JP2014054895A - 車両用フリクション検出装置及び車両用フリクション検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪の制動力を算出する制動力算出部40と、制動力算出部40が算出した制動力に基づいて制動力フリクションを算出する制動力フリクション算出部48と、車輪の駆動力を算出する駆動力算出部42と、駆動力算出部42が算出した駆動力に基づいて駆動力フリクションを算出する駆動力フリクション算出部50と、制動力フリクション算出部48が算出した制動力フリクションと、駆動力フリクション算出部50が算出した駆動力フリクションを合算して、サスペンションに発生するフリクションを検出する総フリクション算出部56を備え、サスペンションに発生するフリクションを、各サスペンションに対して個別に検出する。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載されている技術では、車両に作用する横力に基づき、ショックアブソーバに生じるフリクションを検出して、サスペンションに発生するフリクションを検出する。そして、検出したフリクションを用い、車両の挙動を制御するための指令値を算出する。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、サスペンションに発生するフリクションを、車両の走行状態に応じて適切に検出することが可能な、車両用フリクション検出装置及び車両用フリクション検出方法を提供することを目的とする。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の車両用フリクション検出装置1を備える車両Vの概略構成を示すブロック図である。
図1中に示すように、車両用フリクション検出装置1を備える車両Vは、Gセンサ2と、ヨーレートセンサ4と、操舵角センサ6と、ドライバブレーキ液圧センサ8と、アクセル開度センサ10を備える。これに加え、車両Vは、シフトポジションセンサ12と、ストロークセンサ14と、モードスイッチ16と、車輪速センサ18と、制駆動力コントローラ20と、ブレーキペダル22と、マスタシリンダ24を備える。さらに、車両Vは、ブレーキアクチュエータ26と、動力コントロールユニット28と、動力ユニット30と、ホイールシリンダ32と、車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)と、サスペンションSPを備える。
バネ上上下加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体のバネ上部分における上下方向への加速度を検出する。そして、検出した加速度を含む情報信号(以降の説明では、「バネ上上下加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
横加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体の横方向(車幅方向)への加速度(以降の説明では、「実測横加速度」と記載する場合がある)を検出する。そして、検出した実測横加速度を含む情報信号(以降の説明では、「実測横加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
ヨーレートセンサ4は、車両Vのヨーレート(車体が旋回する方向への回転角の変化速度)を検出し、検出したヨーレートを含む情報信号(以降の説明では、「ヨーレート信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
また、操舵角センサ6は、中立位置を基準とした操舵操作子の現在の回転角度(操舵操作量)である、現在操舵角を検出する。そして、操舵角センサ6は、検出した現在操舵角を含む情報信号(以降の説明では、「現在操舵角信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
シフトポジションセンサ12は、シフトノブやシフトレバー等、車両Vのギヤ位置(例えば、「P」、「D」、「R」等)を変更する部材の位置を検出する。そして、検出した位置を含む情報信号(以降の説明では、「ギヤ位置信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
なお、図1中では、右前輪WFRの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18FRと示し、左前輪WFLの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18FLと示す。同様に、図1中では、右後輪WRRの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18RRと示し、左後輪WRLの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18RLと示す。また、以降の説明においても、各車輪Wや各車輪速センサ18を、上記のように示す場合がある。
また、制駆動力コントローラ20は、入力される各種の情報信号に基づいて後述する各種の処理を行い、ブレーキアクチュエータ26及び動力ユニット30を制御するための指示信号(制動力指令値、駆動力指令値)を出力する。
ブレーキペダル22は、車両Vの運転者が制動操作を行う際に踏込むペダルであり、運転者によるペダル踏力を、マスタシリンダ24に伝達する。
また、ブレーキアクチュエータ26は、ABS制御が作動しているか否かを示すフラグ情報信号(以降の説明では、「ABS作動フラグ信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。なお、ABSとは、「Antilocked Braking System」の略称である。
