図1の発光素子102と、受光部、たとえば、図1の受光素子104によって計測する構成も可能となる。
製造方法
図4を参照して上記水素センサ1を製造する方法を述べる。
工程1、ヘテロコア構造の作成
ヘテロコア構造を作成する。例えば、光伝搬路部は、マルチモードファイバの第2の光ファイバ20のコア径50μmとし、その途中を切断し、コア径3μmのシングルモードファイバの第1の光ファイバ10を長さLを、たとえば、10〜50mm挿入するように融着して組み込む。その結果、このコア径が細いヘテロコア部において、伝搬光の多くは第1の光ファイバ10の外界に漏洩する状態となる。
工程2、金属31の形成
第1の光ファイバ10のヘテロコア部の周囲を覆うように、表面プラズモン共鳴を励起することのできる金属31、好ましくは,貴金属をスパッタリングまたは真空蒸着装置など金属薄膜を形成できる手段を用いて成膜する。
工程3、誘電体33の形成
金属31の外周に、水素吸蔵金属35を含む膜の誘電関数を調整する役割を果たす誘電体33を成膜する。
工程4、水素吸蔵金属35の形成
誘電体33の外周に水素吸蔵金属35を成膜する。
金属31として、好ましくは、金を用い、その膜厚は、10〜50nmであり、たとえば、25nmである。
たとえば、水素吸蔵金属35としてパラジウム(Pd)を用い、水素を吸蔵する金属を含む膜の誘電関数を調整する誘電体33として、好ましくは、5酸化タンタルを用いる。5酸化タンタルの膜厚は、50〜70nmであり、たとえば、60nmである。
パラジウムの膜の厚さは、水素検出性能(検出時間)に応じて規定されるが、たとえば、2〜20nmの範囲であり、好ましくは、たとえば、3〜10nmである。
なお、金属31、誘電体33、水素吸蔵金属35の成膜としては、第1の光ファイバ10を長さLが10〜50mm程度第2光ファイバ20に挿入され、全長が100mm程度に第1の光ファイバ10と第2光ファイバ20とを接続したものを、たとえば、窒素雰囲気のチャンバー内に配置し、高周波スパッタリング装置もしくは真空蒸着装置を用いて、順次、金属31の薄膜の成膜、誘電体33の薄膜の成膜、そして、水素吸蔵金属35の薄膜の成膜を行う。
その成膜方法としては、断面が円の、第1の光ファイバ10の外周に、上記した金属31、誘電体33、水素吸蔵金属35の薄膜を形成するので、光ファイバ10、20を軸心を、金属粒子、誘電体粒子、水素吸蔵金属粒子を噴出する材料源に対して中心に円滑に回転させながら、かつ、光ファイバ10、20を長手方向に回転されながら行う。すなわち、2方向に同時に回転させながら行う。
水素センサ1の具体的構成例
以上のように形成した水素センサ1の具体的な構成例を述べる。
a.第1の光ファイバ10(シングルモードファイバ)
第1コアの直径φ11=3μm
第1クラッドの直径φ13=125μm
第2光ファイバ20の長さL=15〜20mm
b.第2の光ファイバ20(マルチモード光ファイバ)
第2コアの直径φ21=50μm
第2クラッドの直径φ23=125μm
c.金属(貴金属)31
材質、金
厚さt31=25nm
d.誘電体33
材質、五酸化タンタル(Ta25
誘電体33の厚さt33=60nm
e.水素吸蔵金属35
材質、パラジウム(Pd)
厚さt35=3〜10nm
工程5、水素検出装置への組み立て
上記水素センサ1を、図1に例示した水素検出装置100、または、図2に例示した水素検出装置200に適用する。
水素雰囲気中に上記処理で作成された、図3に例示した構造の光ファイバ水素センサを配置すると、水素吸蔵金属35が水素を含み、その誘電関数および屈折率プロファイルが変化する、または、体積膨張をする。
ここで、誘電関数の変化によって第1の光ファイバ10の外周に成膜された金属31の薄膜における表面プラズモン共鳴の共鳴波長が変化し、共鳴波長の変化量から水素濃度を計測することができる。
