JP6217147B2 - 粒子製造装置、及び粒子製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、重合過程に長時間を必要とし、更に固化終了後溶媒とトナー粒子とを分離し、その後洗浄乾燥を繰り返す必要があり、多くの時間と、多量の水やエネルギーを必要とするため、製造効率が悪いという問題がある。
しかし、この提案の方法では、トナー組成液を噴霧した後に、形成された液滴が乾燥する前に液滴同士が合着し、その状態のまま溶媒が除去されトナーが得られるため、結果として得られるトナーの粒度分布の広がりが避けられず、粒径分布としては満足のいくものでなかった。
本発明の粒子製造装置は、
少なくとも1つの吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成手段と、
前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する粒子形成手段と、
固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集手段と、
前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる気流温度低下手段とを有することを特徴とする。
本発明の粒子製造装置は、液滴形成手段と、粒子形成手段と、粒子捕集手段と、気流温度低下手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記気流温度低下手段は、熱交換器であることが好ましい。
前記気流温度低下手段は、溶媒吐出手段であることが好ましい。
前記気流温度低下手段が、前記溶媒吐出手段である場合、前記粒子製造装置は、吐出量計測手段と、吐出量調整手段とを有することが好ましい。
前記気流温度低下工程は、熱交換器を用いて行われることが好ましい。
前記気流温度低下工程は、溶媒吐出工程であることが好ましい。
前記気流温度低下工程が、前記溶媒吐出工程である場合、前記粒子製造方法は、吐出量計測工程と、吐出量調整工程とを有することが好ましい。
また、前記溶媒吐出工程は、前記溶媒吐出手段により好適に実施できる。前記吐出量計測工程は、前記吐出量計測手段により好適に実施でき、前記吐出量調整工程は、前記吐出量調整手段により好適に実施できる。
前記液滴形成手段としては、少なくとも1つの吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1流体ノズル、2流体ノズル等のノズルスプレー型、膜振動型、レイリー分裂型、液振動型、液柱共鳴型などが挙げられる。
前記膜振動型としては、例えば、特開2008−292976号公報に記載されたものなどが挙げられる。前記レイリー分裂型としては、例えば、特許第4647506号公報に記載されたものなどが挙げられる。前記液振動型としては、例えば、特開2010−102195号公報に記載されたものなどが挙げられる。
これらの中でも、前記液滴形成手段は、前記液滴の粒径分布が狭く、粒子の生産性を確保できる点で、前記液柱共鳴型が好ましい。
前記液滴形成手段の一例の液柱共鳴型液滴形成手段について、説明する。
液柱共鳴型液滴形成手段は、少なくとも1つの吐出孔を有する液柱共鳴液室の内部の樹脂組成液に振動を付与することで液柱共鳴による圧力定在波を形成させ、前記圧力定在波の腹となる領域に配置された前記少なくとも1つの吐出孔から前記樹脂組成液を吐出して液滴を形成する手段である。
該振動発生部によって前記液柱共鳴液室内の前記樹脂組成液に振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記樹脂組成液を液滴状に吐出することができる。
前記液柱共鳴液室とは、後述する液柱共鳴現象の原理に従い、前記振動発生部によって付与される振動により圧力定在波を形成することができる液室である。
前記形状としては、例えば、四角柱(長方体)、円柱、円すい台などが挙げられるが、四角柱(長方体)が好ましい。
前記構造としては、例えば、容器のみからなる単層構造、液室本体と表面層とからなる2重構造、積層構造などが挙げられる。
前記液柱共鳴液室を形成する材質としては、例えば、金属、セラミックス、プラスチック、シリコーンなどが挙げられる。これらの中でも、前記樹脂組成液に溶解せず、かつ樹脂組成液の変性を起こさないものが好ましい。
また、前記液柱共鳴液室としては、前記振動発生部による振動の駆動周波数において樹脂組成液の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されたフレームがそれぞれ接合されて形成されたことが好ましい。そのような材質としては、例えば、金属、セラミックス、シリコーンなどが挙げられる。
ここで、「反射壁面」とは、液体の音波を反射させる程度に硬質な部材、例えば、アルミ、ステンレス等の金属部材、シリコーン等の部材などにより形成された壁面をいう。
前記吐出孔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の腹となる領域の少なくとも1つの領域に、少なくとも1つの吐出孔が配置されることが好ましく、また、1つの液柱共鳴液室に、複数配置されることが好ましい。
なお、前記吐出孔の開口径とは、吐出孔の液滴が吐出される側に位置する開口部の直径であり、真円であれば直径を意味し、楕円、若しくは四角形、六角形、八角形等の多角形乃至正多角形であれば平均径を意味する。
図7A〜Dに、前記吐出孔の断面形状の一例を示す。図7Aに示す吐出孔は、吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有している。そのため、液柱共鳴液室の吐出孔が形成された薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図7Bは、吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるようなテーパ角Aを有するテーパ形状を有する。ここで、前記テーパ角とは、吐出孔の開口面(吐出孔の形成面の厚み方向に対して垂直な面)に対する垂線(開口軸)と、前記吐出孔の形成面の厚み方向の断面における、前記吐出孔の断面形状の側面とのなす角度をいう。前記テーパ角Aは、適宜変更することができる。前記図7Aと同様に、前記テーパ角Aによって薄膜41が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、前記テーパ角の範囲としては、60°〜90°が好ましい。前記テーパ角Aが、60°未満であると、前記樹脂組成液に圧力がかかりにくく、更に薄膜41の加工が難しくなることがある。前記テーパ角Aが、90°である場合は、図7Cが相当する。この場合、吐出孔19の出口に圧力がかかりにくくなることがある。前記テーパ角が、90°を超えると、吐出孔19の出口に圧力がかからなくなり、液滴吐出が非常に不安定化することがある。
