JP2014051460A - 2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、該製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、該アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むことを特徴とする2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法に関する。より詳しくは、医薬、農薬を初めとする各種有機化合物、塗料用ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂製造用の原料やその他重合体の原料として用いることができる2−メチレングルタル酸ジエステルに関する。
カルボン酸エステルの二量体(ダイマー)の1種である2−メチレングルタル酸ジエステルは、医薬、農薬を初めとする各種有機化合物、塗料用ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂製造用の原料やその他重合体の原料として用いられており、非常に有用である。また、2−メチレングルタル酸ジエステルは、カルボキシル基を2つ有することに起因して、通常のカルボン酸モノエステルとは異なる特性を発揮することが期待される。例えば、2−メチレングルタル酸ジエステルから得られるジカルボン酸を原料としてポリカルボン酸系重合体を製造した場合、側鎖にカルボキシル基を2つ有する重合体となり、これを洗剤ビルダーとして用いると、カルシウム等のキレート能に優れた重合体となると考えられる。2−メチレングルタル酸ジエステルは、このような分散剤、水処理剤、洗剤用のビルダーの原料としてだけでなく、様々な分野への利用が期待されている。
このような2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法としては、アクリル酸モノエステルを原料とし、アミノホスフィン系触媒を用いる点では共通し、触媒の使用量、溶媒使用の有無、反応温度及び時間、反応雰囲気、重合禁止剤の使用等についてそれぞれ相違がある種々の方法が開示されている(特許文献1〜6参照。)。
特公昭41−19331号公報 米国特許第3342854号 特公昭45−29646号公報 特公昭46−13369号公報 特開昭48−86816号公報 特公昭48−11087号公報
上記のとおり、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法として、種々の方法が開示されているが、これらの方法はいずれも2−メチレングルタル酸ジエステルの収率の点で充分とはいえないものであることから、2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で製造することができる製造方法を開発する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、2−メチレングルタル酸ジエステルを高収率で製造することができる製造方法について種々検討したところ、アクリル酸エステルを二量化して2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する反応において、ホスフィン系の触媒を用い、この触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合して反応を行うようにすると、2−メチレングルタル酸ジエステルを高収率で製造できることを見出した。また本発明者は、この製造方法では、少量の触媒でも高収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを製造でき、経済性にも優れた製造方法であることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、上記製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、上記アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むことを特徴とする2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、上記アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むものである限り、その他の工程を含むものであってもよい。また、アクリル酸エステル、及び、ホスフィン系触媒は、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合して反応を行うものである。このような方法を用いることにより、高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを製造することができる。このようにすることでダイマーが高収率で得られる理由は明らかではないが、アクリル酸エステルを加熱してから触媒と接触させることで、触媒が失活する前に充分に反応をすすめることができることによると推定される。
従来の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法において行われているような、アクリル酸エステルと触媒とを混合した後に加熱する方法や、加熱された触媒含有溶液に加熱されていないアクリル酸エステルを添加して反応させる方法の場合、充分に反応が進行する前に触媒が失活してしまうため、高収率で反応させるには触媒を多量に使用する必要があった。本発明の製造方法は、従来の方法よりも少ない量の触媒で反応を進行させることができ、このことにより本発明の製造方法は、後述するような種々の利点を有する。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法において、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合する工程は、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとが混合されることになる限り、加熱したアクリル酸エステルに対してホスフィン系触媒を添加して混合してもよく、ホスフィン系触媒に加熱したアクリル酸エステルを添加して混合してもよい。好ましくは、加熱したアクリル酸エステルに対してホスフィン系触媒を添加する方法である。
また、これらを混合する際のホスフィン系触媒や加熱したアクリル酸エステルの添加は、一括添加であってもよく、逐次添加であってもよいが、一括添加が好ましい。
また、ホスフィン系触媒と混合される際にアクリル酸エステルの少なくとも一部が加熱されたものである限り、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合することに該当する。好ましくは、ホスフィン系触媒と混合される前にアクリル酸エステルの全てが加熱されることである。
