JP2014058953A - 車両のトルク制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料カットの実行に伴う車両のしゃくりを適切に抑えることのできる車両のトルク制御装置を提供する。
【解決手段】この装置は、車両減速中に内燃機関を燃料カットに移行させるときに(t1〜t5)、機関トルクを漸減させる(t2以降)。出力トルクの漸減を内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始するとともに(t2)、出力トルクの漸減の実行を、内燃機関から車両の駆動輪までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけて行う(t2〜t3,t4〜t5)。
【選択図】図4
【解決手段】この装置は、車両減速中に内燃機関を燃料カットに移行させるときに(t1〜t5)、機関トルクを漸減させる(t2以降)。出力トルクの漸減を内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始するとともに(t2)、出力トルクの漸減の実行を、内燃機関から車両の駆動輪までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけて行う(t2〜t3,t4〜t5)。
【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の燃料カットを行う車両に適用されるトルク制御装置に関し、詳しくは燃料カットへの移行に際しての車両のしゃくりの発生を抑制するための制御構造の改良に関するものである。
車載内燃機関では、燃費向上のため、車両減速時に内燃機関への燃料供給を停止する燃料カットが行われる。燃料カットへの移行に際しては、それまで存在していた内燃機関の出力トルクが急に失われるため、「しゃくり」と呼ばれる車両前後方向の繰り返し振動が発生する。そこで従来、例えば特許文献1に見られるように、燃料カットへの移行時に、内燃機関の点火時期を徐々に遅角して出力トルクを漸減することで、しゃくりの発生を抑えることがなされている。
車両が減速されると、車両駆動源としての内燃機関の運転状態が急変するため、吸入空気量の変動を招き易い不安定な状況になる。そのため、このとき単に内燃機関の出力トルクを漸減させるためのトルク低減制御を実行したとしても、出力トルクを適正に調節することは困難であると云える。そして、こうした場合には車両のしゃくりを適切に抑えることができなくなるおそれがある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料カットの実行に伴う車両のしゃくりを適切に抑えることのできる車両のトルク制御装置を提供することにある。
(発明の解決原理)
内燃機関を駆動源として備える車両では、その減速時に内燃機関の燃料カットが行われる。こうした車両では、内燃機関の燃料カットへの移行時に、同内燃機関・駆動輪間の動力伝達を担う動力伝達系に内燃機関から伝達されるトルク、すなわち内燃機関の出力トルクを漸減することで、燃料カットに伴うトルク段差に起因した車両のしゃくりの発生を抑制することができる。
内燃機関を駆動源として備える車両では、その減速時に内燃機関の燃料カットが行われる。こうした車両では、内燃機関の燃料カットへの移行時に、同内燃機関・駆動輪間の動力伝達を担う動力伝達系に内燃機関から伝達されるトルク、すなわち内燃機関の出力トルクを漸減することで、燃料カットに伴うトルク段差に起因した車両のしゃくりの発生を抑制することができる。
このときの内燃機関の出力トルクの漸減を一定の速度で行ったとすると、内燃機関から動力伝達系へのトルクの入力は、図1の(a)に示す態様で推移する。このトルクの入力は、同図(b)に示すような単パルスのノコギリ波入力と、同図(c)に示すようなステップ入力とを重ね合わせたものと見做すことができる。
ここで、内燃機関の出力トルクの漸減期間dtを、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍とすると、同図(b)の単パルスのノコギリ歯入力に対する応答は、同図(e)に示す通りとなる。一方、このときの同図(c)のステップ入力に対する応答は、同図(f)に示す通りとなる。すなわち、このときには、内燃機関の出力トルクの漸減が終了した後の、単パルスのノコギリ歯入力に対する同図(e)の応答とステップ入力に対する同図(f)の応答とがちょうど逆位相となる。そして同図(a)の入力に対する応答は、同図(d)に示すような、同図(e)、(f)の応答を重ね合わせたものとなる。すなわち、このときの同図(a)の入力に対する応答は、同図(e)、(f)の応答が互いに打ち消し合うことで、出力トルク漸減後のトルク変動が抑えられたものとなる。したがって、駆動源の出力トルクの漸減期間dtが動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍となっていれば、車両のしゃくりを効果的に抑えることができる。
(課題を解決するための手段及びその作用効果)
上記課題を解決するため、請求項1に記載のトルク制御装置は、車両減速中に車両駆動源としての内燃機関を燃料カットに移行させるときに、前記内燃機関の出力トルクを漸減させる車両のトルク制御装置において、前記出力トルクの漸減を前記内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始するとともに、前記出力トルクの漸減の実行を、前記内燃機関から前記車両の駆動輪までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍の時間をかけて行うことをその要旨としている。
