JP2014051829A - 煙突のユニット構造物及び煙突の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外壁を膜構造とした煙突の工期短縮を図る施工方法を提供する。
【解決手段】垂直部材2aと水平部材2cで所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材と、この枠組み部材に一体的に取り付けた床材及び煙突部材3と、枠組み部材の外周を覆う外壁膜8と、この外壁膜8を枠組み部材に支持させるべく、枠組み部材に取り付けられた支持部材7と、からなるユニット構造物を積み重ね、これら積み重ねたユニット構造物の枠組み部材同士及び煙突部材3同士を接合した後、枠組み部材と煙突部材3との一体化を解除する。
【選択図】図2

Description

本発明は、周囲を外壁膜で覆う煙突を形成するユニット構造物、及びこのユニット構造物を用いて煙突を施工する方法に関するものである。
都市部や観光地などに建設される煙突は、景観を損なわないように、装飾性を有する外壁で周囲を覆っているが(例えば特許文献1)、この外壁は、鉄筋コンクリート、軽量気泡コンクリート、プレストレスコンクリートパネル等で構成されるのが一般的である。
しかしながら、鉄筋コンクリート製等の外壁の場合、環境に配慮する設計を行うことが難しく、建設に要する工期も1年程度必要である。また、形状も、角型、円形、多角形など、画一的なものに限られる。
なお、近年では、煙突の外面に鉄骨ルーバーを配したスケルトン型煙突も施工されているが、この構造の場合、鉄骨腐食や煙突周囲の区画ができない等の問題がある。
特開平06−66051号公報
本発明が解決しようとする問題点は、煙突の周囲に設けられる外壁が鉄筋コンクリート製等の場合、環境に配慮する設計を行うことが難しく、建設工期も1年程度必要であるという点である。また、形状も、角型、円形、多角形など、画一的なものに限られるという点である。
本発明は、周囲に設ける外壁を、環境に配慮する設計が可能で、しかも、デザイン性を高めた幾何学的な形状とできる膜構造とした煙突の、更なる工期短縮を図ることを目的としてなされたものである。
本発明は、
煙突を形成するユニット構造物であって、
例えば、
垂直部材と水平部材で所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材と、
この枠組み部材に一体的に取り付けた床材及び煙突部材と、
前記枠組み部材の外周を覆う外壁膜と、
この外壁膜を前記枠組み部材に支持させるべく、枠組み部材に取り付けられた支持部材と、からなることを最も主要な特徴としている。
そして、煙突の施工に際しては、上記本発明のユニット構造物を複数製作して積み重ね、これら積み重ねたユニット構造物の枠組み部材同士及び煙突部材同士を接合した後、枠組み部材と煙突部材との一体化を解除すれば良い。これが本発明の煙突の施工方法である。
上記本発明では、ユニット構造物を施工場所に搬送し、積み重ねて接合及び一体化を解除するだけで煙突の施工が完了するので、外部仮設足場が不要となって、更なる施工工期の短縮が可能になる。
本発明では、周囲に設ける外壁を、環境に配慮する設計が可能で、デザイン性を高めた幾何学的な形状とできる膜構造とした煙突を、ユニット構造物を施工場所に搬送し、積み重ねて接合及び一体化を解除するだけで施工することができる。従って、外部仮設足場が不要となって、更なる施工工期の短縮が可能になる。
本発明の煙突のユニット構造物を積み重ねて施工した煙突の一例を示した図で、(a)は全体図、(b)〜(f)は(a)図のA位置〜E位置における断面図である。 (a)は本発明の煙突のユニット構造物の枠組み部材に設置する煙突部材の接合部及び揺動規制部を説明する横断面図、(b)は(a)図の矢視A−A図、(c)は(a)図の矢視B−B図である。 本発明の煙突のユニット構造物同士の積み重ね部分の拡大図である。
