JP2014058186A - 車両用樹脂部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造及び方法で、パネル本体と補強リブとの成形収縮の相違に基づくパネル本体のヒケ変形を低減できる車両用樹脂部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面側11に意匠面を有するパネル本体1と、該パネル本体1の裏面側12にハニカム形状を有して突設する補強リブA1、A2とを備える車両用樹脂部品10であって、前記ハニカム形状を形成する前記補強リブA1、A2の対向する二辺21a1、21a2が、前記パネル本体1の長手方向に対して略平行に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車の内外装部品に用いる車両用樹脂部品及びその製造方法に関する。
一般に、自動車の内外装部品(例えば、バンパーやクォータトリムなど)には、デザイン上の見映えを重視する意匠面を有するパネル本体と、パネル本体の剛性を確保するための補強リブとを備えている。また、自動車の内外装部品は、パネル本体と補強リブを一体的に成形するとともに、意匠面の自由度を高めるために、射出成形方法によって製造された車両用樹脂部品であることが多い。
この車両用樹脂部品には、パネル本体と補強リブとの成形収縮が異なるとパネル本体にヒケ変形(反り変形)を起こしやすい問題があった。そのため、車両用樹脂部品の意匠面における見映えを確保すべく、成形収縮に伴いパネル本体に生ずるヒケ変形(反り変形)を防止する技術が開発されている(例えば、特許文献1−2参照)。
例えば、特許文献1の技術は、金型のキャビティ内に溶融樹脂を充填させて溶融樹脂が冷却固化しつつあるときに、リブで囲まれる格子部におけるキャビティ面と樹脂との間に窒素ガス等の圧縮流体を注入する格子状リブ付き平板の射出成形方法である。
この特許文献1の技術によれば、リブで囲まれた格子部に窒素ガス等の圧縮流体を注入しているため、キャビティ内の溶融樹脂(平板)は、その平面部がキャビティ内面に押圧された状態で冷却固化され、ヒケが防止される。また、圧縮流体は平面部だけでなくリブ部にも作用するため、リブ部と平面部との圧力分布がなくなって成形収縮の分布もなくなり、面精度の優れた反り変形のない平板が成形され得る。
また、特許文献2の技術は、ボス、リブまたはクリップ等の部分的な厚肉部を有する成型品を成形する際、成型品裏面側の厚肉部の基部付近に加圧流体を送り込む手段を有し、厚肉部の基部付近に対応する金型の部分が断熱材で形成されている金型を用い、厚肉部の基部付近の冷却を遅延させるとともに、厚肉部の基部及び基部付近を金型に加圧流体で押し当てることを特徴とする樹脂成型部品の製造方法である。
この特許文献2の技術によれば、ボス、リブまたはクリップ等の部分的な厚肉部を有する樹脂成型品の外表面にヒケの発生を防止することができる。
また、パネル本体と補強リブとを別体で成形した上で、両者を貼り付ける技術(公知技術)も一般に知られている。この技術によれば、パネル本体と補強リブとの成形収縮率が異なっていても、両者を成形収縮後に貼り付けるので、パネル本体と補強リブとの成形収縮の相違に基づくパネル本体のヒケ変形は起こらない。
特開平8−66933号公報 特開平9−109213号公報
しかしながら、特許文献1−2には、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1の技術では、リブで囲まれる格子部におけるキャビティ面と樹脂との間に窒素ガス等の圧縮流体を注入するガス供給路を金型に形成し、ガス供給路への窒素ガス供給を制御する開閉バルブや増圧器の動作を制御する制御装置が必要となる。そのため、特許文献1の技術は、成型方法が複雑となって、樹脂注入から離型までの成形時間が長くなるとともに、圧縮流体の原料費や設備費が増加して、コスト増となる問題があった。
また、特許文献2の技術では、特許文献1の技術と同様に、加圧流体を金型に供給する加圧流体の供給機構や、供給タイミングや保持時間等を制御する制御システムが必要となる。そのため、特許文献2の技術は、成型方法が複雑となって、樹脂注入から離型までの成形時間が長くなるとともに、加圧流体の原料費や設備費が増加して、コスト増となる問題があった。特に、厚肉部の基部付近の冷却を遅延させるので、成形時間が一層長くなる問題があった。
また、前記公知技術では、パネル本体と補強リブとを別体で成形するため、複数の成形装置と、両者を貼り付ける接合装置が必要となる。そのため、前記公知技術は、各成形装置及び接合装置における加工工数が増加し、各成形装置及び接合装置の設備費が増加して、コスト増となる問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造及び方法で、パネル本体と補強リブとの成形収縮の相違に基づくパネル本体のヒケ変形を低減できる車両用樹脂部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用樹脂部品及びその製造方法は、次のような構成を有している。
(1)表面側に意匠面を有するパネル本体と、該パネル本体の裏面側にハニカム形状を有して突設する補強リブとを備える車両用樹脂部品であって、
前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺が、前記パネル本体の長手方向に対して略平行に配置されていることを特徴とする。
