JP2014051553A - 三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物、三次元積層型半導体装置、および三次元積層型半導体装置の製造方法 - Google Patents

三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物、三次元積層型半導体装置、および三次元積層型半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性に優れ、3D積層プロセスにも適合し、半導体デバイスチップ同士の確実な接合も可能であって、しかも各種の環境変化によっても安定した接合が維持されるような層間充填層を形成することができる三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物と、三次元積層型半導体装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂、および体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上の無機フィラーを含有する三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、三次元積層型半導体装置の層間充填材組成物と、当該組成物を用い、特定の工程を経てなる三次元積層型半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体デバイスの更なる高速化・高容量化などの性能向上のために、トランジスタや配線の微細化に加えて、半導体デバイスチップを2層以上積み重ねて三次元(3D)積層化した三次元積層型半導体装置の研究開発が進められている。
より具体的には、半導体デバイスチップ同士が、そのチップ間においてはんだバンプ等の電気信号端子等で接続されていると同時に、層間充填材を充填して形成された層間充填層により接着された構造を有する三次元積層型半導体装置が知られている(特許文献1参照)。
このような三次元積層型半導体装置の実用化に向けて、種々の課題が指摘されているが、その内の一つにトランジスタや配線等のデバイスから発する熱の放熱問題がある。この問題は、一般的に、半導体デバイスチップの積層の際に用いられる層間充填材組成物の熱伝導率が、金属やセラミックなどに比べて非常に低いことに起因し、積層デバイスチップ内での蓄熱によるパフォーマンスの低下が懸念されている。
この課題を解決する一つの手法として、層間充填材組成物の高熱伝導化が挙げられる。具体的には、層間充填材組成物の接着成分を構成する熱硬化性樹脂として高熱伝導性のエポキシ樹脂を使用したり、このような高熱伝導性樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化したりすることで、層間充填材組成物を高熱伝導化することが行われている。例えば、球状窒化ホウ素凝集体をフィラーとして配合した層間充填材組成物が知られている(特許文献2参照)。
このような高熱伝導性樹脂と高熱伝導性無機フィラーとを複合化した層間充填材組成物は、固体である高熱伝導性無機フィラーを含有することから三次元積層型半導体装置を製造する際の温度条件下でも通常流動性が低い。そのため、このような層間充填材組成物は、半導体デバイスチップ間を予めバンプ等の電気信号端子等で接続したものを作成した後、その半導体デバイスチップ間に充填することが困難である。そこで、層間充填材組成物からなる層を予め形成した上で、半導体デバイスチップを接合するプロセスが知られている。
具体的には、半導体デバイスチップを形成したウェハー上に、層間充填材組成物(層間充填層形成用組成物)からなる層を形成し、加熱してBステージ化を行い、次いでダイシングによりチップを切り出し、このチップを複数枚積層し、加圧加熱による仮接合を繰り返し、最終的に加圧加熱条件下で本接合(半田接合)を行うプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
国際公開第2008/087701号パンフレット 特表2008−510878号公報
エレクトロニクス実装学会講演大会講演論文集、61,23,2009)
上記背景技術に記載したように、従来から半導体デバイスチップとの層間充填材組成物には熱伝導性の向上という課題があったが、三次元積層型半導体装置では、特許文献2に記載の層間充填材組成物でも、集積回路の高密度化に伴う発熱を十分放熱できる程度の熱伝導性を発揮するには至っていなかった。また、半導体デバイスチップ同士の層間に、層間充填材組成物を有してなる三次元積層型半導体装置を製造するプロセス(以下、3D積層プロセスと略記することがある)では、単なる熱伝導性の向上に加えて、各工程で要求される特性を満たさなければならないという課題が見出された。
更に、本発明者らの研究により、3D積層プロセスへの適合性のみならず、半導体デバイスチップ同士の層間の薄膜化、半導体デバイスチップ間における電気信号端子の接合性や、その安定性(信頼性)などの従前知られていない課題も明らかになった。
本発明は、熱伝導性に優れるだけではなく、3D積層プロセスにも適合するものであり、更に半導体デバイスチップ同士の確実な接合も可能であって、しかも各種の環境変化によっても安定した接合が維持されるような、層間充填層を形成することができる三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物と、これを用いた三次元積層型半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を要旨とする。[1]
120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上の無機フィラー(B)とを含有する三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[2]
前記フィラー(B)を樹脂(A)100重量部当たり、40重量部以上400重量部以下含有する、[1]に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[3]
更に硬化剤(C)を含有する、[1]ないし[2]のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[4]
更にフラックス(D)を含有する、[1]ないし3のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[5]
前記樹脂(A)が熱硬化性樹脂である、[1]ないし4のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[6]
前記樹脂(A)がエポキシ樹脂(a)である、[5]に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[7]
前記エポキシ樹脂(a)が、エポキシ当量150g/当量以上650g/当量以下であるエポキシ樹脂(a1)を含む、[6]に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[8]
前記エポキシ樹脂(a)が、更にエポキシ当量650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂(a2)を含む、[6]又は7に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[9]
前記エポキシ樹脂(a)が、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格又はビフェニル骨格のうち、少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂である、請求項6ないし8のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[10]
[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の層間充填材組成物において、加水分解性の塩素濃度が1〜100ppmである三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[11]
[1]ないし[10]のいずれか1つに記載の層間充填材組成物と、有機溶媒(F)を含有してなる、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[12]
構成成分を、40℃〜160℃の温度条件下で混合してなる、[1]ないし[11]のいずれか1つに記載の、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[13]
構成成分を、100Torr以下の圧力条件下で混合してなる、[1]ないし[12]のいずれか1つに記載の、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
[14]
半導体デバイス層が形成された半導体基板表面に、[1]ないし[13]のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物からなる層を形成し、当該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを積層し加圧接合した後、120℃〜180℃で処理する工程を含む、三次元積層型半導体装置の製造方法。
[15]
