JP2014051460A - 2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、該製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、該アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むことを特徴とする2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
従来の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法において行われているような、アクリル酸エステルと触媒とを混合した後に加熱する方法や、加熱された触媒含有溶液に加熱されていないアクリル酸エステルを添加して反応させる方法の場合、充分に反応が進行する前に触媒が失活してしまうため、高収率で反応させるには触媒を多量に使用する必要があった。本発明の製造方法は、従来の方法よりも少ない量の触媒で反応を進行させることができ、このことにより本発明の製造方法は、後述するような種々の利点を有する。
また、これらを混合する際のホスフィン系触媒や加熱したアクリル酸エステルの添加は、一括添加であってもよく、逐次添加であってもよいが、一括添加が好ましい。
また、ホスフィン系触媒と混合される際にアクリル酸エステルの少なくとも一部が加熱されたものである限り、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合することに該当する。好ましくは、ホスフィン系触媒と混合される前にアクリル酸エステルの全てが加熱されることである。
また、アクリル酸エステルの少なくとも一部が加熱された状態でホスフィン系触媒と混合される限り、その後にアクリル酸エステルと触媒との混合液を更に加熱するような場合もホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合することに該当する。
このように、ホスフィン系触媒をアクリル酸エステルに対して、0.001〜1mol%の割合で用い、触媒量に合わせて反応時間等を調整することで高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを得ることができるが、本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、従来のアクリル酸エステルを二量化させる反応に比べて少量の触媒の使用でも高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを製造することができる点に特徴を有している。本発明の製造方法に用いるホスフィン系触媒は高価であるため、触媒の使用量を少なくしても高収率でジエステルを製造できることの意義は大きく、本発明の製造方法は、収率が高いだけでなく、経済性にも優れた製造方法である。さらに、触媒の使用量を少なくすることにより、反応生成物への着色を抑制することができる。
このように、従来のアクリル酸エステルを二量化させる反応に比べて少量の触媒の使用でアクリル酸エステルを製造することは、本発明のより好適な実施形態であり、そのようなホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルに対して、0.005〜0.4mol%であり、更に好ましくは、0.01〜0.2mol%である。
(R1R2N)3P (1)
(式中、R1、R2は、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記R1、R2は、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
R3P(R4R5N)2 (2)
(式中、R3は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、アリール基を表す。R4、R5は、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記R3がアルキル基の場合、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記R4、R5の好ましい構造は、上記式(1)におけるR1、R2と同様である。
溶媒としては、アクリル酸エステルや2−メチレングルタル酸ジエステルを溶解することができるものである限り特に制限されず、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトン、アセトニトリル等の非プロトン性の溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、2−メチレングルタル酸ジエステルと沸点差のある、1気圧での沸点が80℃以上、150℃以下の溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。
なお、本発明の製造方法において溶媒を用いる場合、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合した後に溶媒を添加してもよく、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合してもよい。アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合する場合、アクリル酸エステルを溶解するために使用された溶媒と、ホスフィン系触媒を溶解するために使用された溶媒との合計量が、上記範囲にあることが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
反応時間は、上述したように、使用されるホスフィン系触媒の量に応じて適宜設定されることになるが、0.1〜24時間が好ましい。より好ましくは0.5〜16時間であり、更に好ましくは1〜8時間である。
また、反応は、大気圧下で行われることが好ましいが、減圧下、加圧下、いずれの圧力下で行ってもよい。
CH2=CH−COOR (3)
(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表される構造を有する化合物である。
また鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよく、例えば、アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基等が好適なものとして挙げられる。
上記アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばメトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル、フェノキシエチル、フェノキシエトキシエチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基としては、ハロゲン原子がフッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、例えばフルオロエチル、ジフルオロエチル、クロロエチル、ジクロロエチル、ブロモエチル、ジブロモエチル等の基が好適なものとして挙げられる。
上述した置換基としては、他にも、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アセトキシ基、アミノ基、ジアルキル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン基等が挙げられる。
(反応収率及び基質転化率)
反応の収率及び基質転化率は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(商品名)、SHIMADZU社製、キャピラリーカラム InertCap Pure−Wax(商品名)長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)を使用して測定し、事前に作成した検量線を使用して求めた。
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル(AM)1500g(メトキノン(MQ)を300ppm含む)、トルエン1480gを加え、撹拌しながらバス温100℃、内温が85℃になるまで加熱する。これにトルエン20gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン1500mgを滴下し、撹拌させ4時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、反応率94%、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率78%、3量体の収率11%であることを確認した。以下、この処方をAと呼ぶ。
反応液を200Torrで蒸留し、始めに未反応のアクリル酸メチルと溶媒のトルエンを回収し、その後、15Torrまで圧力を下げ、2−メチレングルタル酸ジメチルを1057g得た。
アクリル酸メチルや触媒、溶媒の量、及び、反応温度を表1のようにした以外は、実施例1と同様の処方Aで反応を行った。実施例5〜8は溶媒濃度、実施例9〜13は反応温度を変えて、処方Aに従い行ったものである。結果を表1に示す。
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル(AM)76g(メトキノン300ppmを含む)、トルエン70gを加え、初期バス温を80℃に設定した。これにトルエン5gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン75mgを滴下し、30分撹拌後、バス温を100℃に昇温させ3.5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率73%、3量体の収率6%であることを確認した。以下この処方をBと呼ぶ。実施例15は実施例14と同様の処方Bでアクリル酸メチルの量、初期バス温度をそれぞれ変えて行った。結果を表2に示す。
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにトルエン140gを加え、撹拌しながらバス温110℃、内温が100℃になるまで加熱する。これにトルエン10gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン150mgを滴下し、そこへ25℃のアクリル酸メチル150g(メトキノン300ppmを含む)を1時間かけて滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、反応率が2%、2−メチレングルタル酸ジメチル収率が0%、3量体収率は0%であることを確認した。
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル75g(300ppm MQ含有)、トルエン70gを加え、初期バス温を25℃に設定した。これにトルエン5gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン75mgを滴下し、30分撹拌後、バス温を100℃に昇温させ3.5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率33%、3量体の収率2%であることを確認した。
実施例1で得られた2−メチレングルタル酸ジメチル100g、硫酸7.7g、水100mLを300mL四つ口フラスコに仕込んで攪拌した。上記反応液の内温を110℃に保ち、メタノールを留出させながら6時間反応させた。反応後、撹拌しながら冷却し、白色結晶を析出させ、ろ過、乾燥を行い、2−メチレングルタル酸を76g(収率90モル%)得た。
上記実施例、比較例ではアクリル酸エステル、ホスフィン系触媒として特定の化合物を用いた例が示されているが、アクリル酸エステルを加熱した後に、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合して二量化する機構は、他のアクリル酸エステル、ホスフィン系触媒を用いた場合も同様である。したがって上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
Claims (4)
- 2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、
該製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、該アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むことを特徴とする2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。 - 前記ホスフィン系触媒は、トリアルキルアミノホスフィン系触媒、アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒及びアリールジアルキルアミノホスフィン系触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
- 前記二量化工程は、溶媒を用いて行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解して得られることを特徴とするメチレングルタル酸系化合物。
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