JP2014058483A - 歯磨組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる香料成分の製造直後の香り立ちに優れ、かつ経時で香り立ちが安定な、上記香料成分含有の歯磨組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを含有してなることを特徴とする歯磨組成物。
(A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを配合して歯磨組成物を製造するに際し、(C)成分を配合した後、(A)成分及び(B)成分を添加する上記歯磨組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機研磨剤を含有し、カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる香料成分が配合された歯磨組成物に関し、更に詳述すると、無機研磨剤への香料成分の吸着を抑えることで、製造直後の香り立ちが改善し、かつ経時で香り立ちの低下が少なく安定な歯磨組成物及びその製造方法に関する。
無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムといった無機研磨剤を含有する歯磨組成物では、無機研磨剤粒子表面へ香料成分が吸着して配合香料の香り立ちが悪くなるという問題があり、そのことを考慮し、一定の香りを適度に維持させるために香料を増量して配合するなどして対応しているのが現状であった。
更に詳述すると、ほとんどの歯磨組成物には、口腔内の清掃効率を高めるため研磨剤が配合されており、市販されている歯磨組成物の多くでは無機粒子が用いられている。無機粒子としては、シリカを主成分とするシリカ系研磨剤、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムの3種類が主に使用されている。これらの無機粒子の表面は、通常、未改質の無機物質本来の活性を有した状態で配合されており、香料成分固有の親油的性質や静電的特性により粒子表面間で相互作用を示し、無機粒子表面に香料成分が吸着して溶存濃度が低下し、香り発現に働く香料量が見かけ上、減少してしまうことが知られている。
歯磨組成物の製造においては、このような変化を考慮して付与したい香りと付香する香料とを経験をもとに調整して配合しており、上記変化が小さければ、香り立ちが良好となり、過剰に配合する香料を低減することも可能となる。このことから、無機粒子への香料成分の吸着を抑え、香り立ちを改善する技術が求められていた。
また、製造直後において、無機粒子への香り吸着性は香料成分により異なり、吸着により一部成分が減少することで香り立ちに変化が生じることがある。吸着性の高い成分について、無機粒子への吸着を抑えることができれば、香り立ち変化を考慮せずに香味設計を行うことが可能となり、嗜好性のある口腔用組成物の開発においてはその意義も高く、香り立ちの変化を抑える技術が求められていた。
歯磨組成物の香料成分において、カルボン、アネトール、オイゲノールは、無機粒子表面へ吸着し易い性質を有するため、特に初期の香り立ち低下が大きく、とりわけ変化を想定して配合する量を調整する必要が生じていた。また、香り立ちの低下は経時でも進行し、保存後も一定の香り立ちを確保できる安定化技術が求められていた。
従来、香味改善技術としては、例えば、特定の香料成分と製造法を限定したアルキル硫酸塩を配合することで、香味立ちを良好とする技術(特許文献1)、特定のラクトン類を配合することでミント系の香味立ちが良好な口腔用組成物(特許文献2)、製造法により香料成分が揮散することがないため香料成分の組成バランスの崩れを防止でき、良好な香味を得る技術(特許文献3、4)などが知られている。しかし、いずれも技術的アプローチ法が異なっており、製造直後の香り立ちを改善するものではない。
一方、ポリエチレングリコールは、歯磨組成物に湿潤剤、粘稠剤として用いられ、また、タバコのヤニ除去効果を有することが知られている成分である。平均分子量が600程度までは液状であるが、高分子量になるに従い、ワックス状となり固形化する。歯磨組成物では、通常、生産時の取り扱い性の観点から平均分子量が200〜600で、液状であるもの、平均分子量が4,000〜6,000程度で、固化し、フレーク化して配合が可能なものが、市販製品において配合されている。
香料成分を含み、ポリエチレングリコールを配合した技術として、例えば、多価アルコールとアネトールとをある一定の割合で配合することにより亜鉛化合物の金属味を改善した技術(特許文献5、6)、グルカナーゼを含有する口腔用組成物に、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、平均分子量1,000〜6,000のポリエチレングリコールとを併用した口腔用組成物(特許文献7)、デキストラナーゼ、ポリビニルピロリドン、平均分子量が1,290〜25,000のポリエチレングリコール、アルキル硫酸塩及び重曹を配合した歯磨組成物(特許文献8)などが提案されている。しかし、これらのいずれの文献にも、ポリエチレングリコールによる香り立ちの改善については何ら述べられていない。
特開2001−220335号公報 特開平10−310512号公報 特開平6−72833号公報 特開平11−171747号公報 特開平11−246376号公報 特開2004−203894号公報 特開2004−262882号公報 特開2011−6328号公報