半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した三次元積層型半導体装置であって、当該半導体基板間の少なくとも1つに、[1]ないし[13]のいずれか1つに記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物を有する、三次元積層型半導体装置。
本発明により、三次元積層型半導体装置の製造プロセスへの適合性に優れ、かつ熱伝導性や耐熱性などの性能バランスに優れ、しかも得られた三次元積層型半導体装置の半導体デバイス層が形成された半導体チップ同士の確実な電気的接合が可能であって、しかもその電気的接合が安定した、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物を提供することができる。また、本発明により提供される層間充填剤組成物を半導体デバイスチップの間に有し、特定の条件で処理する工程を含む、三次元積層型半導体装置の製造方法を提供することができる
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明は、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上の無機フィラー(B)とを含有する三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物(以下、単に「層間充填剤組成物」ということがある。)に係るものである。
ここに、本発明の三次元集積型半導体装置とは、半導体デバイス層が形成された半導体チップを少なくとも2層以上積層した半導体チップ積層体である。各半導体チップには、
貫通電極(TSV)が設けられており、半導体チップ間では、バンプを介してTSVが接続される。この積層体の層間には、層間充填剤(層間充填剤組成物)が使用される。
このような三次元積層型半導体装置を形成するプロセスとして、例えば、ウェハー上に層間充填剤組成物の塗布薄膜を形成した後に、Bステージ化を行いタック性を低減させて、次いでダイシングにより半導体チップを切り出し、この半導体チップを用いた仮接合により積層体を得、最終的に加圧加熱条件下で本接合(はんだ接合)を行う工程が提案されている。
このため、層間充填剤組成物は、室温では流動性が低く、はんだ接合時には、低溶融粘度であることが好ましい。一方で、層間充填剤組成物には、上記製造プロセスへの適合性に加え、高い熱伝導率の発現が求められている。高い熱伝導率の実現のためには、樹脂マトリックスの熱伝導率の向上と無機フィラーの高充填化が効果的である。
本発明の、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上の無機フィラー(B)とを含有する三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物は、かかる要求性能に適合するものであり、更に、硬化剤(C)等を含有することにより、より一層優れた層間充填剤組成物とすることができる。
<樹脂(A)>
本発明において用いられる樹脂(A)としては、120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sであるものが用いられる。
・粘度
本発明に係る樹脂(A)の120℃における粘度は、市販の溶融粘度計を用いて測定することができる。より具体的には例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製 粘弾性測定装置Physica MCR301を用いて測定したパラレルプレート動的粘度であり、測定方法は以下の通りである。
・粘度測定方法
樹脂が室温で液状であれば、そのままで、室温で固体であればこれを加熱して室温まで冷却することで不定形固体を得た後に、このエポキシ樹脂を、パラレルプレートディッシュとパラレルプレート(φ25mm)の間に載置し、パラレルプレート動的粘度測定を行う。測定条件は、上記サンプルに正弦波歪みを20%与え、その歪みの角周波数は10rad/secとし、1分間に3℃の割合で昇温させる過程での粘度を40℃〜200℃まで測定する。
・粘度の制御
樹脂(A)の120℃における粘度を0.001〜1Pa・sとするには、従前知られる高分子量体の粘度を調整する方法が用いられるが、例えば、樹脂の分子量を調整することや、樹脂の骨格中に、例えば脂肪族炭化水素基などの柔軟性の高い鎖を導入して粘度を下げたり、例えば環状構造や橋頭を有する構造などの柔軟性の低い鎖を導入して粘度を上げたり、高粘度の樹脂と低粘度の樹脂を混合して用いたり、明確な融点を有する樹脂(化合物)を用いて粘度を下げることなどにより達成することができる。融点を有する樹脂とは、室温では結晶状態で安定した固体として存在する一方、融点に達すると共に速やかに結晶状態が解け、きわめて低粘度の液状になる物質であり、市販の示差走査熱量計により結晶状態の変化が確認できるものをいう。
・樹脂(A)の化学構造
樹脂(A)の種類に特に制限はなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウ
レタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂など如何なる樹脂であっても構わないが、半導体装置に利用するのに適した一定の機械的強度を有するものが好ましい。より好ましくは、半導体装置を使用する際に発生する熱を効率よく移動させることができるように、構造単位としてメソゲンを有するものがあげられる。ここでいうメソゲンとは、剛直な構造単位であって、高分子液晶となり得る構造単位をいう。このようなメソゲンとしては、複数のベンゼン環を有する構造単位、又は縮環した構造単位があげられる。
このようなメソゲンの例としては、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、トラン等及びこれらの置換体が挙げられる。この置換体としては、ベンゼン環に置換可能な1つ又は複数の炭素数1〜18のアルキル基や、複数あるベンゼン環や縮環構造の一部が水添されたもの等があげられる。
このメソゲンは、樹脂中の繰り返し構造単位1分子中に、少なくとも1つを有していればよく、2つ以上のメソゲンを有していてもよい。また、複数のメソゲンの連結部分やメソゲンの末端部分は、屈曲鎖(スペーサ)と呼ばれる柔軟構造部によって構成されることが好ましい。この柔軟構造部としては、脂肪族炭化水素基、脂肪族エーテル基、脂肪族エステル基、シロキサン結合等が挙げられる。
本発明の樹脂(A)は、所定の温度領域でメソゲンが規則的に配列する液晶状態となる性質を有するものが好ましい。この液晶性は、直交偏光子を利用した偏光検査法によって確認することができ、液晶状態の液晶性反応硬化型樹脂は強い複屈折性を発現する。液晶状態の種類としては、ネマティック、スメクティック、コレステリック、ディスコティック等が挙げられる。
半導体装置に利用するのに適した一定の機械的強度を有する樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂などを例示することができる。これら樹脂の中でも耐熱性や各種電気特性に優れた熱硬化性樹脂が好ましく、本接合(はんだ接合)時の加熱によっても熱分解しないものが好ましい。より具体的には、熱分解開始温度が180℃以上であるものが好ましく、より好ましくは200℃以上であり、更に好ましくは220℃以上である、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂があげられる。特に好ましくは、エポキシ樹脂が用いられる。樹脂(A)中においてこれらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても構わない。
・エポキシ樹脂(a)
本発明に係る樹脂(A)として特に好ましいエポキシ樹脂(a)は、120℃における粘度が1Pa・s以下であるエポキシ樹脂(a1)を含有することが好ましい。エポキシ樹脂(a1)としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型やビスフェノールF型の固形エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用することができる。
溶融粘度制御の観点から、そのエポキシ当量が150g/当量以上650g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは175g/当量以上600g/当量以下である。エポキシ当量が150g/当量より小さいものでは、耐熱性が劣る傾向にあり、650g/当量より大きいと、エポキシ樹脂の融点が高くなるとともに、層間充填剤組成物の溶融粘度が高くなり、半導体デバイスチップ同士の接合に問題を生じて、三次元積層型半導体装置が有効に機能しない虞や、3D積層プロセスの各工程で要求される物性を満たすことができず、三次元積層型半導体装置を製造することが困難となる虞がある。
本発明の層間充填剤組成物が含有する樹脂(A)中のエポキシ樹脂(a1)の割合は、樹脂(A)全量を100重量%として、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは80〜99重量%である。
より具体的に、市販品として入手可能な三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810;120℃における粘度0.008Pa・s以下)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(1750;120℃における粘度0.01Pa・s以下)、ビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000(H);120℃における粘度0.03Pa・s以下、YL6121H;120℃における粘度0.02Pa・s以下)、アントラセン系エポキシ樹脂(YX8800)、新日鐵化学(株)製ビスフェノール型エポキシ樹脂(YSLV−80XY、YSLV−120TE)、ハイドロキノン型エポキシ樹脂(YDC−1312)、DIC(株)製ナフタレン型エポキシ樹脂(HP4032D)等が例示される。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても構わない。
