JP2013075289A - 微粒子およびトナーの製造方法 - Google Patents

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泰禎 設楽
Andrew Mwaniki Mulwa
アンドゥルー ムワニキ ムルワ
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義浩 法兼
Shinji Aoki
慎司 青木
Minoru Masuda
増田  稔
Kiyomasa Kato
清正 加藤
Satoshi Takahashi
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Abstract

【課題】微粒子製造技術において、ノズル吐出口のような吐出口を清掃するための清掃液を噴射する清掃液噴射手段を特定の配置で設けることにより、例えば典型例としてトナーの粒度分布を悪化させるという問題を解決し、高品質の微粒子例えばトナーを安定的に生産する微粒子製造技術、さらに、このような吐出口清掃液噴射手段から特定な清掃液を特定な態様で噴射することにより、一層優れた清掃の態様技術を提供する。
【解決手段】液滴21が固化すると微粒子となる微粒子成分含有液14が供給された液柱共鳴液室内に、振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出口から、微粒子成分含有液の液滴を吐出させる液滴吐出手段2と、前記吐出口に対して、清掃液を噴射する清掃液噴射手段と、を備えたことを特徴とする微粒子製造装置。
【選択図】図7

Description

本発明は、固体微粒子の製造装置及び製造方法に関し、特に、電子写真における静電荷像を現像する現像剤として使用されるトナーの製造装置並びにトナーの製造方法、および製造されたトナーに関するものである。
従来、電子写真記録方法に基づく複写機、プリンタ、ファックス、およびそれらの複合機に使用される電子写真用トナーの製法としては粉砕法のみであったが、近年、重合法と呼ばれる水系媒体中で形成される方法が広く行なわれ、粉砕法を凌駕する勢いである(例えば特許文献1の特開平7−152202号公報参照)。なお、重合法によるトナーは「重合トナー」、または国によっては「ケミカルトナー」と呼ばれるように、重合法には必ずしも重合過程を伴わない製造方法も便宜上含んでいる。現在実用化されている重合方法は、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)、エステル伸長の各方法である。
粉砕法に比べ、重合法は総じて、小粒径トナーが得易い、粒径分布がシャープである、形状が球形に近い等の利点がある反面、通常、水系媒体中でトナー粒子から脱溶剤するため、脱溶剤効率が悪く、また重合過程に長時間を必要とする。さらに固化終了後、トナー粒子と水とを分離し、その後、洗浄乾燥を繰り返す必要があり、多くの時間と、多量の水、多くのエネルギーを必要とする。
これに代わるトナーの製造方法として、水を使わずに微粒子成分含有液を気相中で液滴化した後に固化する、いわゆるスプレードライ法も提案されているが、粒度分布が広いといった欠点がある。
微粒子成分含有液を気相中で液滴化し粒度分布を狭くする試みとして、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2の2003−262976号公報参照)。更に、ノズル内の熱膨張を利用し、やはり微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3の2003−280236号公報参照)。更には、音響レンズを利用し、同様の処理をする方法が提案されている(特許文献4の2003−262977号公報参照)。
しかしながら、これらの方法では、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があると同時に、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、単一分散性という点においても満足のいくものではなかった。
高周波数の振動と複数ノズルを利用して微小液滴を形成することで生産性を向上させることが提案されている。しかし、高周波数の振動と複数ノズルを利用すると、ノズルからの液の滲み出しと吐出した液滴のノズルへの舞い戻りにより、液滴の吐出が不安定化し、トナーの生産上大きな課題となる。
その対策として提案されたのはノズルプレートの發液処理であるが、このような対策は課題の規模を減少させるが、完全に課題を取り除く訳ではない。
よって、定期的なノズルの清掃が必要であり、従来、なんらかのワイピングが行われている。しかし、トナーの生産にこのシステムを適用した場合にはワイピングによる表面の劣化が起こり、發液処理の効果が次第に減少し、トナーの生産性の悪化に繋がる。
本発明の目的は、叙上の課題を解決し、微粒子成分含有液吐出手段の吐出口から微粒子成分含有液を吐出させて液滴化する液滴化手段により形成された液滴を固化して微粒子を形成する粒子形成手段を備えた微粒子製造装置を用いる微粒子製造技術において、ノズル吐出口のような吐出口を清掃するための清掃液を噴射する清掃液噴射手段を特定の配置で設けることにより、ワイピングによる吐出口表面の劣化を回避し、突出口のクリーニングを円滑化かつ確実化して、吐出口からの液の滲み出しと液滴同士の合一が固体微粒子例えば典型例としてトナーの粒度分布を悪化させるという問題を解決し、高品質の微粒子例えばトナーを安定的に生産する微粒子製造技術を提供することにある。さらに、本発明の目的は、このような吐出口清掃液噴射手段から特定な清掃液を特定な態様で噴射することにより、一層優れた清掃の態様技術の提供を包含している。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴は以下のとおりである。即ち、
(1)「液滴が固化すると微粒子となる微粒子成分含有液が供給された液柱共鳴液室内に、振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出口から、微粒子成分含有液の液滴を吐出させる液滴吐出手段と、前記吐出口に対して、清掃液を噴射する清掃液噴射手段と、を備えたことを特徴とする微粒子製造装置」。
(2)「前記清掃液が、前記微粒子成分含有液に使用された溶剤よりも揮発しやすい溶剤であることを特徴とする前記(1)項に記載の微粒子製造装置」。
(3)「前記清掃液が、前記微粒子成分含有液に使用された溶剤と同じ溶剤であることを特徴とする前記(1)項に記載の微粒子製造装置」。
(4)「前記清掃液滴噴射手段が、前記微粒子成分含有液吐出ヘッドの吐出時の周囲温度よりも温度が高くなるよう、温められた前記清掃液を噴射するものであることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の微粒子製造装置」。
(5)「前記清掃液噴射手段から噴射された前記清掃液の吐出方向が、前記微粒子製造装置の微粒子成分含有液滴吐出方向に対して角度θを有し、角度θがθ>0°を満足することを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の微粒子製造装置」。
(6)「前記液滴吐出手段の前記吐出口清掃時に該微粒子成分含有液の圧力が該吐出口において周囲の気体と同じ圧力、またはそれより高い圧力に保たれることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の微粒子製造装置」。
(7)「前記吐出口が形成されたプレートを有し、該プレートの吐出側表面に、SiO膜が設けられ、該SiO膜上に、パーフルオロアルキル基を有しかつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する撥液材料の撥液膜が形成されていることを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の微粒子製造装置」。
(8)「前記撥液膜の微粒子成分含有液に対する接触角が40度以上であることを特徴とする前記(7)に記載の微粒子製造装置」。
(9)「前記微粒子成分含有液が樹脂を含有するトナー組成液であり、前記微粒子がトナー粒子であることを特徴とする、前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の微粒子製造装置」。
