JP2014056506A - 障害物検出装置及びそれを備えた移動体 - Google Patents

障害物検出装置及びそれを備えた移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】計算量が過大となることを抑制しながら、移動体と障害物との干渉を3次元で判定する。
【解決手段】障害物検出装置は、移動体の形状を記憶する移動体形状記憶部48と、移動領域内にある障害物の位置と形状を記憶する障害物記憶部46と、移動体の位置情報と、移動体形状記憶部に記憶された移動体の形状と、障害物記憶部に記憶された障害物の位置と形状に基づいて、移動体と障害物との干渉を判定する干渉判定部38と、を有している。移動体形状記憶部は、移動体を高さ方向に複数の層に分割したときの各層について、その層における移動体の形状を記憶している。障害物記憶部は、複数の層のそれぞれについて、その層における障害物の位置と形状を記憶する二次元地図を記憶している。干渉判定部は、複数の層のそれぞれについて、その層における移動体の形状と、その層における障害物の二次元地図を用いて、移動体と障害物の干渉を判定する。
【選択図】図2

Description

本明細書に開示の技術は、移動体と障害物との干渉を判定する技術に関する。
移動ロボット等の移動体を安全に移動させるために、移動体の周囲の障害物を検出する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、レーザレンジファインダによって移動体の周囲の障害物を検出する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、移動体が移動する移動領域の地図(環境地図(二次元地図))が設けられる。レーザレンジファインダによって障害物が検出されると、その障害物の位置を地図に記憶する。そして、障害物を回避するように移動体の移動経路が決定される。
特開2011−118591号公報
移動体が移動領域を効率的に移動するためには、移動体と障害物との干渉を精度良く判定する必要がある。また、移動体と障害物との干渉を精度良く判定できれば、移動体は障害物の近傍を通過することができ、その結果、移動体は狭空間を移動することができる。このためには、障害物の形状を3次元データとして地図に記憶し、移動体と障害物との干渉を3次元で判定する方法が考えられる。しかしながら、移動体と障害物の干渉を3次元で判定しようとすると、そのための計算量が膨大となる。その結果、干渉判定に要する時間が長時間となり、移動体のスムーズな移動が阻害される。
本明細書は、計算量が過大となることを抑制しながら、移動体と障害物との干渉を3次元で判定することができる技術を開示する。
本明細書に開示する障害物検出装置は、移動体と移動領域内の障害物との干渉を検出する。この障害物検出装置は、移動体の形状を記憶する移動体形状記憶部と、移動領域内にある障害物の位置と形状を記憶する障害物記憶部と、移動体の位置情報と、移動体形状記憶部に記憶された移動体の形状と、障害物記憶部に記憶された障害物の位置と形状に基づいて、移動体と障害物との干渉を判定する干渉判定部を有している。移動体形状記憶部は、移動体を高さ方向に複数の層に分割したときの各層について、その層における移動体の形状を記憶している。障害物記憶部は、複数の層のそれぞれについて、その層における障害物の位置と形状を記憶する二次元地図を記憶している。そして、干渉判定部は、複数の層のそれぞれについて、その層における移動体の形状と、その層における障害物の二次元地図を用いて、移動体と障害物の干渉を判定する。
上記の障害物検出装置では、移動体を高さ方向に複数の層に分割し、層毎に移動体の形状を記憶する。移動領域内の障害物も、複数の層に分割され、層毎に二次元地図として記憶する。そして、層毎に、移動体の干渉が判定される。各層における移動体と障害物の干渉判定は2次元で行われるため、その計算量は過大なものとはならない。このため、移動体を分割する層の数を適切な数に設定することで、計算量の増大を抑えることができる。また、移動体を分割する位置を適切な位置に設定することで、少ない層で移動体の形状を3次元的に精度良く表すことができる。したがって、移動体と障害物との干渉を精度良く判定することができる。