また、本発明の層間充填剤組成物は、その目的を損なわない範囲において、エポキシ樹脂(a1)以外のその他のエポキシ樹脂(a2)(以下、エポキシ樹脂(a2)と略記する場合がある。)を含むことができる。
その他のエポキシ樹脂(a2)の例としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型やビスフェノールF型の固形エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などを使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用することができる。
溶融粘度制御の観点から、そのエポキシ当量が650g/当量より大きく30000g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは800g/当量以上25000g/当量以下である。エポキシ当量が650g/当量以下のものでは、たとえ併用したとしても、層間充填剤組成物として十分な物性を得ることができず、30000g/当量より大きいと、エポキシ樹脂の融点が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
本発明の層間充填剤組成物が他のエポキシ樹脂(a2)を含む場合、本発明の層間充填剤組成物において、エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂中のエポキシ樹脂(1a)の割合は、その合計を100重量%として、75〜99重量%、好ましくは80〜95重量%である。なお、「エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂」とは、エポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)の合計を意味する。
<無機フィラー(B)>
本発明において用いられる無機フィラー(B)には、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上のものが用いられる。
本発明の層間充填剤組成物において、無機フィラー(B)は、熱伝導性の向上と線膨張係数の制御を目的に添加されるものであり、特に熱伝導性の向上を主たる目的とする。
・体積平均粒径
無機フィラー(B)は、その粒径が大き過ぎると、三次元積層型半導体装置の半導体デバイス層が形成された半導体チップ同士の電気的接合を阻害したり、いったん接合した半導体チップ同士の電気的接合が温度変化などにより切断されたりするような不具合が発生する場合がある。また、小さ過ぎると凝集しやすくなり、層間充填剤組成物中での分散性が悪くなり、粘度上昇や接合不良を起こしたりすることから、粒状や扁平状の無機フィラーであれば、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下のものを用いることが好ましい。より好ましくは、1μm以上9μm以下、更に好ましくは2μm以上8μm以下、更に好ましくは5μm以上7μm以下である。
無機フィラー(B)の体積平均粒径は、通常知られる粒度分布測定装置により測定することができるが、例えば以下の方法により測定することができる。層間充填材組成物をシクロヘキサノン中に所望の濃度で分散させ、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」にて測定し、体積粒度分布を得る。得られた粒度分布から、粉砕後の無機フィラーの平均粒径を求めることができる。
・比表面積
無機フィラー(B)の比表面積は、ガス吸着法などの通常知られる比表面積測定方法により測定することができるが、例えば以下の方法により測定することができる。無機フィラー(B)に250℃、15分間窒素ガスフローの前処理を行った後、株式会社マウンテック製 マックソーブHM MODEL−1201を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定することができる。
・熱伝導率
無機フィラー(B)の熱伝導率は、焼結等による薄板を形成してこれを定常法又は非定常法により測定することが出来る。非定常法では熱伝導率λは、熱拡散率(α)と比熱容量(Cp)、及び密度(ρ)に比例するので、例えばJIS R1611に規定の方法に従い、α、Cp及びρをそれぞれ求めた後、これらの積により熱伝導率λを測定することが出来る。
このような無期フィラー(B)としては、金属、炭素、金属炭化物、金属酸化物及び金属窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。炭素の例としては、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、フレーレン、ダイヤモンドなどがあげられる。金属炭化物の例としては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステンなどがあげられる。金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イッテルビウム、サイアロン(ケイ素、アルミニウム、酸素、窒素からなるセラミックス)等があげられる。また、それらの形状について制限はなく、粒子状、ウィスカー状、繊維状、板状、またはそれらの凝集体であってもよい。上記金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等があげられる。
高熱伝導性樹脂組成物においては、絶縁性が要求される用途が多いことから、無機フィラー(B)の中でも、金属酸化物及び金属窒化物が好ましい。
無機フィラー(B)としてより具体的には、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si)、高結晶性シリカ(SiO2)などが挙げられ、なかでも、Al、AlN、BNが好ましく、とりわけAl
、BNが好ましい。これらの無機フィラー(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
上記の金属酸化物及び金属窒化物の中でも、化学的に比較的安定であり、絶縁性であることから窒化ホウ素がより好ましく、六方晶窒化ホウ素が特に好ましい。六方晶窒化ホウ素は、添加量が多くても樹脂(A)により生じる液晶性を保持することが可能なので、液晶性を有しながら高熱伝導性を発揮することが可能となる。
・六方晶窒化ホウ素
本発明で用いる無機フィラー(B)としては、002面の結晶子径(Lc)が450[Å]以上であり、100面の結晶子径(La)が500[Å]以上であり、前記結晶子径(Lc)と前記結晶子径(La)が下記式(i)を満たし、酸素含有量が0.30重量%以下である六方晶窒化ホウ素(以下、「本発明の六方晶窒化ホウ素」と称す場合がある。)を用いることが特に好ましい。
0.70≦Lc/La …(i)
本発明でいう結晶子のサイズは、002面及び100面それぞれの結晶子径であり、002面の結晶子径(Lc)は、X線回折の2θ=26.5°のピークの半価幅を測定し、下記(ii)式によって求めることができる。100面の結晶子径(La)についても同様に、X線回折の2θ=41.5°のピークの半価幅を測定し、下記式(ii)によって求められる。
L(Å)=(0.9λ・180)/(β・cosθ・π) …(ii)
λ:1.54056Å
β:ピーク半価幅
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、100面の結晶子サイズ(La)が500[Å]以上である。このLaが500[Å]以上であることで、結晶子界面が十分に少なくなり、高い熱電導性を得られる。このLaは、熱伝導性をさらに高める観点から、550[Å]以上であることがより好ましく、600[Å]以上であることが特に好ましい。
一方、工業的な生産性の観点から、このLaは2000[Å]以下であることが好ましく、1000[Å]以下であることがより好ましい。
このLaは、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造時において、例えばLaが500Å未満の六方晶窒化ホウ素粉末を非酸化性ガス中、1800℃〜2300℃の高温で熱処理を行うことによって調製することができ、Laを大きくするには、前記温度範囲のできるだけ高温の条件で、長時間熱処理する方法を取ることができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、002面の結晶子サイズ(Lc:六角網面積層方向)が450[Å]以上である。このLcが450[Å]以上であることで、結晶子界面が十分に少なくなり、高い熱電導性を得られる。このLcは、熱伝導性をさらに高める観点から、470[Å]以上であることがより好ましく、500[Å]以上であることが特に好ましい。
一方、工業的な生産性の観点から、このLcは2000[Å]以下であることが好ましく、1000[Å]以下であることがより好ましい。
このLcは、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造時において、例えばLcが450Å未満の六方晶窒化ホウ素を非酸化性ガス中、1800℃〜2300℃の高温で熱処理を行