本発明においては、ハニカム形状を形成する補強リブの対向する二辺が、パネル本体の長手方向に対して略平行に配置されているので、補強リブによるパネル本体の収縮性を阻害させず、パネル本体の成形収縮に伴うヒケ変形を低減することができる。すなわち、ハニカム形状を形成する補強リブは、対向する二辺が互いに平行に配置されている。そして、互いに平行に配置された対向する二辺の補強リブは、パネル本体の長手方向と略平行に配置されているので、対向する二辺の補強リブの長手方向における成形収縮とパネル本体の長手方向における成形収縮とが、収縮方向において略一致する。そのため、パネル本体の長手方向における成形収縮が、補強リブによって阻害されにくくなる。したがって、パネル本体は、長手方向でその収縮を阻害されないため、成形収縮に伴うヒケ変形を低減することができる。
なお、正六角形のハニカム形状を形成する補強リブの場合、対向する二辺と隣接する斜辺とが交差する点の内角は、120度である。そのため、対向する二辺をパネル本体の長手方向と平行に配置した場合、隣接する斜辺は、パネル本体の長手方向とは60度の傾斜角を有する。したがって、補強リブの内、隣接する斜辺が成形収縮する成形収縮量は、パネル本体の長手方向に対する成分に換算すると、1/2倍に低減され、パネル本体の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、√3/2倍に低減される。その結果、対向する二辺と隣接する斜辺の成形収縮が、パネル本体の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、対向する二辺の成形収縮に比べて少ないといえる。
(2)表面側に意匠面を有するパネル本体と、該パネル本体の裏面側にハニカム形状を有して突設する補強リブとを備える車両用樹脂部品であって、
前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺が、前記パネル本体の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置されていることを特徴とする。ここで、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向とは、射出成型装置のパネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向と略同一の方向をいう。
本発明においては、ハニカム形状を形成する補強リブの対向する二辺が、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置されているので、パネル本体は、成形収縮率が最大となる方向でその収縮が、補強リブにより阻害されにくくなる。
すなわち、射出成形品である車両用樹脂部品は、パネル本体の長手方向が、明確に特定しにくい異形形状のもの(例えば、フェンダー等のように直線部と湾曲部で構成された部品)がある。この異形形状の樹脂部品においては、肉厚や冷却温度等の条件を同一とした場合でも、射出成型装置のパネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向と略同一の方向が、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向となる。
したがって、ハニカム形状を形成する補強リブの対向する二辺を、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置させることによって、パネル本体は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
(3)(1)又は(2)に記載された車両用樹脂部品において、
前記補強リブのハニカム形状は、前記パネル本体の長手方向に対して直交する方向に扁平状に形成したことを特徴とする。
本発明においては、補強リブのハニカム形状は、パネル本体の長手方向に対して直交する方向に扁平状に形成したので、補強リブの内、対向する二辺と隣接する斜辺とが交差する点の内角は、120度より大きくなる。そのため、対向する二辺をパネル本体の長手方向と平行に配置した場合、隣接する斜辺の長手方向とパネル本体の長手方向との傾斜角は、60度より小さくなる。したがって、ハニカム形状を形成する補強リブの内、隣接する斜辺が成形収縮する成形収縮量は、パネル本体の長手方向に対する成分に換算すると、1/2倍より大きくなり、パネル本体の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、√3/2倍より小さくなる。その結果、隣接する斜辺の成形収縮が、パネル本体の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、補強リブのハニカム形状が正六角形の場合に比較して、より一層小さくなり、パネル本体の成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
(4)(3)に記載された車両用樹脂部品において、
前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺に隣接する斜辺の長さは、該対向する二辺の長さより短いことを特徴とする。
本発明においては、ハニカム形状を形成する補強リブの対向する二辺に隣接する斜辺の長さは、該対向する二辺の長さより短いので、隣接する斜辺の成形収縮量自体が減少する。そのため、隣接する斜辺の成形収縮がパネル本体の長手方向における成形収縮に与える影響は、より一層僅かとなり、パネル本体は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された車両用樹脂部品を製造する製造方法であって、