実施例に係る移動体の構成を模式的に示す平面図。 実施例に係る移動体の制御系の構成を示すブロック図。 移動体の形状を表す移動体データの構造を説明するための図。 環境マップに記憶される障害物の形状を表す障害物データの構造を説明するための図。 制御装置で行われる処理の手順を示すフローチャート。 障害物クラスタから障害物の輪郭線を計算した例を示す図。 障害物と移動体の干渉判定の一例を示す図。 複数の走路面(平面)が連結された環境内を移動体が移動する場合を説明するための図。 移動体の形状を表す移動体データの他の例を説明するための図。 距離計測を実施した環境の一例を撮影した画像。 図10に示す環境を距離センサで計測したときの計測点群の一例。 図11に示す計測点群を上層と下層に分類したときにおいて、上層に分類された計測点群を示す図。 図11に示す計測点群を上層と下層に分類したときにおいて、下層に分類された計測点群を示す図。 図12に示す上層に分類された計測点群から得られた二次元の計測点群を示す図。 図13に示す下層に分類された計測点群から得られた二次元の計測点群を示す図。 図14に示す二次元の計測点群から計算された二次元の障害物地図。 図15に示す二次元の計測点群から計算された二次元の障害物地図。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 本明細書に開示する障害物検出装置では、移動領域内の障害物を計測する障害物計測部と、障害物計測部で計測された障害物の位置と形状に関する情報を用いて、障害物記憶部に記憶されている各層の2次元地図を更新する地図更新部をさらに有していてもよい。このような構成によると、障害物の計測と、その計測結果に基づく2次元地図の更新によって、移動領域内の障害物の位置と形状を適切に記憶する2次元地図を作成することができる。
(特徴2) 本明細書に開示する障害物検出装置では、障害物計測部は、移動領域内にある障害物までの距離を計測する3次元スキャン型の距離センサを有していてもよい。地図更新部は、(1)距離センサで得られる複数の計測データを複数の層に分類し、(2)複数の層のそれぞれについて、その層に分類された計測データ群をその層に設定された基準平面に射影し、基準平面に射影された計測データ群からその層における二次元地図を更新してもよい。このような構成によると、3次元スキャン型の距離センサを用いて移動領域内の障害物を検出し、その検出結果に基づいて二次元地図を作成することができる。
(特徴3) 本明細書に開示する障害物検出装置では、地図更新部は、基準平面に射影された計測データ群をクラスタ毎に分割し、その分割されたクラスタ毎にそのクラスタを構成する計測点群の輪郭線を障害物の形状として二次元地図に記憶するようにしてもよい。このような構成によると、障害物の輪郭線を障害物の形状として二次元地図に記憶するため、障害物の形状を少ないデータ量で表すことができる。
(特徴4) 本明細書に開示する障害物検出装置では、複数の層は、移動体の高さ方向に直交する断面において、移動体の断面形状が変化する位置に応じて分割されていてもよい。移動体形状記憶部は、その分割された複数の層のそれぞれについて移動体の形状を多角形又は多角柱に近似して記憶していてもよい。このような構成によると、移動体の断面形状が変化する位置に応じて複数の層に分割されることで、データ量の増大を抑えながら、移動体の3次元形状を正確に表現することができる。
なお、上述した障害物検出装置は移動体に搭載することができる。これによって、移動体は、移動しながら障害物を検出することができ、障害物の回避が可能となる。
本実施例の移動体10について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、移動体10は、左右の前輪12a,12bと、1つの後輪14(従動輪)と、前輪12a,12b及び後輪14が取付けられる車体18を備えている。
前輪12a,12bは、車体18の前端側であって、車体18の側面に回転可能に取付けられている。各前輪12a,12bは、インホイールモータ20a,20b(図2に図示)により独立して駆動される。前輪12a,12bを駆動することで、移動体10は走路面を走行する。また、左右の前輪12a,12bの回転駆動量(回転角速度)を制御することで、移動体10は、その進行方向を任意の方向に変えることができる。
後輪14は、車体18の後端側であって、車体18の車幅方向の略中央に取付けられている。本実施例では、後輪14に、全方位車輪又はキャスタ車輪が用いられている。なお、後輪14を操舵輪とし、後輪14を操舵することによって移動体10の進行方向を制御するようにしてもよい。