(10)「樹脂及び着色剤を含有する微粒子成分含有液を吐出口から吐出させて液滴化する液滴化手段により液滴を形成する工程と、形成された液滴を固化して微粒子を形成する粒子形成工程とを有する微粒子製造方法であって、前記液滴形成中又は該液滴形成の合間に、前記液滴液滴吐出手段の前記吐出口に対向して、該吐出口と前記プレート表面を清掃するための清掃液を噴射する清掃液噴射工程を含むことを特徴とする微粒子製造方法」。
また、本発明は次の(11)項及び(12)項に記載の「微粒子製造装置」及び「微粒子製造方法」を包含している。
(11)「前記撥液膜の膜厚が10nm以上、100nm以下であることを特徴とする前記(7)項又は(8)項に記載の微粒子製造装置」。
(12)「前記吐出口の清掃時に該微粒子成分含有液の圧力が吐出口において周囲の気体の圧力に対する圧力差を0.20〜+0.10kPaに保つことを特徴とする前記(10)項に記載の微粒子製造方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、吐出口から樹脂のような微粒子成分を含有する微粒子成分含有液を吐出させて液滴化する液滴化手段により形成された液滴を固化して微粒子を形成する粒子形成手段を備えた微粒子製造装置を用いる微粒子製造技術において、吐出口を清掃するための液を噴射する清掃液噴射手段を特定の配置で設けることにより、ワイピングによるノズル表面の劣化を回避し、ノズルのクリーニングを円滑化かつ確実化して、ノズルからの液の滲み出しと液滴同士の合一がトナーの粒度分布を悪化させるという問題が解決され、高品質のトナーを安定的に生産するトナー製造技術が提供され、さらに、このようなノズル清掃液噴射手段から特定なノズル清掃液を特定な態様で吐出することにより、一層優れたノズル清掃の態様技術が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出口の断面図である。 N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。 微粒子製造装置の概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の別構成を示す断面図である。 液滴吐出手段と噴射清掃手段の位置関係を示す概略図である。 噴射清掃手段と気流方向との関係例を示す概略図である。
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細かつ具体的に説明する。微粒子製造技術としては、例えば、典型的には、ノズルから樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液(以降で「トナー成分液」と記載されることもある)を吐出させて液滴化する液滴化手段により形成された液滴を固化してトナー粒子を形成する粒子形成手段を用いたトナー製造技術等が挙げられるので、以下、トナー製造の場合を例として説明を進めることとする。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明のトナーの製造手段の一例を以下、図1〜図9を用いて説明する。本発明のトナー製造手段は液滴吐出手段、液滴固化捕集手段に分けられる。それぞれ下記で解説する。
〔液滴吐出手段〕
本発明で用いる液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプとしては例えば、特開2008−292976号公報、レイリー分裂タイプとしては特許第4647506号公報、液振動タイプとしては特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布が狭く、トナーの生産性を確保するためには、複数のノズルが形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成されたノズルから液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これらのいずれかを用いるが好ましい。
[液柱共鳴吐出手段]
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段(11)を示す。液共通供給路(17)及び液柱共鳴液室(18)を含んで構成されている。液柱共鳴液室(18)は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路(17)と連通されている。また、液柱共鳴液室(18)は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴(21)を吐出するノズル(19)と、ノズル(19)と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段(20)とを有している。なお、振動発生手段(20)には、図示していない高周波電源が接続されている。
本発明で吐出手段より吐出される液体としては、得ようとしている微粒子の成分が溶解又は分散させた分散された状態のもの「微粒子成分含有液」または、吐出させる条件下で液体であれば溶媒を含まなくてもよく、微粒子成分が溶融している状態「微粒子成分溶融液」である。(以下、トナーを製造する場合についての説明のため、便宜上、これらを纏めて「微粒子成分含有液」又は「トナー成分液」と記して説明する)トナー成分液(14)は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット(10)の液共通供給路(17)内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段(11)の液柱共鳴液室(18)に供給される。そして、トナー成分液(14)が充填されている液柱共鳴液室(18)内には、振動発生手段(20)によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されているノズル(19)から液滴(21)が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。定在波の腹となる領域であれば、ノズルが複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、ノズルの詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路(17)を通過したトナー成分液(14)は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴(21)の吐出によって液柱共鳴液室(18)内のトナー成分液(14)の量が減少すると、液柱共鳴液室(18)内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路(17)から供給されるトナー成分液(14)の流量が増加し、液柱共鳴液室(18)内にトナー成分液(14)が補充される。そして、液柱共鳴液室(18)内にトナー成分液(14)が補充されると、液共通供給路(17)を通過するトナー成分液(14)の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段(11)における液柱共鳴液室(18)は、金属やセラミックス、シリコンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室(18)の長手方向の両端の壁面間の長さ(L)は、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室(18)の幅(W)は、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室(18)の長さ(L)の2分の1より小さいことが望ましい。更に、液柱共鳴液室(18)は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット(10)に対して複数配置されているほうが好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室(18)が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立でき、もっとも好ましい。
