JP2014046215A - 微粒子製造方法、微粒子製造装置及び電子写真用トナー - Google Patents

微粒子製造方法、微粒子製造装置及び電子写真用トナー Download PDF

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Abstract

【課題】噴射造粒法によって安定して液滴形成を行うことができる微粒子製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも樹脂を含有する組成物を溶媒に溶解又は分散させてなる微粒子組成液を、1つ以上の吐出孔から連続吐出して液滴化する液滴吐出ユニットに供給し、前記微粒子組成液を液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した微粒子組成液の溶媒を乾燥させて液滴を固化させる液滴固化工程とを含む微粒子製造方法において、下記A、Bの要件を満足することを特徴とする微粒子製造方法。
A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。
【選択図】図8

Description

本発明は、微粒子の製造方法、微粒子の製造装置、電子写真用トナーに関するものである。
従来、電子写真記録方法に基づく複写機、プリンター、ファックス、およびそれらの複合機に使用される静電荷像現像用トナーの製造方法としては粉砕法のみであったが、近年では重合法と呼ばれる、水系媒体中でトナー粒子形成する工法が広く行なわれ、粉砕法を凌駕する勢いである。重合法により製造されたトナーは「重合トナー」、または国によっては「ケミカルトナー」と呼ばれている。
重合法はトナー粒子形成時、あるいはその過程においてトナー原材料の重合反応を伴うことから、このように称される。各種重合方法が実用化されており、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)、エステル伸長反応等がある。
重合法で得られたトナーは総じて、粉砕法で得られたトナーに比べ、小粒径のものを得易い、粒径分布が狭い、形状が球形に近いといった特徴によって、これを用いることで電子写真方式での画像は高画質を得やすい利点がある。しかしその反面、重合過程に長時間を必要とし、さらに固化終了後溶媒とトナー粒子を分離し、その後洗浄乾燥を繰り返す必要が有り、多くの時間と、多量の水、エネルギーを必要とするという欠点がある。
そのため、トナーの原材料成分を有機溶媒に溶解または分散した液体(以下トナー成分液)を、様々なアトマイザを用いて微粒子化した後に乾燥させて粉体状のトナーを得る噴射造粒法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この方法によれば、水を用いる必要が無いため、洗浄や乾燥といった工程を大幅に削減することができるため、重合法の欠点を回避することができる。
特許文献1〜3に示されたトナーの製造方法においては、ノズルからノズル径に対応した液滴を放出するものである。この方法ではトナー成分液を噴霧した後において、形成された液滴が乾燥する前に液滴同士が合着し、その状態のまま溶媒が乾燥してトナーが得られるため、結果として得られるトナーの粒度分布の広がりが避けられず、粒径分布としては満足のいくものでなかった。
このような課題に対して、本出願人が提案した特許文献4に記載されている噴射造粒によるトナー製造方法は、多量の洗浄液、溶媒と粒子の分離の繰り返しが不要で、非常に製造効率が高く、かつ省エネルギーで、粒径分布の狭いトナーを製造できる。
しかしながら、この装置では樹脂組成液が高周波の振動を受けて樹脂組成液中に気泡が発生して液滴吐出が正常にできないという問題があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、噴射造粒法で安定して液滴形成を行うことができる微粒子製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題は微粒子製造用の樹脂組成液を噴射造粒するに際し、樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填してフレキシブル容器から液滴吐出ユニットに樹脂組成液を供給すると共に、フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量を樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下とすることにより解決できることを見出して本発明を完成させた。
上記課題は本発明に係る「少なくとも樹脂を含有する組成物を溶媒に溶解又は分散させてなる微粒子組成液を、1つ以上の吐出孔から連続吐出して液滴化する液滴吐出ユニットに供給し、前記微粒子組成液を液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した微粒子組成液の溶媒を乾燥させて液滴を固化させる液滴固化工程とを含む微粒子製造方法において、下記A、Bの要件を満足することを特徴とする微粒子製造方法。
A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。」によって解決することができる。
本発明によれば樹脂組成液が液滴吐出ユニット内で高周波の振動を受けても気泡が発生することがないため良好な液滴吐出を行うことができる。
液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出口の断面図である。 N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。 駆動周波数と液滴吐出速度周波数特性を示す特性図である。 本発明の微粒子製造装置の概略図である。 吐出後の微粒子の合体を防止する方法を示す概念図である。 従来の微粒子製造装置の概略図である。
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例を例示するものであって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明のトナーの製造方法を実施するために用いられる装置の一例を以下、図1〜図10を用いて説明する。本発明の微粒子の製造方法を実施するために用いられる装置は液滴吐出手段及び液滴固化捕集手段備えている。それぞれ下記で解説する。
[液滴吐出ユニット]
本発明で用いる液滴吐出ユニット(液滴吐出手段)は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプとしては例えば、特開2008−292976号公報、レイリー分裂タイプとしては特許第4647506号公報号、液振動タイプとしては特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布が狭く、微粒子の生産性を確保するためには、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これらのいずれかを用いるが好ましい。
[液柱共鳴液滴吐出手段]
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。なお、本発明では液柱共鳴液滴吐出手段が複数集積したものを液柱共鳴液滴吐出ユニットという場合がある。
液柱共鳴液滴吐出手段11は液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
本発明で吐出手段より吐出される液体としては、得ようとしている微粒子の成分が溶解又は分散させた分散された状態のものである。本発明では微粒子を形成する成分を含んだ液を「微粒子組成液」という。
微粒子組成液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、微粒子組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。
