JP2014051462A - 水性誘引殺虫組成物、殺虫用具、並びに、殺虫方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クロチアニジン、N−メチルピロリドン、昆虫誘引剤、及び水を含有し、組成物中におけるクロチアニジンの含有率が0.05〜0.5重量%であり、水の含有率が50重量%以上である水性誘引殺虫組成物が提供される。本発明の水性誘引殺虫組成物は、例えば、コバエ等を殺虫するためのベイト剤として有用である。本発明の水性誘引殺虫組成物を保持させた吸水性担体を有する殺虫用具、及び本発明の水性誘引殺虫組成物を害虫に摂取させる殺虫方法も提供される。
【選択図】なし
Description
本発明の水性誘引殺虫組成物は、殺虫成分としてクロチアニジンを含有していることから、高い殺虫効果を示し、また、水以外の溶媒としてN−メチルピロリドンを使用しているので、十分な殺虫効果が発現するクロチアニジン濃度を得るのにも溶媒の添加量が少量で済む。そのため、昆虫誘引剤による誘引作用が損なわれず、高い害虫駆除効果を得ることができる。さらに、本発明の水性誘引殺虫組成物は水性であることから、臭気の点や、引火性が低くなること等によって家庭用製剤に適した組成物となる。本発明の水性誘引殺虫組成物は、例えば、ハエやコバエ等の飛翔害虫を駆除するためのベイト剤として有用である。
また、クロチアニジンとN−メチルピロリドンの配合重量比については、通常、クロチアニジン1に対してN−メチルピロリドンが10〜60倍程度である。
安定化剤の例としては、アスコルビン酸等の酸化防止剤が挙げられる。
防腐剤の例としては、ソルビン酸、ソルビン酸塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、チアベンダゾール、等が挙げられる。
着色料としては、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、紅花色素、フラボノイド色素、赤色2号、赤色3号、黄色4号、黄色5号、等が挙げられる。
誤飲防止剤としては、安息香酸デナトニウム、等が挙げられる。
水分保持剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、等が挙げられる。
容器3は有底かつ円筒状であり、皿状あるいは桶状の形状を有する。
容器3の底には吸水性担体2が載置されている。図4に示すように、吸水性担体2は円盤状であり、スポンジや不織布等で構成されている。吸水性担体2には本発明の水性誘引殺虫組成物が含漬し、保持されている。
容器3の開口部には蓋(蓋部)5が装着され、容器3を上方から覆っている。蓋5は正面視が長方形又は台形の円筒状部材であり、皿あるいは桶を逆さにしたような形状である。図3に示すように、蓋5の天面6には複数の小孔7が設けられている。そして、小孔7を介して容器3の内外が連通している。小孔7はコバエ類が通過可能なサイズを有している。
吸水性担体12は紐状体であり、一方の端部17が容器13内の水性誘引殺虫組成物16に浸漬している。吸水性担体12の他方の端部18は、容器13の口部を介して外に露出している。容器13内の水性誘引殺虫組成物16は、端部17から吸水性担体12に吸い上げられて端部18に至っている。すなわち、容器13から吸水性担体12に水性誘引殺虫組成物が供給され、吸水性担体12の全体に水性誘引殺虫組成物が保持されている。吸水性担体12は、例えば、綿糸編物や不織布で構成されている。
死骸受け部15は上部が開放した筒状かつ有底の部材からなり、吸水性担体12の端部18を囲むように設置されている。死骸受け部15と端部18とは隙間なく接している。
クロチアニジン(住友化学株式会社製、以下同じ)0.1重量部をN−メチルピロリドン(関東化学株式会社製、以下同じ)5重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液にグリセリン(関東化学株式会社製、以下同じ)10重量部を加えて攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液に70%ソルビトール溶液(関東化学株式会社製、以下同じ)10重量部、みりん(商品名:タカラ本みりん、宝酒造株式会社製、以下同じ)10重量部、リンゴ酢(酸度5%、マルカン酢株式会社製、以下同じ)20重量部、ゴマ酢(酸度5%、マルカン酢株式会社製)10重量部、及び水34.9重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(1)を得た。
本発明組成物(1)15gを直径5.5cm、厚さ8mmの円盤状パルプ製不織布に含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(1)とした。
クロチアニジン0.1重量部をN−メチルピロリドン5重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液にグリセリン10重量部を加えて攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液に70%ソルビトール溶液10重量部、みりん20重量部、リンゴ酢30重量部、酵母エキス(商品名:ミーストAP−1122、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製)4重量部、及び水30.9重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(2)を得た。
本発明組成物(1)15gを直径5.5cm、厚さ8mmの円盤状パルプ製不織布に含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(2)とした。
クロチアニジン0.05重量部をN−メチルピロリドン0.5重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液に、リンゴ酢30重量部、及び水69.45重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(3)を得た。
本発明組成物(3)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(3)とした。
クロチアニジン0.1重量部をN−メチルピロリドン3重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液に、リンゴ酢40重量部、及び水56.9重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(4)を得た。
本発明組成物(4)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(4)とした。
クロチアニジン0.2重量部をN−メチルピロリドン20重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液に、ワイン(商品名:彩食健美 赤、サントリー株式会社製)20部、リンゴ酢40重量部、及び水19.8重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(5)を得た。
