JP2014056001A - 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに反射防止フィルムを備えたディスプレイ - Google Patents

反射防止フィルム及びその製造方法、並びに反射防止フィルムを備えたディスプレイ Download PDF

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【課題】優れた低反射性を示す反射防止フィルムを、所望の性能及び光学層の膜厚均一性を維持しながら、各光学層への微粒子の添加量を低減させ、安価にて製造する方法を提供する。
【解決手段】透明基材11の少なくとも一方の面に、順次、光学層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥及び硬化させ、少なくとも高屈折率層12と低屈折率層13とを順次積層し、高屈折率層形成用塗液に、該塗液中の不揮発成分100重量部に対して微粒子を10重量部未満添加し、塗膜の乾燥工程において、式:Pe=EH/Dで表されるペクレ数(E:塗膜の収縮速度、D/H:ブラウン拡散速度、D:ブラウン運動の拡散係数、H:形成した直後の塗膜のウエット膜厚)が、常に、1≦Pe≦100となるようにする反射防止フィルム1の製造方法、該製造方法にて製造される反射防止フィルム、該反射防止フィルムを備えたディスプレイ。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ等の表面での外光の反射を防止することを目的として設けられる反射防止フィルム及びその製造法、並びに該反射防止フィルムを備えたディスプレイに関する。特に本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、CRTディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面乃至内部に設けられる反射防止フィルム及びその製造方法、並びに該反射防止フィルムを備えたディスプレイに関する。
基材の表面に光学層を設けた反射防止フィルムは、光学部品として広く用いられている。従来から、かかる反射防止フィルムとして、透明基材の少なくとも一方の面に低屈折率層が形成された反射防止層、或いは高屈折率層と低屈折率層とがこの順に積層された反射防止層を設けたものが知られている。ここで、高屈折率層は基材の屈折率よりも高い屈折率を示す層であり、低屈折率層は高屈折率層よりも低い屈折率を示す層である(特許文献1)。
反射防止フィルムでは、低反射性を高めるために、例えば低屈折率層の屈折率を低くすることが必要となる。例えば、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を低屈折率層に分散することが知られている(特許文献2)。また、この反射防止フィルムでは、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃等)が光学フィルムの表面に付着することを防止したり、色特性・低反射性を高めるために、光学層に、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子や四級アンモニウム塩等が添加されている(特許文献2)。
また、反射防止フィルムの硬度を上昇させるために、シリカ微粒子等の無機の超微粒子を含むハードコート層を、透明基材の少なくとも一方の面に設けることも知られている(特許文献3)。
反射防止フィルムの製造方法として、塗膜を乾燥する工程の初期乾燥期間において、ペクレ数が1よりも小さくなる時間を7秒以上設ける方法が提案されている(特許文献4)。この方法では、1回の塗工工程で、複数層からなる液膜を同時に1回で塗工する多層同時塗工や、1回の塗工工程で、1層の液膜を複数回塗工及び乾燥する連続逐次塗工や、1回の塗工工程で、1層の液膜を複数回塗工し、次いで乾燥するウェットオンウェット塗工等は行われない。
特開2004−272197号公報 特開2004−272198号公報 特開2006−106427号公報 特開2011−065028号公報
しかしながら、上記のように諸特性を高めるために光学層に微粒子を添加した場合、光学層での膜厚変動が生じやすく、結果として反射光の干渉から反射防止フィルムの色見が面内で変動し、外観上劣るという問題がある。また、光学層の膜厚均一性を向上させるために微粒子の添加量を少なくすると、必要な特性を確保することができないという問題がある。或いは逆に、必要な特性を確保するために微粒子の添加量を多くすると、結果として面内の色見変化が上昇する、反射防止フィルムの光透過性が低下する等の問題がある。
本発明者は、前記課題を解決すべく反射防止フィルムについて鋭意検討を重ねた結果、以下に示す反射防止フィルムにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
ここで、一般に、粒子溶媒2成分系の塗液を用いた塗膜形成において、乾燥条件が塗膜構造に影響を与える。単純に直径が等しい1種類の粒子が単一溶媒塗膜内に分散している状態において、塗膜表面からの溶媒の蒸発(塗膜の収縮速度)が、塗膜中での溶媒のブラウン運動による拡散(ブラウン拡散速度)に比べて大きい場合、塗膜厚み方向の表面に粒子が集まり、塗膜内で粒子が不均一になりやすい。逆に、塗膜の収縮速度に比べてブラウン拡散速度が大きい場合、溶媒の拡散運動が効果を奏し、塗膜内で粒子が均一になりやすい。
塗膜の収縮速度E(m/s)とブラウン拡散速度D/H(m/s)との比を、一般にペクレ数と呼び、式(1):
Pe=EH/D ・・・(1)