図7Dは、図7Aと図7Bとを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
前記吐出孔間のピッチは、吐出孔間において、全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、全て等間隔であることが、均一な粒径の粒子を得ることができる点で好ましい。
前記振動発生部としては、所定の周波数で駆動でき、前記液柱共鳴液室内の前記樹脂組成液に振動を付与できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電体、超音波振動発生部などが挙げられる。
前記超音波振動発生部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁歪素子などが挙げられる。
これらの中でも、圧電体が好ましい。前記圧電体は、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。
また、前記振動発生部は、弾性板に貼りあわせた形態であることが好ましく、該弾性板は、振動発生部が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を形成することが好ましい。
更に、前記振動発生部は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されることが好ましい。また、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の圧電体等の振動発生部を配置することが、それぞれの液柱共鳴液室を個別制御できる観点から好ましい。
次に、液柱共鳴型液滴形成手段による液滴形成のメカニズムについて説明する。
前記液柱共鳴液室(例えば、図1の液滴形成手段11内の液柱共鳴液室18)において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、前記液柱共鳴液室内の前記樹脂組成液の音速をcとし、前記振動発生部(例えば、図1の振動発生部20)から媒質である前記樹脂組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、前記樹脂組成液の共鳴が発生する波長λは、下記式(1)の関係にある。
λ=c/f ・・・式(1)
L=(N/4)λ ・・・式(2)
ただし、Nは、偶数である。
なお、「両側固定端と等価である場合」とは、ある端において圧力の逃げ部がないとみなすことができる場合である。例えば、ある端において反射壁面の高さが、樹脂組成液供給のための連通口の高さの2倍以上である場合、及びある端において反射壁面の面積が、樹脂組成液供給のための連通口の開口部の面積の2倍以上である場合などを指す。
図1において、液柱共鳴液室18の固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さが、長さLに相当する。また、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80μm)は連通口の高さh2(=約40μm)の約2倍あり当該端部が閉じている両側固定端と等価であるとみなすことができる。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端である)場合、つまり片側固定端の場合、乃至片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式(2)のNが奇数で表される場合に相当する。なお、両側開放端の場合は、Lが波長の4分の1の偶数倍、片側固定端の場合は、Lが波長の4分の1の奇数倍に相当する。
f=N×c/(4L) ・・・式(3)
ただし、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、cは樹脂組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。
液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
例えば、吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生部に電圧を与えたとき、振動発生部が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式(4)及び下記式(5)で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生部を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(5)
ただし、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離を表し、cは樹脂組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
更に、図10A〜Eにおいて、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。そのため、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
このように、液柱共鳴液室内には振動発生部の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
前記樹脂組成液は、樹脂と、溶媒とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記樹脂組成液としては、例えば、少なくとも樹脂を溶媒に溶解又は分散させた樹脂組成液などが挙げられる。
本発明の前記粒子製造装置及び前記粒子製造方法は、トナーの製造装置及びトナーの製造方法としても好適に利用可能である。この場合の前記樹脂組成液は、トナー組成液である。前記樹脂組成液がトナー組成液である場合、該トナー組成液中の前記その他の成分としては、例えば、着色剤、離型剤、帯電調整剤、磁性体、添加剤などが挙げられる。