車体18は、車体18の姿勢角(ロール角,ピッチ角,ヨー角)を検出する3軸のジャイロセンサ24(図2に図示)と、車体18の進行方向に位置する障害物までの距離を計測する距離センサ16と、エンコーダ22a,22b、ジャイロセンサ24及び距離センサ16の出力に基づいて環境マップを作成する処理等を行う制御装置30を備えている。
ジャイロセンサ24は、車体18の内部に設置されている。ジャイロセンサ24は、車体18の姿勢角(ロール角,ピッチ角,ヨー角)を検出する。図2に示すように、ジャイロセンサ24は、制御装置30と電気的に接続されている。ジャイロセンサ24で検出した車体18の姿勢角(ロール角,ピッチ角,ヨー角)は、制御装置30に入力される。
距離センサ16は、車体18の前端側の上面であって、車体18の車幅方向の略中央に取付けられている(図1参照)。距離センサ16は、3次元スキャン型の距離センサである。距離センサ16は、レーザ光を照射すると共にその照射したレーザ光の反射光を検出し、レーザ光を照射してから反射光を検出するまでの時間で、距離センサ16から障害物までの距離を計測する。レーザ光を照射する方向は、3次元的に走査される。すなわち、図1に示すように、距離センサ16は、車体18の前方の所定の角度範囲の領域50にレーザ光を照射すると共に、レーザ光を照射する方向を高さ方向に変化させる。これにより、車体18の前方に位置する障害物の3次元構造が検出される。図2に示すように、距離センサ16は、制御装置30と電気的に接続されている。距離センサ16で検出した障害物の3次元構造は、制御装置30に入力される。
なお、距離センサ16としては、例えば、日本信号株式会社製のMEMSを利用したレーザスキャナーを用いることができる。なお、本実施例では、レーザ光によって距離を計測する距離センサ16を用いたが、このような例に限られず、公知の種々の方式の距離センサを用いることができる。なお、距離センサ16がレーザ光を照射する角度範囲が狭い場合(図1に示す領域50の角度範囲が狭い場合)は、車体18に複数の距離センサ16を搭載し、車体18の前方の領域を漏れなく走査することが好ましい。複数の距離センサ16を搭載することで、車体18の前方の障害物を漏れなく検出することができる。
制御装置30は、CPU,ROM,RAMを備えたマイクロプロセッサによって構成されている。制御装置30は、車体18内に配されている。図2に示すように、制御装置30は、モータ20a、20bと、エンコーダ22a、22bと、ジャイロセンサ24と、距離センサ26に電気的に接続されている。
制御装置30は、モータ20a,20bを駆動制御することで、移動体10の進行方向及び走行速度を制御する。すなわち、制御装置30は、モータ20a,20bに制御指令値を出力することで、前輪12a、12bを駆動する。これによって、移動体10の進行方向及び走行速度等を制御する。なお、モータ20a,20bの回転角速度(すなわち、前輪12a,12bの回転角速度)は、エンコーダ22a,22bで検出される。エンコーダ22a,22bは、検出したモータ20a,20bの回転角速度を制御装置30に入力する。なお、制御装置30による移動体10の進行方向及び走行速度の制御については、従来公知の方法で行うことができるため、本明細書ではその詳細な説明は省略する。
また、制御装置30は、エンコーダ22a,22b、ジャイロセンサ24及び距離センサ16の出力に基づいて環境マップ(後で詳述する)を作成する処理、環境マップに基づいて移動体10と障害物の干渉を判定する処理、障害物の干渉判定に基づいて移動体の経路を決定する処理、決定した経路に基づいて車輪12a,12bを駆動する処理等を行う。すなわち、制御装置30は、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、座標変換部32、障害物検出部34、マップ更新部36、干渉判定部38、経路決定部40及び車輪駆動部42として機能する。制御装置30が上述した各部32〜42として機能することで、環境マップが更新され、移動体10の経路が自律的に決定され、その決定された経路を移動体は走行する。各部32〜42の詳細については、制御装置30で行われる処理を説明する際に説明する。
また、制御装置30は、走路面データ記憶部44と環境マップ記憶部46と移動体データ記憶部48と経路データ記憶部50に接続されている。