なお、液共通供給路17を通過した微粒子組成液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー成分液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー成分液14の流量が増加し、液柱共鳴液室18内にトナー成分液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内にトナー成分液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー成分液14の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが望ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されているほうが好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室18が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立でき、もっとも好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18が連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が望ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。圧電体は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが望ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が望ましい。
更に、吐出孔19の開口部の直径は、1[μm]〜40[μm]の範囲であることが望ましい。1[μm]より小さいと、形成される液滴が非常に小さくなるためトナーを得ることができない場合があり、またトナーの構成成分として顔料などの固形微粒子が含有された構成の場合吐出孔19において閉塞を頻繁に発生して生産性が低下する恐れがある。また、40[μm]より大きい場合、液滴の直径が大きく、これを乾燥固化させて、所望のトナー粒子径3〜6μmを得る場合、溶媒でトナー組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、一定量のトナーを得るために乾燥エネルギーが大量に必要となってしまい、不都合となる。また、図2からわかるように、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することは、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
吐出孔19の断面形状は図1等で開口部の径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
図3に吐出孔19の取りうる断面形状を示す。(a)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度24は適宜変更することができる。(a)と同様のこのノズル角度によって薄膜41が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲60〜90°が好ましい。60°以下は液に圧力がかかりにくく、さらに薄膜41の加工もし難いため好ましくない。ノズル角度24が90°である場合は(c)が相当するが出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°以上は孔12の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
(d)は(a)と(b)とを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内のトナー成分液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー成分液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは下記式1で示される。
λ=c/f ・・・(式1)
また、図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとし、更に液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80[μm])は連通口の高さh2(=約40[μm])の約2倍あり当該端部が閉じている固定端と等価であるとした両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式2で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より下記式3で示される。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図5にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4及び図5のように表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3の(a)からわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。
後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4及び図5のような形態の共鳴定在波を生じるが、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波パターンは変動し、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
例えば、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれ、同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出孔の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出孔の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4の(b)及び図5の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。
また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出孔19において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出孔19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。また、吐出孔19は1つの液柱共鳴液室18に1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましい。具体的には、2〜100個の間であることが好ましい。
100個を超えた場合、100個の吐出孔19から所望の液滴を形成させようとすると、振動発生手段20に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段20としての圧電体の挙動が不安定となる。また、複数の吐出孔19を開孔する場合、吐出孔間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出孔間のピッチが20[μm]より小さい場合、隣あう吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布悪化につながる。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図6を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上であるため、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6の(a)は液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。