また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路(17)から連通接続されており、液共通供給路(17)には複数の液柱共鳴液室(18)と連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段(11)における振動発生手段(20)は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板(9)に貼りあわせた形態が望ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。圧電体は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段(20)は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが望ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が望ましい。
更に、ノズル(19)の開口部の直径は、1[μm]〜40[μm]の範囲であることが望ましい。1[μm]より小さいと、形成される液滴が非常に小さくなるためトナーを得ることができない場合があり、またトナーの構成成分として顔料などの固形微粒子が含有された構成の場合ノズル(19)において閉塞を頻繁に発生して生産性が低下する恐れがある。また、40[μm]より大きい場合、液滴の直径が大きく、これを乾燥固化させて、所望のトナー粒子径3〜6μmを得る場合、有機溶媒でトナー組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、一定量のトナーを得るために乾燥エネルギーが大量に必要となってしまい、不都合となる。また、図2からわかるように、ノズル(19)を液柱共鳴液室(18)内の幅方向に設ける構成を採用することは、ノズル(19)の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、ノズル(19)の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
ノズル(19)の断面形状は図1等で開口部の径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
図3にノズル(19)の取りうる断面形状を示す。(a)はノズル(19)の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜(41)が振動した際にノズル(19)の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)はノズル(19)の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度(44)は適宜変更することができる。
(a)と同様のこのノズル角度によって薄膜(41)が振動したときのノズル(19)の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲としては60〜90°が好ましい。60°未満では液に圧力がかかりにくく、さらに薄膜(41)の加工もし難いため好ましくない。ノズル角度(44)が90°を超える場合は(c)が相当するが出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°を越える場合は孔(12)の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
(d)は(a)と(b)を組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
ノズル(19)は精密な加工を要するため、ノズルプレート(3)に加工してよく、機械切削や電鋳法によって形成される。ノズルプレートの材質は精度を保ち、加工性に合致していれば、どんなものでも良い。電鋳法でノズルプレート(3)を作成する場合はニッケルやチタンが好適に用いられる。
ノズルプレート(3)の表面には撥液加工をすることができる。これはノズルプレートへのトナー成分液への濡れを抑制できるため、液滴吐出の安定性が向上する。下記で詳細に述べる。
〔撥液膜〕
トナー成分液に対して撥液性を示す膜について説明する。
撥液膜の表層に形成される材料の分子構造を化学式(1)〜(4)に示す。パーフルオロアルキル基が直鎖として形成されている分子の例としては、つぎのようなものが挙げられる。
CF(CF−Si(OR) ・・・化学式(1)
CF(CF−Si(OR ・・・化学式(2)
パーフルオロポリエーテール鎖とシロキサン結合(−SiO−)したアルキル基(アルコキシシラン基)を持つ例としては、つぎのようなものが挙げられる。
CF(OCF−CFCF−X−Si(OR) ・・・化学式(3)
CF(OCF−CFCF−X−Si(OR ・・・化学式(4)
(上記化学式において、Xは特に限定されるものではない。R,R,Rは、前記SiO層との結合部位であり、結合部位が多いほどSiOとの結合力が強いため、シロキサン結合を有する基の数が3であることが最も望ましい。また、パーフルオロアルキル基は撥液膜最表層において、微粒子成分含有液との撥液性を示す部位である。
[撥液膜形成工程]
上記撥液膜を形成するにあたり、下に説明する、真空蒸着法を用いることができるが、工程はこれに限定するものではなく、より簡便な方法として、スプレーコート、スピンコート、浸漬、その他印刷技術を用いた方法を挙げることができる。このような塗布方法を用いる場合、溶剤希釈することが、取り扱い上、更には薄膜を形成するうえで望ましい。
溶剤の種類としては、フッ素系、例えば、パーフルオロヘキサン、ハーフルオロメチルシクロヘキサン、フロリナートFC−72(住友スリーエム社製品名)などが代表的である。
第一に、薄膜の液放出側の面にRFスパッタによってSiO膜を数〜数十nm形成する。その後第二工程として、脱脂洗浄処理を行い、次に、第三の工程として、形成されたSiO膜上に前記化学式で示した分子の真空蒸着を行い、最終工程で焼成または重合処理を行なった。
[膜厚]
撥液膜の膜厚は蒸着の時間で制御することが可能であり、10nm以上であることが、耐久性の観点から好ましい。これ以下の場合、長期使用の際に、徐々に剥がれを起こす。
また、以上のように形成された膜は、トナー成分液に対する接触角が40度以上であることが撥液性として望ましい。
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段(11)内の液柱共鳴液室(18)において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内のトナー成分液の音速をcとし、振動発生手段(20)から媒質であるトナー成分液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・計算式(1)
の関係にある。
また、図1の液柱共鳴液室(18)において固定端側のフレームの端部から液共通供給路(17)側の端部までの長さを(L)とし、更に液共通供給路(17)側のフレームの端部の高さ(h1(=約80[μm]))は連通口の高さ(h2(=約40[μm]))
の約2倍あり当該端部が閉じている固定端と等価であるとした両側固定端の場合には、長さ(L)が波長(λ)の4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の計算式(2)で表現される。
L=(N/4)λ ・・・計算式(2)
(但し、Nは偶数)
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記計算式(2)が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さ(L)が波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記計算式(2)のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記計算式(1)と上記計算式(2)より、
