以下、この発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1は、画像形成装置1の一例としてのカラープリンタを示す縦断面図である。なお、画像形成装置1は、上記したカラープリンタなどのプリンタに限らず、複写機や、ファクシミリ装置や、印刷機や、更には、これらの各機能を複合させた複合機などを含むことができる。
この図において、画像形成装置1は、画像形成部2と、給排紙部3とを備えている。
このうち、画像形成部2は、感光体ドラム4に形成された各可視像が、1次転写工程で転写装置5の中間転写体6に重畳転写され、2次転写工程で記録紙などの記録媒体S(記録紙または記録用紙、或いは、記録材または記録部材など)に一括転写されるように構成されている。
上記した感光体ドラム4は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色に色分解された各色にそれぞれ対応する画像をそれぞれ形成可能な像担持体であり、色数に合わせて4つが並設されるタンデム構造を備えている。なお、図面の都合上、イエロー(Y)の感光体ドラム4のみに符号を付しているが、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)についても同様である。
また、上記した中間転写体6は、各感光体ドラム4に対峙して、矢印で示す搬送方向7へ向けて移動可能な無端ベルト(以下、転写ベルト6という)とされている。
そして、上記した画像形成部2は、各感光体ドラム4の周囲に対し、感光体ドラム4の回転に従って画像形成処理を行うための各種装置を有している。いま、ブラック画像の形成を行う感光体ドラム4(K)を例に説明すると、感光体ドラム4(K)の周囲には、感光体ドラム4(K)の回転方向に沿って、画像形成処理を行うための、帯電装置8と、現像装置9と、1次転写ローラ10(イエロー(Y)の1次転写ローラ10参照)と、クリーニング装置11とが、順に配置されている。なお、帯電装置8による感光体ドラム4(K)への帯電後に感光体ドラム4(K)に対して行われる書き込みには、後述するような、光走査装置12(露光装置)が用いられる。
上記した転写ベルト6に対する重畳転写は、転写ベルト6が上記した搬送方向7へ移動する過程で、各感光体ドラム4(Y、C、M、K)にそれぞれ形成された各可視像が、転写ベルト6の同じ位置に重ねて転写されるように、搬送方向7の上流側から下流側へ向けてタイミングをずらせながら行われる。この重畳転写は、転写ベルト6を挟んで各感光体ドラム4と対向するように配設された各1次転写ローラ10による電圧印加によって行われる。
上記した各感光体ドラム4は、搬送方向7の上流側からこの順に並べられている。そして、各感光体ドラム4は、上記したイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色毎の画像をそれぞれ形成するための各画像ステーションを構成している。
そして、上記した画像形成装置1の画像形成部2は、更に、上記した4つの画像ステーションと、各画像ステーションを構成する各感光体ドラム4の上方に対向して配設された転写ベルトユニット13と、2次転写ローラ14と、クリーニング装置15と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての上記光走査装置12とを有している。
ここで、転写ベルトユニット13は、上記した転写ベルト6及び1次転写ローラ10を備えたものである。上記した転写ベルトユニット13は、上記した転写ベルト6及び1次転写ローラ10の他に、転写ベルト6が掛け回される駆動ローラ16および従動ローラ17を有している。
このうち、従動ローラ17は、転写ベルト6に対して張力を付与するための張力付与手段18を備えており、この張力付与手段18には、従動ローラ17を駆動ローラ16から離反する方向へ付勢させるためのバネなどの付勢手段が用いられている。
また、上記した2次転写ローラ14は、転写ベルト6に対向して配設されると共に、転写ベルト6に従動して連れ回りする転写部材である。
そして、上記したクリーニング装置15は、転写ベルト6に対向して配設されて、転写ベルト6をクリーニングする装置である。
このような転写ベルトユニット13と、1次転写ローラ10と、2次転写ローラ14と、クリーニング装置15とによって、上記した転写装置5が構成されている。
上記した光走査装置12は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラーおよび回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム4に対して色毎に対応した書込光19( 図では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションについても同様である)を出射して感光体ドラム4に静電潜像を形成するものである。
上記した転写装置5に装備されているクリーニング装置15は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト6に対向し、当接するように配設されたクリーニングブラシと、クリーニングブレードとを有している。そして、転写ベルト6上の残留トナー等の異物を、クリーニングブラシとクリーニングブレードとによって掻き取り、除去することで、転写ベルト6をクリーニングするように構成されている。クリーニング装置15はまた、転写ベルト6から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
そして、画像形成装置1の上記した給排紙部3には、用紙などの記録媒体S(図では位置のみ示している)を上下に積載した状態で収容するシート収容装置21と、このシート収容装置21に収容された記録媒体Sを1枚ずつ搬送する用紙搬送路22と、このシート収容装置21から用紙搬送路22に沿って搬送されてきた記録媒体Sを、上記した画像ステーションによるトナー像(画像)の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム4と転写ベルト6との間の画像ステーションへ向けて繰り出す一対のレジストローラ23と、記録媒体Sの先端が一対のレジストローラ23に到達したことを検知する不図示のセンサと、が設けられている。
上記したシート収容装置21は、画像形成装置1の装置本体24の下部に配設された給紙カセットであり、この給紙カセットには、収容された最上位の記録媒体Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ25が設けられ、この給送ローラ25が図中反時計回り方向に回転駆動されることによって、最上位の1枚の記録媒体Sを上記した一対のレジストローラ23へ向けて給送するようになっている。
更に、画像形成装置1の給排紙部3には、トナー像(画像)が転写された記録媒体Sにトナー像を定着させるための定着ユニットとしての定着装置26と、定着済みの記録媒体Sを画像形成装置1の装置本体24の外部へ排出するための排紙ローラ27と、装置本体24外部の上部に形成されて、排紙ローラ27によって装置本体24の外部へ排出された記録媒体Sを積載するための排紙トレイ28とが備えられている。
上記した定着装置26には、ベルト定着方式のものが用いられている。
また、画像形成装置1の内部には、排紙トレイ28の下側の部分に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル29がそれぞれ備えられている。
なお、図の画像形成装置1は、転写ベルト6に対して各感光体ドラム4で形成された画像を順次転写することで色画像が重畳されたものを、2次転写ローラ14によって記録媒体Sへ一括転写する方式のものとされているが、これに代えて、転写ベルト6に記録媒体Sを担持させ、この記録媒体Sを各感光体ドラム4に対峙させて各色の画像を直接記録媒体S上に重畳する方式のものとすることも可能である。
図2は、上記した定着装置26の構成を示す拡大側面図である。
この定着装置26は、定着ローラ31と、この定着ローラ31に対向する加圧体としての加圧ローラ32と、内部に熱源Hを有する加熱ローラ33と、この加熱ローラ33と定着ローラ31との間に掛け回された移動体としての定着ベルト35などの定着部材(または定着体)と、を有している。
更に、この定着装置26は、定着ベルト35に張力を付与するテンションローラ36と、上記した定着ローラ31(または定着ベルト35)と加圧ローラ32とのニップ部(または噛込部)における、記録媒体Sの搬送方向の下流側に設けられた分離爪37と、加熱ローラ33上の定着ベルト35の温度を検知する不図示の温度センサと、を有している。
ここで、上記した定着ローラ31は、金属製の芯金の表面にシリコーンゴムを配したものである。
上記した加圧ローラ32は、アルミ又は鉄等の芯金の表面にシリコーンゴムなどの弾性層を設けたものとされており、その表層にはPFAやPTFEの離型層が備えられている。
