JP2014046215A - 微粒子製造方法、微粒子製造装置及び電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも樹脂を含有する組成物を溶媒に溶解又は分散させてなる微粒子組成液を、1つ以上の吐出孔から連続吐出して液滴化する液滴吐出ユニットに供給し、前記微粒子組成液を液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した微粒子組成液の溶媒を乾燥させて液滴を固化させる液滴固化工程とを含む微粒子製造方法において、下記A、Bの要件を満足することを特徴とする微粒子製造方法。
A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。
【選択図】図8
Description
重合法はトナー粒子形成時、あるいはその過程においてトナー原材料の重合反応を伴うことから、このように称される。各種重合方法が実用化されており、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)、エステル伸長反応等がある。
特許文献1〜3に示されたトナーの製造方法においては、ノズルからノズル径に対応した液滴を放出するものである。この方法ではトナー成分液を噴霧した後において、形成された液滴が乾燥する前に液滴同士が合着し、その状態のまま溶媒が乾燥してトナーが得られるため、結果として得られるトナーの粒度分布の広がりが避けられず、粒径分布としては満足のいくものでなかった。
しかしながら、この装置では樹脂組成液が高周波の振動を受けて樹脂組成液中に気泡が発生して液滴吐出が正常にできないという問題があった。
A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。」によって解決することができる。
本発明で用いる液滴吐出ユニット(液滴吐出手段)は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプとしては例えば、特開2008−292976号公報、レイリー分裂タイプとしては特許第4647506号公報号、液振動タイプとしては特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布が狭く、微粒子の生産性を確保するためには、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これらのいずれかを用いるが好ましい。
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。なお、本発明では液柱共鳴液滴吐出手段が複数集積したものを液柱共鳴液滴吐出ユニットという場合がある。
液柱共鳴液滴吐出手段11は液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
微粒子組成液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、微粒子組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
図3に吐出孔19の取りうる断面形状を示す。(a)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度24は適宜変更することができる。(a)と同様のこのノズル角度によって薄膜41が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲60〜90°が好ましい。60°以下は液に圧力がかかりにくく、さらに薄膜41の加工もし難いため好ましくない。ノズル角度24が90°である場合は(c)が相当するが出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°以上は孔12の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
(d)は(a)と(b)とを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内のトナー成分液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー成分液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは下記式1で示される。
λ=c/f ・・・(式1)
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より下記式3で示される。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
100個を超えた場合、100個の吐出孔19から所望の液滴を形成させようとすると、振動発生手段20に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段20としての圧電体の挙動が不安定となる。また、複数の吐出孔19を開孔する場合、吐出孔間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出孔間のピッチが20[μm]より小さい場合、隣あう吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布悪化につながる。
また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
本発明における樹脂組成液は、上記に記載したとおり、液滴吐出ユニット内で、高周波の振動を受けることになる。このため、樹脂組成液中に溶解されていた空気が、気体となって、気泡が発生する場合がある。液柱共鳴吐出手段の場合は、液柱共鳴室内に気泡が入ることにより、適正な液柱共鳴を得ることができずに、液滴吐出が正常にできなくなる。樹脂組成液中の空気を脱気することにより、液柱共鳴室内での気泡発生を防ぐことができる。
樹脂組成液中の空気の脱気度を管理するにあたり、樹脂組成液中の溶存酸素量を管理するのが好ましい。溶液中の溶存酸素量測定は、溶存窒素量測定に比較して、簡便で精度が高い為である。
液柱共鳴室内での気泡の発生は、樹脂組成液が空気を飽和溶解したときの溶存酸素量の1/2以下であれば、気泡の発生が抑えられる。
樹脂組成液の空気の飽和溶解の条件は、液滴吐出するときの状態なので、後述する図8で示される装置についていうと、圧力計P2の気圧が示す圧力で液滴吐出ユニット2と同じ温度にしたときの飽和状態である。
本発明において用いる、樹脂組成液に溶存する空気を除去する手段(以下脱気手段)について説明する。ここで説明される脱気手段は一例であり、これらに限定するものではない。
樹脂組成液は下記脱気法により溶存気体を取り除き、その後ガスバリア性の高い材料により密閉包装することでその脱気状態を維持することが好ましい。
