JP2014056828A - 色素増感太陽電池用光電極および色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池用光電極および色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高速で生産可能であり、製造コストが低減された色素増感太陽電池用光電極を提供する。
【解決手段】機能性半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用光電極20は、機能性半導体層の表面において、第一の方向における表面粗さRaが前記第一の方向と直交する第二の方向における表面粗さRaよりも小さくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池用光電極および色素増感太陽電池に関する。
本願は、2011年11月25日に日本に出願された特願2011−257467号、2012年3月23日に日本に出願された特願2012−067090号、2012年3月28日に日本に出願された特願2012−073146号、2012年5月16日に日本に出願された特願2012−112713号、および2012年7月27日に日本に出願された特願2012−167351号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発されたものであり、他の一般的な電池に比べて光電変換効率が高く、製造コストが安い等の利点がある。この色素増感太陽電池として、たとえば、非特許文献1や特許文献1に示す構成が知られている。
特許文献1に開示された色素増感太陽電池は、プラスチック製の透光性支持体(基材)上に透明導電層が形成されてなる透光性基板と、透光性基板上に配置された光電変換層(増感色素を担持した酸化物半導体多孔膜)と、電解質部分と、対極とが積層されて形成されている。
この中の光電変換層は、以下のような工程で形成される。まず、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のチタニア粒子を含有する水性ペーストを、透光性支持体上に塗布して塗膜を形成した後で、塗膜をプレスして層を形成する。そして、形成した層に増感色素を担持させることで、光電変換層を形成する。
このように構成された色素増感太陽電池によれば、透光性支持体にプラスチックを用いた場合であっても、透光性支持体上に密着性を高めて光電変換層を形成することで、光電変換効率を高めることができ、ガラス製の透明基板を用いた色素増感太陽電池と同程度の性能を得ることができる(例えば、非特許文献2)。
国際公開第2007/100095号 特開2011−142010号公報
Nature,353,p.737−740,1991 SOL.Energy Mater.Sol.Cel.94,812,2010
しかしながら、特許文献1および非特許文献2の製造方法では、光電変換層を備えた色素増感太陽電池用光電極の製造にかかる工程時間が多大となるため、工業的に利用するためには、連続して生産する製造方法を開発する必要がある。
上記課題を踏まえ、本発明は、高速で生産可能であり、製造コストが低減された色素増感太陽電池用光電極を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、高速で生産可能であり、製造コストが低減された色素増感太陽電池を提供することである。
本発明の第一の態様は、機能性半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用光電極であって、前記機能性半導体層の表面において、第一の方向における表面粗さRaは、前記第一の方向と直交する第二の方向における表面粗さRaよりも小さい色素増感太陽電池用光電極である。
本発明の他の色素増感太陽電池用光電極は、機能性半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用光電極であって、前記機能性半導体層は、第一層と、前記第一層上に設けられた第二層とを有し、前記第一層において、第一の方向における表面粗さRaは前記第一の方向と直交する第二の方向における表面粗さRaよりも小さい色素増感太陽電池用光電極である。
本発明の第二の態様は、本発明の色素増感太陽電池用光電極を備える色素増感太陽電池である。
本発明の色素増感太陽電池用光電極および色素増感太陽電池によれば、高速で生産可能であり、製造コストも低減することができる。
本発明の第一実施形態の色素増感太陽電池を構成するセルの構成の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 本発明の第二実施形態の色素増感太陽電池を構成するセルの構成の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 同色素増感太陽電池の色素増感太陽電池用光電極を製造する方法の一例を示す説明用断面図である。 本発明の第三実施形態の色素増感太陽電池を構成するセルの構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の変形例の色素増感太陽電池を構成するセルの構成の別の一例を示す説明用断面図である。 本発明の一実施例における光電変換層の拡大写真である。 比較例における光電変換層の拡大写真である。 本発明における表面粗さRaの測定方法について説明するための図である。 本発明における表面粗さRaの測定方法について説明するための図である。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書においては、「A〜B」の形で標記する数値範囲は、特にことわりのない限り、A以上B以下(ただし、A<B)を意味する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態の色素増感太陽電池1の構成単位であるセル10の構成の一例を示す説明用断面図である。
〔光電変換素子〕
色素増感太陽電池1を構成するセル(以下、「光電変換素子」ともいう。)10は、透光性の基板21上に光電変換層23が形成された色素増感太陽電池用光電極(以下、単に「光電極」ともいう。)20と、透光性基板(図示せず)上に例えば白金などよりなる導電層(図示せず)が形成された対極16とが、これらの光電変換層23および導電層が電解質部分12を介して対向するよう配置されて構成されている。光電極20と対極16を結線17で接続することで、電流を外部に取り出すことができる。
光電極20は、色素増感太陽電池1の負極として作用するものであって、具体的には、透光性の支持体21aおよび透明導電層21b(図2A参照。)を有する透光性の基板21と、透明導電層21b上に積層して設けられた光電変換層23とを備える。
〔光電変換層〕
光電変換層23は、半導体粒子(以下、「特定の半導体粒子群」ということがある。)と、増感色素とを含有し、ロールプレス処理されたものであり、具体的には、特定の半導体粒子群を含有するペーストの塗膜23A(図2B参照。)がロールプレス処理された機能性半導体層23αに、増感色素が担持されたものである。
光電変換層23がロールプレス処理された機能性半導体層23αを有することにより、当該機能性半導体層23αを多数のナノ細孔が形成されたものとすることができるため、基板21の単位面積当たりの半導体粒子の表面積の割合が極めて大きくなり、これにより、十分な量の増感色素を担持させることができ、結局、高い光吸収効率が得られる。
光電変換層23は、平均粒子径が2〜40nmの半導体微粒子を含有させることで構成してもよい。
例えば、平均粒子径20nm程度のナノサイズの半導体微粒子を用いた場合(後述する、光閉じ込め効果を十分に利用しなかった場合)は透過率の高い光電変換層を作成することができる。
また、光電変換層23に平均粒子径の異なる2種以上の半導体粒子を含有させることで、例えば平均粒子径20nm程度のナノサイズの半導体粒子は、長波長の光を透過しやすい傾向にあるところ、例えば平均粒子径100nm程度の大粒径の半導体粒子が混在することにより光が散乱され、機能性半導体層23α中における光路長が増大される、いわゆる光閉じ込め効果を十分に得ることができる。その結果、増感色素について十分な光吸収効率が得られ、従って、色素増感太陽電池において高い光電変換効率が達成される。
この光電変換素子10においては、透光性の支持体21a上に透明導電層21bおよび機能性半導体層23αがこの順に設けられた光電極構造体20K(図2C参照。)の波長500nmの光透過率が20〜65%であり、かつ、波長700nmの光透過率が30〜75%であることが好ましい。この光透過率が過大であると、内部散乱が起きずに光が透過してしまうために光電極20において十分な光吸収効率を得ることができなくなるおそれがあり、一方、光透過率が過小であると、表面反射が生じて光電極内に光が入射しないおそれがある。
〔半導体粒子〕
半導体粒子は、電子伝達作用を発揮するものであって、このような半導体粒子を構成する半導体としては、具体的には、例えばTiO、SnO、ZnO、WO、Nb 、In、ZrO、Ta、TiSrO などの酸化物半導体;CdS、ZnS、InS、PbS、MoS、WS、Sb、Bi、ZnCdS、CuSなどの硫化物半導体;CdSe、InSe、WSe、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド;GaAs、Si、Se、InPなどの元素半導体などが挙げられ、例えばSnOとZnOとの複合体、TiOとNbの複合体などの、これらの2種以上よりなる複合体を用いることもできる。また、半導体の種類はこれらに限定されるものでは無く、2種類以上混合して用いることもできる。
半導体粒子を構成する半導体としては、上記の中でTi、Zn、Sn、Nbの酸化物が好ましく、特にTiOが好ましい。
TiOよりなるチタニア粒子としては、アナターゼ結晶型のものおよびルチル結晶型のものが挙げられて共に使用可能であるが、特にアナターゼ結晶型のチタニア粒子を用いるのが好ましい。
特定の半導体粒子群に平均粒子径の異なる2種以上の半導体粒子を含有させる場合は、互いに同種のものであってもよく、異種のものであってもよいが、同種のものであることが好ましい。
半導体粒子としては、チタニア粒子を用いることが好ましい。
2種以上の半導体粒子を含有する特定の半導体粒子群を構成する半導体粒子のうち、平均粒子径が小さい半導体粒子(以下、「半導体小粒子」ともいう。)の平均粒子径は好ましくは2〜40nm、より好ましくは15〜25nmである。また、平均粒子径が大きい半導体粒子(以下、「半導体大粒子」ともいう。)は、光散乱能を有するものであって、その平均粒子径は好ましくは50nm以上、より好ましくは80〜400nm、特に好ましくは90〜120nmである。
以下、質量%と重量%(wt%)の表記があるが、特にことわりのない場合、実質的に同じ意味と解してよい。