上記した加熱ローラ33は、アルミ、又は、鉄の中空ローラで構成され、その内部にハロゲンヒータなどの熱源Hを有している。
上記した定着ベルト35は、ニッケル、ポリイミドなどの基材にPFAやPTFEなどの離型層を有するもの、または、その中間にシリコーンゴムなどの弾性層を設けたもので構成されている。この定着ベルト35は定着ローラ31と加熱ローラ33との間に掛け回されており、外部からテンションローラ36で押圧されることにより、適切な張力に保たれるようにしている。
上記した分離爪37は、定着ベルト35における定着ローラ31の部分の表面に先端部(頂部)が当接しており、定着ベルト35の幅方向(紙面に垂直な方向)に複数個配設されている。
上記した温度センサとして、定着ベルト35とは当接しない、非接触型温度センサ(サーモパイル)が1つ配設されている。なお、定着ベルト35と当接する接触型温度センサ(サーミスタ)を用いることも可能である。
そして、上記したテンションローラ36は、金属の芯金にシリコーンゴムを有したものである。
このような部材を備えて構成された定着装置26は、定着ローラ31(または、定着ベルト35)と加圧ローラ32とによって形成される挟持搬送可能なニップ部へ向かって、図中下方から記録媒体Sが進入すると、ニップ部において所定の圧力と熱とを与えて記録媒体S上に画像を定着させるようになっている。
そして、このような定着装置26に対して、図3に示すような、表面状態検出装置41が設けられる。この表面状態検出装置41は、定着ベルト35などの移動体(定着部材)の表面状態を検出するためのものである。
この表面状態検出装置41は、反射型光学センサ42と、表面状態判定手段43とによって構成されている。
上記した反射型光学センサ42は、定着ベルト35(移動体)における加熱ローラ33の部分に、定着ベルト35と対向させて離隔状態で配置されており、定着ベルト35へ向けて光45(検出光)を出射することにより、定着ベルト35の表面に、幅方向の位置が異なる複数の光スポット46を照射形成すると共に、この定着ベルト35の各光スポット46からの反射光47をそれぞれ受光するようにした検出機構である。
また、上記した表面状態判定手段43は、画像形成装置1の内部に配置されると共に、上記した反射型光学センサ42に接続されて、反射型光学センサ42からの検知信号48を入力して各種の演算処理などを行い、定着ベルト35の表面状態を判定するようにしたものである。この表面状態判定手段43は、また、反射型光学センサ42に制御信号49を送って反射型光学センサ42を制御する、制御部44としての機能も備えている。
そして、図4は、図3の表面状態検出装置41を加熱ローラ33の回転軸に垂直な方向(この場合には上方)から見た図である。
この場合、例えば、上記した反射型光学センサ42は、定着ベルト35の幅方向xにおける、記録媒体S(例えば、A4用紙の縦通紙の場合)の通紙部分の片側の幅端部位置35sまたはその近傍に対して、1つのみ配置されている。
そして、反射型光学センサ42は、後述するように、幅方向xの異なる位置に対して複数の光スポット46を、順次、または、幅方向xに所定の距離だけ離して複数同時に照射形成することによって、定着ベルト35の表面上に、比較的長い検知領域Aを形成するものとされる。このように、比較的長い検知領域Aを形成することによって、反射型光学センサ42と記録媒体Sの幅端部位置35sとの、幅方向xに対する相対位置関係を、比較的ラフなものにすることが可能となる。
また、上記した表面状態判定手段43は、反射型光学センサ42からの検知信号48を入力することにより、幅方向xに比較的長い検知領域Aの範囲内で、定着ベルト35の表面状態を検知することができる。
そして、記録媒体Sの幅端部位置35sが検知領域A内に含まれることにより、記録媒体Sの端面によって定着ベルト35に形成される縦筋状の傷51の有無や、その傷51の位置や、傷51のレベル(傷レベル)などを、定着ベルト35の表面状態として定量化することができるようにしている。
ここで、傷レベルとは、文字通り、傷51の程度を表しており、傷51の深さ(粗さ)や傷51の幅(大きさ)などのことを言う。
以下、具体的な各実施例の説明を行う前に、この実施の形態において特徴となる構成及びその作用効果の概略について、まとめて説明する。
この実施の形態は、記録媒体Sに画像を形成する画像形成装置1に用いられ、移動体(後述する定着ベルト35)の表面状態を検知する反射型光学センサ42に関する。
そして、図10A〜図10Dに示すように、この反射型光学センサ42は、少なくとも2つの発光部52を有する複数の照射系と、上記複数の照射系に対応する複数の照射用レンズ58を有し、上記照射系から射出された光45を上記移動体に導く照射光学系53(図5A参照)と、少なくとも2つの受光部55を有する受光系と、上記少なくとも2つの受光部55に対応する受光用レンズ61を有し、上記移動体で反射された光(反射光47)を上記受光系に導く受光光学系56(図5A参照)と、を有するものとされる。
なお、照射光学系53および受光光学系56は、図面の関係上、図5A〜図5Dの実施例にのみ符号を付すようにしているが、他の実施例についても同様である。
このように、少なくとも2つの発光部52からの光45の各反射光47を、少なくとも2つの受光部55で受光して互いに比較することにより、移動体の幅方向xの各位置における表面状態を、リアルタイムに、より詳しく、より正確に検知することができるようになるので、より高精度に移動体の表面状態を検知することが可能となる。例えば、移動体の実際の傷51の有無や、その傷51の位置や、傷51の深さや、傷51の幅などの正確な状況を詳細に検知することが可能となる。
なお、発光部52を複数設ける場合に、複数の発光部52に対してレンズ径の大きい1つの照射光学系53を設けるようにすれば、各発光部52に対してレンズ径の小さい照射光学系53をそれぞれ個別に複数個設ける場合と比べて、複数の光スポット46の間隔(配列ピッチ)を保持したまま光スポット46からの反射光47の強度を増大させることができるので、照射部54や検出部57の設計を最適化すると共に、移動体の表面状態に対する検知精度を高めることが可能となる。
そして、図11A〜図11Dに示すように、上記照射系の配列方向(移動体の幅方向x)について、上記各照射系に個別に対応する複数の照射用レンズ58の光軸位置(光軸59)が、上記各受光部55のうち任意の2つの受光部55の間の位置、または、その近傍となるように、上記各受光部55を配置させるようにしても良い。
このように、上記照射系の配列方向(移動体の幅方向x)について、上記各照射系に個別に対応する複数の照射用レンズ58の光軸位置(光軸59)が、上記各受光部55のうち任意の2つの受光部55の間の位置、または、その近傍となるように、上記各受光部55を配置させるようにしたことにより、上記した移動体の、(記録媒体Sの)搬送方向回りの回転角(スキュー角)の変動に起因する受光部55の出力変動を抑えて安定化させることができる。これにより、光スポット46の位置が異なっていても、スキュー角の変動に対して受光部55が同様の挙動を示すようになるので、その分、検出誤差を低減することができる。
また、図12A〜図12Dに示すように、上記受光用レンズ61は、光(反射光47)を一軸方向にのみ集束させるシリンドリカルレンズ62としても良い。
このように、受光用レンズ61を、光(反射光47)を一軸方向にのみ集束させるシリンドリカルレンズ62とすることにより、受光用レンズ61に球面レンズなどを用いる場合と比べて、(移動体の幅方向xに対する)検出部57の受光量分布の変化を抑制して、より高精度に移動体の表面状態を検知することが可能となる。
また、受光用レンズ61を、シリンドリカルレンズ62とすることにより、例えば、小型のレンズを、複数並設する場合と比べて、各レンズ(小型レンズ)のパラメーター(例えば、レンズ曲率半径や、レンズ位置や、レンズ厚など)のバラ付きをなくすことができるため、より高精度に移動体の表面状態を検知することが可能となる。
また、図13A〜図13Dに示すように、上記照射光学系53を構成する照射用レンズ58と、上記受光光学系56を構成する受光用レンズ61とが、一体に形成されるようにしても良い(レンズアレイ63)。
このように、照射用レンズ58と受光用レンズ61とを一体化することによって、各レンズ(照射用レンズ58および受光用レンズ61)を組付ける際の作業性を、例えば、複数のレンズを個別に組付ける場合と比べて、向上することができると共に、各レンズ面間の配置精度を高めることができる。
また、図14A〜図14Dに示すように、上記各照射系と上記照射光学系53との間に遮光部65を設けるようにしても良い。
このように、各照射系と照射光学系53との間に遮光部65を設けることにより、移動体表面の光スポット46以外の部分からの反射光47や、照射用レンズ58(出射している発光部52に対応する照射用レンズ58、または、出射している発光部52に対応していない別の照射用レンズ58)のレンズ面での反射光47などを、受光部55が受光することを低減または防止して、より高精度に移動体の表面状態を検知することが可能となる。
