JP2014058699A - セメントキルンダストからの水銀回収システム及び回収方法 - Google Patents

セメントキルンダストからの水銀回収システム及び回収方法 Download PDF

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仁司 輪達
Yuta Tawara
裕太 田原
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Abstract

【課題】低コストで、セメントキルン燃焼排ガスに含まれるダストから効率よく水銀を回収する。
【解決手段】セメントキルンダストKDを、高温ダスト(加熱用ダスト)HDと混合しながら加熱用ダストの顕熱によって加熱する混合装置2と、混合加熱によって揮発した水銀を回収する水銀回収装置7とを備えるセメントキルンダストからの水銀回収システム1。混合装置の後段に、セメントキルンダストと加熱用ダストとの混合物Mを流動化させ、粗粉D1と、微粉D2を含むガスG1とに分離する振動流動層式分級機3を設け、振動流動層式分級機で分離した微粉を含むガスに含まれる水銀を水銀回収装置で回収することができる。加熱用ダストは、セメント焼成装置のプレヒータから分取したセメント原料又は/及び塩素バイパスダストの粗粉とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セメントキルン燃焼排ガスに含まれるダストから水銀を回収するシステム及び方法に関する。
セメントキルン燃焼排ガスには、極微量の金属水銀(Hg)が含まれている。その起源は、セメントの主原料である石灰石等の天然原料が含有する水銀の他、フライアッシュ等の多品種にわたるリサイクル資源に含まれる水銀である。今後、廃棄物のセメント原料化及び燃料化によるリサイクルが推進され、廃棄物の処理量が増加するに従い、セメントキルン燃焼排ガス中の水銀濃度が増加する可能性が考えられる。
しかし、セメントキルン燃焼排ガスに低濃度で含まれる水銀を、多量の排ガスから除去することは極めて困難であり、セメントキルン燃焼排ガス中の水銀が増加すると、大気汚染の原因となる虞があるとともに、フライアッシュ等のリサイクル資源利用拡大の阻害要因となる虞もある。
そこで、例えば、特許文献1には、セメントキルン燃焼排ガス中に含まれる水銀等を除去し、水銀等を除去した集塵ダストをセメント原料に再利用するため、セメントキルン燃焼排ガスに含まれるダストを集塵し、集塵によって得られたダストをセメント焼成設備のクリンカクーラーの排ガスを用いて加熱し、加熱によって揮発した水銀を回収するセメントキルン燃焼排ガスの処理方法が提案されている。
特開2011−88770号公報
しかし、上記特許文献1に記載の処理方法では、水銀回収装置において、集塵ダストに排ガスを接触させるために十分な容積を確保する必要があるため、装置が大型化し、設備コスト及び運転コストが高くなるという問題があった。
そこで、本発明は、低コストで、セメントキルン燃焼排ガスに含まれるダストから効率よく水銀を回収することのできるシステム及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、セメントキルンダストからの水銀回収システムであって、セメントキルンダストを、加熱用ダストと混合しながら該加熱用ダストの顕熱によって加熱する混合装置と、該混合加熱によって揮発した水銀を回収する水銀回収装置とを備えることを特徴とする。
そして、本発明によれば、セメントキルンダストを、加熱用ダストを用いて加熱するため、高温ガスの気流中で加熱する場合と比較して水銀回収装置を小型化することができ、設備コスト及び運転コストを低く抑えることができる。
上記セメントキルンダストからの水銀回収システムにおいて、前記混合装置の後段に、前記セメントキルンダストと加熱用ダストとの混合物を流動化させ、粗粉と、微粉を含むガスとに分離する振動流動層式分級機を設け、該振動流動層式分級機で分離した微粉を含むガスに含まれる水銀を前記水銀回収装置で回収することができる。振動流動層式分級機により、セメントキルンダストに含まれる水銀の揮発を促進すると共に、セメントキルンダストの飛散を防止してそのほとんどを分取し、後段の集塵装置等に送られる微粉の量を最小限に抑え、集塵装置等の装置能力を低く抑えることができる。
さらに、前記振動流動層式分級機の後段に、前記振動流動層式分級機から排出されたガスに含まれる微粉を捕集する集塵装置を設け、該集塵装置で微粉を捕集した後のガスに含まれる水銀を前記水銀回収装置で回収することができ、水銀回収装置への微粉の進入を最小限に抑え、水銀回収装置での水銀回収効率を高めることができる。
また、本発明は、セメントキルンダストからの水銀回収方法であって、セメントキルンダストを、加熱用ダストと混合しながら該加熱用ダストの顕熱によって加熱し、該混合加熱によって揮発した水銀を回収することを特徴とする。本発明によれば、上記発明と同様に、高温ガスの気流中で加熱する場合と比較して水銀の回収に伴う設備を小型化することができ、水銀の回収に要するコストを低く抑えることができる。
上記セメントキルンダストからの水銀回収方法において、前記加熱用ダストとして、セメント焼成装置のプレヒータから分取したセメント原料又は/及び塩素バイパスダストの粗粉を利用することができ、セメント焼成装置から容易に入手可能な高温ダストを利用して効率よく水銀を回収することができる。
以上のように、本発明によれば、低コストで、セメントキルン燃焼排ガスに含まれるダストから効率よく水銀を回収することができる。
本発明に係るセメントキルンダストからの水銀回収システムの第1の実施形態を示す全体構成図である。 本発明に係るセメントキルンダストからの水銀回収システムの第2の実施形態を示す全体構成図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明にかかるセメントキルンダストからの水銀回収システム(以下、「水銀回収システム」という)の第1の実施形態を示し、この水銀回収システム1は、セメント焼成装置に付設され、セメントキルン排ガスを集塵して得られたセメントキルンダスト(以下、「キルンダスト」という)KDと、高温ダスト(加熱用ダスト)HDとを混合するパグミル2と、パグミル2によって混合された混合物Mを流動化させ、粗粉D1と、微粉D2を含むガスG1とに分離する振動流動層式分級機3と、振動流動層式分級機3から排出されるガスG1に含まれる微粉D2を集塵する電気集塵機5と、電気集塵機5から排出されたガスG2に含まれる水銀を回収する水銀回収装置7等で構成される。