また、表面プラズモン共鳴における共鳴波長の変化に伴ってその反射スペクトル自体がシフトを生じる結果、ある光ファイバ中の伝搬波長に着目すると、その光強度が変化し、単一光源と受光部による計測構成も可能となる。
実験例および評価
図5は図3を参照して述べた水素センサ1の透過スペクトルを示す図である。
窒素雰囲気中と水素雰囲気中で、水素吸蔵金属35としてのパラジウム(Pd)の膜厚d2を、5nm、7nmと変化させた。
この結果から、水素吸蔵金属35による水素吸蔵時にスペクトルが長波長側にシフトし、変化を検出できていることが分かる。
また、パラジウム(Pd)の薄膜が薄いほうが、スペクトルのディップが長波長側にあるのがわかる。
図6は、図3に図解した光ファイバ水素センサの、水素吸蔵金属35としてのパラジウムの薄膜d2を5nmとしたときの、図7はパラジウムの薄膜d2を3nmとしたときの、実時間応答を示す図である。
図6および図7において、この水素センサを図1に図解した水素検出装置100に適用したとき、波長850nmの発光素子102と、受光素子104(または、測定装置106、または、光スペクトルアナライザ)における透過光強度計測している。
図6、図7の図解から、本実施の形態の水素センサ1によれば、水素吸蔵の過程をリアルタイムで検出可能であることが判る。
特に、図7において、水素吸蔵金属35としてのパラジウムの薄膜d2を、図5の条件の膜厚d2=5nm、7nmよりさらに、3nmと薄くしたことで、水素を検出する即時応答性が向上しているのがわかる。
図8は図3を参照した述べた水素センサ1の水素ガス濃度に対する伝搬波長850nm(発光素子102の射出光の波長)における光損失特性を示す図である。
水素吸蔵金属35としてのパラジウム(Pd)の薄膜の厚さd2について、曲線CV1、CV2により図解したように、5nm、3nmのいずれも、水素ガスに対して単調な光損失変化を生じていることがわかる。
また、パラジウムの膜厚が厚いほうが高感度になっていることも判る。
このように、本実施の形態の水素センサ1およびそれを用いた検出装置は、下記の効果を奏する。
(1)誘電体33を、金属31と水素吸蔵金属35との間に介在させることにより、水素吸蔵金属35の作用と、金属31による表面プラズモン共鳴とを結合させて、水素を効率的に検出することが可能となった。
(2)金属31の膜、たとえば、金の膜による周囲の屈折率変化を鋭敏に検知することのできる、表面プラズモン共鳴を利用することで、水素吸蔵金属の膜を薄く形成してもその水素吸蔵時の変化を捉える事が出来、その結果、センサの応答速度が改善した。
また、表面プラズモン共鳴を利用することで、感度向上が可能となった。
(3)第2の光ファイバ20としてマルチモードファイバを利用しているために、反射スペクトル帯域が広がることで、可視光領域全体で光強度変化を生じさせることが可能となり、単一光源(発光素子102)、単一受光部(受光素子104)の単純な計測構成で安定しかつ応答速度の速いシステムを構成することができる。
すなわち、第2の光ファイバ20にマルチモードファイバを用いることで、表面プラズモン共鳴による反射の波長スペクトルが広帯域になり、そのために、より鋭敏に水素吸蔵時の変化を捉える事ができる。
(4)水素吸蔵における水素吸蔵金属の誘電関数の変化をとるために、光ファイバ中の伝搬光を外界に漏洩させる必要があるが、ヘテロコア構造は融着によって構成されるためにその機械的強度が確保され安定した計測を実現することができる。
(5)水素センサに必要な水素吸蔵金属35を膜厚が薄い状態で水素センサとして機能させることができるため、その水素検出の応答速度が向上させることができる。その結果、水素漏洩検出における安全性をより高めることができる。
(6)水素センサ1および水素検出装置100、200の全てに電気的接点を用いないので、火災、感電などに対する安全性が高い。