うことによって調製することができ、Lcを大きくするには、前記原料の六方晶窒化ホウ素の酸素含有量が1.0重量%未満のものを使用する方法を取ることができる。
前述の関係式(i)は、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の形状異方性を示すものであり、Lc/Laが1に近いほど、形状異方性が小さいことを示す。本発明の六方晶窒化ホウ素粉末が、上記の関係式(i)を満たすことで、これを樹脂と共に組成物に含有させたときに、当該組成物の粘度が上がることを防ぐことができる。LcとLaの関係は、0.75≦Lc/Laであることがより好ましく、0.78≦Lc/Laであることが特に好ましい。 一方、LcとLaの関係は、Lc/La≦1.2であることが、形状異方性を小さくする観点から好ましい。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、その酸素含有量が0.30重量%以下である。六方晶窒化ホウ素粉末の酸素含有量が0.30重量%以下であることで、これを樹脂とともに組成物に含有させたとき、当該組成物の熱伝導率が好ましいものになる。この酸素含有量は0.25重量%以下であることがより好ましく、0.15重量%以下であることが特に好ましい。一方、この酸素含有量の下限値は、通常、0.01重量以上である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の酸素含有量をこのような範囲にすることは、後述する六方晶窒化ホウ素粉末の製造工程において、非酸化性ガス雰囲気下で焼成することで達成できる。酸素含有量を減少させるために、窒素ガス雰囲気下で焼成することが特に好ましい。
なお、本発明における、六方晶窒化ホウ素粉末の酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法によりHORIBA製酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、平均粒径が10μm以下であることが好ましい。また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、平均粒径が7μm以下であることがより好ましく、平均粒径が5μm以下であることがさらに好ましく、4μm以下であることが特に好ましい。一方、平均粒径は、0.1μm以上であることが、良好な熱伝導性及び良好な流動性を得る観点から好ましい。
本発明の層間充填材組成物は、高い熱伝導率を有する本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を無機フィラー(B)として含有するため、この層間充填材組成物を用いて層間充填層を形成することにより、半導体基板間の熱伝導を促進させて半導体デバイス基板の温度を低下させ、半導体デバイスを安定的に動作させることが可能となる。
本発明における六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒径は、例えば、これを適当な溶剤に分散させ、堀場製作所レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920にて測定することが可能である。得られた粒度分布から六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒径を求めることができる。ここで言う平均粒径は、体積基準の平均粒径である。層間充填材組成物中の六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒径についても同様に、これを適当な溶剤に分散させ、上記と同様の装置で測定することが可能である。
近年、三次元集積回路は、更なる高速化・高容量化などの性能向上のために各チップ間の距離がチップ間距離10〜50μm程度にまで小さくなっているが、チップ間の層間充填層において、配合されるフィラーの最大粒径は層間充填層の厚みの1/3以下程度にすることが好ましい。
無機フィラー(B)の最大粒子径が10μmを超えると硬化した後の層間充填層の表面に無機フィラー(B)が突出して、層間充填層の表面形状が悪化する傾向にある。
一方で、無機フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、必要な熱伝導パス数が増加してチップ間の厚み方向に上から下まで繋がる確率が小さくなり、熱伝導性の高い樹脂(A)と
組み合わせても、層間充填層の厚み方向への熱伝導率が不十分になる。また、無機フィラー(B)の粒径が小さ過ぎると、無機フィラー(B)が凝集しやすくなり層間充填材組成物ないしは塗布液中での分散性が悪くなる。本発明において、無機フィラー(B)として用いる六方晶窒化ホウ素の平均粒径を、上記範囲とすることにより、フィラー同士の過度の凝集が抑制され、良好な熱伝導率を有する層間充填層を得ることができる。
なお、六方晶窒化ホウ素粉末は、合成直後では、粉末が凝集して、上記粒径範囲を満たさない場合がある。そのため、六方晶窒化ホウ素粉末を、上記粒径範囲を満たすように粉砕して用いることが好ましい。
六方晶窒化ホウ素粉末の粉砕の方法は特に限定されず、ロールミルやプラネタリミキサによる解砕、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
本発明においては、上記の六方晶窒化ホウ素は1種を単独で用いてもよく、物性の異なる六方晶窒化ホウ素の2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
例えば、平均粒径が異なる2種以上の六方晶窒化ホウ素を使用してもよい。即ち、平均粒径が比較的小さい、例えば0.1〜2μm、好ましくは0.2〜1.5μmの六方晶窒化ホウ素と、平均粒径が比較的大きい、例えば1〜5μm、好ましくは1〜3μmの六方晶窒化ホウ素とを併用することにより、平均粒径の大きい六方晶窒化ホウ素同士の熱伝導パスを平均粒径の小さい六方晶窒化ホウ素で繋ぐことにより、同一平均粒径のもののみを用いた場合に比べて高充填が可能となり、より高い熱伝導性を得ることができる。
この場合、平均粒径の小さい六方晶窒化ホウ素と平均粒径の大きい六方晶窒化ホウ素とは重量比で10:1〜1:10の割合で用いることが、熱伝導パスの形成の上で好ましい。
また、無機フィラー(B)としての六方晶窒化ホウ素は、樹脂(A)や塗布液中での分散性を高めるため、適宜表面処理を行ってもよい。
<六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を得るために用いられる原料としては、市販の六方晶窒化ホウ素、市販のαおよびβ−窒化ホウ素、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製された窒化ホウ素、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成される窒化ホウ素、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムから作製される窒化ホウ素など何れも制限なく使用できるが、特に六方晶窒化ホウ素が好ましく用いられる。
これらの原料の中でも、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末が所定の結晶子サイズを有するように、六方晶窒化ホウ素粉末であって、特にLaが300[Å]以上であり、より好ましくはまた、Lcが250[Å]以上であり、Lc/Laが0.8〜1.0のものを用いることが特に好ましい。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、上記の原料を非酸化性ガスの雰囲気下、1800℃〜2300℃の温度で焼成することで得られる。
非酸化性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、一酸化炭素等を用いることができ、特に窒素ガスが好適に用いられる。
焼成時間は、1時間〜20時間程度、より好ましくは3〜15時間、特に好ましくは5〜15時間である。
焼成温度や焼成時間は、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末のLc及びLaが同時に大きくなるように適宜調整して決めることができる。
また、焼成に用いる炉はカーボン炉であることが特に好ましく、焼成の際に六方晶窒化
ホウ素粉末を入れる坩堝は、カーボン製であることが特に好ましい。
また、焼成の際には六方晶窒化ホウ素粉末の所望の結晶成長を阻害しない範囲で、添加剤を加えて行ってもよい。
・無機フィラーの含有量
本発明の層間充填剤組成物中の無機フィラー(B)の含有量は、樹脂(A)100重量部あたり、10重量部以上400重量部以下が好ましく、20重量部以上300重量部以下がより好ましい。無機フィラー(B)の含有量が全エポキシ樹脂100重量部当たり、10重量部未満であると、無機フィラー(B)の添加効果が小さくなり、目的とする熱伝導性が得られない場合があり、400重量部を超えると無機フィラー(B)の存在が接合性を阻害することがある。
<硬化剤(C)>
本発明の層間充填剤組成物は、必要に応じて硬化剤(C)を含有していてもよい。
本発明で用いる硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
硬化剤(C)としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。また、これらの硬化剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾールおよびその誘導体としては、1−シアノエチルー2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール
類との付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
また、下記式(1)で示される芳香族アミン系硬化剤があげられる。
N−Ar−COO−[X−O]−CO−Ar−NH ・・・(1)
ここで、Arはフェニレン基を表す。
式(1)において、−[X−O]−は、−(CH−O−、−(CHCHO)−、及びそれらの分岐構造から選ばれる少なくとも1種の構造を意味する。この式(1)中のnは、1〜20の整数がよく、2〜16の整数が好ましく、4〜12がさらに好ましく、8〜12が最も好ましい。nが大きすぎると、硬化物の弾性率やガラス転移温度が低下し、一方、n=0の場合は、芳香族ジアミンの剛直性のため、エポキシ樹脂中のメソゲンの運動性が低下し、メソゲンが並んで高秩序化されたドメイン相の形成を妨げ、熱伝導性が大きくならないので、好ましくない。
なお、−[X−O]−がエチレングリコールユニットの場合は、1分子中に炭素原子を2つ有するので、1〜10の整数が好ましく、1〜8の整数がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、4〜6が最も好ましい。
この中でも、式(1)の−[X−O]−は、−(CH−O−、またはそれらの分岐構造が、工業的に入手しやすい点でより好ましい。このような成分(B)の例として、ビス(4−アミノベンゾイロキシ)メタン、
ビス(4−アミノベンゾイロキシ)エタン、
1,3−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)プロパン、
1,4−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ブタン、
1,5−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ペンタン、
1,6−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ヘキサン、
1,7−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ヘプタン、
1,8−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)オクタン、
1,9−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ノナン、
1,10−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)デカン、
1,11−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ウンデカン、
1,12−ビス(4−アミノベンゾイロキシ)ドデカン等があげられる。
本発明の層間充填剤組成物中の硬化剤(C)の含有量は、150℃における粘度が1Pa・s以下であるエポキシ樹脂(a1)と他のエポキシ樹脂(a2)を含む全エポキシ樹脂100重量部当たり、0.005重量部以上200重量部以下であり、好ましくは、0.01重量部以上180重量部以下ある。
全エポキシ樹脂100重量部当たりの硬化剤(C)の含有量が0.005重量部未満であると、硬化が不十分になるおそれがあり、200重量部を超えると接着性、熱伝導性などの所望の物性が得られない場合がある。
<フラックス(D)>
本発明の層間充填剤組成物は、更にフラックス(D)を含むことが好ましい。フラックスとは、具体的には、金属端子のはんだ接合時において、はんだバンプ等の金属電気信号端子およびランドの表面酸化膜の溶解除去や、はんだバンプのランド表面における濡れ広がり性の向上、更にははんだバンプの金属端子表面の再酸化防止などの機能を有する化合物である。
本発明で用いるフラックスとしては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメシン酸、ベンゼンテトラカルボン酸などの芳香族カルボン酸やその酸無水物、アビエチン酸、ロジンなどのテルペン系カルボン酸などの有機カルボン酸、および有機カルボン酸をアルキルビニルエーテル類と反応して変換したヘミアセタールエステルである有機カルボン酸エステル、グルタミン酸塩酸塩、アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、臭化セチルピリジン、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩などの有機ハロゲン化合物、尿素、ジエチレントリアミンヒドラジンなどのアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、塩酸、フッ酸、燐酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化銅、フッ化ニッケル、フッ化亜鉛などのフッ化物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化第一銅、塩化ニッケル、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫などの塩化物、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、臭化錫、臭化亜鉛などの臭化物などが挙げられる。これらの化合物は、そのまま用いても、また有機ポリマーや無機化合物等による被覆剤を用いてマイクロカプセル化したものを用いても良い。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の層間充填剤組成物中のフラックス(D)の含有量は、樹脂(A)100重量部あたり、好ましくは0.1重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上5重量部以下である。フラックス(D)の含有量が全エポキシ樹脂100重量部当たり0.1重量部未満では、酸化膜除去性低下によるはんだ接続不良のおそれがあり、また10重量部を超えると組成物の粘度上昇による接続不良の恐れがでてくる。
フラックス(D)の含有量は、前記樹脂(A)および無機フィラー(B)の合計100重量部に対して、5重量部以上がよく、10重量部以上が好ましい。5重量部より少ないと、得られる樹脂組成物の熱伝導性が小さく好ましくない。一方、含有量の上限は、150重量部がよく、100重量部が好ましい。150重量部より多いと、複合材の粘度が大きくなり、無機フィラー(B)が均一に分散しにくくなるため、好ましくない。無機フィラー(B)として六方晶窒化ホウ素を用いる場合の含有量も、また同様である。
<分散剤(E)>
本発明に係る層間充填剤組成物は、無機フィラー(B)の分散性を高めるため、分散剤、界面活性剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等を含有することが好ましい。分散剤としては、無機フィラー(B)の分散性を高めるために、アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤を用いることが好ましい。また、有機溶媒(F)を用いた液として本発明の層間充填剤組成物を用いる場合、液の塗布性の向上や塗膜性状の改善効果に優れることから、官能基として3級アミノ基を有するものが好ましい。このような分散剤の一例として、例えば、アクリル系分散剤及び/又はウレタン系分散剤があげられる。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチ
オン系界面活性剤のいずれも使用できる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、アルキルベタイン類、アミノ酸類などが挙げられる。
また、これら界面活性剤においてC−H結合の一部又は全てがC−F結合となったフッ素界面活性剤も好ましく用いることができる。
界面活性剤の添加量として、層間充填剤組成物中の全固形分に対して、0.001〜5重量%程度とするのが好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。0.001重量%未満では、無機フィラー(B)の分散特性を改善することができない場合があり、また5重量%を超えると樹脂(A)との相分離等を引き起こす場合があり好ましくない。
<三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物の製造方法>
本発明にかかる三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物は、前記構成成分を前記した混合割合で混合することにより製造することができる。その際、層間充填剤組成物の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、撹拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロールなどを用いて混合することが好ましい。また、混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、層間充填剤組成物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