上記課題を解決するため、請求項1に記載のトルク制御装置は、車両減速中に車両駆動源としての内燃機関を燃料カットに移行させるときに、前記内燃機関の出力トルクを漸減させる車両のトルク制御装置において、前記出力トルクの漸減を前記内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始するとともに、前記出力トルクの漸減の実行を、前記内燃機関から前記車両の駆動輪までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍の時間をかけて行うことをその要旨としている。
上記装置では、車両減速時における内燃機関の燃料カットへの移行時に同内燃機関の出力トルクを漸減させている。そして、このときの出力トルクの漸減の実行を、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍の時間をかけて行うようにしている。このようにして出力トルクの漸減を行うことにより、単に出力トルクを漸減させる装置と比較して、内燃機関の燃料カットへの移行に伴い発生する動力伝達系のねじり振動を効果的に抑制することができる。
しかも上記装置では、そうした内燃機関の出力トルクの漸減を、同内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始させている。これにより、車両の減速開始直後の筒内吸気量が特に不安定なときに内燃機関の出力トルクの漸減が行われなくなり、筒内吸気量の不要な変化が抑えられる状況下で同出力トルクの漸減を行うことができるため、筒内吸気量の不要な変化に起因する内燃機関の出力トルクの不要な変動を抑えることができる。そのため、予め想定した態様で変化するように内燃機関の出力トルクを精度良く調節することができ、動力伝達系のねじり振動の抑制のための上記出力トルクの漸減を適切に実行することができる。
したがって上記構成によれば、燃料カットの実行に伴う車両のしゃくりを適切に抑えることができる。
内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構が設けられた装置では、車両減速中における内燃機関の燃料カットへの移行時において、バルブオーバラップ量が比較的大きい量から小さい量に変更される。そして、バルブオーバラップ量が機関運転状態に見合う量まで縮小する過程において、筒内吸気量の不要な変動を招き易い機関運転状態になる。そのため、内燃機関の燃料カットへの移行時においてバルブオーバラップ量が小さくなったことにより、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態でなくなったことを判断することができる。
内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構が設けられた装置では、車両減速中における内燃機関の燃料カットへの移行時において、バルブオーバラップ量が比較的大きい量から小さい量に変更される。そして、バルブオーバラップ量が機関運転状態に見合う量まで縮小する過程において、筒内吸気量の不要な変動を招き易い機関運転状態になる。そのため、内燃機関の燃料カットへの移行時においてバルブオーバラップ量が小さくなったことにより、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態でなくなったことを判断することができる。
請求項2に記載のトルク制御装置では、請求項1に記載の車両のトルク制御装置において、当該装置は、前記内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構を有し、前記バルブオーバラップ量が規定値未満のときに、前記筒内吸気量が安定したとして前記出力トルクの漸減を開始することをその要旨としている。
こうした装置によれば、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態であるときに内燃機関の出力トルクの漸減が開始されることを抑えることができるため、同出力トルクを好適に調節して漸減させることができる。
バルブオーバラップ量が大きいときには、内燃機関の気筒内から吸気通路に逆流するガスの量、いわゆる吹き返し量が多い。そのため、内燃機関の燃料カットへの移行に際してバルブオーバラップ量が急速に縮小すると、吹き返し量が急速に減少するため、これに起因して吸気圧力の一時的な低下を招くといった不安定な機関運転状態になることがある。
このときには、吸気圧力の一時的な低下に伴い吸気通路の外部から内部に吸入される空気の量が一時的に多くなる。そのため、吸気通路内を通過する空気の量(通路吸気量)を検出するための検出部が設けられた装置では、検出部により検出される通路吸気量が一時的に増加していることにより、そうした不安定な機関運転状態であることを把握することができる。
請求項3に記載のトルク制御装置では、請求項1に記載の車両のトルク制御装置において、当該装置は、前記内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構と、前記内燃機関の吸気通路を通過する空気の量を検出するための検出部とを有し、前記バルブオーバラップ量が規定値未満であり且つ前記検出部により検出される空気の量が減少傾向を示すときに、前記筒内吸気量が安定したとして前記出力トルクの漸減を開始することをその要旨としている。
上記装置によれば、検出部により検出される通路吸気量の増加時に内燃機関の出力トルクの漸減が開始されるといった状況になることを抑えることができる。そのため、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態のときに内燃機関の出力トルクの漸減が開始されることを的確に抑えることができる。
以下、本発明の車両のトルク制御装置を具体化した一実施の形態について説明する。
ここでは先ず、図2を参照して、本実施の形態の適用される車両の駆動系の構成を説明する。なお、本実施の形態のトルク制御装置は、ベルト式の無段変速機を備えるとともに、その無段変速機の手前にリダクションギアが設けられたインプットリダクンション方式のギアトレーン構造を採用する車両に適用されている。