以下、トナーの製造に特に適した樹脂組成液(トナー組成液)の組成について詳細に説明するが、本発明における樹脂組成液は、トナーを製造するための樹脂組成液に限定されるものではなく、液晶パネルのスペーサー粒子を製造するための樹脂組成液、電子ペーパー用の着色微粒子を製造するための樹脂組成液、医薬品の薬剤担持体を製造するための樹脂組成液であってもよい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記溶媒に分散乃至溶解するものであることが好ましく、例えば、結着樹脂などが挙げられる。
前記結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等からなるビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
前記3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
前記2価のカルボン酸としては、例えば、べンゼンジカルボン酸又はその無水物、アルキルジカルボン酸又はその無水物、不飽和二塩基酸又はその無水物などが挙げられる。前記べンゼンジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。前記アルキルジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などが挙げられる。前記不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられる。
前記3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、乃至これらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
なお、本発明において、前記樹脂の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
前記溶媒としては、前記樹脂を溶解乃至分散し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段、又は前記液滴形成工程で形成された液滴(吐出孔から気相に吐出された液滴)は、前記粒子形成手段、又は前記粒子形成工程で乾燥されることから、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。
このような溶媒としては、沸点が100℃以下のものが、乾燥速度が速い点で好ましい。
前記沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。前記エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。前記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。前記エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。前記芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、キシレンが好ましい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、従来公知の顔料、染料などを使用することができる。
前記樹脂組成液における前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られるトナーに対して、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
前記分散剤の市販品の具体例としては、例えば、商品名で、アジスパーPB821、アジスパーPB822(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、Disperbyk−2001(ビックケミー株式会社製)、EFKA(登録商標)−4010(EFKA社製)などが挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックスが好ましい。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするものなどが挙げられる。また、前記脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したものを用いることもできる。前記脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどが挙げられる。前記脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。前記植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうなどが挙げられる。前記動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン、鯨ろうなどが挙げられる。前記鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、ペテロラタムなどが挙げられる。前記脂肪酸エステルを主成分とするものとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスなどが挙げられる。
なお、本明細書では、DSC(示差走査熱量測定)で測定される前記離型剤の吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度を前記離型剤の融点とする。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記樹脂組成液(トナー組成液)には、例えば、静電潜像担持体やキャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチル、導電性付与剤、無機微粒子などの添加剤を必要に応じて添加することができる。前記無機微粒子は、必要に応じて疎水化してもよい。また、研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、添加剤の1種である現像性向上剤として少量用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、無機微粒子が好ましい。