また、複数の光スポット46を順次に照射するように構成しても良い。
このように、複数の光スポット46を順次に照射することにより、移動体の表面には、常に1つの光スポット46のみが形成されることとなるため、同じ受光位置で、複数の光スポット46からの反射光47を同時に受光してしまうようなことがなくなるので、各光スポット46からの反射光47に対する検知精度を向上することができる。
あるいは、複数の光スポット46を同時に照射するように構成しても良い(図15A、図15B参照)。
このように、複数の光スポット46を同時に照射することにより、1つの光スポット46を順次変位させる場合と比べて、光スポット46の幅方向xへの走査周期を短縮することができるので、移動体の表面状態を、より早く、より確実に検知することが可能となる。
また、図16Bに示すように、上記複数の照射系の配列方向(移動体の幅方向x)に対して、任意の傾きを持って複数の光スポット46を照射するように構成しても良い。
このように、上記複数の照射系の配列方向(移動体の幅方向x)に対して、任意の傾きを持って複数の光スポット46を照射するようにしたことにより、例えば、複数の発光部52が一定間隔で配置されているような場合であっても、複数の光スポット46の、幅方向xに対する間隔を上記した一定間隔よりも小さくして、位置分解能を容易に向上することができる。
そして、画像を記録媒体Sに定着させる移動体の表面状態を検出する反射型光学センサ42として、上記した構成1ないし構成8の何れか1つに記載の反射型光学センサ42を、画像形成装置1に用いるようにしても良い。
このように、上記した反射型光学センサ42を備えたことにより、画像形成装置1は、上記と同じ作用効果を得ることができる。
また、上記した画像形成装置1に対し、上記反射型光学センサ42を、図17A〜図17Cに示すように、上記移動体が搬送する上記記録媒体Sの端部位置またはその近傍に対して部分的に配置するか、或いは、図18に示すように、上記記録媒体Sの幅全域に亘って配置するようにしても良い。
このように、反射型光学センサ42を、移動体が搬送する記録媒体Sの幅端部位置35sまたはその近傍に対して部分的に設置することにより、反射型光学センサ42を、移動体で最も傷51が発生し易い箇所またはその近傍に対して、効率的に設置することができると共に、反射型光学センサ42を小型化することが可能となる。
この場合、反射型光学センサ42の設置位置は、上記した移動体が搬送可能な最大サイズ、または、それよりも小さい規格サイズの記録媒体Sうちの少なくとも1つにおける、少なくとも一方の幅端部位置35sまたはその近傍とすることができる。なお、反射型光学センサ42の設置位置は、上記した移動体が搬送可能な最大サイズを除いた、それよりも小さい規格サイズの記録媒体Sうちの少なくとも1つにおける、少なくとも一方の幅端部位置35sまたはその近傍とするのが、実用上は好ましい。
或いは、反射型光学センサ42を、移動体の幅全域に亘って設置したことにより、移動体が搬送する各種の記録媒体Sの大きさによって異なる位置に発生される複数種類の傷51を、一度に同時に検知することができるようになり、以て、検知漏れをなくすことができる。
そして、上記した画像形成装置1における上記移動体が、定着ベルト35であっても良い(図2〜図4参照)。
このように、移動体が、定着ベルト35であることにより、定着ベルト35には、PFAなどの表面硬度が高い材料が用いられて、特に傷51が付き易くなっているので、当該定着ベルト35の表面状態を確実に検知することができる。
なお、移動体は、定着ベルト35に替えて定着ローラ31などとすることもできる。
以下、上記した実施の形態の具体的な実施例について説明する。
図5A〜図5Dは、反射型光学センサ42の最も基本的な構成を示すものである。
ここで、概ね、移動体(定着ベルト35などの定着部材)の幅方向xが主方向(または主走査方向)、移動体(定着部材)における光スポット46の照射部分の移動方向y(またはその接線方向)が副方向(または副走査方向)、移動体(定着部材)と反射型光学センサ42との離隔方向zが光45の出射方向または反射光47の反射方向などとなる。
図5Aは、反射型光学センサ42を上記幅方向xから見た側面図である。
図5Bは、図5Aの反射型光学センサ42を発光部52側から上記移動方向yに見た正面図である。
図5Cは、図5Aの反射型光学センサ42を受光部55側から上記移動方向yに見た背面図である。
図5Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を上記離隔方向zから見た平面図である。
先ず、図5Aに示すように、反射型光学センサ42は、発光部52(例えば、発光ダイオード(LED)などの光源部)と、この発光部52から出射された光45を導光して定着ベルト35に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58を有する照射光学系53と、定着ベルト35上に形成された光スポット46から反射された反射光47を受光する受光部55(例えば、フォトダイオード(PD)などの受光素子)を複数有する受光系と、少なくとも2つの受光部に対応する1つの受光用レンズ61を有し、反射光47を受光部に導光する受光系を有している。
そして、発光部52と受光部55とは、同じ基板71によって支持(実装配置)されている。また、照射用レンズ58と受光用レンズ61とは、一体化されてレンズアレイ63を構成している。基板71とレンズアレイ63とは、反射型光学センサ42のセンサ本体64(ケース)によって保持されている。センサ本体64の内部には、フレア光を防止するための遮光部65が設けられている。
なお、遮光部65とセンサ本体64とは、樹脂成形によって一体化することができる。
そして、図5Bに示すように、発光部52は、幅方向xに対して複数個配置されて、照射系を構成している。そして、上記した幅方向xが、照射系における発光部52の配列方向とされている。
また、照射用レンズ58は、幅方向xに対して複数個配置されている。この場合、各照射用レンズ58は、各発光部52と1対1に対応させて設けられている。
このときの各発光部52の幅方向xに対する一定の配列ピッチをPとする。また、各照射用レンズ58の幅方向xに対する一定の配列ピッチをPとする。
上記した遮光部65は、対応する発光部52と照射用レンズ58との間の上記離隔方向zの空間を、他の対応する発光部52と照射用レンズ58との間の空間から遮光してフレア光を防止するために、隣接する上記空間どうしの間などに対し、幅方向xに間隔を置いて複数配置されている。
また、上記と同様の遮光部65は、上記した照射部54と検出部57との間にも設置されている。
この場合、遮光部65は、枠状のセンサ本体64に形成された遮光壁や、厚板状のセンサ本体64に形成された開口部などとすることができる。
そして、各発光部52から出射された光45は、対応する照射用レンズ58を介して定着ベルト35に照射され、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成する。これによって、反射型光学センサ42は、定着ベルト35上に、幅方向xへ配列ピッチPを有して、複数の光スポット46を適宜形成させることができる。
そして、図5Cに示すように、受光部55は、幅方向xに対して1個または複数個配置されている。この場合、図5Dに示すように、受光部55は、各発光部52と1対1に対応させて複数個設けられている。このときの受光部55の幅方向xに対する一定の配列ピッチはPとされる。即ち、発光部52と受光部55とは、共に、幅方向xに同じ配列ピッチPで整列されている。
上記した受光用レンズ61は、幅方向xに対してパワーを持たないものとされる。
そして、定着ベルト35の表面に対して、光スポット46が照射形成されると、定着ベルト35表面から反射光47が発生する。定着ベルト35は光学的な鏡面ではないため、正反射成分47aに加えて、拡散反射成分47bも含む反射光47が生じる。
この反射光47の一部は、受光用レンズ61に導光され、定着ベルト35の移動方向yにのみ集光されて受光部55で受光される。上記受光部55による反射光47の受光は、幅方向xに対して位置の異なる複数の光スポット46のそれぞれについて、1回ずつ行われる。
次に、反射型光学センサ42の動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、仮に、N個の各発光部52を、図5Dの左端から順に、LED(1)、LED(2)…LED(N)とし、同様に、N個の各受光部55を、図の左端から順にPD(1)、PD(2)…PD(N)とする。
この場合、複数の発光部52は、左端から順に1個ずつ点灯/消灯を繰り返す、いわゆる順次点灯を行うものとする。
そして、制御が開始されると、先ず、ステップ1(S1)で、変数nに初期値として1をセットし、ステップ2(S2)で、n番目のLED(n)を点灯する。
