JP2014056200A - 現像装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像剤担持体上の現像剤の回収効率の低下を抑制し、良好な印刷品質を維持できるようにすることを目的とする。
【解決手段】現像装置100は、感光体ドラム(静電潜像担持体)3に現像剤を供給する現像ローラ(現像剤担持体)1と、現像ローラに現像剤を供給するトナー供給ローラ(供給部材)2と、感光体ドラム3に供給されず現像ローラ1上に残留した現像剤を現像ローラ1から回収するトナー回収ローラ(回収部材)5とを備える。トナー回収ローラ5は、導電性のシャフト31の表面に発泡弾性層32を有し、発泡弾性層32の表面にさらに樹脂層33を有する。
【選択図】図1
【解決手段】現像装置100は、感光体ドラム(静電潜像担持体)3に現像剤を供給する現像ローラ(現像剤担持体)1と、現像ローラに現像剤を供給するトナー供給ローラ(供給部材)2と、感光体ドラム3に供給されず現像ローラ1上に残留した現像剤を現像ローラ1から回収するトナー回収ローラ(回収部材)5とを備える。トナー回収ローラ5は、導電性のシャフト31の表面に発泡弾性層32を有し、発泡弾性層32の表面にさらに樹脂層33を有する。
【選択図】図1
Description
この発明は、画像形成装置、および、画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
画像形成装置では、感光体ドラムの表面に形成した静電潜像を、現像ローラの表面に担持したトナー(現像剤)で現像し、媒体等に転写する。現像ローラの表面には、静電潜像の現像に使用されなかったトナーが残留する場合があるため、このような残留トナーをブラシローラで回収することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述したようにブラシローラでトナーを回収する場合、印刷枚数の増加に伴い、流動性の低下したトナーがブラシ繊維間に入り込みやすくなる。その結果、ブラシ繊維の弾力性が低下し、現像ローラ上のトナーの回収効率が低下する。その結果、感光体ドラムの表面の本来トナーが付着すべきでない部分にトナーが付着し、残像が発生する原因となる。
そのため、ブラシローラによる現像ローラ上のトナーの回収効率が低下する前に、現像装置を交換する必要があり、現像装置の長寿命化の観点から改善が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現像剤担持体上の現像剤の回収効率の低下を抑制し、良好な印刷品質を維持できるようにすることを目的とする。
本発明に係る現像装置は、静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、静電潜像担持体に供給されず現像剤担持体上に残留した現像剤を、現像剤担持体から回収する回収部材とを備える。回収部材は、導電性のシャフトの表面に発泡弾性層を有し、発泡弾性層の表面にさらに樹脂層を有する。
本発明に係る画像形成装置は、現像装置を備える。現像装置は、静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、静電潜像担持体に供給されず現像剤担持体上に残留した現像剤を、現像剤担持体から回収する回収部材とを備える。回収部材は、導電性のシャフトの表面に発泡弾性層を有し、発泡弾性層の表面にさらに樹脂層を有する。
本発明によれば、現像剤担持体上の現像剤の回収効率の低下を抑制し、良好な印刷品質を維持することが可能になる。
第1の実施の形態.
<現像装置の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態における現像装置の構成について説明する。図1は、第1の実施の形態における現像装置100の構成を示す断面図である。現像装置(プロセスユニットとも称する)100は、筺体としてのケーシング9と、ケーシング9の上部に設けられた現像剤収容部としてのトナー収容部11とを有している。トナー収容部11は、ケーシング9に供給する現像剤としてのトナー10を収容している。
<現像装置の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態における現像装置の構成について説明する。図1は、第1の実施の形態における現像装置100の構成を示す断面図である。現像装置(プロセスユニットとも称する)100は、筺体としてのケーシング9と、ケーシング9の上部に設けられた現像剤収容部としてのトナー収容部11とを有している。トナー収容部11は、ケーシング9に供給する現像剤としてのトナー10を収容している。
現像装置100は、また、ケーシング9内に、静電潜像担持体としての感光体ドラム3を有している。感光体ドラム3は、表面に感光体層(電荷発生層、電荷輸送層)を有するドラム状の部材であり、一定方向(図中反時計回り)に回転する。
感光体ドラム3の表面に接触するように、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ4と、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ1と、感光体ドラム3の表面に残留したトナー10(現像剤)を掻き取るクリーニング部材としてのクリーニングブレード8とが配置されている。ここでは、感光体ドラム3の回転方向(図中反時計回り)に沿って、帯電ローラ4、現像ローラ1およびクリーニングブレード8の順に配置されている。
現像ローラ1は、感光体ドラム3の回転方向とは反対方向(図中時計回り)に回転する。すなわち、現像ローラ1と感光体ドラム3とのニップ部において、両表面の移動方向は互いに同じ方向となる。また、帯電ローラ4は、感光体ドラム3との接触により、感光体ドラム3に追従して回転する。
現像ローラ1の表面に接触するように、現像ローラ1にトナー10を供給する供給部材としてのトナー供給ローラ2と、現像ローラ1の表面に付着するトナー10の量を規制して薄層を形成する現像剤規制部材としての現像ブレード7と、現像ローラ1の表面に残留したトナー(静電潜像の現像に使用されなかったトナー)を回収する回収部材としてのトナー回収ローラ5とが設けられている。現像ブレード7は、ケーシング9に固定された現像ブレードホルダ7hによって保持されている。
トナー供給ローラ2は、現像ローラ1の回転方向とは反対方向(図中反時計回り)に回転する。すなわち、トナー供給ローラ2と現像ローラ1とのニップ部において、両ローラの表面の移動方向は互いに同じ方向となる。また、トナー回収ローラ5は、現像ローラ1の回転方向とは反対方向(図中反時計回り)に回転する。すなわち、トナー回収ローラ5と現像ローラ1とのニップ部において、両ローラの表面の移動方向は互いに同じ方向となる。
ここでは、現像ローラ1の回転方向(図1における時計回り方向)に沿って、トナー供給ローラ2、現像ブレード7およびトナー回収ローラ5の順に配置されている。なお、図1では、トナー供給ローラ2が現像ローラ1の側方に配置され、トナー回収ローラ5が現像ローラ1の下方に配置されているが、このような配置に限定されるものではない。
トナー回収ローラ5に接するように、トナー回収ローラ5の表面からトナーを掻き落とす清掃部材としてのスクレーパ6が配置されている。スクレーパ6は、ケーシング9に固定された保持部材としてのスクレーパホルダ6hに、接着により固定されている。
スクレーパホルダ6hは、ケーシング9の底面に固定され、スクレーパ6を略水平に保持している。なお、スクレーパ6は略水平である必要はなく、スクレーパ6とトナー回収ローラ5との接触部において、トナー回収ローラ5の外周の接線に対して後述する所定の角度θ(図9)をなしていればよい。
トナー供給ローラ2の周囲には、ケーシング9内のトナー10を攪拌する攪拌部材12a,12b,12cが配置されている。撹拌部材12a,12b,12cは、例えばクランク形状のバーで構成されている。攪拌部材12a,12bは、トナー供給ローラ2の上方に配置され、トナー供給ローラ2と同方向に回転する。一方、撹拌部材12cは、トナー供給ローラ2の下方に配置され、トナー供給ローラ2と反対方向に回転する。但し、撹拌部材12a,12b,12cの配置および回転方向は、上記に限定されるものではなく、ケーシング9内のトナー10を効率よく攪拌できればよい。
ここでは、ケーシング9の内部はトナー10で充填されており、堆積したトナー10の上面(トナー上面レベル)は、トナー収容部11内にある。なお、図1では、現像装置100の構成要素を分かり易く示すため、ケーシング9内のトナー10の図示を省略している。
<画像形成装置の構成>
次に、現像装置100を備えた画像形成装置200の構成について説明する。図2は、画像形成装置200の基本構成を示す図である。
次に、現像装置100を備えた画像形成装置200の構成について説明する。図2は、画像形成装置200の基本構成を示す図である。
画像形成装置200は、ここでは、単色(モノクロ)画像を形成する電子写真プリンタとして構成されている。但し、画像形成装置200は、カラー画像を形成するものであってもよく、その場合には、例えば、複数の現像装置100を一列に配列したタンデム型の構成を採用することができる。
画像形成装置200は、その本体201の下部に、印刷用紙等の媒体18を収容する媒体収容部202(例えば用紙カセット)を有している。
媒体収容部202に収容された媒体の表面に接するように、給紙手段としての搬送ローラ19aが配置されている。搬送ローラ19aは、後述する搬送モータ16(図3)によって回転駆動され、媒体収容部202に収容された媒体18を一枚ずつ繰り出す。