また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
そして、図6の(d)に示すように、吐出孔19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18へのトナー成分液14の充填が始まる。その後、図6の(e)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー成分液14の充填が終了する。そして、再び、図6の(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。この一例は、図1において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数を340[kHz]のサイン波で行った吐出はをレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図7に示す。同図からわかるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現していた。
また、図7は駆動周波数290[kHz]〜395[kHz]の同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。同図からわかるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340[kHz]付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっていた。この結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340[kHz]において、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図7の特性結果から、第一モードである130[kHz]においての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340[kHz]においての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
[樹脂組成液の脱気]
本発明における樹脂組成液は、上記に記載したとおり、液滴吐出ユニット内で、高周波の振動を受けることになる。このため、樹脂組成液中に溶解されていた空気が、気体となって、気泡が発生する場合がある。液柱共鳴吐出手段の場合は、液柱共鳴室内に気泡が入ることにより、適正な液柱共鳴を得ることができずに、液滴吐出が正常にできなくなる。樹脂組成液中の空気を脱気することにより、液柱共鳴室内での気泡発生を防ぐことができる。
樹脂組成液中の空気の脱気度を管理するにあたり、樹脂組成液中の溶存酸素量を管理するのが好ましい。溶液中の溶存酸素量測定は、溶存窒素量測定に比較して、簡便で精度が高い為である。
液柱共鳴室内での気泡の発生は、樹脂組成液が空気を飽和溶解したときの溶存酸素量の1/2以下であれば、気泡の発生が抑えられる。
樹脂組成液の空気の飽和溶解の条件は、液滴吐出するときの状態なので、後述する図8で示される装置についていうと、圧力計P2の気圧が示す圧力で液滴吐出ユニット2と同じ温度にしたときの飽和状態である。
[脱気手段]
本発明において用いる、樹脂組成液に溶存する空気を除去する手段(以下脱気手段)について説明する。ここで説明される脱気手段は一例であり、これらに限定するものではない。
樹脂組成液は下記脱気法により溶存気体を取り除き、その後ガスバリア性の高い材料により密閉包装することでその脱気状態を維持することが好ましい。
第一の脱気手段として、減圧脱気法を用いることができる。減圧脱気法とは、樹脂組成液を収納する容器内を、吸引ポンプにより減圧し、溶存気体を排出する方法である。減圧処理の際に、樹脂組成液は攪拌されていることが望ましい。もしくは、超音波振動を加え、キャビテーションを発生させながら減圧することでも脱気が促進される。また、樹脂組成液を加熱することでも脱気が促進される。
第二の脱気方法として、中空糸膜により形成されたチューブに樹脂組成液を通液し、チューブの外周囲を減圧することで、気体のみチューブ外へ排出される。この脱気方法を連続的に適用しながら、樹脂組成液を外部へ供給することが可能である。
[フレキシブル容器]
本発明では脱気された樹脂組成液は、気体を含まない状態でフレキシブル容器に充填して、液滴吐出ユニットに供給される。樹脂組成液は気体と直接接触しない状態で、フレキシブル容器に存在するため、樹脂組成液に気体が溶存せず、脱気状態が保たれる。また、フレキシブル容器は変形し、容積が自在に変化するため、樹脂組成液が増減しても、容器内の圧力が変化しにくく、圧力調整が容易である。
一方、図10の原料収容器13のようなフレキシブルでない樹脂組成液収納容器の場合は、樹脂組成液と気体が接触するため、気体が樹脂組成液に溶解していき、脱気状態を保つことが難しい。
フレキシブル容器としては、既存のものが使用できる。可撓性のあるフィルムで袋を形成し、液体が保持可能なものであれば、使用することができる。フィルムの一例としては、内側がポリエチレンフィルムで形成されていれば、ヒートシールなどにより溶着が可能であり、容器形成が容易になる。気体透過性を考慮した場合は、ポリエチレンフィルムに、金属箔層(アルミ箔など)や気体透過性の低いフィルムを接着した多層フィルムも使用することができる。また、強度を考慮した場合は、ポリエチレンフィルムにPETやナイロンを接着した多層フィルムも使用することができる。
また、樹脂組成液の溶媒が有機溶剤である場合は、可撓性フィルムを耐溶剤性の高いフィルムや接着剤を使用することが望ましい。
[液滴固化]
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させた微粒子組成液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明の微粒子を得ることが出来る。
[液滴固化手段]
固化させるには、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。
[固化粒子捕集手段]
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
図8は、本発明の微粒子の製造方法を実施する装置一例の断面図である。トナー製造装置1は、主に、液滴吐出手段2及び乾燥捕集手段60を含んで構成されている。
液滴吐出ユニット2には、樹脂組成液14を収容するフレキシブル容器25と、フレキシブル容器25に収容されている微粒子組成液14を液供給管16を通して液滴吐出ユニット2に供給する。液供給管16にはP1(液圧力計)、乾燥捕集手段60にはP2(チャンバ内圧力計)の圧力測定器がそれぞれ設けられており、液滴吐出ユニット2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、微粒子組成液14が孔12から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。P1の圧力を調整するため、フレキシブル容器25を圧力容器26に入れて、圧力調整エアーポンプ27により圧力を調整する。微粒子組成液14がフレキシブル容器25に入っているため、圧力調整が容易にできる。また、P1の圧力調整方法としては、フレキシブル容器25の高さを変えることによっても圧力を調整することができる。圧力開放バルブ30を開放し、フレキシブル容器25の高さを変えることにより、P1の圧力を簡便に精度高く調整することができる。
フレキシブル容器25の高さを高くすると、P1の圧力が大きくなり、低くするとP1の圧力が減少する。
フレキシブル容器25内の樹脂組成液が減少して足りなくなった場合は、樹脂組成液補給経路28より樹脂組成液補給バルブ29を介して脱気した樹脂組成液を入れることができる。液滴吐出をしている最中でも樹脂組成液を追加しても良く、フレキシブル容器25の容量が容易に可変するので、液を入れた際のP1の圧力変化がほとんどなく、液滴吐ユニット2へ、良好な液供給を続けることができる。