前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、官能基を有するシランカップリング剤、有機ケイ素化合物、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンワニス、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
また、前記添加剤のBET法による比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20m2/g〜500m2/gが好ましい。
前記添加剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粒子がトナーとして用いられる場合、該トナーに対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
前記粒子形成手段としては、前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記粒子形成工程としては、前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粒子形成手段を用いて行うことが好ましい。
前記気流の速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴及び液滴が乾燥した粒子の自由落下速度よりも速いことが好ましい。
前記気流に用いる気体の雰囲気(温度、蒸気圧、気体の種類等)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記気体の種類としては、例えば、空気、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し、1つの粒子になってしまう(以下この現象を「合着」と呼ぶことがある)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴同士の距離を保つ必要がある。しかし、噴射された液滴は、一定の初速度を持っているが、空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は、定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下をなくし、液滴同士を接触させないように搬送気流によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送することが好ましい。そこで、前記搬送気流によって、粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶことが、製造効率がよい点で好ましい。
前記粒子捕集手段としては、固化された前記粒子を気相中から捕集する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サイクロン捕集手段、バックフィルターなどが挙げられる。サイクロン捕集手段と、バックフィルターとは、併用してもよい。
固化された前記粒子は、軟化しやすい。そのため、サイクロン捕集手段と、バックフィルターとを併用する場合には、前段にサイクロン捕集手段、後段にバックフィルターを用いることで、バックフィルターで粒子が軟化した場合のフィルター詰りを抑制しやすく、且つサイクロン捕集手段で捕集しきれない極微量の極小粒子の通過を確実に抑制し、大気への放出を抑制できる。
前記気流温度低下手段としては、前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱交換器、溶媒吐出手段が好ましい。
前記気流温度低下工程としては、前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱交換器を用いて行われることが好ましい。また、前記気流温度低下工程としては、溶媒吐出工程であることが好ましい。
したがって、粒子の生産性を高めるためには、液滴を高い温度で乾燥することが好ましいが、そうすると前記粒子捕集手段内での粒子の固着してしまう。そのため、2律背反な状況で生産工程を成立させるという厳しい条件が要求される。
前記熱交換器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィン式熱交換器、多管式熱交換器などが挙げられる。これらの中でも、熱交換器への固化粒子の付着が生じることを防ぎやすい点で、多管式熱交換器が好ましい。フィン式熱交換器では、固化粒子の付着が顕著に発生することがある。
前記多管式熱交換器の管数は多いほど熱交換の効果が大きいが、先に述べたように管内への固化粒子の付着が懸念される場合は、管数を減らすことが好ましい。更には単管式として粒子捕集手段に導かれる気流路の周囲に冷媒を通すものであってもよい。
前記溶媒吐出手段としては、溶媒を吐出する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記溶媒吐出工程としては、溶媒を吐出する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記溶媒吐出手段により行うことが好ましい。
前記溶媒吐出手段は、溶媒を吐出する回転部材を有することが好ましい。前記回転部材としては、例えば、回転型アトマイザなどが挙げられる。前記1流体ノズル及び前記回転部材は、気流を用いずに前記溶媒を吐出できる点で好ましい。
前記沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。前記エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。前記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。前記エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。前記芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、キシレンが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記吐出量計測手段としては、前記液滴形成手段から吐出する前記樹脂組成液の吐出量を計測する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流量計、液量計などが挙げられる。