第一の脱気手段として、減圧脱気法を用いることができる。減圧脱気法とは、樹脂組成液を収納する容器内を、吸引ポンプにより減圧し、溶存気体を排出する方法である。減圧処理の際に、樹脂組成液は攪拌されていることが望ましい。もしくは、超音波振動を加え、キャビテーションを発生させながら減圧することでも脱気が促進される。また、樹脂組成液を加熱することでも脱気が促進される。
第二の脱気方法として、中空糸膜により形成されたチューブに樹脂組成液を通液し、チューブの外周囲を減圧することで、気体のみチューブ外へ排出される。この脱気方法を連続的に適用しながら、樹脂組成液を外部へ供給することが可能である。
本発明では脱気された樹脂組成液は、気体を含まない状態でフレキシブル容器に充填して、液滴吐出ユニットに供給される。樹脂組成液は気体と直接接触しない状態で、フレキシブル容器に存在するため、樹脂組成液に気体が溶存せず、脱気状態が保たれる。また、フレキシブル容器は変形し、容積が自在に変化するため、樹脂組成液が増減しても、容器内の圧力が変化しにくく、圧力調整が容易である。
一方、図10の原料収容器13のようなフレキシブルでない樹脂組成液収納容器の場合は、樹脂組成液と気体が接触するため、気体が樹脂組成液に溶解していき、脱気状態を保つことが難しい。
また、樹脂組成液の溶媒が有機溶剤である場合は、可撓性フィルムを耐溶剤性の高いフィルムや接着剤を使用することが望ましい。
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させた微粒子組成液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明の微粒子を得ることが出来る。
固化させるには、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
液滴吐出ユニット2には、樹脂組成液14を収容するフレキシブル容器25と、フレキシブル容器25に収容されている微粒子組成液14を液供給管16を通して液滴吐出ユニット2に供給する。液供給管16にはP1(液圧力計)、乾燥捕集手段60にはP2(チャンバ内圧力計)の圧力測定器がそれぞれ設けられており、液滴吐出ユニット2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、微粒子組成液14が孔12から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。P1の圧力を調整するため、フレキシブル容器25を圧力容器26に入れて、圧力調整エアーポンプ27により圧力を調整する。微粒子組成液14がフレキシブル容器25に入っているため、圧力調整が容易にできる。また、P1の圧力調整方法としては、フレキシブル容器25の高さを変えることによっても圧力を調整することができる。圧力開放バルブ30を開放し、フレキシブル容器25の高さを変えることにより、P1の圧力を簡便に精度高く調整することができる。
フレキシブル容器25の高さを高くすると、P1の圧力が大きくなり、低くするとP1の圧力が減少する。
このため、フレキシブル容器内の樹脂組成液の量が10〜90vol%になるように、適切な液補充を行うとP1の圧力が安定して好ましい。
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用期待して付与しても良い。
図8で示された乾燥捕集手段によって得られた微粒子に含まれる残留溶媒量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。溶媒がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において溶媒が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
本発明で用いる、「トナー成分液」について説明する。トナー成分液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散させた液体状態である。
トナー材料としては、上記のトナー成分液を調整することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
結着樹脂の性状としては溶媒に溶解することが望ましく、この特徴を除けば従来公知の性能を持っていることが望ましい。
結着樹脂のGPC(ゲルパーメンテーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂の酸価が0.1〜50[mgKOH/g]を有する樹脂を60[質量%]以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15[質量%]が好ましく、3〜10[質量%]がより好ましい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
本発明で用いるトナー成分液は、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有する。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
溶媒としては、結着樹脂を溶解し、着色剤、離型剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー組成液を気相中で液滴化し乾燥してトナーを製造する場合に用いられるため、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。乾燥の観点から、溶媒の沸点は100℃以下が、乾燥速度が速く、好ましい。
溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液滴吐出開始後に微粒子組成液から溶媒を揮散させて微粒子に変換させるため、溶液粘度、液の音速、液の表面張力などの物性の変化が少ない方が、吐出条件を大きく変える必要がなく、好ましいため、微粒子組成液の固形分濃度は低い方が好ましい。ただし、微粒子組成液の固形分濃度があまり低すぎると、乾燥エネルギーなどが増大して、生産面での効率が低下して好ましくない。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
なお、噴射条件は後述する通りである。
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂 1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合させ、樹脂を完全に溶かし、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液を調製した。なお、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の質量平均分子量は4.5万、ガラス転移温度は59℃であった。