フレキシブル容器25内の樹脂組成液量については、フレキシブル容器容量の10%〜90%が好ましく、更に好ましくは20%〜80%である。樹脂組成液の液容量が、フレキシブル容器容積の10%未満の場合は、フレキシブル容器25の弾性により、P1の圧力が低下してしまうため、好ましくない。また90%を超える場合は、フレキシブル容器25の弾性により、P1の圧力が上昇してしまうため、好ましくない。
このため、フレキシブル容器内の樹脂組成液の量が10〜90vol%になるように、適切な液補充を行うとP1の圧力が安定して好ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる搬送気流101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、固化した微粒子を捕集する微粒子捕集手段62によって捕集される。微粒子捕集手段62によって捕集された微粒子は微粒子貯留部63に集められる。
[搬送気流]
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流101は図8に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することが出来る。あるいは、図9に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図9のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用期待して付与しても良い。
搬送気流101は特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバ61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段を設けても構わない。搬送気流101は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61に付着することを防止することに用いても良い。
[二次乾燥]
図8で示された乾燥捕集手段によって得られた微粒子に含まれる残留溶媒量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。溶媒がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において溶媒が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
本発明は、微粒子の製造方法に関するものであるが、この微粒子を電子写真用のトナーとして使用することも可能である。以下にトナーとしての説明を記載する。当然、成分を適切に選ぶことにより、トナー以外の微粒子の製造も行うことができる。
本発明のトナーは少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて、着色剤、ワックス、帯電調整剤、添加剤およびその他の成分を含有する。
本発明で用いる、「トナー成分液」について説明する。トナー成分液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散させた液体状態である。
トナー材料としては、上記のトナー成分液を調整することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
〔樹脂〕
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
結着樹脂の性状としては溶媒に溶解することが望ましく、この特徴を除けば従来公知の性能を持っていることが望ましい。
〔結着樹脂の分子量分布〕
結着樹脂のGPC(ゲルパーメンテーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
〔結着樹脂の酸価〕
結着樹脂の酸価が0.1〜50[mgKOH/g]を有する樹脂を60[質量%]以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
本発明の微粒子を磁性トナーとして用いる場合には、磁性体としては、従来電子写真トナーに用いられる公知のものを使用することが出来る。例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2[μm]が好ましく、0.1〜0.5[μm]がより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
〔着色剤〕
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15[質量%]が好ましく、3〜10[質量%]がより好ましい。
本発明に係るトナーで用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチは顔料を予め分散させるためのものであり、顔料の充分な分散が得られていれば用いなくても良い。マスターバッチは一般的に顔料と樹脂とを高せん断をかけることで樹脂中に顔料を硬度に分散させたものである。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することが出来る。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
マスターバッチ製造時に顔料の分散性を高めるために分散剤を用いてもよい。顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、従来公知のものを用いることができ、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10[質量%]の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1[質量%]未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10[質量%]より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
<ワックス>
本発明で用いるトナー成分液は、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有する。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスの融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140[℃]であることが好ましく、70〜120[℃]であることがより好ましい。70[℃]未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140[℃]を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
本発明では、DSC(ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
<溶媒>
溶媒としては、結着樹脂を溶解し、着色剤、離型剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー組成液を気相中で液滴化し乾燥してトナーを製造する場合に用いられるため、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。乾燥の観点から、溶媒の沸点は100℃以下が、乾燥速度が速く、好ましい。
溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における微粒子組成液の固形分濃度は液滴化が正常にできれば、制限はない。ただし、微粒子組成液の固形分濃度は、低い方が好ましく、30%以下が好ましい。さらに好ましくは、5〜20%である。