また、アクリル酸エステルの少なくとも一部が加熱された状態でホスフィン系触媒と混合される限り、その後にアクリル酸エステルと触媒との混合液を更に加熱するような場合もホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合することに該当する。
上記ホスフィン系触媒と混合する際のアクリル酸エステルは、50〜140℃に加熱されたアクリル酸エステルであることが好ましい。このような温度に加熱されたアクリル酸エステルであれば、ホスフィン系触媒と混合することで2−メチレングルタル酸ジエステルをより高い収率で製造することが可能となる。より好ましくは、60〜120℃に加熱されたアクリル酸エステルであり、更に好ましくは、70〜100℃に加熱されたアクリル酸エステルである。
上記ホスフィン系触媒の使用量は、二量化反応を進行させることができる限り、特に制限されないが、反応の原料として使用するアクリル酸エステルに対して、0.001〜1mol%であることが好ましい。このような範囲でホスフィン系触媒を用いることで、二量化反応を充分に進行させ、高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを得ることが可能となるが、触媒量が多いほど反応が速くなり、二量化反応で止まらずに更に反応が進行してトリマーが生成しやすくなるため、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率が高くなるように、触媒量に応じて反応時間等を適宜調整することが好ましい。
このように、ホスフィン系触媒をアクリル酸エステルに対して、0.001〜1mol%の割合で用い、触媒量に合わせて反応時間等を調整することで高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを得ることができるが、本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、従来のアクリル酸エステルを二量化させる反応に比べて少量の触媒の使用でも高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを製造することができる点に特徴を有している。本発明の製造方法に用いるホスフィン系触媒は高価であるため、触媒の使用量を少なくしても高収率でジエステルを製造できることの意義は大きく、本発明の製造方法は、収率が高いだけでなく、経済性にも優れた製造方法である。さらに、触媒の使用量を少なくすることにより、反応生成物への着色を抑制することができる。
このように、従来のアクリル酸エステルを二量化させる反応に比べて少量の触媒の使用でアクリル酸エステルを製造することは、本発明のより好適な実施形態であり、そのようなホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルに対して、0.005〜0.4mol%であり、更に好ましくは、0.01〜0.2mol%である。
上記ホスフィン系触媒は、トリアルキルアミノホスフィン系触媒、アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒及びアリールジアルキルアミノホスフィン系触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ホスフィン系触媒としてこれらのいずれかのものを用いることで、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率をより高いものとすることができる。
上記トリアルキルアミノホスフィン系触媒は、下記式(1);
(RN)P (1)
(式中、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記R、Rは、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒、又は、アリールジアルキルアミノホスフィン系触媒は、下記式(2);
P(RN) (2)
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、又は、アリール基を表す。R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記Rがアルキル基の場合、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記R、Rの好ましい構造は、上記式(1)におけるR、Rと同様である。
上記ホスフィン系触媒としては、上記のものの中でもトリアルキルアミノホスフィン系触媒、アリールジアルキルアミノホスフィン系触媒がより好ましく、最も好ましくは、トリアルキルアミノホスフィン系触媒である。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、溶媒を用いて行われることが好ましい。溶媒を用いることなく反応を行うと、反応が活発に起こるようになるまでの時間は短くなるものの、反応の失活も早くなる。溶媒を用いて行うことで失活までの時間を長くすることができ、結果として2−メチレングルタル酸ジエステルの収率をより高いものとすることができる。
溶媒としては、アクリル酸エステルや2−メチレングルタル酸ジエステルを溶解することができるものである限り特に制限されず、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトン、アセトニトリル等の非プロトン性の溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、2−メチレングルタル酸ジエステルと沸点差のある、1気圧での沸点が80℃以上、150℃以下の溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。
上記溶媒の使用量としては、アクリル酸エステル100質量%に対して10〜400質量%であることが好ましい。二量化反応は、アクリル酸エステル同士の衝突によりおこるため、アクリル酸エステルに対する溶媒の割合が多すぎると、アクリル酸エステル同士の衝突頻度が低下して反応時間が長くなりすぎ、また溶媒が少ないと反応の失活までの時間を長くすることができなくなる。アクリル酸エステルに対して、このような割合で溶媒を用いることで、早期に反応が失活することを抑制しつつ、反応時間が長くなりすぎないように反応をすすめることができる。溶媒の使用量は、より好ましくは、アクリル酸エステル100質量%に対して30〜300質量%であり、更に好ましくは、40〜200質量%であり、特に好ましくは、45〜200質量%である。