本発明は、外壁を膜構造とした煙突の更なる工期短縮を図るという目的を、例えば床材及び煙突部材を一体的に取り付けた枠組み部材の外周を覆う外壁膜を枠組み部材に取り付けられた支持部材で支持させたユニット構造物を複数製作し、これらを積み重ねて施工することで実現した。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の煙突のユニット構造物を積み重ねて施工した煙突の一例を示した図である。
図1において、1は本発明の煙突のユニット構造物であり、垂直部材2aと水平部材2bを例えば溶接して所定の立体形状に枠組み形成した枠組み部材2に、以下の構成部材を取り付けたものである。
3は、所定の間隔を存して例えば2本、垂直部材2aと平行に枠組み部材2の水平面方向の中央部に取り付けられた煙突部材である。これらの煙突部材3は、例えば図2(a)(b)に示すように、枠組み部材2から煙突部材3の外周近傍に掛け渡された水平支持部材2cを介して枠組み部材2に取り付けられている。
すなわち、前記水平支持部材2cと煙突部材3に取り付けた接合用板材4a,4b同士を、これら接合用板材4a,4bに設けた孔同士が重なり合うようにし、この重ね合わせた孔にボルト5aを貫通させてナット5bで締付けることにより取り付けている。
6は床材であり、枠組み部材2と一体と成るように、例えば高さ方向の下側に位置する水平部材2bに取り付けられている。この床材6は、必ずしも枠組み部材2の水平面の全面に設けなくても良い。
また、枠組み部材2を構成する垂直部材2aや水平部材2bの適所には、枠組み部材2から外側に向かって放射状に支持部材7が取り付けられ、これら支持部材7によって外壁膜8を支持して枠組み部材2の外周を覆っている。
この支持部材7は、外壁膜8を支持できるものであればその構成は問わないが、図3に示したものは、クランプベース7aと押さえプレート7bで端部にエッジロープ部12を設けた外壁膜8の端縁部を挟み、これらを固定ボルト7cで締付けることで支持する構成であり、これにより外壁膜8に張力を付与して支持部材7に外壁膜8を固定する。
前記エッジロープ部12は、外壁膜8の端部を袋状に加工し、その内部にロープやゴム製の長尺材を挿入することによって形成される。
なお、支持部材7としては、図示しないが、上記構成の他に、部材の長手方向に沿ってエッジロープ挿入部を設けた長尺の金属製のファスナー部材を使用することができる。この場合、外壁膜8の端部に設けたエッジロープ部12を、前記ファスナー部材の挿入部に挿入し、ファスナー部材を前記長手方向と直交する方向に引き込むことにより外壁膜8に張力を付与して枠組み部材2に外壁膜8を固定すれば良い。
前記外壁膜8は、煙突部材3の外壁として必要な耐久性と耐熱性を有するものであれば特にその素材は問わないが、例えばガラス繊維やシリカ繊維、バサルト繊維、シリコンカーバイト繊維等の無機繊維や、ステンレス繊維、銅繊維、チタン繊維等の金属繊維、又はアラミド繊維による織物や網物を基材とし、その基材の少なくとも一方の面に、例えば融点が250℃以上である樹脂を被覆したシート材を使用することができる。
前記被覆する樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂を使用することができ、これらのうち2種類以上のものを用いてもよい。
その際、外壁膜8の最表層に光触媒層を形成する等の防汚処理を施しておくと、経年変化による汚れも少なくなってメンテナンス性が高くなる。また、光を透過する外壁膜8を使用すれば、外壁膜8の内部からライティングすることで夜間に幻想的な空間の演出が可能になる。
なお、外壁膜8の可視光透過率は5〜25%とすることが好ましく、これにより適度なライティング効果を得られるのと同時に、内部煙突が太陽光の照射により劣化することの防止にもある程度効果をもたらすことが可能となる。
前記構成のユニット構造物1を用いて煙突を施工する場合は、施工場所まで運んだ上記構成の煙突のユニット構造物1を高さ方向に積み重ねる。従って、高さ方向の上下に隣接するユニット構造物1の相対する水平面の形状及び大きさは、図1に示すように同一に形成される。