前記パネル本体の長手方向と直交する方向から溶融樹脂を注入する複数の樹脂注入口を備える射出成型装置を用いて成形することを特徴とする。
本発明においては、パネル本体の長手方向と直交する方向から溶融樹脂を注入する複数の樹脂注入口を備える射出成型装置を用いて成形するので、パネル本体のキャビティ内に溶融樹脂を短時間に充填できる。そのため、パネル本体の成形収縮量が長手方向で均一化され、パネル本体の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形を一層低減することができる。また、特許文献1、2の技術のように、圧縮流体や加圧流体を用いる必要がないので、成形時間を遅らせることがなく、圧縮流体等の原料費や設備費が増加して、コスト増となることもない。
本発明によれば、簡単な構造及び方法で、パネル本体と補強リブとの成形収縮の相違に基づくパネル本体のヒケ変形を低減できる車両用樹脂部品及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る実施形態を適用する車両用樹脂部品を含む車両の斜視図である。 図1の車両用樹脂部品を射出成形した半完成品の斜視図である。 図2に示す補強リブにおける裏面斜視図である。 図3のB部詳細図である。 図3における内リブの斜視図である。 図3における内リブの交差部の斜視図である。 図3における内リブの交差部に形成する薄肉筒状体の斜視図である。 図3における内リブの一般部とパネル本体の断面図である。 図3の補強リブとパネル本体の成形収縮との配置関係を表す模式図である。 図3の正六角形のハニカム形状に形成された補強リブにおける成形収縮とパネル本体における成形収縮との関係を表す模式図である。 図3の扁平ハニカム形状に形成された補強リブおける成形収縮とパネル本体における成形収縮との関係を表す模式図である。 本発明に係る実施形態を適用する車両用樹脂部品の射出成形装置の模式的断面図である。
次に、本発明に係る実施形態である車両用樹脂部品及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
<車両用樹脂部品の構造>
まず、本発明に係る実施形態である車両用樹脂部品について、バンパーの例でその構造を説明する。図1に、本発明に係る実施形態を適用する車両用樹脂部品を含む車両の斜視図を示す。図2に、図1の車両用樹脂部品を射出成形した半完成品の斜視図を示す。
図1、2に示すように、太線で囲まれた斜線で示す車両用樹脂部品(バンパー)10は左右両端が車両側面方向に湾曲した略コ字状の形状をなしている。車両用樹脂部品(バンパー)10の上端16には、ラジエターグリルやヘッドライト、フェンダ等との見切り部が形成されている。また、車両用樹脂部品(バンパー)10のパネル本体1には、ナンバープレート取付座(中央付近)やフォグランプ取付穴(両サイド)が形成されている。これら他部品の取付座、取付穴を除く、車両外方に沿う外形面(パネル本体の表面側11)が意匠面となり、外観品質(見映え)を重視して成形されている。意匠面の中で、断面曲率が小さく張り剛性が低い箇所である平坦部の裏面側12には、仮想線で囲まれたドットで示す範囲に、補強リブA1、A2が形成されている。補強リブA1、A2の外縁は、パネル本体1が平坦部から湾曲部に変化する境界近傍に沿って略矩形状に形成されている。車両用樹脂部品(バンパー)10に用いられる樹脂材料には、射出成形性およびコストの点を考慮して、ポリプロピレン樹脂材料が用いられている。また、剛性や耐衝撃性の要求に合わせて、ポリプロピレン樹脂材料にタルク等のフィラーやエラストマーが添加されることがある。また、樹脂材料には、ガラス繊維や炭素繊維を含有するものや、再処理材を含むものでもよい。
図2に示すように、意匠面の見映えや、部品板厚の薄肉化及び部品全体の高剛性化等を確保し、フローマーク等の成形不良を防止するため、射出成形時における樹脂流動性を高めるべく、例えば、複数の樹脂注入部R1〜R6をパネル本体の上端16、下端14やフォグランプ取付穴15等に設けている。そして、樹脂注入部R1〜R6は、射出成形後に除去する。
また、パネル本体1において、ナンバープレート取付座の左右端から車両側面方向に湾曲するまでの平坦部は、特に断面曲率の小さく張り剛性が低い箇所であるので、それら平坦部の裏面側12には、以下に説明する複数個の補強リブA1、A2が形成されている。
<補強リブの構造>
次に、パネル本体1の裏面側12に突設されている補強リブA1、A2の構造を説明する。図3に、図2の補強リブにおける裏面斜視図を示す。図4に、図3のB部詳細図を示す。図5に、図3における内リブの斜視図を示す。図6に、図3における内リブの交差部の斜視図を示す。図7に、図3における内リブの交差部に形成する薄肉筒状体の斜視図を示す。図8に、図3における内リブの一般部とパネル本体の断面図を示す。
図3に示すように、パネル本体1の裏面側12には、互いに交差する内リブ2と、該内リブ2の外周側端部24と連結して内リブ2を囲う略矩形状の外リブ3とを有する補強リブA1、A2が突設されている。内リブ2は、一般部21と交差部22と筒状部23と外周側端部24とを備えている。内リブ2は、外リブ3の内周側において放射状に交差して複数のハニカム形状を構成している。内リブ2のハニカム形状は、パネル本体1の裏面側12に所定の範囲に亘って規則的に形成されている。一般部21は、ハニカム形状を構成する基本リブである。ハニカム形状は、例えば、正六角形を形成している。一般部21の対向する二辺21aは、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と略平行に配置されている。本車両用樹脂部品10においては、パネル本体1の成形収縮率は、長手方向において最大となる。補強リブの対向する二辺21aは、パネル本体1の長手方向に対して略平行に配置されているので、パネル本体1は、成形収縮率が最大となる方向でその収縮が、補強リブにより阻害されにくくなる。したがって、パネル本体1は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