なお、車両Vが備えるシステムとは、例えば、先行車追従走行制御を行なうシステムであり、車両Vと先行車との車間距離を、車両Vの車速に応じた距離に制御するためのシステムである。
動力コントロールユニット28は、制駆動力コントローラ20から入力を受けた駆動力指令値に応じて、動力ユニット30が発生させる駆動力を制御する。なお、本実施形態では、後述するように、動力ユニット30を、エンジンを用いて形成するため、動力コントロールユニット28は、エンジンが発生させる駆動力に関する値(例えば、駆動トルク、回転数、トランスミッションのギヤ比)を制御する。
また、動力コントロールユニット28は、前輪及び後輪に対するトルクの制御値(トルクコントロール値)を含む情報信号(以降の説明では、「トルクコントロール信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
また、動力コントロールユニット28は、動力ユニット30(エンジン)が発生させている現在のトルク(エンジントルク)を含む情報信号(以降の説明では、「現在トルク信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
ホイールシリンダ32は、ディスクブレーキを構成するブレーキパッド(図示せず)を、各車輪Wと一体に回転するディスクロータ(図示せず)に押し付けるための押圧力を発生する。
また、サスペンションSPは、具体的に、車体と各車輪W側の部材とを連結するリンク部材と、各車輪Wと車体との相対運動を緩衝させるバネと、各車輪Wと車体との相対運動を減衰させるショックアブソーバを有する。
次に、図1を参照しつつ、図2から図11を用いて、フリクション検出ブロック34の構成を説明する。
図2は、フリクション検出ブロック34の概略構成を示すブロック図である。
図2中に示すように、フリクション検出ブロック34は、制動力算出部40と、駆動力算出部42と、サスペンション状態算出部44と、サスペンション横力算出部46を備える。これに加え、フリクション検出ブロック34は、制動力フリクション算出部48と、駆動力フリクション算出部50と、サスペンション状態フリクション算出部52と、横力フリクション算出部54と、総フリクション算出部56を備える。
図3中に示すように、制動力算出部40は、ブレーキ液圧合算部58と、ブレーキ液圧値選択部60と、車輪制動力算出部62を備える。
ここで、ブレーキ液圧合算部58、ブレーキ液圧値選択部60及び車輪制動力算出部62で行なう処理は、各車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)に対して個別に行なう。
なお、VDC液圧信号が含む指令値に応じた液圧を他の液圧に合算する際には、例えば、モードスイッチ16が出力したモード状態信号を参照する。そして、VDCの制御が「ON」である状態がモード状態信号に含まれている場合のみ、VDC液圧信号が含む指令値に応じた液圧を他の液圧に合算する処理を行ってもよい。
以上により、制動力算出部40は、各車輪Wに対し、その制動力を個別に算出する。
図4中に示すように、駆動力算出部42は、推定トルク算出部64と、トルク値選択部66と、車輪駆動力算出部68を備える。
ここで、推定トルク算出部64、トルク値選択部66及び車輪駆動力算出部68で行なう処理は、各車輪Wに対して個別に行なう。
推定トルク算出部64は、アクセル開度センサ10から、アクセル開度信号(図中では、「アクセル開度」と示す)の入力を受ける。また、推定トルク算出部64は、動力コントロールユニット28から、現在トルク信号(図中では、「現在エンジントルク」と示す)と、トルクコントロール信号(図中では、「トルクコントロール機能」と示す)の入力を受ける。
以上により、駆動力算出部42は、各車輪Wに対し、その駆動力を個別に算出する。
図5中に示すように、サスペンション状態算出部44は、バネ上側積分処理部70と、バネ下側積分処理部72と、上下加速度加減算処理部74を備える。これに加え、サスペンション状態算出部44は、ストローク速度積分処理部76と、ストローク速度微分処理部78と、車輪ストローク選択部80と、車輪ストローク速度選択部82を備える。
ここで、車輪ストローク選択部80は、例えば、ストロークセンサ14に故障等の異常が発生している場合に、推定ストローク量をサスペンションSPのストローク量として選択する処理を行う。
以上により、サスペンション状態算出部44は、各サスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL、サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に対し、そのストローク位置を個別に算出する。
また、サスペンション状態算出部44は、各サスペンションSPに対し、そのストローク速度を個別に算出する。
図6中に示すように、サスペンション横力算出部46は、車両状態算出部84と、横加速度選択部86と、第一車輪サスペンション横力算出部88と、第二車輪サスペンション横力算出部90と、横力決定部92を備える。
ここで、車両状態算出部84、横加速度選択部86、第一車輪サスペンション横力算出部88、第二車輪サスペンション横力算出部90、横力決定部92で行なう処理は、各サスペンションSPに対して個別に行なう。
車両状態算出部84は、車輪速センサ18から、車両Vの速度(車速)を検出するための車輪Wの回転速度を含む車輪速信号(図中では、「車速」と示す)の入力を受ける。また、車両状態算出部84は、操舵角センサ6から現在操舵角信号(図中では、「舵角」と示す)の入力を受ける。
ここで、推定横加速度の算出は、入力を受けた車速と操舵角を、予め記憶している運動方程式に代入して行なう。なお、運動方程式は、例えば、車両Vの構成が二輪駆動車(2WD)の場合と、四輪駆動車(4WD)の場合の二通りを記憶させておく。