すると、ステップ3(S3)で、n番目のLED(n)の点灯に同期して、定着ベルト35からの反射光47が、点灯したLED(n)と対になっているPD(n)を含む、その周辺の複数個の受光部55によって受光されることになる。
ここでは、話を簡単にするために、同じ光スポット46からの同じ反射光47を受光する受光部55の数を奇数個とし、(2m+1)個の受光部55によって受光されるものとする。ここで、mは整数である。即ち、PD(n−m)〜PD(n+m)が、同時に同じ反射光47を受光するものとする。
そして、(2m+1)個の受光部55によって1つの反射光47が受光されると、ステップ4(S4)で、n番目のLED(n)は消灯される。
すると、ステップ5(S5)で、(2m+1)個の受光部55で受光を行った反射光47は、光電変換され、増幅されて検知信号48となり、各受光部55からの検知信号48は、その都度、図3の表面状態判定手段43へと送られる。
次に、ステップ6(S6)で、上記したnとNとを比較して、n<Nであれば、ステップ7(S7)で、nにn+1を代入して、ステップ1(S1)へ戻り、上記した動作を、一番右端のLED(N)が点灯/消灯されるまで繰り返す。
そして、n=Nとなって、一番右端のLED(N)が点灯/消灯すると、これを1周期とし、上記した順次点灯は終了する。
但し、場合によっては、検知精度を上げるために、ステップ6(S6)の後にステップ8(S8)を加えて、複数周期に渡って上記した順次点灯を行い、検知結果の平均値処理などを行うようにすることもできる。
また、点灯/消灯する発光部52は、左端から右端までの全てのもの(N個)を用いる必要はなく、そのうちの任意のN''(≦N)個のみを用いるようにすることもできる。或いは、必ずしも、一番左端の発光部52(1)から点灯/消灯を開始して一番右端の発光部52(N)で点灯/消灯を終了する必要はなく、例えば、左側のm番目の発光部52(m)から点灯/消灯を開始して右側のN−m番目の発光部52(N−m)で点灯/消灯を終了するようにしても良い。なお、左右は、逆にしても良い。
次に、表面状態判定手段43の動作について、図7のフローチャートなどを用いながら説明する。
表面状態判定手段43では、ステップ11(S11)にて上記したように(2m+1)個の受光部55からの検知信号48を受信すると、まず、ステップ12(S12)で、(2m+1)個の受光部55の検知信号48の和を取り、各LED(n)に対応した検知結果R(n)を算出する。この検知結果R(n)によって、幅方向xに照射される各々の光スポット46、言い換えれば、定着ベルト35の表面における、幅方向xの各位置に対応した反射光強度を得ることができる。
次に、定着ベルト35の表面状態を判定する。
一般に、定着ベルト35に傷51がある場合には、傷51がない場合と比べて、定着ベルト35の表面からの反射光47は、正反射成分47aが減少して、拡散反射成分47bが増加するものとなる(図5C参照)。
図5A〜図5Dに示す反射型光学センサ42においては、正反射成分47aが減少すると、PD(n)に受光される光量はその分減少し、拡散反射成分47bが増加すると、PD(n−m)〜PD(n+m)に受光される光量はその一部が増加する。そして、傷51がある場合は、傷51がない場合と比べて、PD(n−m)〜PD(n+m)が受光する光量は全体として減少されることになる。
このような受光量の変化を調べることにより、表面状態、即ち、傷51の位置および傷レベルなどをリアルタイムに算出することができる。
そこで、まず、傷51の有無および位置を判定する。
反射型光学センサ42では、定着ベルト35の表面における、幅方向xの各位置に対応して、反射光強度を示す検知結果R(n)がそれぞれ得られるので、表面状態判定手段43で、幅方向xの各位置の各反射光強度どうしを比較することにより、反射光強度が低下している位置に傷51があることが分かる。
ここで、図8Aは、反射型光学センサ42によって得られた幅方向x(主走査方向)の各位置の反射光強度を示す模式図である。
そして、図8Bに示すように、上記した反射光強度の値を、幅方向xに対して微分を取り(図7のステップ13(S13))、微分値が負から正に大きく変化するゼロクロス位置を求めることで、傷51の有無が判定される(図7のステップ14(S14))と共に、傷51の位置を判定する(図7のステップ15(S15))ことができる。
なお、微分値の絶対値が、予め設定した所定の閾値よりも小さい場合には、反射光強度の低下が小さいことを示しているので、傷51がないと判定するようにしても良い。傷51がない場合には、そのまま判定を終了する。
図9Aに、記録媒体Sを400,000枚通紙した後の定着ベルト35に対し、N=24、n=3〜22、m=2、配列ピッチP=1mmの反射型光学センサ42を用いて得られた検知結果R(n)の例を示す。この反射型光学センサ42では、定着ベルト35の表面に1mmピッチで光スポット46が照射されるため、図9Aの横軸はLEDの番号nであると共に、光スポット照射位置[mm]にも相当する。
また、図9Bに、上記したR(n)を幅方向xに対して微分した結果、より具体的には、R(n)、R(n+1)の2点での傾きを算出した結果を示す。なお、平滑化を目的として、R(n―1)、R(n)、R(n+1)の3点での傾きを算出することもできる。
図9Bよって、ゼロクロス位置を求めると、n=12.5となり、LED(12)とLED(13)に対応する光スポット46の照射位置の中間である、12.5mmの位置に、傷51があると判定することができる。
次に、傷レベルを判定する。
図7のステップ16(S16)で、傷51の深さを判定するかどうかについての判断を行う。なお、傷51の深さを判定しない場合には、そのまま判定を終了する。
定性的には、傷51の深さ(粗さ)が深い(粗い)ほど、反射光強度の低下が大きくなるものと考えられるため、反射光強度の低下量を求めれば傷51の深さが得られることになる。その模式図を図8Cに示す。
図8Cの場合には、単純に、検知結果R(n)の最小値を求めることによって傷51の深さを得るようにしているが、反射型光学センサ42の取付状態や定着ベルト35の傾き等の要因によって、検知結果R(n)に、傾き成分等が重畳されることが考えられる。
そこで、上記した傾き成分を除去するために、以下のようにする。
即ち、先ず、傷51のある位置と、傷51のない位置(図7のステップ17(S17))とを求める。
傷51のある位置については、前述した通りにして判定することができる。
傷51のない位置は、検知結果R(n)の変動が小さい位置であり、即ち、微分値が0付近に集まる位置であると考えられる。そこで、幅方向xに対して微分した結果によって、傷51のない位置を算出することができる。
そして、傷51のある位置をn0とし、少なくとも2つの傷51のない位置をn1、n2とすると、傷51のある位置n0での検知結果R(n0)と、傷51のない位置n1、n2での検知結果R(n1)、R(n2)とから、反射光強度の低下量を求めることができる。
更に、検知結果R(n)に重畳される傾き成分を差し引くには、複数の傷51のない位置での検知結果を結んだ近似直線に対する、傷51のある位置での検知結果の距離を求めれば良い。
実際に、図9Bの結果に対して、反射光強度の低下量を求めるやり方について説明する。
図9Bから、傷51のある位置n0に対して微分値が小さい±20の範囲内に、複数点集まっている位置を求めたのが、図9Cである。これより、傷51のない位置n1、n2としてn1=6とn2=15とを選択することができる。
このように抽出した、傷51のある位置n0=12.5と、傷51のない位置n1=6、n2=15との各検知結果R(n)を用いて、傷51の深さ(粗さ)を算出する。
即ち、図9Dに破線で示すようにR(n1)とR(n2)とを直線で結び近似直線を得る。すると、図中の矢印で示すように、傷51の深さが求められる(図7のステップ18(S18))。この例では、傷51の深さは63.1である。反射光強度の低下の比率としては、0.16(16%)となる。
図9Dから、破線で示される傾き成分が存在し、これに、傷51の深さが重畳している様子が見て取れる。
なお、傷レベルが大きくなるにつれ、この反射光強度の低下が増加して行く。
もう1つの表面状態のパラメーターとして、傷51の幅(大きさ)を判定する方法を示す。
図7のステップ19(S19)で、傷51の幅(大きさ)を判定するかについての判断を行う。なお、傷51の幅(大きさ)を判定しない場合には、そのまま判定を終了する。
傷51の中心位置(傷51のある位置)については、前述した通りにして判定することができる。
傷51の幅については、例えば、傷51のある位置での検知結果R(n)から、傷51の深さ(粗さ)に相当する反射光強度の低下量のうちの、所定量、例えば50%の低下量となる反射光強度を持つ位置を算出すれば良い。但し、上記した所定の低下量は、50%に限るものではなく、任意に設定することができる。
図9Eは、分かり易くするために、図9Dの縦軸を上下方向に拡大したものである。この図より、傷51の半値幅は3mmと判定することができる。
