JP2014055650A - 四節リンク機構型無段変速機 - Google Patents

四節リンク機構型無段変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】振動の発生や軸受の負荷を抑えることができる四節リンク機構型無段変速機を提供する。
【解決手段】四節リンク機構型無段変速機は、入力軸と、出力軸と、複数のてこクランク機構と、一方向回転阻止機構とを備える。てこクランク機構は、回転半径調節機構と、揺動リンクと、コネクティングロッドとを備える。てこクランク機構は、次式(1)及び次式(2)を満たすように、Lp,R1,R2,Lconが設定される。
Lp+R1−R2<Lcon<Lp−R1+R2 ・・・(1)
Lp+R1=Lcon+R2 ・・・(2)
【選択図】図7

Description

本発明は、入力軸に設けられた回転半径調節機構で入力軸側の回転運動の半径を調節することにより変速自在な四節リンク機構型無段変速機に関する。
従来、車両に設けられたエンジン等の走行用駆動源からの駆動力が伝達される入力軸と、入力軸と平行に配置された出力軸と、複数のてこクランク機構とを備える四節リンク機構型の無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のてこクランク機構は、入力軸に設けられた回転半径調節機構と、出力軸に揺動自在に軸支される揺動リンクと、一方の端部に回転半径調節機構に回転自在に外嵌される入力側環状部を有し、他方の端部が揺動リンクの揺動端部に連結されるコネクティングロッドとで構成される。
回転半径調節機構は、中心から偏心して穿設された貫通孔を有する円盤状の回転ディスクと、貫通孔の内周面に設けられたリングギアと、入力軸に固定されリングギアに噛合する第1ピニオンと、調節用駆動源からの駆動力が伝達されるキャリアと、キャリアで自転及び公転自在に夫々軸支されると共にリングギアに夫々噛合する2つの第2ピニオンとで構成される。第1ピニオンと2つの第2ピニオンは、それらの中心軸線を頂点とする三角形が正三角形となるように配置されている。
そして、走行用駆動源で回転する入力軸と調節用駆動源で回転するキャリアとの回転速度が同一の場合は、入力軸の入力中心軸線に対する回転ディスクの中心点の偏心量は維持され、回転半径調節機構の回転軌跡の半径も一定のまま維持される。走行用駆動源で回転する入力軸と調節用駆動源で回転するキャリアとの回転速度が異なる場合は、入力軸の入力中心軸線に対する回転ディスクの中心点の偏心量が変化し、回転半径調節機構の回転軌跡の半径も変化する。
そして、回転半径調節機構の回転軌跡の半径が変化することにより、揺動リンクの揺動端部の振れ幅も変化して、変速比を切り換え、入力軸に対する出力軸の回転速度を制御する。
特開2012−1048号公報
四節リンク機構型無段変速機は、各回転半径調節機構の偏心方向が異なっている。このため、コネクティングロッドや回転半径調節機構の重さによって、入力軸や出力軸に偏った荷重が掛かり易く、振動の発生や軸受の負荷が大きくなるといった問題がある。
本発明は、以上の点に鑑み、振動の発生や軸受の負荷を抑えることができる四節リンク機構型無段変速機を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、走行用駆動源からの駆動力が伝達される入力軸と、前記入力軸と平行に配置された出力軸と、前記出力軸に揺動自在に軸支される揺動リンクを有し、前記入力軸の回転運動を前記揺動リンクの揺動運動に変換する複数のてこクランク機構と、前記揺動リンクと前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸に対して一方側に相対回転しようとするときに前記出力軸に該揺動リンクを固定し、他方側に相対回転しようとするときに前記出力軸に対して該揺動リンクを空転させる一方向回転阻止機構とを備え、前記てこクランク機構が、前記入力軸側の回転運動の半径を調節自在な回転半径調節機構と、該回転半径調節機構と前記揺動リンクとを連結するコネクティングロッドとを備えた無段変速機であって、前記回転半径調節機構と前記コネクティングロッドとの連結部分の中心を入力側支点とし、前記揺動リンクと前記コネクティングロッドとの連結部分の中心を出力側支点とし、前記入力軸の入力中心軸線と前記出力軸の出力中心軸線との間の距離をLp、前記回転半径調節機構の偏心量が所定の偏心量のときの前記入力中心軸線と前記入力側支点との間の距離をR1、前記出力中心軸線と前記出力側支点との間の距離をR2、前記入力側支点と前記出力側支点との間の距離をLconとして、これらLp,R1,R2,Lconが、次式(1)及び次式(2)を満たすように設定されることを特徴とする。
Lp+R1−R2<Lcon<Lp−R1+R2 ・・・(1)。
Lp+R1=Lcon+R2 ・・・(2)。
本発明によれば、入力軸と出力軸と軸間方向における入力側支点の移動量が最も大きくなるときの、軸間方向における出力側支点の移動量を抑えることができる。これにより、揺動リンクの揺動角を小さくすることができ、入力軸等の軸受に加わる荷重を低減し、振動や騒音を低減することができる。
[2]また、本発明において、所定の偏心量は、回転半径調節機構の最大偏心量とすることができる。回転半径調節機構が最大偏心量であるときは、揺動リンクの移動が最も速くなる。したがって、最大偏心量のときに、式(1)、式(2)を満たすように、Lp,R1,R2,Lconを設定すれば、入力軸等の軸受に加わる荷重の低減効果や、振動や騒音の低減効果を最も得られる。
[3]また、本発明において、所定の偏心量は、車両が平坦な路を最大速度で走行するとき(トップドライブ状態)の変速比に対する偏心量とすることができる。
燃費が最も良くなるのは回転半径調節機構の偏心量が最大のときであるが、車両が平坦な路を最大速度で走るときの回転半径調節機構の偏心量は最大のときではないのが一般的である。そして、車両が平坦な路を最大速度で走行するときの変速比に対する偏心量は、エンジン特性等から予め求めることができる。従って、上述の如く所定の偏心量をトップドライブ状態の変速比に対応させておけば、車両が最大速度で走行するときに合わせて、入力軸等の軸受に加わる荷重の低減効果や、振動や騒音の低減効果を得ることができる。
本発明の無段変速機の一実施形態を示す断面図。 本実施形態の回転半径調節機構、コネクティングロッド、揺動リンクを軸方向から示す説明図。 本実施形態の回転半径調節機構の回転半径の変化を説明する説明図。 本実施形態の回転半径調節機構の回転半径の変化と、揺動リンクの揺動運動の揺動角θの関係を示す説明図であり、(a)は回転半径が最大、(b)は回転半径が中、(c)は回転半径が小であるときの揺動リンクの揺動運動の揺動角を夫々示している。 本実施形態の回転半径調節機構の回転半径の変化に対する、揺動リンクの角速度ωの変化を示すグラフ。 本実施形態の無段変速機において、夫々60度ずつ位相を異ならせた6つのてこクランク機構により出力軸が回転される状態を示すグラフ。 本実施形態のてこクランク機構を構成する回転半径調節機構、コネクティングロッド、揺動リンクの夫々の長さ、及び入力軸と出力軸との軸間距離の関係を示す説明図。 軸間方向への移動量Xに対する揺動角の差を示す説明図。
以下、本発明の四節リンク機構型無段変速機の実施形態を説明する。本実施形態の四節リンク機構型無段変速機は、変速比i(i=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)を無限大(∞)にして出力軸の回転速度を「0」にできる変速機、所謂インフィニティ・バリアブル・トランスミッション(Infinity Variable Transmission(IVT))の一種である。
図1及び図2を参照して、本実施形態の四節リンク機構型無段変速機1は、図示省略した内燃機関であるエンジンや電動機等の走行用駆動源からの回転駆動力を受けることで入力中心軸線P1を中心に回転する中空の入力軸2と、入力軸2に平行に配置され、図外のデファレンシャルギアやプロペラシャフト等を介して車両の駆動輪(図示省略)に回転動力を伝達させる出力軸3と、入力軸2に設けられた6つの回転半径調節機構4とを備える。