で表される。ここで、D(m2/s)はブラウン運動の拡散係数であり、H(m)は形成した直後の塗膜のウエット膜厚である。塗液中の粒子半径をR(m)、塗液粘度をu(Pa・s)、塗液温度をT(K)、ボルツマン定数をkとすると、ブラウン運動の拡散係数Dは、式(2):
D=kT/6πuR ・・・(2)
で表されるので、ペクレ数Peは、式(3):
Pe=6πuEHR/kT ・・・(3)
で表される。
一般に、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子やATOといった微粒子と硬化性樹脂と溶媒とを含む光学層形成用の塗液は、直径が不均一な粒子の分散系であること、混合溶媒系であること、高分子の分散系であること等の違いはあるが、このような場合でも、ペクレ数という指標が、形成する光学層の構造を決め、結果として塗布後の面性に影響することが見出された。なお、この場合の粒子半径は、各光学層に含まれる微粒子の平均粒子径である。
したがって、本発明の反射防止フィルムの製造方法は、
透明基材の少なくとも一方の面に、順次、光学層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥及び硬化させ、
少なくとも高屈折率層と低屈折率層とを順次積層し、
前記光学層形成用塗液の1つである高屈折率層形成用塗液に、微粒子を、該高屈折率層形成用塗液中の不揮発成分100重量部に対して10重量部未満添加し、
前記塗膜の乾燥工程において、
式:Pe=EH/Dで表される、塗膜の収縮速度とブラウン拡散速度との比であるペクレ数
(ここで、
E:塗膜の収縮速度(単位面積あたりの塗膜の乾燥速度)(m/s)
D/H:ブラウン拡散速度(m/s)
D:ブラウン運動の拡散係数(m2/s)
H:形成した直後の塗膜のウエット膜厚(m)
である)
が、常に、1≦Pe≦100となるようにする
ことを特徴とする。このような製造方法により、優れた低反射性を示す反射防止フィルムを、光学層の膜厚均一性を維持しながら、安価にて製造することができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法において、前記ペクレ数が1未満である場合、微粒子は塗膜内で均一になるものの、微粒子の添加量が多くなるほか、ペクレ数を1未満に設定しようとすると、塗布可能な材料の選択幅を狭めてしまう。逆にペクレ数が100を超える場合、塗膜内での微粒子の不均一性が必要以上に高くなり、塗膜の膜厚均一性を維持することができず、結果として必要とされる反射防止性能が得られない。ペクレ数が、常に、1≦Pe≦100となるようにすることで、所望の性能を維持しつつ、微粒子の添加量を低減させ、各光学層の膜厚均一性を高めることが可能となる。
本発明の反射防止フィルムは、上記特定の製造方法により製造されるものであり、優れた低反射性を示す。
本発明のディスプレイは、上記反射防止フィルムを備えたものである。
本発明の反射防止フィルムの製造方法により、優れた低反射性を示す反射防止フィルムを、所望の性能及び光学層の膜厚均一性を維持しながら、各光学層への微粒子の添加量を低減させ、安価にて製造することができる。
本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図 本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図 本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図 スルホン基が導入された無定形炭素の粉末X線回折パターン スルホン基が導入された無定形炭素の13C MAS核磁気共鳴スペクトル
図1は、本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。本発明においては、透明基材11の少なくとも一方の面に、順次、光学層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥及び硬化させ、少なくとも高屈折率層12と低屈折率層13とを順次積層し、反射防止フィルム1を製造する。
本発明の反射防止フィルム1における透明基材11としては、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の諸物性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子化合物からなるものが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。中でも、トリアセチルセルロースは、複屈折率が小さく、透明性が良好であることから各種ディスプレイに対して好適に用いることができる。
さらに、これらの有機高分子化合物に公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより機能を付加させたものも使用できる。また、透明基材11は、前記有機高分子化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物、もしくは重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
透明基材11の厚みは15μm以上、200μm以下の範囲内にあることが好ましく、さらには20μm以上、80μm以下の範囲内にあることが好ましい。
透明基材11の少なくとも一方の面に高屈折率層12を形成するには、光学層形成用塗液として高屈折率層形成用塗液を用い、該高屈折率層形成用塗液の主剤には、電離放射線硬化型材料を用いることが好ましい。