f=N×c/(4L) ・・・計算式(3)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する計算式(4)、計算式(5)に示すように、計算式(3)に示す最も効率の高い駆動周波数(f)の近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4に、N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図5にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4及び図5のように表記することが一般的である。
実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3の(a)からわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、ノズルの開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。
理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4及び図5のような形態の共鳴定在波を生じるが、ノズル数、ノズルの開口位置によっても定在波パターンは変動し、上記計算式(3)より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。例えば、液体の音速(c)が1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さ(L)が1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記計算式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速(c)が1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さ(L)が1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記計算式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれ、同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段(11)における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、ノズルの開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。
ここでのノズルの開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4の(b)及び図5の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そしてノズル側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、ノズルの開口数、開口配置位置、ノズルの断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えばノズルの数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在するノズルの開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、またノズルの断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによるノズルの体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。
また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さを(L)、液供給側の端部に最も近いノズルまでの距離を(Le)としたとき、(L)及び(Le)の両方の長さを用いて下記計算式(4)及び計算式(5)で決定される範囲の駆動周波数(f)を主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴をノズルから吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・計算式(4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・計算式(5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ(L)と、液供給側の端部に最も近いノズルまでの距離(Le)の比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室(18)において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室(18)の一部に配置されたノズル(19)において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置にノズル(19)を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。また、ノズル(19)は1つの液柱共鳴液室(18)に1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましい。具体的には、2〜100個の間であることが好ましい。
100個を超えた場合、100個のノズル(19)から所望の液滴を形成させようとすると、振動発生手段(20)に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段(20)としての圧電体の挙動が不安定となる。また、複数のノズル(19)を開孔する場合、ノズル間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。ノズル間のピッチが20[μm]より小さい場合、隣あうノズルより放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布悪化につながる。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図6を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。
また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路(17)と液柱共鳴液室(18)とが連通する開口の高さ(図1に示す高さ(h2))に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さ(h1))が約2倍以上であるため、液柱共鳴液室(18)はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6の(a)は液滴吐出時の液柱共鳴液室(18)内の圧力波形と速度波形を示している。また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室(18)におけるノズル(19)が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、ノズル(19)付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴(21)が吐出される。
そして、図6の(d)に示すように、ノズル(19)付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室(18)へのトナー成分液(14)の充填が始まる。その後、図6の(e)に示すように、ノズル(19)付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー成分液(14)の充填が終了する。そして、再び、図6の(a)に示すように、液柱共鳴液室(18)の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、ノズル(19)から液滴(21)が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域にノズル(19)が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴(21)がノズル(19)から連続的に吐出される。