(7)水素センサ1および水素検出装置100、200の全てにおいて、酸素と水素とが混在することがなく、安全性が高い。
(8)水素検出装置として、たとえば、図2に図解したように、反射/後方散乱光強度分布測定装置、たとえば、OTDRを用い、多点に複数の水素センサ1を用いた光ファイバ多点計測システムを用いることで多点計測も可能となる。
水素検出装置
本実施の形態の水素センサ1を図1に例示した水素検出装置100に適用すると、発光素子102から入射させた第2の光ファイバ20内の光の透過光強度の変化を、受光素子104で検出し、測定装置106において水素ガスの濃度を検出する。
光源の発光素子102は、単一波長光源であり、受光素子104の受光部にフォトダイオードを用いた簡便な構成である。
また、透過光強度を利用するために、光の強度が高く、高いS/Nも確保することができる。
本実施の形態の水素センサ1を複数個、図2に例示した水素検出装置200に適用して、多点計測し、反射/後方散乱光強度分布測定装置、例えば、OTDRにおいて水素濃度を検出することができる。
水素センサ1は、給電をせずに、種々の検出(測定)箇所に容易かつ任意に、配設することができる。
このように、インライン光ファイバセンサを用いて、たとえば、水素漏洩を検出する装置において、水素センサとして、表面プラズモン共鳴を利用することで、水素吸蔵金属の膜を薄く形成してもその水素吸蔵時の変化を捉える事が出来、その結果、センサの応答速度が改善した。また、表面プラズモン共鳴を利用することで感度向上が可能となった。
また、光ファイバ20Bとしてマルチモードファイバを用いることで、表面プラズモン共鳴による反射の波長スペクトルが広帯域になり、そのために、より鋭敏に水素吸蔵時の変化を捉える事ができる。
光ファイバ中の伝搬光を一旦漏洩させるための構造を、好ましくは、ヘテロコア構造とすることで、光を漏洩させながらも構造強度が確保され実用性が高いセンサとなる。
本発明の水素センサの実施に際しては、上述した材料、膜厚に限らず、たとえば、表面プラズモン共鳴または局所表面プラズモン共鳴を励起可能な種々の金属、好ましくは、種々の貴金属、および、種々の水素吸蔵金属、および、その誘電関数を変化させる種々の誘電体を、それぞれ、水素検出の目的を達成するように、所望の膜厚に成膜して製造することができる。
第3実施の形態
図9〜図14を参照して本発明の水素検出装置の第3実施の形態について述べる。
図9は本発明の水素検出装置の第3の実施の形態の構成例を示す図である。
図9に図解した水素検出装置300は、メイン光ファイバ40−1〜40nと、複数の分岐カプラ50−1〜50−nと、個別光ファイバ60−1〜60−nと、複数の水素センサ3−1〜3−nと、光信号測定装置302とを有する。
複数の水素センサ3−1〜3−nは、水素を検出すべき場所に配設される。
光信号測定装置302としては、たとえば、反射/後方散乱光強度分布測定装置、好ましくは、光パルス試験器(OTDR)、あるいは、OFDRを用いる。
図9に図解した水素検出装置300の動作原理を述べる。
測定装置302からの射出光パルスLeが、メイン光ファイバ40−1を経由して伝搬されて第1の分岐カプラ50−1に入射される。
分岐カプラ50−1において、射出光パルスLeを所定の分岐比で分岐して、個別光ファイバ60−1と、メイン光ファイバ40−2に射出する。
個別光ファイバ60−1には対応する水素センサ3−1が接続されている。
図10を参照して後述する水素センサ3−1において、図3を参照して上述した水素センサと同じ原理で、水素を検出する。
水素センサ3−1において、水素が検出されたとき、その検出に対応して変調された光パルスが、水素センサ3−1内、具体的には、図10の第1の光ファイバ80の右側端面で反射される。反射光は個別光ファイバ60−1を経由して伝搬されて分岐カプラ50−1に入射され、メイン光ファイバ40−1を経由して伝搬されて測定装置302に入射する。