これら積み重ねたユニット構造物1は、枠組み部材2同士及び煙突部材3同士を接合する。この内、煙突部材3同士の接合は、高さ方向の上下に隣接する煙突部材3の端面3a同士を全周溶接することによって行う(図3参照)。また、枠組み部材2同士の接合は、高さ方向の上下に隣接する枠組み部材2の適宜の位置を溶接するか、また高さ方向の上下に隣接する枠組み部材2の適宜の位置に接合部材を取り付け、これら接合部材をボルト締めする等の方法で接合する。
接合後は、それぞれの枠組み部材2と煙突部材3を接合しているボルト5aとナット5bを取り外して、枠組み部材2と煙突部材3の一体化を解除する。これが本発明の煙突の施工方法である。
上記構成の煙突のユニット構造物1は、車両に搭載して搬送できる大きさであれば、その大きさは問わない。また、煙突を施工するこれら煙突のユニット構造物1の高さ方向の長さは、車両に搭載して搬送できる大きさであれば、必ずしも同じ長さでなくても良い。
上記構成の煙突のユニット構造物1に、例えば図3に示すように、各枠組み部材2の高さ方向の上部と下部にフラップ膜9a,9bの一端部を取り付け、枠組み部材2の高さ方向の下部にフラップ膜9a,9bの固定部材11を設置しておけば、ユニット構造物1の積み重ね部をフラップ膜9a,9bで覆うことができる。その際、ユニット構造物1の内側から上下に積み重ねたユニット構造物1のフラップ膜9a,9bの他端部を引き寄せて固定部材11で固定することができ、また上下のユニット構造物1の積み重ね部の段差も抑制できる。
なお、前記フラップ膜9a,9bの一端部の枠組み部材2への取り付けの定義としては、外壁膜8の支持部材7を併用したり、別の取付部材を採用して枠組み部材2に取り付けることも含むこととすする。また、前記フラップ膜9a,9bの他端部を固定するための構造は、前記固定部材11に限らず、フラップ膜9a,9bの他端部の固定作業を外壁膜8の内部側より作業できるような構造であれば良い。
図3では、枠組み部材2の高さ方向の上部と高さ方向の下部へのフラップ膜9a,9bの一端部の取り付け部材として、外壁膜8の支持部材7を併用しているが、別の取り付け部材を採用しても良いし、外壁膜8の表面に直接取り付けても良い。また、フラップ膜9a,9bの支持部材7(クランプベース7a)への接触可能性のある近傍部に外壁膜8の端部であるエッジロープ部12を設けるようにしておけば、フラップ膜9a,9bの擦り切れを防止することができる。
また、図2(a)(c)に示すように、枠組み部材2を構成する水平部材2bに、煙突部材3に取り付けた接合用板材4bとで煙突部材3の揺動を規制する揺動規制部材10a,10bを取り付けておけば、煙突部材3の外周に外壁を設けない場合も、施工後の煙突部材3の揺動を規制できて安全である。
図2に示した揺動規制部材10a,10bは、煙突部材3に取り付けた接合用板材4bの中間部に形成した突出部4baを両側から挟むように遮り、煙突部材3が揺動した際には突出部4baが揺動規制部材10a,10bに当接して煙突部材3の揺動を規制する。
本発明は、前記の例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば図1〜3に示したユニット構造物1は、枠組み部材2に、煙突部材3、床材6、支持部材7及び外壁膜8を取り付けたものについて説明したが、床材6や外壁膜8を取り付けないものでも良い。
このような床材6や外壁膜8を枠組み部材2に取り付けないユニット構造物1の場合は、煙突の施工時に、当該ユニット構造物1の外周を外壁膜8で覆うと共に、必要な箇所に床材6を取り付ける。
また、図3に示した例では、フラップ膜9a,9bの固定部材11を枠組み部材2の高さ方向下部に設置しているが、枠組み部材2の高さ方向上部に設置しても良い。また、図3に示した例では、枠組み部材2の高さ方向上下部にフラップ膜9a,9bを設けているが、どちらか一方に設けても良い。この場合、固定部材11はフラップ膜を取り付けない方の枠組み部材2に設置する。
また、図3に示した例では、フラップ膜9a,9bの一端部を、支持部材7を介し、併用して上下に積み重ねたユニット構造物1の枠組み部材2に取り付けているが、予め外壁膜8の上部或いは下部の表面に溶着または接着等により接合しておいても良い。