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。この一例は、図1において液柱共鳴液室(18)の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四のノズルがN=2モード圧力定在波の腹の位置にノズルを配置し、駆動周波数を340[kHz]のサイン波で行った吐出はをレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図7に示す。同図からわかるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現していた。また、図7は駆動周波数290[kHz]〜395[kHz]の同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。同図からわかるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340[kHz]付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっていた。この結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340[kHz]において、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図7の特性結果から、第一モードである130[kHz]においての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340[kHz]においての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
〔液滴固化〕
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー成分液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明のトナーを得ることができる。
〔液滴固化手段〕
固化させるには、トナー成分液の性状しだいで、考え方は異なるが、基本的にトナー成分液を固体状態にできれば手段を問わない。
例えばトナー成分液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解または分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することができる。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。
前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用で達成しても良い。
〔固化粒子捕集手段〕
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することができる。
図7は、本発明のトナーの製造方法を実施する装置一例の断面図である。トナー製造装置(1)は、主に、液滴吐出手段(2)及び乾燥捕集ユニット(60)を含んで構成されている。
液滴吐出手段(2)には、トナー成分液(14)を収容する原料収容器(13)と、原料収容器(13)に収容されているトナー成分液(14)を液供給管(16)を通して液滴吐出手段(2)に供給し、更に液戻り管(22)を通って原料収容器(13)に戻すために液供給管(16)内のトナー成分液(14)を圧送する液循環ポンプ(15)とが連結されており、トナー成分液(14)を随時液滴吐出手段(2)に供給できる。液供給管(16)には(P1)、乾燥捕集ユニットには(P2)の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段(2)への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計(P1)、(P2)によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、トナー成分液(1)が孔(12)から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ(61)内では、搬送気流導入口(64)から作られる下降気流(101)が形成されている。液滴吐出手段(2)から吐出された液滴(21)は、重力よってのみではなく、搬送気流(101)によっても下方に向けて搬送され、固化粒子捕集手段(62)によって捕集される。
なお、後術される本発明のノズル清掃手段については図7においては液滴吐出手段(2)に含まれており、ここでは明確に図示されない。
[搬送気流]
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下をなくし、液滴同士を接触させないように搬送気流(101)によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流(101)は図1に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することができる。あるいは、図8に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図8のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用期待して付与しても良い。
搬送気流(101)は特に気流の状態として限定されることはなく層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流(101)を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流(101)の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバ(61)内に搬送気流(101)の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流(101)は液滴(21)同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ(61)に付着することを防止することに用いても良い。
〔二次乾燥〕
図7で示された乾燥捕集手段によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
[ノズルの清掃]
先にも説明したように、微粒子成分含有液を吐出させる際、染み出しや吐出液滴の舞い戻り等により微粒子成分含有液がノズル周辺のノズルプレートの表面に付着し、時間の経過とともに付着した量が多くなり、その一部は孔を閉塞することになる。また、ノズルプレートに付着した液滴が乾燥する現象が実験で観察されている。
そのようなことが起きると、液滴の吐出が乱れ、捕集されるトナー粒子の粒度分布が悪化することに繋がり、経時的にはノズルが閉塞し、吐出が停止してしまう。よって、ノズル表面を定期的に清掃する必要がある。
本発明で提案するのは純粋な溶剤による非接触のノズルのクリーニング方法である。非接触でノズルのクリーニングを行うことで、ノズル表面処理の効果の減少や劣化による悪影響を最小限に抑えることができ、ワイピングによって発生する上記の課題を解決することができる。
ノズル清掃の際、トナーの液滴を形成する液滴吐出手段の駆動信号を停止させた状態で、液滴吐出手段に向かって配置された、清掃用に設けた別の液滴吐出手段(以下噴射清掃手段と称する)を利用して純粋な溶剤を液滴吐出手段のノズルプレートに吹きかけることで清掃を行う。
噴射清掃手段はトナーの液滴を形成する液滴吐出手段と同じものであっても、別の噴射原理を用いたものでも構わないが、トナーの液滴を形成する液滴吐出手段と同じものを用いた場合には高周波を使うことで超音波洗浄と同じ効果があり清掃の効果が高く、清掃に要する時間もそれほど長くない。
その他の噴射清掃手段としては一般的に知られている1流体噴射ノズル、2流体噴射ノズルなどが挙げられ、特定の場所を目標として噴射できる形式のものが望ましい。これらのノズルは広角タイプのように本発明で用いられる液滴吐出手段のノズル範囲に合致したような噴射範囲を持つものがあり、適宜選定して用いることができる。これらの中では1流体の広角ノズルを用いることが、設備が単純で効果も同様のために望ましい。