各回転半径調節機構4は、カムディスク5と、回転ディスク6とを備える。カムディスク5は、円盤状であり、入力中心軸線P1から偏心して入力軸2と一体的に回転するように入力軸2に2個1組で夫々設けられている。各1組のカムディスク5は、夫々位相を60度異ならせて、6組のカムディスク5で入力軸2の周方向を一回りするように配置されている。また、各1組のカムディスク5には、カムディスク5を受け入れる受入孔6aを備える円盤状の回転ディスク6が偏心させて回転自在に外嵌されている。
回転ディスク6は、カムディスク5の中心点をP2、回転ディスク6の中心点をP3として、入力中心軸線P1と中心点P2の距離Raと、中心点P2と中心点P3の距離Rbとが同一となるように、カムディスク5に対して偏心している。
回転ディスク6の受入孔6aには、1組のカムディスク5の間に位置させて内歯6bが設けられている。入力軸2には、1組のカムディスク5の間に位置させて、カムディスク5の偏心方向に対向する個所に内周面と外周面とを連通させる切欠孔2aが形成されている。
中空の入力軸2内には、入力軸2と同心に配置され、回転ディスク6と対応する個所に外歯7aを備えるピニオンシャフト7が入力軸2と相対回転自在となるように配置されている。ピニオンシャフト7の外歯7aは、入力軸2の切欠孔2aを介して、回転ディスク6の内歯6bと噛合する。
ピニオンシャフト7には、差動機構8が接続されている。差動機構8は、遊星歯車機構で構成されており、サンギア9と、入力軸2に連結された第1リングギア10と、ピニオンシャフト7に連結された第2リングギア11と、サンギア9及び第1リングギア10と噛合する大径部12aと、第2リングギア11と噛合する小径部12bとから成る段付きピニオン12を自転及び公転自在に軸支するキャリア13とを備える。
サンギア9には、ピニオンシャフト7用の電動機から成る調節用駆動源14の回転軸14aが連結されている。調節用駆動源14の回転速度を入力軸2の回転速度と同一にすると、サンギア9と第1リングギア10とが同一速度で回転することとなり、サンギア9、第1リングギア10、第2リングギア11及びキャリア13の4つの要素が相対回転不能なロック状態となって、第2リングギア11と連結するピニオンシャフト7が入力軸2と同一速度で回転する。
調節用駆動源14の回転速度を入力軸2の回転速度よりも遅くすると、サンギア9の回転数をNs、第1リングギア10の回転数をNR1、サンギア9と第1リングギア10のギア比(第1リングギア10の歯数/サンギア9の歯数)をjとして、キャリア13の回転数が(j・NR1+Ns)/(j+1)となる。そして、サンギア9と第2リングギア11のギア比((第2リングギア11の歯数/サンギア9の歯数)×(段付きピニオン12の大径部12aの歯数/小径部12bの歯数))をkとすると、第2リングギア11の回転数が{j(k+1)NR1+(k−j)Ns}/{k(j+1)}となる。
カムディスク5が固定された入力軸2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とが同一である場合には、回転ディスク6はカムディスク5と共に一体に回転する。入力軸2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とに差がある場合には、回転ディスク6はカムディスク5の中心点P2を中心にカムディスク5の周縁を回転する。
図2に示すように、回転ディスク6は、カムディスク5に対して距離Raと距離Rbとが同一となるように偏心されているため、回転ディスク6の中心点P3を入力中心軸線P1と同一軸線上に位置するようにして、入力中心軸線P1と中心点P3との距離、即ち偏心量R1を「0」とすることもできる。
回転ディスク6の周縁には、一方の端部に大径の大径環状部15aを備え、他方の端部に大径環状部15aの径よりも小径の小径環状部15bを備えるコネクティングロッド15の大径環状部15aが、ボールベアリングからなるコンロッド軸受16を介して回転自在に外嵌されている。出力軸3には、一方向回転阻止機構としての一方向クラッチ17を介して、揺動リンク18がコネクティングロッド15に対応させて6個設けられている。