本発明の層間充填剤組成物の構成成分を混合する際は、各構成成分がより均一に混合できるように、常温以上に加熱することが好ましい。より好ましくは、40℃以上130℃以下の温度条件下で混合する。40℃以下の温度で混合すると、樹脂(A)の粘度が高いために無機フィラーを均一に分散させることが困難となる虞があり、130℃以上の温度で混合すると、層間充填剤組成物中に気泡が混在しやすくなる虞がある。
また、本発明の層間充填剤組成物の構成成分を混合する際の気泡の混在は、混合する際の圧力を下げることにより低減することが可能である。より具体的には、混合槽内の圧力を100Torr以下にすることが好ましく、より好ましくは90Torr以下にすることが好ましく、80Torr以下のすることが特に好ましい。
更に、混合を均一にするために有機溶媒(F)を用いてもよい。
本発明の層間充填剤組成物で用いる有機溶媒(F)としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
このうち、樹脂の溶解性および溶媒の沸点等を勘案すると、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、エステル類およびエーテル類が好ましく、特にメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を用いることが特に好ましい。
これらの有機溶媒(F)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
本発明の層間充填剤組成物において、有機溶媒(F)の他の成分に対する混合割合は、
特に制限はないが、好ましくは層間充填剤組成物中の固形分濃度が20重量%以上70重量%以下、特に30重量%以上60重量%以下となるような割合で有機溶媒(F)を用いることが好ましい。有機溶媒(F)を、このような含有割合とすることにより、本発明の層間充填剤組成物を使用して、任意の塗布法によって良好な塗布膜を形成することができる。
有機溶媒(F)の混合割合が、上記下限未満では層間充填剤組成物の粘度が上昇し、良好な層間が得られない場合があり、または上記上限を超えると所望の層間膜厚が得られない等の問題が出てくる可能性がある。溶媒は混合後、減圧乾燥によって除去することができる。
この発明にかかる三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物は、更に加熱し成形することにより成形体を得ることができる。この成形方法は、一般に用いられる方法を用いて、層間充填剤組成物の状態や樹脂の種類に応じて適宜に行うことができる。
例えば、可塑性や流動性を有する層間充填剤組成物の成形は、窒化ホウ素樹脂複合材を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で、硬化させることによって行うことができる。このような成形体の製造では、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、及び圧縮成形を利用することができる。また成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの硬化温度条件で行うことができる。また前記成形体は、層間充填剤組成物の硬化物を所望の形状に削り出すことによっても得ることができる。
[その他の添加剤]
本発明の層間充填材組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、無機フィラーの配向を制御するための微粒子成分や、エポキシ樹脂の特性を損なわずに層間充填材組成物を低粘度下する反応性希釈剤成分や、弾性率や破壊靱性等の膜物性の改良のために、柔軟性骨格やゴム弾性骨格を有する樹脂成分や、0.01〜1μm程度のゴム状粒子等が挙げられる。
無機フィラーの配向を制御するための微粒子成分としては、体積平均粒径が0.5μm以上20μm以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1μm以上10μm以下である。このような微粒子成分としては、例えば樹脂の微粒子として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルや、アクリル酸エステル等から得られる樹脂等を基材とする微粒子、それらのモノマーとメチルビニルエーテル、酢酸ビニル、ジビニルベンゼンなど他のモノマーとの共重合体微粒子、およびこれらを架橋した微粒子などのアクリル系微粒子;スチレン系微粒子;低密度ポリエチレン微粒子、高密度ポリエチレン微粒子、超高分子量ポリエチレン微粒子、およびエチレン・アクリル酸共重合体微粒子などのポリエチレン系微粒子;ナイロン系微粒子;ポリアクリロニトリルを主成分とするPAN系微粒子;熱硬化性および熱可塑性のポリウレタン系微粒子;ノボラック樹脂微粒子、レゾール樹脂微粒子などのフェノール樹脂系微粒子;シリコーン樹脂微粒子、シリコーン樹脂被覆微粒子などのシリコーン樹脂系微粒子;ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子などのベンゾグアナミン・メラミン系微粒子;四フッ化エチレン樹脂微粒子などのフッ素樹脂系微粒子;アラミド微粒子、ポリイミド微粒子、PEEK微粒子などのエンプラ系微粒子;シルクなどの天然高分子系微粒子等が挙げられる。また、無機の微粒子としては、絶縁性のある微粒子が好ましく、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム等の無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機窒化物;炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素等の無機炭化物;ダイヤモンド等;等の微粒子が挙げられる。なかでも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウ
ム(アルミナ)が好ましい。これらの微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
反応性希釈剤としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、溶融粘度の低減の観点から、そのエポキシ当量が70g/当量以上350g/当量以下であることが好ましく、より好ましくは80g/当量以上200g/当量以下である。このような反応性希釈剤として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、エリスリトールテトラグリシジルエーテルなど、2価以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル体などが挙げられる。
また樹脂成分としては、柔軟性やゴム弾性骨格を有する樹脂が好ましく、この中でも特に柔軟性やゴム弾性骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。
さらにゴム状粒子としては、層間充填剤として三次元積層型半導体装置の製造プロセスへの適合性を勘案して、0.01〜1μmの粒径を有するゴム状粒子であることが好ましい。ゴム状粒子の樹脂中への分散性促進のために、該粒子表面はゴム状成分とは異なる樹脂成分にて被覆されていても良い。ゴム状成分としては、汎用のゴム成分を用いることが出来るが、この中でもスチレンブタジエンゴムやポリブタジエンゴム、シリコンゴムなどのゴム成分であることが好ましい。
その他、基材との接着性や樹脂と無機フィラーとの接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、成形時の流動性改良及び基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することもできる。これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
本発明の層間充填材組成物においては、硬化膜からのイオン成分の溶出を低減させ三次元積層型半導体装置の信頼性向上のためにも、構成成分である樹脂、無機フィラー、硬化剤、フラックス、分散剤及びその他の添加剤について、事前に精製処理を施したものを適用することが好ましい。
また、層間充填材組成物は、加水分解性の塩素を含有すると三次元積層型半導体装置の信頼性を低下させる虞があるので、層間充填材組成物中の加水分解性の塩素量は150ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。加水分解性の塩素を好ましい範囲とするためには、樹脂(A)中の加水分解性の塩素を、水などの溶媒により抽出洗浄した後に分液したり、蒸留による精製処理を行ったりする方法を適用することで達成することができる。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテル変性物については160〜200℃の温度で100Torr以下にて減圧蒸留することにより、また1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル変性物については、純水を添加して撹拌混合を行い静置して層分離させた後、分液して脱水処理を行うことにより、それぞれ精製することが出来る。
<三次元積層型半導体装置>
本発明の三次元積層型半導体装置は、本発明の層間充填剤組成物を硬化させてなる層間充填剤組成物硬化物を層間に有するものであり、樹脂(A)の特性により、無機フィラー
(B)を高い割合で配合した場合でも低溶融粘度を示し、高熱伝導率とはんだ接合性を両立することが出来る。
本発明に係る層間充填剤組成物は、高熱伝導性及び液晶性を有するので、電気・電子分野などにおいて熱伝導性が要求される放熱基板、放熱シート、熱伝導性ペースト、熱伝導性接着剤、半導体パッケージ、ヒートシンク、ヒートパイプ、電気電子機器の筐体等に使用することができる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[配合成分]