搬送ローラ19aに隣接して、搬送ローラ19aによって媒体収容部202から繰り出された媒体18を案内するガイド19bと、媒体18をさらに搬送する搬送手段としての搬送ローラ対19cが配置されている。ここでは、搬送ローラ対19cは、ガイド19bに沿って搬送されてきた媒体18を、水平方向(図中左から右に向かう方向)に搬送する。
媒体18の搬送方向において搬送ローラ対19cの下流側(図中右側)には、上述した現像装置100が配置されている。また、媒体18を挟んで現像装置100の感光体ドラム3と対向するように、転写部材としての転写ローラ13が配置されている。転写ローラ13は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を媒体18に転写するものである。
また、現像装置100の感光体ドラム3に対して、転写ローラ13と反対の側には、露光装置としてのLEDヘッド14が配置されている。LEDヘッド14は、感光体ドラム3の表面の感光層をイメージデータに応じて露光して、静電潜像を形成するものである。
媒体18の搬送方向において現像装置100の下流側(図中右側)には、定着装置としての定着器15が配置されている。定着器15は、例えば熱源を備えたヒートローラ15aと、これに対向配置された加圧ローラ15bとを備え、トナー像が転写された媒体18を加圧・加熱することにより、トナー像を媒体18に定着させる。また、定着器15には、ヒートローラ15aの温度を検出する温度センサ等が備えられている。
媒体18の搬送方向において定着器15の下流側には、トナー像が定着した媒体18を排出口に向けて案内するガイド19dと、媒体18を排出口から装置外に排出する排出手段としての搬送ローラ対19eが配置されている。また、画像形成装置200の上部には搬送ローラ対19eによって排出された媒体18を載置するスタッカ部19fが設けられている。
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置200の制御系について説明する。図3は、画像形成装置200の制御系を示すブロック図である。
次に、画像形成装置200の制御系について説明する。図3は、画像形成装置200の制御系を示すブロック図である。
図3において、印刷制御部(制御手段)20は、マイクロプロセッサ、ROM、
RAM、入出力ポート、タイマー等によって構成される。印刷制御部20は、図示しない上位装置からインターフェイス(I/F)制御部21を介して受信した印刷データおよび制御コマンドに基づき、画像形成装置200のシーケンスを制御し、印刷動作を行う。
RAM、入出力ポート、タイマー等によって構成される。印刷制御部20は、図示しない上位装置からインターフェイス(I/F)制御部21を介して受信した印刷データおよび制御コマンドに基づき、画像形成装置200のシーケンスを制御し、印刷動作を行う。
インターフェイス(I/F)制御部21は、インターフェイスコネクタ、インターフェイス用IC等を有し、パーソナルコンピュータ等の上位装置から送られた印刷データや制御コマンドを受信し、印刷制御部20に転送する。
受信メモリ22は、上位装置からインターフェイス制御部21を介して入力された印刷データを一時的に記録する。画像データ編集メモリ23は、受信メモリ22に記録された印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
操作部24は、画像形成装置200の状態を表示するための表示部(例えばLED)および画像形成装置200に操作者からの指示を入力するための入力部(例えばスイッチ、表示部等)を備えている。センサ群25は、画像形成装置200の動作状態を監視するための各種センサ、例えば媒体位置検出センサ、温度・湿度センサ、印刷濃度センサ、トナー残量検知センサ等を含む。
現像ローラ用電源1aは、現像ローラ1が担持するトナー10を感光体ドラム3上の静電潜像に付着させるため、現像ローラ1に現像電圧を印加するものである。トナー供給ローラ用電源2aは、トナー供給ローラ2から現像ローラ1にトナー10を供給するため、トナー供給ローラ2に電圧を印加するものである。
帯電ローラ用電源4aは、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させるため、帯電ローラ4に帯電電圧を印加するものである。現像ブレード用電源7aは、現像ローラ1の表面にトナーの薄層を形成するため、現像ブレード7に電圧を印加するものである。
転写ローラ用電源13aは、感光体ドラム3上のトナー像を媒体18に転写するため、転写ローラ13に転写電圧を印加するものである。
なお、現像ローラ用電源1a、トナー供給ローラ用電源2a、帯電ローラ用電源4a、現像ブレード用電源7aおよび転写ローラ用電源13aは、印刷制御部20の指示により、印加する電圧値を変更することができる。
ヘッド駆動制御部14aは、画像データ編集メモリ23に記録されたイメージデータをLEDヘッド14に送り、そのLEDヘッド14を駆動するものである。
定着制御部15aは、転写されたトナー像を媒体18に定着するために、定着器15のヒータに電圧を印加するものである。具体的には、定着制御部15aは、定着器15に設けられた温度センサのセンサ出力を読み込み、当該センサ出力に基づいてヒータに通電して、定着器15を一定の温度に保つように制御を行う。
搬送モータ制御部16aは、印刷制御部20の指示により、媒体18を搬送するための搬送モータ16を制御するものである。これにより、媒体収容部202に収容した媒体18を搬送ローラ19aによって一枚ずつ搬送路に繰出し、搬送ローラ対19cによって現像装置100を通過させ、搬送ローラ対19eによって装置外に排出する。
駆動制御部17aは、感光体ドラム3を回転させるための駆動モータ17を駆動するものである。駆動モータ17の回転は、感光体ドラム3、帯電ローラ4、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ローラ5、および機拌部材12a,12b,12cに伝達される。
<現像装置の好ましい構成例>
次に、第1の実施の形態における現像装置100の好ましい構成例について説明する。ここで説明する構成例は、後述する印刷試験の条件でもある。
次に、第1の実施の形態における現像装置100の好ましい構成例について説明する。ここで説明する構成例は、後述する印刷試験の条件でもある。
まず、トナー10について説明する。トナー10は、粉砕法で製造され、バインダ(結着樹脂)としてポリエステル樹脂を用いた非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナー10の体積平均粒径は5.7μm、円形度は0.92、ブローオフ帯電量は−36μC/gである。
なお、体積平均粒径の測定には、ベックマンコールター株式会社製「コールターマルチサイザーII」を使用した。また、円形度の測定には、シスメックス株式会社製「フロー式粒子像分析装置FPIA−3000」を使用した。
また、ブローオフ帯電量の測定は、京セラ株式会社製「粉体帯電量測定装置TYPE TB−203」を使用した。測定に当たっては、トナー0.5gと、パウダーテック株式会社製フェライトキャリア(F−60)9.5gとを混合し、30分攪拌した後、ブロー圧7.0kPa、吸引圧−4.5kPaの条件で飽和帯電量を測定した。
次に、現像装置100の各ローラおよびブレードについて説明する。
図4(A)は、現像ローラ1の断面構造を示す図である。現像ローラ1は、導電性のシャフト(芯金)26の表面に弾性層27を設け、その表面を表面層(半導電性樹脂層)28で覆った構成を有している。ここでは、現像ローラ1の外径を20mmとし、弾性層27の厚さを3mmとする。また、表面層28の厚さを2〜3μmとする。
弾性層27は、例えばシリコーンゴム、ウレタンなどの一般的なゴム材料で形成することができ、ここでは、カーボンブラック等を分散した半導電性のウレタンを用いる。現像ローラ1の弾性層27のゴム硬度は、アスカーC硬度で60〜80度の範囲が好ましく、ここでは72度とする。また、表面層28は、トナー10への電荷付与性を考慮して、アクリル樹脂にカーボンブラック等を分散した半導電性樹脂を、弾性層27の表面に塗布することにより形成したものである。
図4(B)は、現像ブレード7の断面構造を示す図である。現像ブレード7は、ステンレス(SUS)製の板状部材であり、板厚は例えば0.08mmである。また、現像ブレード7の現像ローラ1との当接部7bには、曲げ加工が施されている。ここでは、当接部(曲げ部)7bの曲率半径Rは0.18mmとし、現像ローラ1に対する線圧は35gf/cmとする。
現像ローラ1の表面粗さおよび抵抗値は、現像ブレード7の条件と共に、現像ローラ1上に形成されるトナー層厚、トナー帯電量を決定する要因となる。ここでは、現像ローラ1の表面の十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)が2〜8μmの範囲にあることが好ましく、ここではRzを4μmとする。表面粗さの測定は、小坂研究所製「サーフコーダSEF3500」で行った。測定器の触針半径は2μm、触針圧は0.7mN、触針の送り速さは0.1mm/secとした。
現像ローラ1の抵抗値は、弾性層27と表面層28を含めた測定で4.0〜8.0(LogΩ)の範囲が好ましく、ここでは7.0(LogΩ)とする。
図5は、現像ローラ1の抵抗値の測定方法を説明するための平面図(A)および側面図(B)である。抵抗値の測定装置34には、ヒューレット・パッカード株式会社製「ハイレジスタンスメータ(4339B)」を用いた。