なお、これらの表面状態のパラメーターは、全てを判定するようにしても良いし、または、必要なパラメーターのみを判定するようにしても良い。
図10A〜図10Dは、本実施例の反射型光学センサ42(反射型光学センサ42a)を示すものである。
図10Aは、反射型光学センサ42を幅方向xから見た側面図である。
図10Bは、図10Aの反射型光学センサ42を発光部52側から移動方向yに見た正面図である。
図10Cは、図10Aの反射型光学センサ42を受光部55側から移動方向yに見た背面図である。
図10Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を離隔方向zに見た平面図である。
先ず、図10Aに示すように、反射型光学センサ42(反射型光学センサ42a)は、発光部52(発光部52a)と、この発光部52から放射された光45を導光して移動体(定着ベルト35などの定着部材)に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58(照射用レンズ58a)と、移動体などの定着部材(の光スポット46)から反射された反射光47を導光するように配置された受光用レンズ61(受光用レンズ61a)と、この受光用レンズ61によって導光された反射光47を受光する受光部55(受光部55a)と、を有している。
そして、発光部52と受光部55とは、同じ基板71によって支持(実装配置)されている。また、基板71と照射用レンズ58と受光用レンズ61とは、センサ本体64によって保持されている。
そして、図10Bに示すように、発光部52は、幅方向xに対して複数個(この場合には4個)まとめて近接配置されることにより、照射系を構成すると共に、この照射系が複数設けられている。
そして、複数個(4個)の発光部52からなる各照射系に対応させて各1個の照射用レンズ58(照射用レンズ58a)が照射光学系として設けられるようにしている(多対1)。この際、照射用レンズ58の幅方向xにおけるレンズ径は、一例として図5Bに示した照射用レンズ58の1個分のレンズ径の約4倍とされており、レンズ径以外のレンズパラメーターは、図5Aに示した照射用レンズ58のものと同一とされている。この時、4個の発光部52の幅方向xの配列ピッチをPa(<P)とする。
そして、この照射用レンズ58は、幅方向xと移動方向yとで異なるパワーを有するアナモフィックレンズとされる。
この反射型光学センサ42で定着ベルト35の表面状態を検出する際には、定着ベルト35の波うちや、ばたつきや、定着ベルト35のカール癖等の影響によって、反射型光学センサ42に対する定着ベルト35表面の検知面の距離や角度にばらつきが生じる場合がある。これらのばらつきは、完全に排除することが困難であり、反射型光学センサ42と定着ベルト35の検知面との間に、距離や角度のばらつきが生じると、定着ベルト35の表面状態を検出する際に、正しい出力(検知信号48)を読み取ることができないため、正確な検知を行うことができなくなる。
現状では、反射型光学センサ42に生じる検知面の距離や角度のばらつきのうち、定着ベルト35の波うちに起因する角度ばらつき(以後、あおり角と呼ぶ)の影響が特に大きくなっている。
そこで、本実施例では、照射用レンズ58に、幅方向xと移動方向yとに対して異なるパワーを有するアナモフィックレンズを用いるようにしている。これによって、定着ベルト35上の光スポット46における、幅方向xのビーム径を所望の状態に維持しつつ、アナモフィックレンズの上記移動方向yに対する曲率半径を適正化して、受光用レンズ61に入射する反射光47の上記移動方向yに対するビーム径を小さくするようにしている。これにより、定着ベルト35の波うちに起因するあおり角のばらつきが生じた場合における、検出部出力の変動を低減させ、センサの検出精度の劣化を防ぐことができる。
また、複数個の発光部52による各照射系と、各照射系に対応する1個の照射用レンズ58との組合せを1つの照射ユニット75として、この照射ユニット75を幅方向xに対し複数ユニット配置することによって、反射型光学センサ42の照射部54((各照射系+照射用レンズ58)×ユニット数)を構成するようにしている。
この時の各照射ユニット75の幅方向xの配列ピッチをP'aとする。この場合、1つの照射ユニット75の照射系を構成する発光部52aの数は、4個となっているが、2個以上であれば何個であっても良い。
本実施例では、分かり易くするため、例えば、照射ユニット75のユニット数を9とする。但し、照射ユニット75のユニット数は9個に限るものではなく、9個より少なくても、または、9個より多くても良い。
そして、1つの照射ユニット75内において、各発光部52から放射された光45は、対応する照射用レンズ58を介して、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成するため、反射型光学センサ42は、定着ベルト35上に、幅方向xへ配列ピッチP''aで、複数の光スポット46が形成されることになる。
そして、図10Cに示すように、受光部55は、幅方向xに複数個配置されている。
このとき、図10Dに示すように、照射用レンズ58aの光軸59と幅方向xの位置がほぼ同一位置に配置される受光部55が複数存在する。このときの受光部55の幅方向xの配列ピッチをP'''aとする。
ここで、本実施例の反射型光学センサ42では、P'''a≒P''a≒P'a/4(≒P)の関係を満たすようにしている。
また、配置された全ての受光部55に対して1個の受光用レンズ61が対応している。この受光用レンズ61も幅方向xと移動方向yとに対して異なるパワーを持つアナモフィックレンズとされる。
そして、定着ベルト35の表面に対して、幅方向xに複数の光スポット46が形成され、定着ベルト35の表面に各光スポット46からの各反射光47が発生する。ここで、定着ベルト35は光学的な鏡面ではないため、正反射成分47aに加えて、拡散反射成分47bを含む反射が生じ、反射光47の一部は、受光用レンズ61によって導光され、受光部55で受光される。
そして、図10Dでは、発光部52は、1つの照射ユニット75の内部においては幅方向xに対し僅少な配列ピッチPaで整列され、隣接する照射ユニット75の間では幅方向xに対し配列ピッチP'aで整列されている。
また、受光部55は幅方向xに対して一定の配列ピッチP'''aで整列されている。なお、上記移動方向yにおける発光部52と受光部55との間隔をP''''aとする。
そして、各発光部52を、左端から順に、LEDa(1)、LEDa(2)…LEDa(N)とし、同様に、各受光部55を、左端から順に、PDa(1)、PDa(2)…PDa(N')とする。
本実施例の反射型光学センサ42aは、先述したが、複数個(この場合には4個)の発光部52に対して1個の照射用レンズ58を対応させた構成としているため、照射用レンズ58の幅方向xのレンズ径を大きくすることが可能となり、これによって、定着ベルト35上での複数の光スポット46の配列ピッチP''aを図5の配列ピッチPと同じに維持しつつ、図5の反射型光学センサ42に比べて定着ベルト35上への入射光量を約4倍にすることを可能としている。
また、図10Bから明らかなように、同じ照射ユニット75内の複数個(この場合には4個)の発光部52から出射された少なくとも2つの光45は、照射用レンズ58の光軸59に関して互いにほぼ線対称となるように構成している。即ち、各照射ユニット75については、発光部52と、定着ベルト35上に形成される光スポット46との対応関係が左右反対となっている。例えば、図中、左側の照射ユニット75では、一番左の発光部52が、左から4番目の光スポット46と対応し、左から4番目の発光部52が、一番左の光スポット46と対応するように対応関係が逆転されている。なお、照射ユニット75内の4個の発光部52は、照射用レンズ58の光軸59の両側に、対称に配置されている。
この場合の、レンズパラメーターを具体的に述べると、照射用レンズ58の上記幅方向xの曲率半径は4.6mm、幅方向xの円錐定数は0、照射用レンズ58の上記移動方向yの曲率半径は4.3mm、照射用レンズ58の移動方向yの円錐定数は−2.0、照射用レンズ58の幅方向xのレンズ径は2.4mm、照射用レンズ58の移動方向yのレンズ径は10.5mm、照射用レンズ58のレンズ厚は6.6mmである。
また、受光用レンズ61の上記幅方向xの曲率半径は50mm、幅方向xの円錐定数は−1.0、受光用レンズ61の上記移動方向yの曲率半径は4.8mm、受光用レンズ61の移動方向yの円錐定数は−1.6、受光用レンズ61の幅方向xのレンズ径は17mm、受光用レンズ61の移動方向yのレンズ径は10.1mm、受光用レンズ61のレンズ厚は6.6mmである。
そして、上記移動方向yにおける照射用レンズ58と受光用レンズ61との間の距離は2.53mm、光軸方向(離隔方向z)における発光部52〜照射用レンズ58間の距離と、光軸方向における受光部55〜受光用レンズ61間の距離は互いに等しく、10.37mmである。
図11A〜図11Dは、本実施例の反射型光学センサ42(反射型光学センサ42b)を示すものである。