電離放射線硬化型材料としては、例えばアクリル系材料が挙げられ、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等の単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及び(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステル等から合成される多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」および「メタクリル」の両方を示す。
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタン及びアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリレート化合物のうち、2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能の(メタ)アクリレート化合物のうち、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記アクリル系材料の中でも、所望する分子量、分子構造を設計することができ、形成される高屈折率層の物性のバランスを容易にとることが可能であるといった理由から、多官能ウレタンアクリレートを好適に用いることができる。多官能ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、UA−306H、UA−306T、UA−306l等(以上、共栄社化学(株)製)、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等(以上、日本合成化学工業(株)製)、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等(以上、新中村化学工業(株)製)、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等(根上工業(株)製)を挙げることができるが、この限りではない。
またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料は限定されない。
電離放射線硬化型材料は、例えば紫外線により硬化されるので、高屈折率層形成用塗液には、通常光重合開始剤を添加する。光重合開始剤は、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものであればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等の化合物を用いることができる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化型材料100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、さらに好ましくは1〜5重量部であればよい。
高屈折率層形成用塗液には、必要に応じて、溶媒を添加することができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等のエーテル類、また、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、及びγ−プチロラクトン等のエステル類、更には、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類の中から、塗工適正等を考慮して適宜選択することができる。
また高屈折率層形成用塗液には、その他の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば表面調整剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、硬化剤、泡消剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等が挙げられる。
さらに高屈折率層形成用塗液には、さらなる導電性向上、硬度上昇、屈折率上昇のために、微粒子を添加する。微粒子としては、金属単体、金属群からなる合金、酸化物、複酸化物、炭化物、錯体の微粒子が挙げられる。中でも、Ti、Sn、Sb、In、Zr、Znが好ましく、これらの金属群からなる合金、酸化物、複酸化物、炭化物、錯体の微粒子が好ましい。また、シリカ微粒子、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノホーン、スルホン基が導入された無定形炭素(以下、スルホン基導入無定形炭素という)等の炭素微粒子も好適に用いることができ、特に限定されるものではない。またこれらを組み合せて適宜添加してもよい。さらに四級アンモニウム塩といった導電性高分子化合物を適宜添加してもよい。
本発明においては、前記炭素微粒子の中でもスルホン基導入無定形炭素が好適に用いられる。
本明細書でいうスルホン基導入無定形炭素とは、スルホン基を有し、無定形炭素としての性質を示す物質であればどのようなものでもよい。無定形炭素とは、ダイヤモンドや黒鉛のような明確な結晶構造を有さない物質をいう。より具体的には、粉末X線回折において半値幅2θが5〜30°である炭素の(002)面のピークがブロードであり、13C MAS核磁気共鳴スペクトルは、130ppm付近に縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れ、140ppm付近にスルホン基が結合した縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れる物質を意味する。さらにはスルホン酸密度が1〜10mmol/gであるものが好ましい。