パグミル2は、密閉式の混合装置であって、キルンダストKDと、高温ダストHDとを混合するために設けられる。このパグミル2に供給する高温ダストHDとしては、セメント焼成装置のプレヒータから分取したセメント原料や、塩素バイパスダストの粗粉を用いることができる。尚、これらは、セメント焼成装置から容易に入手できて好ましいが、キルンダストKDに含まれる水銀を揮発させることができる顕熱を有するものであれば、その他のダスト等を使用することもできる。
振動流動層式分級機3は、パグミル2から供給される混合物Mに振動を加えて流動化させ、粗粉D1と、微粉D2とを含むガスG1とに分離するために設けられる。この振動流動層式分級機3は、多数の穴が穿設された、キルンダストKDを流動化するための分散板3aを備え、パグミル2から供給される混合物Mの粗粉D1を下方へ落下させて回収し、粗粉D1よりも軽い微粉D2と、キルンダストKDから揮発した水銀とをファン4より供給される微量のキャリアエアによって上方から排出する。
電気集塵機5は、振動流動層式分級機3からのガスG1に含まれる微粉D2を集塵するために設けられ、900℃程度までの耐熱性を有する高耐熱型の電気集塵機であることが好ましい。尚、高耐熱型の電気集塵機に代えて、高耐熱型のバッグフィルタ等を用いることもできる。
水銀回収装置7は、電気集塵機5から排出されたガスG2中の水銀を除去するために備えられる。水銀回収装置7の前段には、ガスG2の温度を活性炭に通ガス可能な温度(例えば100℃程度)に低下させるための冷却空気を吹き込むためのファン6が設けられる。水銀回収装置7には、例えば、活性炭等を用いて水銀を吸着して回収する活性炭吸着塔等を使用することができ、使用される活性炭としては、市販の活性炭において、より水銀除去能力に優れる活性炭を選定することが望ましく、水銀吸着用として調整された硫黄添着処理が施されている活性炭が好適である。尚、活性炭吸着塔以外の水銀回収装置を用いてもよい。
キルンダストKDとは、上述のように、セメントキルン排ガスを集塵して得られたダストであるが、より詳しくは、セメントキルン燃焼排ガスは、セメントキルンの窯尻部、仮焼炉を経てプレヒータから排出され、プレヒータ排ガスをファン等を介して電気集塵装置(又はバッグフィルタ等)に導入されるが、この電気集塵装置等で捕集されたダストである。
次に、上記構成を有する水銀回収システム1の動作について、図1を参照しながら説明する。
まず、パグミル2にキルンダストKDと高温ダストHDを投入して混合し、この高温ダストHDの顕熱によってキルンダストKDに含まれる水銀の一部を揮発させる。パグミル2からの混合物Mを振動流動層式分級機3に供給し、混合物Mを流動化させ、ファン4からのキャリアエアによって水銀の揮発を促進しながら、粗粉D1と、微粉D2を含むガスG1とに分離する。振動流動層内で沈降した粗粉D1をスクリューコンベア等の移送装置で振動流動層式分級機3から排出し、微粉D2及び揮発した水銀を含むガスG1を振動流動層式分級機3の上部から排出する。回収した粗粉D1は、セメント焼成装置のプレヒータや、原料サイロに投入してセメント原料として使用することができる。
一方、振動流動層式分級機3からの微粉D2及びガスG1は、電気集塵機5に導入され、微粉D2が捕集される。電気集塵機5で回収された微粉D2は、上記粗粉D1と同様、セメント原料として使用することができる。
電気集塵機5から排出されたガスG2は、ファン6によって冷却された後、水銀回収装置7に導入され、ガスG2中の水銀が活性炭に吸着回収される。水銀回収装置7において水銀が回収され、無害化したガスG3は大気に放出するか、セメントキルンの排ガス処理系に戻す。
次に、本発明に係るセメントキルンダストからの水銀回収システムの第2の実施形態について、図2を参照しながら説明する。
この水銀回収システム11は、セメント焼成装置に付設され、キルンダストKDと、高温ダストHDとを混合するパグミル2と、パグミル2にて混合された混合物Mを流動化させ、粗粉D1と、微粉D2を含むガスG1とに分離する振動流動層式分級機3と、振動流動層式分級機3から排出されるガスG1に含まれる微粉D2を集塵する電気集塵機5と、電気集塵機5から排出されたガスG2に含まれる水銀を酸化するTiV触媒塔8と、TiV触媒塔8から排出されたガスG4から塩化水銀(HgCl)を水に捕捉して回収する湿式スクラバ9と、湿式スクラバ9の排水W1に溶解した水銀を吸着除去するキレート樹脂10等で構成される。尚、パグミル2から高温集塵機5までの装置は、図1の水銀回収システム1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、上記構成を有するセメントキルンダストからの水銀回収システム11の動作について、図2を参照しながら説明する。尚、上述のように、電気集塵機5までの設備は、図1の水銀回収システム1と同様であるため、電気集塵機5以降の動作についてのみ説明する。
電気集塵機5から排出されたガスG2は、水銀を酸化するための塩化水素(HCl)が添加された後、TiV触媒塔8に導入され、ガスG2中のNOx、ダイオキシン類が分解される。次いで、TiV触媒塔8からの排ガスG4は、湿式スクラバ9に供給され、排ガスG4に水を噴霧してスラリー化し、さらにpH調整剤、塩等を添加し、水銀を含む重金属を沈澱させ、重金属スラッジSとして取り除く。無害化した湿式スクラバ9からのガスG5は大気に放出するか、セメントキルンの排ガス処理系に戻す。
一方、湿式スクラバ9において重金属スラッジSが取り除かれた排水W1に残留する水銀をキレート樹脂10と接触させて吸着除去する。無害化した排水W2は放流するか
、一部を湿式スクラバ9にて再利用する。
以上のように、上記第1及び第2の実施形態によれば、高温ダストの顕熱によってセメントキルンダストを加熱するため、キルンダストを気流中で加熱する場合と比較して水銀回収装置を小型化することができる。また、振動流動層式分級機を採用することで、揮発した水銀を少量のキャリアエアで効率よく搬送することができ、低コストで水銀を回収することができる。
また、上記高温ダストとの混合に加え、高温ガスによる気流加熱を併用してセメントキルンダストから水銀を揮発させてもよい。
1 水銀回収システム
2 パグミル
3 振動流動層式分級機
3a 分散板
4 ファン
5 電気集塵機
6 ファン
7 水銀回収装置
8 TiV触媒塔
9 湿式スクラバ
10 キレート樹脂
11 水銀回収システム
D1 粗粉
D2 微粉
G1〜G5 ガス
HD 高温ダスト
KD キルンダスト
M 混合物
S 重金属スラッジ
W1、W2 排水