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通過させ、サブミクロン領域まで分散させた分散液を調製した。
カルナバワックス(東亜化成株式会社製)1質量部、酢酸エチル4質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しカルナバワックスを溶解させた後、急冷してカルナバワックスの微粒子を析出させた。このカルナバワックス分散液を直径0.1μmのジルコニアビーズを充填したスターミルLMZ06(アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散し、カルナバワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μm以下になるように調整した。前記カルナバワックスの粒径測定には、マイクロトラック社製のNPA150を用いた。
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液1000質量部、着色剤分散液25質量部、カルナバワックス分散液50質量部、及び酢酸エチル80質量部を混合した。この混合液を目開き1μmのフィルターを通し、固形分10%のトナー組成液1を調製した。
図8、10に示される構成のトナー製造装置1を用い、トナーの製造を行った。
図10は比較例で用いた装置を示す図である。
図10に示される装置は図8に示された装置と同様の液滴吐出ユニット2及び乾燥捕集手段を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を、液供給管16を通して液滴吐出ユニット2に供給する。液供給管16にはP1、乾燥捕集手段60にはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。また、チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流101)が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、微粒子捕集手段62によって捕集される。
図8、10に示される装置を構成する各構成物のサイズ・条件について以下述べる。
チャンバ61の内径はφ400mm、高さは2000mmの円筒形で垂直に固定されており、上端部と下端部が絞られており、搬送気流導入口の径はφ50mm、搬送気流出口の径はφ50mmである。液滴吐出手段2はチャンバ61内上端より300mmの高さでチャンバ61の中央に配置されている。搬送気流は10.0m/s、40℃、大気圧の空気とした。
液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を4つ配置したものを用いた。なお、吐出ユニットは、液柱共鳴室が400個集積したものを用いた。
駆動信号発生源はNF社ファンクションジェネレーターWF1973を用い、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続した。この時の駆動周波数は液共鳴周波数に合わせて340[kHz]となる。波高値9.0Vのサイン波形電圧信号を入力した。
また、液柱共鳴液室は、乾燥気流と同じ温度40℃になるように、温度調整した。
トナー組成液を40℃に保ち、40℃/1気圧の状態で、空気を10分間バブリングする。その後、溶存酸素測定装置(飯島電子工業製 有機溶媒用DO測定装置B506)を用いて噴霧液中の溶存酸素濃度を測定した。溶存酸素量は6.2mg/Lであった。
ポリエチレンとナイロンの2層のフィルム2枚を、ポリエチレン側を内側にして、ポリエチレン製のパイプ取付け口を挟みこみ、熱溶着して、フレキシブル容器を作成した。内容量を測定したところ、1000ccであった。このフレキシブル容器を圧力容器26にセットした。
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を減圧脱気して、フレキシブル容器に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.9mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,590個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
フレキシブル容器内のトナー組成液は、107ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.9mg/Lであった。
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、フレキシブル容器に500cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.8mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、120分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,588個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
なお、フレキシブル容器内のトナー組成液は、容量が300〜700ccの間になるように、超音波を掛けながら減圧脱気したトナー組成液を樹脂組成液補給経路28より補充した。120分後のフレキシブル容器内のトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.9mg/Lであった。
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、フレキシブル容器に500cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.7mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定した。圧力開放バルブ30を閉じ、P1の圧力がP2の圧力よりも2〜3KPa低くなるように、圧力容器26の内部を圧力調整エアーポンプ26で減圧した。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、120分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,582個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
