JP2017029932A - セメントキルン排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents

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仁司 輪達
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Abstract

【課題】低コストでセメントキルン排ガス中の水銀を回収する。
【解決手段】セメントキルン排ガスに水銀吸着材Aを添加する添加装置4と、水銀吸着材Aが添加された排ガスG2から集塵する集塵装置5と、集塵して得られたダストD1を分級して水銀濃度が高い粗粉C1と、水銀濃度が低い微粉Fとに分離する分級装置6とを備えるセメントキルン排ガスの処理装置1。分級して得られた粗粉C1から水銀を回収する水銀回収装置7を備えることができる。上記分級における分級点を10μm以上20μm以下とすることができ、水銀吸着材Aの添加量を、セメントキルン排ガスの水銀濃度、集塵して得られたダストD1中の水銀吸着材濃度、及び水銀吸着材の添加位置のうち少なくとも一つに応じて調整することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セメントキルン排ガス中の水銀を回収する方法及び装置に関する。
水銀による地球規模での環境汚染を防止するため、日本では水銀を大気中に排出することを規制する法律の制定が検討され、世界規模では、水銀による健康被害や環境汚染を防止するため、水銀鉱山の新たな開発を禁じたり、体温計等の水銀含有製品の製造や輸出入を禁止する水俣条約が採択された。
ところで、セメントキルン排ガスには、極微量の水銀が含まれている。その起源は、セメントの主原料である石灰石等の天然原料が含有する水銀の他、フライアッシュ等の多品種にわたるリサイクル資源に含まれる水銀である。今後、廃棄物のセメント原料化及び燃料化によるリサイクルが推進され、廃棄物の処理量が増加するに従い、セメントキルン排ガスに含まれる水銀濃度が増加する可能性が考えられる。
そこで、特許文献1には、図3に示すように、セメントキルンに付設されたプレヒータ2の排ガスG1を調湿塔等3に供給し、調湿塔等3の排ガスG2がバグフィルタ5に導入される前に、この排ガスG2に添加装置4により活性炭Aを添加して排ガスG2中の水銀を吸着させ、水銀を吸着した活性炭Aを含む排ガスG2からバグフィルタ5で集塵し、集塵したダストの一部D1を水銀回収装置7に供給すると共に、バグフィルタ5の排ガスG3を大気に放出し、水銀回収装置7で水銀を回収した後のダストD3をプレヒータ2に戻すセメントキルン排ガスの処理方法が記載されている。
特開2013−112579号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、バグフィルタ5から水銀を吸着した活性炭Aを含むダストD1を水銀回収装置7に供給するため、水銀回収装置7に供給するダスト量が少なくなく、水銀回収に要する運転コスト及び装置コストの点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、低コストでセメントキルン排ガス中の水銀を回収することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、セメントキルン排ガスの処理方法であって、セメントキルン排ガスに水銀吸着材を添加し、該水銀吸着材が添加された排ガスから集塵し、該集塵して得られたダストを分級して水銀濃度が高い粗粉と、水銀濃度が低い微粉とに分離することを特徴とする。
本発明によれば、セメントキルン排ガス中の水銀を吸着した水銀吸着材の大部分が粗粉に含まれることで粗粉中の水銀濃度が高くなり、粗粉から水銀を回収するのみでセメントキルン排ガス中の水銀を効率的に回収することができるため、水銀回収に要するコストを低く抑えることができる。また、粗粉から水銀を回収せずに粗粉を最終処分場等で処理する場合であっても最終処分場での処理量を低く抑えることができる。
上記セメントキルン排ガスの処理方法において、前記分級における分級点を10μm以上20μm以下とすることができる。これにより、セメントキルン排ガス中のダストに対して体積比で1〜2%の量の水銀吸着材を添加した場合であっても、添加した水銀吸着材の8割以上を粗粉に含めることができる。
さらに、前記水銀吸着材の添加量を、前記セメントキルン排ガスの水銀濃度、前記集塵して得られたダストの水銀吸着材濃度、及び前記水銀吸着材の添加位置のうち少なくとも一つに応じて調整することができる。これにより、粗粉の水銀濃度を調整することができる。
さらに、前記分級して得られた粗粉から水銀を回収することができ、低コストで水銀を回収することができる。
また、本発明は、セメントキルン排ガスの処理装置であって、セメントキルン排ガスに水銀吸着材を添加する添加装置と、該水銀吸着材が添加された排ガスから集塵する集塵装置と、該集塵して得られたダストを分級して水銀濃度が高い粗粉と、水銀濃度が低い微粉とに分離する分級装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様に、セメントキルン排ガス中の水銀を吸着した水銀吸着材の大部分が粗粉に含まれることで粗粉中の水銀濃度が高くなり、粗粉から水銀を回収するのみでセメントキルン排ガス中の水銀を効率的に回収することができるため、水銀回収に要するコストを低く抑えることができる。また、粗粉から水銀を回収せずに粗粉を最終処分場等で処理する場合であっても、処理量を低く抑えることができる。