走路面データ記憶部44は、移動体10が移動する環境内の走路面の情報(すなわち、走路面を規定する情報)を記憶する。本実施例では、走路面が平坦な平面であると仮定するため、走路面はax+by+cz+d=0(x,y,zは絶対座標系の座標値)と表される。したがって、走路面データ記憶部44は、移動体10の移動領域内に存在する走路面毎に、その位置、広さ、及び走路面を規定する4つのパラメータa,b,c,dを記憶する。このため、移動体10が一つの平面でのみ移動する場合は、走路面データ記憶部44はパラメータa,b,c,dを1組のみ記憶すればよい。例えば、移動体10が同一フロアーでのみ移動する場合は、z=0(すなわち、a=b=d=0,c=1)を走路面とすればよい。なお、走路面データ記憶部44は、オペレータにより予め入力されていてもよいし、距離センサ16の検出結果から算出するようにしてもよい。
経路データ記憶部50は、移動体10が移動する経路を記憶する。出発地から目的地までの移動経路を規定する初期経路は、オペレータにより予め入力されていてもよいし、自動で生成してもよい。後述するように、入力された初期経路は、距離センサ16により検出された障害物との干渉判定の結果に応じて修正され、修正された経路が経路データとして順次更新される。
移動体データ記憶部48は、移動体10の外形状を規定するデータを記憶する。図3に示すように、本実施例では、移動体10をz方向(移動体10の高さ方向(走路面に直交する方向))に複数の層52a,52bに分割したときの各層について、移動体10の外形状(輪郭線)54a,54bを記憶する。例えば、図3に示す移動体10は、車椅子型の移動体であって、座席部と背もたれ部を有しており、座席部と背もたれ部では大きく外形状が異なる。このため、座席部が設けられる第1層52aと、背もたれ部が設けられる第2層52bとに移動体10を分割し、第1層52aにおける輪郭線54aと、第2層52bにおける輪郭線54bとを記憶する。このように移動体10の断面形状(z方向に直交するx−y断面の形状)が大きく変化する位置に応じて移動体10を複数の層52a,52bに分割し、その分割した各層について輪郭線54a,54bを記憶することで、少ないデータ量で、移動体10の3次元形状を正確に表すことができる。なお、各層52a,52bの輪郭線54a,54bは、各層52a,52bに含まれる移動体10を基準平面53a,53b(各層52a,52bの下面)に射影して得られる像の輪郭線とすることができる。上述の説明から明らかなように、本実施例では、移動体10の外形状を、複数の柱状物(例えば、多角柱や円柱等)で近似していることとなる。
環境マップ記憶部46は、移動体10が移動する環境内の障害物の情報(すなわち、障害物の位置と外形状に関する情報)を記憶する。具体的には、上述した移動体10を分割したときに用いた各層52a,52bのそれぞれについて、その層52a,52bにおける障害物の位置と外形状(輪郭線)を記憶する。ここで、各層52a,52bの外形状(輪郭線)は、移動体10と同様、各層52a,52bに含まれる障害物を基準平面53a,53bに射影して得られる像の輪郭線とされる。したがって、障害物の外形状についても、複数の柱状物(例えば、多角柱や円柱等)で近似されることとなる。
図4を用いて、環境マップ記憶部46に記憶される障害物の外形状(輪郭線)の一例を説明する。図4には、障害物56として机が示されている。図4に示すように、障害物56は、天板と、天板の4隅に設けられた脚を有している。このため、層52aについては、4つの脚の輪郭線56aが障害物56の外形状として記憶され、層52bについては、天板の輪郭線56bが障害物56の外形状として記憶される。図4から明らかなように、第2層52bについては障害物56が大きな領域を占有し、移動体10が移動可能な領域が大きく制限される。一方、第1層52aについては障害物56が占める面積は小さく、移動体10が移動可能な領域が広くなっている。
次に、制御装置30によって行われる処理について説明する。図5に示すように、制御装置30は、まず、距離センサ16によって、移動体10の前方の障害物までの距離を計測する(S10)。距離センサ16によって計測された距離データは、制御装置30に入力される。なお、距離センサ16によって計測される計測データ群には、移動体10が走行する走路面のデータも含まれる。