Claims (5)

  1. セメントキルンダストを、加熱用ダストと混合しながら該加熱用ダストの顕熱によって加熱する混合装置と、
    該混合加熱によって揮発した水銀を回収する水銀回収装置とを備えることを特徴とするセメントキルンダストからの水銀回収システム。
  2. 前記混合装置の後段に、前記セメントキルンダストと加熱用ダストとの混合物を流動化させ、粗粉と、微粉を含むガスとに分離する振動流動層式分級機を設け、該振動流動層式分級機で分離した微粉を含むガスに含まれる水銀を前記水銀回収装置で回収することを特徴とする請求項1に記載のセメントキルンダストからの水銀回収システム。
  3. 前記振動流動層式分級機の後段に、前記振動流動層式分級機から排出されたガスに含まれる微粉を捕集する集塵装置を設け、該集塵装置で微粉を捕集した後のガスに含まれる水銀を前記水銀回収装置で回収することを特徴とする請求項2に記載のセメントキルンダストからの水銀回収システム。
  4. セメントキルンダストを、加熱用ダストと混合しながら該加熱用ダストの顕熱によって加熱し、
    該混合加熱によって揮発した水銀を回収することを特徴とするセメントキルンダストからの水銀回収方法。
  5. 前記加熱用ダストは、セメント焼成装置のプレヒータから分取したセメント原料又は/及び塩素バイパスダストの粗粉であることを特徴とする請求項4に記載のセメントキルンダストからの水銀回収方法。
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