ノズル清掃時はトナー成分液の圧力が周囲の気体の圧力と同じ値程度に保たれる必要がある。圧力が若干高いとトナー成分液の染み出しが生じるため好ましくない。この圧力の条件は汚れがノズル内へ入ることを防止するのと同時に、清掃用溶剤がノズル内へ入り、微粒子成分含有液が希釈され、或いはその組成が変化することを抑えるためである。
清掃に使用する溶剤はトナー組成物を容易に溶かすことができる溶剤である必要がある。
それは清掃の効果を向上させるためである。また、微粒子成分含有液と化学反応等、トナー組成液に大きな変化を起こさない溶剤である必要がある。微粒子成分含有液に使用されている同じ溶剤をノズル清掃に使うことが好ましいが、それに制限されることではない。
揮発しやすい別の溶剤でも、上記記載の条件を満たす限り、清掃に利用できる。本発明書の後部に記載の実施例では微粒子成分含有液に使用された溶剤が酢酸エチルで、清掃用に利用し、良い効果が確認された溶剤は酢酸エチルと、それよりも沸点の低い(揮発しやすい)アセトンであった。
本発明においては、噴射清掃手段が清掃に使用する溶剤の温度を上げるため、ヒーターなどの加温手段を備えることが好ましく、清掃に使用する溶剤の温度を上げることでさらに清掃の効果を向上させることができる。温度が高ければ高いほど清掃の効果は上がるが、微粒子成分含有液に使用されている溶剤の沸点よりも高いと、熱が微粒子成分含有液吐出ヘッド内へ伝わり、トナー組成液中の溶剤が沸騰し、気泡で清掃後に吐出が再開しないようなことが起こりうる。また、微粒子成分含有液中に分散されたワックス等の融点よりも清掃用溶剤の温度が高いと、分散された粒子が合一し、微粒子成分含有液の特性が変化し、後の吐出に悪影響を与える恐れがある。よって、微粒子成分含有液吐出用ヘッド中の微粒子成分含有液に悪影響を及ぼさない温度の範囲内である必要がある。
吐出される液滴は吐出直後の速度が一番速く、次第に速度が落ちるので、清掃の効果をより良くするにはできるだけ噴射清掃手段を液滴吐出手段(2)のノズルプレートへ近づける必要がある。また、噴射清掃手段は液滴吐出手段(2)に対向する方向で置かれるが、液滴吐出手段(2)の液的吐出方向の正反対の方向に噴射清掃手段の噴射が向けられていると清掃用の溶剤が液滴吐出手段(2)のノズル(19)へ入り込む可能性は高い。従って、噴射清掃手段の噴射角度は液滴吐出手段(2)に対して傾ける必要がある。その傾きの角度θは大きければ大きいほど清掃液がノズル内へ入り込む可能性が低いので、θ>0°を満足している必要があり、好ましくはθ>45°を満足している。噴射清掃手段(25)の配置の一例を図9に示す。
また、吐出した液滴が搬送気流内で合一を防止するためには、噴射清掃手段(25)が気流の邪魔をしてはならない。このため、例えば図10に示したように、気流の邪魔にならないような配置をとることも必要である。
尚、清掃用ヘッドの噴射方向とトナー液吐出用ヘッドの吐出方向が、少しでもずれていなく全くの正反対である状態がθ=0としている。清掃用ヘッドの噴射方向がトナー液吐出用ヘッドのノズルプレート表面に平行している場合はθ=90°で、θの値の最大限である。
清掃用噴射ヘッドは高周波数で複数のノズルから液滴を吐出するため、動作原理はトナー液吐出用ヘッドと同じである。従って、動作の説明と説明図は上記トナー液吐出用ヘッドと同じである。上記記載のトナー液吐出用ヘッドの方式は様々であった。トナー液吐出な用ヘッドとノズル清掃用噴射ヘッドは揃って同じ方式である必要はない。
清掃後は初期に吐出される液滴は固形分が下がっている可能性があるため、形成されるトナー粒子は狙いの粒径より小さい可能性がある。対処としては捕集しないか、或いは別の容器に捕集し、粒度分布を確認する必要がある。トナーとしての品質に問題がないことが確認できれば、そのまま捕集しても構わない。
〔トナー〕
本発明のトナーは少なくとも樹脂、着色剤およびワックスを含有し、必要に応じて、帯電調整剤、添加剤およびその他の成分を含有する。
本発明で用いる、「トナー成分液」について説明する。トナー成分液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散させた液体状態であるか、または吐出させる条件下で液体であれば溶媒を含まなくてもよく、トナー成分の一部または全てが溶融した状態で混合され液体状態を呈しているものである。
トナー材料としては、上記のトナー成分液を調整することができれば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
〔樹脂〕
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
結着樹脂の性状としては溶媒に溶解することが望まく、この特徴を除けば従来公知の性能を持っていることが望ましい。
〔結着樹脂の分子量分布〕
結着樹脂のGPC(ゲルパーメンテーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
〔結着樹脂の酸価〕
結着樹脂の酸価が0.1〜50[mgKOH/g]を有する樹脂を60[質量%]以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
本発明で使用できる磁性体としては、従来電子写真トナーに用いられる公知のものを使用することができる。例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2[μm]が好ましく、0.1〜0.5[μm]がより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
〔着色剤〕
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15[質量%]が好ましく、3〜10[質量%]がより好ましい。
本発明に係るトナーで用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチは顔料を予め分散させるためのものであり、顔料の充分な分散が得られていれば用いなくても良い。マスターバッチは一般的に顔料と樹脂とを高せん断をかけることで樹脂中に顔料を硬度に分散させたものである。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
マスターバッチ製造時に顔料の分散性を高めるために分散剤を用いてもよい。顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、従来公知のものを用いることができ、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10[質量%]の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1[質量%]未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10[質量%]より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
[ワックス]
本発明で用いるトナー成分液は、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有する。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスの融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140[℃]であることが好ましく、70〜120[℃]であることがより好ましい。
70[℃]未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140[℃]を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
本発明では、DSC(ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
本発明に係るトナーには、他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でその表面をシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