なお、射出成形品である車両用樹脂部品は、パネル本体の長手方向が、明確に特定しにくい異形形状のもの(例えば、フェンダー等のように直線部と湾曲部で構成された部品)がある。この異形形状の樹脂部品においては、肉厚や冷却温度等の条件を同一とした場合でも、射出成型装置のパネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向と略同一の方向が、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向となる。例えば、幅の広い直線部の中間に幅の狭い湾曲部を有する異形形状の樹脂部品においては、湾曲部におけるパネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向が、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向と一致する。したがって、補強リブの対向する二辺21aは、パネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向と略平行に配置することによって、パネル本体1は、成形収縮率が最大となる方向でその収縮が、補強リブにより阻害されにくくなる。その結果、パネル本体1は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
図3に示すように、交差部22は、隣接する3個の一般部21の交差する箇所であって、一般部21よりリブ高さが低くなっている。筒状部23は、ハニカム形状の交差部22の内、所定の距離を隔てた位置に設けられた筒状体を有する交差部である。筒状部23には、後述する第1の押出し装置における押出しピンが当接する。そのため、筒状部23を設ける所定の距離は、押出しピンの押出し力によって、パネル本体1の表面側11に変形、白化等が生じない程度の長さに設定する。外周側端部24は、交差部22又は筒状部23と外リブ3とを連結するリブである。内リブ2及び外リブ3は、基端部がパネル本体1に接続され、先端部が開放されている。
図4に示すように、外周側端部24のリブ高さは、交差部22又は筒状部23から連結される外リブ3に向けて徐々に低くなるように形成されている。外周側端部24における外リブ3との連結点のリブ高さは、外リブ3のリブ高さH4と等しい。外リブ3のリブ高さH4は、一般部21のリブ高さH1の1/2以下とするのが、好ましい。例えば、一般部21のリブ高さH1を5mm程度とすると、外リブ3のリブ高さH4は、2mm程度が好ましい。このように、外リブ3のリブ高さH4を一般部21のリブ高さH1より低くすることによって、射出成形後の離型時における内リブ2のキャビティ内への食い付きを解除しやすくしている。
また、外周側端部24のリブ高さを、交差部22又は筒状部23から連結される外リブ3に向けて徐々に低くなるように形成することによって、射出成形後の離型時に、外リブ3の外周側のパネル本体1が局部的に変形しにくくしている。ここでは、外リブ3は、直線状に形成されているが、必ずしも直線状に限らない。外リブ3は、パネル本体1が平坦部から湾曲部(稜線を含む)に変化する境界近傍に沿って設ければよく、階段状又は曲線状に形成してもかまわない。要するに、パネル本体1の平坦部については、張り剛性が低いので、リブ高さの高い内リブ2にて補強し、パネル本体1が平坦部から湾曲部(稜線を含む)に変化する境界近傍については、パネル本体1の張り剛性が高くなるので、リブ高さの低い外リブ3で補強すれば足りるのである。
図5に示すように、内リブ2が交差する交差部22、筒状部23には撓み部C、Dが形成されている。撓み部Cの箇所では、3本の内リブ2の一般部21がリブ高さを低くした一箇所で交差して、交差部22を形成している。また、撓み部Dの箇所では、3本の内リブ2の一般部21がリブ高さを低くした薄肉筒状体22Bと交差して、筒状部23を形成している。したがって、パネル本体の裏面側12には、内リブ2の一般部21が直接的に交差する交差部22に形成された撓み部C、又は内リブ2の一般部21が薄肉筒状体22Bと交差する箇所に形成された撓み部Dを介して閉鎖するループ形状(ここでは、ハニカム形状)が形成されている。内リブ2が交差する交差部22、筒状部23に撓み部C、Dを形成することによって、パネル本体1のある一か所に作用する荷重を周辺の内リブ2を通じて補強リブ全体に分散させることができる。そのため、パネル本体1及び補強リブの薄肉化と高剛性化を同時に達成することができる。さらに、内リブ2が交差する交差部22、筒状部23に撓み部C、Dを形成することによって、離型時のパネル本体1に作用する食い付き力を、補強リブ全体に分散させることもできる。したがって、離型時におけるパネル本体のヒケ変形を有効に防止することができる。