測定装置302は、たとえば、OTDRは、反射/後方散乱光強度分布測定方法により、水素センサ3−1において水素が検出されたことを検出することができる。
また、分岐カプラ50−1からメイン光ファイバ40−2に入射した光パルスが分岐カプラ50−2において所定の比率で分岐されて、個別光ファイバ60−2と次のメイン光ファイバ40−3に射出される。個別光ファイバ60−2には水素センサ3−2が接続されている。水素センサ3−2において水素が検出された場合、その検出に対応する光パルスが個別光ファイバ60−2を経由して伝搬されて分岐カプラ50−2に入射され、メイン光ファイバ40−2、分岐カプラ50−1、メイン光ファイバ40−1を経由して測定装置302に入射する。
測定装置302は、たとえば、反射/後方散乱光強度分布測定方法により、水素センサ3−2において水素が検出されたことを検出する。
以下、後段の、メイン光ファイバ、分岐カプラ、水素センサについても、上記同様である。
これにより、測定装置302において、それぞれ所定の位置に配設された水素センサ3−1〜3−nにおける水素検出を検知することができる。
水素センサ3−1〜3−nとして、後述する反射型水素センサを用いる。
メイン光ファイバ40−1〜40n、分岐カプラ50−1〜50−n、および、個別光ファイバ60−1〜60−nは、測定装置302からの光パルスを伝搬する「往路」を構成している。
また、個別光ファイバ60−1〜60−n、分岐カプラ50−1〜50−n、およびメイン光ファイバ40−1〜40nは、各水素センサ3−1〜3−nからの水素検出に応じた反射光パルスを伝搬して測定装置302に戻す「復路」を構成している。
メイン光ファイバ
メイン光ファイバ40−1〜40nは、マルチモード光ファイバを用いるのが好ましい。その理由は、マルチモード光ファイバは、シングルモード光ファイバに比較して、広帯域である、光ファイバ同士の接続および分岐カプラ50−1〜50−nとの接続を容易に行うことができる、低価格であるなどの利点がある。
分岐カプラ
分岐カプラ50−1〜50−nは、測定装置302から射出される波長の光パルスを、低い損失で分岐して、メイン光ファイバ40−1〜40nと個別光ファイバ60−1〜60−nに出力する。
分岐カプラ50−1〜50−nを用いると、測定装置302からの光パルスの低減衰で、後段の多数の水素センサ3に入射光を提供することができる。
たとえば、分岐比が50:50の場合の損失は3dBであり、分岐比が75:25の場合の損失は6dBである。
各分岐カプラ50−1〜50−nの分岐比は、水素センサ3−1〜3−nの数などによって規定されるが、本実施の形態では、それぞれ同じ分岐比であり、たとえば、分岐比、1:8で入射光を分岐する。
なお、分岐カプラは、比較的温度制御が容易で、生産性がよく、低価格である。
個別光ファイバ
個別光ファイバ60−1〜60−nは、マルチモード光ファイバを用いるのが好ましい。その理由は、接続される、後述する水素センサ3−1〜3−nの部分にマルチモードを用いており、接続など荷便利である。さらに、光ファイバ40−1〜40nについて述べたと同様、マルチモード光ファイバは、広帯域である、低価格であるなどの利点があるからである。
水素センサ
図10は、図9の水素検出装置に適用する複数の水素センサ3−1〜3−nの1つの構成を示す断面図である。以下、複数の水素センサ3−1〜3−nの1つを水素センサ3と代表して述べる。
図10に図解した水素センサ3は、第1の光ファイバ80と、第2の光ファイバ90とを有する。また、水素センサ3は、水素検出および反射部70を有する。
図10に図解した水素センサ3は、ヘテロコア構造を持ち、表面プラズモン共鳴(SPR)およびエバネッセント波を用いる図3を参照して述べた水素センサ1と同じ原理で動作する光ファイバ水素センサである。