ここでは、現像ローラ1を、そのシャフト26の両端に荷重W=500gの荷重を印加し、直径30mmのステンレス(SUS)製の金属ローラ35に接触させた。さらに、金属ローラ35を60rpmの回転速度で回転させ、現像ローラ1のシャフト26に−100Vの電圧を印加し、現像ローラ1の1周につき100ポイントで測定を行った。100ポイントの測定結果の平均値を、ローラの抵抗値とした。
図6は、トナー供給ローラ2の断面構造を示す図である。図6に示すように、トナー供給ローラ2は、導電性のシャフト(芯金)29の表面に、例えばシリコーンゴムスポンジからなる弾性層30を設けて構成される。シリコーンゴムスポンジは、未加硫のシリコーンゴムコンパウンドを押し出し等の方法で成形し、加熱により加硫発泡することにより得られる。
シリコーンゴムコンパウンドは、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルフェニルシリコーン生ゴム等の各種生ゴムに、補強性シリカ充填剤、加硫硬化に必要な加硫剤および発泡剤を添加してなる。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、ADCA等の有機発泡剤が用いられる。また、半導電性を付与する場合には、アセチレンブラックやカーボンブラック等を添加する。トナー供給ローラ2の硬度は、加硫剤の添加量により調整される。
トナー供給ローラ2の弾性層30のセル目(発泡により生じた微細な孔)の直径は、200〜500μmの範囲が好ましい。また、弾性層30のアスカーF硬度は、30〜70度の範囲が好ましく、ここでは50度とする。
また、トナー供給ローラ2の抵抗値は、図5の測定方法において荷重W=200g、印加電圧−100Vとしたとき、4.0〜8.0(LogΩ)の範囲が好ましく、ここでは5.0(LogΩ)とする。
また、トナー供給ローラ2は、現像ローラ1に対して、食い込み量が0.5mmとなるように接触している。なお、2つのローラの食い込み量とは、両ローラの半径の合計から、両ローラの中心間距離を引いた値である。
トナー供給ローラ2は、上記の通り、現像ローラ1との対向部(ニップ部)において、両ローラの表面が互いに同じ方向に移動するように回転するが、対向部での現像ローラ1の表面の移動速度に対して、トナー供給ローラ2の表面の移動速度(線速度)は1.4倍とする。
図7は、トナー回収ローラ5の断面構造を示す図である。図7に示すように、トナー回収ローラ5は、導電性のシャフト(芯金)31の表面に弾性層(発泡弾性層)32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成を有している。ここでは、トナー回収ローラ5の外径を12mmとし、弾性層32の厚さを2.8mmとする。
弾性層32は、現像ローラ1またはスクレーパ6との接触部におけるトナーへの負荷を低減するため、低硬度化であることが必要である。そのため、弾性層32には、ソリッドのゴム弾性体よりも、シリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、NBR/ECO(すなわち、ニトリルブタジエンゴムと、エピクロルヒドリンゴムとの混合物)等を発泡させたスポンジ状の弾性体を用いることが好ましい。ここでは、弾性層32として、ウレタンを発泡させたスポンジを用いる。
樹脂層33に求められる特性として、表面の平滑性、摩擦係数の低さ、離型性の良さがある。弾性層32はスポンジ状の弾性体(発泡弾性層)であるため、コーティングによって樹脂層33を弾性層32の表面に形成することは製造上難しい。
そのため、樹脂層33は、チューブを弾性層32の表面を覆うように設けることが好ましい。さらに、上記の特性(表面の平滑性、摩擦係数の低さ、離型性)を考慮して、ゴムチューブより、樹脂チューブが好ましい。このように樹脂層33に樹脂チューブを用いる場合、弾性層32をスポンジ状の弾性体で構成した方が、(ソリッドの弾性体で構成した場合よりも)製造時に樹脂チューブを嵌合し易いという利点がある。
樹脂チューブの材質は、特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマ等の樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド12等のポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等のフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびポリカーボネートなどが挙げられる。エラストマとしては、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマ等が挙げられる。
ここでは、樹脂層33を、導電剤としてカーボンブラックを添加したポリアミド12からなる樹脂チューブで構成し、樹脂層33の厚さ(樹脂チューブの厚さ)を200μmとする。
トナー回収ローラ5の抵抗値は、図5の測定方法において荷重W=200g、印加電圧−100Vとしたとき、3.0〜7.0(LogΩ)の範囲が好ましく、ここでは6.0(LogΩ)とする。
図8は、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との接触幅Nを説明するための模式図である。なお、2つのローラの接触幅(ニップ幅)Nとは、両ローラの接触部の接線方向における長さを言う。
トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナーの回収能力を考慮すると、接触幅Nは1mm以上であることが好ましい。また、接触部においてトナーに与える負荷を考慮すると、接触幅Nは5mm以下であることが好ましい。ここでは、接触幅Nは、3.8mmとする。
トナー回収ローラ5は、上述したように、現像ローラ1との対向部(ニップ部)において、両ローラの表面が同じ方向に移動するように回転する。対向部における現像ローラ1に対するトナー回収ローラ5の線速度の比は、0.9〜1.1の範囲が好ましく、ここでは、ほぼ1とする。
図9は、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触状態を説明するための図である。スクレーパ6は、厚さ(t)が2mmのウレタンからなる弾性体であり、JIS−A硬度が70度、100%モジュラスが40kgf/cm2、300%モジュラスが220kgf/cm2、反発弾性が33%、引張弾性率が62kgf/cm2のものを使用する。
なお、100%モジュラスおよび300%モジュラスは、JIS−K7312に準じて、ダンベル型試験片(JIS3号形)を用いて引張試験を実施し、測定した。反発弾性は、JIS−K7312に準じて、23℃の温度にて測定した。引張弾性率は、ダンベル型試験片(JIS1号形)を用い、標線間距離40mmとして引張試験を実施し、この標線間が5%伸長したときの荷重を読み取り、計算により引張弾性率を求めた。
また、図9に示すように、スクレーパ6は、トナー回収ローラ5の回転方向に対して、トレーリング方向に接触(当接)している。ここで、「トレーリング方向に接触する」とは、トナー回収ローラ5の回転方向に沿った方向に接触することを言う。
ここでは、トナー回収ローラ5の軸方向に直交する断面において、スクレーパ6の長さは10mmとする。トナー回収ローラ5の長さ方向(母線方向)において、スクレーパホルダ6hからトナー回収ローラ5に向けて突出した変形可能部分の長さ(自由長)Fを4mmとする。また、スクレーパ6のスクレーパホルダ6hに固定された部分の長さAを6mmとする。
スクレーパ6とトナー回収ローラ5との接触部におけるトナー回収ローラ5の外周の接線をL1としたとき、接線L1とスクレーパ6の母線方向とのなす角度θを、57度とする。また、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ6の食い込み量をD1とする。
なお、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ6の食い込み量D1は、両者が弾性変形しないと仮定したときの重なり量であり、図面上で算出することができる。
<画像形成装置の動作>
次に、図1〜図3を参照して、本実施の形態の画像形成装置200の動作について説明する。
次に、図1〜図3を参照して、本実施の形態の画像形成装置200の動作について説明する。
パーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷命令が入力されると、画像形成装置200の印刷制御部20は、駆動制御部17aを制御して駆動モータ17を駆動し、現像装置100の感光体ドラム3を、図1に示す矢印方向に一定の周速度で回転させる。また、駆動モータ17からの回転伝達により、現像ローラ1、トナー供給ローラ2およびトナー回収ローラ5および攪拌部材12a,12b,12cが、図1にそれぞれ矢印で示す方向に回転する。
帯電ローラ4は、帯電ローラ用電源4aから帯電電圧(直流)が印加され、感光体ドラム3の表面に圧接された状態で従動回転する。これにより、感光体ドラム3の表面が均一に帯電する。
さらに、ヘッド駆動制御部14aの制御により、LEDヘッド14(図2)がイメージデータに基づいて光を出射し、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。
感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像は、現像装置100によりトナーで現像され、感光体ドラム3の表面にトナー像(現像剤像)が形成される。
一方、図2において、画像形成装置200の媒体収容部202から、搬送ローラ19a,19cにより媒体18が一枚ずつ搬送され、現像装置100の感光体ドラム3と転写ローラ13との間の転写部に到達する。