光電変換層23を構成する特定の半導体粒子群における半導体小粒子の含有割合は、50〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜70質量%である。半導体小粒子の割合が過多であると、半導体大粒子による十分な光閉じ込め効果を得ることができず、増感色素について高い光吸収効率が得られない。一方、半導体小粒子の割合が過少であると、光電変換能が十分に得られないものとなる。
また、光電変換層23を形成すべき機能性半導体層23αの厚みは、1〜40μmであることが好ましく、より好ましくは3〜30μmである。さらに好ましくは、3〜20μmである。
光電変換層を形成すべき機能性半導体層の厚みが過小である場合は、十分な量の増感色素を担持できないために得られる色素増感太陽電池が十分な光電変換効率を得ることができないものとなってしまう。一方、光電変換層を形成すべき機能性半導体層の厚みが過大である場合は、得られる光電変換層において増感色素から注入された電子の拡散距離が増大するために電荷の再結合によるエネルギーロスが大きくなってしまう。
〔増感色素〕
光電変換層23において半導体粒子に担持される増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に限定されず、N3錯体、N719錯体(N719色素)、Ruターピリジン錯体(ブラックダイ)、Ruジケトナート錯体などのRu錯体;クマリン系色素、メロシアニン系色素、ポリエン系色素などの有機系色素;金属ポルフィリン系色素やフタロシアニン色素などを挙げることができ、この中ではRu錯体が好ましく、特に、可視光域に広い吸収スペクトルを有するため、N719色素およびブラックダイが好ましく挙げられる。
N719色素は(RuL(NCS)・2TBA)で表される化合物であり、Blackdye色素は(RuL´(NCS)・2TBA)で表される化合物である。ただし、Lは、4,4´−ジカルボキシ−2,2´−ビピリジン、L´は、4,4´,4″−テトラ−カルボキシ−2,2´,2″−ターピリジン、TBAは、テトラブチルアンモニウムカオチンである。これらは単独でもしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光電変換層23における増感色素の担持量は、機能性半導体層23αの単位表面積当たりの量が1×10−8〜1×10−7mol/cm、好ましくは3×10−8〜7×10−8mol/cmとされることが好ましい。増感色素の担持量がこの範囲内であることにより、半導体粒子の表面に増感色素が単分子層として担持されるため、増感色素において励起された電子が電解質部分の電解質を還元するなどのエネルギーロスが発生せずに十分な吸収効率が得られる。
〔基板〕
この例の光電変換素子10を構成する透光性の基板21は、透光性の支持体21a上に透明導電層21bが形成されてなるものである。
透光性支持体21aとしては、ガラス、プラスチックなど種々の材料よりなるものを用いることができ、プラスチック製のものとしては、透光性、耐熱性、耐化学薬品特性などの観点から、例えば、板状またはフィルム状のシクロオレフィン系ポリマー、板状またはフィルム状のアクリル尿素系ポリマー、板状またはフィルム状のポリエステル、板状またはフィルム状のポリエチレンナフタレートなどを用いることが好ましい。
基板21の表面抵抗は100Ω/□以下であることが好ましく、15Ω/□以下であることがより好ましい。表面抵抗は、三菱化学アナリテック社のLoresta−GPの型番MCP−T610で測定した。この機器はJIS K7194−1994に準拠している。単位はΩ/sq.またはΩ/□で示されるが、実質的には、Ωである(sq.、□は無次元)。
また、本発明において、表面抵抗は試験片の表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当たりの電流で除した数値を意味する。この数値は、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しいと、JIS K6911−1995に定義されている。
〔透明導電層〕
透光性支持体21aの一面に形成される透明導電層21bは、例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)などよりなるものが挙げられる。
〔光電変換層の形成方法〕
光電極20の光電変換層23は、図2Aから図2Dに示されるように、以下の工程(1)〜(5)をこの順に経て製造することができる。
(1)支持体21a上に透明導電層21bを形成させて透光性の基板21を得、必要に応じて表面処理を施す基板製造工程(図2A参照。)。
(2)半導体粒子を含有するペーストを調整するペースト調製工程。
(3)基板21の透明導電層21b上にペーストを塗布して乾燥させた塗膜23Aを得る塗膜形成工程(図2B参照。)。
(4)基板21上に形成された塗膜23Aをロールプレス処理して機能性半導体層23αを備える光電極構造体20Kを得るロールプレス処理工程(図2C参照。)。
(5)機能性半導体層23αに増感色素を担持させる色素担持工程(図2D参照。)。
〔基板製造工程〕
基板21は、支持体21a上に、例えばスパッタリング法などによって透明導電層21bが形成されることにより得られる。
透明導電層21bの形成は、透明導電層21bの支持体21aに対する密着性や耐久性の観点から、加熱処理しながら行われることが好ましい。
加熱処理の温度は、例えば、通常、100〜150℃とされるが、基板21を構成する支持体21aがプラスチック製のものである場合は、加熱処理の温度は支持体21aを構成するプラスチックの耐熱温度より低い温度とされる。ここに、「耐熱温度」とは、プラスチックの軟化点温度または融点温度のいずれか低い方の温度を意味する。
〔基板の表面処理〕
以上の基板21は、超音波洗浄処理、エッチング処理およびはUV−オゾン処理などの表面処理のうち1つまたは2つ以上を組み合わせて、その表面、すなわち透明導電層21bの表面に表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理が施された基板21を用いて得られる色素増感太陽電池は、優れた光電変換効率を示すものとなる。
この理由としては、表面処理を施すことによって基板21上にペーストを塗布する際の濡れ性およびプレス処理後の半導体粒子の基板21との密着性が共に向上したものとなることによると考えられ、例えば、表面処理前の基板21の表面の接触角は90°より大きく、表面処理後の接触角は80〜90°程度に減少することが確認されている。
基板21の表面処理法としては、超音波洗浄処理、エッチング処理及びUV−オゾン処理以外に、スパッタリングなどの他の処理法も適宜使用可能であり、これらに限定されない。
超音波洗浄処理は、超音波洗浄器および超音波洗浄用洗剤を用い、洗浄剤を入れた容器内に基板を浸漬し、その容器を水で満たした超音波洗浄器に入れ、数分〜10分間超音波を発信させることにより、基板の表面における微細な付着物などを洗浄・除去する処理である。
エッチング処理は、高周波スパッタ装置「SVC−700RFII」(サンユー電子(株)製)に基板をセットし、高真空条件(5Pa)とした後、逆スパッタ(エッチング)処理を20W、10分間の条件で行われるものである。具体的には、高周波の交流電位をかけることによりプラズマを発生させ、その内のプラス電荷を帯びたアルゴン原子を、マイナス電荷をかけた基板に衝突させることによって、基板上の付着物を除去する。
UV−オゾン処理は、例えば処理対象物をUV−オゾン洗浄装置「OC−2506」(岩崎電気(株)製)に入れ、5分間前後紫外線照射を行うことにより行うことができる。
〔ペースト調製工程〕
本発明の製造方法に用いられるペーストは、半導体粒子を含有しており、溶剤やバインダー等を任意に含有させることができる。
光電変換層23を構成する特定の半導体粒子群を含有するペーストの調製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明者らが創出したアルコキサイドを4級アンモニウム塩により加水分解する塩基性法が好ましく用いることができる。この塩基性法は、具体的には、半導体小粒子を得るためのアルコキサイドを、4級アンモニウム塩によって加水分解することにより得、同様にして半導体大粒子を得るためのアルコキサイドを、4級アンモニウム塩によって加水分解することにより得、これらを混合することにより、調製することができる。
得られる半導体粒子の平均粒子径は、加水分解に供される4級アンモニウム塩の添加量を調整することにより制御することができ、4級アンモニウム塩の添加量を大きくするに従って、平均粒子径の小さい半導体粒子を得ることができる。
4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を用いることができるが、メチル基については限定されず、炭素数が1〜4個のアルキル基を有するものを例示することができる。
また、半導体大粒子を得るためのアルコキサイドとしては、上述の半導体粒子を構成する金属のアルコキサイドを用いることができる。
具体的には、例えば半導体粒子がチタニア粒子である場合は、半導体粒子のアルコキサイドとしてTi(OCを用い、4級アンモニウム塩として、TMAHを用いることができる。
ペースト中の特定の半導体粒子群の含有割合は、5〜85質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。さらに好ましくは、8〜20質量%である。
塩基性法で作製したペーストを用いることで、水を溶媒の主成分とするペーストを用いることができ、環境負荷の小さいペーストを作製することができる。
〔塗膜形成工程〕
この工程は、透光性基板21の透明導電層21b上にペーストを塗布して乾燥させた塗膜23Aを得る工程であって、透光性基板21の透明導電層21b上にペーストを塗布する方法としては特に制限はなく、例えばドクターブレード法やスプレー法など、公知の種々の方法に従って行うことができる。
また、乾燥温度は、例えば室温とすることができる。
透明導電層21b上における水性ペーストが塗布された領域が作用極として機能し、用途によってこの作用極領域の面積を適宜に選択することができる。
本発明の製造方法によって製造することができる作用極の面積は、後述のロールプレス処理工程に用いられるロールプレス機の性能によっても異なるが、例えば20cm×20cm程度の大きさ、あるいはそれ以上の大きさの領域を有するものを作製することもできる。
〔ロールプレス処理工程〕
この工程は、塗膜23Aをロールプレス処理して機能性半導体層23αを得る工程であって、ロールプレス処理を行うことによって、塗膜23A中の半導体粒子同士が十分に密着され、高い電子伝達能を得ることができる。