ただし、検出した光パルスを、図3に図解したように水素センサ内を通過(貫通)するのではなく、通過反射させる点が異なる。すなわち、図3に図解した水素センサ1は、発光素子102からの入射光を受光素子104側に通過させる、貫通型(または通過型)水素センサであるのに対して、本実施の形態の水素センサは光反射型水素センサである。
そのため、後述する「反射部」を有しており、第1の光ファイバ80の端面おいて水素検出に応じて変調された光パルスを反射させる。その反射光は、対応する個別光ファイバ60、分岐カプラ50を経由して測定装置302に入射される。
第1の光ファイバ80は、たとえば、石英ガラスで形成され、たとえば、シングルモードファイバとして形成されており、その基本構成は、第1コア81と、その外周に形成された第1クラッド82とを有する。
第2の光ファイバ90は、たとえば、石英ガラスで形成され、たとえば、マルチモード光ファイバとして形成されており、その基本構成は、第2コア91と、その外周に形成された第2クラッド92とを有する。
ヘテロコア構造
第1の光ファイバ80は、その中の伝搬光を外部に漏洩させるための構造を持つように構成される。その好適な例として、図3を参照して述べた水素センサ1と同様、「ヘテロコア構造」をとる。
図10に図解したように、第2の光ファイバ90の右側の切断部分に、第1の光ファイバ80を挿入するように、第1コア81の端面と第2コア91の端面とを対向させて融着して、第2の光ファイバ90の第2コア91内に第1の光ファイバ80の第1コア81を組み込み、ヘテロコア構造とする。
第1の光ファイバ80の長さL80は、たとえば、2mmである。
第1の光ファイバ80の第1コア81の直径φ81は、第2の光ファイバ90の第2コア91の直径φ91より小さい。すなわち、φ81<φ91である。たとえば、φ81=3μm、φ91=50μmである。
このようにヘテロ構造に構成することにより、第1の光ファイバ80のコア81の直径φ11が細いヘテロコア部において、第2の光ファイバ90からの伝搬光の多くは第1の光ファイバ80の外界に位置する部分、本実施の形態では、金属31、たとえば、好ましくは、貴金属、たとえば、金に漏洩する構造となっている。
光ファイバ中の伝搬光を漏洩させるための構造をヘテロコア構造とすることで、図3を参照して述べた水素センサ1と同様、光を漏洩させながらも構造強度が確保され実用性が高い水素センサを提供することができる。
水素検出部
第1の光ファイバ80の第1クラッド82の外周には水素を検出する水素検出部が形成されている。
水素センサ3の水素検出部は、図3を参照して述べた水素センサ1と同様、第1クラッド82の外周に、金属71の膜、誘電体72の膜、水素を吸蔵する金属(水素吸蔵金属)73の膜が積層されて形成されており、この部分で水素の検出に応じた光パルス信号を生成する。
水素吸蔵金属73の膜、金属71の膜、誘電体72の膜については、その原理(機能)および材質,膜厚などについて、図3を参照して述べた水素センサ1の、水素吸蔵金属の膜、金属の膜、誘電体の膜と同様である。
すなわち、図3を参照して述べた水素吸蔵金属35の膜と同じに、水素吸蔵金属73において水素を吸収して体積を変化させる。この体積変化から水素を検出することができる。水素吸蔵金属73の膜が水素を吸蔵・放出すると、その光学特性が変化し、水素吸蔵金属35の膜の屈折率プロファイルおよび誘電関数が変化する。原理的には、この変化を用いると水素を検出することができる。
反射部分
図10に図解した水素センサ3は、図3に図解した水素センサ1とは異なり、第2の光ファイバ90と対向する第1の光ファイバ80の右側の端面を覆って、上述した、金属71の膜、誘電体72の膜、水素を吸蔵する金属(水素吸蔵金属)73の膜と同じ膜が積層されて形成されており、光反射部を形成している。光反射部は、水素検出に応じて変調された光を反射させる。