転写ローラ13は、転写ローラ用電源13aにより転写電圧が印加されており、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像が媒体18に転写される。
トナー像が転写された媒体18は、定着器15に搬送される。定着器15では、媒体18に熱および圧力が加えられ、トナー10が溶融して媒体18の繊維間に浸透し、定着される。トナー像が定着した媒体18は、搬送ローラ19eによって画像形成装置200の外部に送出され、スタッカ部19fに積載される。
また、トナー像が転写された後の感光体ドラム3の表面には、若干量のトナー10が残留する場合がある。この残留トナー10は、クリーニングブレード8によって書き取られ、除去される。このようにして感光体ドラム3は繰り返し利用される。
<現像装置の動作>
次に、図1および図2を参照して、現像装置100の動作を詳細に説明する。現像装置100のケーシング9内には、トナー収容部11から供給されたトナー10が堆積している。感光体ドラム3が回転すると、上述したように、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ローラ5および攪拌部材12a,12b,12cが、それぞれ図1に示す矢印方向に回転する。
次に、図1および図2を参照して、現像装置100の動作を詳細に説明する。現像装置100のケーシング9内には、トナー収容部11から供給されたトナー10が堆積している。感光体ドラム3が回転すると、上述したように、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ローラ5および攪拌部材12a,12b,12cが、それぞれ図1に示す矢印方向に回転する。
このとき、スポンジ状の弾性層30(図6)を有するトナー供給ローラ2は、ローラ表面およびセル目内にトナーを担持しながら回転し、トナーを現像ローラ1との接触部に搬送する。トナー供給ローラ2には、トナー供給ローラ用電源2aにより、−500Vの直流電圧が印加されている。
また、現像ローラ1には、現像ローラ用電源1aに−より、−200Vの直流電圧が印加されている。現像ローラ1とトナー供給ローラ2との電位差により、負に帯電したトナー10はトナー供給ローラ2から現像ローラ1に移動し、現像ローラ1の表面に付着する。
現像ローラ1の表面に付着したトナー10は、現像ブレード用電源7aにより−500Vの直流電圧が印加された現像ブレード7によって薄層化された後、感光体ドラム3との接触部に到達する。そして、現像ローラ1と感光体ドラム3の表面(静電潜像)との電位差により、感光体ドラム3の表面に付着し、これにより静電潜像が現像される。
一方、静電潜像の現像に使用されず現像ローラ1の表面に残留したトナー10は、現像ローラ1の回転に従って、トナー回収領域である現像ローラ1とトナー回収ローラ5との接触部に到達する。トナー回収ローラ5は、シャフト31が接地されており、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との電位差により、現像ローラ1上のトナーはトナー回収ローラ5に移動して回収される。
トナー回収ローラ5の表面に保持されたトナー10は、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触部において、スクレーパ6によってトナー回収ローラ5の表面から掻き落とされる。トナー回収ローラ5の表面から掻き落とされたトナー10は、再びケーシング9内のトナー10として再利用される。
<印刷試験方法>
次に、本実施の形態の作用効果を確認するための印刷試験について説明する。これまでに説明した条件のもと、温度25℃、相対湿度50%の環境で、白紙50,000枚の連続印刷試験を行った。
次に、本実施の形態の作用効果を確認するための印刷試験について説明する。これまでに説明した条件のもと、温度25℃、相対湿度50%の環境で、白紙50,000枚の連続印刷試験を行った。
白紙の連続印刷を行ったのは、トナー消費がほぼ無い状態(現像ローラ1から感光体ドラム3へのトナーの移動がない状態)を維持することで、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との間に残留トナーを介在させ続けるためである。
これにより、トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナーの回収状態と、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5の表面でのトナーフィルミングの有無を確認することができる。なお、トナーフィルミングとは、ローラ表面に担持されたトナーが、圧力や熱の影響により溶融してローラ表面に固着する現象をいう。
トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナーの回収状態を確認するため、5,000枚の白紙を連続印刷したのち、図10に示すパターン300を印刷した。このパターン300は、黒色のベタ画像の上部に白抜きの文字パターン「A」(符号38で示す)を形成したものである。トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナー回収が不十分である場合には、現像ローラ1上のトナー層が厚くなり、現像ローラ1周分に相当する位置に、周囲より濃度が濃い文字「A」(符号39で示す)が残像として現れる。
このパターン300内の、残像が発生しない部分(べタ黒部分)である測定点36と、残像が発生し得る部分である濃度測定点37の印刷濃度を測定し、その濃度差に基づいて、残像の有無を判断した。印刷濃度の測定には、X−Rite社製の濃度計「X−Rite528」を用いた。濃度測定点36,37の濃度差が0.05以下の場合には、残像が目視では殆ど視認されないことから、「トナーの回収が十分である」と判断した。一方、濃度測定点36,37の濃度差が0.05より大きい場合には、目視で残像が視認されるため、「トナーの回収が不十分である」と判断した。
また、確認パターン300の印刷は、白紙50,000枚の連続印刷中、5,000枚ごとに行い、50,000枚に到達する前に濃度測定点36,37の濃度差が0.05より大きくなった場合は、その時点で連続印刷を終了した。なお、図10では、図示の便宜上、パターン300のベタ黒部分を、点々のハッチングで示している。
現像ローラ1およびトナー回収ローラ5の表面のトナーフィルミングの有無は、連続印刷試験終了後、ローラが担持するトナーを乾拭きで除去して、キーエンス株式会社製「レーザー顕微鏡VK8500」により、ローラ表面を1000倍の倍率で観察して確認した。トナーフィルミングが発生している場合には、ローラ表面に、トナー顔料と同色で、トナー粒径より大きい残留物を確認することができる。
<実施例1,2,3および比較例1,2>
次に、実施例1,2,3および比較例1,2について説明する。なお、比較例は、本実施の形態に属するものではないが、説明の便宜上、本実施の形態と同様の符号を用いて説明する。
次に、実施例1,2,3および比較例1,2について説明する。なお、比較例は、本実施の形態に属するものではないが、説明の便宜上、本実施の形態と同様の符号を用いて説明する。
まず、実施例1,2,3および比較例1,2として、樹脂層33の表面粗さの異なるトナー回収ローラ5を作成した。
実施例1では、トナー回収ローラ5の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzを0.5μmとした。実施例2では、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを1.0μmとした。実施例3では、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.0μmとした。
比較例1では、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.5μmとした。比較例2では、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを3.0μmとした。
そして、実施例1〜3および比較例1,2のいずれも、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を45度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を1.5mmとした。
これら実施例1〜3および比較例1,2のトナー回収ローラ5を取り付けた現像装置100を画像形成装置200に搭載し、上述した白紙の連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を印刷した。そして、残像の有無、すなわち濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図11に示す。
図11に示したように、トナー回収ローラ5の表面粗さRzが2.5μmである比較例1では、5,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した(すなわち、上述した濃度測定点36,37の濃度差が0.05を超えた)。また、表面粗さRzが3.0μmである比較例2では、15,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例1,2のトナー回収ローラ5の表面を上記の方法で観察すると、いずれもトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗いと、表面の凹凸の谷(凹)の部分に入り込んだトナーがスクレーパ6によって掻き落とされにくくなるため、その掻き落とされなかったトナーが、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との間の圧力や熱によって溶融し、トナーフィルミングを生じたと考えられる。
トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生すると、トナー回収ローラ5の表面に絶縁層が形成された状態となるため、トナー回収ローラ5の抵抗値が上昇し、現像ローラ1からトナー回収ローラ5に流れる電流量が小さくなる。その結果、トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナー回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
一方、トナー回収ローラ5の表面粗さRzが2.0μm以下である実施例1,2,3では、50,000枚の連続印刷後も、濃度測定点36,37の濃度差が0.05未満であり、目視で確認できるような残像は発生しなかった。つまり、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。
また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5の表面を観察したところ、いずれの表面にもトナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果から、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.0μm以下にすることにより、トナーフィルミングの発生を抑制し、残像の発生を抑制できることが分かる。
<実施例4,5,6および比較例3,4>
次に、実施例4,5,6および比較例3,4として、ゴム硬度の異なるトナー回収ローラ5を作成した。
次に、実施例4,5,6および比較例3,4として、ゴム硬度の異なるトナー回収ローラ5を作成した。
実施例4では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とした。実施例5では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を45度とした。実施例6では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とした。
また、比較例3では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を25度とし、比較例4では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を65度とした。
そして、実施例4,5,6および比較例3,4のいずれも、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.0μmとし、スクレーパ6の食い込み量D1を1.5mmとした。
これら実施例4,5,6および比較例3,4のトナー回収ローラ5を用いて実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図12に示す。
図12に示したように、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が25度である比較例3では、5,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。また、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が65度である比較例4では、15,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例3,4のトナー回収ローラ5の表面を観察すると、比較例4のトナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、比較例3では、トナー回収ローラ5の硬度が低いため、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との間に、残留トナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
また、比較例4では、トナー回収ローラ5の硬度が高いため、トナー回収ローラ5と現像ローラ1との接触圧が高くなり、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が30〜60度の範囲内である実施例4,5,6では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果より、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30〜60度にすることで、トナーフィルミングの発生を抑制すると共に、トナーの回収能力を維持し、残像のない良好な印刷を行うことができることが分かる。
<実施例7,8,9および比較例5,6>
次に、実施例7,8,9および比較例5,6として、スクレーパ6の食い込み量D1を異ならせて印刷試験を行った。
次に、実施例7,8,9および比較例5,6として、スクレーパ6の食い込み量D1を異ならせて印刷試験を行った。
実施例7では、スクレーパ6の食い込み量D1を0.3mmとし、実施例8では、スクレーパ6の食い込み量D1を1.0mmとした。実施例9では、スクレーパ6の食い込み量D1を1.5mmとした。
比較例5では、スクレーパ6の食い込み量D1を0.2mmとし、比較例6では、スクレーパ6の食い込み量D1を1.6mmとした。
そして、実施例7,8,9および比較例5,6のいずれも、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.0μmとし、アスカーC硬度を45度とした。
これら実施例7,8,9および比較例5,6のスクレーパ6の設定により、実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図13に示す。
図13に示すように、スクレーパ6の食い込み量D1が0.2mmである比較例5では、5,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。また、スクレーパ6の食い込み量D1が1.6mmである比較例6では、20,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例5,6のトナー回収ローラ5の表面を観察すると、比較例6のトナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、比較例5は、スクレーパ6の食い込み量D1が小さいため、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との間に、残留トナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
また、比較例6では、スクレーパ6の食い込み量D1が大きいため、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触圧が高くなり、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、スクレーパ6の食い込み量が0.3mm〜1.5mmの範囲内である実施例7,8,9では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しかなった。すなわち、現像ローラ1の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果から、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ6の食い込み量D1を0.3〜1.5mmの範囲にすることで、トナーフィルミングの発生を抑制すると共に、トナーの回収能力を維持し、残像の発生を抑制できることが分かる。
<実施例10,11,12,13および比較例7,8>
これまでの結果から、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗く、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触圧が低いと、スクレーパ6によるトナーの掻き落としが不十分となり(これにより現像ローラ1からのトナーの回収能力が低下し)、逆にトナー回収ローラ5とスクレーパ6の間の接触圧が高いと、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生する傾向があることが分かる。
これまでの結果から、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗く、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触圧が低いと、スクレーパ6によるトナーの掻き落としが不十分となり(これにより現像ローラ1からのトナーの回収能力が低下し)、逆にトナー回収ローラ5とスクレーパ6の間の接触圧が高いと、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生する傾向があることが分かる。