なお、フレキシブル容器内のトナー組成液は、容量が300〜700ccの間になるように、超音波を掛けながら減圧脱気したトナー組成液を樹脂組成液補給経路28より補充した。120分後のフレキシブル容器内のトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、1.6mg/Lであった。
図10に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を脱気しないで、原料収容器13に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、5.4mg/Lであった。原料収容器13の液面の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように調整した。なお、原料収容器内の圧力は大気圧である。
図10に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、897個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
原料収容器内のトナー組成液は、256ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、5.6mg/Lであった。
図8に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を弱い減圧脱気して、フレキシブル容器に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、3.9mg/Lであった。フレキシブル容器の中心の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように固定し、圧力開放バルブ30を開放し、圧力容器26の内部を大気圧にした。
図8に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,106個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
フレキシブル容器内のトナー組成液は、188ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、3.9mg/Lであった。
図10に示される構成のトナー製造装置1を用いトナーの製造を行った。
トナー組成液を超音波をかけながら減圧脱気して、原料収容器13に900cc充填した。充填したトナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、2.1mg/Lであった。原料収容器13の液面の高さは、液柱共鳴室の吐出孔位置から、25cm低い位置になるように調整した。なお、原料収容器内の圧力は大気圧である。
図10に示す微粒子製造装置において噴霧試験を実施した。全てのノズルを観察し、30分駆動の間に吐出している吐出孔の数をモニターした。その結果、全1,600個の吐出孔のうち、1,159個が1時間後まで安定的に吐出し続けたことを確認した。
原料収容器内のトナー組成液は、156ccになっていた。トナー組成液の溶存酸素量を測定したところ、4.8mg/Lであった。
2:液滴吐出ユニット
6:微粒子組成液供給口
7:微粒子組成液流路
8:微粒子組成液排出口
9:弾性板
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:微粒子組成液
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴液室
19:吐出孔
20:振動発生手段
21:液滴
24:ノズル角度
25:フレキシブル容器
26:圧力容器
27:圧力調整エアーポンプ
28:樹脂組成液補給経路
29:樹脂組成液補給バルブ
30:圧力開放バルブ
60:乾燥捕集手段
61:チャンバ
62:微粒子捕集手段
63:微粒子貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
101:搬送気流
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
Claims (8)
- 少なくとも樹脂を含有する組成物を溶媒に溶解又は分散させてなる微粒子組成液を、1つ以上の吐出孔から連続吐出して液滴化する液滴吐出ユニットに供給し、前記微粒子組成液を液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した微粒子組成液の溶媒を乾燥させて液滴を固化させる液滴固化工程とを含む微粒子製造方法において、下記A、Bの要件を満足することを特徴とする微粒子製造方法。
A.前記樹脂組成液を気体が入らないようにフレキシブル容器に充填し、フレキシブル容器から、前記液滴吐出ユニットに、前記樹脂組成液を供給する。
B.フレキシブル容器内の前記樹脂組成液の溶存酸素量が、前記樹脂組成液が空気を飽和溶存したときの溶存酸素量の1/2以下である。 - 前記液滴形成工程は、1つ以上の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の微粒子組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記微粒子組成液を吐出して液滴化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子製造方法。
- 前記液柱共鳴液室が2つ以上の吐出孔を有する請求項2に記載の微粒子製造方法。
- 前記微粒子組成液をフレキシブル容器から液滴吐出ユニットに供給中に、脱気処理を行った新たな微粒子組成液を、フレキシブル容器に追加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 前記フレキシブル容器を圧力容器内に入れて、圧力容器内の圧力を調整することにより、液滴吐出ユニットへの微粒子組成液の供給圧力を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 前記液滴吐出ユニットに対するフレキシブル容器の垂直方向の位置を変化させることにより液滴吐出ユニットへの樹脂組成液の供給圧力を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微粒子製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法を実施する手段を有することを特徴とする微粒子製造装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた電子写真用トナー。
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