さらに、前記分級して得られた粗粉から水銀を回収する水銀回収装置を備えることができる。セメントキルン排ガス中の水銀の大部分は粗粉に含まれているため、分級して得られた粗粉から水銀を回収することで、水銀回収の対象となるダストの量を低く抑えて水銀回収に要するコストを低減すると共に、水銀回収装置を小型にすることができる。
以上のように、本発明によれば、低コストでセメントキルン排ガス中の水銀を回収することができる。
本発明に係るセメントキルン排ガスの処理装置の一実施の形態を示す全体構成図である。 活性炭と、セメントキルン排ガスに含まれるキルンダストとの粒度分布を示すグラフである。 従来のセメントキルン排ガスの処理装置の一例を示す全体構成図である。
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るセメントキルン排ガスの処理装置の一実施の形態を示す図であって、この処理装置1は、投入されたセメント原料を予熱すると共にセメントキルンの排ガスを排出するプレヒータ2と、プレヒータ2の排ガスG1の調温、調湿等を行う調湿塔等3と、調湿塔等3の排ガスG2に活性炭Aを添加する添加装置4と、添加装置4によって活性炭Aを添加された排ガスG2から集塵するバグフィルタ5と、バグフィルタ5で回収したダストの一部D1を分級し、粗粉C1と微粉Fとに分離するサイクロン6と、サイクロン6で得られた粗粉C1から水銀を回収する水銀回収装置7とを備える。
プレヒータ2は、セメント製造装置に一般的に用いられているものであり、これについての詳細説明は省略する。また、調湿塔等3とは、プレヒータ2の排ガスG1を調温、調湿する調湿塔等3や、排ガスG1を用いて廃熱発電を行うボイラや、プレヒータ2に供給するセメント原料を乾燥、粉砕するための原料ドライヤ、原料ミル等の設備をいう。
添加装置4は、活性炭Aを調湿塔等3の排ガスG2に添加するために備えられ、バグフィルタ5は、活性炭Aが添加された排ガスG2から集塵するために備えられる。また、サイクロン6は、バグフィルタ5で回収したダストの一部D1を分級し、粗粉C1と微粉Fとに分離するために備えられる。
水銀回収装置7は、サイクロン6で得られた粗粉C1から水銀を回収するために備えられる。水銀回収装置7としては、粗粉C1を水銀が揮発する温度以上に加熱して粗粉C1中の水銀を揮発させ、揮発した水銀を回収する装置等を用いることができる。
次に、上記構成を有するセメントキルン排ガスの処理装置1の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。
セメントキルン(不図示)の運転時に、プレヒータ2に供給されたセメント原料は、プレヒータ2で予熱され、仮焼炉(不図示)で仮焼された後、セメントキルンにて焼成されてセメントクリンカが生成される。一方、セメントキルンから排出された排ガスは、セメントキルンの窯尻、仮焼炉を経てプレヒータ2から排出される。プレヒータ2の排ガスG1を調湿塔等3に導入して調温、調湿し、調湿塔等3の排ガスG2に添加装置4から活性炭Aを添加して排ガスG2中の水銀を吸着させ、活性炭Aが添加された排ガスG2をバグフィルタ5に導入して集塵し、集塵後の排ガスG3を大気に放出する。
尚、活性炭Aの添加量は、セメントキルン排ガスの水銀濃度、集塵して得られたダストD1中の活性炭Aの濃度、及び活性炭Aの添加位置のうち少なくとも一つに応じて調整し、粗粉C1の水銀濃度を調整することができる。尚、活性炭Aの添加位置は、バグフィルタ5の入口やバグフィルタ5内の風室の中のいずれかとすることができる。
バグフィルタ5で回収したダストの一部D1をサイクロン6に供給し、ダストD1を分級して水銀濃度が高い粗粉C1と水銀濃度が低い微粉Fとに分離する。粗粉C1は水銀回収装置7に供給して水銀を回収し、水銀が回収された粗粉C2を微粉Fと共にダストD2としてプレヒータ2に戻す。
図2は、活性炭と、セメントキルン排ガスに含まれるキルンダストとの粒度分布を示すグラフである。これによると、バグフィルタ5で得られるダストD1を、粒径10μm〜20μmを分級点として分級することにより、活性炭Aの濃度が高くキルンダスト濃度が低い粗粉C1と、活性炭Aの濃度が低くキルンダスト濃度が高い微粉Fとに分離することができることが判る。尚、分級点をこの範囲から選択することで、プレヒータ2の排ガスG1に含まれるキルンダストに対して体積比で1〜2%の活性炭Aを添加する場合、添加した活性炭Aの9割以上を粗粉C1に含めることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、セメントキルン排ガス中の水銀を吸着した活性炭Aの8割以上が粗粉C1に含まれることで粗粉C1中の水銀濃度が高くなり、粗粉C1から水銀を回収するのみでセメントキルン排ガス中の水銀を効率的に回収することが可能となり、水銀回収に要するコストを低く抑えることができる。
尚、上記実施の形態では、粗粉C1を水銀回収装置7に供給し、水銀が除去された粗粉C2をプレヒータ2に戻したが、粗粉C1の水銀濃度によっては粗粉C1を水銀回収装置7に供給せずに最終処分場で処理することもできる。これにより、最終処分場での処理量を低く抑えることができる。また、水銀が除去された粗粉C2をセメント製造装置のうち上記プレヒータ2以外の部分に供給してセメント原燃料とすることもでき、系外に排出して有効利用することもできる。
また、上記実施の形態では、プレヒータ2の排ガスG1を活性炭A、バグフィルタ5、サイクロン6を用いて処理する場合について説明したが、活性炭A以外の水銀吸着材、バグフィルタ5以外の集塵装置、サイクロン6以外の分級装置を用いてセメントキルン排ガスを処理することもできる。
1 セメントキルン排ガスの処理装置
2 プレヒータ
3 調湿塔等
4 添加装置
5 バグフィルタ
6 サイクロン
7 水銀回収装置
A 活性炭
C1、C2 粗粉
D1、D2 ダスト
F 微粉
G1〜G3 排ガス