液滴吐出開始後に微粒子組成液から溶媒を揮散させて微粒子に変換させるため、溶液粘度、液の音速、液の表面張力などの物性の変化が少ない方が、吐出条件を大きく変える必要がなく、好ましいため、微粒子組成液の固形分濃度は低い方が好ましい。ただし、微粒子組成液の固形分濃度があまり低すぎると、乾燥エネルギーなどが増大して、生産面での効率が低下して好ましくない。
本発明に係るトナーには、他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でその表面をシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
前記添加剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、等公知のものを使用できる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが好適に挙げられる。
前記外添剤の一次粒子径としては、5[nm]〜2[μm]であることが好ましく、5[nm]〜500[nm]であることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5[重量%]であることが好ましく、0.01〜2.0[重量%]であることがより好ましい。
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1[μm]のものが好ましい。
次に、実施形態で用いた溶解乃至分散液の処方を示す。
なお、噴射条件は後述する通りである。
<スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液の調製>
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂 1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合させ、樹脂を完全に溶かし、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液を調製した。なお、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の質量平均分子量は4.5万、ガラス転移温度は59℃であった。
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通過させ、サブミクロン領域まで分散させた分散液を調製した。
<カルナバワックス分散液の調製>
カルナバワックス(東亜化成株式会社製)1質量部、酢酸エチル4質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しカルナバワックスを溶解させた後、急冷してカルナバワックスの微粒子を析出させた。このカルナバワックス分散液を直径0.1μmのジルコニアビーズを充填したスターミルLMZ06(アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散し、カルナバワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μm以下になるように調整した。前記カルナバワックスの粒径測定には、マイクロトラック社製のNPA150を用いた。
<トナー組成液の調製>
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液1000質量部、着色剤分散液25質量部、カルナバワックス分散液50質量部、及び酢酸エチル80質量部を混合した。この混合液を目開き1μmのフィルターを通し、固形分10%のトナー組成液1を調製した。
−トナー製造装置−
図8、10に示される構成のトナー製造装置1を用い、トナーの製造を行った。
図10は比較例で用いた装置を示す図である。
図10に示される装置は図8に示された装置と同様の液滴吐出ユニット2及び乾燥捕集手段を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を、液供給管16を通して液滴吐出ユニット2に供給する。液供給管16にはP1、乾燥捕集手段60にはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。また、チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流101)が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、微粒子捕集手段62によって捕集される。
図8、10に示される装置を構成する各構成物のサイズ・条件について以下述べる。
−トナー捕集部−
チャンバ61の内径はφ400mm、高さは2000mmの円筒形で垂直に固定されており、上端部と下端部が絞られており、搬送気流導入口の径はφ50mm、搬送気流出口の径はφ50mmである。液滴吐出手段2はチャンバ61内上端より300mmの高さでチャンバ61の中央に配置されている。搬送気流は10.0m/s、40℃、大気圧の空気とした。
−液柱共鳴液滴吐出ユニット−
液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を4つ配置したものを用いた。なお、吐出ユニットは、液柱共鳴室が400個集積したものを用いた。
駆動信号発生源はNF社ファンクションジェネレーターWF1973を用い、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続した。この時の駆動周波数は液共鳴周波数に合わせて340[kHz]となる。波高値9.0Vのサイン波形電圧信号を入力した。
また、液柱共鳴液室は、乾燥気流と同じ温度40℃になるように、温度調整した。
トナー組成液の空気の飽和溶解状態の溶存酸素量の測定
トナー組成液を40℃に保ち、40℃/1気圧の状態で、空気を10分間バブリングする。その後、溶存酸素測定装置(飯島電子工業製 有機溶媒用DO測定装置B506)を用いて噴霧液中の溶存酸素濃度を測定した。溶存酸素量は6.2mg/Lであった。
フレキシブル容器の作製
ポリエチレンとナイロンの2層のフィルム2枚を、ポリエチレン側を内側にして、ポリエチレン製のパイプ取付け口を挟みこみ、熱溶着して、フレキシブル容器を作成した。内容量を測定したところ、1000ccであった。このフレキシブル容器を圧力容器26にセットした。
[実施例1]
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を減圧脱気して、フレキシブル容器に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.9mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,590個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
フレキシブル容器内のトナー組成液は、107ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.9mg/Lであった。
[実施例2]
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、フレキシブル容器に500cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.8mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、120分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,588個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
なお、フレキシブル容器内のトナー組成液は、容量が300〜700ccの間になるように、超音波を掛けながら減圧脱気したトナー組成液を樹脂組成液補給経路28より補充した。120分後のフレキシブル容器内のトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.9mg/Lであった。