図11Aは、反射型光学センサ42を幅方向xから見た側面図である。
図11Bは、図11Aの反射型光学センサ42を発光部52側から移動方向yに見た正面図である。
図11Cは、図11Aの反射型光学センサ42を受光部55b側から移動方向yに見た背面図である。
図11Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を離隔方向zに見た平面図である。
上記した図10A〜図10Dの実施例の場合、反射型光学センサ42aの受光部55aは、発光部52aに対向して幅方向xに配列ピッチP''aを有して複数個配置され、図10Cに示すように、幅方向xに対し、照射用レンズ58aの光軸59とほぼ同一位置に配置される受光部55aが複数存在するようになっていた。
これに対し、本実施例では、移動方向yから見たときの、照射用レンズ58bの光軸59の幅方向xの位置が、任意の2つの受光部55bの中間またはその近傍に位置するように、受光部55bの配置を変更したところに、その特徴がある。
先ず、図11Aに示すように、反射型光学センサ42(反射型光学センサ42b)は、発光部52(発光部52b)と、この発光部52から放射された光45を導光して移動体(定着ベルト35)に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58(照射用レンズ58b)と、定着ベルト35(の光スポット46)から反射された反射光47を導光するように配置された受光用レンズ61(受光用レンズ61b)と、この受光用レンズ61によって導光された反射光47を受光する受光部55(受光部55b)と、を有している。
発光部52と受光部55とは、同じ基板71によって支持(実装配置)されている。また、基板71と照射用レンズ58と受光用レンズ61とは、センサ本体64によって保持されている。
そして、上記実施例からの変更点は、上記したように、受光部55(受光部55b)の位置だけであり、隣接する受光部55間の配列ピッチP''aには変更はない。そのため、レンズパラメーターも上記実施例のものと同じになっている。
図11Cに、上記実施例の反射型光学センサ42aと、この実施例の反射型光学センサ42bとを用いて、被検物である定着ベルト35(移動体)に、スキュー角Bを単独に0.25deg刻みで0deg〜±1.0degまで印加した場合の受光部55の出力変動の様子を示す。ここで、スキュー角Bとは、定着ベルト35の、上記した移動方向yを中心とする回転角のことである。
ここで、点灯させる発光部52は、左側から7番目の発光部52(LEDa(7)およびLEDb(7))と(それぞれ図11E、図11F)、8番目の発光部52(LEDa(8)およびLEDb(8))としている(それぞれ図11G、図11H)。また、受光部55の出力は、スキュー角B=0degの場合の出力が1となるように設定してあり(相対受光部出力)、前述したように複数の受光部55における検知信号48の合計値を検知結果として検出部出力(または反射光強度)としている。ここでは簡単にするために、合計する受光部55の個数を10個または8個としている。
スキュー角B=±1.0degの範囲における、検出部出力の最大値と最小値の差の絶対値をPV値として、異なる発光部52を点灯させた際のPV値を、各反射型光学センサ42a,42bごとに比較する。なお、点灯させる発光部52が異なっても、PV値が等しくなることが理想的な状態であり、PV値の差が小さくなる程良いことになる。そして、PV値が小さいことによって、点灯する発光部52の違いによる検出誤差が小さいと判断することができる。
そして、図11E〜図11Hの結果から明らかなように、本実施例の反射型光学センサ42bを用いた方が、上記実施例の反射型光学センサ42aを用いた場合よりもPV値が小さくなっている。
このように、本実施例の反射型光学センサ42bは、定着ベルト35の移動方向yまわりの回転であるスキュー角の変動に起因する検出部出力の変動が、点灯する発光部52が異なっても同様の振る舞いをするように構成することにより、点灯する発光部52の違いによる検出誤差を抑制させることができる。
図12A〜図12Dは、本実施例の反射型光学センサ42(反射型光学センサ42c)を示すものである。
図12Aは、反射型光学センサ42を幅方向xから見た側面図である。
図12Bは、図12Aの反射型光学センサ42を発光部52側から移動方向yに見た正面図である。
図12Cは、図12Aの反射型光学センサ42を受光部55側から移動方向yに見た背面図である。
図12Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を離隔方向zに見た平面図である。
図11A〜図11Dの実施例では、反射型光学センサ42bの受光用レンズ61bをアナモフィックレンズとしていたが、この実施例では、反射型光学センサ42cの受光用レンズ61cに、光(反射光47)を一軸方向にのみ集束させるシリンドリカルレンズ62を用いたところに、その特徴がある(なお、特に記載しないが、他の実施例でも同様に、シリンドリカルレンズ62を用いても良いのは勿論である)。この場合、シリンドリカルレンズ62は、例えば、幅方向xまたは光スポット46の配列方向(後述するように、光スポット46の配列方向を傾斜させる場合も含む)に対するパワーのないものとされる。
図12Aに示すように、反射型光学センサ42(反射型光学センサ42c)は、発光部52(発光部52c)と、この発光部52から放射された光45を導光して移動体(定着ベルト35)に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58(照射用レンズ58c)と、定着ベルト35(の光スポット46)から反射された反射光47を導光するように配置された受光用レンズ61(受光用レンズ61c)と、この受光用レンズ61によって導光された反射光47を受光する受光部55(受光部55c)と、を有している。
そして、発光部52と受光部55とは、同じ基板71によって支持(実装配置)されている。また、基板71と照射用レンズ58と受光用レンズ61とは、センサ本体64に保持されている。
図12Bに示すように、反射型光学センサ42は、受光部55(PDc)を幅方向xに複数個配置した構成となっている。そのため、上記した移動方向yに関しては、受光部55の位置や受光部55のサイズを考慮して受光部55に入射する反射光47を移動方向yに絞る必要はあるが、幅方向xに関しては、受光部55を複数個配置しているため、敢えて受光用レンズ61の幅方向xにパワーを付けて反射光47を絞る必要はない。そこで、上記したように、受光用レンズ61に、幅方向xに対するパワーのないシリンドリカルレンズ62を用いるようにする。
そして、受光用レンズ61を幅方向xにはパワーのないシリンドリカルレンズ62としたことで、受光用レンズ61にアナモフィックレンズを用いる場合と比べて、点灯する発光部52の違いによる受光部55の幅方向xの受光量分布の変化を抑制することができ、より高精度に定着ベルト35の表面状態を検知することが可能となる。
この実施例のレンズパラメーターを具体的に述べると、照射用レンズ58については、上記各実施例の場合と変化はない。受光用レンズ61については、幅方向xの曲率半径と幅方向xの円錐定数のみ上記実施例1の場合から変化しており、受光用レンズ61の幅方向xの曲率半径は∞、幅方向xの円錐定数は0となっている。
また、発光部52や受光部55の配置位置やピッチは、上記実施例2の場合と同じである。
図13A〜図13Dは、本実施例の反射型光学センサ42(反射型光学センサ42d)を示すものである。
図13Aは、反射型光学センサ42を幅方向xから見た側面図である。
図13Bは、図13Aの反射型光学センサ42を発光部52側から移動方向yに見た正面図である。
図13Cは、図13Aの反射型光学センサ42を受光部55側から移動方向yに見た背面図である。
図13Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を離隔方向zに見た平面図である。
上記各実施例の反射型光学センサ42では、照射用レンズ58と、受光用レンズ61とをそれぞれの所望の位置に配置することができるようなものとしていたが、この実施例では、照射用レンズ58と受光用レンズ61とが一体化されたレンズアレイ63を用いるようにしたところに、その特徴がある(なお、特に記載しないが、他の実施例でも同様に、レンズアレイ63を用いても良いのは勿論である)。
図13Aに示すように、反射型光学センサ42(反射型光学センサ42d)は、発光部52(発光部52d)と、この発光部52から放射された光45を導光して移動体(定着ベルト35)に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58(照射用レンズ58d)と、定着ベルト35(の光スポット46)から反射された反射光47を導光するように配置された受光用レンズ61(受光用レンズ61d)と、この受光用レンズ61によって導光された反射光47を受光する受光部55(受光部55d)と、を有している。