前記流量計は、例えば、吐出孔へ供給される樹脂組成液の量を計測することで、吐出量を計測する。前記流量計は、例えば、前記液滴形成手段に樹脂組成液を供給する液供給管に設置される。前記流量計としては、市販品を用いることができ、例えば、コリオリ式流量計(株式会社キーエンス製、FD−SF1)などが挙げられる。
前記液量計は、例えば、吐出孔へ供給される樹脂組成液を収容している原料収容器内の樹脂組成液の液量を計測することで、吐出量を計測する。
前記吐出量計測工程としては、前記液滴形成工程において吐出する前記樹脂組成液の吐出量を計測する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記吐出量計測手段を用いて行うことが好ましい。
前記吐出量調整手段としては、前記吐出量計測手段の計測結果に基づいて、前記溶媒吐出手段から吐出する前記溶媒の吐出量を調整する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプなどが挙げられる。
前記吐出量調整工程としては、前記吐出量計測工程の計測結果に基づいて、前記溶媒吐出工程において吐出する前記溶媒の吐出量を調整する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記吐出量調整手段を用いて行うことが好ましい。
前記吐出量調整工程は、前記吐出量計測工程の計測結果に基づいて、前記液滴形成工程において吐出する前記樹脂組成液中の溶媒の量と、前記溶媒吐出工程において吐出する前記溶媒の量との合計量を一定にするように、前記溶媒吐出工程において吐出する前記溶媒の吐出量を調整する工程であることが好ましい。そうすることにより、前記吐出孔の詰まりなどにより前記樹脂組成液の吐出量が変動した場合でも、前記粒子形成工程において前記液滴を乾燥する際の溶媒の量が一定となる。そうすると、前記溶媒の蒸発潜熱の量が一定となり、粒子の製造中の気流の温度変化も一定となり、前記粒子形成工程においてより安定して液滴を乾燥させることができる。
前記合計量を一定にするとは、本発明の効果が得られる範囲であれば、経時で合計量に変動があってもよく、例えば、合計量が±10質量%の範囲で変動してもよい。
前記その他の手段としては、例えば、2次乾燥手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、2次乾燥工程などが挙げられる。
前記2次乾燥手段としては、前記粒子形成工程で形成された前記粒子を更に乾燥させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動床乾燥装置、真空乾燥装置などが挙げられる。
前記2次乾燥工程としては、前記粒子形成工程で形成された前記粒子を更に乾燥させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記2次乾燥手段により行うことが好ましい。
前記加熱処理における加熱温度としては、前記樹脂組成液に含まれる樹脂成分を熱分解できる温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
一部の吐出孔が詰まるなどして経時的に不吐出となり、樹脂組成液の吐出量が低下してゆくと、前記粒子形成手段又は前記粒子形成工程において揮発する溶媒の量が減る。前記溶媒が揮発する際には蒸発潜熱を気流から奪うため、搬送気流排出口65(図4参照)の気流の温度は搬送気流導入口64(図4参照)の温度よりも低くなる。そして、乾燥させる溶媒の量が経時で減ると、搬送気流排出口の気流の温度は経時で高くなってくる。
例えば、以下の捕集条件1とした場合を考える。
搬送気流導入口64(図4参照)の気流量:60m3/時間
気流の気体の種類:窒素ガス
搬送気流導入口における気流の温度:75℃
樹脂組成液の固形分濃度:10質量%
樹脂組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6J/g
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造される粒子の平均粒子径:6.0μm
粒子の比重:1.2g/cm3
液滴形成手段:液柱共鳴型(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:5,120個
吐出の際の周波数:330kHz
吐出量(吐出孔に詰まりがない場合):8,255g/時間
吐出量に占める溶媒量:7,430g/時間
気流に占める酢酸エチル(溶媒)蒸気量(計算値):3.9Vol%
気流中の酢酸エチル(溶媒)の露点(計算値):2.5℃
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000mm
上記条件で、10質量%の溶媒を残して乾燥した粒子を得たとすると、溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、搬送気流排出口65における気流の温度は29℃になる(46℃低下)計算結果になる。
露点とは、蒸気を含む空気を冷却したとき、凝結が始まる温度をいう。前記粒子捕集手段に流入する気流には、前記粒子形成手段、及び前記粒子形成工程で液滴から揮発した溶媒蒸気が含まれているため、上記補集条件などにおいては、露点を計算し、又は予測することができる。
具体的な測定方法や計算方法は化学便覧や化学工学便覧等に記載があるが、例えば、下記の方法で計算が可能である。上記の事例を参考にしながら示す。
まず、上記の補集条件1において気流を構成する物質量を計算する(搬送気流(補集条件1では窒素ガス)の物質量の計算)。
理想気体と仮定して、気体の状態方程式 PV=nRTを適用する。
ここで、
P:大気圧として101,325[単位:Pa]
V:体積として60[単位:m3]
n:気体のモル数[単位:mol]
R:気体定数 8.314[単位:Pa・m3・K−1・mol−1]
T:温度[単位:K]
従って、n=(10,1325×60/8.314/(273.15+75))
≒2,100mol
揮発した溶媒蒸気の物質量の計算
7,430gの酢エチルのモル数:酢酸エチルの分子量を88.1とすれば、
n=(7,430/88.1)≒84.3mol
酢酸エチルの蒸気圧Psは溶媒容積/(N2+溶媒容積)×760mmHgで計算できる。ここで容積はmol数と一致するため、下式のようになる。