前記添加剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、等公知のものを使用できる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが好適に挙げられる。
前記外添剤の一次粒子径としては、5[nm]〜2[μm]であることが好ましく、5[nm]〜500[nm]であることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500[m2/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5[重量%]であることが好ましく、0.01〜2.0[重量%]であることがより好ましい。
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1[μm]のものが好ましい。
以下に、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明についての理解を助けるためのものであっって、本発明を制限するためのものではない。各例中、別段の断りない限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表わす。
[実施例1]
次に、実施形態で用いた溶解乃至分散液の処方を示す。
なお、噴射条件は前述の通りである。
[着色剤分散液の調製]
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400;Cabot社製)17質量部、顔料分散剤3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。
該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。
[ワックス分散液の調整]
次にワックス分散液を調整した。
カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤2質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下なるよう調整した。
[微粒子成分含有液の調製]
次に、結着樹脂としての樹脂、上記着色剤分散液及び上記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー成分液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部、前記着色剤分散液30質量部、ワックス分散液30質量部を、酢酸エチル840質量部を、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
[トナー製造装置]
図7に示される構成のトナー製造装置(1)を用い、トナーの製造を行った。
各構成物のサイズ・条件を記載する。
(液柱共鳴液滴吐出手段)
液柱共鳴液室(18)の長手方向の両端間の長さ(L)が1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四のノズルがN=2モード圧力定在波の腹の位置にノズルを配置したものを用いた。ノズルの配置されたプレート表面には前述の撥水加工がされており、撥水処理されたプレート平面のトナー組成液に対する接触角は45.4度であった。
駆動信号発生源はNF社ファンクションジェネレーターWF1973を用い、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続した。この時の駆動周波数は液共鳴周波数に合わせて340[kHz]となる。ノズルへの圧力は図7に示されるP1にて測定しており、これは液滴吐出手段のノズル位置の高さで測定しており、ノズルへの圧力を正確に示せるようになっている。
[トナー捕集部]
チャンバ(61)の内径はφ400mm、高さは2000mmの円筒形で垂直に固定されており、上端部と下端部が絞られており、搬送気流導入口の径はφ50mm、搬送気流出口の径はφ50mmである。液滴吐出手段(2)はチャンバ(61)内上端より300mmの高さでチャンバ(61)の中央に配置されている。搬送気流は10.0m/s、40℃の窒素とした。
[ノズル清掃手段]
ノズル清掃手段(25)はスプレーイングシステムズ社HB−VV型(スプレー角度110°型)に0.3Mpaの圧力で純粋な酢酸エチルを通じるものとした。ノズル清掃手段(25)の液滴吐出手段(2)に対する角度は45°とし、その距離は15mmとした。
これを20分間に1度、30秒間(清掃中は液滴吐出手段(2)からの吐出は停止)の割合で清掃を行った。
前述のトナー製造装置を用いて、作成したトナー成分液を吐出させ、チャンバ内で乾燥固化したトナー粒子をサイクロン捕集機で捕集した。トナー貯蔵容器よりトナーを取り出し、実施例1のトナーを得た。このトナーの粒径分布をフロー式粒子像解析装置(シスメックス社 FPIA−3000)で下記に示す測定条件にて測定した。これを3回繰り返したところ、体積平均粒径(Dv)の平均は5.5μm、個数平均粒径(Dn)の平均は5.2μmであり、Dv/Dnの平均は1.05であった。
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器STM社製UH−50で20kHz,50W/10cmの条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
[実施例2]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。実施例2の結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例3]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。実施例3の結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例4]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。実施例4の結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例5]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例6]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例7]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例8]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例9]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例10]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例11]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例12]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例13]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例14]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例15]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例16]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例17]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は実施例1と全く同じものを使用している。