一方向回転阻止機構としての一方向クラッチ17は、揺動リンク18と出力軸3との間に設けられ、出力軸3に対して一方側に相対回転しようとするときに出力軸3に揺動リンク18を固定し、他方側に相対回転しようとするときに出力軸3に対して揺動リンク18を空転させる。揺動リンク18は、一方向クラッチ17によって出力軸3に対して空転する状態のときに、出力軸3に対して揺動自在となる。
揺動リンク18は、環状に形成されており、その上方には、コネクティングロッド15の小径環状部15bに連結される揺動端部18aが設けられている。揺動端部18aには、小径環状部15bを軸方向で挟み込むように突出した一対の突片18bが設けられている。一対の突片18bには、小径環状部15bの内径に対応する貫通孔18cが穿設されている。貫通孔18c及び小径環状部15bには、連結ピン19が挿入されている。これにより、コネクティングロッド15と揺動リンク18とが連結される。
図3は、回転半径調節機構4の偏心量R1を変化させた状態のピニオンシャフト7と回転ディスク6との位置関係を示す。図3(a)は偏心量R1を「最大」とした状態を示しており、入力中心軸線P1と、カムディスク5の中心点P2と、回転ディスク6の中心点P3とが一直線に並ぶように、ピニオンシャフト7と回転ディスク6とが位置する。このときの変速比iは最小となる。
図3(b)は偏心量R1を図3(a)よりも小さい「中」とした状態を示しており、図3(c)は偏心量R1を図3(b)よりも更に小さい「小」とした状態を示している。変速比iは、図3(b)では図3(a)の変速比iよりも大きい「中」となり、図3(c)では図3(b)の変速比iよりも大きい「大」となる。図3(d)は偏心量R1を「0」とした状態を示しており、入力中心軸線P1と、回転ディスク6の中心点P3とが同心に位置する。このときの変速比iは無限大(∞)となる。本実施形態の無段変速機1は、回転半径調節機構4で偏心量R1を変えることにより、入力軸2側の回転運動の半径を調節自在としている。
図2に示すように、本実施形態の回転半径調節機構4、コネクティングロッド15、揺動リンク18はてこクランク機構20(四節リンク機構)を構成する。そして、てこクランク機構20によって、入力軸2の回転運動が揺動リンク18の揺動運動に変換される。本実施形態の無段変速機1は合計6個のてこクランク機構20を備えている。偏心量R1が「0」でないときに、入力軸2を回転させると共に、ピニオンシャフト7を入力軸2と同一速度で回転させると、各コネクティングロッド15が60度ずつ位相を変えながら、偏心量R1に基づき入力軸2と出力軸3との間で出力軸3側に押したり、入力軸2側に引いたりを交互に繰り返して揺動する。
コネクティングロッド15の小径環状部15bは、出力軸3に一方向クラッチ17を介して設けられた揺動リンク18に連結されているため、揺動リンク18がコネクティングロッド15によって押し引きされて揺動すると、揺動リンク18が押し方向側又は引張り方向側の何れか一方に揺動リンク18が回転するときだけ、出力軸3が回転し、揺動リンク18が他方に回転するときには、出力軸3に揺動リンク18の揺動運動の力が伝達されず、揺動リンク18が空回りする。各回転半径調節機構4は、60度毎に位相を変えて配置されているため、出力軸3は各回転半径調節機構4で順に回転させられる。
図4(a)は偏心量R1が図3(a)の「最大」である場合(変速比iが最小である場合)、図4(b)は偏心量R1が図3(b)の「中」である場合(変速比iが中である場合)、図4(c)は偏心量R1が図3(c)の「小」である場合(変速比iが大である場合)の、回転半径調節機構4の回転運動に対する揺動リンク18の揺動範囲θを示している。図4から明らかなように、偏心量R1が小さくなるにつれ、揺動リンク18の揺動範囲θが狭くなる。尚、偏心量R1が「0」であるときは、揺動リンク18は揺動しなくなる。また、本実施形態では、揺動リンク18の揺動端部18aの揺動範囲θのうち、入力軸2に最も近い位置を内死点、入力軸2から最も離れる位置を外死点とする。