図6に示すように、交差部22における壁部222のリブ高さH2は、一般部21における壁部213のリブ高さH1よりも低い。そのため、内リブ2には、一般部21の先端部211から交差部22の先端部221に向かって傾斜する傾斜部212が形成されている。そして、交差部22の先端部221を中心にして3方向へ延びる傾斜部212が形成されることによって、内リブ2の一般部21と交差部22の間には、切欠き形状が構成されている。この切欠き形状が、弾性変形可能な撓み部Cとなっている。部品強度基準で設定した負荷条件において、切欠き形状に応力集中し過ぎて撓み部Cが塑性変形しない程度に、傾斜部212の長さj1及び切欠き深さ(H1−H2)を設定する。例えば、傾斜部212の長さj1は、切欠き深さ(H1−H2)に対して略1.4倍以上の長さが好ましい。このときの内リブ2は、肉厚tが0.5mm程度で、先端部211のリブ高さH1が5.0mm程度である。なお、交差部22の肉厚は、一般部21の肉厚より厚くなるので、切欠き形状に応力集中しても、破断しにくい傾向にある。
図7に示すように、筒状部23では、内リブ2の一般部21は薄肉筒状体22Bに接続されている。薄肉筒状体22Bの先端部221Bは、開放されている。また、薄肉筒状体22Bの内周側の中空部223Bは、パネル本体1の裏面側12まで到達している。薄肉筒状体22Bの肉厚qは、補強リブの一般部21の肉厚tより薄い。
また、薄肉筒状体22Bにおける先端部221Bのリブ高さH3は、一般部21における先端部211のリブ高さH1よりも低い。そのため、一般部21の先端部211から薄肉筒状体22Bの先端部221Bに向かって傾斜する傾斜部212Bが形成されている。そして、傾斜部212Bが薄肉筒状体22Bを中心にして3方向へ延びることによって、内リブ2の一般部21と薄肉筒状体22Bの間には、切欠き形状が構成されている。この切欠き形状が、弾性変形可能な撓み部Dとなっている。撓み部Dは、薄肉筒状体22Bの径方向への弾性変形及び傾斜部212Bの拡開による弾性変形によって、撓むことができる。部品強度基準で設定した負荷条件において、切欠き形状に応力集中し過ぎて撓み部Dが塑性変形しない程度に、薄肉筒状体22Bの肉厚q、傾斜部212Bの長さj2、及び切欠き深さ(H1−H3)を設定する。例えば、薄肉筒状体22Bの肉厚qは、内リブ2の一般部21の肉厚tの略1/2程度が好ましい。傾斜部212Bの長さj2は、切欠き深さ(H1−H3)に対して略1.2倍以上の長さが好ましい。このときの内リブ2は、肉厚tが0.5mm程度で、一般部21における先端部211のリブ高さH1が5.0mm程度である。
図8に示すように、パネル本体1の裏面側12には、内リブ2の一般部21における基端部214が繋がり、パネル本体1と内リブ2は一体的に成形されている。パネル本体1における本体部13の肉厚Tは、内リブ2の一般部21における壁部213の肉厚tの3倍以上が好ましい。射出成形時に、内リブ2の一般部21に対応するパネル本体1の表面側11にひけが生じにくくなるからである。本体部13の肉厚Tを薄くすると、パネル本体1の張り剛性が低下するので、内リブ2のリブ高さH1を高くする必要がある。
<補強リブとパネル本体の成形収縮との関係>
次に、補強リブとパネル本体の成形収縮との関係について説明する。図9に、図3の補強リブとパネル本体の成形収縮との配置関係を表す模式図を示す。
図9の矢印Nと矢印Kは、パネル本体1の成形収縮を模式的に表したものである。図9に示すように、ハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21aは、矢印Nの方向と平行に配置され、矢印Kの方向と直角に配置されている。
ここで、パネル本体1の長手方向と矢印Kの方向が一致している場合を想定する。一般に、パネル本体1の成形収縮量は、長手方向に最大となる。パネル本体1が長手方向に大きく成形収縮しようとしたとき、補強リブの対向する二辺21aが壁となってパネル本体1の成形収縮を阻害しようとする。そのため、補強リブの対向する二辺21aによって成形収縮が阻害されたパネル本体1の表面側11には、内部応力が残留してヒケ変形が発生する。
一方、パネル本体1の長手方向と矢印Nの方向が一致している場合には、補強リブの対向する二辺21aは、パネル本体1の成形収縮を阻害する壁とはならない。むしろ、補強リブの対向する二辺21aは、パネル本体1の長手方向と平行であるので、互いに成形収縮方向が一致している。その結果、パネル本体1の表面側11には、内部応力が残留しにくく、ヒケ変形も発生しにくい。
なお、パネル本体1の長手方向と矢印Kの方向が一致している場合、及びパネル本体1の長手方向と矢印Nの方向が一致している場合のいずれにおいても、補強リブの対向する二辺21aに隣接する斜辺21bは、パネル本体1の成形収縮が最大となる長手方向とは、傾斜角を有している。したがって、隣接する斜辺21bの成形収縮がパネル本体1の成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、少ないといえる。
次に、補強リブのハニカム形状をパネル本体1の長手方向と直交する方向に扁平状に形成した場合における、補強リブとパネル本体の成形収縮との関係について説明する。図10に、図3の正六角形のハニカム形状に形成された補強リブにおける成形収縮とパネル本体における成形収縮との関係を表す模式図を示す。図11に、図3の扁平ハニカム形状に形成された補強リブおける成形収縮とパネル本体における成形収縮との関係を表す模式図を示す。図10及び図11において、補強リブによる成形収縮を矢印q1で表わし、パネル本体1による成形収縮を矢印q2で表わす。