ここでは先ず、図2を参照して、本実施の形態の適用される車両の駆動系の構成を説明する。なお、本実施の形態のトルク制御装置は、ベルト式の無段変速機を備えるとともに、その無段変速機の手前にリダクションギアが設けられたインプットリダクンション方式のギアトレーン構造を採用する車両に適用されている。
図2に示すように、本実施の形態のトルク制御装置の適用される車両の駆動系には、内燃機関1が車両駆動源として設けられている。この内燃機関1には、オイルポンプやオルタネーター、A/Cコンプレッサー等の補機1aが設けられ、これら補機1aは、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト2により駆動されている。
また、クランクシャフト2は、トルク増幅作用を有した流体継ぎ手であるトルクコンバーター3、及び内燃機関1側から入力された回転を減速するリダクションギア4を介して無段変速機5に接続されている。無段変速機5は、内燃機関1側に設けられたドライブプーリー6と、駆動輪側に設けられたドリブンプーリー7との2つの可変径プーリーと、それらにそれぞれ巻き掛けられたベルト8とを備えている。そして無段変速機5は、両プーリー(6,7)のベルト巻き掛け半径を変更することで、変速比を連続的に変更するよう構成されている。
無段変速機5のドリブンプーリー7は、Def(ディファレンシャル)ドライブギア9及びDefリングギア10からなるギア対を介して、駆動輪11のドライブシャフト12に接続されている。また、ドライブシャフト12には、左右の駆動輪11の差動を許容するディファレンシャル13が設けられている。
なお、こうした車両では、トルクコンバーター3、リダクションギア4、無段変速機5、Defドライブギア9、Defリングギア10、ドライブシャフト12により、内燃機関1、駆動輪11間の動力伝達を担う動力伝達系が構成されている。
次に、図3を参照して、内燃機関1及びその周辺機器の構成を説明する。
同図3に示すように、内燃機関1の気筒20には吸気通路21を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁22から噴射された燃料が供給される。そして、気筒20内の吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対して点火プラグ23による火花放電を通じて点火が行われると、その混合気が燃焼してピストン24が往復移動することによってクランクシャフト2が回転する。燃焼後の混合気は排気として内燃機関1の気筒20から排気通路25に送り出される。また内燃機関1には、吸気バルブ26の開閉時期(いわゆるバルブタイミング)を変更するためのバルブタイミング変更機構27が設けられている。なお本実施の形態では、バルブタイミング変更機構27が、内燃機関1のバルブオーバラップ量を変更する変更機構として機能する。
同図3に示すように、内燃機関1の気筒20には吸気通路21を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁22から噴射された燃料が供給される。そして、気筒20内の吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対して点火プラグ23による火花放電を通じて点火が行われると、その混合気が燃焼してピストン24が往復移動することによってクランクシャフト2が回転する。燃焼後の混合気は排気として内燃機関1の気筒20から排気通路25に送り出される。また内燃機関1には、吸気バルブ26の開閉時期(いわゆるバルブタイミング)を変更するためのバルブタイミング変更機構27が設けられている。なお本実施の形態では、バルブタイミング変更機構27が、内燃機関1のバルブオーバラップ量を変更する変更機構として機能する。
車両には、その運転状態を検出するための各種センサが設けられている。そうしたセンサとしては、例えば吸気通路21のスロットルバルブ28より上流側に取り付けられて同吸気通路21内を通過する空気の量(通路吸気量)を検出するためのエアフロメータ30や、クランクシャフト2の回転速度(機関回転速度)を検出するための回転速度センサ31が設けられている。その他、吸気バルブ26のバルブタイミングVTを検出するための位置センサ32や、アクセルペダル14の操作量(アクセル操作量)を検出するためのアクセルセンサ33、車両の走行速度(車速)を検出するための速度センサ34なども設けられている。
こうした車両において内燃機関1は、電子制御ユニット35により制御される。電子制御ユニット35には、各種センサの検出信号が入力されている。そして電子制御ユニット35は、それら検出信号から把握される車両の走行状況に応じて、燃料噴射弁22の作動制御(燃料噴射制御)や、点火プラグ23の作動制御(点火時期制御)、バルブタイミング変更機構27の作動制御(バルブタイミング制御)、スロットルバルブ28の作動制御(スロットル制御)などの機関制御を行う。
電子制御ユニット35は、機関制御の一環として、車両の減速時に内燃機関1への燃料供給を停止する燃料カットを行っている。また、電子制御ユニット35は、燃料カットへの移行に際して、内燃機関1の出力トルク(機関トルク)を徐々に減少させるトルク漸減制御を行っている。本実施の形態では、内燃機関1の点火時期を徐々に遅角して行き、内燃機関1の運転を継続可能な限界まで点火時期が遅角された時点で内燃機関1への燃料供給を停止するといったように、機関トルクの漸減を行うようにしている。
図4に示すように、本実施の形態での燃料カット移行時におけるトルク漸減制御は、次の4つの段階に分けて行われる。すなわち、トルク漸減制御は、機関トルクの漸減を開始する前の第1段階、機関トルクの漸減の開始から駆動状態が被駆動状態に切り換わる直前までの第2段階、被駆動状態に切り換わる直前からその直後までの第3段階、及び被駆動状態に切り換わった直後から機関トルクの漸減の終了までの第4段階の4つの段階を通じて行われる。なお、上記「駆動状態」は内燃機関1の出力で駆動輪11が回転される状態のことであり、「被駆動状態」は駆動輪11の回転トルクで内燃機関1のクランクシャフト2が回転される状態のことである。また、図4(a)は、このときのアクセル操作量の推移を、図4(b)はバルブオーバラップ量の推移を、図4(c)は機関トルクの推移を、図4(d)は燃料カットフラグの推移をそれぞれ示している。