ロールプレス処理が行われることで、機能性半導体層23αの表面には、ロールプレス処理方向と平行(略平行を含む。以下同じ。)に延びるロールプレス痕跡が形成される。ロールプレス痕跡が生じることで、色素増感太陽電池用光電極を曲げた場合や、衝撃など一時的な外部応力が加わった場合に、外部応力を緩和できるため、ロールプレス痕跡がない場合と比べて、外部応力に対して強い構成とすることができる。
ロールプレス痕跡は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、目視で観察することができる。ロールプレス痕跡の存在により、機能性半導体層23αの表面では、ロールプレス処理方向に平行な方向(第一の方向)と第一の方向に直交する垂直な方向(第二の方向、以下、単に「垂直方向」と称することがある。)とでは表面粗さRaが大きく異なっており、第二の方向の表面粗さRaが第一の方向の表面粗さRaの1.2倍以上となる。上述した応力緩和の観点からは、この値は1.25倍以上とされるのが好ましい。
また、表面粗さRaは原子力間顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。機能性半導体層23αの表面粗さRaにおいては、ロールプレス処理方向に対して垂直な方向における表面粗さRaの方が、ロールプレス処理方向に対して平行な方向における表面粗さRaよりも大きな値になる。これは、主にロールプレス痕跡が形成されるメカニズムによる。すなわち、ロールプレス処理の際に、所定のテンションが付与された基板に対してロールが回転しながら接触するため、ロール表面の表面形状が単に転写されるのではなく、ロールの外周面が機能性半導体層に対して若干相対移動する。その結果、機能性半導体層に接触するロールの部位の表面形状がロールプレス処理方向の所定範囲にわたって機能性半導体層の表面に転写されると考えられる。
また、ロールプレス処理は大きな面積を処理する際に、平プレス(ロールプレス処理ではなく、平板を上下に合わせ、その間に塗膜23Aを挟んでプレス処理をする方法)と比べ有利である。平プレスは、面積が大きくなることで、単位面積あたりのプレス圧が低下するため、大きな面積をプレス処理する際に、面積に比例して圧力を大きくする必要があるため、作製する面積と共に機械が大きくなり工業的に適さない。しかし、ロールプレス処理では、作製する面積が大きくなったとしてもロールにかける圧力を増加させる必要はなく、常に一定の力でよいため、工業的に適している。
また、ロールプレス処理を用いることにより、光電極の高速な生産及び生産コストの低減が可能となる。このことは、当該光電極を備えた色素増感太陽電池の高速生産および生産コスト低減に寄与する。
ロールプレス処理は、15〜35℃の範囲内で行うことが好ましい。
ただし、ロールプレス処理の温度は、これらに限定されるわけではなく、機能性半導体層に求められる物性を付与するために、これより温度を上げて行うこともできる。
また、光電変換層形成用ペーストに溶媒が用いられていた場合、溶媒の沸点+50℃以下にしなければならない。これは、前記の温度以上で加工を行った場合は、用いている溶媒が急激に蒸発してしまい、表面に荒れを生じるためである。
また、光電変換形成用ペーストに溶媒を用いていない場合は、200℃を超えないことが好ましい。なぜなら、200℃を超える温度で処理すると、半導体層の性能を低下させる原因となるほか、基板にプラスチックを用いるため、基板にゆがみが生じやすくなったり、ロールプレス処理で使用しているペーストを酸化してしまい、粒子同士の密着を阻害する要因になったりするためである。この200℃よりも基板材質の軟化点(温度)やガラス転移温度が低い場合、その温度よりも低い温度で処理することが必要である。
そして、このロールプレス処理は、透光性の基板21上に機能性半導体層23αが形成された積層体における波長400〜800nmの光透過率が、ロールプレス処理前の値の105〜170%、より好ましくは110〜170%、特に好ましくは110〜130%となる条件で行われることが好ましく、例えばロールプレス処理が5MPa以上、好ましくは30MPa以上の圧力で行われることが好ましい。また、500MPa以下、好ましくは200MPa以下の圧力で行われることにより、上記の光透過率を実現しつつ、ロールプレス痕跡も同時に発生させることができる。
ロールプレス処理に係る圧力が高すぎる場合は、特にプラスチック製の支持体を用いた場合に、支持体自体が歪んで色素増感太陽電池の性能に悪影響を及ぼすのみならず、さらに支持体上に形成された透明導電層が破損することがあるため、好ましくない。
また、ロールプレス処理が行われることにより、機能性半導体層23αの厚みは、ロールプレス処理前の値の95〜30%となることが好ましい。より好ましくは、90%〜50%である。
〔UV−オゾン処理〕
ロールプレス処理工程後であって次の色素担持工程前に、必要に応じて、ロールプレス処理された機能性半導体層23αの表面処理としてUV−オゾン処理を行うことができる。透光性基板21の表面処理としてUV−オゾン処理を行った場合も行わなかった場合も、このUV−オゾン処理を行うことができる。
このUV−オゾン処理を施すことによって、機能性半導体層23αを構成する半導体粒子の表面を洗浄できるばかりでなく、半導体粒子の親水基を増加させて、増感色素を吸着しやすい状態とすることにもなると考えられ、結果的に、得られる色素増感太陽電池を光電変換効率の高いものとすることができる。
なお、ペースト調製工程において塩基性法など、チタニア粒子の作製に使用されるTMAHが未反応物として機能性半導体層23α中に残留してしまう方法を用いた場合、UV−オゾン処理によってこのTMAHを分解して半導体粒子を表面洗浄することができる。このUV−オゾン処理は、透光性基板21についてのUV−オゾン処理と同様にして行うことができる。
〔色素担持工程〕
増感色素を光電極構造体20Kの機能性半導体層23αに担持させる方法としては特に限定されず、例えば増感色素をアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水などの溶媒あるいはこれらの2種以上による混合溶媒に溶解させ、これに機能性半導体層23αが形成された光電極構造体20Kを浸漬する浸漬法や、スプレー塗布法、印刷塗布法などが挙げられる。
以上の製造方法によって得られた光電極20は、透光性の基板21上に光電変換層23が設けられたものであって、前記光電変換層23は特定の半導体粒子群および増感色素を含有している。
以上のような製造方法によって得られる色素増感太陽電池は、支持体がプラスチック製のものであっても光電変換効率が高いものができる。これは、プラスチック製の支持体上で半導体粒子を加圧することにより、半導体粒子が多少透明導電層内にめり込むような構造となり、より密接な接合が得られるためと推察される。
〔電解質部分〕
本発明の色素増感太陽電池において、光電極20と対極16との間に介在される電解質部分12は、液体状、固体状、凝固体状、常温溶融塩状態のいずれのものであってもよい。
また、この電解質部分12の厚み、すなわち光電極20と対極16との離間距離は、例えば1〜100μmとされる。
電解質部分12が例えば溶液状のものである場合は、この電解質部分12は、電解質、溶媒、および添加物で構成されることが好ましい。
電解質としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウムなどの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせや、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物のヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせ、あるいは前記ヨウ素、ヨウ素化合物のかわりに臭素化合物−臭素の組み合わせ、コバルト錯体の組み合わせ等でもよい。電解質がイオン性液体の場合は、特に溶媒を用いなくてもよい。電解質は、ゲル電解質、高分子電解質、固体電解質でもよく、また、電解質の代わりに有機電荷輸送物質を用いてもよい。
電解質部分12が溶液状のものである場合の溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル系溶媒や、エチレンカーボネートのようなカーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒などが挙げられる。
電解質部分12が溶液状のものである場合、電解質溶液における電解質の濃度は、電解質の種類によっても異なるが、例えば電解質がヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせである場合は、0.1〜5.0Mであることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0Mである。
〔対極〕
対極16は、光電変換素子10の正極として機能するものであり、電解質を還元する機能を有する物質、例えば白金等の金属や導電性高分子、カーボン等を、ITO、FTOなどの導電性金属酸化物や金属で形成された基板上に担持することにより形成することができる。対極16は、通常、導電性の支持体や、それと同様の導電性層を有する支持体に、上記の金属やカーボン、導電性高分子よりなる導電性膜が設けられて構成されてもよいが、十分な強度および密封性が得られるのであれば、支持体を有することは必須ではない。
〔光電変換素子の製造方法〕
以上の光電変換素子10は、例えば電解質部分12が液状のものである場合は、光電極20と対極16とを適宜のスペーサを介して対向配置させ、これらの光電極20と対極16との間に電解質部分12を封入することにより、色素増感太陽電池を構成する光電変換素子10が得られる。
以上の光電変換素子10は、用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
この色素増感太陽電池における光電変換は、以下のように行われる。
まず、光電極20の透光性基板21を透過して入射した太陽光が、光電変換層23の半導体粒子の表面に担持された基底状態の増感色素に吸収されてこの増感色素が励起され、電子が発生される。この電子が半導体粒子に注入され、この半導体粒子に注入された電子は光電変換層23中を拡散して透明導電層21bおよび結線17を経由して対極16へ導かれる。一方、電子を失った増感色素は、電解質部分12から電子を受け取って基底状態に戻る。そして、電子を渡して酸化された電解質部分12は、対極16から電子を受け取って還元され、基の状態に戻る。以上の一連の過程により、光電変換層23と電気的に接続された透光性基板21と、対極16との間に起電力が発生する。