従って、カルボン、アネトール、オイゲノールから選ばれる香料成分を含有する歯磨組成物において、無機研磨剤への上記香料成分の吸着を抑え、香り立ちを向上及び安定化させることが、本発明の技術課題である。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、無機研磨剤を含有し、カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる香料成分が配合された歯磨組成物において、上記香料成分の無機研磨剤への吸着を抑え、製造直後の香り立ちが改善し、かつ保存後も安定な香り立ちが確保される歯磨組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を進めた結果、(A)無機研磨剤を含有し、(B)カルボン、アネトール、オイゲノールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分が配合された歯磨組成物に、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールを配合することにより、歯磨組成物製造時の香り立ち変化が少なく、また、香り立ちの経時安定性が良好となることを知見した。本発明によれば、無機研磨剤への上記香料成分の吸着が抑えられ、製造直後の香り立ちが改善し、保存後も香り立ちが安定に持続することを知見し、本発明を完成するに至った。
更に詳述すると、本発明者らは、無機研磨剤への吸着により香り立ちの変化や経時での香り立ちの低下が生じ易い香料である、カルボン、アネトール、オイゲノールに、特定の平均分子量を有するポリエチレングリコールを併用して配合すると、意外にも、製造直後の香りの変化が少なく、経時での香り変化も少ないことを見出した。乳化分散系の歯磨組成物中において、正確な現象を把握することは困難であり十分な分析はなされていないが、上記ポリエチレングリコールが無機研磨剤の粒子表面に吸着して上記香料成分の吸着を抑える作用を発揮するものと推測され、特定の平均分子量を有するものにおいて効果が優れる理由は、選択した香料成分の分子構造とに何らかの関係があるものと推察している。
ポリエチレングリコールは歯磨組成物の配合成分として知られているが、特定平均分子量のポリエチレングリコールが、上記香料成分の無機粒子への吸着を抑制し、上記香り立ちの向上及び安定化効果を奏し、他のポリエチレングリコールではなし得ない格別の作用効果を与えることは、本発明者らの新知見である。
従って、本発明は下記の歯磨組成物及びその製造方法を提供する。
〔1〕
(A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを含有してなることを特徴とする歯磨組成物。
〔2〕
(A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを配合して歯磨組成物を製造するに際し、(C)成分を配合した後、(A)成分及び(B)成分を添加する上記〔1〕の歯磨組成物の製造方法。
本発明によれば、カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる香料成分の製造直後の香り立ちに優れ、経時で香り立ちが安定な、上記香料成分含有の歯磨組成物及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の歯磨組成物は、組成中に(A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる香料成分とを含有し、かつ(C)特定の分子量を有するポリエチレングリコールを含有することを特徴とする。
(A)無機研磨剤としては、歯磨組成物に配合されるものであれば特に制限されず、例えば沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、ゼオライト、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイトなどが挙げられる。中でも、シリカ系研磨剤を用いた場合は特に香り立ちの変化が大きく、シリカ系研磨剤において本発明の効果がより有効に発揮されることから、シリカ系研磨剤が好適である。これら無機研磨剤の配合量は通常量でよく、組成全体の5〜50%(質量%、以下同様。)が好適である。特にシリカ系研磨剤の配合量は、組成全体の8〜30%が好適である。
(B)成分の香料成分は、カルボン、アネトール、オイゲノールから選ばれる1種又は2種以上である。これら香料成分は、1種を単独で配合しても、あるいは効果発現の点で2種又は3種を併用してもよい。
(B)成分の含有量は、組成全体の0.001〜0.5%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.3%である。配合量が多いほど香り立ち発現には有効であり、0.001%以上配合すると、香り立ちを十分に発現させることができる。0.5%以下であることが、特定のポリエチレングリコールの配合効果を得るのに好適である。
(C)成分の平均分子量9,300〜12,500のポリエチレングリコールは、本発明の効果発現に重要な成分である。かかる特定の平均分子量を有するポリエチレングリコールを配合することで、(B)成分の香料成分の無機研磨剤への吸着が抑えられ、香り立ちが改善し、本発明の優れた効果を奏する。
ポリエチレングリコールの平均分子量は9,300〜12,500であることが重要であり、好ましくは9,500〜12,100であり、製造直後の香り立ちの点から、より好ましくは10,000〜12,000である。平均分子量が9,300未満では、十分な香り立ちが得られない。12,500を超えても十分な香り立ちが得られない。