次に、制御装置30は、移動体10の自己位置情報を用いて、距離センサ16によって計測された走路面又は障害物までの距離データ(計測データ)を、絶対座標系のデータに変換する(S12)。すなわち、制御装置30は、ジャイロセンサ24の出力から、車体10の姿勢角(ロール角,ピッチ角,ヨー角)を特定することができる。また、制御装置30は、エンコーダ22a,22bの出力から、車体10(基準位置)の絶対座標系の位置を算出することができる。さらに、車体10(基準位置)に対する距離センサ16の取付位置は既知である。このため、車体10の姿勢角と、車体10(基準位置)の絶対座標系の位置と、車体10(基準位置)に対する距離センサ16の取付位置とから、距離センサ16の絶対座標系の位置を算出することができる。したがって、ステップS10において、距離センサ16がレーザ光を照射した方向と、距離センサ16で計測された距離が特定されれば、制御装置30は、ステップS10で計測された走路面又は障害物の絶対座標系の位置を算出することができる。なお、上記のステップS12の処理によって実現される制御装置30の機能が、図2に示す座標変換部32に相当する。
次に、制御装置30は、ステップS12によって得られた絶対座標系に変換した計測データ群から、移動体10とは干渉し得ない計測データを削除する(S14)。すなわち、距離センサ16で計測された計測データ群には、走路面のデータや、移動体10よりも高い位置に存在する障害物(例えば、天井、壁等)のデータが含まれる。これらの障害物は移動体10とは干渉し得ないデータであるため、これらの障害物に関する計測データを削除する。これによって、その後の処理を高速で行うことができる。具体的には、制御装置30は、走路面データ記憶部44に記憶された情報から、計測データの走路面までの距離(走路面からの高さ)を計算し、その距離が所定の閾値より小さい場合は、計測データは走路面のデータであるとしてそのデータを削除する。また、計測データの走路面までの距離(走路面からの高さ)が移動体10の高さよりも高い場合も、その計測データを削除する。なお、これらの計算を行う際は、距離センサ16による距離計測誤差や、座標変換する際の誤差に応じて、閾値を定めることが好ましい。なお、上記のステップS14の処理によって実現される制御装置30の機能が、図2に示す障害物検出部34に相当する。
次に、制御装置30は、削除後の計測データを、移動体10を分割したときに用いた各層52a,52bに分類する(S16)。すなわち、制御装置30は、走路面からの距離(走路面からの高さ)に応じて、削除後の計測データが各層52a,52b(基準平面53a,53b)のいずれに属するかを判定する。そして、削除後の計測データを各層52a,52b(基準平面53a,53b)に分類する。例えば、第1層52aが走路面からの高さ0〜hの層であり、第2層52bが走路面からの高さh〜hの層である場合において、計測データの走路面からの高さhが0<h≦hのときは、そのデータを第1層(基準平面z=0)に分類する。一方、計測データの走路面からの高さhがh<h≦hのときは、そのデータを第2層(基準平面z=h)に分類する。
次に、制御装置30は、複数の層52a,52b(基準平面53a,53b)の中から1つの層(基準平面)を選択する(S18)。そして、制御装置30は、選択された層に分類された計測データを、その層の基準平面に射影する(S20)。例えば、ステップS18で第1層52aが選択された場合、第1層52aに分類された計測データを基準平面53aに射影する。ここで、z=0で表される平面が走路面である場合、基準平面53a,53bが走路面に平行であることから、計測データ(x,y,z)を基準平面53a,53bに射影したときの座標値は(x,y)となる。したがって、この場合は、極めて簡易に射影したときの座標値を算出することができる。なお、ステップS20を実行する際は、その後の計算量を少なくするために、ダウンサンプリングを実行してもよい。
次に、制御装置30は、ステップS20で基準平面53a,53bに射影された計測データ群をクラスタ分割する(S22)。すなわち、基準平面53a,53bに射影された計測データ群は、複数の障害物を計測したデータにより構成されていることがある。このため、基準平面に射影されたデータ群を、クラスタ(障害物)毎に分割する。クラスタ分割には、例えば、公知のKd−Tree等の手法を用いることができる。
次に、制御装置30は、ステップS22で分割されたクラスタ(障害物)毎に、そのクラスタ(障害物)の輪郭線を算出する(S24)。輪郭線の算出には、例えば、公知のα‐shape等の手法を用いることができる。なお、輪郭線を算出する際は、図6の(a)に示すような凸包ではなく、図6の(b),(c)に示すような凹包とすることが好ましい。凹包とすることで、障害物を精度よく表現できるようになり、移動体10が通過可能な領域を大きくすることができる。なお、図6において、各点は基準平面に射影された計測データからクラスタ分割された計測データ群であり、各点を包含する実線はα‐shapeで算出された輪郭線である。