図4では、時刻t1から時刻t2までの期間が、トルク漸減制御の第1段階となっている。時刻t1は燃料カットの実施条件が成立した時点を、時刻t2は内燃機関1の気筒20内に吸入される空気の量(筒内吸気量)が安定したと判定された時点をそれぞれ指している。この第1段階では、燃料カットの実施条件が成立してから内燃機関1の筒内吸気量が安定するまでの間、第2段階への移行、すなわち機関トルクを漸減させる処理の実行開始が遅延される。以下、第1段階において機関トルクの漸減の開始を遅延させることによる作用について説明する。
先ず、アクセルペダル14の踏み込みの解除などを通じて車両が減速されると、スロットル制御を通じてスロットルバルブ28の開度が小さい開度に変更されるとともに、バルブタイミング制御を通じてバルブオーバラップ量が小さくなるように吸気バルブ26のバルブタイミングが遅角側のタイミングに変更される。
ここで、バルブオーバラップ量が大きいときには、同内燃機関1の気筒20内から吸気通路21に逆流するガスの量、いわゆる吹き返し量が多い。そのため、車両の減速に際して内燃機関1を燃料カットに移行させるときにバルブオーバラップ量が急速に縮小すると、吹き返し量が急速に減少するようになる。このとき、車両の減速中であるのにもかかわらず内燃機関1の筒内吸気量の若干の増加を招いてしまうなど、筒内吸気量の不要な変化を招き易い状況になる。このように筒内吸気量が不要に変化する状況において、点火時期制御による点火時期の遅角を通じて機関トルクを予め定めた態様で徐々に低下させることは、困難であると云える。
また、バルブオーバラップ量の縮小に伴って吹き返し量が減少すると、吸気通路21内におけるスロットルバルブ28より下流側の部分の圧力(いわゆる吸気圧力)が一時的に低下するため、同吸気通路21の外部から内部に吸入される空気の量が一時的に増加する。そして、これに伴ってエアフロメータ30によって検出される通路吸気量も一時的に増加するようになる。
本実施の形態では、エアフロメータ30により検出される通路吸気量に基づいて内燃機関1の筒内吸気量を推定し、その推定した筒内吸気量に応じたかたちで機関制御が実行される。そのため、バルブオーバラップ量の縮小に起因して上記通路吸気量が不要に変化する状況においては、機関制御の実行精度の低下を招き易い。こうしたことからも、内燃機関1の燃料カットへの移行時に、点火時期制御を通じて機関トルクを予め定めた態様で徐々に低下させることは困難であると云える。
このように本実施の形態の装置では、車両減速中に内燃機関1を燃料カットに移行させるときに、バルブオーバラップ量が機関運転状態に見合う量まで縮小する過程において、筒内吸気量の不要な変動を招き易い機関運転状態になる。そのため、内燃機関1の燃料カットへの移行時にバルブオーバラップ量が小さくなったことをもって、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態でなくなったと判断することができる。
この点をふまえて本実施の形態の装置では、バルブオーバラップ量が規定値A1未満になったときに、筒内吸気量が安定したと判定するようにしている。そして、燃料カットの実施条件が成立してから内燃機関1の筒内吸気量が安定したと判定されるまでの期間がトルク漸減制御の第1段階とされる。なお本実施の形態では、各種の実験やシミュレーションの結果に基づいて内燃機関1の筒内吸気量が安定したことを的確に判断可能なバルブオーバラップ量が予め求められ、同バルブオーバラップ量に相当する値が上記規定値A1(例えばクランク角[°CA]で数°CAに相当する量)として電子制御ユニット35に記憶されている。
これにより、バルブオーバラップ量が規定値A1未満のときに内燃機関1の筒内吸気量が安定したとして、第2段階に移行して機関トルクの漸減が開始されるようになる。そのため、車両の減速開始直後の上記バルブオーバラップ量の縮小によって筒内吸気量が特に不安定になる状況下では機関トルクの漸減が行われなくなり、筒内吸気量の不要な変化が抑えられる状況下で機関トルクの漸減が行われるようになるため、筒内吸気量の不要な変化に起因する機関トルクの不要な変動が抑えられるようになる。したがって、トルク漸減制御を通じて、予め想定した態様で減少するように機関トルクを精度良く調節することができ、動力伝達系のねじり振動の抑制のための上記機関トルクの漸減を適切に実行することができる。
また図4では、時刻t2から時刻t3までの期間が、トルク漸減制御の第2段階となっている。時刻t3は、車両の動力伝達状態が駆動状態から被駆動状態に切り換わる直前の時刻を指している。ここでは、上記被駆動状態に切り換わる直前を、被駆動状態に切り換わるときの機関トルクの推定値である推定切換トルクTQconよりも規定の定数α分高いトルクまで機関トルクが低下した時点と定義している。推定切換トルクTQconの推定ロジックについては後述する。また、定数αは、車両の個体差や経時変化に拘らず、上記切換時の機関トルクが「TQcon±α」の範囲内に確実に収まるようにその値が設定されている。この第2段階には、一定の速度で機関トルクの漸減が行われる。本実施の形態では、こうした第2段階を、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけて行うようにしている。
更に図4では、時刻t3から時刻t4までの期間が、トルク漸減制御の第3段階となっている。時刻t4は、車両の動力伝達状態が駆動状態から被駆動状態に切り換わった直後の時刻を指している。ここでは、上記被駆動状態に切り換わる直後を、上記推定切換トルクTQconよりも規定の定数α分低いトルクまで機関トルクが低下した時点と定義している。この第3段階では、上記第2段階及び後述の第4段階よりも低い速度で機関トルクの漸減が行われる。