Ps=84.3/(2,100+84.3)×760=29.3[mmHg]
次にアントワンの式(下記数式)を用いて飽和蒸気圧p[単位:mmHg]となる気流温度を計算する。この温度が露点に相当する。下記数式のTは気温[単位:K]であり、これが露点に相当する。
従って露点Tは、2.5℃と計算できる。
搬送気流導入口64の条件はそのままであったとすると、同様に計算で見積もると搬送気流排出口65の気流の温度は41℃になる(34℃低下)計算結果になる。
また、上述したように、固化した粒子の温度は、搬送気流排出口65の気流の温度とほぼ一致するため、捕集条件2の場合、固化した粒子は、捕集条件1よりも温度が高い状態で固化して粒子捕集手段62(図4参照)に到達する。仮に固化した粒子の軟化温度が約37℃であったとすると、捕集条件1では、捕集された固化した粒子の温度は軟化温度を下回るために、粒子は固い状態を維持できる。そのため、固化した粒子はそのまま捕集できる(図11参照)。しかし、捕集条件2では、固化した粒子の温度は軟化温度を上回るために、粒子は軟化状態で捕集される。補修された粒子は、粒子同士が接触する確率が格段に上がるために、固化した粒子同士が接着し、ぶどう状の粒子(図12、及び図13参照)が発生し、粒径分布が悪化してしまう不具合を生じる。一旦ぶどう状の粒子となると、これを解くのは非常に困難である。参考としてぶどう状の粒子を含む場合の粒径分布を図14に、含まない場合の粒径分布を図15に示す。図14と図15の粒径分布を比較すると、ぶどう状粒子が粒径分布を大きく悪化させていることがわかる。
例えば、前記熱交換器により、粒子捕集手段に流入する気流の温度を所望の温度にすることができる。そうすることで、粒子捕集手段及び粒子捕集工程において安定して粒子の捕集を行うことができる。
例えば、前記溶媒吐出手段及び前記溶媒吐出工程により、前記粒子形成手段及び前記粒子形成工程における溶媒の合計量を調整することができる。そのため、蒸発潜熱の量を制御でき、気流の温度変化を安定させ、安定した液滴の乾燥を行うことができる。そうすることで、粒子捕集手段及び粒子捕集工程において安定して粒子の捕集を行うことができる。
図4は、本発明の粒子製造装置の全体の一例を示す概略断面図であり、主に、液滴形成ユニット111、気流温度低下手段である溶媒吐出手段32、粒子形成手段60、及び粒子捕集手段62を有する。
液柱共鳴法において、液滴形成手段11は、図1に示す、吐出孔19によって外部と連通する液吐出領域を有する液柱共鳴液室を有する。前記液柱共鳴液室は、前記メカニズムにより液柱共鳴定在波が発生する液柱共鳴液室18内の樹脂組成液14を液滴21として吐出孔19から吐出する。液滴形成手段11は、液柱共鳴液室が複数配列された液滴形成ユニット111を構成する。
粒子製造装置1は、原料収容器13に収容されている樹脂組成液14を、液供給管16を通して液循環ポンプ15により圧送し、液滴形成手段11に供給する。更に樹脂組成液14は、液滴形成手段11から液戻り管42を通って原料収容器13に戻る。
図4に示す原料収容器13に収容されている樹脂組成液14は、当該樹脂組成液14を循環させるための液循環ポンプ15によって液供給管16を通って、図1に示す液共通供給路17内に流入し、液柱共鳴液室18に供給される。そして、樹脂組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生部20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、圧力定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
搬送気流排出口65における気流の温度は、樹脂組成液を乾燥して得られる粒子の軟化温度より低い温度であることが好ましく、前記粒子の軟化温度よりも5℃以上低い温度であることがより好ましい。そうすることにより、捕集時の粒子同士の合着を高いレベルで防止できる。
図4の粒子製造装置では、樹脂組成液14の吐出量をモニターするために、吐出量計測手段を備えている。吐出量計測手段は、液供給管16に備えられた液量計4A及び液戻り管42に備えられた液量計4Bからなり、液供給管16から液滴形成ユニット111に送られた樹脂組成液14の量と、液滴形成ユニット111から液戻り管42に戻ってきた樹脂組成液14の量とから、液滴形成ユニット111における樹脂組成液14の吐出量を計測する。
吐出量計測手段により計測された樹脂組成液14の吐出量の情報は、図示しない制御手段に送られる。前記制御手段は、吐出量調整手段である溶媒ポンプ34を制御し、溶媒吐出手段32から吐出される溶媒36の吐出量が調整される。そうすることにより、気流の温度変化はより安定する。
好ましくは、液滴形成ユニット111から吐出する樹脂組成液14中の溶媒の量と、溶媒吐出手段32から吐出する溶媒36の量との合計量を一定にするように、溶媒吐出手段32から吐出する溶媒36の吐出量を調整する。
例えば、前記吐出量計測手段により計測される樹脂組成液14の吐出量が、本来吐出すべき吐出量に対して不足している場合、前記制御手段は、樹脂組成液14中の溶媒量を考慮して、液滴形成工程における不足溶媒量を算出する。算出の頻度は、一定時間ごとでもよいし、連続でもよいが、連続であることが好ましい。そして、前記制御手段は、算出された不足溶媒量の溶媒を吐出するよう溶媒ポンプ34を調整し、前記不足溶媒量に相当する溶媒36を、溶媒吐出手段32から吐出させる。
そうすることにより、気流の温度変化はより一層安定する。
前述のとおり、粒子の製造開始時には、液滴形成ユニット111からは所望の吐出量の樹脂組成液14が吐出されているが、吐出孔の詰まりなどにより経時で樹脂組成液14の吐出量は減少する。その際には、搬送気流排出口65の気流温度の上昇が生じるが、その後、熱交換器70を通過することによって、気流に含まれる溶媒蒸気が結露しない温度まで気流温度が低下する。熱交換器70には、冷凍機71により温調された冷媒72(予め計算された気流中の溶媒蒸気の露点より高い温度の冷媒)が通じており、熱交換器70で気流と冷媒とが熱交換することによって気流温度が安定する。その結果、粒子捕集手段62に流入する温度が溶媒の結露を発生することなく低下することで、粒子捕集手段62での粒子同士の付着を低減することができ、粒子の捕集を安定して行うことができる。
粒子捕集手段62に流入する気流の温度は、樹脂組成液14を乾燥して得られる粒子の軟化温度より低い温度であることが好ましく、前記粒子の軟化温度よりも5℃以上低い温度であることがより好ましい。そうすることにより、粒子捕集手段62での粒子同士の合着を高いレベルで防止できる。