ここで、横加速度選択部86は、例えば、Gセンサ2(横加速度センサの機能を有するブロック)に故障等の異常が発生している場合に、推定横加速度を車体の横方向の加速度として選択する処理を行う。
横力決定部92は、第一個別車輪横力信号が含む横力と、第二個別車輪横力信号が含む横力のうち少なくとも一方に基づき、各サスペンションSP別の横力を算出する。そして、算出した各サスペンションSP別の横力を含む情報信号(以降の説明では、「各輪横力信号」と記載する場合がある)を、横力フリクション算出部54へ出力する。
以上により、サスペンション横力算出部46は、各サスペンションSPに対し、その横力を個別に算出する。
駆動力フリクション算出部50は、駆動力算出部42から入力を受けた個別車輪駆動力信号が含む駆動力を、予め記憶している駆動力フリクション算出マップに適合させる。これにより、駆動力によって、各サスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「駆動力フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、駆動力によりサスペンションSPに発生するフリクションを、「駆動力フリクション」と記載する場合がある。
サスペンション状態フリクション算出部52は、サスペンション状態算出部44から入力を受けたサスペンションストローク位置信号が含むストローク位置を、予め記憶しているストローク位置フリクション算出マップに適合させる。これにより、サスペンション状態フリクション算出部52は、ストローク位置に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「ストローク位置フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、ストローク位置に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを、「ストローク位置フリクション」と記載する場合がある。
なお、上述した制動力フリクション算出マップ、駆動力フリクション算出マップ、ストローク位置フリクション算出マップ、ストローク速度フリクション算出マップ、横力フリクション算出マップは、台上走行や路上走行等で計測したデータを用いて形成する。ここで、台上走行とは、例えば、シャシーダイナモメーター(chassis dynamometer)上の走行である。
次に、図1から図11を参照しつつ、図12を用いて、乗り心地制御ブロック36の構成を説明する。
図12は、乗り心地制御ブロック36の概略構成を示すブロック図である。
図12中に示すように、乗り心地制御ブロック36は、乗り心地制御側車両挙動算出部94と、乗り心地制御側目標フリクション算出部96と、乗り心地制御側制駆動力配分算出部98と、制動力指令値算出部100と、駆動力指令値算出部102を備える。
そして、乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、推定上下挙動と、各輪総フリクションと、車速を用いて、乗り心地制御用各輪目標フリクションを算出する。
さらに、乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、乗り心地制御用各輪目標フリクションと各輪総フリクションとの差分値である乗り心地制御用フリクション差分値を算出する。そして、算出した乗り心地制御用フリクション差分値を含む情報信号(以降の説明では、「乗り心地制御用フリクション差分値信号」と記載する場合がある)を、乗り心地制御側制駆動力配分算出部98へ出力する。
そして、乗り心地制御側制駆動力配分算出部98は、推定ヨーレート、各輪総フリクション及び乗り心地制御用各輪目標フリクションを用いて、乗り心地制御側制駆動力配分を算出する。
制動力指令値算出部100は、乗り心地制御側制駆動力配分算出部98から入力を受けた乗り心地制御側制駆動力配分信号が含む制駆動力配分のうち、車輪Wの制動力の配分を用いて、制動力指令値を算出する。そして、算出した制動力指令値を、ブレーキアクチュエータ26へ出力する。
駆動力指令値算出部102は、乗り心地制御側制駆動力配分算出部98から入力を受けた乗り心地制御側制駆動力配分信号が含む制駆動力配分のうち、車輪Wの駆動力の配分を用いて、駆動力指令値を算出する。そして、算出した駆動力指令値を、動力コントロールユニット28へ出力する。
次に、図1から図12を参照しつつ、図13を用いて、操縦安定性制御ブロック38の構成を説明する。
図13は、操縦安定性制御ブロック38の概略構成を示すブロック図である。
図13中に示すように、操縦安定性制御ブロック38は、推定前後力算出部104と、操縦安定性制御側車両挙動算出部106と、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108を備える。これに加え、操縦安定性制御ブロック38は、操縦安定性制御側制駆動力配分算出部110と、制動力指令値算出部100と、駆動力指令値算出部102を備える。
また、推定前後力算出部104は、算出した推定前後力を含む情報信号(以降の説明では、「推定前後力信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側車両挙動算出部106へ出力する。
また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、車速と現在操舵角を用いて、車両Vのロールレートの推定値である推定ロールレートを算出する。そして、算出した推定ロールレートを含む情報信号(以降の説明では、「推定ロールレート信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108へ出力する。なお、推定ロールレートを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。