以上の光電変換素子10からなる色素増感太陽電池1によれば、色素増感太陽電池用光電極20の光電変換層23に特定の平均粒子径の異なる2種以上の半導体粒子を用いた場合は、当該光電変換層23に含有される増感色素についていわゆる光閉じ込め効果による高い光吸収効率を達成させることができると共に、この光電変換層23にペーストを用いて特定の方法によって形成することにより、基板21の支持体21aがどのような材質のものであっても、すなわち例えば従来高い光吸収効率を得ることが困難であったプラスチック製基板を用いた場合であっても光電変換層23を高い密着性で基板21上に形成することができ、その結果、プラスチック製基板を用いた場合にも、入射光量を変化させても高いレベルの光電変換効率を維持できる。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態の色素増感太陽電池101と第一実施形態の色素増感太陽電池との異なるところは、光電変換層が複数の層を備えている点である。なお、以降の説明において、すでに説明したものと重複する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図3は、本実施形態の色素増感太陽電池101を構成するセル110の構成の一例を示す説明用断面図である。図3に示すように、セル110の光電極120においては、基板21上に設けられた光電変換層123が、それぞれ特定の半導体粒子群および増感色素を含有する第一層123Aおよび第二層123Bを有している。
第一層123Aは、ロールプレス処理により基板21への密着性を高めて形成されたものであり、具体的には、特定の半導体粒子群を含有するペーストの塗膜123p(図4B参照。)がロールプレス処理された機能性半導体層123αに、図示しない増感色素が担持されたものである。
第二層123Bは、第一層123A上に形成され、色素増感太陽電池の電池性能を向上させる。第二層123Bの形成方法には特に制限はなく、第一層123Aと同様にロールプレス処理を経て形成されてもよいし、他の方法、例えば平プレス法や塗膜の焼結等により形成されてもよい。また、第二層123Bにおける特定の半導体粒子群の種類や含有割合は、第一層123Aにおける特定の半導体粒子群の種類や含有割合と同じであっても異なっていてもよい。前者の場合は、光電変換層の膜厚を増加させることにより電池性能を向上させ、後者の場合、光を散乱させることにより電池性能を向上させることが可能である。
第二層123Bに光散乱機能を発揮させる場合は、平均粒子径が50nm以上の半導体粒子を主材料とするのが好ましい。ただし、平均粒子径が1μmを超えると粒子が脱落しやすくなるため、主材料とする粒子の平均粒子径は50nm以上1μm以下の範囲に設定するのが好ましい。この場合でも、層としての接着性を確保するため、平均粒子径が50nm以下、例えば20nmの粒子を少量混ぜておくとよい。
第一層123Aおよび第二層123Bの厚さは適宜設定できるが、例えば第一層123Aを1〜20μm、第二層123Bを1〜15μmとすることができる。また、第二層123B上に、さらに特定の半導体粒子群を含有する層が形成されてもよい。
本実施形態における光電極120は、図4Aから図4Fに示されるように、以下の工程(1)〜(6)をこの順に経て製造することができる。
(1)支持体21a上に導電層21bを形成させて基板21を得、必要に応じて表面処理を施す基板製造工程(図4A参照。)。
(2)半導体粒子を含有するペーストを調整するペースト調製工程。
(3)基板21の導電層21b上にペーストを塗布して乾燥させた塗膜123pを得る塗膜形成工程(図4B参照。)。
(4)基板21上に形成された塗膜123pをロールプレス処理して機能性半導体層123αを得るロールプレス処理工程(図4C参照。)。
(5)機能性半導体層123α上に第二層となる機能性半導体層123βを形成して光電極構造体20Lを得る第二層形成工程(図4Dおよび図4E参照。)。
(6)機能性半導体層123αおよび機能性半導体層123βに増感色素を担持させて第一層123Aおよび第二層123Bを形成し、光電極120を得る色素担持工程(図4F参照。)。
上記した各工程のうち、第二層形成工程以外の各工程は第一実施形態と概ね同様であるので、以下では、第二層形成工程について説明する。
〔第二層形成工程〕
図4Dに示すように、機能性半導体層123α上に、特定の半導体粒子群を含有するペーストの塗膜123qを1層以上形成して機能性半導体層123βを形成する。塗膜123qは、1〜3層積層させることができる。また、塗膜123qの形成後、焼結、平プレスやロールプレス等の所定の処理を施すと、図4Eに示すように、第二層123Bとなる機能性半導体層123βが完成する。
機能性半導体層123βを形成する際に行われるロールプレス処理は、第一実施形態における機能性半導体層23αを形成する際のロールプレス処理と同様の条件で行うことができる。ロールプレス処理に係る圧力が高すぎる場合は、特にプラスチック製の透光性支持体を用いた場合に当該透光性支持体自体が歪んで色素増感太陽電池の性能に悪影響を及ぼすのみならず、さらに当該透光性支持体上に形成した透明導電層が破損することがあるため、好ましくない。ロールプレス処理が行われることにより、機能性半導体層123βの厚みが、ロールプレス処理前の塗膜123qの厚みの値の80〜30%となることが好ましい。
また、機能性半導体層123βの形成後、次の色素担持工程前に、必要に応じて、機能性半導体層123βの表面処理として上述したUV−オゾン処理を行うことができる点は、第一実施形態と同様である。UV−オゾン処理は、機能性半導体層123αおよび機能性半導体層123βに対して一括で行ってもよい。
本実施形態の光電極120およびこれを備えた色素増感太陽電池101によれば、第一実施形態と同様に、ロールプレス処理により高速で生産可能であり、製造コストが低減された色素増感太陽電池とすることができる。
また、光電変換層123が、ロールプレス処理された第一層123Aと、第一層123A上に形成された第二層123Bとを有することで、透光性基板21と光電変換層123との密着性を高めつつ、電池性能をも向上させることができる。
<第三実施形態>
本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態の色素増感太陽電池2101と上述の各実施形態の色素増感太陽電池との異なるところは、光電極の基板が金属製である点である。
図5は、本実施形態の色素増感太陽電池201を構成するセル210の構成の一例を示す説明用断面図である。図5に示すように、セル210の光電極220は、金属基板221上に光電変換層23が設けられて構成されている。その他の点は、第一実施形態と概ね同様であるため、以下では、金属基板221および関連する事項について詳細に説明する。
金属基板221の金属材料としては、常温における比抵抗が1×10−4cm・Ω以下の金属または合金を用いることが好ましい。さらに好ましくは、Ti、Ni、Fe、Cu、Alまたはステンレス鋼(例えば、JISにおいてSUSの略号がつけられるもの)などの合金を用いることが好ましい。特に好ましくは、Ti、SUSを用いることが好ましい。本実施形態では、基板が金属製であるため、第一実施形態や第二実施形態で示した導電層を設ける必要はない。
また、光電極220が光透過性を有しないため、色素増感太陽電池201においては、対極側から光を入れる必要がある。そのため、対極216を構成する材料としては、透明な支持体が用いられる。材料としては、PENフィルムやPETフィルムを用いることが好ましい。また、透明支持体上には、ITO、FTOなどの透明導電性金属酸化物を用いて、表面抵抗を下げることが好ましく、さらに、透明導電性金属酸化物の電解質部分側の面に、触媒としてPt、導電性高分子、カーボン等を用いることが好ましい。
なお、金属基板21上では、機能性半導体層の光透過率は測定できない。したがって、本実施形態において機能性半導体層の透過率を測定する場合は、PETなどの透明性のフィルム上に同一条件により機能性半導体層を形成して透過率を測定すればよい。
次に、色素増感太陽電池201の製造工程において、上述の各実施形態と異なる点を説明する。
ロールプレス処理工程においては、機能性半導体層の表面粗さRaが50nm以下とされると、金属基板221との密着性が高まるため、好ましい。また、ロールプレス処理時の温度について、光電変換層形成用ペーストに溶媒を用いていない場合は、550℃を超えないことが好ましい。なぜなら、550℃を超える温度で処理すると、機能性半導体層の性能を低下させる原因となり、金属基板221に金属酸化物が生成したり、半導体粒子どうしの密着を阻害したりする要因になるためである。また、半導体粒子の結晶系が熱により変わってしまうため、電池性能が低下してしまう原因となる。
本実施形態の光電極220およびこれを備えた色素増感太陽電池201においても、第一および第二実施形態と同様に、ロールプレス処理により高速で生産可能であり、製造コストが低減された色素増感太陽電池とすることができる。
また、金属基板221の材質に関わらず、すなわち例えば従来高い光吸収効率を得ることが困難であった金属基板を用いた場合であっても当該光電変換層23を高い密着性で金属基板221上に形成することができ、高いレベルの光電変換効率を維持することができる。
本実施形態においても、第二実施形態のように、光電変換層が第二層を備える構成とすることができる。このとき、第一層の厚みが例えば1〜40μmとされ、第二層の厚みが例えば1〜15μmとされてもよい。本実施形態においては、第一層と第二層とをあわせた厚みが60μm以下であることが好ましい。
〔変形例〕
本発明の各実施形態の光電極および色素増感太陽電池においては、種々の変更を加えることができる。
例えば、図6に示されるように、光電変換層23の表面上に、半導体大粒子のみよりなる光散乱層25が形成されたものであってもよい。この光電変換素子10Aの光散乱層25は、例えば溶媒として水を用い、バインダーおよび有機溶剤を含有せず、半導体大粒子を含有するペーストの塗膜よりなるものとすることもできる。光散乱層25の厚みは、例えば1〜15μmとすることができる。
このような光散乱層25が形成されてなる色素増感太陽電池用光電極20Aを有する光電変換素子10Aによれば、極めて高い光閉じ込め効果を得ることができ、その結果、極めて高い光電変換効率が達成された色素増感太陽電池を構成することができる。
また、バインダーおよび有機溶剤を含有せず特定の半導体粒子群を含有するペーストの塗膜に増感色素を担持させた後に、ロールプレス処理することにより得られる増感色素担持加圧半導体層によって光電変換層を形成してもよい。ただし、製造工程中、ロールプレス処理の際に増感色素の剥離が発生してしまうため、ペーストの塗膜をロールプレス処理した後に増感色素を担持させる場合と比べて、得られる色素増感太陽電池の性能は若干低くなる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(チタニア半導体粒子懸濁液の調製)
オルトチタン酸テトライソプロピル56.8gを、イオン交換水200mL中によく撹拌しながら滴下し、滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けることで加水分解を完結させ、目的とする水酸化チタンの沈殿物を得た。沈殿物は濾紙を用いて濾別し、イオン交換水で十分に洗浄した。