図5は、無段変速機1の回転半径調節機構4の回転角度θを横軸、揺動リンク18の角速度ωを縦軸として、回転半径調節機構4の偏心量R1の変化に伴う角速度ωの変化の関係を示す。図5から明らかなように、偏心量R1が大きい(変速比iが小さい)ほど揺動リンク18の角速度ωが大きくなることが分かる。
図6は、60度ずつ位相を異ならせた6つの回転半径調節機構4を回転させたとき(入力軸2とピニオンシャフト7とを同一速度で回転させたとき)の回転半径調節機構4の回転角度θ1に対する、各揺動リンク18の角速度ωを示している。図6から、6つのてこクランク機構20により出力軸3がスムーズに回転されることが分かる。
次に、図7を参照して、本実施形態のてこクランク機構20について更に詳しく説明する。
回転半径調節機構4とコネクティングロッド15との連結部分の中心、即ち、回転ディスク6の中心点P2を入力側支点とし、揺動リンク18とコネクティングロッド15との連結部分の中心、即ち、連結ピン19の中心軸線を出力側支点とし、入力軸2の入力中心軸線P1と出力軸3の中心軸線である出力中心軸線との間の距離をLp、回転半径調節機構4の偏心量が所定の偏心量(本実施形態では、最大偏心量とする)のときの入力中心軸線P1と入力側支点である中心点P2との間の距離をR1、出力軸3の出力中心軸線と出力側支点である連結ピン19の中心軸線との間の距離をR2、入力側支点と出力側支点との間の距離、換言すれば、コネクティングロッド15の長さ、をLconとして、てこクランク機構20は、次式(1)及び次式(2)を満たすように、Lp,R1,R2,Lconが設定される。
Lp+R1−R2<Lcon<Lp−R1+R2 ・・・(1)。
Lp+R1=Lcon+R2 ・・・(2)。
これにより、図7に示すように、LpとR1の成す角が直角となるとき、LconとR2の成す角が直角となる。また、LpとR1の成す角が直角となるときが、入力側支点が入力軸2と出力軸3との軸間方向への移動量が最も大きくなる。そして、図8に示すように、入力軸2と出力軸3との軸間方向への移動量をXとして、同一の移動量Xだけ軸間方向に揺動リンク18の揺動端部18aを移動させる場合、LpとR2の成す角が直角となる位置に近いほど、揺動リンク18の揺動角を小さくできる。
上述したように、式(1)、式(2)を満たすように、Lp,R1,R2,Lconを設定した場合、LpとR1の成す角が直角となるとき、LconとR2の成す角が直角となってLpとR2の成す角が直角に近づく。従って、揺動リンク18の揺動角を小さくすることができ、入力軸2や出力軸3、及びコネクティングロッド15の軸受に加わる荷重を低減し、振動や騒音を低減することができる。
尚、本実施形態においては、一方向回転阻止機構として、一方向クラッチ17を用いているが、本発明の一方向回転阻止機構は、これに限らず、揺動リンク18から出力軸3にトルクを伝達可能な揺動リンク18の出力軸3に対する回転方向を切換自在に構成される二方向クラッチ(ツーウェイクラッチ)で構成してもよい。
また、本実施形態においては、回転半径調節機構4として、入力軸2と一体に回転するカムディスク5と、回転ディスク6とを備えるものを説明したが、本発明の回転半径調節機構4は、これに限らない。例えば、回転半径調節機構を、中心から偏心して穿設された貫通孔を有する円盤状の回転ディスクと、貫通孔の内周面に設けられたリングギアと、入力軸に固定されリングギアに噛合する第1ピニオンと、調節用駆動源からの駆動力が伝達されるキャリアと、キャリアで自転及び公転自在に夫々軸支されると共にリングギアに夫々噛合する2つの第2ピニオンとで構成してもよい。
また、本実施形態においては、所定の偏心量を最大偏心量として説明したが、本発明の所定の偏心量はこれに限らない。例えば、所定の偏心量を、車両が平坦な路を走行するときに最も速い速度を出す状態(トップドライブ状態)のときの変速比に対応する偏心量としてもよい。