なお、ポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格(外原規)2006記載の平均分子量を示し、外原規2006に収載されるポリエチレングリコール11000の平均分子量試験を用いて測定することができる。
測定法について詳述すると、ピリジン中で無水フタル酸と反応させてフタル酸エステルとし、過剰量の無水フタル酸を加水分解して水酸化ナトリウムで滴定することにより平均分子量を求める。具体的には下記に示す。
本品約12.5gを精密に量り、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、ピリジン約25mLを加え、加温して溶かし、放冷する。別に無水フタル酸42gをとり、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、先の耐圧共栓瓶に加えて密栓し、丈夫な布でこれを包み、あらかじめ98±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際、瓶の中の液が水浴の液の中に浸かるようにする。98±2℃で30分間加温した後、室温になるまで空気中で放冷する。次に、0.5mol/L水酸化ナトリウム液50mLを正確に加え、この液につき、0.5mol/L水酸化ナトリウム液で滴定する(指示薬:フェノールフタレインのピリジン溶液(1→100)5滴)。但し、滴定の終点は、液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。S:試料の量(g)、a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム液の消費量(mL)、b:試料の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム液の消費量(mL)とした場合、平均分子量=S×4000/(a−b)で求めることができる。
このようなポリエチレングリコールとしては、例えば市販されているポリエチレングリコール11000(PEG#11000、日油(株))を用いることができる。
(C)ポリエチレングリコールの含有量は、組成全体の0.3〜5%が好ましく、0.5〜4%がより好ましく、保存後の香り立ちの点から、更に好ましくは1.0〜2%である。多く配合するほど香り立ちの改善には有効であり、0.3%以上配合すると十分に改善できるが、5%を超えると香り立ちが弱くなる傾向があり、この範囲で配合すると香り立ちの改善により好適である。
(C)成分のポリエチレングリコールは、(B)成分の香料成分に対して適切割合で配合することが、香り立ち改善により好適である。質量比として(C)成分/(B)成分が2〜1,000が好ましく、より好ましくは5〜200の範囲である。
本発明の歯磨組成物は、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨として好適に調製される。また、剤型に応じ、上記成分に加えて、通常、歯磨組成物に配合されるその他の公知成分、例えば、研磨剤、界面活性剤、粘結剤、粘稠剤、薬効成分、甘味料、着色料、防腐剤、pH調整剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて配合し得る。
研磨剤としては、(A)成分の無機研磨剤以外のもの、例えばポリメチルメタアクリレート、合成樹脂系研磨剤などを配合できる。これら研磨剤の配合量は、(A)成分との合計で組成全体の5〜50%が好適である。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、ラウロイルサルコシン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等、両性界面活性剤として脂肪酸アミドプロピルベタイン、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリグリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。なお、これら界面活性剤の配合量は組成全体の0.5〜5%程度が好ましい。
粘稠剤としては、(C)成分のポリエチレングリコール以外のもの、例えばソルビット、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。粘稠剤の配合量は通常10〜50%であり、特に15〜40%が好ましい。
粘結剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムなどのイオン性高分子化合物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどの非イオン性高分子化合物などが挙げられ、これら粘結剤の配合量は0.5〜3%が好ましい。
薬効成分(有効成分)としては、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム等のフッ化物、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ソルビン酸塩、ヒノキチオール、アズレンスルホン酸塩等の殺菌性物質、デキストラナーゼ、ムタナーゼなどのグルカナーゼ酵素、プロテアーゼ、リゾチーム等の分解酵素、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸等の抗炎症物質、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化ストロンチウム、硝酸カリウムなどの無機塩類、ゼオライト、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性化合物、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ピリドキシン等の各種ビタミン類、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の天然抽出物などが挙げられる。これら有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量である。
甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド等が配合できる。
着色料としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号、雲母チタン、酸化チタン等を挙げることができる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、リン酸、グリセロリン酸やこれらの各種塩などを挙げることができ、所望のpHに応じて適宜選択して使用できる。
本発明の歯磨組成物は、pH6〜10、特に7〜9に調整されることが好ましい。
香料は、(B)成分のカルボン、アネトール、オイゲノール以外の香料成分を、本発明の効果を妨げない範囲で添加してもよい。具体的には、ペパーミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これらの天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分溜、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビートアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
なお、香料を任意で添加する場合は、(B)成分の香料成分の組成中含有量が上記範囲内において配合することが望ましい。
収容容器の材質は特に制限されず、通常、歯磨組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。例えば直径26mm、口部内径8〜12mmのラミネートチューブ(最外層よりLDPE55/PET12/LDPE20/白LDPE60/EMAA20/AL10/EMAA30/LDPE20/LLDPE30)などを好適に使用できる。なお、上記略号は下記のとおりであり、末尾の数字は厚さ(μm)を示す。
LDPE:低密度ポリエチレン 白LDPE:白色低密度ポリエチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン AL:アルミニウム
PET:ポリエチレンテレフタレート
EMAA:エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂
本発明の歯磨組成物は、(A)〜(C)成分を配合して常法により製造できるが、特に(C)成分のポリエチレングリコールの配合が(B)成分の香料成分の添加より前であることが好ましい。(C)成分のポリエチレングリコールを配合した後、(B)成分の香料成分、更には(A)成分の無機研磨剤を添加すると、香り立ちの改善効果がより高まる。(B)成分を添加した後に(C)成分を添加した場合に比べ、(C)成分を添加した後に(B)成分を添加した場合の方が、より良好な香り立ちが得られる。(C)成分が存在しない条件下で、(A)成分と(B)成分とが共存すると吸着が生じ、後に(C)成分を添加しても吸着した香料成分が脱離し難くなると推測される。
歯磨組成物の製造法につき、具体的に下記に示す。
(i)精製水中に水溶性成分(粘結剤、プロピレングリコールを除く)を常温で混合溶解させたP相を調製する。
(ii)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたQ相を調製する。
(iii)攪拌中のP相の中にQ相を添加混合し、R相を調製する。
(iv)R相中に、香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、ユニミキサー又はニーダーを用い常温で混合し、減圧(5.3kPa)による脱泡を行い、歯磨組成物を得る。
本発明においては、上記工程(i)で精製水中に水溶性成分と共に(C)成分のポリエチレングリコールを添加し、工程(ii)、(iii)を順次行った後、工程(iv)で(B)成分の香料成分、(A)成分の無機研磨剤を添加、混合し、攪拌、脱泡を行うことが好適である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。また、形態が水溶液の成分については、表中も含め何れも純分換算の配合量を示した。なお、ポリエチレングリコールの平均分子量は、上記と同様にして外原規2006に収載された平均分子量試験を用いて測定した値である。
〔実施例、比較例〕
表1、2に示す組成の歯磨組成物(練歯磨)を下記方法で調製し、直径26mm、口部内径8mmのラミネートチューブに充填した。得られた歯磨組成物を下記方法で評価し、結果を表1、2に併記した。
試験歯磨組成物の調製(実施例1〜11、比較例1〜3)
精製水に、ポリエチレングリコール、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム等の水溶性物質を溶解させ、ソルビットを加えた後、別途、プロピレングリコールにキサンタンガム等の高分子化合物を分散させた液を加え、攪拌した。その後、アネトール、カルボン、オイゲノール等の香料、無水ケイ酸等の研磨剤、ラウリル硫酸ナトリウムを順次加え、更に減圧下(5.3kPa)で攪拌し、歯磨組成物を得た。製造にはユニミキサー(FM−SR−25,POWEREX CORPORATION社製)を用いた。比較例の組成物は、上記に準じて調製した。