また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、推定前後力を用いて、車両Vのピッチレートの推定値である推定ピッチレートを算出する。そして、算出した推定ピッチレートを含む情報信号(以降の説明では、「推定ピッチレート信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108へ出力する。なお、推定ピッチレートを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。
そして、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、推定ロールレートと、推定ピッチレートと、各輪総フリクションと、車速を用いて、操縦安定性制御用各輪目標フリクションを算出する。
さらに、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、操縦安定性制御用各輪目標フリクションと各輪総フリクションとの差分値である操縦安定性制御用フリクション差分値を算出する。そして、算出した操縦安定性制御用フリクション差分値を含む情報信号(以降の説明では、「操縦安定性制御用フリクション差分値信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側制駆動力配分算出部110へ出力する。
ここで、操縦安定性制御側制駆動力配分とは、車両Vに発生する上屋挙動を緩和させるための、車輪Wの制動力と車輪Wの駆動力との配分である。すなわち、操縦安定性制御側制駆動力配分は、操縦安定性制御用各輪目標フリクション(目標値)に対する各車輪Wのフリクション(実際値)の過不足分を補正するために、車輪Wの制動力及び駆動力を制御するための配分である。
制動力指令値算出部100は、操縦安定性制御側制駆動力配分算出部110から入力を受けた操縦安定性制御側制駆動力配分信号が含む操縦安定性制御側制駆動力配分のうち、車輪Wの制動力の配分を用いて、制動力指令値を算出する。そして、算出した制動力指令値を、ブレーキアクチュエータ26へ出力する。なお、操縦安定性制御ブロック38が備える制動力指令値算出部100は、乗り心地制御ブロック36が備える制動力指令値算出部100と共用してもよく、また、別個の構成としてもよい。
次に、図1から図13を参照しつつ、図14から図18を用いて、本実施形態の車両用フリクション検出装置1を用いて行なう動作の一例を説明する。
図14は、車両用フリクション検出装置1を用いて行なう動作のフローチャートである。なお、車両用フリクション検出装置1は、予め設定したサンプリング時間(例えば、50[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図14中に示すように、車両用フリクション検出装置1が処理を開始(START)すると、まず、ステップS100において、車両Vの状態を示す情報を取得する処理(図中に示す「車両状態取得」)を行う。ステップS100において、車両Vの状態を示す情報を取得する処理を行うと、車両用フリクション検出装置1が行なう処理は、ステップS200へ移行する。
一方、ステップS300において、フリクション検出ブロック34で各輪総フリクションを算出しない(図中に示す「No」)と判定した場合、車両用フリクション検出装置1が行なう処理は、ステップS100の処理へ復帰する。
図15は、車両用フリクション検出装置1を用いて行なう動作のうち、車両Vの挙動を算出する処理、すなわち、上述したステップS200で行なう処理を示すフローチャートである。
図15中に示すように、車両Vの挙動を算出する処理を開始(START)すると、まず、ステップS210において、制動力算出部40により、各車輪Wの制動力を算出する処理(図中に示す「各輪制動力算出」)を行う。さらに、個別車輪制動力信号を制動力フリクション算出部48へ出力する処理を行う。ステップS210において、各車輪Wの制動力を算出する処理と、個別車輪制動力信号を制動力フリクション算出部48へ出力する処理を行うと、車両Vの挙動を算出する処理は、ステップS220へ移行する。
図16中に示すように、左前輪WFLの制動力を算出する処理では、ドライバブレーキ制動力[N]と、付加機能ブレーキ制動力[N]と、VDC制動力[N]を合算する処理を行う。さらに、ABS作動フラグが「ON」の状態では、上述した各制動力[N]の合算値を「0」とする処理を行う。以上の処理により、左前輪WFLの制動力の合算値(図中では、「総制動力[N]」と示す)を算出する。
図17は、車両用フリクション検出装置1を用いて行なう動作のうち、フリクション検出ブロック34で総フリクションを算出する処理、すなわち、上述したステップS400で行なう処理を示すフローチャートである。
図17中に示すように、総フリクションを算出する処理を開始(START)すると、まず、ステップS410の処理を行う。
ステップS410では、制動力フリクション算出部48により、制動力フリクションを算出する処理(図中に示す「制動力フリクション算出」)を行う。ステップS410において、制動力フリクションを算出する処理を行うと、総フリクションを算出する処理は、ステップS412へ移行する。
一方、ステップS412において、ステップS410で算出した制動力フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、総フリクションを算出する処理は、ステップS420へ移行する。
ステップS420では、駆動力フリクション算出部50により、駆動力フリクションを算出する処理(図中に示す「駆動力フリクション算出」)を行う。ステップS420において、駆動力フリクションを算出する処理を行うと、総フリクションを算出する処理は、ステップS422へ移行する。