これは、車両が最も速く走るときの偏心量が必ずしも最大偏心量のときとは限らないためである。トップドライブ状態のときの偏心量は、エンジン特性等に基いて予め求めることができる。従って、上述の如く所定の偏心量をトップドライブ状態の変速比に対応させておけば、車両が最大速度で走行するときに合わせて、入力軸等の軸受に加わる荷重の低減効果や、振動や騒音の低減効果を得ることができる。
1 無段変速機
2 入力軸
2a 切欠孔
3 出力軸
4 回転半径調節機構
5 カムディスク
6 回転ディスク
6a 受入孔
6b 内歯
7 ピニオンシャフト
7a 外歯
8 差動機構(遊星歯車機構)
8a 差動機構ケース
9 サンギア
10 第1リングギア
11 第2リングギア
12 段付きピニオン
12a 大径部
12b 小径部
13 キャリア
14 調節用駆動源(電動機)
14a 回転軸
15 コネクティングロッド
15a 大径環状部
15b 小径環状部
15c 潤滑油孔
16 コンロッド軸受
17 一方向クラッチ(一方向回転阻止機構)
18 揺動リンク
18a 揺動端部
18b 突片
18c 貫通孔
19 連結ピン
20 てこクランク機構(四節リンク機構)
21 油路パイプ
21a 吐出孔
22 境界平面
30 変速機ケース
32 一端壁部
34 他端壁部
36 ボルト
40 周壁部
42 一端入力側軸受
44 一端入力側固定部
46 一端出力側軸受
48 一端出力側固定部
50 一端側切欠部
52 径方向側切欠部
54 軸間切欠部
56 周壁側切欠部
58 樹脂
P1 入力中心軸線
P2 カムディスクの中心点
P3 回転ディスクの中心点
Ra P1とP2の距離
Rb P2とP3の距離
R1 偏心量(P1とP3の距離)
θ1 回転半径調節機構の回転角度
θ 揺動範囲。

Claims (3)

  1. 走行用駆動源からの駆動力が伝達される入力軸と、
    前記入力軸と平行に配置された出力軸と、
    前記出力軸に揺動自在に軸支される揺動リンクを有し、前記入力軸の回転運動を前記揺動リンクの揺動運動に変換する複数のてこクランク機構と、
    前記揺動リンクと前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸に対して一方側に相対回転しようとするときに前記出力軸に該揺動リンクを固定し、他方側に相対回転しようとするときに前記出力軸に対して該揺動リンクを空転させる一方向回転阻止機構とを備え、
    前記てこクランク機構が、前記入力軸側の回転運動の半径を調節自在な回転半径調節機構と、該回転半径調節機構と前記揺動リンクとを連結するコネクティングロッドとを備えた無段変速機であって、
    前記回転半径調節機構と前記コネクティングロッドとの連結部分の中心を入力側支点とし、前記揺動リンクと前記コネクティングロッドとの連結部分の中心を出力側支点とし、前記入力軸の入力中心軸線と前記出力軸の出力中心軸線との間の距離をLp、前記回転半径調節機構の偏心量が所定の偏心量のときの前記入力中心軸線と前記入力側支点との間の距離をR1、前記出力中心軸線と前記出力側支点との間の距離をR2、前記入力側支点と前記出力側支点との間の距離をLconとして、
    Lp,R1,R2,Lconが、次式(1)及び次式(2)を満たすように設定されることを特徴とする四節リンク機構型無段変速機。
    Lp+R1−R2<Lcon<Lp−R1+R2 ・・・(1)
    Lp+R1=Lcon+R2 ・・・(2)
  2. 請求項1記載の四節リンク機構型無段変速機であって、
    前記所定の偏心量は、前記回転半径調節機構の最大偏心量であることを特徴とする四節リンク機構型無段変速機。
  3. 請求項1記載の四節リンク機構型無段変速機であって、
    前記所定の偏心量は、車両が平坦な路を最大速度で走行するときの変速比に対する偏心量であることを特徴とする四節リンク機構型無段変速機。
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