なお、本発明の製造方法において溶媒を用いる場合、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合した後に溶媒を添加してもよく、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合してもよい。アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合する場合、アクリル酸エステルを溶解するために使用された溶媒と、ホスフィン系触媒を溶解するために使用された溶媒との合計量が、上記範囲にあることが好ましい。
本発明の製造方法は、アクリル酸エステルや2−メチレングルタル酸ジエステルの重合を抑制して2−メチレングルタル酸ジエステルの収率を高くするために重合禁止剤を用いて行うことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤の使用量としては、収率、重合抑制、経済性の観点から、原料として使用されるアクリル酸エステルの全量に対して、0.01ppm以上とすることが好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、5000ppm以下とすることが好ましく、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1500ppm以下が特に好ましい。
本発明の製造方法において、ホスフィン系触媒と混合したアクリル酸エステルを反応させる温度は、60〜140℃が好ましい。より好ましくは、60〜120℃であり、更に好ましくは80〜100℃である。ホスフィン系触媒とアクリル酸エステルとを混合した後に反応温度を変化させる場合には、温度の変化が上記好ましい反応温度の範囲内で行われることが好ましい。
反応時間は、上述したように、使用されるホスフィン系触媒の量に応じて適宜設定されることになるが、0.1〜24時間が好ましい。より好ましくは0.5〜16時間であり、更に好ましくは1〜8時間である。
また、反応は、大気圧下で行われることが好ましいが、減圧下、加圧下、いずれの圧力下で行ってもよい。
本発明の製造方法に用いられるアクリル酸エステルは、下記式(3);
CH=CH−COOR (3)
(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表される構造を有する化合物である。
上記式(3)におけるRの有機基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜18であり、より好ましくは、1〜12であり、更に好ましくは、1〜8である。最も好ましくは、1〜4である。
上記式(3)におけるRの有機基としては、例えば、鎖状飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることが好ましい。これらの基は、置換基を有していてもよく、すなわち、これらの基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部を置換基で置き換えた置換鎖状飽和炭化水素基、置換脂環式炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基であってもよい。中でも、置換基を有していてもよい鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
上記鎖状飽和炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシル等の基が好適である。
また鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよく、例えば、アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基等が好適なものとして挙げられる。
上記アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばメトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル、フェノキシエチル、フェノキシエトキシエチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基としては、ハロゲン原子がフッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、例えばフルオロエチル、ジフルオロエチル、クロロエチル、ジクロロエチル、ブロモエチル、ジブロモエチル等の基が好適なものとして挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタジエニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換脂環式炭化水素基であってもよい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ベンジル、ジフェニルメチル、ジフェニルエチル、トリフェニルメチル、シンナミル、ナフチル、アントラニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換芳香族炭化水素基であってもよい。
上述した置換基としては、他にも、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アセトキシ基、アミノ基、ジアルキル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン基等が挙げられる。
上記式(3)で表されるアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル酸、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法で得られる2−メチレングルタル酸ジエステルは、更に加水分解することにより、2−メチレングルタル酸モノエステル、2−メチレングルタル酸や2−メチレングルタル酸塩等の2−メチレングルタル酸系化合物とすることができる。このような、アクリル酸エステルから上述の方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解してメチレングルタル酸系化合物を得るメチレングルタル酸系化合物の製造方法もまた本発明の1つである。そして更に、このようにして得られた2−メチレングルタル酸系化合物は、重合体の原料等として好適に用いることができるものであり、このような、本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解して得られるメチレングルタル酸系化合物もまた、本発明の1つである。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法は、上述の構成よりなり、ホスフィン系触媒の使用量が少量でも高い収率でアクリル酸エステルから2−メチレングルタル酸ジエステルを製造することができることから、収率、経済性の両面で優れた製造方法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[評価方法]