5.8gのテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を溶解させたイオン交換水にこの沈殿物を加え、さらにイオン交換水を追加して試料の全量を160gとした。
この試料を、140℃で4時間加熱還流を行った後、ガラスフィルターでマイクロクリスタルを除去することで、白濁半透明なコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液を密閉したオートクレーブ容器に移し260℃で8時間水熱合成を行い、この水熱合成後、エバポレーターを用いてコロイド溶液の溶媒をエタノールに置換した後、超音波分散の処理を行い、平均粒子径20nmのアナターゼ結晶型のチタニア粒子〔A〕を含むエタノール懸濁液〔A〕を得た(以上の操作を「半導体粒子懸濁液の調製操作」という。)。
なお、TMAHが分解して生成されるトリメチルアミンは、コロイド溶液の溶媒をエタノールに置換する操作の際にほぼ全量除去される。
この半導体粒子懸濁液の調製操作において、TMAHの添加量を1.5gとしたことの他は同様にして、平均粒子径100nmのアナターゼ結晶型のチタニア粒子〔B〕を含むエタノール懸濁液〔B〕を得た。
なお、エタノール懸濁液〔A〕、〔B〕に含有されるチタニア粒子について、エタノール懸濁液をスライドガラス上にドクターブレード法で塗布・乾燥後、XRDパターンを測定し、得られたXRDパターンから半価幅を求め、Scherrerの式(D=K×λ/βcosθ)を用いることにより、平均粒子径を算出し、かつ、チタニア粒子の結晶型を確認した。ただし、式中、Dは結晶子の長さ、βは半価幅、θは回折角、K=0.94、λ=1.5418である。
チタニア粒子〔A〕およびチタニア粒子〔B〕は、その結晶型がほぼ100%アナターゼ結晶型であり、ルチル結晶型の存在は確認されなかった。
なお、Scherrerの式は、平均粒子径が50nmを超える場合は誤差が大きくなるため、平均粒子径が50nmを超えた場合は、次の方法を用いた。すなわち、エタノール懸濁液をスライドガラス上にドクターブレード法で塗布・乾燥後、SEMを用いて撮像し、画像に得られた、粒子の粒子半径の算出平均を取ることで平均粒子径とした。
(光電変換層形成用水性ペーストの調製)
これら2種類のエタノール懸濁液〔A〕,〔B〕について、各々のチタニア粒子の濃度を、まず、るつぼの質量(W)を電子天秤で秤り、その後、るつぼにエタノール懸濁液を取り、るつぼとエタノール懸濁液の総質量(W1)を秤り、これを電気炉内に入れ、150℃で2時間保持してエタノール懸濁液の溶媒を完全に除去し、次いで、再び質量(W2)を秤り、式{チタニア粒子の濃度(wt%)=(W2−W)/(W1−W)×100}から求めた。
そして、それぞれの濃度に基づいて、チタニア粒子〔A〕およびチタニア粒子〔B〕が重量比で7:3となるように混合し、この混合液を再びエバポレーターを用いて溶媒をほぼ完全に水で置換した上で濃縮することにより、最終的に、チタニア粒子の濃度が10wt%であって水を媒体とする光電変換層形成用ペースト〔1〕を得た。
(機能性半導体層の作製)
この光電変換層形成用水性ペースト〔1〕を、ドクターブレード法により、表面抵抗13Ω/□のITO/PEN(ポリエチレンナフタレート)基板(王子トービ製)よりなる透光性基板に、0.5cm×0.5cmの大きさの作用極領域に塗布した後、室温で乾燥させて塗膜を得、この塗膜に対して、ロールプレス処理には、金属ロールを用いたロールプレス機を使用した。ロールプレス機を用い、所定のプレス圧の直径25cmのロールプレスを1rpmでロールプレス処理を行った。ロールプレスの圧力はクリアランスを調整し、感圧フィルム(「プレスケール、富士フィルム社製」)を用いて確認した。なお、感圧フィルムは、チタニア塗布膜が形成されていない基板面に配置した。プレス圧力は、ロールクリアランスを調整して感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら設定した。このペーストを圧力100MPaで両面からロールプレス処理を行い、透光性基板上に機能性半導体層が形成された光電極構造体を得た。
このロールプレス処理を行うことにより、機能性半導体層における波長400〜800nmの光透過率は、ロールプレス処理前の値に対して110%に増加し、層厚は70%に減少し、約6μmであった。セル実効面積については、デジタルマイクロスコープおよび校正スケールを用い、有効数字4桁での補正を行った。この光電極構造体の波長200〜900nmの透過率の測定結果をロールプレス処理前後のサンプルにおいて行った。なお、透過率測定はU−4000(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて行った。また、膜厚測定は触針式表面形状測定器DEKTAK(ULVAC製)を用いて行った。
ロールプレス処理後に、基板上に形成した塗膜の千倍および2万倍のSEM写真を観察したところ、図7に示すように、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡 が確認された。
さらに、ロールプレス処理の前後における機能性半導体層の膜厚を計測し、原子力間顕微鏡(AFM)を用いて、機能性半導体層の表面粗さRaを測定した。測定手順は以下の通りである。
まず、機能性半導体層表面のうち、一辺が10μmの正方形の領域をAFMで測定する。このとき、ロールプレス処理方向と当該正方形領域の一辺とが平行または略平行となるようにする。
この正方形領域300を、図9に示すように、ロールプレス方向に延び、幅がそれぞれ3μm、4μm、3μmの帯状領域310、320、および330に分け、各帯状領域310、320、330においてAFMを用いて表面粗さRaを算出する。得られた表面粗さRaの値を合計して3で除した値を第一の方向の表面粗さRaとする。
次に、正方形領域300を、図10に示すように、ロールプレス方向と直交する方向に延び、幅がそれぞれ3μm、4μm、3μmの帯状領域410、420、および430に分け、各帯状領域410、420、430においてAFMを用いて表面粗さRaを算出する。得られた表面粗さRaの値を合計して3で除した値を第二の方向の表面粗さRaとする。
そして、第二の方向の表面粗さRaを第一の方向の表面粗さRaで除して表面粗さ比率を算出した。その結果、表面粗さ比率は、35.0nm/19.3nm=1.81であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
なお、本発明における表面粗さRaの定義は、ASME B46.1中に記載のImg.Raに準拠した。
(増感色素の担持・光電極の作製)
一方、増感色素としてシス−ビス(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ビス−テトラブチルアンモニウムを用い、エタノール中に0.2mMの濃度で溶解させて色素溶液を得、この色素溶液中に上記の機能性半導体層を形成させた光電極構造体を24時間浸漬させ、機能性半導体層に増感色素が担持された光電極〔1〕を得た。
なお、この光電極〔1〕について上記と同様にしてSEM観察を行ったところ、ロールプレス処理後のSEM観察において確認されたのと同様のロールプレス痕跡が観察された。
なお、光電変換層の表面粗さRaは、増感色素を担持する前の機能性半導体層の表面粗さRaと実質的に同一である。
(色素増感太陽電池の作製)
電解質溶液として、ヨウ素、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドおよびt−ブチルピリジンが溶解されたアセトニトリル溶液を用いた。これらはそれぞれ0.05M、0.1M、0.6Mおよび0.5Mになるよう窒素雰囲気下でアセトニトリルに溶解されたものである。
対極としては、100μmの厚みのTi板に白金が蒸着されたものを用いた。
上記の光電極〔1〕に、厚さ50μmの絶縁スペーサ、対極の順に組み合わせ、光電極〔1〕と対極との間にマイクロシリンジで電解質溶液を注入することにより、色素増感太陽電池〔1〕を作製した。
(色素増感太陽電池の性能評価)
この色素増感太陽電池〔1〕に、「ソーラーシミュレータ」(ペクセル社製)を用いて、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射しながら「2400型ソースメータ」(KEITHLEY社製)を用いてI−V特性を測定して短絡電流、開放電圧、形状因子ffの値を得ると共に、これらの値を用いて下記式(1)により、光電変換効率を算出した。
式(1);光電変換効率(%)=[短絡電流値(mA/cm)×開放電圧値(V)×{形状因子ff/入射光(100mW/cm)}]×100
〔実施例2〕
チタニア粒子〔A〕のみのペーストを用いた他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔2〕を得、この色素増感太陽電池〔2〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、34.1nm/17.5nm=1.95であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例3〕
チタニア粒子〔A〕およびチタニア粒子〔B〕が重量比で6:4となるように混合したペーストを用いた他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔3〕を得、この色素増感太陽電池〔3〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、13.7nm/9.0nm=1.52であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例4〕
ITO/PEN基板の代わりにITO/PETを用いたことの他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔4〕を得、この色素増感太陽電池〔4〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、23.9nm/18.8nm=1.27であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例5〕
作用極領域を0.5cm×4.5cmとしたことの他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔5〕を得、この色素増感太陽電池〔5〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、25.5nm/16.6nm=1.54であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例6〕