スルホン基導入無定形炭素は、有機化合物を濃硫酸又は発煙硫酸中で加熱処理し、重縮合、スルホン化して合成することができる。原料となる有機化合物としては、例えばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、コロネン等の芳香族炭化水素、グルコース、スクロース、セルロース等の天然高分子化合物、重油、ピッチ、タール中の多環式芳香族炭化水素、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル等の環状エーテル等が挙げられるが、特に限定はない。また、耐光性を向上させるために、ピリジン、ビペリジン、キノリン、アクリジン、ピリミジン、ビリタジン等の環状有機窒素化合物を用いてもよい。原料となる有機化合物は、これらの中から1種以上を適宜選択して用いることができる。
濃硫酸又は発煙硫酸中での有機化合物の加熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガスを流しながら行うことが好ましい。有機化合物の重縮合、スルホン化の程度は、用いる有機化合物により異なるが、反応時間、温度、反応雰囲気により調節することができる。反応時間は3〜50時間程度、反応温度は50〜450℃程度が好ましく、極性溶媒への分散性もこれにより調節することができる。高屈折率層形成用塗液として透明基材に塗布した後に、ケン化等により溶出しないようにするためには、反応時間は5〜30時間程度、反応温度は70〜350℃程度が好ましい。このようにして合成したスルホン基導入無定形炭素を純水で洗浄し、余分な硫酸を除去する。
スルホン基導入無定形炭素等の微粒子を高屈折率層形成用塗液に添加する際、その添加量は、高屈折率層形成用塗液に添加する前記電離放射線硬化型材料によっても異なるが、高屈折率層形成用塗液中の不揮発成分100重量部に対して0.01重量部以上、10重量部未満であることが好ましい。添加量が0.01重量部未満の場合、スルホン基導入無定形炭素等の微粒子により導電性が発現しにくくなる。添加量が10重量部以上の場合、反射防止フィルムの透明性が低下し、黄色みを帯びてしまう。
高屈折率層形成用塗液に添加される微粒子は、その粒子径が1nm以上、100nm以下であることが好ましい。粒子径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、高屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下する傾向にある。粒子径が1nm未満の場合、導電性向上、硬度上昇、屈折率上昇といった効果が充分に発現されない傾向にある。
高屈折率層12に積層するように低屈折率層13を形成するには、光学層形成用塗液として低屈折率層形成用塗液を用い、該低屈折率層形成用塗液には、LiF、MgF、3NaF・AlF又はAlF(いずれも、屈折率1.4)、Na3AlF6(氷晶石、屈折率1.33)等の低屈折率材料からなる低屈折率微粒子を添加することができる。また、粒子内部に空隙を有する微粒子を好適に用いることができる。粒子内部に空隙を有する微粒子は、空隙の部分が空気の屈折率(≒1)であるので、非常に低い屈折率を有する低屈折率微粒子とすることができる。具体的には、粒子内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子を好適に用いることができる。
前記低屈折率微粒子は、粒子径が1nm以上、100nm以下であることが好ましい。粒子径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、低屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下する傾向にある。一方、粒子径が1nm未満の場合、粒子の凝集による低屈折率層における粒子の不均一性等の問題が生じる恐れがある。
低屈折率層形成用塗液には、電離放射線硬化型材料を配合することが好ましい。該電離放射線硬化型材料としては、前記高屈折率層形成用塗液と同様に、電離放射線硬化型材料として例示したアクリル系材料を用いることができる。その他の溶剤や各種添加剤の種類、添加量等についても、高屈折率層形成用塗液と同様にすればよい。
また、低屈折率層形成用塗液には、高硬度化のために、また層同士のブロッキングを防止するために、適宜シリカ微粒子を添加してもよい。該シリカ粒子の粒子径は1nm以上、5000nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、1000nm以下である。粒子径が5000nmを超えると、シリカ微粒子が低屈折率層形成時に点欠陥として現れ、視認される恐れがある。一方粒子径が1nm未満であると、高硬度化や、層同士のブロッキングの防止効果が充分に発現されない傾向にある。シリカ微粒子の添加量は、低屈折率層形成用塗液中の不揮発成分100重量部に対して0.1〜1.0重量部程度であることが望ましい。
本発明においては、例えば、透明基材11の少なくとも一方の面に、電離放射線硬化型材料を含む高屈折率層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に対して紫外線照射を行って塗膜を乾燥、硬化させ、高屈折率層12を形成する。さらに該高屈折率層12上に、電離放射線硬化型材料を含む低屈折率層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に対して紫外線照射を行って塗膜を乾燥、硬化させ、低屈折率層13を形成する。