次に、制御装置30は、上述したステップS20〜S24の処理を全ての層52a,52b(基準平面53a,53b)について実行したか否かについて判断する(S26)。そして、全ての層52a,52b(基準平面53a,53b)についてステップS20〜S24の処理を実行していない場合(S26でNO)は、ステップS18に戻って、ステップS18からの処理を繰り返す。これによって、全ての層52a,52b(基準平面53a,53b)について、分類された計測データが基準平面53a又は53bに射影され、射影された計測データから障害物(クラスタ)の輪郭線が作成される。
全ての層52a,52b(基準平面53a,53b)についてステップS20〜S24の処理を実行している場合(S26でYES)は、環境マップ記憶部46に記憶されている環境マップを更新する(S28)。すなわち、制御装置30は、各層52a,52b毎に、その層における障害物マップ(二次元障害物地図)を更新する。なお、上記のステップS16〜S28の処理によって実現される制御装置30の機能が、図2に示すマップ更新部36に相当する。
次に、制御装置30は、複数の層52a,52bの中から干渉判定を行う1つの層を選択する(S30)。干渉判定を行う層を選択すると、制御装置30は、ステップS30で選択された層の移動体10の外形状(輪郭線)を移動体データ記憶部48から読み出し(S32)、ステップS30で選択された層の障害物(クラスタ)の外形状(輪郭線)を環境マップ記憶部46から読み出す(S34)。そして、ステップS32で読み出した移動体10の外形状と、ステップS34で読み出した障害物(クラスタ)の外形状との干渉を判定する(S36)。干渉判定は、例えば、各層の障害物(クラスタ)の凹包を凸化分解(凸多角化)した上で、公知のGJKアルゴリズムのような方法を用いて判定することができる。なお、ステップS36の干渉判定では、移動体10の外形状が二次元で表され、障害物(クラスタ)の外形状も二次元で表されている。このため、ステップS36の干渉判定は、二次元の干渉問題となり、少ない計算量で行うことができる。また、グリッドマップのような離散化マップと比べて、高精度で環境を表現することができる。
次に、制御装置30は、上述したステップS30〜S36の処理を全ての層52a,52bについて実行したか否かについて判断する(S38)。そして、全ての層52a,52bについてステップS30〜S36の処理を実行していない場合(S38でNO)は、ステップS30に戻って、ステップS30からの処理を繰り返す。これによって、全ての層52a,52bについて、移動体10と障害物との干渉判定が実施される。なお、上記のステップS30〜S38の処理によって実現される制御装置30の機能が、図2に示す干渉判定部38に相当する。
全ての層52a,52bについてステップS30〜S36の処理を実行している場合(S38でYES)は、制御装置30は、いずれかの層53a,53bで干渉が生じるか否かを判定する(S40)。いずれの層53a,53bでも移動体10と障害物との干渉が生じない場合(S40でNO)は、ステップS44に進んで、制御装置30は、モータ20a,20bを駆動する処理を実行する。すなわち、制御装置30は、経路データ記憶部50に記憶されている経路データに基づいてモータ20a,20bを駆動する。これによって、移動体10は、経路データ記憶部50に記憶された経路で移動する。
いずれかの層53a,53bで移動体10と障害物との干渉が生じる場合(S40でYES)は、制御装置30は、移動体10と障害物との干渉が生じないように、経路データ記憶部50に記憶された経路を修正し(S42)、その修正された経路に基づいて、モータ20a,20bを駆動する(S44)。これによって、移動体10と障害物との干渉が回避される。
なお、本実施例では、制御装置30が、図5に示す処理を所定の周期で繰り返し実行する。したがって、移動体10は、所定の周期で、距離センサ16による計測を実施し、その距離センサによる計測結果から環境マップを更新し、更新された環境マップを用いて障害物との干渉判定を行う。これによって、移動体10は、障害物との干渉を回避しながら目的地まで移動することができる。