ペーストに市販のペースト「PECC−K01」(ペクセル社製)を用いたことの他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔6〕を得、この色素増感太陽電池〔6〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、30.0nm/16.4nm=1.83であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
実施例1から6のデータを表1に示す。
〔比較例A−1〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例1と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−1〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、図8に示す拡大写真のように、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔比較例A−2〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例2と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−2〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−2〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔比較例A−3〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例3と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−3〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−3〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔比較例A−4〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例4と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−4〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−4〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔比較例A−5〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例5と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−5〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−5〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔比較例A−6〕
ロールプレス処理の代わりに、平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、透光性基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は実施例6と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔A−6〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔A−6〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
比較例A−1からA−6のデータを表2に示す。
〔比較例C−1〕
塗膜に対してロールプレス処理を行わず、150℃で10分間、加熱処理を行ったことの他は実施例1と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔C−1〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔C−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。ただし、表面粗さRaの測定においては、ロールプレス処理を行っていないため、上述の正方形領域300を任意の位置に設定し、表面粗さRaの測定値が小さい方の方向を第一の方向とした。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、45.0nm/42.4nm=1.06であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例C−2〕
塗膜に対してロールプレス処理を行わず、150℃で10分間、加熱処理を行ったことの他は実施例2と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔C−2〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔C−2〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例C−1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、45.3nm/43.0nm=1.05であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例C−3〕
塗膜に対してロールプレス処理を行わず、150℃で10分間、加熱処理を行ったことの他は実施例6と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔C−3〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔C−3〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
比較例C−1からC−3のデータを表3に示す。
〔比較例D−1〕
塗膜に対してプレス処理および加熱処理を行わず、常温で10分間保持した他は実施例1と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔D−1〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔D−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
〔比較例D−2〕
塗膜に対してプレス処理および加熱処理を行わず、常温で10分間保持した他は実施例2と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔D−2〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔D−2〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
〔比較例D−3〕
塗膜に対してプレス処理および加熱処理を行わず、常温で10分間保持した他は実施例6と同様にして比較用の色素増感太陽電池〔D−3〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔D−3〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
比較例D−1からD−3までのデータを表4に示す。
〔比較例E−1〕
透光性基板として、ITO/PEN基板の代わりに表面抵抗9Ω/□のFTO/導電性ガラス基板を使用し、プレス処理を行わず、光電変換層形成用水性ペースト〔1〕の塗布・乾燥処理後に520℃で1時間焼成処理を行い、対極として導電性ガラスに白金をスパッタしたものを用いたことの他は実施例1と同様にして比較用の色素増感型太陽電池〔E−1〕を得、この比較用の色素増感太陽電池〔E−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、機能性半導体における波長に対する透過率と膜厚を測定した。
比較例E−1のデータを表5に示す。
実施例1〜実施例6に係る本発明の色素増感太陽電池においては、高い光電変換効率が得られていることが確認された。
また、実施例1、5の結果を比較することにより、作用極領域を大きくすると光電変換効率の大きさに影響し多少低くなる傾向を示すが、ほぼ同等の光電変換効率が得られることが確認された。この点について、作用極領域を大きくした比較例A−5では、比較例A−1と比較して光電変換効率が大きく低下しており、平プレスに対するロールプレス処理の優位性が示された。
一方、プレス処理を行わなかった比較用色素増感太陽電池に係る比較例D−1、D−2、D−3の結果から、プレス処理を行わないと高い光電変換効率が得られないことが確認された。これは、プレス処理を行わなかった結果、チタニア粒子間およびチタニア粒子と透光性基板との接合性が低いものとなってしまうことが大きな要因であると考えられる。
また、実施例2の結果から、粒径の小さい1種類の半導体粒子のみを用いた太陽電池は、粒径の異なる2種の半導体粒子を用いる本発明のものに比して高い光電変換効率が得られないことが確認されたが、高い透過率を有する色素増感太陽電池を作成することができる。
ロールプレス痕跡は、ロールプレスを行った実施例1〜6において、SEMを用いることで観察された。ロールプレス痕跡は、ロールプレスの回転方向と平行に延びるように生じていることが確認された。また、AFMを用いた機能性半導体層の表面粗さRaの測定において、ロールプレス処理方向に平行な第一の方向と、第一の方向に直交する第二の方向とで表面粗さRaを比較したところ、第二の方向の表面粗さRaの方が第一の方向の表面粗さRaよりも大きく、1.2倍以上の値を示した。これは、ロールプレス処理に起因するロールプレス痕跡の凹凸が、第一の方向に延びているため、生じたと考えられる。
平プレスを用いてサンプルを作製した比較例A−1〜A−6では、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。
〔実施例F−1〕
ロールプレス処理の条件を圧力80MPaとしたことの他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔F−1〕を得、この色素増感太陽電池〔F−1〕および光電極構造体〔F−1−1〕を実施例1と同様の測定を行った。
〔実施例F−2〕
プレス処理の条件を圧力160MPaとしたことの他は実施例1と同様にして色素増感太陽電池〔F−2〕を得、この色素増感太陽電池〔F−2〕の光電極構造体光電極構造体〔F−2−1〕を実施例1と同様の測定を行った。