なお、適宜光学特性や電気伝導性の向上、高硬度化、色相調整のために、さらに光学層を、透明基材11と高屈折率層12との間、高屈折率層12と低屈折率層13との間に形成してもよい。例えば、図2は、本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断面図であり、該反射防止フィルム2では、透明基材21と高屈折率層23との間にハードコート層22が形成されており、高屈折率層23と低屈折率層24とが積層されている。
本発明においては、1回の塗工工程で、複数層からなる液膜を同時に1回で塗工する多層同時塗工や、1回の塗工工程で、1層の液膜を複数回塗工及び乾燥する連続逐次塗工や、1回の塗工工程で、1層の液膜を複数回塗工し、次いで乾燥するウェットオンウェット塗工等を行い、高屈折率層12と低屈折率層13とを同時に形成してもよい。
前記したように、本発明の製造方法では、塗膜の乾燥工程において、式:Pe=EH/Dで表されるペクレ数が、常に、1≦Pe≦100となるようにする。ペクレ数が1未満である場合、微粒子は塗膜内で均一になるものの、微粒子の添加量が多くなるほか、ペクレ数を1未満に設定しようとすると、塗布可能な材料の選択幅を狭めてしまう。逆にペクレ数が100を超える場合、塗膜内での微粒子の不均一性が必要以上に高くなり、塗膜の膜厚均一性を維持することができず、結果として必要とされる反射防止性能が得られない。ペクレ数が、常に、1≦Pe≦100となるようにすることで、所望の性能を維持しつつ、微粒子の添加量を低減させ、各光学層の膜厚均一性を高めることが可能となる。なお、塗膜の乾燥工程において、該ペクレ数が、常に、1≦Pe≦50となるようにすることが好ましい。
ペクレ数Peは、前記式(1)〜(3)のとおり、塗液粘度u、塗膜の収縮速度E、形成した直後の塗膜のウエット膜厚H、塗液中の粒子半径R及び塗液温度Tの関数である。よって、ペクレ数Peが、1≦Pe≦100となるように、適宜粘度コントロール剤、乾燥温度、溶剤の種類、不揮発成分濃度、添加粒子半径を調整することが好ましい。
光学層を形成するための光学層形成用塗液の塗布方法としては、例えばスプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法、インクジェット法等の既存の塗布方法が挙げられるが、特に限定はない。
高屈折率層及び低屈折率層の厚み(乾燥膜厚)は通常、屈折率nと厚みdとの積である光学膜厚n×dがそれぞれ、可視光波長λの概ね1/4、すなわちλ/4程度や、概ね1/2、すなわちλ/2程度となるように調整されることが好ましい。ただし、図3の概略断面図に示す反射防止フィルム3のように、透明基材31上に高屈折率層32と低屈折率層33とが順に積層され、反射防止フィルム3の強度を向上させるために、高屈折率層32がハードコート層として用いられる場合には、高屈折率層32を、通常1〜20μm程度の厚み(乾燥膜厚)にすることが好ましく、より好ましくは3〜10μm程度である。高屈折率層32の厚みが1μm未満であると、ハードコート層としての役割を果たすことが困難であり、逆に高屈折率層32の厚みが20μmを超えると、材料コストが上昇するほか、透明基材31のカール等が発生し、ハンドリング性が低下する恐れがある。
本発明のディスプレイは、かくして得られる反射防止フィルムを備えたものであり、例えば、反射防止フィルムと該反射防止フィルムの透明基材側に第1偏光板を備えた反射防止性偏光板、液晶セル、第2偏光板、バックライトユニット等を順に備えた透過型液晶ディスプレイ等が例示される。該透過型液晶ディスプレイでは、液晶セルは、反射防止性偏光板の透明基材側に保持されており、反射防止フィルム側がディスプレイ表面となる。
例えば前記透過型液晶ディスプレイは、前記以外の機能性部材を備えていてもよい。前記以外の機能性部材としては、例えば、バックライトから発せられる光を有効に使うための、拡散フィルム、プリズムシート、輝度向上フィルムや、液晶セルや偏光板の位相差を補償するための位相差フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施し得る。
<スルホン基導入無定形炭素の調製>
20gのナフタレンを300mLの96%濃硫酸に加え、この混合物に窒素ガスを30ml/minで吹き込みながら250℃で15時間加熱し、黒色の液体を得た。この液体を排気速度50L/min、到達圧力1.33Pa以下の高真空ロータリーポンプで真空排気しながら250℃で5時間加熱し、過剰の濃硫酸の除去と炭化の促進を行い、黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末を不活性気流中180℃で12時間加熱した後、透析にて洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸が、閃光燃焼法による元素分析計を用いた元素分析の検出限界以下になるまでこの操作を繰り返し、スルホン基導入無定形炭素を得た。得られたスルホン基導入無定形炭素の13C MAS核磁気共鳴スペクトルを、固体核磁気共鳴装置(型番:JNM−LA400、日本電子(株)製)にて測定した。その結果を図4に示す。図4に示すように、130ppm付近に縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れ、140ppm付近にスルホン基が結合した縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れた。なお、図4中でSSBと示したピークは、13C MAS核磁気共鳴スペクトルの測定で特徴的に観測されるスピニングサイドバンドであり、炭素種に由来するものではない。