以下において用いた層間充填材組成物塗布液の配合成分は次の通りである。
<エポキシ樹脂(a)>
エポキシ樹脂(1):三菱化学株式会社製 品名「YL6810」(エポキシ当量173g/当量)
エポキシ樹脂(2):三菱化学株式会社製 品名「1750」(エポキシ当量190g/当量)
エポキシ樹脂(3):三菱化学株式会社製 品名「YL216D」(エポキシ当量120g/当量)
エポキシ樹脂(4):三菱化学株式会社製 品名「1032H60」(エポキシ当
量169g/当量)
エポキシ樹脂(5):三菱化学株式会社製 品名「YX4000H」(エポキシ当量186g/当量)
エポキシ樹脂(6):三菱化学株式会社製 品名「1006」(エポキシ当量1000g/当量)
エポキシ樹脂(7):2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテル変性物(エポキシ当量173g/当量)
エポキシ樹脂(8):1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル変性物(エポキシ当量128/当量)
<無機フィラー(B)>
無機フィラー(B1):日新リフラテック株式会社製 窒化ホウ素 品名「R−BN」(熱伝導率3W/(m・K)(厚み方向)、275W/(m・K)(面内方向))
無機フィラー(B2):株式会社MARUKA製 窒化ホウ素 品名「AP−170S」
無機フィラー(B3):株式会社龍森製 シリカ 品名「PLV−4」(熱伝導率1.4W/(m・K))
<硬化剤(C)>
硬化剤(C1):四国化成工業株式会社製 1−シアノエチル−2−ウエンデシルイミダゾール 品名「C11Z−CN」
硬化剤(C2):和歌山精化工業株式会社 ジアミノジフェニルスルホン 品名「DDS」
硬化剤(C3):三菱化学株式会社 ジシアンジアミド 品名「DICY7」
硬化剤(C4):三菱化学株式会社 2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール 品名「EMI24」
<フラックス(D)>
和光純薬工業株式会社製 アジピン酸 試薬特級
<アミン価(mg−KOH/g)が10以上300以下の分散剤(E)>
分散剤(E1):ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−2155」
分散剤(E2):ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−9077」
分散剤(E3):ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−116」
[各種物性、特性の評価]
(1)エポキシ樹脂の溶融粘度
株式会社アントンパール・ジャパン製 粘弾性測定装置Physica MCR301を用いて、溶融粘度(パラレルプレート動的粘度)を測定した。
まず、測定対象であるエポキシ樹脂から溶媒を留去して固形物を得、その後、この固形物に対してプレス成形を行い、厚さ約1mmの板状サンプルを得た。このサンプルを、パラレルプレートディッシュとパラレルプレート(φ25mm)の間に載置し、パラレルプレート動的粘度測定を行った。
測定条件は、上記サンプルに正弦波歪みを20%与え、その歪みの角周波数は10rad/secとし、1分間に3℃の割合で昇温させる過程での粘度を40℃〜200℃まで測定した。
(2)無機フィラーの粒径
攪拌混合後の層間充填材組成物塗布液をシクロヘキサノンで分散させ、島津製作所製粒度分布測定装置「SALD−2200」にて測定した。得られた粒度分布から粉砕後の無機フィラーの平均粒径及び最大粒径を求めた。
(3)無機フィラーの比表面積
無機フィラーに250℃、15分間窒素ガスフローの前処理を行った後、株式会社マウンテック製 マックソーブHM MODEL−1201を用い、BET1点法(吸着ガス:窒素)にて、比表面積を測定した。
その結果、無機フィラー(B1)の比表面積は9.7m2/g、無機フィラー(B2)
は116m2/g、無機フィラー(B3)は4.4m2/gであった。
(4)硬化膜の熱伝導率
層間充填材組成物コンパウンドの硬化膜について、以下の装置を用いて、熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで求めた。
1)熱拡散率:株式会社アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
2)比重:メトラー・トレド株式会社「天秤 XS−204」(固体比重測定キット使用)
3)比熱:セイコーインスツル株式会社「DSC320/6200」
(5)硬化膜の塩素濃度評価
層間充填材組成物コンパウンドの硬化膜2gを凍結粉砕して、これに純水10mLを加えて高温高圧酸分解容器に入れて125℃で20時間加温を行った。冷却後、0.45μmのフィルターにて濾過した後、Dionex社「DX500」のイオンクロマトグラフィーにて塩素イオン濃度を測定した。
(6)接合性の評価
層間充填材組成物塗布液を株式会社WALTS社製のシリコン製はんだバンプ基板(CC80ModelI)を80℃に加熱しながら約25μL塗布後した。
このはんだバンプ基板及び株式会社WALTS社製のインターポーザ(CC80ModelI)を、東レエンジニアリング社製フリップチップボンダ(FC3000S)を用いて250℃まで昇温させて加熱圧着接合して、冷却後150℃2時間硬化させて、積層体を形成した。積層体内部のデイジーチェインの電気抵抗をデジタルマルチメーターにより測定した。
(7)接合面内のボイド評価
シリコン製はんだバンプ基板を、層間充填材組成物を介して有機インターポーザ基板に接合したチップについて、日立建機ファインテック株式会社製超音波探査映像装置(HYE−FOCUSII)を用いて接合チップ間のバンプとバンプの間における空孔有無を評価した。
[実施例1]
エポキシ樹脂(1)50gをプラネタリミキサ(PRIMIX社製2P−03型)の撹拌容器を50℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を1g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)50gを添加して、撹拌翼の公転速度30rpmにて2時間撹拌を行った。ここに、フラックス(D)2g及び硬化剤(C1)3gを加えて、更に10分間撹拌した。これを、自公転撹拌機(株式会社シンキー製ARV−310)を用いて、2000rpm1.2kPaにて10分間減圧撹拌脱泡を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、撹拌脱泡直後の塗布液の温度は70℃であった。またエポキシ樹脂(a1)の120℃における溶融粘度、塗布液の平均粒径及びフィラーの比表面積の結果を表1に示す。
この塗布液を離型処理したガラス基板に塗布して、この膜上にさらに離型処理したガラス基板をスペーサーを介して載せて挟んだ後に、150℃で2時間プレス(圧力1MPa)することにより、成形・硬化させて膜厚500μmの層間充填材組成物膜を得た。この膜の熱伝導率を測定したところ1.11W/(m・K)であった。
[実施例2]
エポキシ樹脂(1)70gをプラネタリミキサの撹拌容器を50℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を0.6g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)30gを添加して、撹拌翼の公転速度30rpmにて2時間撹拌を行った。ここに、フラックス(D)2.8g及び硬化剤(C1)4.2gを加えて、更に10分間撹拌した。これを、自公転撹拌機を用いて、2000rpm1.2kPaにて10分間撹拌脱泡を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、撹拌脱泡直後の塗布液の温度は70℃であった。また、樹脂(a1)の溶融粘度、塗布液の平均粒径の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、0.61W/(m・K)であった。
[実施例3]
エポキシ樹脂(1)14gを50mLスクリュー管容器にいれて、ホットプレート上で120℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を0.12g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)6gを添加して、撹拌翼にて300rpmにて10分間撹拌を行った。ここに、硬化剤(C2)4.18g及び硬化剤(C3)0.42gを加えて、2時間撹拌した。これを、ペルジャー型ホットプレート上にて160℃0.6kPaに加熱減圧しながら脱泡処理を行い層間充填材ペースト(塗布液)を得た。なお、樹脂(a1)の溶融粘度、塗布液の平均粒径の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、0.59W/(m・K)であった。
[実施例4]
エポキシ樹脂(7)45gをプラネタリミキサの撹拌容器を50℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を1.1g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)55gを添加して、撹拌翼の公転速度30rpmにて2時間撹拌を行った。混合物を8.2g分取して、ここにエポキシ樹脂(a7)を1.8g追加した後、フラックス(D)0.