〔実施例G−1〕
機能性半導体膜厚を実施例1よりも増加させて作成した以外は、同様にして色素増感太陽電池〔G−1〕を得、この色素増感太陽電池〔G−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔実施例G−2〕
機能性半導体膜厚を実施例1よりも低下させて作成した以外は、同様にして色素増感太陽電池〔G−2〕を得、この色素増感太陽電池〔G−2〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。
また、機能性半導体における波長に対する透過率とプレス処理前後の膜厚を測定した。
〔実施例H−1〕
実施例1と同様にして得られた光電変換層形成用水性ペースト〔1〕を塗布し、機能性半導体層を形成し、この機能性半導体層にUV−オゾン処理を施し、その後、増感色素を担持させることにより、色素増感太陽電池〔H−1〕を得、これらの色素増感太陽電池〔H−1〕について実施例1と同様にして短絡電流、開放電圧、形状因子ff、光電変換効率の値を得た。
(UV−オゾン処理)
処理対象物をUV−オゾン洗浄装置「OC−2506」(岩崎電気(株)製)に入れ、5分間紫外線照射を行った。
比較例F−1からH−1までのデータを表6に示す。
機能性半導体層にUV−オゾン処理を施すことにより、これを行わなかった場合は例えば実施例1と比較して、高い光電変換効率を得られることが示された。
これは、機能性半導体層へのUV−オゾン処理により、機能性半導体層に含有される半導体粒子の親水基が増加されて当該半導体粒子が色素吸着しやすいものとなり、その結果、得られる色素増感太陽電池が高い光電変換効率を得られると推察される。
次に、第二実施形態に対応する実施例を示す。
〔実施例11〕
(第二層の形成)
チタニア粒子〔B〕をエバポレーターを用いて溶媒をほぼ完全に水で置換した上で濃縮することにより、最終的に、チタニア粒子の濃度が10wt%であって水を媒体とする光電変換層形成用ペースト〔2〕を得た。
実施例1と同様の手順で形成したロールプレス処理後の機能性半導体層の上に重なるように、光電変換層形成用ペースト〔2〕を再度ドクターブレード法にて、塗布を行い、室温にて乾燥させ塗布膜を得た。その後、この塗布膜に対して、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を用いて平プレス処理を行い、第二層となる機能性半導体層を形成した。
具体的には、5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、チタニア塗布ITO−PEN基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布ITO−PEN基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。以上の手順で、透光性基板上に第一層および第二層が形成された光電極構造体を得た。
その後、実施例1と同様に増感色素の担持を行って光電極を得、さらに色素増感太陽電池を作製した。
〔実施例12〕
実施例11の平プレス処理に代えて、金属ロールを備えたロールプレス機を使用したロールプレス処理を行った。ロールプレス機を用い、所定のプレス圧の直径25cmのロールプレスを1rpmでロールプレス処理を行った。ロールプレスの圧力はクリアランスを調整し、感圧フィルム(「プレスケール、富士フィルム社製」)を用い、荷重を確認しながら行った。なお、感圧フィルムは、チタニア塗布膜が形成されていない基板面に配置した。プレス圧力は、ロールクリアランスを調整して感圧フィルムで実測プレス荷重を確認しながら設定した。このペーストを圧力100MPaで両面からロールプレス処理を行った。
以上の手順で、透光性基板上に第一層および第二層が形成された光電極構造体を得た。
その後、実施例1と同様に増感色素の担持を行って光電極を得、さらに色素増感太陽電池を作製した。
〔実施例13〕
実施例12のロールプレス処理に代えて、150℃で10分間加熱乾燥を行って第二層となる機能性半導体層を得た以外は、実施例12と同様の手順で作製した。
〔実施例14〕
実施例12のロールプレス処理に代えて、常温で10分間乾燥を行って第二層となる機能性半導体層を得た以外は、実施例12と同様の手順で作製した。
実施例11から実施例14の光電極構造体を純水に付け、水中で光電変換層の表面に超音波を5秒間照射したところ、第二層が第一層から剥離された。その後、マイクロスコープを用い、倍率1000倍で第一層の表面を観察したところ、ロールプレス痕跡が確認できた。
実施例11から14の構成を表7にまとめた。また、実施例11から14について、上述の方法により電池性能を評価した結果を表8に示す。表8に示すように、第二層を設けた実施例の色素増感太陽電池は、第二層を有さない実施例と比較して電池性能が向上していた。
以上の結果から、ロールプレス処理された第一層上に第二層を積層させることにより、第一層のみの比較例よりも高い光電変換効率を得られることが示された。これは、第二層が光散乱層として機能し、光閉じ込め効果を強く発現したものと推察される。
続いて、第三実施形態に対応する実施例を示す。
〔実施例21〕
光電変換層を形成する基板として、Ti基板(厚さ40μm)を用いたこと、および対極として表面抵抗13Ω/□のITO/PENフィルム(王子トービ製)に白金が蒸着されたものを用いたことを除き、実施例1と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
ロールプレス処理後に、Ti基板上に形成した塗膜の千倍および2万倍のSEM写真を観察したところ、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡が確認された。
実施例1と同様の方法で表面粗さ比率を測定したところ、18.3nm/13.8nm=1.33であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例22〕
チタニア粒子〔A〕のみのペーストを用いた他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、30.3nm/19.8nm=1.53であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例23〕
チタニア粒子〔A〕およびチタニア粒子〔B〕が重量比で6:4となるように混合したペーストを用いた他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、27.8nm/14.6nm=1.90であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例24〕
Ti基板の代わりにCu基板(厚さ40μm)を用いたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、31.2nm/12.6nm=2.48であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例25〕
Ti基板の代わりにSUS304製の基板(厚さ50μm)を用いたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、15.2nm/11.7nm=1.30であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例26〕
作用極領域を0.5cm×4.5cmとしたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、17.1nm/13.6nm=1.26であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例27〕
ペーストに市販のペースト「PECC−K01」(ペクセル社製)を用いたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、23.6nm/15.9nm=1.48であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
実施例21から27の結果を表9に示す。なお、機能性半導体層の膜厚はプレス後の値のみ示す。また、実施例24については、電池として機能することを確認したが、電池性能については測定していない。
〔比較例A−21〕
ロールプレス処理に代えて平プレス処理を行ったことの他は、実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
平プレス処理には、ミニテストプレス−10(東洋精機製)を使用した。5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)、感圧フィルム(「プレスケール」、富士フィルム社製)、Ti基板、フッ素離型フィルム、及び5mmのコーネックスフェルト(デュポン株式会社製)を順次積層し、上から「コーネックスフェルト」/「感圧フィルム」/「フッ素離型フィルム」/チタニア塗布Ti基板/「コーネックスフェルト」の層構成とした積層体を得た。この積層体を、感圧フィルムで実測プレス加重を確認しながら60秒間プレスした。このときの加重は圧力100MPaであった。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。
また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。ただし、表面粗さRaの測定においては、ロールプレス処理を行っていないため、正方形領域300を任意の位置に設定し、表面粗さRaの測定値が小さい方の方向を第一の方向とした。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、41.3nm/38.2nm=1.08であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例A−22〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例22と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、35.2nm/30.9nm=1.14であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例A−23〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例23と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、35.6nm/30.7nm=1.16であった。
