JP2014054588A - ダイヘッド - Google Patents

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木 孝 青
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Abstract

【課題】塗布液の供給配管へのエア混入を抑制するとともに、塗布液の吐出の応答性を向上させることができるダイヘッドを提供する。
【解決手段】ダイヘッド10は、一対の本体ブロック12、14のうち一方の本体ブロック12に設けられ、流路(供給流路)19内の塗布液を吸引するとともに吸引された塗布液を流路19に戻すシリンダ機構30と、一対の本体ブロック12、14における塗布液の流路19に設けられたバルブ44と、を備えている。バルブ44は、塗布液の流れ方向におけるシリンダ機構30よりも上流側において一対の本体ブロック12、14に取り付けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、帯状の基材等の被塗布物に塗布液を供給するためのダイヘッドに関する。
従来から、帯状の基材等の被塗布物に塗布液を塗布するにあたり、ダイコート方式が広く用いられている。ダイコート方式とは、ダイヘッドから塗布液を吐出させながら、被塗布物およびダイヘッドのうちいずれか一方を他方に対して相対的に移動させることにより、被塗布物に塗布液を供給してコーティングするシステムである。ダイヘッドの構成について具体的に説明すると、一対の板状部材の間に塗布液の流路を形成し、シリンダ機構等の送液装置を用いてこの流路に塗布液を送り込むことにより、一対の板状部材の先端部の間に形成されたスリットから塗布液が吐出され、塗布液が被塗布物に面形成されて転移される。このようなダイコート方式による塗布液の塗布方法として、例えば特許文献1等に開示されるものが知られている。
従来のダイコート方式による塗布液の塗布方法について図5を用いて簡単に説明する。図5に示すように、ダイヘッド80には当該ダイヘッド80に塗布液を供給するための供給配管81の一端が接続されており、この供給配管81の他端は塗布液を貯留する液タンク88に接続されている。また、図5に示すように、供給配管81の途中箇所には三方弁82が設けられており、この三方弁82にはシリンダ機構84が接続されている。図5に示す例では、三方弁82およびシリンダ機構84により送液装置が構成されている。そして、シリンダ機構84により供給配管81内の塗布液が引き抜かれ、その後、引き抜かれた塗布液をシリンダ機構84によって供給配管81に戻すことにより、この供給配管81を介してダイヘッド80へ塗布液が供給されるようになっている。
また、特許文献2には、ダイヘッドに一軸偏心ねじポンプを取り付け、この一軸偏心ねじポンプによりダイヘッドからの塗布液の吐出を制御する技術が開示されている。
特開2004−195345号公報 特開2009−6225号公報
しかしながら、図5に示すような従来のダイコート方式では、液タンク88から送液装置(具体的には、三方弁82)までの配管、および送液装置からダイヘッド80までの配管がそれぞれ必要となり、図5に示すような例ではこれらの配管が長いため当該配管にエアが混入しやすくなるという問題がある。また、これらの配管が長い分だけ塗布液の吐出の応答性が悪くなるという問題がある。
また、特許文献2に開示されるようなダイヘッドでは、一軸偏心ねじポンプによりダイヘッドからの塗布液の吐出を制御する際に、一軸偏心ねじポンプのロータを逆回転させる必要があり、塗布液の吐出の応答性が悪くなるという問題がある。また、特許文献2に開示されるようなダイヘッドでは、一軸偏心ねじポンプがダイヘッドに直接取り付けられているため、このような一軸偏心ねじポンプで発生する振動がダイヘッドに伝わってしまうという問題がある。すなわち、ダイヘッドでは被塗布物に対する塗布液の吐出を精密に行う必要があるが、一軸偏心ねじポンプで発生する振動がダイヘッドに伝わってしまうと、塗布液の吐出を精密に行うことができないという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、塗布液の供給配管へのエア混入を抑制するとともに、塗布液の吐出の応答性を向上させることができるダイヘッドを提供することを目的とする。
本発明のダイヘッドは、被塗布物に塗布液を供給するためのダイヘッドであって、一対の本体ブロックであって、少なくとも一方の本体ブロックには塗布液が通過する流路が設けられ、一対の本体ブロックの先端部の間に形成されたスリットから塗布液が吐出されるようになっている一対の本体ブロックと、前記一対の本体ブロックのうち一方の本体ブロックに設けられ、前記流路内の塗布液を吸引するとともに吸引された塗布液を前記流路に戻すシリンダ機構と、前記一対の本体ブロックにおける塗布液の供給流路に設けられたバルブと、を備え、前記バルブは、塗布液の流れ方向における前記シリンダ機構よりも上流側の箇所において前記一対の本体ブロックに取り付けられている。
このようなダイヘッドによれば、バルブを一対の本体ブロックに取り付けることにより、このバルブと一対の本体ブロックとの間の距離を実質的に0とすることができるため、塗布液の供給配管へのエア混入を抑制するとともに、塗布液の吐出の応答性を向上させることができる。
本発明のダイヘッドにおいては、前記バルブは二方弁であってもよい。