そこで、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度と60度の2通りとし、さらにスクレーパ6の食い込み量D1を異ならせて印刷試験を行った。
実施例10では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を0.3mmとした。実施例11では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を1.5mmとした。実施例12では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を0.3mmとした。実施例13では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を1.5mmとした。
比較例7では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を0.2mmとした。比較例8では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ6の食い込み量D1を1.6mmとした。
そして、実施例10,11,12,13および比較例7,8のいずれも、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2.0μmとした。
これら実施例10,11,12,13および比較例7,8のトナー回収ローラ5とスクレーパ6の設定を用いて、実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図14に示す。
図14に示したように、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が30度で、且つスクレーパ6の食い込み量D1が0.2mmである比較例7では、初期状態から目視で確認できる残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。また、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が60度で、且つスクレーパ6の食い込み量D1が1.6mmである比較例8では、10,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例7,8のトナー回収ローラ5の表面を観察すると、比較例8のトナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、比較例7では、トナー回収ローラ5の硬度が低く、且つスクレーパ6の食い込み量が小さいため、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との間に、トナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
また、比較例8では、トナー回収ローラ5の硬度が高く、且つスクレーパ6の食い込み量が大きいため、トナー回収ローラ5とスクレーパ6との接触圧が高くなる。そのため、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、実施例10〜13では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果から、トナー回収ローラ5を、シャフト31にスポンジ状の弾性層32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成とし、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2μm以下、アスカーC硬度を30〜60度、スクレーパ6の食い込み量D1を0.3〜1.5mmとすることにより、トナーフィルミングの発生を抑制して、トナーの回収能力を維持し、残像のない良好な印刷を行うことができることが分かる。
<トナー回収ローラへの電圧印加>
上記の説明した実施例1〜13および比較例1〜8では、トナー回収ローラ5には電圧を印加せず、トナー回収ローラ5のシャフト31を接地していた。
上記の説明した実施例1〜13および比較例1〜8では、トナー回収ローラ5には電圧を印加せず、トナー回収ローラ5のシャフト31を接地していた。
ここでは、トナー回収ローラ5に、図示しないトナー回収ローラ用電源から電圧を印加した状態で印刷試験を行った。トナー回収ローラ5への印加電圧は、−100V、GND(0V:接地)、+100V、+200Vとした。現像ローラ1への印加電圧は、これまでの印刷試験と同様、−200Vとした。
印刷試験では、初期状態(白紙の連続印刷を行う前)において、図10のパターン300を印刷し、濃度測定点36,37の濃度差を測定し、目視し得る残像の有無を判断した。このときのトナー供給ローラ5の表面粗さRzは2μm、アスカーC硬度は45度、スクレーパ6の食い込み量D1は1.5mmとした。
図15に示すように、トナー回収ローラ5を接地したときに、残像の発生が最も抑制され、現像ローラ1(−200V)とトナー回収ローラ5の電位差が大きくなると、残像が発生しやすくなることが分かった。特に、トナー回収ローラ5に正の電圧を印加したとき、その電圧値が高いほど、残像の発生が顕著になった。
原因を調べるため、図16に模式的に示すように、現像ローラ1上のトナー層の帯電量を測定した。トナー帯電量の測定位置は、図16に示すP1,P2,P3である。測定位置P1は、現像ローラ1と現像ブレード7との接触部から、現像ローラ1と感光体ドラム3との接触部までの間にある。測定位置P2は、現像ローラ1と感光体ドラム3との接触部から、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との接触部までの間にある。測定位置P3は、現像ローラ1とトナー回収ローラ5との接触部から、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との接触部までの間にある。
また、トナー帯電量の測定には、吸引式帯電量測定装置(TREK社製「MODEL 210HS−2A」)を使用した。図17に、各測定位置P1,P2,P3での現像ローラ1上のトナー層の帯電量(μC/g)の測定結果を示す。
測定位置P1でのトナー帯電量は、トナー回収ローラ5への印加電圧によらず、約−20μC/g(−19.2〜−20.1μC/g)であった。また、測定位置P2でのトナー帯電量は、トナー回収ローラ5への印加電圧によらず、約−18μC/g(−17.4〜−17.6μC/g)であった。
これに対し、測定位置P3でのトナー帯電量は、トナー回収ローラ5への印加電圧が−100Vのときには−3.5μC/gであり、0V(接地)のときには0μC/gであり、+100Vのときには+4.4μC/g、+200Vのときには+15.8μC/gであった。
この結果から、トナー回収ローラ5に正の電圧を印加すると、もともと負に帯電していた現像ローラ1上のトナーが、トナー回収ローラ5との接触により正に帯電し、その結果、現像ローラ1とトナー回収ローラ5の間の電位差によりトナー回収ローラ5側に移動するトナー量が減少し、現像ローラ1からのトナーの回収能力が低下したと考えられる。
なお、測定位置P3でのトナー帯電量が、トナー回収ローラ5を接地した場合に0μC/gとなったのは、現像ローラ1上のトナーが回収ローラ5にほぼ全て回収されたため、測定位置P3にはトナーが殆ど存在しなかったためと考えられる。
以上の結果から、トナー回収ローラ5は、電圧は印加せず、シャフト31を接地することが好ましいことが分かる。
なお、上述した各実施例では、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ6の接触角度θ(図9)を57度としたが、接触角度θが30〜70度の範囲であれば、同様の効果が得られた。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、トナー回収ローラ5が、シャフト31の表面にスポンジ状の弾性層(発泡弾性層)32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成を有しているため、トナー回収ローラ5により現像ローラ1から効率よくトナーを回収し、残像の発生を抑制することができる。
また、スクレーパ6をトナー回収ローラ5の回転方向に対してトレーリング方向に接触させたことにより、スクレーパ6によるトナー回収ローラ5からのトナーの掻き落としを十分に行うことができる。
また、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを2μm以下とし、アスカーC硬度を30〜60度とし、スクレーパ6のトナー回収ローラ5に対する食い込み量を0.3〜1.5mmとすることにより、長期間に亘って、トナーフィルミングの発生を抑制すると共に、トナー回収能力を維持し、残像のない良好な印刷を行うことができる。
なお、本実施の形態では、トナー回収ローラ5を、シャフト31の表面にスポンジ状の弾性層32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成としたが、弾性層32をソリッドの(スポンジ状でない)ゴム弾性体で構成することもできる。
この場合、ソリッドのゴム弾性体はスポンジ状の弾性体と比べて反発弾性が高いため、スクレーパ6の振動が生じやすく、ジッタが発生しやすくという短所はあるが、シャフト31を接地することで、現像ローラ1上のトナー回収を有る程度効率的に行うことができ、残像の発生を低減することができる。
第2の実施の形態.