[実施例3]
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、フレキシブル容器に500cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.7mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定した。圧力開放バルブ30を閉じ、P1の圧力がP2の圧力よりも2〜3KPa低くなるように、圧力容器26の内部を圧力調整エアーポンプ26で減圧した。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、120分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,582個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
なお、フレキシブル容器内のトナー組成液は、容量が300〜700ccの間になるように、超音波を掛けながら減圧脱気したトナー組成液を樹脂組成液補給経路28より補充した。120分後のフレキシブル容器内のトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.6mg/Lであった。
[比較例1]
図10に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を脱気しないで、原料収容器13に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、5.4mg/Lであった。原料収容器13の液面の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように調整した。なお、原料収容器内の圧力は大気圧である。
図10に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、897個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
原料収容器内のトナー組成液は、256ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、5.6mg/Lであった。
[比較例2]
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を弱い減圧脱気して、フレキシブル容器に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、3.9mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,106個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
フレキシブル容器内のトナー組成液は、188ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、3.9mg/Lであった。
[比較例3]
図10に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、原料収容器13に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.1mg/Lであった。原料収容器13の液面の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように調整した。なお、原料収容器内の圧力は大気圧である。
図10に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,159個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
原料収容器内のトナー組成液は、156ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、4.8mg/Lであった。
以上のように、樹脂組成液を脱気処理し、フレキシブル容器に充填することにより、不吐出となる吐出孔の数を激減させ、極めて安定的に吐出を維持できることが示される。
1:微粒子製造装置
2:液滴吐出ユニット
6:微粒子組成液供給口
7:微粒子組成液流路
8:微粒子組成液排出口
9:弾性板
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:微粒子組成液
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴液室
19:吐出孔
20:振動発生手段
21:液滴
24:ノズル角度
25:フレキシブル容器
26:圧力容器
27:圧力調整エアーポンプ
28:樹脂組成液補給経路
29:樹脂組成液補給バルブ
30:圧力開放バルブ
60:乾燥捕集手段
61:チャンバ
62:微粒子捕集手段
63:微粒子貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
101:搬送気流
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
特許第3786034号公報 特許第3786035号公報 特開昭57−201248号公報 特開2006−293320号公報

Claims (8)

  1. 少なくとも樹脂を含有する組成物を溶媒に溶解又は分散させてなる微粒子組成液を、1つ以上の吐出孔から連続吐出して液滴化する液滴吐出ユニットに供給し、前記微粒子組成液を液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した微粒子組成液の溶媒を乾燥させて液滴を固化させる液滴固化工程とを含む微粒子製造方法において、下記A、Bの要件を満足することを特徴とする微粒子製造方法。
    A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
    B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。
  2. 前記液滴形成工程は、1つ以上の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の微粒子組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記微粒子組成液を吐出して液滴化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子製造方法。
  3. 前記液柱共鳴液室が2つ以上の吐出孔を有する請求項2に記載の微粒子製造方法。
  4. 前記微粒子組成液をフレキシブル容器から液滴吐出ユニットに供給中に、脱気処理を行った新たな微粒子組成液を、フレキシブル容器に追加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子製造方法。
  5. 前記フレキシブル容器を圧力容器内に入れて、圧力容器内の圧力を調整することにより、液滴吐出ユニットへの微粒子組成液の供給圧力を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子製造方法。
  6. 前記液滴吐出ユニットに対するフレキシブル容器の垂直方向の位置を変化させることにより液滴吐出ユニットへの樹脂組成液の供給圧力を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微粒子製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法を実施する手段を有することを特徴とする微粒子製造装置。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた電子写真用トナー。
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