本発明組成物(5)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(5)とした。
クロチアニジン0.3重量部をN−メチルピロリドン25重量部に溶解し、溶液を得た。この溶液に、乳酸菌飲料(商品名:カルピスぶどう、カルピス株式会社製)10部、リンゴ酢40重量部、及び水24.7重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、本発明組成物(6)を得た。
本発明組成物(6)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、本発明殺虫用具(6)とした。
本比較例では、N−メチルピロリドンに代えてエタノールを使用した。
クロチアニジン0.05重量部をエタノール30重量部に溶解し、溶液を得た。なお、エタノールに対するクロチアニジンの溶解度は高くなく、最終的にクロチアニジン0.05%含水溶液を得るには、30重量部程度のエタノール添加量が必要であった。この溶液に、リンゴ酢30重量部、及び水39.95重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、比較組成物(1)を得た。
比較組成物(1)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、比較殺虫用具(1)とした。
本比較例では、N−メチルピロリドンに代えてアセトンを使用した。
クロチアニジン0.05重量部をアセトン30重量部に溶解し、溶液を得た。なお、アセトンに対するクロチアニジンの溶解度は高くなく、最終的にクロチアニジン0.05%含水溶液を得るには、30重量部程度のアセトン添加量が必要であった。この溶液に、リンゴ酢30重量部、及び水39.95重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、比較組成物(2)を得た。
比較組成物(2)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、比較殺虫用具(2)とした。
本比較例では、N−メチルピロリドンに代えてエタノールを使用した。
クロチアニジン0.1重量部をエタノール50重量部に溶解し、溶液を得た。なお、エタノールに対するクロチアニジンの溶解度は高くなく、最終的にクロチアニジン0.1%含水溶液を得るには、50重量部程度のエタノール添加量が必要であった。この溶液に、リンゴ酢40重量部、及び水9.9重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、比較組成物(3)を得た。
比較組成物(3)12gを直径5.5cm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、比較殺虫用具(3)とした。
本比較例では、N−メチルピロリドンに代えてアセトンを使用した。
クロチアニジン0.1重量部をアセトン30重量部に溶解し、溶液を得た。なお、アセトンに対するクロチアニジンの溶解度は高くなく、最終的にクロチアニジン0.1%含水溶液を得るには、30重量部程度のアセトン添加量が必要であった。この溶液に、リンゴ酢40重量部、及び水9.9重量部を添加し、攪拌して混和した。これにより、比較組成物(4)を得た。
比較組成物(4)12gを直径5.5mm、厚さ1cmの円盤状ウレタンスポンジに含漬させ、内径6cm、深さ2.5cmの樹脂性円形カップ容器に収容し、比較殺虫用具(4)とした。
100メッシュナイロンゴースで6面を覆った一辺50cmの立方体のケージを準備した。このケージの床面の四隅のうちの3ヶ所に、本発明殺虫用具(3)、比較殺虫用具(1)、及び比較殺虫用具(2)を1個ずつ設置した。キイロショウジョウバエ約120頭をケージ内に放ち、20時間後に各殺虫用具に誘引されて致死した虫数を数えた。放った虫数に対する致死した虫数の割合(トラップ率)を算出した。試験は2回行い、トラップ率の平均値を求めた。結果を表1に示す。
すなわち、本発明殺虫用具(3)の場合は、87.9%の高いトラップ率が得られた。一方、比較殺虫用具(1)と比較殺虫用具(2)の場合は、それぞれ2.6%と4.4%の低いトラップ率しか得られなかった。これは、クロチアニジンを完全に溶解させるために溶媒として用いたエタノールとアセトンの含量が高いため、リンゴ酢の昆虫誘引作用を阻害し、コバエが近寄って来なかったためと考えられた。このように、クロチアニジンを溶解させるための溶媒としてN−メチルピロリドンを用いることにより、高い昆虫誘引性を有しクロチアニジンを殺虫成分とする水性誘引殺虫組成物が得られることが示された。
100メッシュナイロンゴースで6面を覆った一辺50cmの立方体のケージを準備した。このケージの床面の四隅のうちの3ヶ所に、本発明殺虫用具(4)、比較殺虫用具(3)、及び比較殺虫用具(4)を1個ずつ設置した。キイロショウジョウバエ約130頭をケージ内に放ち、20時間後に各殺虫用具に誘引されて致死した虫数を数えた。放った虫数に対する致死した虫数の割合(トラップ率)を算出した。試験は2回行い、トラップ率の平均値を求めた。結果を表2に示す。
2 吸水性担体
3 容器
5 蓋(蓋部)
7 小孔
11 殺虫用具
12 吸水性担体
16 水性誘引殺虫組成物
Claims (9)
- クロチアニジン、N−メチルピロリドン、昆虫誘引剤、及び水を含有し、組成物中におけるクロチアニジンの含有率が0.05〜0.5重量%であり、水の含有率が50重量%以上であることを特徴とする水性誘引殺虫組成物。
- 組成物中におけるN−メチルピロリドンの含有率が0.5〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の水性誘引殺虫組成物。
- 前記昆虫誘引剤が、酢類、酒類、果汁、乳酸菌飲料、酵母エキス、及び糖類からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性誘引殺虫組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水性誘引殺虫組成物を保持させた吸水性担体を有することを特徴とする殺虫用具。
- 前記吸水性担体を収容した容器と、当該容器の開口部を覆う蓋部とを備え、当該蓋部には前記容器に連通する複数の小孔が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の殺虫用具。
- 前記吸水性担体は、スポンジ又は不織布からなることを特徴とする請求項4又は5に記載の殺虫用具。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水性誘引殺虫組成物を害虫に摂取させることを特徴とする殺虫方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の殺虫用具を用いることを特徴とする請求項7に記載の殺虫方法。
- 前記害虫が、コバエ類であることを特徴とする請求項7又は8に記載の殺虫方法。
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