図10に示すように、正六角形のハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21a1、21a2は、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と平行に配置されている。補強リブの対向する二辺21a1、21a2による成形収縮q1は、パネル本体1の成形収縮q2と大きさ及び方向において略等しい。したがって、補強リブの対向する二辺21a1、21a2が、パネル本体1の成形収縮を阻害することは、殆んどない。その結果、補強リブの対向する二辺21a1、21a2の成形収縮がパネル本体1の成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、非常に少ないといえる。
また、補強リブの対向する二辺21a1、21a2と隣接する斜辺21b1〜21b4は、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と傾斜角60度で配置されている。隣接する斜辺21b1〜21b4が成形収縮する成形収縮量は、パネル本体の長手方向に対する成分に換算すると、1/2倍に低減され、パネル本体の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、√3/2倍に低減される。その結果、隣接する斜辺21b1〜21b4の成形収縮がパネル本体の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、少ないといえる。
よって、正六角形のハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21a1、21a2が、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と平行に配置されている場合には、補強リブによるパネル本体1の成形収縮への影響が少ないため、パネル本体1のヒケ変形を低減することができる。
図11に示すように、扁平ハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21c1、21c2は、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と平行に配置されている。補強リブの対向する二辺21c1、21c2による成形収縮q1は、パネル本体1の成形収縮q2と大きさ及び方向において略等しい。したがって、補強リブの対向する二辺21c1、21c2が、パネル本体1の成形収縮を阻害することは、殆んどない。その結果、補強リブの対向する二辺21c1、21c2の成形収縮がパネル本体1の成形収縮に与える影響は、非常に少ないといえる。この点は、補強リブが正六角形のハニカム形状に形成された場合と変わらない。
また、補強リブの対向する二辺21c1、21c2と隣接する斜辺21d1〜21d4は、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と傾斜角θで配置されている。ここで、傾斜角θは、60度より小さいので、隣接する斜辺21d1〜21d4が成形収縮する成形収縮量は、パネル本体の長手方向に対する成分に換算すると、cosθ×q1であって、1/2×q1より大きくなる。また、パネル本体の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、sinθ×q1であって、√3/2×q1より小さくなる。その結果、隣接する斜辺21d1〜21d4の成形収縮がパネル本体1の成形収縮に与える影響は、ハニカム形状が正六角形の場合よりも低減できる。
よって、扁平ハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21c1、21c2が、パネル本体1の長手方向(矢印Lの方向)と平行に配置されている場合には、補強リブによるパネル本体1の成形収縮への影響が一層減少するため、パネル本体1のヒケ変形をより一層低減することができる。
さらに、扁平ハニカム形状に形成された補強リブの対向する二辺21c1、21c2に隣接する斜辺21d1〜21d4の長さが、該対向する二辺21c1、21c2の長さより短い場合には、隣接する斜辺21d1〜21d4の成形収縮量自体が減少するので、パネル本体1の長手方向における成形収縮に与える影響は、さらに低減されることになる。よって、パネル本体1のヒケ変形を、さらに一層低減することができる。
<射出成形装置>
次に、本実施形態に係る車両用樹脂部品を製造する射出成形装置100の全体構造及びその機能を説明する。図12に、本発明に係る実施形態に適用する車両用樹脂部品の射出成形装置の模式的断面図を示す。
図12に示すように、射出成形装置100には、キャビ型4、コア型5、補強リブ用キャビ型6、及び押出し装置7を備えている。ここで、押出し装置7は、第1押出し装置71と、第2押出し装置72と、それらに共通する駆動体74とを備えている。
キャビ型4は、車両用樹脂部品10のパネル本体表面側11のキャビティ41と冷却管42を備えている。コア型5は、車両用樹脂部品10のパネル本体裏面側12の成形面51と、冷却管52とを備えている。コア型5の上端には、凹部53が形成され、補強リブ用キャビ型6が入子されている。また、コア型5の上端には、補強リブ用キャビ型6の左右端に隣接して、第1押出し装置71の押出し当て部71Aが昇降可能に挿入されている。補強リブ用キャビ型6は、車両用樹脂部品10のパネル本体裏面側12の成形面61と、内リブ2の一般部21及び交差部22用のキャビティ62と、内リブ2の筒状部23用のキャビティ63と、外リブ3用のキャビティ64と、冷却管65とを備えている。補強リブ用キャビ型6には、筒状部23に対応する位置に第2押出し装置72の押出しピン72Aが昇降可能に挿入されている。コア型5の下端には、第2押出し装置72の昇降動作を可能とする逃げ部54が形成されている。第2押出し装置72は、押出しピン72Aを連結する基台72Bを備え、基台72Bの下端に第1傾斜ブロック72Cが固着されている。第1傾斜ブロック72Cの下端には、第1傾斜面72Dが形成されている。一方、第1押出し装置71の押出し当て部71Aの下方には、駆動体74と連結された脚部71Bが延設されている。駆動体74の上端には、第1傾斜ブロック72Cと対向して第2傾斜ブロック73が位置調整可能に締結されている。第2傾斜ブロック73の上端には、第1傾斜ブロック72Cの下端に形成された第1傾斜面72Dと所定の隙間を有する第2傾斜面が形成されている。所定の隙間は、第2傾斜ブロック73の左右位置を調整することにより変更することができる。