一方、ステップS422において、ステップS420で算出した駆動力フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、総フリクションを算出する処理は、ステップS430へ移行する。
ステップS432では、ステップS430で算出したストローク位置フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「加算許可?」)を行う。ここで、ステップS432で行なう処理では、例えば、Gセンサ2やストロークセンサ14に故障等が発生している場合に、ステップS430で算出したストローク位置フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可しないと判定する。
一方、ステップS432において、ステップS430で算出したストローク位置フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、総フリクションを算出する処理は、ステップS440へ移行する。
ステップS442では、ステップS440で算出したストローク速度フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「加算許可?」)を行う。ここで、ステップS442で行なう処理では、例えば、Gセンサ2やストロークセンサ14に故障等が発生している場合に、ステップS440で算出したストローク速度フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可しないと判定する。
一方、ステップS442において、ステップS440で算出したストローク速度フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、総フリクションを算出する処理は、ステップS450へ移行する。
ステップS452では、ステップS450で算出した横力フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「加算許可?」)を行う。ここで、ステップS452で行なう処理では、例えば、Gセンサ2に故障等が発生している場合に、ステップS450で算出した横力フリクションを、総フリクションへ加算する演算を許可しないと判定する。
一方、ステップS452において、ステップS450で算出した横力フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、総フリクションを算出する処理は、ステップS410の処理へ復帰(RETURN)する。
図18中に示すように、総フリクション[N]を算出する処理では、制動力フリクション[N]と、駆動力フリクション[N]を合算する処理を行う。これに加え、総フリクション[N]を算出する処理では、ストローク位置フリクション[N]と、ストローク速度フリクション[N]と、横力フリクション[N]を合算する処理を行う。なお、図18中に示す総フリクション[N]は、左前輪WFL等、一つの車輪Wのみの総フリクションである。したがって、図18中に示す制動力フリクション[N]は、図16中に示す総制動力[N]に対応する。
また、上述したサスペンション状態フリクション算出部52は、ストローク位置フリクション算出部と、ストローク速度フリクション算出部に対応する。
また、上述したように、本実施形態の車両用フリクション検出装置1の動作で実施する車両用フリクション検出方法は、算出した制動力フリクションと算出した駆動力フリクションを合算して、サスペンションSPに発生するフリクションを検出する方法である。
本実施形態の車両用フリクション検出装置1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)総フリクション算出部56が、制動力フリクション算出部48が算出した制動力フリクションと、駆動力フリクション算出部50が算出した駆動力フリクションとを合算して、サスペンションSPに発生するフリクションを検出する。そして、サスペンションSPに発生するフリクションを、各サスペンションSPに対して個別に検出する。
その結果、車両Vの走行状態に応じて適切に検出した、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となり、車両Vの走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うことが可能となる。
これにより、車両Vの乗り心地や操縦安定性の低下を抑制することが可能となる。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの走行時に変化するサスペンションSPのストローク位置に基づいて、サスペンションSPに発生するフリクションを適切に検出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPのストローク位置に基づいて車両Vの走行状態に応じた検出精度を向上させた、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの走行時に変化するサスペンションSPのストローク速度に基づいて、サスペンションSPに発生するフリクションを適切に検出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPのストローク速度に基づいて車両Vの走行状態に応じた検出精度を向上させた、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの旋回走行時においてサスペンションSPに作用する横力に基づいて、サスペンションSPに発生するフリクションを適切に検出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPに作用する横力に基づいて車両Vの走行状態に応じた検出精度を向上させた、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