図18は、第2の実施の形態の現像装置400の構成を示す断面図である。第2の実施の形態の現像装置400が、第1の実施の形態の現像装置100と異なる点は、スクレーパ60が、トナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触(当接)している点である。それに伴って、スクレーパ60を保持するスクレーパホルダ60hの形状も異なっている。
図18は、第2の実施の形態の現像装置400の構成を示す断面図である。第2の実施の形態の現像装置400が、第1の実施の形態の現像装置100と異なる点は、スクレーパ60が、トナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触(当接)している点である。それに伴って、スクレーパ60を保持するスクレーパホルダ60hの形状も異なっている。
なお、「カウンタ方向に接触する」とは、トナー回収ローラ5の回転方向に対して抗する方向に接触することを言う。
図19は、トナー回収ローラ5とスクレーパ60との接触状態を示す模式図である。ここでは、第1の実施の形態と同様、スクレーパ60の厚さtを2mmとし、自由長Fを4mm、固定長Aを6mmとする。また、スクレーパ60とトナー回収ローラ5との接触部におけるトナー回収ローラ5の外周の接線をL2としたとき、接線L2とスクレーパ60の母線方向とがなす角度θを20度とする。トナー回収ローラ5に対するスクレーパ60の食い込み量D2については、後述する。
スクレーパホルダ60hは、ケーシング9の底面に固定され、スクレーパ60を一定の角度で保持している。また、スクレーパ60は、スクレーパホルダ60hに接着により固定されている。
<実施例14,15,16,17および比較例9,10>
まず、実施例14,15,16,17および比較例9,10として、樹脂層33の表面粗さの異なるトナー回収ローラ5を作成した。
まず、実施例14,15,16,17および比較例9,10として、樹脂層33の表面粗さの異なるトナー回収ローラ5を作成した。
実施例14では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を1.0μmとした。実施例15では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を2.0μmとした。実施例16では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を3.0μmとした。実施例17では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を4.0μmとした。
比較例9では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を4.5μmとした。比較例10では、トナー回収ローラ5の表面粗さR1を5.0μmとした。
そして、実施例14,15,16,17および比較例9,10のいずれも、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を45度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を1.5mmとした。また、第1の実施の形態と同様、トナー回収ローラ5のシャフト31は接地した。
これら実施例14,15,16,17および比較例9,10のトナー回収ローラ5を用いて、実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図20に示す。
図20に示したように、トナー回収ローラ5の表面粗さRzが4.0μmより大きい比較例9,10では、10,000枚の連続印刷が完了した時点で、残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。
また、印刷試験後の比較例9,10のトナー回収ローラ5の表面を上記の方法で観察すると、いずれもトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗いと、表面の凹凸の谷(凹)の部分に入り込んだトナーがスクレーパ6によって掻き落とされにくくなるため、その掻き落とされなかったトナーが、トナー回収ローラ5とスクレーパ60との間の圧力や熱により溶融し、トナーフィルミングを生じたと考えられる。
トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生すると、トナー回収ローラ5の表面に絶縁層が形成された状態となるため、トナー回収ローラ5の抵抗値が上昇し、現像ローラ1からトナー回収ローラ5に流れる電流量が小さくなる。その結果、トナー回収ローラ5による現像ローラ1からのトナー回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
一方、トナー回収ローラ5の表面粗さRzが4.0μm以下である実施例14〜17では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
この第2の実施の形態では、スクレーパ60を、トナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触させているため、スクレーパ60のエッジをトナー回収ローラ5の表面に接触させることができる。そのため、第1の実施の形態と比較してトナー回収ローラ5の表面粗さRzが大きい場合でも、効果的にトナーを掻き落とすことができ、残像の発生を抑制することができた。
以上の結果から、スクレーパ60をトナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触させた場合には、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4.0μm以下にすることにより、トナーフィルミングの発生を抑制し、残像の発生を抑制できることが分かる。
<実施例18,19,20および比較例11,12>
次に、実施例18,19,20および比較例11,12として、ゴム硬度の異なるトナー回収ローラ5を作成した。
次に、実施例18,19,20および比較例11,12として、ゴム硬度の異なるトナー回収ローラ5を作成した。
実施例18では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とした。実施例19では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を45度とした。実施例20では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とした。
比較例11では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を25度とした。比較例12では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を65度とした。
そして、実施例18,19,20および比較例11,12について、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4.0μmとし、スクレーパ60の食い込み量D2を1.5mmとした。
これら実施例18,19,20および比較例11,12のトナー回収ローラ5を用いて実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図21に示す。
図21に示したように、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が25度である比較例11では、5,000枚の連続印刷が完了した時点で、残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。アスカーC硬度が65度である比較例12では、20,000枚の連続印刷が完了した時点で、残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例11,12のトナー回収ローラ5を観察すると、比較例12のトナー回収ローラ5の表面に、トナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、比較例11では、トナー回収ローラ5の硬度が低いため、トナー回収ローラ5とスクレーパ60との間に、トナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
また、比較例12では、トナー回収ローラ5の硬度が高いため、トナー回収ローラ5と現像ローラ1との接触圧が高くなり、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が30〜60度の範囲内である実施例18,19,20では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果より、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30〜60度にすることで、トナーフィルミングの発生を抑制すると共に、トナーの回収能力を維持し、残像の発生を抑制できることが分かる。
<実施例21,22,23および比較例13,14>
次に、実施例21,22,23および比較例13,14として、スクレーパ6の食い込み量D1を異ならせて印刷試験を行った。
次に、実施例21,22,23および比較例13,14として、スクレーパ6の食い込み量D1を異ならせて印刷試験を行った。
実施例21では、スクレーパ60の食い込み量D2を0.2mmとした。実施例22では、スクレーパ60の食い込み量D2を1.0mmとした。実施例23では、スクレーパ60の食い込み量D2を1.5mmとした。
比較例13では、スクレーパ60の食い込み量D2を0.1mmとした。比較例14では、スクレーパ60の食い込み量D2を1.6mmとした。
そして、実施例21,22,23および比較例13,14のいずれも、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4.0μmとし、アスカーC硬度を45度とした。
これら実施例21,22,23および比較例13,14のスクレーパ6の設定により、実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図22に示す。
図22に示すように、スクレーパ60の食い込み量D2が0.1mmである比較例13では、5,000枚の連続印刷が完了した時点で残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。スクレーパ60食い込み量D2が1.6mmである比較例14では、15,000枚の連続印刷が完了した時点で残像が発生した。
また、比較例13,14のトナー回収ローラ5の表面を観察すると、比較例14のトナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。すなわち、比較例13では、スクレーパ60の食い込み量が小さいため、スクレーパ60とトナー回収ローラ5との間にトナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
また、比較例14では、スクレーパ60の食い込み量が大きいため、スクレーパ60とトナー回収ローラ5との間の接触圧が高くなり、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、スクレーパ60の食い込み量が0.2〜1.5mmの範囲内である実施例21,22,23では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果より、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ60の食い込み量を0.2〜1.5mmにすることで、トナーフィルミングの発生を抑制すると共に、トナーの回収能力を維持し、残像の発生を抑制できることが分かる。
<実施例24,25,26,27および比較例15,16>
これまでの結果から、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗く、トナー回収ローラ5とスクレーパ60の間の接触圧が低いと、スクレーパ60によるトナーの掻き落としが不十分となり、逆にトナー回収ローラ5とスクレーパ60の間の接触圧が高いと、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生する傾向があることが分かる。