ここで、補強リブ用キャビ型6は、高強度合金鋼からなるキャビ型4及びコア型5に比較して熱伝導率が高く、被切削性の良い亜鉛合金鋳物製(例えば、ZAS(三井金属鉱業株式会社の商品名))にすると良い。亜鉛合金の組成は、例えば、Alが約4%、Cuが約3%、Mgが約0.05%、そして残部がZnである。熱伝導率は、通常の合金鋼に比べて、2.5〜4倍程度高くなる。補強リブ用キャビ型6の熱伝導率を高くすることで、補強リブの凝固タイミングを早めてパネル本体表面側のヒケを防止できる。また、補強リブ用キャビ型6を被切削性の良い亜鉛合金鋳物製とすることで、補強リブ用キャビティ溝の加工条件を向上して補強リブ(内リブ2及び外リブ3)の薄肉化を容易にできる。なお、リブ用キャビティには、テーパ状の抜き角(例えば、30分程度)が設けられている。
また、補強リブ用キャビ型6の冷却回路は、キャビ型4及びコア型5の冷却回路と独立して制御するのが好ましい。具体的には、補強リブ用キャビ型6の冷却温度を補強リブ(内リブ2及び外リブ3)の成形収縮量を抑制するように制御することによって、離型性を向上させることができる。例えば、離型時における、補強リブ側の温度をパネル本体側の温度より高くすることによって、補強リブ(内リブ2及び外リブ3)の成形収縮量をパネル本体1の成形収縮量に比較して相対的に低減させることができる。補強リブ(内リブ2及び外リブ3)とパネル本体1との成形収縮量に差を設けることによって、補強リブ(内リブ2及び外リブ3)の型喰い付きを低減して、離型性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る車両用樹脂部品10は、パネル本体1の長手方向と直交する方向から溶融樹脂を注入する複数の樹脂注入口(図2に示す樹脂注入部R1〜R6に対応)を備える射出成型装置100を用いて成形されている。そして、パネル本体1のキャビティ41内に溶融樹脂を短時間に充填し、パネル本体1の長手方向における成形収縮量の均一化を図っている。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本発明に係る実施形態である車両用樹脂部品によれば、ハニカム形状を形成する補強リブA1、A2における一般部21の対向する二辺21a1、21a2が、パネル本体1の長手方向に対して略平行に配置されているので、補強リブA1、A2によるパネル本体1の収縮性を阻害させず、パネル本体1の成形収縮に伴うヒケ変形を低減することができる。すなわち、ハニカム形状を形成する補強リブA1、A2における一般部21は、対向する二辺21a1、21a2が互いに平行に配置されている。そして、互いに平行に配置された対向する二辺21a1、21a2は、パネル本体1の長手方向と略平行に配置されているので、対向する二辺21a1、21a2の長手方向における成形収縮とパネル本体1の長手方向における成形収縮とが、収縮方向において略一致する。そのため、パネル本体1の長手方向における成形収縮が、補強リブA1、A2によって阻害されにくくなる。したがって、パネル本体1は、成形収縮量が大きくなる長手方向でその収縮を阻害されないため、成形収縮に伴うヒケ変形を低減することができる。
なお、一般部21が正六角形のハニカム形状を形成する補強リブA1、A2の場合、対向する二辺21a1、21a2と隣接する斜辺21b1〜21b4とが交差する点の内角は、120度である。そのため、対向する二辺21a1、21a2をパネル本体1の長手方向と平行に配置した場合、隣接する斜辺21b1〜21b4は、パネル本体1の長手方向とは60度の傾斜角を有する。したがって、補強リブA1、A2の内、隣接する斜辺21b1〜21b4が成形収縮する成形収縮量は、パネル本体1の長手方向に対する成分に換算すると、1/2倍に低減され、パネル本体1の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、√3/2倍に低減される。その結果、隣接する斜辺21b1〜21b4の成形収縮がパネル本体1の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形に与える影響は、少ないといえる。
また、本実施形態によれば、ハニカム形状を形成する補強リブA1、A2の対向する二辺が、パネル本体1の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置されているので、パネル本体1は、成形収縮率が最大となる方向でその収縮が、補強リブA1、A2により阻害されにくくなる。
すなわち、射出成形品である車両用樹脂部品は、パネル本体の長手方向が、明確に特定しにくい異形形状のもの(例えば、フェンダー等のように直線部と湾曲部で構成された部品)がある。この異形形状の樹脂部品においては、肉厚や冷却温度等の条件を同一とした場合でも、射出成型装置のパネル本体用キャビティ内をキャビティ面に沿って流れる溶融樹脂の流動方向と略同一の方向が、パネル本体の成形収縮率が最大となる方向となる。