〔比較例A−24〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例24と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、37.4nm/31.8nm=1.18であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例A−25〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例25と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、32.8nm/31.7nm=1.03であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例A−26〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例26と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、28.6nm/27.4nm=1.04であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例A−27〕
ロールプレス処理に代えて比較例A−21と同様の平プレス処理を行ったことの他は、実施例27と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、47.6nm/43.8nm=1.09であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
比較例A−21からA−27の結果を表10に示す。なお、機能性半導体層の膜厚はプレス後の値のみ示す。また、比較例A−24については、電池として機能することを確認したが、電池性能については測定していない。
〔比較例C−21〕
プレス処理を行わず、常温で乾燥を10分間行った他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体層の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、67.5nm/59.1nm=1.14であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例C−22〕
プレス処理を行わず、常温で乾燥を10分間行った他は実施例24と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体層の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、149.6nm/128.8nm=1.16であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
〔比較例C−23〕
プレス処理を行わず、常温で乾燥を10分間行った他は実施例25と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行ったところ、ロールプレス痕跡のように特定方向に延びる痕跡は認められなかった。また、比較例A−21と同様の手順で表面粗さRaを測定し、機能性半導体層の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、61.6nm/61.4nm=1.00であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性は認められなかった。
比較例C−21からC−23の結果を表11に示す。なお、比較例C−22については、電池として機能することを確認したが、電池性能については測定していない。
実施例21〜実施例27に係る本発明の色素増感太陽電池においては、高い光電変換効率が得られていることが確認された。
また、実施例21と26の結果を比較することにより、作用極領域を大きくすると光電変換効率の大きさに影響し多少低くなる傾向を示すが、ほぼ同等の光電変換効率が得られることが確認された。この点について、作用極領域を大きくした比較例A−26では、比較例A−21と比較して光電変換効率が大きく低下しており、平プレスに対するロールプレス処理の優位性が示された。
一方、プレス処理を行わなかった比較用色素増感太陽電池に係る比較例C−21の結果から、プレス処理を行わないと高い光電変換効率が得られないことが確認された。これは、プレス処理を行わなかった結果、チタニア粒子間およびチタニア粒子と金属基板との接合性が低いものとなってしまうことが大きな要因であると考えられる。
ロールプレス痕跡は、ロールプレスを行った実施例21〜27において、SEMを用いることで観察された。ロールプレス痕跡は、ロールプレスの回転方向と平行に延びるように生じていることが確認された。
〔実施例D−21〕
ロールプレス処理の条件を圧力80MPaとしたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、17.4nm/13.6nm=1.28であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例D−22〕
プレス処理の条件を圧力160MPaとしたことの他は実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、20.5nm/12.6nm=1.63であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例E−21〕
光電変換層形成用水性ペースト〔1〕の塗布量を調節することにより、ロールプレス処理後の機能性半導体膜厚を実施例21よりも薄い2μmとした以外は、実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、37.1nm/18.5nm=2.01であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
〔実施例E−22〕
光電変換層形成用水性ペースト〔1〕の塗布量を調節することにより、ロールプレス処理後の機能性半導体膜厚を実施例21よりも厚い10μmとした以外は、実施例21と同様にして光電極および色素増感太陽電池を作製し、実施例1と同様の方法で電池性能を評価した。
この際、得られた、機能性半導体層に対して、SEMを用いて表面観察を行い、ロールプレス処理方向と平行に延びるロールプレス痕跡を確認した。また、実施例1と同様の手順で表面粗さRaを測定し、プレス処理前後の膜厚を測定した。
表面粗さRa測定の結果、表面粗さ比率は、24.1nm/16.7nm=1.44であり、第二の方向と第一の方向とで表面粗さRaの異方性が確認された。
比較例D−21からE−22の結果を表12に示す。なお、機能性半導体層の膜厚はプレス後の値のみ示す。
以上、本発明を実施の形態及び実施例にもとづいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、色素増感太陽電池に適用することができる。
1、101、201 色素増感太陽電池
10、10A 光電変換素子
12 電解質部分
16、216 対極
17 結線
20、20A、120、220 色素増感太陽電池用光電極
20K,20L 光電極構造体
21 基板
21a 支持体
21b 導電層
23、123 光電変換層
23A、123p、123q 塗膜
23α、123α、123β 機能性半導体層
25 光散乱層
123A 第一層
123B 第二層
221 金属基板

Claims (13)

  1. 機能性半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用光電極であって、
    前記機能性半導体層の表面において、第一の方向における表面粗さRaは、前記第一の方向と直交する第二の方向における表面粗さRaよりも小さい、色素増感太陽電池用光電極。
  2. 前記第二の方向における表面粗さRaが、前記第一の方向における表面粗さRaの1.2倍以上である、請求項1に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  3. 前記機能性半導体層の波長500nmの光透過率が20〜85%であり、かつ、波長700nmの光透過率が30〜85%である、請求項1または2に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  4. 前記機能性半導体層の厚みが、1〜40μmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  5. 機能性半導体層に増感色素が担持された色素増感太陽電池用光電極であって、
    前記機能性半導体層は、第一層と、前記第一層上に設けられた第二層とを有し、
    前記第一層において、第一の方向における表面粗さRaは前記第一の方向と直交する第二の方向における表面粗さRaよりも小さい、色素増感太陽電池用光電極。
  6. 前記第二の方向における表面粗さRaが、前記第一の方向における表面粗さRaの1.2倍以上である、請求項5に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  7. 前記第一層の厚みが1〜40μmである、請求項6に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  8. 前記第二層は、平均粒子径が50nm〜1μmの粒子を主材料として含有する、請求項6または7に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  9. 前記機能性半導体層は、平均粒子径が2〜40nmの粒子を含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  10. 前記機能性半導体層は平均粒子径の異なる2種以上の粒子を含有し、少なくとも1種の粒子の平均粒子径が2〜40nmのものである、請求項1から9のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  11. 前記平均粒子径の異なる2種以上の粒子は、平均粒子径が2〜40nmの粒子の含有割合が50〜95質量%である、請求項10に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  12. 前記第一の方向における表面粗さRaおよび前記第二の方向における表面粗さRaの少なくとも一方が20nm以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用光電極を備え、前記色素増感太陽電池用光電極が、電解質部分を介して対極と対向するよう設けられている、色素増感太陽電池。
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