得られたスルホン基導入無定形炭素の粉末X線回折パターンを、X線解析装置(型番:RINT ULTIMA III、(株)リガク製)にて測定した。その結果を図5に示す。図5に示すように、炭素の(002)面と(004)面の回折ピークが確認された。炭素の(002)面の回折ピークはブロードであり、半値幅2θは11°であった。また、このスルホン基導入無定形炭素のスルホン酸密度は4.8mmol/gであった。
<高屈折率層形成用塗液の調製>
(高屈折率層形成用塗液1)
以下の成分をメチルエチルケトンに溶解し、高屈折率層形成塗液1を調製した。
・ジペンタエリスリトールトリアクリレート 25重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25重量部
・ウレタンアクリレート 50重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製) 5重量部
・スルホン基導入無定形炭素 5重量部
(高屈折率層形成用塗液2)
以下の成分をメチルエチルケトンに溶解し、高屈折率層形成塗液2を調製した。
・ジペンタエリスリトールトリアクリレート 25重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25重量部
・ウレタンアクリレート 50重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製) 5重量部
・スルホン基導入無定形炭素 10重量部
(高屈折率層形成用塗液3)
以下の成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、高屈折率層形成塗液3を調製した。
・ジペンタエリスリトールトリアクリレート 25重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25重量部
・ウレタンアクリレート 50重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製) 5重量部
・スルホン基導入無定形炭素 5重量部
<低屈折率層形成用塗液の調製>
以下の成分を、溶媒であるメチルイソブチルケトン82重量部で希釈し、低屈折率層形成塗液を調製した。
・多孔質シリカ微粒子分散液 14.94重量部
(平均粒子径:50nm、固形分:20%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.99重量部
(商品名:DPEA−12、日本化薬(株)製)
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製) 0.07重量部
・アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル 0.20重量部
(商品名:TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製)
<ハードコート層形成用塗液の調製>
以下の成分をメチルエチルケトンに溶解し、ハードコート層形成塗液を調製した。
・ジペンタエリスリトールトリアクリレート 25重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25重量部
・ウレタンアクリレート 50重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製) 5重量部
(実施例1)
トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製、膜厚:80μm)の片面にハードコート層形成用塗液を塗布し、60℃で40秒間オーブンで乾燥した。これに、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製、光源Hバルブ)を用いて照射線量300mJ/m2で紫外線照射を行い、乾燥膜厚5μmの透明な高屈折率層(ハードコート層)を形成した。
前記ハードコート層の上に、高屈折率層形成用塗液1を塗布し、25℃で5秒間放置した後、60℃で60秒間オーブン乾燥した。これに、前記紫外線照射装置を用いて照射線量300mJ/m2で紫外線照射を行い、乾燥膜厚5μmの透明な高屈折率層を形成した。乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、1.6<Pe<69であった。
前記高屈折率層の上に、低屈折率層形成用塗液を塗布し、25℃で5秒間放置した後、80℃で60秒間オーブン乾燥した。これに、前記紫外線照射装置を用いて照射線量300mJ/m2で紫外線照射を行い、乾燥膜厚125nmの透明な低屈折率層を形成して反射防止フィルムを得た。乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、1.2<Pe<4.5であった。
(比較例1)
高屈折率層形成用塗液1を塗布し、25℃で30秒間放置した後、50℃で80秒間オーブン乾燥した以外は、実施例1と同様にして、トリアセチルセルロースフィルム上に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順に形成し、反射防止フィルムを得た。高屈折率層を形成した際の乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、0.8<Pe<54であった。