これまでの結果から、トナー回収ローラ5の表面粗さが粗く、トナー回収ローラ5とスクレーパ60の間の接触圧が低いと、スクレーパ60によるトナーの掻き落としが不十分となり、逆にトナー回収ローラ5とスクレーパ60の間の接触圧が高いと、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生する傾向があることが分かる。
そこで、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度と60度の2通りとし、さらにスクレーパ60の食い込み量D2を異ならせて印刷試験を行った。
実施例24では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を0.2mmとした。実施例25では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を1.5mmとした。実施例26では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を0.2mmとした。実施例27では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を1.5mmとした。
比較例15では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を30度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を0.1mmとした。比較例16では、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度を60度とし、スクレーパ60の食い込み量D2を1.6mmとした。
そして、実施例24,25,26,27および比較例15,16のいずれも、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4.0μmとした。
これら実施例24,25,26,27および比較例15,16のトナー回収ローラ5とスクレーパ6の設定を用いて、実施例1〜3と同様に連続印刷を行い、5,000枚毎に図10のパターン300を形成し、濃度測定点36,37の濃度差を測定した。測定結果を図23に示す。
図23に示したように、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が30度で、且つスクレーパ60の食い込み量D2が0.2mmである比較例15では、初期状態から目視で確認できる残像が発生した(すなわち濃度差が0.05を超えた)。また、トナー回収ローラ5のアスカーC硬度が60度で、且つスクレーパ60の食い込み量D2が1.6mmである比較例16では、15,000枚の連続印刷が完了した時点で、目視で確認できる残像が発生した。
また、印刷試験後の比較例15,16のトナー回収ローラ5の表面を観察すると、比較例16のトナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングの発生が見られた。
この原因は、次のように考えられる。比較例15では、トナー回収ローラ5の硬度が低く、且つスクレーパ60の食い込み量が小さいため、スクレーパ60とトナー回収ローラ5との間に、トナーを掻き落とすために必要な圧力が加わらない。そのため、そのため、トナー回収ローラ5の表面のトナーが、スクレーパ60によって掻き落とされずに現像ローラ1との接触部に到達することとなり、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力が低下し、残像が発生したと考えられる。
比較例16では、トナー回収ローラ5の硬度が高く、且つスクレーパ60の食い込み量が大きいため、トナー回収ローラ5との間の接触圧が高くなり、その結果、トナー回収ローラ5の表面にトナーフィルミングが発生し、これが残像の原因となったと考えられる。
一方、実施例24,25,26,27では、50,000枚の連続印刷後も、目視で確認できるような残像は発生しなかった。すなわち、現像ローラ1上の残留トナーが十分に回収されていることが分かった。また、現像ローラ1およびトナー回収ローラ5のいずれの表面にも、トナーフィルミングの発生は見られなかった。
以上の結果から、トナー回収ローラ5を、シャフト31の表面にスポンジ状の弾性層32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成とし、スクレーパ60をトナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触させると共に、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4μm以下、アスカーC硬度を30〜60度、スクレーパ60のトナー回収ローラ5に対する食い込み量を0.2〜1.5mmとすることにより、長期間に亘って残像のない良好な印刷を行うことができることが分かる。
なお、本実施の形態では、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ60の接触角度θを20度(図18)としたが、接触角度θが15〜50度の範囲であれば、同様の効果が得られた。
以上のように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、トナー回収ローラ5が、シャフト31の表面にスポンジ状の弾性層32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成を有しているため、現像ローラ1の残留トナーを十分に回収し、残像の発生を抑制することができる。
また、トナー回収ローラ5が担持するトナーを掻き落とすスクレーパ60を、トナー回収ローラ5の回転方向に対してカウンタ方向に接触させたことにより、スクレーパ60によるトナー回収ローラ5のトナーの掻き落としをより効果的に行うことができる。
また、トナー回収ローラ5の表面粗さRzを4μm以下、アスカーC硬度を30〜60度、トナー回収ローラ5に対するスクレーパ60の食い込み量を0.2〜1.5mmにすることにより、長期間に亘って、トナー回収ローラ5による現像ローラ1上のトナーの回収能力を維持し、残像のない良好な印刷を行うことができる。
なお、本実施の形態では、トナー回収ローラ5が、シャフト31の表面にスポンジ状の弾性層32を設け、その表面を樹脂層33で覆った構成としたが、弾性層32をソリッドのゴム弾性体で構成することもできる。
この場合、ソリッドのゴム弾性体はスポンジ状の弾性体に比べて反発弾性が高いため、スクレーパ60の振動が生じやすく、ジッタが発生しやすいという短所はあるが、シャフト31を接地することで、現像ローラ1上のトナー回収を有る程度効率的に行うことができ、残像の発生を低減することができる。
上述した各実施の形態では、単一の現像装置を備えたモノクロプリンタとして画像形成装置を説明したが、本発明は、複数の現像装置を備えたカラー画像形成装置にも適用することができる。また、本発明は、MFP(Multi Function Peripheral)、ファックス、複写機等にも利用することができる。
1 現像ローラ(現像剤担持体)、 2 トナー供給ローラ(現像剤供給部材)、 3 感光体ドラム(潜像担持体)、 4 帯電ローラ(帯電部材)、 5 トナー回収ローラ(回収部材)、 6,60 スクレーパ(清掃部材)、 6h,60h スクレーパホルダ(保持部材)、 7 現像ブレード(層規制部材)、 8 クリーニングブレード(クリーニング部材)、 9 ケーシング(筺体)、 10 トナー(現像剤)、 11 トナー収容部(現像剤収容部)、 14 LEDヘッド(露光装置)、 15 定着器(定着装置)、 18 媒体、 20 印刷制御部(制御手段)、 26 シャフト、 27 弾性層、 28 表面層、 29 シャフト、 30 弾性層、 31 シャフト、 32 発泡弾性層、 33 樹脂層、 100,400 現像装置、 200 画像形成装置。
Claims (18)
- 静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、
前記静電潜像担持体に供給されず前記現像剤担持体上に残留した現像剤を、前記現像剤担持体から回収する回収部材と
を備え、
前記回収部材は、導電性のシャフトの表面に発泡弾性層を有し、前記発泡弾性層の表面にさらに樹脂層を有すること
を特徴とする現像装置。 - 前記回収部材の樹脂層が、樹脂チューブであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 前記回収部材の表面から現像剤を掻き落とす清掃部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
- 前記清掃部材が、前記回収部材の回転方向に対してトレーリング方向に当接していることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
- 前記回収部材の表面の十点平均粗さRzが、2μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
- 前記回収部材のアスカーC硬度が、30度以上、60度以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の現像装置。
- 前記回収部材に対する前記清掃部材の食い込み量が、0.3mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項4から6までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記清掃部材が、前記回収部材の回転方向に対してカウンタ方向に当接していることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
- 前記回収部材の表面の十点平均粗さRzが、4μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
- 前記回収部材のアスカーC硬度が、30度以上、60度以下であることを特徴とする請求項7または請求項8または9に記載の現像装置。
- 前記回収部材に対する前記清掃部材の食い込み量が、0.2mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項8から10までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記回収部材および前記現像剤担持体は、その対向部において表面が同方向に移動するように回転することを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記回収部材のシャフトが接地されていることを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記回収部材の樹脂層が、ポリアミド12を主成分とする樹脂チューブであることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の表面に付着する現像剤の量を規制して薄層化する層規制部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から14までのいずれか1項に記載の現像装置。
- 静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、
前記静電潜像担持体に供給されず前記現像剤担持体上に残留した現像剤を、前記現像剤担持体から回収する回収部材と
を備え、
前記回収部材は、導電性のシャフトの表面に弾性層を有し、前記シャフトが接地されていること
を特徴とする現像装置。 - 現像装置を備えた画像形成装置であって、
前記現像装置が、
静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、
前記静電潜像担持体に供給されず前記現像剤担持体上に残留した現像剤を、前記現像剤担持体から回収する回収部材と
を備え、
前記回収部材は、導電性のシャフトの表面に発泡弾性層を有し、前記発泡弾性層の表面にさらに樹脂層を有すること
を特徴とする画像形成装置。 - 現像装置を備えた画像形成装置であって、
前記現像装置が、
静電潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、
前記静電潜像担持体に供給されず前記現像剤担持体上に残留した現像剤を、前記現像剤担持体から回収する回収部材と
を備え、
前記回収部材は、導電性のシャフトの表面に弾性層を有し、前記シャフトが接地されていること
を特徴とする画像形成装置。
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