そして、発光部52と受光部55とは、同一の基板71によって支持(実装配置)されている。また、基板71と上記したレンズアレイ63とは、センサ本体64に保持されている。
この実施例によれば、上記したように、レンズアレイ63を用いることにより、各レンズ(照射用レンズ58と受光用レンズ61)を反射型光学センサ42に組み付ける作業の作業性を向上することができ、また、レンズ面間の配置精度を高めることができる。これにより、検出部出力の変動がより低減され、より高精度に定着ベルト35の表面状態を検知することが期待できる。
図14A〜図14Dは、本実施例の反射型光学センサ42(反射型光学センサ42e)を示すものである。
図14Aは、反射型光学センサ42を幅方向xから見た側面図である。
図14Bは、図14Aの反射型光学センサ42を発光部52側から移動方向yに見た正面図である。
図14Cは、図14Aの反射型光学センサ42を受光部55側から移動方向yに見た背面図である。
図14Dは、発光部52と受光部55とを支持する基板71を離隔方向zに見た平面図である。
この実施例では、上記各実施例の反射型光学センサ42に対し、遮光部65を設けるようにしたところに、その特徴がある(なお、特に記載しないが、他の実施例でも同様に、遮光部65を設けても良いのは勿論である)。
図14Aに示すように、反射型光学センサ42(反射型光学センサ42e)は、近赤外光を放射する発光部52(発光部52e)と、この発光部52から放射された光45を導光して移動体(定着ベルト35)に照射し、定着ベルト35の表面に光スポット46を形成させるように配置された照射用レンズ58(照射用レンズ58e)と、定着ベルト35(の光スポット46)から反射された反射光47を導光するように配置された受光用レンズ61(受光用レンズ61e)と、この受光用レンズ61で導光された反射光47を受光する受光部55(受光部55e)と、を有している。
そして、発光部52と受光部55とは、同じ基板71によって支持(実装配置)されている。また、基板71とレンズアレイ63とは、センサ本体64に保持されている。
本実施例では、フレア光を防止するために遮光部65が設けられる。
ここで、フレア光とは、光スポット46からの反射光47以外の光である。光スポット46からの反射光47以外の光とは、例えば、移動体表面の光スポット46以外の部分からの反射光47や、照射用レンズ58(出射している発光部52に対応する照射用レンズ58、または、出射している発光部52に対応していない別の照射用レンズ58)のレンズ面での反射光47などである。
この場合、遮光部65は、隣接する照射ユニット75の間を遮ることができるように設けられている。
より具体的には、対応する発光部52と照射用レンズ58との間の空間と、その外部の空間との間を仕切るために、上記各空間の境界部分などに対して適宜設けられる。
また、遮光部65は、照射部54と検出部57との間に設置されている。
上記した遮光部65は、枠状のセンサ本体64の内部に設けられた遮光壁としたり、厚板状のセンサ本体64に形成された開口部などとしたりすることができる。
なお、遮光部65とセンサ本体64とは、樹脂成形により一体化することができる。
このように、センサ本体64の内部に遮光部65を設けることによって、点灯する任意の発光部52(LED)に対応する照射用レンズ58以外の照射用レンズ58を透過して定着ベルト35に照射された光からの反射光や、点灯する任意の発光部52に対応する照射用レンズ58やその他の照射用レンズ58のレンズ面からの直接の反射光(以後、これらの光をフレア光という)が、受光部55に直接入射されることを防ぎ、より精度良く定着ベルト35の表面状態を検知することができる。
上記各実施例で示した反射型光学センサ42では、この実施例で説明するように、複数の発光部52(LED)を1個ずつ点灯/消灯を繰り返すいわゆる順次点灯を行うことで、複数の光スポット46を順次に照射させ、幅方向xにおける移動体(定着ベルト35などの定着部材)の表面の傷51の位置を正確に特定することができるように構成している。
ここで、発光部52を順次点灯させるとは、例えば、移動体(定着ベルト35)上に光スポット46を幅方向xの正の方向(例えば、左側から右側へ向かう方向)に走査させる場合には、1つの照射ユニット75内の発光部52を右端から順に1個ずつ点灯/消灯する動作を繰り返し、1つの照射ユニット75内で最も左端に位置する発光部52の点灯/消灯が終了したら、当該照射ユニット75の幅方向xの正側に隣接配置された照射ユニット75内の発光部52に対して、上記と同様に、右端から順に1個ずつ点灯/消灯する動作を繰り返すようにして行くようにする。これは、上記したように、照射ユニット75内の発光部52と、移動体(定着ベルト35)上に形成される光スポット46との対応関係が、幅方向xに対して逆転されていることによるものである。なお、図5A〜図5Dの実施例の場合には、発光部52を左側から右側に順番に1個ずつ点灯/消灯させるようにすれば良いのは勿論である。
そして、このような一連の動作を繰り返して、点灯しようとしている全ての発光部52が点灯/消灯すると、これを1周期として、上記した順次点灯を終了する。
このような、順次点灯を行うことにより、検知領域A内において、定着ベルト35上に照射形成される光スポット46を、幅方向xの正側へ向けて走査させることができる。
光スポット46が幅方向xの正側へ走査されている際の受光部55(PD)の動作について述べると、n番目の発光部52であるLED(n)の点灯に同期して、定着ベルト35からの反射光47を、複数個の受光部55が受光することになる。
ここでは簡単化のために、同時に受光する受光部55の数を偶数個(2m個)とし、2m個の受光部55で受光するものとする。ここで、mは整数である。次に、2m個の受光部55の選択方法について説明する。
なお、点灯/消灯する発光部52は、必ずしも左端から右端までの全てのもの(1からNまでのN個のもの)を用いる必要はなく、そのうちの任意のN'''個(N'''≦N)のものを用いるようにしても良い。
そして、n番目の発光部52であるLED(n)が点灯した際には、N'''個の受光部55の中で受光量が最大となる受光部55と、この受光部55(PD)の次に受光量が大きい受光部55とを抽出する。
おそらく、2つの受光部55は隣接配置されたものであり、これら2つの受光部55の幅方向xにおける中心をX=0とおくと、残りの2m(2)個の受光部55(PD)は、X=0±1.5l×P'''(l=1,2,・・・(m−1))の位置に配置されたものが抽出される。
2m個の受光部55で受光し、光電変換され、増幅された各受光部55からの検知信号48は、その都度、表面状態判定手段43へと送られる。
場合によっては検知精度を上げるために、複数周期に渡って上記した順次点灯を行い、それらの検知結果に対して平均値処理などを行うことができる。
上記複数個の発光部52(LED)の順次点灯は、表面状態判定手段43(制御部44)からの制御信号49に基づいて行われる。
この実施例は、上記各実施例の反射型光学センサ42に対し、複数個の発光部52(LED)を同時に点灯させることによって、複数の光スポット46を同時に照射させ、幅方向xに対する光走査のライン周期を短縮させるようにしたところに、その特徴がある。
例えば、上記した照射ユニット75の数を9とした場合、幅方向xの正側へ向かって順に照射ユニット75(1)、照射ユニット75(2)・・・、照射ユニット75(9)が配置されているとし、移動体(定着ベルト35などの定着部材)の表面状態を検知する際に、照射ユニット75(2)〜照射ユニット75(8)の発光部52(LED)を点灯させるものとする。この場合、各照射ユニット75内では、幅方向xの正側へ向かってLED(1)、LED(2)、LED(3)、LED(4)の順で4個の発光部52が配置されるものとする。ここで、例えば、照射ユニット75(2)の発光部52(3)をLED(2−3)などと呼ぶことにする。
図15Aに、LED(2−3)が点灯した際の、複数の受光部55(PD)における検出部出力の分布を示す。検出部出力は最大値で1となるように規定されており、受光部55(PD_1)〜(PD_4)と受光部55(PD_15)〜(PD_18)における検出部出力は0となっている。従って、LED(2−3)(またはLED2−2)を点灯した場合に、反射光47を受光する受光部55は10個であると考えれば良い。
そして、例えば、2個の発光部52を同時に点灯させる場合には、任意の1個の発光部52を点灯させた時に、その検知結果を得るのに用いられる10個の受光部55に、他の発光部52の点灯による反射光47が受光されないようにすることが必要となる。
従って、複数の発光部52を同時に点灯させる場合には、幅方向xに対してある程度離れた位置にある発光部52どうしを点灯させる必要がある。
図15Bに、LED(2−3)、LED(5−3)、LED(8−3)を同時に点灯した際における、複数の受光部55のそれぞれについての検出部出力の分布を示す。