反射光は、水素センサを構成する、第1の光ファイバ80および第2の光ファイバ90、さらには、対応する個別光ファイバ60−1〜60−n、対応する分岐カプラ50−1〜50−n、メイン光ファイバ40−1〜40nを経由して、測定装置302に入射される。
水素センサ3の第1の光ファイバ80の反射面は、所定の光学的反射条件、たとえば、光の波長、モードなどに応じて規定される。
本実施の形態においては、水素検出部と光反射部とが一体化されているので、水素検出および反射部70と呼ぶ。
水素検出および反射部70は、金属71の膜、誘電体72の膜、水素を吸蔵する金属(水素吸蔵金属)73の膜が図解のごとく、積層されて形成されている。
本実施の形態において、反射部を水素検出部と同じ構造としているのは、たとえば、直径125μm程度と小さい第1の光ファイバ80の端面に別途反射部を形成する困難さを考慮して、水素検出部と同じ製造プロセスで製造している。すなわち、製造の便宜であり、原理的には、表面プラズモン共鳴による変調された光を反射可能な部分として形成されていればよい。
水素センサ3−1〜3−nを用いれば、測定装置302、たとえば、OTDRにおいて、各水素センサ3−1〜3−nからの反射光の損失に基づいて、水素の検出状態を判断することができる。
図11は、図9を参照して述べた水素検出装置の構成例において、図10に示す水素センサを用いた場合の1点目(前段)に接続された水素センサの実時間応答を示す図である。
図12は、図9を参照して述べた水素検出装置の構成例において、図10に示す水素センサを用いた場合の、前段に1点目の水素センサがあり、2点目(後段)に接続された水素センサの実時間応答を示す図である。
図13は、図9を参照して述べた水素検出装置の構成例において、図10に示す水素センサを用いた場合の、水素ガス濃度に対する、計測装置302から射出される、伝搬波長850nmの光における光損失特性を示す図である。
以上から、濃度4%の水素が明瞭に検出されていることを表している。
図13の図解は、時間経過に伴い検出できる水素の濃度が異なることを表している。
以上、本発明の第3実施の形態として、図10に図解した反射型水素センサを用いてた図9に図解した検出装置において、複数の水素センサ3−1〜3−nにおける水素検出を検出することができる。
図9を参照して述べた反射型水素センサを図10を参照して述べた分岐カプラを用いた検出装置に適用した場合、図3を参照して述べた貫通型水素センサを図1を参照して述べた検出装置に適用した場合と比較すると、下記の利点がある。
(1)前段の貫通型水素センサにおける伝搬損失が積算されず、光が後段まで伝搬されるので、全ての水素センサにおいて正確な検出を行うことができる。
(2)図1の検出装置においては、前段の水素センサを通過した後の光は、モード状態が変化するため、後段の水素センサの感度が低下するが、本実施の形態においては、光が水素センサを通過せずに後段の水素センサに光を伝送するので、複数の水素センサを用いた場合でも感度低下が起きない。
検出時間の短縮
上述した貫通型水素センサまたは反射型水素センサは、通常の雰囲気、たとえば、大気中、常温状態も使用可能である。したがって、本願発明者は水素センサを加熱することにより、検出時間を一層短縮できることを見いだした。
図14は図1に対応した実験装置の構成図である。
図14に図解した実験装置は、波長850nmの光を射出するLED120、貫通型水素センサ1を収容するガスチャンバー108、測定装置106としての光パワーメータ、たとえば、光スペクトルアナライザを有する。
ガスチャンバー108の導入口には、切替弁を介して、窒素ガスボンベおよびその流量計、または、水素ガスボンベおよびその流量計から、窒素ガスまたは水素ガスが導入される。
水素ガスは、貫通型水素センサ1による被検出対象ガスである。