また図4では、時刻t4から時刻t5までの期間が、トルク漸減制御の第4段階となっている。時刻t5は、機関トルクがトルク漸減制御の終了時の機関トルクまで低下した時点となっている。ここでは、点火時期の遅角により低下可能な機関トルクの最小値を、トルク漸減制御終了時の機関トルクとしている。この第4段階では、一定の速度で機関トルクの漸減が行われる。本実施の形態では、こうした第4段階を、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけて行うようにしている。
こうした本実施の形態では、トルク漸減制御の第2段階及び第4段階が、すなわち漸減開始から上記被駆動状態に切り換わる直前までの期間、及び上記被駆動状態に切り換わる直後から漸減終了までの期間における機関トルクの漸減の実行がそれぞれ、上記固有周期fの整数倍の時間をかけて行われる。前述したように、内燃機関1から動力伝達系に伝達されるトルク(機関トルク)の漸減期間を上記固有周期fの整数倍とすると、単に機関トルクを漸減する装置と比較して、内燃機関1の燃料カットへの移行に伴い発生する動力伝達系のねじり振動が、ひいては車両のしゃくりの発生が効果的に抑制されるようになる。
燃料カットへの移行時には、内燃機関1から動力伝達系に伝達されるトルクと、駆動輪11から動力伝達系に伝達されるトルクとの大小関係が逆転する。そしてその結果、機関トルクにより駆動輪11が回転される駆動状態から、駆動輪11の回転トルクによりクランクシャフト2が回転される被駆動状態への切り換わりが生じる。
ここで、動力伝達系に設けられたリダクションギア4の状態の、上記切り換わり時における変化を、図5(a)〜(c)を参照して説明する。なお、同図(a)〜(c)では、リダクションギア4を構成する内燃機関1側のギアGeの車両前進走行時の回転方向を時計回り方向とし、駆動輪11側のギアGtの車両前進走行時の回転方向を反時計回り方向としている。
同図(a)に示すように、駆動状態から被駆動状態に切り換わる直前においては、内燃機関1からギアGeに伝達される図中時計回り方向のトルクTeが、駆動輪11からギアGtに伝達される図中反時計回り方向のトルクTwを上回っている。そして、内燃機関1側のギアGeのギア歯の図中時計回り方向の側面が、駆動輪11側のギアGtのギア歯の図中反時計回り方向の側面を押圧することで、内燃機関1から駆動輪11へとトルクが伝達されている。
その後、機関トルクが低下すると、内燃機関1からギアGeに伝達される図中時計回り方向のトルクTeと、駆動輪11からギアGtに伝達される図中反時計回り方向のトルクTwとが釣り合うようになる。そして、同図(b)に示すように、ギアGeの歯によるギアGtの歯への押圧が解除され、内燃機関1と駆動輪11との間にトルクの伝達が無い状態となる。
更に機関トルクが低下されると、同図(c)に示すように、駆動輪11からギアGtに伝達される図中反時計回り方向のトルクTwが、内燃機関1からギアGeに伝達される図中時計回り方向のトルクTeを上回る。そして、駆動輪11側のギアGtのギア歯の図中時計回り方向の側面が、内燃機関1側のギアGeのギア歯の図中反時計回り方向の側面を押圧することで、駆動輪11から内燃機関1へとトルクが伝達されるようになる。
したがって、リダクションギア4では、ギア歯の噛み合いのバックラッシのため、駆動状態から被駆動状態への切り換わり時に歯打ちが発生する。そしてこの歯打ちが、燃料カット移行時のトルクショックの原因となっている。
こうしたギアの歯打ちによるショックを抑えるには、駆動状態から被駆動状態への切り換わり時における機関トルクの漸減速度を十分に低くする必要がある。しかしながら、燃料カット移行時における機関トルクの漸減期間のすべてにおいて、ショックの抑制に必要な速度で機関トルクの漸減を行えば、機関トルクの低減に時間がかかり、燃料カットへの移行が遅れてしまうようになる。
この点をふまえて本実施の形態では、トルク漸減制御の第3段階、すなわち上記被駆動状態に切り換わる直前からその直後までの期間において、トルク漸減制御の第2段階及び第4段階よりも低い速度で機関トルクの漸減が行われる。そのため、被駆動状態に切り換わる直前からその直後までの期間は、リダクションギア4の歯打ちによるショックを十分に抑制できるだけの低い速度で機関トルクの漸減を行いつつも、それ以外の期間には、比較的高い速度で機関トルクの漸減が行われるようになる。そのため、駆動状態から被駆動状態への切り換わりに伴うリダクションギア4の歯打ちによるショックを抑制しつつも、燃料カット移行時における機関トルクの漸減の実行期間の長期化が抑えられるようになる。
なお、こうした本実施の形態での内燃機関1の燃料カットへの移行は、図6に示す燃料カット移行制御ルーチンの処理を通じて行われる。なお、同図のフローチャートに示す一連の処理は、燃料カット移行制御ルーチンの実行手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の割り込み処理として電子制御ユニット35により実行される。
図6に示すように、本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、燃料カットの実施条件が成立しているか否かが判定される。本実施の形態では、アクセル操作量が「0」かつ機関回転速度が一定値以上であることが、燃料カットの実施条件として設定されている。ここで燃料カットの実施条件が不成立であれば(S100:NO)、そのまま本ルーチンの処理が終了され、成立していれば(S100:YES)、ステップS101に処理が移行される。
ステップS101に処理が移行されると、そのステップS101において、内燃機関1のバルブオーバラップ量が規定値A1未満であるか否かが判定される。なお本実施の形態では、位置センサ32により検出されるバルブタイミングに基づいて内燃機関1のバルブオーバラップ量が算出されて、ステップS101の処理に用いられる。
その後、内燃機関1のバルブオーバラップ量が規定値A1未満になると(S102:YES)、処理がステップS103に移行される。ステップS103に処理が移行されると、そのステップS103において、上述の推定切換トルクTQconの算出が行われる。この推定切換トルクTQconの算出ロジックについては後述する。