(反応収率及び基質転化率)
反応の収率及び基質転化率は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(商品名)、SHIMADZU社製、キャピラリーカラム InertCap Pure−Wax(商品名)長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)を使用して測定し、事前に作成した検量線を使用して求めた。
実施例1
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル(AM)1500g(メトキノン(MQ)を300ppm含む)、トルエン1480gを加え、撹拌しながらバス温100℃、内温が85℃になるまで加熱する。これにトルエン20gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン1500mgを滴下し、撹拌させ4時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、反応率94%、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率78%、3量体の収率11%であることを確認した。以下、この処方をAと呼ぶ。
反応液を200Torrで蒸留し、始めに未反応のアクリル酸メチルと溶媒のトルエンを回収し、その後、15Torrまで圧力を下げ、2−メチレングルタル酸ジメチルを1057g得た。
実施例2〜13
アクリル酸メチルや触媒、溶媒の量、及び、反応温度を表1のようにした以外は、実施例1と同様の処方Aで反応を行った。実施例5〜8は溶媒濃度、実施例9〜13は反応温度を変えて、処方Aに従い行ったものである。結果を表1に示す。
Figure 2014051460
実施例14、15
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル(AM)76g(メトキノン300ppmを含む)、トルエン70gを加え、初期バス温を80℃に設定した。これにトルエン5gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン75mgを滴下し、30分撹拌後、バス温を100℃に昇温させ3.5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率73%、3量体の収率6%であることを確認した。以下この処方をBと呼ぶ。実施例15は実施例14と同様の処方Bでアクリル酸メチルの量、初期バス温度をそれぞれ変えて行った。結果を表2に示す。
Figure 2014051460
比較例1
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにトルエン140gを加え、撹拌しながらバス温110℃、内温が100℃になるまで加熱する。これにトルエン10gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン150mgを滴下し、そこへ25℃のアクリル酸メチル150g(メトキノン300ppmを含む)を1時間かけて滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、反応率が2%、2−メチレングルタル酸ジメチル収率が0%、3量体収率は0%であることを確認した。
比較例2
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル75g(300ppm MQ含有)、トルエン70gを加え、初期バス温を25℃に設定した。これにトルエン5gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン75mgを滴下し、30分撹拌後、バス温を100℃に昇温させ3.5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率33%、3量体の収率2%であることを確認した。
実施例16
実施例1で得られた2−メチレングルタル酸ジメチル100g、硫酸7.7g、水100mLを300mL四つ口フラスコに仕込んで攪拌した。上記反応液の内温を110℃に保ち、メタノールを留出させながら6時間反応させた。反応後、撹拌しながら冷却し、白色結晶を析出させ、ろ過、乾燥を行い、2−メチレングルタル酸を76g(収率90モル%)得た。
実施例1〜15と比較例1、2との比較から、アクリル酸エステルを加熱した後に、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合してアクリル酸エステルを二量化する反応を行うことにより、2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で得られることが確認された。また実施例16に示したように、このような本発明の製造方法で得られた2−メチレングルタル酸ジエステルから2−メチレングルタル酸系化合物を好適に製造することが可能である。
上記実施例、比較例ではアクリル酸エステル、ホスフィン系触媒として特定の化合物を用いた例が示されているが、アクリル酸エステルを加熱した後に、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合して二量化する機構は、他のアクリル酸エステル、ホスフィン系触媒を用いた場合も同様である。したがって上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。

Claims (4)

  1. 2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、
    該製造方法は、アクリル酸エステルを加熱した後に、該アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合する工程と、アクリル酸エステルを二量化する工程とを含むことを特徴とする2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
  2. 前記ホスフィン系触媒は、トリアルキルアミノホスフィン系触媒、アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒及びアリールジアルキルアミノホスフィン系触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
  3. 前記二量化工程は、溶媒を用いて行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解して得られることを特徴とするメチレングルタル酸系化合物。
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