窒素ガスは、ガスチャンバー108に導入された水素ガスを排出口から排出したのち、次の水素検出のため、ガスチャンバー108内を還元し、貫通型水素センサ1の水素吸蔵金属35に付着または吸蔵されている水素を還元するための還元ガスである。還元ガスとしては、窒素のほか、アルゴンなど他の不活性ガスを用いることもできる。
加熱に関する条件
水素センサの加熱は下記の条件で行った。
(1)水素センサ
金属31、金、膜厚25nm
誘電体33、五酸化タンタル(Ta25)、膜厚60nm
水素吸蔵金属35、パラジウム(Pd)、膜厚10nm
(2)加熱条件
空気中またはアルゴンガス中で、600°Cが1時間加熱し、
加熱後、水素に、たとえば、15分浸した後、
水素センサとして検出に使用した。
実験例(1)
図15は、空気中で水素センサを加熱したときの、水素センサの水素に対する光強度を示す特性図である。
図16は、加熱しない水素センサとして、水素吸蔵金属35、パラジウム(Pd)、膜厚3nmとした場合の、実時間光損失応答特性図である。
加熱したときの応答時間が8秒であり、加熱しない水素センサの応答時間が、パラジウムの膜厚が3nmでも、15秒に対して、短縮している。
実験例(2)
図17は、アルゴンで水素センサを加熱したときの、実時間光損失応答特性図である。
図17から、アルゴンで加熱した場合も、応答時間が9秒と短縮していることが判る。
以上のように、雰囲気として、酸素を含む空気中、または、酸素を含まないアルゴンガス雰囲気であれ、水素センサを事前に加熱することにより、応答時間がさらに短縮されることが判る。
その理由としては、水素センサを加熱することにより、水素センサを構成する水素吸蔵金属35、たとえば、パラジウム(Pd)の表面状態が変化し、水素吸収性能が高まるものと推定される。
このように、図1に図解した検出装置100において、応答速度の一層の向上を得るため、貫通型水素センサ1を上述した構成とし、水素センサを事前に加熱して使用することが好ましい。
上述した加熱処理による応答速度の向上を図る水素センサとしては、図10を参照した反射型水素センサ3、および、反射型水素センサ3を用いた検出装置300にも適用することができる。
本発明によれば、上述した実施の形態に限らず、ヘテロコア構造をとり、表面プラズモン共鳴を用いる種々のガスセンサ、および、そのガスセンサを用いた検出装置を提供することができる。
1、3…水素センサ、
10…第1の光ファイバ、11…第1コア、13…第1クラッド、
20…第2の光ファイバ、21…第2コア、23…第2クラッド、
31、71…表面プラズモン共鳴を励起する金属(貴金属)、
33、72…水素吸蔵金属を含む膜の誘電関数を調整する誘電体、
35、73…水素吸蔵金属、
100、200、300…水素検出装置、
102…発光素子、104…受光素子、106…測定装置
202、302…測定装置(OTDR)

Claims (14)

  1. 所定の長さの第1の光ファイバと、
    当該第1の光ファイバの両端に前記第1の光ファイバの外周に光が漏洩するように接続された第2光ファイバと、
    前記第1の光ファイバの外周に形成された、
    表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴を励起することが可能な金属の膜と、
    当該金属の膜の外周に形成された誘電体の膜と、
    当該誘電体の膜の外周に形成された水素吸蔵金属の膜と
    を具備し、
    前記誘電体の膜は、前記水素吸蔵金属の膜の誘電関数を調整する役割を果たす、
    水素センサ。
  2. 所定の長さの第1の光ファイバと、
    当該第1の光ファイバの一方の端部に前記第1の光ファイバの外周に光が漏洩するように接続された第2光ファイバと、
    前記第1の光ファイバの外周および他方の端部に形成された、