22g及び硬化剤(C1)0.33gを加えて、自公転撹拌機(株式会社シンキー製ARV−310)を用いて、2000rpm1.2kPaにて10分間減圧撹拌脱泡を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、撹拌脱泡直後の塗布液の温度は70℃であった。またエポキシ樹脂(a7)の120℃における溶融粘度、塗布液の平均粒径の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、0.93W/(m・K)であった。
[実施例5]
エポキシ樹脂(7)45gをプラネタリミキサの撹拌容器を50℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を1.1g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)55gを添加して、撹拌翼の公転速度30rpmにて2時間撹拌を行った。混合物を9.1g分取して、ここにエポキシ樹脂(8)を1.0g追加した後、フラックス(D)0.20g及び硬化剤(C1)0.30gを加えて、自公転撹拌機(株式会社シンキー製ARV−310)を用いて、2000rpm1.2kPaにて10分間減圧撹拌脱泡を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、撹拌脱泡直後の塗布液の温度は70℃であった。またエポキシ樹脂(a7)とエポキシ樹脂(a8)の120℃における溶融粘度、塗布液の平均粒径の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、1.11W/(m・K)であった。
実施例1〜5の層間充填材塗布液をはんだバンプ基板に塗布した後、フリップチップボンダを用いてインターポーザ基板に加熱圧着接合を行った。冷却後硬化させて、積層体内部のデイジーチェインの電気抵抗を測定したところ、いずれも20Ω以下と良好であった。また、実施例1、2及び4,5の塗布液を用いて加熱圧着接合した積層体について、超音波探査映像装置を用いて観察したところ、接合チップ間に空孔は見られなかった。
[比較例1]
エポキシ樹脂(2)6.3g及びエポキシ樹脂(3)0.7gを50mLスクリュー管容器にいれて、ホットプレート上で50℃に昇温して溶解させて撹拌混合した後、さらに、無機フィラー(B2)3.0g及び硬化剤(C4)0.35gを添加した後、10分間撹拌混合を行った。撹拌後、スクリュー管側壁に、エポキシ樹脂の加熱による気化凝集物が付着していた。なお、樹脂(a4)の溶融粘度、塗布液の平均粒径及び比表面積の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、0.49W/(m・K)であった。
[比較例2]
エポキシ樹脂(1)70gをプラネタリミキサの撹拌容器を50℃に昇温して溶解させて、分散剤(E3)を0.6g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B3)30gを添加して、撹拌翼の公転速度30rpmにて2時間撹拌を行った。ここに、フラックス(D)2.8g及び硬化剤(C1)4.2gを加えて、更に10分間撹拌を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、樹脂(a1)の溶融粘度、塗布液の平均粒径及び比表面積の結果を表1に示す。
この塗布液より実施例1と同様に硬化膜を作成し、熱伝導率を測定したところ、0.39W/(m・K)であった。
[比較例3]
エポキシ樹脂(4)2.8g、エポキシ樹脂(5)7g及びエポキシ樹脂(6)4.2gを50mLスクリュー管容器にいれて、ホットプレート上で120℃に昇温して溶解さ
せて、分散剤(E3)を0.28g添加して1分間撹拌した。ここに無機フィラー(B1)6gを添加して、撹拌翼にて300rpmにて10分間撹拌を行った。ここに、フラックス(D)0.28g及び硬化剤(C1)0.84gを加えて、5分間撹拌混合した。これを150mLの容器に移し替えて、次いで自公転撹拌機を用いて2000rpm1.2kPaにて5分間撹拌脱泡を行い、層間充填材塗布液を得た。なお、撹拌脱泡直後の塗布液温度は70℃であった。また、樹脂混合物の溶融粘度、塗布液の平均粒径及び比表面積の結果を表1に示す。
この塗布液を用いて実施例1と同様に硬化膜の作成を試みたが、液の粘度が高く多数の気泡が残留しており、良質な硬化膜が得られなかった。
実施例4,5及び比較例1,3について、実施例1と同様に層間充填材組成物膜を作成し、これを凍結粉砕した後、純水を加えて125℃で20時間加熱抽出を行った。冷却後、抽出液を濾過した後、イオンクロマトグラフィーにて塩素濃度の測定を行った。結果を表1に示す。実施例では塩素イオンが11及び12ppmと低濃度であったが、比較例では200及び170ppmと高濃度の塩素イオンが検出された。
Figure 2014051553
本発明によると、半導体デバイス基板間のはんだバンプ等とランドの接合と同時に、熱伝導性の高い高品質の層間充填層を形成することができる。

Claims (15)

  1. 120℃における溶融粘度が0.001〜1Pa・sである樹脂(A)と、体積平均粒径0.1μm以上10μm以下、且つ、比表面積1m2/g以上60m2/g以下であり、さらに熱伝導率2W/(m・K)以上の無機フィラー(B)とを含有する三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  2. 前記フィラー(B)を樹脂(A)100重量部当たり、40重量部以上400重量部以下含有する、請求項1に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  3. 更に硬化剤(C)を含有する、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  4. 更にフラックス(D)を含有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  5. 前記樹脂(A)が熱硬化性樹脂である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  6. 前記樹脂(A)がエポキシ樹脂(a)である、請求項5に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂(a)が、エポキシ当量150g/当量以上650g/当量以下であるエポキシ樹脂(a1)を含む、請求項6に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  8. 前記エポキシ樹脂(a)が、更にエポキシ当量650g/当量以上30000g/当量以下であるエポキシ樹脂(a2)を含む、請求項6又は7に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  9. 前記エポキシ樹脂(a)が、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格又はビフェニル骨格のうち、少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂である、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の層間充填材組成物において、加水分解性の塩素濃度が1〜100ppmである三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の層間充填材組成物と、有機溶媒(F)を含有してなる、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  12. 構成成分を、40℃〜160℃の温度条件下で混合してなる、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  13. 構成成分を、100Torr以下の圧力条件下で混合してなる、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の、三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物。
  14. 半導体デバイス層が形成された半導体基板表面に、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物からなる層を形成し、当該半導体基板と、半導体デバイス層が形成された他の半導体基板とを積層し加圧接合した後、120℃〜180℃で処理する工程を含む、三次元積層型半導体装置の製造方法。
  15. 半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した三次元積層型半導体装置であって、当該半導体基板間の少なくとも1つに、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の三次元積層型半導体装置用の層間充填剤組成物を有する、三次元積層型半導体装置。
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