試験歯磨組成物の調製(実施例12)
精製水に、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム等の水溶性物質を溶解させ、ソルビットを加えた後、別途、プロピレングリコールにキサンタンガム等の高分子化合物を分散させた液を加え、攪拌した。その後、アネトール、カルボン、オイゲノール等の香料、無水ケイ酸等の研磨剤、ラウリル硫酸ナトリウムを順次加え、最後にポリエチレングリコールを加え、更に減圧下(5.3kPa)で攪拌し、歯磨組成物を得た。製造にはユニミキサー(FM−SR−25,POWEREX CORPORATION社製)を用いた。なお、ポリエチレングリコールは加温溶解(80℃)して添加した。
これら歯磨組成物の調製に用いた各成分の詳細は以下のとおりである。
研磨性シリカ(Tixosil73,ローディア日華(株)、メジアン径14μm)
炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)、ソフトン1500、平均粒径45μm)
ポリエチレングリコール11000(PEG11000、日油(株))
ポリエチレングリコール6000(PEG−6000S、三洋化成(株))
ポリエチレングリコール20000(PEG−20000、三洋化成(株))
アネトール(高砂香料工業(株))、カルボン(高砂香料工業(株))、オイゲノール(高砂香料工業(株))
なお、上記ポリエチレングリコールの測定平均分子量は表に示すとおりである。
その他の成分、具体的にはラウリル硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ソルビット(70%水溶液品)、サッカリンナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、フッ化ナトリウム、増粘性無水ケイ酸、水については、医薬部外品原料規格2006に適合したものを用いた。
香料Aとしては、ペパーミント油(50%)、ペパーミント油前溜部20%カット(30%)、和種ハッカ(15%)、メントール(1%)、エタノール(2%)及びプロピレングリコール(2%)を用いた。なお、この香料Aはアネトール、カルボン及びオイゲノールを含まない。
また、下記評価において使用した収容容器は、直径26mm、口部内径8mmのラミネートチューブ(大日本印刷(株)製)であり、層構成は最外層よりLDPE55/PET12/LDPE20/白LDPE60/EMAA20/AL10/EMAA30/LDPE20/LLDPE30、厚さ257μmである。略号の示すところは上記の通りであり、数値は各層の厚さ(μm)を示す。
評価方法:
(1)製造直後の香り立ち
歯磨組成物を製造から1日経過後(室温下)の香り立ちを評価した。ラミネートチューブに50g収容した歯磨組成物を薬包紙上に1g押し出し、専門家5名の官能評価により、下記の5段階で香り立ちを評価した。
評点基準
5点:比較例1に比べ、香り立ちが良好
4点:比較例1に比べ、香り立ちがやや良好
3点:比較例1に比べ、香り立ちが同等
2点:比較例1に比べ、香り立ちがやや悪い
1点:比較例1に比べ、香り立ちが悪い
5名の評点の平均値を求め、製造直後の香り立ちに変化の度合いを下記4段階で判定した。◎、○となるものを製造時の香り立ちに優れる歯磨組成物であると判断した。
評価基準
◎:香り発現性平均点が4.0点超5.0点以下
○:香り発現性平均点が3.0点超4.0点以下
△:香り発現性平均点が2.0点以上3.0点以下
×:香味発現性平均点が2.0点未満
(2)保存後(50℃,1ヶ月)の香り立ち
歯磨組成物を上記ラミネートチューブに50g充填し、50℃で1ヶ月間又は−5℃で1ヶ月間保存した後、薬包紙上に1g押し出し、専門家5名の官能評価により、−5℃保存品に比べた50℃保存品の香り立ち変化を下記の4段階で評価した。
評点基準
4点:香り立ちに変化が認められない状態
3点:わずかに香り立ちに変化が認められる状態
2点:香り立ちに変化が認められる状態
1点:著しく香り立ちに変化が認められる状態
5名の評価点の平均値を求め、香り立ちの変化の度合いを下記4段階で判定した。◎、○となるものを50℃保存時における製剤の香り立ちの安定性に優れる歯磨組成物であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.5点以上3.0点未満
×:2.5点未満
Figure 2014058483
* :純分換算値(以下、同様。)。
**:歯磨製造工程の最後にポリエチレングリコールを添加。
Figure 2014058483

Claims (5)

  1. (A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを含有してなることを特徴とする歯磨組成物。
  2. (A)成分の無機研磨剤が、シリカ系研磨剤である請求項1記載の歯磨組成物。
  3. (C)成分のポリエチレングリコールの配合量が0.3〜5質量%である請求項1又は2記載の歯磨組成物。
  4. (A)成分の無機研磨剤の配合量が5〜50質量%、(B)成分の香料成分の配合量が0.001〜0.5質量%である請求項1、2又は3記載の歯磨組成物。
  5. (A)無機研磨剤と、(B)カルボン、アネトール及びオイゲノールから選ばれる少なくとも1種の香料成分と、(C)平均分子量が9,300〜12,500であるポリエチレングリコールとを配合して歯磨組成物を製造するに際し、(C)成分を配合した後、(A)成分及び(B)成分を添加する請求項1乃至4のいずれか1項記載の歯磨組成物の製造方法。
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