(比較例2)
高屈折率層形成用塗液2を使用した以外は、実施例1と同様にして、トリアセチルセルロースフィルム上に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順に形成し、反射防止フィルムを得た。高屈折率層を形成した際の乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、1.5<Pe<68であった。
(比較例3)
高屈折率層形成用塗液3を使用した以外は、実施例1と同様にして、トリアセチルセルロースフィルム上に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順に形成し、反射防止フィルムを得た。高屈折率層を形成した際の乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、0.09<Pe<32であった。
(比較例4)
低屈折率層形成用塗液を塗布して放置した後、100℃で80秒間オーブン乾燥した以外は、実施例1と同様にして、トリアセチルセルロースフィルム上に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順に形成し、反射防止フィルムを得た。低屈折率層を形成した際の乾燥工程におけるペクレ数Peは、常に、5<Pe<120であった。
実施例1及び比較例1〜4で得られた反射防止フィルムについて、以下の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
<平均視感反射率>
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面について、自動分光光度計(型番:U−4000,(株)日立製作所製)を用い、入射角5°における分光反射率を測定した。また、得られた分光反射率曲線から平均視感反射率を求めた。なお、測定の際には透明基材であるトリアセチルセルロースフィルムの表面のうち、低屈折率層が形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布し、反射防止の処置を行った。
<表面抵抗値>
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面の表面抵抗値を、JIS K 6911に記載の方法に準拠して測定した。
<全光線透過率及びヘイズ値>
得られた反射防止フィルムについて、写像性測定器(型番:NDH−2000、日本電色工業(株)製)を用い、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。
<面性>
得られた反射防止フィルムについて、低屈折率層表面に蛍光灯の光を反射させ、塗布スジ、ハジキ及び梨地の有無を目視にて観察し、これらがいずれも認められない場合を均一、いずれか1つでも認められた場合を不均一とした。
Figure 2014056001
実施例1で得られた反射防止フィルムは、ペクレ数が特定範囲内に維持されなかった比較例1、3及び4で得られた反射防止フィルムと比較して、特に平均視感反射率及びヘイズ値が小さく、また全光線透過率が高く、良好な性能を示した。また実施例1では、比較例2と比較して微粒子(スルホン基導入無定形炭素)の添加量が少ないにもかかわらず、実施例1で得られた反射防止フィルムは、比較例2で得られた反射防止フィルムと同等の性能を示した。微粒子の添加量が多かった比較例2の反射防止フィルムは、全光線透過率が低く、透明性が低下した。
本発明の製造方法にて製造される反射防止フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、CRTディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面乃至内部に好適に用いることができる。
1 反射防止フィルム
11 透明基材
12 高屈折率層
13 低屈折率層
2 反射防止フィルム
21 透明基材
22 ハードコート層
23 高屈折率層
24 低屈折率層
3 反射防止フィルム
31 透明基材
32 高屈折率層(=ハードコート層)
33 低屈折率層

Claims (3)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、順次、光学層形成用塗液を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥及び硬化させ、
    少なくとも高屈折率層と低屈折率層とを順次積層し、
    前記光学層形成用塗液の1つである高屈折率層形成用塗液に、微粒子を、該高屈折率層形成用塗液中の不揮発成分100重量部に対して10重量部未満添加し、
    前記塗膜の乾燥工程において、
    式:Pe=EH/Dで表される、塗膜の収縮速度とブラウン拡散速度との比であるペクレ数
    (ここで、
    E:塗膜の収縮速度(単位面積あたりの塗膜の乾燥速度)(m/s)
    D/H:ブラウン拡散速度(m/s)
    D:ブラウン運動の拡散係数(m2/s)
    H:形成した直後の塗膜のウエット膜厚(m)
    である)
    が、常に、1≦Pe≦100となるようにすることを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法にて製造される反射防止フィルム。
  3. 請求項2に記載の反射防止フィルムを備えたディスプレイ。
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