推定切換トルクTQconが算出されると、続くステップS104において、トルク漸減制御の第2段階における機関トルクの漸減速度Vraが算出される。ここでの漸減速度Vraの算出は、下式(1)により行われる。下式(1)において「TQnow」は現在の機関トルクを、「n」は規定の整数を、「f」は動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fを、それぞれ指している。
機関トルクTQnowが「TQcon+α」まで減少されると(S106:YES)、ステップS107において、機関トルクの漸減速度が低下される。このときの漸減速度は、後述する駆動状態/被駆動状態の切換時におけるリダクションギア4の歯打ちによるショックを確実に抑制可能な速度まで低下される。この低下された漸減速度での機関トルクの漸減の実行は、機関トルクTQnowが「TQcon−α」に低下されるまで継続される。なお、このときの低下された漸減速度による機関トルクの漸減が行われる期間が、上記トルク漸減制御の第3段階となっている。
機関トルクTQnowが「TQcon−α」まで低下されると(S108:YES)、続くステップS109において、トルク漸減制御の第4段階における機関トルクの漸減速度Vrbが算出される。ここでの漸減速度Vrbの算出は、下式(2)により行われる。下式(2)において「TQfin」はトルク漸減制御終了時の機関トルクを、「m」は規定の整数をそれぞれ指している。なお、本実施の形態では、トルク漸減制御終了時の機関トルクTQfinの値には、点火時期の遅角により低減可能な機関トルクの最小値が設定されている。
機関トルクTQnowが「TQfin」まで低下されると(S111:YES)、続くステップS112において、機関トルクの漸減が終了される。そしてステップS113において内燃機関1への燃料供給が停止され、ステップS114において燃料カットフラグがオンにセットされた後、本ルーチンの処理が終了される。
次に、本実施の形態での推定切換トルクTQconの算出ロジックを説明する。
図7は、リダクションギア4を中心として車両の駆動系を模式化したモデルを示している。同図の「Iin」は、リダクションギア4の内燃機関1側における駆動系のイナーシャ
ーを、「Tin」は、リダクションギア4の内燃機関1側のギア(ドライブギアGe)に入
力されるトルクを、「αin」は、ドライブギアGeの角加速度を表している。また同図の「Iout」は、リダクションギア4の駆動輪11側における駆動系のイナーシャーを、「Tout」は、リダクションギア4の駆動輪11側のギア(ドリブンギアGt)に入力されるトルクを、「αout」は、ドリブンギアGtの角加速度を表している。こうしたモデルでのねじりの関係式は、下式(3)、(4)の通りとなる。なお、イナーシャーIin、Ioutは、リダクションギア4を中心とした等価慣性計算で求めることができる。
図7は、リダクションギア4を中心として車両の駆動系を模式化したモデルを示している。同図の「Iin」は、リダクションギア4の内燃機関1側における駆動系のイナーシャ
ーを、「Tin」は、リダクションギア4の内燃機関1側のギア(ドライブギアGe)に入
力されるトルクを、「αin」は、ドライブギアGeの角加速度を表している。また同図の「Iout」は、リダクションギア4の駆動輪11側における駆動系のイナーシャーを、「Tout」は、リダクションギア4の駆動輪11側のギア(ドリブンギアGt)に入力されるトルクを、「αout」は、ドリブンギアGtの角加速度を表している。こうしたモデルでのねじりの関係式は、下式(3)、(4)の通りとなる。なお、イナーシャーIin、Ioutは、リダクションギア4を中心とした等価慣性計算で求めることができる。
αoutの関係は、下式(7)に示す通りとなり、この関係から下式(8)が得られる。な
お、下式(8)は、トルクToutをイナーシャーIoutで除算した値と、トルクTinをイナーシャーIinで除算した値との比が、リダクションギア4の減速比ρredと一致することを示している。
(1)内燃機関1の筒内吸気量が安定したときに機関トルクの漸減を開始するようにしたため、動力伝達系のねじり振動の抑制のための上記機関トルクの漸減を適切に実行することができる。しかも、トルク漸減制御の第2段階及び第4段階における機関トルクの漸減の実行を内燃機関1から車両の駆動輪11までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけて行うようにしたため、内燃機関1の燃料カットへの移行に伴い発生する動力伝達系のねじり振動を効果的に抑制することができる。したがって、燃料カットの実行に伴う車両のしゃくりを適切に抑えることができる。
(2)バルブオーバラップ量が規定値A1未満のときに、内燃機関1の筒内吸気量が安定したとして機関トルクの漸減を開始するようにした。これにより、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態であるときに機関トルクの漸減が開始されることを抑えることができるため、機関トルクを好適に調節して漸減させることができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、燃料カット移行制御ルーチンのステップS102において、内燃機関1のバルブオーバラップ量が規定値A1未満であるか否かが判定したが、吸気バルブ26のバルブタイミングが規定時期より遅角側の時期であるか否かを判定するようにしてもよい。こうした装置によっても、吸気バルブ26のバルブタイミングが規定時期より遅角側の時期であるときに、バルブオーバラップ量が十分に小さくなったと判定することができ、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態でなくなったことを判断することができる。