この際に、前記二方弁は自動二方弁であり、前記自動二方弁を制御するための制御部を更に備えていてもよい。
本発明のダイヘッドにおいては、前記シリンダ機構は、シリンダ容器と、前記シリンダ容器内を往復移動するようになっているピストン部材と、を有しており、前記シリンダ機構により吸引された塗布液は、前記ピストン部材を前記シリンダ容器内に押し込むことにより前記流路内に戻すことができるようになっていてもよい。
本発明のダイヘッドによれば、塗布液の供給配管へのエア混入を抑制するとともに、塗布液の吐出の応答性を向上させることができる。
本発明の実施の形態によるダイヘッドが設けられた塗布システムの構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態によるダイヘッドの構成を示す斜視図である。 図2に示すダイヘッドにおけるシリンダ機構の動作を示す図である。 本発明の実施の形態によるダイヘッド、および従来のダイヘッドによる塗布液の吐出の応答性をそれぞれ示すグラフである。 従来のダイヘッドが設けられた塗布システムの構成を示す概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は、本実施の形態によるダイヘッドおよびこのダイヘッドが設けられた塗布システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態によるダイヘッドが設けられた塗布システムの構成を示す概略図であり、図2は、本実施の形態によるダイヘッドの構成を示す斜視図であり、図3は、図2に示すダイヘッドにおけるシリンダ機構の動作を示す図である。
本実施の形態の塗布システムにおいて、図1に示すように、ダイヘッド10には当該ダイヘッド10に塗布液を供給するための供給配管42の一端が接続されており、この供給配管42の他端は塗布液を貯留する液タンク46に接続されている。また、供給配管42にはバルブ44が設けられている。ここで、バルブ44は、例えば二方自動弁からなる。このようなバルブ44は、ダイヘッド10における一対の本体ブロック12、14(後述)に取り付けられている。
次に、図2および図3を用いて本実施の形態によるダイヘッド10の構成の詳細について説明する。
図2に示すように、本実施の形態によるダイヘッド10は、一対の剛性の本体ブロック12、14を備えており、これらの一対の本体ブロック12、14には塗布液の流路(マニホールド)18が設けられている。また、図2に示すように、塗布液の流路18に連通するよう供給流路19が設けられており、図1に示す供給配管42から塗布液が供給流路19に供給されるようになっている。供給流路19を介して流路18に送られた塗布液は、第1の本体ブロック12の先端部(下端部)と第2の本体ブロック14の先端部(下端部)との間に形成されたスリット20を介して吐出口21から図2における下方に吐出されるようになる。なお、図2では図示していないが、ダイヘッド10の長手方向(図2における奥行き方向)の両端部にはそれぞれ側板が取り付けられるようになっており、ダイヘッド10内の流路18はこれらの側板によりシールされるようになっている。
また、図2に示すように、第1の本体ブロック12にはシリンダ機構30が取り付けられており、このシリンダ機構30により、供給流路19内の塗布液を吸引するとともに吸引された塗布液を供給流路19に戻すようになっている。図2および図3に示すように、シリンダ機構30は、シリンダ容器32と、このシリンダ容器32内を往復移動するピストン部材34とを有している。なお、図示していないが、ピストン部材34は、当該ピストン部材34を往復移動させるためのソレノイドまたはモータ等の駆動部に連接されている。また、シリンダ容器32の基端部にはOリング38が設けられており、このOリング38によりシリンダ容器32とピストン部材34との間の隙間から塗布液が漏れ出ないようシールされるようになっている。
シリンダ機構30により供給流路19内の塗布液を吸引するときには、図3(a)の矢印に示すように、ピストン部材34をシリンダ容器32から引き出すことにより供給流路19内から塗布液を一気に吸引してシリンダ容器32内に貯留させる。その後、図3(b)の矢印に示すように、ピストン部材34をシリンダ容器32内に一定速で徐々に押し込むことにより、シリンダ容器32内に貯留された塗布液は徐々に供給流路19内に戻される。
図1および図2に示すように、例えば二方自動弁からなるバルブ44には、当該バルブ44を制御するための制御部50が設けられている。このような制御部50によりバルブ44の開閉動作が制御されるようになっている。制御部50によるバルブ44の開閉動作の制御方法の詳細については後述する。
次に、このような構成からなるダイヘッド10を用いた塗布液の塗布方法について以下に説明する。
最初に、制御部50によりバルブ44を開状態とし、バルブ44が開状態となっているときにシリンダ機構30により塗布液の吸引動作を行う。具体的には、図3(a)の矢印に示すように、ピストン部材34をシリンダ容器32から引き出すことにより供給流路19内から塗布液を一気に吸引してシリンダ容器32内に貯留させる。このことにより、供給配管42を介して液タンク46から塗布液が吸引され、吸引された塗布液はシリンダ容器32内に貯留されるようになる。