本実施例の移動体10では、移動体10を高さ方向に複数の層に分割し、層毎に移動体10の外形状を記憶し、それに応じて障害物も層毎に環境マップを形成し、層毎に移動体10と障害物の干渉判定を行う。移動体10と障害物の干渉判定を複数の2次元の干渉問題とすることで、少ない計算量で移動体10と障害物の干渉を行うことができる。その結果、リアルタイムで3次元の干渉判定を行うことが可能となる。また、リアルタイムで3次元の干渉判定を行うことができるため、高さが異なる障害物が散在する環境でも、移動体10と障害物とのマージンを小さくすることできる。その結果、移動体10は、狭空間をスムーズに移動することができる。
なお、移動体10と障害物との干渉判定を層毎に行うため、図7に示すように、机のような障害物62の下まで移動体60の一部を移動させることができる。すなわち、移動体10と障害物62を第1層63と第2層65に分割し、それぞれを基準平面64,66に射影すると、第1層63では符号64aで示す干渉判定の問題となり、第2層65では符号66aに示す干渉判定の問題となる。図7から明らかなように、第1層63と第2層65のいずれにおいても、移動体60と障害物62との干渉は生じない。したがって、本実施例の技術によると、移動体10の一部を障害物62の下まで移動することができる。
ここで、本実施例の移動体10を用いて実際に距離計測を実施し、計測した結果から作成された環境マップの一例を説明する。図10に示すように、実際に距離計測を実施した環境には、複数の机と椅子が存在している。図10に示す環境を距離センサ16で計測すると、図11に示すような結果が得られる。図11から明らかなように、計測点群には、机を表す計測点群と、椅子を表す計測点群と、走路面を表す計測点群が含まれている。図11に示す計測結果から不要な計測点(例えば、走路面の計測点等)を削除し、第1層(下層)と第2層(上層)に分割する。すると、図13に示す第1層の計測点群と、図12に示す第2層の計測点群が得られる。図12,13より明らかなように、距離センサ16で得られた計測点群は、走路面からの高さに基づいて適切に分割されている。図12,13に示す計測点群が得られると、それらの計測点群を基準平面に射影し(図14,15)、それら基準平面に射影した計測点群から各層における障害物地図(障害物の輪郭線)が作成される(図16,17)。図16,17から明らかなように、本実施例の移動体10によると、複雑な環境が複数毎の2次元の障害物地図で表現することが可能となる。
最後に、上述した実施例と請求項との対応関係を説明しておく。距離センサ16が「障害物計測部」の一例であり、移動体データ記憶部48が請求項でいう「移動体形状記憶部」の一例であり、環境マップ記憶部46が請求項でいう「障害物記憶部」の一例であり、マップ更新部36が「地図更新部」の一例であり、干渉判定部38が請求項でいう「干渉判定部」の一例である。
以上、本実施例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例では、本明細書に開示する技術を車輪型の移動体に適用した例であったが、本明細書に開示する技術は、歩行型の移動体に適用することもできる。
また、上述した実施例では、環境内の走路面が予め記憶されている例を説明したが、本明細書に開示する技術は、距離センサ16の計測結果に基づいて走路面を抽出するようにしてもよい。すなわち、距離センサとして3次元スキャン型の距離センサを利用し、距離センサにより走路面を計測し、その計測データから走路面を抽出するようにしてもよい。なお、計測データ群から走路面を抽出する方法としては、例えば、RANSACやLMEDSなどのロバスト推定と呼ばれるアルゴリズムを利用することができる。
また、本実施例では、移動体10が走行する走路面を単一の走路面として説明したが、移動体が複数の走路面を有する環境内を移動する場合にも、本明細書に開示の技術を適用することができる。具体的には、距離センサで得られる計測データ群がどの走路面上の障害物であるかを判定し、走路面毎に障害物を高さ方向(走路面に直交する方向)に分割し、上述した実施例と同様の処理を実行すればよい。例えば、図8に示すように、移動体70が複数の走路面72a〜72dを移動する場合は、走路面72a〜72d毎に空間を分割し、その分割された各空間を移動体70の高さ方向(すなわち、走路面に直交する方向)に複数の層に分割すればよい。そして、障害物74,76がどの走路面上に位置するかを判断し(例えば、障害物74は走路面72c上に位置すると判断し)、その障害物の射影像(例えば、走路面72c上の障害物74は基準平面(平面2)に射影した像)を層毎に取得すればよい。