また、図2に示した例では、煙突部材3の揺動の規制と煙突部材3の枠組み部材2への接合を同じ位置で行っているが、両者を異なる位置で行うようにしても良い。
1 煙突のユニット構造物
2 枠組み部材
2a 垂直部材
2b 水平部材
3 煙突部材
4a,4b 接合用板材
4ba 突出部
5a ボルト
5b ナット
6 床材
7 支持部材
8 外壁膜
9 フラップ膜
10a,10b 揺動規制部材
11 固定部材

Claims (11)

  1. 煙突を形成するユニット構造物であって、
    所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材と、
    この枠組み部材に一体的に取り付けた煙突部材と、
    前記枠組み部材の外周を覆う外壁膜を前記枠組み部材に支持させるべく、枠組み部材に取り付けられた支持部材と、からなることを特徴とする煙突のユニット構造物。
  2. 前記枠組み部材に床材を一体的に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の煙突のユニット構造物。
  3. 前記枠組み部材の外周を覆う外壁膜を前記支持部材に支持させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の煙突のユニット構造物。
  4. 前記枠組み部材の高さ方向上下、或いは高さ方向の上又は下に一端部が固定されたフラップ膜を設け、前記枠組み部材の高さ方向上下、或いは高さ方向の上又は下に前記フラップ膜の他端部及び/又は他の枠組み部材に一端部が固定された他のフラップ膜の他端部を固定するための固定部材を設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の煙突のユニット構造物。
  5. 前記外壁膜或いは前記枠組み部材の高さ方向上下、或いは高さ方向の上又は下に一端部が固定されたフラップ膜を設け、前記枠組み部材の高さ方向上下、或いは高さ方向の上又は下に前記フラップ膜の他端部及び/又は他の枠組み部材に一端部が固定された他のフラップ膜の他端部を固定するための固定部材を設置したことを特徴とする請求項3に記載の煙突のユニット構造物。
  6. 前記フラップ膜の一端部の固定は、前記外壁膜の表面に予め接合されていることを特徴とする請求項5に記載の煙突のユニット構造物。
  7. 前記枠組み部材への前記煙突の一体的な取り付けは、接合部材によって行われていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の煙突のユニット構造物。
  8. 前記枠組み部材の前記煙突部材の周囲に、煙突部材の揺動規制部材を設けたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の煙突のユニット構造物。
  9. 煙突部材を一体的に取り付けた、所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材を積み重ね、これら積み重ねたユニット構造物の所定の場所に床材を取り付けると共に、前記枠組み部材同士及び前記煙突部材同士を接合した後、前記枠組み部材を外壁膜で覆い、その後、前記枠組み部材と前記煙突部材との一体化を解除することを特徴とする煙突の施工方法。
  10. 煙突部材と床材を一体的に取り付けた、所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材を積み重ね、これら積み重ねたユニット構造物の前記枠組み部材同士及び前記煙突部材同士を接合した後、前記枠組み部材を外壁膜で覆い、その後、前記枠組み部材と前記煙突部材との一体化を解除することを特徴とする煙突の施工方法。
  11. 煙突部材と床材を一体的に取り付けると共に外周を外壁膜で覆った、所定の立体形状の枠組みを形成した枠組み部材を積み重ね、これら積み重ねたユニット構造物の枠組み部材同士及び煙突部材同士を接合した後、前記枠組み部材と前記煙突部材との一体化を解除することを特徴とする煙突の施工方法。
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