・上記実施の形態では、燃料カット移行制御ルーチンのステップS102において、内燃機関1のバルブオーバラップ量が規定値A1未満であるか否かが判定したが、吸気バルブ26のバルブタイミングが規定時期より遅角側の時期であるか否かを判定するようにしてもよい。こうした装置によっても、吸気バルブ26のバルブタイミングが規定時期より遅角側の時期であるときに、バルブオーバラップ量が十分に小さくなったと判定することができ、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態でなくなったことを判断することができる。
・上記実施の形態にかかるトルク制御装置は、吸気バルブ26のバルブタイミングを変更するバルブタイミング変更機構27に加えて、排気バルブのバルブタイミングを変更するバルブタイミング変更機構が設けられた装置にも、その構成を適宜変更した上で適用することができる。こうした装置では、バルブオーバラップ量を、吸気バルブのバルブタイミングと排気バルブのバルブタイミングとから算出して燃料カット移行制御ルーチンのステップS102(図6)において用いればよい。
・機関トルクの漸減の開始条件として、バルブオーバラップ量が規定値A1未満であることといった条件に加えて、エアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示すことといった条件を設定するようにしてもよい。この装置では、エアフロメータ30が内燃機関の吸気通路を通過する空気の量を検出するための検出部として機能する。
前述したように、内燃機関1の燃料カットへの移行に際して筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態になるときには、エアフロメータ30により検出される通路吸気量が一時的に増加するようになる。そのため、エアフロメータ30により検出される通路吸気量が一時的に増加していることにより、そうした不安定な機関運転状態であることを把握することができる。上記装置では、機関トルクの漸減の開始条件として、エアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示すことといった条件が設定される。そのため、エアフロメータ30により検出される通路吸気量の増加時に機関トルクの漸減が開始されるといった状況になることを抑えることができる。したがって、筒内吸気量が安定したことを的確に判定した上で、筒内吸気量の不要な変化を招き易い機関運転状態のときに機関トルクの漸減が開始されることを的確に抑えることができる。
図8に示す例では、燃料カットの実施条件が成立した後に(図6のS101:YES)、以下の[条件イ]及び[条件ロ]が共に満たされるか否かが判断される。
[条件イ]バルブオーバラップ量が規定値A1未満であること(S102)。
[条件ロ]エアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示していること(S201)。
[条件イ]バルブオーバラップ量が規定値A1未満であること(S102)。
[条件ロ]エアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示していること(S201)。
そして、[条件イ]及び[条件ロ]の一方でも満たされないときには(S102:NO、またはS201:NO)、図6のステップS103に処理が移行されず、[条件イ]及び[条件ロ]が共に満たされると(S102:YES、且つS201:YES)、図6のステップS103に処理が移行される。
また図9に示す例では、燃料カットの実施条件が成立した後に(図6のS101:YES)、以下の[条件ハ]及び[条件ニ]の少なくとも一方が満たされるか否かが判断される。
[条件ハ]バルブオーバラップ量が規定値A1未満であること(S102)。
[条件ニ]バルブオーバラップ量が規定値A2(ただし、A2>A1)未満であり、且つエアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示していること(S301)。
[条件ハ]バルブオーバラップ量が規定値A1未満であること(S102)。
[条件ニ]バルブオーバラップ量が規定値A2(ただし、A2>A1)未満であり、且つエアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示していること(S301)。
そして、[条件ハ]及び[条件ニ]が共に満たされないときには(S301:NO、且つS302:NO)、図6のステップS103に処理が移行されず、[条件ハ]及び[条件ニ]の一方が満たされると(S102:YES、またはS301:YES)、図6のステップS103に処理が移行される。
なお、エアフロメータ30により検出される通路吸気量が減少傾向を示すことは、例えば燃料カット移行制御ルーチンの前回実行時に検出された通路吸気量よりも同ルーチンの今回実行時に検出された通路吸気量が少ないことによって判定することができる。また、通路吸気量が検出される度に同通路吸気量を徐々に変化させた値(いわゆるなまし値)を算出し、その前回算出値より今回算出値より少ないことによって判定することなども可能である。
・上記実施の形態では、上式(9)から推定切換トルクTQconを、すなわち駆動状態から被駆動状態に切り換わる時の機関トルクを求めていたが、その切り換わる時の機関トルクを十分な精度で求められるのであれば、それ以外の算出ロジックを用いてその算出を行うようにしてもよい。
・上記実施の形態では、アクセル操作量が「0」かつ機関回転速度が一定値以上であることを燃料カットの実施条件としていたが、この実施条件は、これに限らず、適宜に変更してもよい。
・上記実施の形態では、駆動状態から被駆動状態に切り換わる時の機関トルクを推定し、その推定結果からトルク漸減制御の第2段階、第4段階の出力トルクの漸減速度を求めていた。上記切り換わる時の機関トルクが予め判っている場合には、トルク漸減制御の第2段階、第4段階の機関トルクの漸減速度を予め定めておくようにしてもよい。その場合でも、トルク漸減制御の第2段階及び第4段階が、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけてそれぞれ行われるようになっていれば、車両のしゃくりの発生を効果的に抑制することが可能である。