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用したトナーの体積平均粒径、及び個数平均粒径の測定方法に関して以下に説明する。
フロー式粒子像分析装置による測定は、シスメックス株式会社製のFPIA−3000を用いて測定した。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10mLを用意した。そこへ、ノニオン系界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20kHz,50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行った。更に、合計5分間の分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4,000個/10−3cm3〜8,000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を得た。それを用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させた。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着されている。試料分散液が流れている間に、フローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔でストロボ光を照射した。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影された。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。
<樹脂組成液(トナー組成液)の製造>
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400、Cabot社製)17部、及び顔料分散剤3部を、酢酸エチル80部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ直径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液(着色剤分散液)を得た。
次にワックス分散液を調製した。
カルナバワックス(東亜化成株式会社製:WA−03)18部、及びワックス分散剤2部を、酢酸エチル80質量部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ直径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下なるよう調整し、ワックス分散液を得た。
次に、結着樹脂としての樹脂、前記着色剤分散液及び前記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100部(ガラス転移温度:60.5℃、重量平均分子量:Mw=35,000)、前記着色剤分散液30部、及び前記ワックス分散液30部を、酢酸エチル840部に添加し、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
なお、前記トナー組成液を噴霧・乾燥し、捕集部で得られるトナーの軟化温度は、35℃であった。これはトナーの重量に対して約5%の溶媒を含んでいるためと考えられる。なお、40℃、72時間送風下における2次乾燥で完全に溶媒を除去した場合の軟化温度は約60℃であった。
<気流温度低下手段としての溶媒吐出手段を用いた粒子製造装置>
図5に示す粒子製造装置を用いた。装置の詳細は以下の通りである。
・粒子形成手段60:内径400mm、高さ3,000mm、円筒形で垂直に固定され、上端部及び下端部が絞られているチャンバー61を有する。
・搬送気流導入口64:内径50mm
・搬送気流排出口65:内径50mm
・液滴形成手段11:チャンバー61内上端より下端側へ300mmのチャンバー61の中央に配置。液柱共鳴液室が100個集積した液滴形成ユニット。
・溶媒吐出手段32:液滴形成ユニット111の横、50mm上方に配置。1流体ノズル(スプレーイングシステムズ社製、HB−VV型)を使用。
・溶媒吐出手段から吐出する溶媒:酢酸エチル
・搬送気流101:窒素ガス、気流速度10.0m/s、気流温度75℃(搬送気流排出口65における条件)
液滴形成手段11内の液柱共鳴液室18の模式図を図10Aに示す。液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードであって、第1から第4の吐出孔が、N=2の共鳴モードの圧力定在波の腹の位置に配置されたものを用いた。駆動信号発生源(図示しない)には、ファンクションジェネレーター(WF1973、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用い、ポリエチレンで被覆したリード線で振動発生部20に接続した。この時の駆動周波数は、液共鳴周波数に合わせて330kHzとなる。液滴形成ユニット111の吐出孔の数は5,120個で、開孔径14μmとした。
搬送気流導入口64(図5参照)の気流量:60m3/時間
気流の気体の種類:窒素ガス
搬送気流導入口における気流の温度:75℃
トナー組成液の固形分濃度:10質量%
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6J/g
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:6.0μm
トナーの比重:1.2g/cm3
液滴形成手段:液柱共鳴型(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:5,120個
吐出の際の周波数:330kHz
吐出量(吐出孔に詰まりがない場合):8,255g/時間
吐出量に占める溶媒量:7,430g/時間
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000mm
なお、上記条件で、10質量%の溶媒を残して乾燥した粒子を得たとすると、溶媒の蒸発潜熱によって気流の温度は低下し、搬送気流排出口65における気流の温度は29℃になる(46℃低下)計算結果になる。
搬送気流導入口64から窒素ガスを所定の量、及び温度でチャンバー61内に供給した。