また、本実施例では、移動体10の高さ方向の分割をオペレータがオフラインで1回だけ実施するものであったが、移動体10の高さ方向の分割をリアルタイムで逐次自動で行ってもよい。移動体の分割をリアルタイムで実行することで、移動体10の姿勢角(ロール角、ピッチ角等)やアームのある移動体ではアームの位置の変化による移動体形状の変化が考慮され、より精度良く障害物との干渉判定を行うことができる。なお、移動体の分割を自動で行う場合は、例えば、移動体をz軸に直交する複数の平面で切断し、その平面における断面の面積、または、車軸中心と断面におけるx方向またはy方向の正負の最遠点が大きく変化するところで自動分割するようにしてもよい。このような構成によると、移動体の断面形状が大きく変化する位置で自動的に分割され、移動体の外形状を精度良く表すことができる。
また、上述した実施例では、移動体10を2層に分割した例であったが、移動体10を分割する分割数は2層に限られず、任意の数に分割することができる。ただし、分割数を増大すると計算量が増加するため、移動体の形状の特徴を表す必要最小限の分割数とすることが好ましい。なお、車輪型の移動体では、例えば、図9に示すように、車体下のタイヤ空間に相当する層80aをさらに分割することが好ましい。このような構成によると、段差の低い小さな障害物(最低車高より高さが低い障害物)や、走路面に形成された小さな溝等をタイヤが通過することを回避しながら、これらの障害物の上方を車体が移動するように移動体10を移動させることができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10 移動体
12a,12b 前輪
14 後輪
16 距離センサ
18 車体
20a,20b モータ
24 ジャイロセンサ
30 制御装置

Claims (6)

  1. 移動体と移動領域内の障害物との干渉を検出する障害物検出装置であって、
    移動体の形状を記憶する移動体形状記憶部と、
    移動領域内にある障害物の位置と形状を記憶する障害物記憶部と、
    移動体の位置情報と、移動体形状記憶部に記憶された移動体の形状と、障害物記憶部に記憶された障害物の位置と形状に基づいて、移動体と障害物との干渉を判定する干渉判定部と、を有しており、
    移動体形状記憶部は、移動体を高さ方向に複数の層に分割したときの各層について、その層における移動体の形状を記憶しており、
    障害物記憶部は、複数の層のそれぞれについて、その層における障害物の位置と形状を記憶する二次元地図を記憶しており、
    干渉判定部は、複数の層のそれぞれについて、その層における移動体の形状と、その層における障害物の二次元地図を用いて、移動体と障害物の干渉を判定する、障害物検出装置。
  2. 移動領域内の障害物を計測する障害物計測部と、
    障害物計測部で計測された障害物の位置と形状に関する情報を用いて、障害物記憶部に記憶されている各層の2次元地図を更新する地図更新部と、をさらに有している、請求項1に記載の障害物検出装置。
  3. 障害物計測部は、移動領域内にある障害物までの距離を計測する3次元スキャン型の距離センサを有しており、
    地図更新部は、
    (1)距離センサで得られる複数の計測データを複数の層に分類し、
    (2)複数の層のそれぞれについて、その層に分類された計測データ群をその層に設定された基準平面に射影し、基準平面に射影された計測データ群からその層における二次元地図を更新する、請求項2に記載の障害物検出装置。
  4. 地図更新部は、基準平面に射影された計測データ群をクラスタ毎に分割し、その分割されたクラスタ毎にそのクラスタを構成する計測点群の輪郭線を障害物の形状として二次元地図に記憶する、請求項3に記載の障害物検出装置。
  5. 前記複数の層は、移動体の高さ方向に直交する断面において、移動体の断面形状が変化する位置に応じて分割されており、
    移動体形状記憶部は、その分割された複数の層のそれぞれについて移動体の形状を多角形又は多角柱に近似して記憶する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の障害物検出装置を備える移動体。
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