次に、制御部50によりバルブ44を閉状態とし、バルブ44が閉状態となっているときにシリンダ機構30により塗布液の戻し動作を行う。具体的には、図3(b)の矢印に示すように、ピストン部材34をシリンダ容器32内に一定速で徐々に押し込むことにより、シリンダ容器32内に貯留された塗布液は徐々に供給流路19内に戻される。ここで、バルブ44が閉状態となっているため、供給流路19に戻された塗布液は、第1の本体ブロック12の先端部(下端部)と第2の本体ブロック14の先端部(下端部)との間に形成されたスリット20を介して吐出口21から図2における下方に吐出される。
以上のように本実施の形態のダイヘッド10によれば、一対の本体ブロック12、14のうち第1の本体ブロック12には、供給流路19内の塗布液を吸引するとともに吸引された塗布液を供給流路19に戻すシリンダ機構30が設けられており、また、一対の本体ブロック12、14における塗布液の供給流路19には例えば自動二方弁からなるバルブ44が設けられている。そして、このバルブ44は、塗布液の流れ方向におけるシリンダ機構30よりも上流側において一対の本体ブロック12、14に取り付けられている。このように、バルブ44を一対の本体ブロック12、14に取り付けることにより、このバルブ44と一対の本体ブロック12、14との間の距離を実質的に0とすることができるため、塗布液の供給配管42へのエア混入を抑制するとともに、塗布液の吐出の応答性を向上させることができる。
本実施の形態のダイヘッド10においては、シリンダ機構30は、シリンダ容器32と、このシリンダ容器32内を往復移動するピストン部材34とを有しており、シリンダ機構30により吸引された塗布液は、ピストン部材34をシリンダ容器32内に押し込むことにより供給流路19内に戻すことができるようになっている。
以下、図4に示すグラフを用いて、図1乃至図3に示すような本実施の形態によるダイヘッド10、および図5に示すような従来のダイヘッド80による塗布液の吐出の応答性を比較する。図4に示すグラフにおいて、横軸は塗布液の供給開始時における立ち上がり時間を示し、縦軸はダイヘッドからの塗布液の吐出圧力を示す。また、塗布液として水等の低粘度液を用い、供給配管は硬質のステンレス管を用いた。図4において、実線は、本実施の形態によるダイヘッド10による塗布液の吐出の応答性を示し、点線は、従来のダイヘッド80による塗布液の吐出の応答性を示している。図4に示すように、本実施の形態によるダイヘッド10を用いた場合には、塗布液の供給を開始してから0.1〜0.2秒でダイヘッド10による塗布液の吐出圧力が定常状態となった。一方、図5に示すような従来のダイヘッド80を用いた場合には、塗布液の供給を開始してから塗布液の吐出圧力が定常状態となるまで0.3〜0.4秒かかった。このように、本実施の形態によるダイヘッド10を用いた場合には、図5に示すような従来のダイヘッド80を用いた場合と比較して、送液装置(具体的には、例えば自動二方弁等のバルブ44)と一対の本体ブロック12、14との間の距離を実質的に0とすることができるため、塗布液の吐出開始時の応答性が向上していることが確認された。
なお、本実施の形態によるダイヘッド10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、一対の本体ブロック12、14における塗布液の供給流路19に設けられたバルブ44は、自動二方弁等の二方弁に限定されることはない。供給流路19における塗布液の流れを制御できるものであれば、バルブ44として二方弁以外のものを用いてもよい。
10 ダイヘッド
12 第1の本体ブロック
14 第2の本体ブロック
18 塗布液の流路
19 供給流路
20 スリット
21 吐出口
30 シリンダ機構
32 シリンダ容器
34 ピストン部材
38 Oリング
42 供給配管
44 バルブ
44 供給ポンプ
46 液タンク
50 制御部
80 ダイヘッド
81 供給配管
82 三方弁
84 シリンダ機構
88 液タンク

Claims (4)

  1. 被塗布物に塗布液を供給するためのダイヘッドであって、
    一対の本体ブロックであって、少なくとも一方の本体ブロックには塗布液が通過する流路が設けられ、一対の本体ブロックの先端部の間に形成されたスリットから塗布液が吐出されるようになっている一対の本体ブロックと、
    前記一対の本体ブロックのうち一方の本体ブロックに設けられ、前記流路内の塗布液を吸引するとともに吸引された塗布液を前記流路に戻すシリンダ機構と、
    前記一対の本体ブロックにおける塗布液の供給流路に設けられたバルブと、
    を備え、
    前記バルブは、塗布液の流れ方向における前記シリンダ機構よりも上流側の箇所において前記一対の本体ブロックに取り付けられている、ダイヘッド。
  2. 前記バルブは二方弁である、請求項1記載のダイヘッド。
  3. 前記二方弁は自動二方弁であり、
    前記自動二方弁を制御するための制御部を更に備えた、請求項2記載のダイヘッド。
  4. 前記シリンダ機構は、シリンダ容器と、前記シリンダ容器内を往復移動するようになっているピストン部材と、を有しており、前記シリンダ機構により吸引された塗布液は、前記ピストン部材を前記シリンダ容器内に押し込むことにより前記流路内に戻すことができるようになっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のダイヘッド。
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