Claims (6)

  1. セメントキルン排ガスに水銀吸着材を添加し、
    該水銀吸着材が添加された排ガスから集塵し、
    該集塵して得られたダストを分級して水銀濃度が高い粗粉と、水銀濃度が低い微粉とに分離することを特徴とするセメントキルン排ガスの処理方法。
  2. 前記分級における分級点を10μm以上20μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン排ガスの処理方法。
  3. 前記水銀吸着材の添加量を、前記セメントキルン排ガスの水銀濃度、前記集塵して得られたダストの水銀吸着材濃度、及び前記水銀吸着材の添加位置のうち少なくとも一つに応じて調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のセメントキルン排ガスの処理方法。
  4. 前記分級して得られた粗粉から水銀を回収することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のセメントキルン排ガスの処理方法。
  5. セメントキルン排ガスに水銀吸着材を添加する添加装置と、
    該水銀吸着材が添加された排ガスから集塵する集塵装置と、
    該集塵して得られたダストを分級して水銀濃度が高い粗粉と、水銀濃度が低い微粉とに分離する分級装置とを備えることを特徴とするセメントキルン排ガスの処理装置。
  6. 前記分級して得られた粗粉から水銀を回収する水銀回収装置を備えることを特徴とする請求項5に記載のセメントキルン排ガスの処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018135248A (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 太平洋セメント株式会社 セメントキルン排ガスからの水銀除去方法及び除去システム
WO2019097045A1 (fr) 2017-11-20 2019-05-23 Fives Fcb Procede de traitement de matiere minerale, notamment cuisson de clinker, en depolluant les fumees et installation pour la mise en oeuvre d'un tel procede

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