    表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴を励起することが可能な金属の膜と、
    当該金属の膜の外周に形成された誘電体の膜と、
    当該誘電体の膜の外周に形成された水素吸蔵金属の膜と
    を具備し、
    前記誘電体の膜は、前記水素吸蔵金属の膜の誘電関数を調整する役割を果たし、
    前記第1の光ファイバの他方の端部に形成された、前記金属の膜と、前記誘電体の膜と、前記水素吸蔵金属の膜とが、前記第1の光ファイバに入射された光を反射する役割を果たす、
    水素センサ。
  3. 前記第1の光ファイバの前記第1コアの直径は、前記第2の光ファイバの前記第1コアの直径より小さく、前記第1の光ファイバと前記第2光ファイバとはヘテロコア構造を構成している、
    請求項1または2に記載の水素センサ。
  4. 前記誘電体の膜は、前記金属の膜におけるエバネッセント波の影響が前記水素吸蔵金属の膜に及ぼす厚さに形成されている、
    請求項1〜3のいずれかに記載の水素センサ。
  5. 前記金属の膜は、表面プラズモン共鳴または局在表面プラズモン共鳴を励起することが可能である、
    請求項1〜4のいずれかに記載の水素センサ。
  6. 前記水素吸蔵金属の膜厚は、検出感度または応答性に応じて規定される、
    請求項1〜5のいずれかに記載の水素センサ。
  7. 前記金属の膜は、金の膜であり、
    前記誘電体の膜は、5酸化タンタルの膜であり、
    前記水素吸蔵金属の膜は、パラジウムの膜である、
    請求項1〜6のいずれかに記載の水素センサ。
  8. 前記金の膜の厚さは、10〜50nmであり、
    前記5酸化タンタルの膜の厚さは、50〜70nmであり、
    前記パラジウムの膜の厚さは、2〜10nmである、
    請求項7に記載の水素センサ。
  9. 前記第1の光ファイバは、シングルモード光ファイバであり、
    前記第2の光ファイバは、マルチモード光ファイバである、
    請求項1〜8のいずれかに記載の水素センサ。
  10. 請求項1、3〜9のいずれかに記載の水素センサを少なくとも1つ含み、
    前記第1の光ファイバの両端に接続された前記第2の光ファイバの一方から所定の波長の光を入射させる発光素子と、
    前記第2の光ファイバの他方からの射出光を検出する受光素子と、
    当該受光素子の検出信号に基づいて水素を検出する検出手段と
    を具備する、
    水素検出装置。
  11. 請求項2〜9のいずれかに記載の水素センサを少なくとも1つと、
    光ファイバに光を入射し、反射、もしくは後方散乱光の位置および強度を測定して水素を検出する光強度分布測定装置と、
    前記光強度分布測定装置に接続された、第3の光ファイバと、
    前記第3の光ファイバの所定の位置に接続された分岐カプラと、
    一方が前記分岐カプラに接続され、他方が前記水素センサの第2の光ファイバに接続された第4の光ファイバと、
    を有し、
    前記光強度分布測定装置は、前記第3の光ファイバにパルス光を入射し、前記水素センサからの反射光に基づいて、当該水素センサが検出した水素を検出する、
    水素検出装置。
  12. 前記第3の光ファイバはマルチモード光ファイバであり、
    前記第4の光ファイバはマルチモード光ファイバである、
    請求項11に記載の水素検出装置。
  13. 前記水素センサを事前に加熱して使用する、
    請求項10〜12のいずれかに記載の検出装置。
  14. 請求項10〜12のいずれかに記載の検出装置を用いた水素検出方法であって、
    前記水素センサを事前に加熱して使用する、
    水素検出方法。
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