この図によれば、十分に離れた位置の3個の発光部52を同時に点灯させるようにすることにより、発光部52を単独で点灯させた場合と同様の検出部出力を、3個同時に得ることができる。
図15Bに示す例では、
照射ユニット75(2、5、8)の発光部52(LED(1))、
照射ユニット75(2、5、8)の発光部52(LED(2))、
照射ユニット75(2、5、8)の発光部52(LED(3))、
照射ユニット75(2、5、8)の発光部52(LED(4))は同時点灯が可能であり、
照射ユニット75(3、6)の発光部52(LED(1))、
照射ユニット75(3、6)の発光部52(LED(2))、
照射ユニット75(3、6)の発光部52(LED(3))、
照射ユニット75(3、6)の発光部52(LED(4))は同時点灯が可能であり、
照射ユニット75(4、7)の発光部52(LED(1))、
照射ユニット75(4、7)の発光部52(LED(2))、
照射ユニット75(4、7)の発光部52(LED(3))、
照射ユニット75(4、7)の発光部52(LED(4))は同時点灯が可能であることが分かる。
このように、互いに十分に離れた位置にある複数個の発光部52を同時に点灯することによって、幅方向xに対する光走査のライン周期を短縮することができる。そして、ライン周期を短縮することができれば、定着ベルト35の搬送速度を上げることも可能となり、画像形成動作に要する時間を、これまでよりも短縮することが可能となる。
なお、照射ユニット75の構成は、同時に点灯する発光部52の関係を考慮して設定するのが好ましい。例えば、異なる照射ユニット75における、配置の同じ発光部52が同時に点灯されるようにする。この場合には、複数の光スポット46からの複数の反射光47が同じ受光部55によって同時に受光されないように、2つ置きに位置する照射ユニット75における、配置の同じ発光部52が同時に点灯されるように構成している。
上記複数個の発光部52(LED)の同時点灯は、表面状態判定手段43(制御部44)からの制御信号49に基づいて行われる。
上記した各実施例では、図16Aに示すように、移動体(定着ベルト35などの定着部材)に対して、光スポット46を、幅方向xへ並べて形成するようにしていたのに対し、この実施例では、図16Bに示すように、移動体(定着ベルト35)に対して、光スポット46を、幅方向xと移動方向yとに対して任意の角度で傾くように形成したところに、その特徴がある。
このように、光スポット46を傾斜して形成することにより、幅方向xに対する光スポット46の配列ピッチを小さくすることができる。
より具体的には、上記した各実施例では、反射型光学センサ42を、幅方向xへ向けて配置していたのに対し、この実施例では、反射型光学センサ42を、幅方向xと移動方向yとに対して傾くように配置する。
このように、反射型光学センサ42を傾斜配置することにより、上記したように、幅方向xに対する光スポット46の配列ピッチを小さくすることができる。
なお、図16Bでは、反射型光学センサ42を、45°傾けて配置するようにしている。
このように、反射型光学センサ42を、45°傾けることにより、検知領域A'の幅方向xの長さは、1/√2に短くなるが、光スポット46の幅方向xの配列ピッチも1/√2に小さくすることができるので、図16Aのように、反射型光学センサ42を、幅方向xに対して傾けない場合と比べて、検知結果の位置分解能を上げることができる。
但し、反射型光学センサ42の傾斜角度については、上記に限るものではなく、45°よりも小さく(0°〜45°)傾斜させても、或いは、45°よりも大きく(45°〜90°)傾斜させても良く、任意である。また、反射型光学センサ42は、図16Bでは、右下がりに傾斜させるようにしているが、左下がりに傾斜させるようにしても良い。
なお、上記では、反射型光学センサ42自体を直接傾斜させることによって、光スポット46を傾斜させるようにしていたが、それ以外に、例えば、反射型光学センサ42を幅方向xと平行に配置した状態にして、反射型光学センサ42の内部に発光部52を斜めに設置したり、照射用レンズ58によって光45を偏向させたりすることによって、光スポット46を傾斜させ、発光部52の配列方向の間隔よりも光スポット46の幅方向xの配列ピッチの方が狭くなるようにしても良い。
また、反射型光学センサ42の内部に発光部52を斜めに設置したり、照射用レンズ58によって光45を偏向させたりすることによって、光スポット46を傾斜させるようにした反射型光学センサ42を、更に傾斜配置するようにしても良い。
なお、反射型光学センサ42内部に発光部52を斜めに設置する場合には、各照射系(照射ユニット75)ごとに傾斜配置させるようにすることができる。
そして、この実施例では、上記各実施例で説明した反射型光学センサ42を、画像形成装置1(図1参照)の内部に設置するようにする。
このように、上記した反射型光学センサ42を、画像形成装置1に対して設置することにより、従来は不可能であった移動体(定着ベルト35などの定着部材)上の傷51のリアルタイム検知や、定着ベルト35上の傷51の位置や傷51の幅の検知などを可能にすることができる。
また、上記各実施例で説明したように、反射型光学センサ42用の受発光デバイス(発光部52や受光部55)と、反射型光学センサ42用の光学系(照射光学系53や受光光学系56)とを適正化することにより、被検物である移動体(定着ベルト35などの定着部材)上での隣接する光スポット46の間隔を維持しつつ定着ベルト35からの反射光47の強度を増大させて、定着ベルト35の表面の傷51に対する検知精度を向上させることができる。
この実施例では、上記した画像形成装置1内において、上記した各実施例の反射型光学センサ42を、図17A、図17B、図17Cに示すように、小サイズ(例えば、A4、A5、A6)の用紙(記録媒体S)の幅端部位置35sの近傍に設置するようにする。
これにより、検知領域Aの幅方向xの長さを短くした場合であっても、用紙の幅端部位置35sが検知領域A内に含まれるようにすることができる。
このように、検知領域Aが短くできることは、反射型光学センサ42を、特に、幅方向xに対して小型化することが可能になるというメリットがある。
一般に、傷51の幅は数100μm〜数mm程度であり、傷51の位置の変動範囲は数mm程度であることから、検知領域Aは、幅方向xに5mm〜15mm程度にするのが、反射型光学センサ42の小型化を図る上では好適となる。
一般に、画像形成装置1では、例えば、A3サイズ、A4サイズ、A5サイズなどの、複数サイズの用紙を使用することができるようになっている。
そして、最大通紙できる用紙は、一般に、A3の縦通紙であることが多いため、小サイズ用紙幅とは、A3用紙よりも小さい用紙サイズとなる。
仮に、A2の縦通紙が可能な画像形成装置1である場合には、A2用紙よりも小さい用紙サイズが、小サイズ用紙幅となる。
なお、反射型光学センサ42は、構造的には、最大通紙できる用紙の幅端部位置35sに配置することもできる。
また、小サイズの用紙の幅端部位置35sは両端に2箇所存在するため、反射型光学センサ42を、用紙の両幅端部位置35sに対して1個ずつ、即ち、幅方向xに計2個配置することもできるが、用紙の端面に起因する縦筋状の傷51は、用紙の両サイドに均等に発生すると共に、一般に、その傷レベルに大きな相違が見られないことから、幅端部位置35sのいずれか一方に対して設ければ十分である。
この実施例では、画像形成装置1内において、上記各実施例の反射型光学センサ42を、種々の用紙サイズに対応できるよう、図18に示すように、幅方向xの全域に及ぶように大きくしても良い。
例えば、A1の縦通紙が可能な画像形成装置1である場合に、A2サイズ、A3サイズ、A4サイズ、A5サイズ、B3サイズ、B4サイズ、B5サイズ、B6サイズなどの各用紙の幅端部位置35sが、反射型光学センサ42によって全て照射可能となるように、反射型光学センサ42を幅方向xに大きくする。
この実施例では、移動体として定着ベルト35などの定着部材を用いるようにする。
このように移動体として定着ベルト35を用いることにより、本実施例の反射型光学センサ42を用いて、精度良く定着ベルト35の表面状態を検出することが可能になる。
なお、移動体は、定着ローラ31などの定着部材であっても良い。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
補足説明として、反射型光学検知手段の形態は、本実施例に記載の反射型光学センサに限定されるものではない。要するに、定着ベルトの表面に対して主方向に複数の光スポットを照射でき、その反射光が受光できれば良い。
本実施例に記載の反射型光学センサは、複数のLEDと複数のPDとが1対1に対向するアレイタイプであるが、レーザを光偏向器で偏向し、定着ベルトの表面からの反射光を1つないしは複数のPDで受光するような光偏向タイプであっても良いし、あるいは、1つのLEDと1つのPDからなる光学センサを駆動手段により主方向に移動させるセンサ駆動タイプであっても良い。