・上記実施の形態では、点火時期の遅角量を変化させることで機関トルクの漸減を行うようにしていた。こうした機関トルクの漸減を、他の方法で行うようにしてもよい。例えば、燃料カット移行時の機関トルクの漸減を、内燃機関1の吸入空気量を漸減することで行うことも可能である。また、ディーゼル機関のような燃料噴射量の制御により機関出力を調整する内燃機関では、燃料噴射量を漸減することで、燃料カット移行時の機関トルクの漸減を行うことができる。
・駆動状態から被駆動状態に切り換わる時の機関トルクを正確に求められるのであれば、トルク漸減制御の第3段階における機関トルクの漸減速度を「0」とするように、すなわちこのときの機関トルクを一定に保持するようにしても良い。この場合にも、このときの機関トルクの保持時間が、駆動状態から被駆動状態への切り換わりに要する時間以上となっていれば、リダクションギアの歯打ちによるショックの発生を効果的に抑制することが可能である。
・上記実施の形態では、漸減終了時の機関トルクTQfinを、内燃機関1の運転を持続可能な限界まで点火時期を遅角したときの機関トルクとしていたが、その値は適宜変更してもよい。機関トルクが「0」となるまで、その漸減を実行することが可能であれば、機関トルクが「0」となった時点で漸減の実行を終了するようにしてもよい。また、限界まで点火時期を遅角する以前であっても、燃料供給の停止に伴うトルク段差がショックを生じさせない程度まで機関トルクが低下した時点で、機関トルクの漸減の実行を終了するようにしてもよい。
・駆動状態から被駆動状態に切り換わる時のリダクションギアの歯打ちによるショックが問題とならない場合には、トルク漸減制御の第3段階を割愛し、第2段階、第4段階を連続して行うようにしても良い。この場合であれ、トルク漸減制御の第2段階及び第4段階が、動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期fの整数倍の時間をかけてそれぞれ行われるようになっていれば、車両のしゃくりの発生を効果的に抑制することが可能である。
・上記実施の形態では、無段変速機の手前にリダクションギアが設けられたインプットリダクンション方式のギアトレーン構造を採用する車両に本発明を適用した場合を説明したが、無段変速機の駆動輪側にリダクションギアが設けられた車両にも、本発明は同様に適用することができる。また、ベルト式以外の無段変速機や自動又は手動の有段変速機を変速機として採用する車両にも、本発明は同様に適用することができる。
1…内燃機関、1a…補機、2…クランクシャフト、3…トルクコンバーター、4…リダクションギア(Ge…ドライブギア、Gt…ドリブンギア)、5…無段変速機(6…ドライブプーリー、7…ドリブンプーリー、8…ベルト)、9…Defドライブギア、10…Defリングギア、11…駆動輪、12…ドライブシャフト、13…ディファレンシャル、14…アクセルペダル、20…気筒、21…吸気通路、22…燃料噴射弁、23…点火プラグ、24…ピストン、25…排気通路、26…吸気バルブ、27…バルブタイミング変更機構、28…スロットルバルブ、30…エアフロメータ、31…回転速度センサ、32…位置センサ、33…アクセルセンサ、34…速度センサ、35…電子制御ユニット。
Claims (3)
- 車両減速中に車両駆動源としての内燃機関を燃料カットに移行させるときに、前記内燃機関の出力トルクを漸減させる車両のトルク制御装置において、
当該装置は、前記出力トルクの漸減を前記内燃機関の筒内吸気量が安定したときに開始するとともに、前記出力トルクの漸減の実行を、前記内燃機関から前記車両の駆動輪までの動力伝達系の回転軸ねじり方向の振動についての固有周期の整数倍の時間をかけて行う
ことを特徴とする車両のトルク制御装置。 - 請求項1に記載の車両のトルク制御装置において、
当該装置は、
前記内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構を有し、
前記バルブオーバラップ量が規定値未満のときに、前記筒内吸気量が安定したとして前記出力トルクの漸減を開始する
ことを特徴とする車両のトルク制御装置。 - 請求項1に記載の車両のトルク制御装置において、
当該装置は、
前記内燃機関のバルブオーバラップ量を変更する変更機構と、前記内燃機関の吸気通路を通過する空気の量を検出するための検出部とを有し、
前記バルブオーバラップ量が規定値未満であり且つ前記検出部により検出される空気の量が減少傾向を示すときに、前記筒内吸気量が安定したとして前記出力トルクの漸減を開始する
ことを特徴とする車両のトルク制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012205932A JP2014058953A (ja) | 2012-09-19 | 2012-09-19 | 車両のトルク制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=50615628
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Country Status (1)
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000120853A (ja) * | 1998-10-15 | 2000-04-28 | Mitsubishi Motors Corp | 車両用自動変速機の変速制御装置 |
JP2007303390A (ja) * | 2006-05-11 | 2007-11-22 | Hitachi Ltd | 内燃機関の減速時制御装置 |
-
2012
- 2012-09-19 JP JP2012205932A patent/JP2014058953A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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