したがって、ハニカム形状を形成する補強リブA1、A2の対向する二辺21a1、21a2を、パネル本体1の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置させることによって、パネル本体1は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
また、本実施形態によれば、補強リブA1、A2のハニカム形状は、パネル本体1の長手方向に対して直交する方向に扁平状に形成したので、補強リブA1、A2の内、対向する二辺21c1、21c2と隣接する斜辺21d1〜21d4とが交差する点の内角は、120度より大きくなる。そのため、対向する二辺21c1、21c2をパネル本体1の長手方向と平行に配置した場合、隣接する斜辺21d1〜21d4の長手方向とパネル本体1の長手方向との傾斜角は、60度より小さくなる。したがって、ハニカム形状を形成する補強リブA1、A2の内、隣接する斜辺21d1〜21d4が成形収縮する量は、パネル本体1の長手方向に対する成分に換算すると、1/2倍より大きくなり、パネル本体の長手方向と直交する方向に対する成分に換算すると、√3/2倍より小さくなる。その結果、隣接する斜辺21d1〜21d4の成形収縮が、パネル本体1の長手方向における成形収縮に与える影響は、補強リブA1、A2のハニカム形状が正六角形の場合に比較して、より一層小さくなり、パネル本体1の成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
また、本実施形態によれば、ハニカム形状を形成する補強リブの対向する二辺21c1、21c2に隣接する斜辺21d1〜21d4の長さは、該対向する二辺1c1、21c2の長さより短いので、隣接する斜辺21d1〜21d4の成形収縮量自体が減少する。そのため、隣接する斜辺21d1〜21d4の成形収縮がパネル本体1の長手方向における成形収縮に与える影響は、より一層僅かとなり、パネル本体1は、成形収縮に伴うヒケ変形をより一層低減することができる。
また、本発明に係る他の実施形態である車両用樹脂部品の製造方法によれば、パネル本体1の長手方向と直交する方向から溶融樹脂を注入する複数の樹脂注入口(図2に示す樹脂注入部R1〜R6に対応)を備える射出成型装置100を用いて成形するので、パネル本体1のキャビティ41内に溶融樹脂を短時間に充填できる。そのため、パネル本体の長手方向において成形収縮量が均一化され、パネル本体の長手方向における成形収縮に伴うヒケ変形を一層低減することができる。また、特許文献1、2の技術のように、圧縮流体や加圧流体を用いる必要がないので、成形時間を遅らせることがなく、圧縮流体等の原料費や設備費が増加して、コスト増となることもない。
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。
上記実施形態では、車両用樹脂部品をバンパーに適用したが、これに限ることはない。例えば、外装部品であるフェンダーパネルや内装部品であるクォータトリム等の各種樹脂部品に適用することができる。
本発明は、特に自動車の内外装部品に用いる車両用樹脂部品及びその製造方法として利用できる。
1 パネル本体、2 内リブ、3 外リブ、4 キャビ型、5 コア型、
6 補強リブ用キャビ型、7 押出し装置、10 車両用樹脂部品、
11 パネル本体の表面側、12 パネル本体の裏面側、21 一般部、
21a1、21a2 対向する二辺、21c1、21c2 対向する二辺、
21b1〜21b4 隣接する斜辺、21d1〜21d4 隣接する斜辺、
22 内リブの交差部、23 内リブの筒状部、24 内リブの外周側端部、
71 第1の押出し装置、72 第2の押出し装置、74 駆動体、
100 射出成型装置、A1、A2 補強リブ

Claims (5)

  1. 表面側に意匠面を有するパネル本体と、該パネル本体の裏面側にハニカム形状を有して突設する補強リブとを備える車両用樹脂部品であって、
    前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺が、前記パネル本体の長手方向に対して略平行に配置されていることを特徴とする車両用樹脂部品。
  2. 表面側に意匠面を有するパネル本体と、該パネル本体の裏面側にハニカム形状を有して突設する補強リブとを備える車両用樹脂部品であって、
    前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺が、前記パネル本体の成形収縮率が最大となる方向に対して略平行に配置されていることを特徴とする車両用樹脂部品。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された車両用樹脂部品において、
    前記補強リブのハニカム形状は、前記パネル本体の長手方向に対して直交する方向に扁平に形成したことを特徴とする車両用樹脂部品。
  4. 請求項3に記載された車両用樹脂部品において、
    前記ハニカム形状を形成する前記補強リブの対向する二辺に隣接する斜辺の長さは、該対向する二辺の長さより短いことを特徴とする車両用樹脂部品。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された車両用樹脂部品の製造方法において、
    前記パネル本体の長手方向と直交する方向から溶融樹脂を注入する複数の樹脂注入口を備える射出成型装置を用いて成形することを特徴とする車両用樹脂部品の製造方法。
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