このため、横力が作用しにくい直進走行時等においても、車輪Wの制動力及び駆動力により、サスペンションSPが入力を受ける前後力に基づいて、サスペンションSPに発生するフリクションを適切に検出することが可能となる。
その結果、車両Vの走行状態に応じて適切に検出した、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出し、車両Vの挙動制御をより適切に行い、車両Vの乗り心地や操縦安定性の低下を抑制することが可能となる。
(1)本実施形態では、動力ユニット30を、エンジンを用いて形成したが、動力ユニット30の構成は、これに限定するものではない。すなわち、動力ユニット30を、例えば、モータを用いて形成してもよく、また、エンジン及びモータを用いて形成してもよい。
20 制駆動力コントローラ
34 フリクション検出ブロック
36 乗り心地制御ブロック
38 操縦安定性制御ブロック
40 制動力算出部
42 駆動力算出部
44 サスペンション状態算出部
46 サスペンション横力算出部
48 制動力フリクション算出部
50 駆動力フリクション算出部
52 サスペンション状態フリクション算出部
54 横力フリクション算出部
56 総フリクション算出部
100 制動力指令値算出部
102 駆動力指令値算出部
V 車両
W 車輪
SP サスペンション
Claims (5)
- 車体と車輪とを連結するサスペンションに発生するフリクションを、各サスペンションに対して個別に検出する車両用フリクション検出装置であって、
前記車輪の制動力を算出する制動力算出部と、
前記制動力算出部が算出した制動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである制動力フリクションを算出する制動力フリクション算出部と、
前記車輪の駆動力を算出する駆動力算出部と、
前記駆動力算出部が算出した駆動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである駆動力フリクションを算出する駆動力フリクション算出部と、
前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクションと、前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションと、を合算して、前記サスペンションに発生するフリクションを算出する総フリクション算出部と、を備えることを特徴とする車両用フリクション検出装置。 - 前記サスペンションのストローク位置を算出するストローク位置算出部と、
前記ストローク位置算出部が算出したストローク位置に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションであるストローク位置フリクションを算出するストローク位置フリクション算出部と、を備え、
前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記ストローク位置フリクション算出部が算出したストローク位置フリクションを合算して、前記サスペンションに発生するフリクションを検出することを特徴とする請求項1に記載した車両用フリクション検出装置。 - 前記サスペンションのストローク速度を算出するストローク速度算出部と、
前記ストローク速度算出部が算出したストローク速度に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションであるストローク速度フリクションを算出するストローク速度フリクション算出部と、を備え、
前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記ストローク速度フリクション算出部が算出したストローク速度フリクションを合算して、前記サスペンションに発生するフリクションを検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両用フリクション検出装置。 - 前記サスペンションの横力を算出するサスペンション横力算出部と、
前記サスペンション横力算出部が算出した横力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである横力フリクションを算出するサスペンション横力フリクション算出部と、を備え、
前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記サスペンション横力フリクション算出部が算出した横力フリクションを合算して、前記サスペンションに発生するフリクションを検出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した車両用フリクション検出装置。 - 車体と車輪とを連結するサスペンションに発生するフリクションを、各サスペンションに対して個別に検出する車両用フリクション検出方法であって、
前記車輪の制動力を算出し、
前記算出した制動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである制動力フリクションを算出し、
前記車輪の駆動力を算出し、
前記算出した駆動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである駆動力フリクションを算出し、
前記算出した制動力フリクションと駆動力フリクションを合算して、前記サスペンションに発生するフリクションを検出することを特徴とする車両用フリクション検出方法。
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