[実施例18]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した実施例18の結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例19]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。その結果を表に示す。
なお、使用したトナー成分液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例20]
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。結果を表に示す。なお、使用したトナー成分液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例21]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した。比較例1の結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例22]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様と用いて、実施例1と同様に評価した。比較例2の結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例23]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様と用いて、実施例1と同様に評価した。その結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例24]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様と用いて、実施例1と同様に評価した。結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例25]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様と用いて、実施例1と同様に評価した。結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例26]
実施例と同様、表1に示したノズル仕様と用いて、実施例1と同様に評価した。結果を次の表に示す。なお、使用したトナー液や周辺機器は全く同じものを使用している。
[実施例27]
実施例で用いた液柱共鳴液滴吐出手段の吐出プレート表面の撥水処理を行なわずに、実施例1と同様に評価した。このときのノズルが配置されたプレート平面のトナー組成液に対する接触角は5.4度であった。
[実施例28]
実施例で用いた液柱共鳴液滴吐出手段の吐出プレート表面の撥水処理を、下記のように実施して、実施例1と同様に評価した。このときのノズルが配置されたプレート平面のトナー組成液に対する接触角は19.4度であった。
実施例28の撥水処理方法は、薄膜の液放出側の面にRFスパッタによってSiO膜を数〜数十nm形成した後、脱脂洗浄処理を行ない、形成されたSiO膜上に、チッソ社チタンハードコート材H6000で表面処理を行なった。
[実施例29]
実施例で用いた液柱共鳴液滴吐出手段の吐出プレート表面の撥水処理を、下記のように実施して、実施例1と同様に評価した。このときのノズルが配置されたプレート平面のトナー組成液に対する接触角は35.5度であった。
実施例29の撥水処理方法は、薄膜の液放出側の面にRFスパッタによってSiO膜を数〜数十nm形成した後、脱脂洗浄処理を行ない、形成されたSiO膜上に、東レダウシリコーン社フッ素系シランカップリング剤を蒸着させた後に、300℃加熱して表面処理を行なった。
Figure 2013075289
Figure 2013075289
(評価項目の説明)
清掃後ノズル表面状態:染み出し等でノズル周辺に付着したトナー組成の清掃後ノズル周辺に残った量。周辺にまだ汚れているノズルの割合で表したもの。
吐出復活率:清掃後、全ノズルの内、正常に吐出するものの割合。
トナー平均粒度分布:各実施例・比較例で捕集されたトナーの粒度分布。尚、各例では連続吐出の時間が20分で、清掃は吐出開始直前を含めて10回実施されているので、全吐出時間が180分である。
清掃効果評価:上記3項目のどれか一番評価の低いものを表している。
以上の結果より、本発明のノズル清掃方法を用いることによって、高品質のトナーを安定的に生産できることが示された。
1 トナー製造装置
2 液滴吐出手段
3 ノズルプレート
6 トナー成分液供給口
7 トナー成分液流路
8 トナー成分液排出口
9 弾性板
10 液柱共鳴液滴吐出ユニット
11 液柱共鳴液滴吐出手段
12 気流通路
13 原料収容器
14 トナー成分液
15 液循環ポンプ
16 液供給管
17 液共通供給路
18 液柱共鳴流路
19 ノズル
20 振動発生手段
21 液滴
22 液戻り管
23 合着液滴
24 ノズル角度
25 噴射清掃手段
60 乾燥捕集手段
61 チャンバ
62 トナー捕集手段
63 トナー貯留部
64 搬送気流導入口
65 搬送気流排出口
P1 液圧力計
P2 チャンバ内圧力計
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報

Claims (10)

  1. 液滴が固化すると微粒子となる微粒子成分含有液が供給された液柱共鳴液室内に、振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出口から、微粒子成分含有液の液滴を吐出させる液滴吐出手段と、前記吐出口に対して、清掃液を噴射する清掃液噴射手段と、を備えたことを特徴とする微粒子製造装置。
  2. 前記清掃液が、前記微粒子成分含有液に使用された溶剤よりも揮発しやすい溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子製造装置。
  3. 前記清掃液が、前記微粒子成分含有液に使用された溶剤と同じ溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子製造装置。
  4. 前記清掃液滴噴射手段が、前記微粒子成分含有液吐出ヘッドの吐出時の周囲温度よりも温度が高くなるよう、温められた前記清掃液を噴射するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の微粒子製造装置。
  5. 前記清掃液噴射手段から噴射された前記清掃液の吐出方向が、前記微粒子製造装置の微粒子成分含有液滴吐出方向に対して角度θを有し、角度θがθ>0°を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微粒子製造装置。
  6. 前記液滴吐出手段の前記吐出口清掃時に該微粒子成分含有液の圧力が前記吐出口において周囲の気体と同じ圧力、またはそれより高い圧力に保たれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の微粒子製造装置。
  7. 前記吐出口が形成されたプレートを有し、該プレートの吐出側表面に、SiO膜が設けられ、該SiO膜上に、パーフルオロアルキル基を有しかつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する撥液材料の撥液膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の微粒子製造装置。
  8. 前記撥液膜の微粒子成分含有液に対する接触角が40度以上であることを特徴とする請求項7に記載の微粒子製造装置。
  9. 前記微粒子成分含有液が樹脂を含有するトナー組成液であり、前記微粒子がトナー粒子であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の微粒子製造装置。
  10. 樹脂及び着色剤を含有する微粒子成分含有液を吐出口から吐出させて液滴化する液滴化手段により液滴を形成する工程と、形成された液滴を固化して微粒子を形成する粒子形成工程とを有する微粒子製造方法であって、前記液滴形成中又は該液滴形成の合間に、前記液滴液滴吐出手段の前記吐出口に対向して、該吐出口と前記プレート表面を清掃するための清掃液を噴射する清掃液噴射工程を含むことを特徴とする微粒子製造方法。
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