次に、液滴形成手段11からトナー組成液を吐出する前に、溶媒吐出手段32から、トナー組成液の溶媒である酢酸エチルを吐出させ、チャンバー内の温度を安定化させた。このときの酢酸エチルの吐出量は、予め、液滴形成手段11から吐出されるトナー組成液中の溶媒量に相当する量とした。このとき、粒子捕集手段であるサイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は31℃であった。
その後、液滴吐出手段からトナー組成液を1時間吐出させ、チャンバー61内で、トナー組成液から形成される液滴を乾燥させた。そして、得られたトナー粒子を、サイクロン捕集機で捕集した。
液滴形成手段11からトナー組成液を吐出させている間は、溶媒吐出手段32からは液滴形成ユニット111へのトナー組成液の送液量の初期値に対する低下量(即ちトナー組成液の吐出量の減少量)における溶媒量に相当する溶媒を吐出させた。1時間の吐出後、液滴形成ユニット111から吐出されるトナー組成液の量は初期値の約31%まで減少していたが、サイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は31℃でほぼ一定であった。
粒子貯留部63よりトナーを取り出し、実施例1のトナーを得た。
<気流温度低下手段としての溶媒吐出手段を用いた粒子製造装置>
実施例1において、溶媒吐出手段32を、回転型アトマイザ(PR−015K、株式会社プリス製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナーを製造した。
1時間の吐出後、液滴形成ユニット111から吐出されるトナー組成液の量は初期値の約33%まで減少していたが、粒子捕集手段であるサイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は31℃でほぼ一定であった。
得られたトナーの体積平均粒径(Dv)の平均は6.3μm、個数平均粒径(Dn)の平均は6.0μmであり、Dv/Dnの平均は1.05であった。トナーの収率は95%であった。5%の未回収分は乾燥流路への付着と考えられる。
溶媒吐出手段32を用いず、溶媒36の吐出を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、トナーを製造した。
1時間の吐出後、液滴形成ユニット111から吐出されるトナー組成液の量は初期値の約33%まで減少していた。サイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は、吐出初期は65℃に達していたが、液滴形成ユニット111からのトナー組成液の吐出に伴って気流の温度は低下し、36℃まで低下した。しかし、その後、42℃まで上昇し、非常に不安定であった。
得られたトナーの体積平均粒径(Dv)の平均は7.3μm、個数平均粒径(Dn)の平均は6.0μmであり、Dv/Dnの平均は1.22であった。なお、サイクロンにはトナーが半溶融状態で固着しており、トナーの収率は22%であった。
実施例2のトナーの製造について、吐出時間を横軸にし、トナー組成液の吐出量、溶媒吐出手段からの溶媒の吐出量、及び搬送気流排出口65における気流の温度を縦軸にしたグラフを図17に示す。
比較例1のトナーの製造について、吐出時間を横軸にし、トナー組成液の吐出量、及び搬送気流排出口65における気流の温度を縦軸にしたグラフを図18に示す。
なお、図16〜図18のグラフの吐出量は、積算値である。
<気流温度低下手段としての熱交換器を用いた粒子製造装置>
図6に示す粒子製造装置を用いた。装置の詳細は以下の通りである。
・粒子形成手段60:内径400mm、高さ3,000mm、円筒形で垂直に固定され、上端部及び下端部が絞られているチャンバー61を有する。
・搬送気流導入口64:内径50mm
・搬送気流排出口65:内径50mm
・液滴形成手段11:チャンバー61内上端より下端側へ300mmのチャンバー61の中央に配置。液柱共鳴液室が100個集積した液滴形成ユニット。
・搬送気流101:窒素ガス、気流速度10.0m/s、気流温度75℃(搬送気流排出口65における条件)
液滴形成手段11内の液柱共鳴液室18の模式図を図10Aに示す。液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85mm、N=2の共鳴モードであって、第1から第4の吐出孔が、N=2の共鳴モードの圧力定在波の腹の位置に配置されたものを用いた。駆動信号発生源(図示しない)には、ファンクションジェネレーター(WF1973、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用い、ポリエチレンで被覆したリード線で振動発生部20に接続した。この時の駆動周波数は、液共鳴周波数に合わせて330kHzとなる。液滴形成ユニット111の吐出孔の数は5,120個で、開孔径14μmとした。
搬送気流導入口64(図6参照)の気流量:60m3/時間
気流の気体の種類:窒素ガス
搬送気流導入口における気流の温度:75℃
トナー組成液の固形分濃度:10質量%
トナー組成液の溶媒種:酢酸エチル
溶媒の蒸発潜熱:368.6J/g
(参考文献:溶剤ハンドブック、浅原昭三他編、p.569)
製造されるトナーの平均粒子径:6.0μm
トナーの比重:1.2g/cm3
液滴形成手段:液柱共鳴型(図1、及び図2参照)
液滴形成ユニットの吐出孔の数:5,120個
吐出の際の周波数:330kHz
吐出量(吐出孔に詰まりがない場合):8,255g/時間
吐出量に占める溶媒量:7,430g/時間
気流に占める酢酸エチル(溶媒)蒸気量(計算値):3.9Vol%
気流中の酢酸エチル(溶媒)の露点(計算値):2.5℃
冷媒の種類・温度・流量:水、8℃、0.36m3/hr
搬送気流導入口64から搬送気流排出口65までの距離:3,000mm
熱交換器の配管の形状:管内径16mm×1,000mm×4本(肉厚1.0mm)を内径70mmの管に通すもの。
熱交換器の配管の材質SUS304。
固化粒子を含む気流は、管内径16mmの配管4本に均等に分割されて流れ、その周囲を上記に示した8℃の水(冷媒)が通過することで熱交換される。
固化粒子捕集部の形状:サイクロン、突入口20mm(水平方向)×50mm(鉛直方向)、円管内径70mm、絞り35mm、高さ350mm、出口口径30mm、ダストボックス形状80mm×110mmとした。
搬送気流導入口64から窒素ガスを所定の量、及び温度でチャンバー61内に供給した。
次に、液滴形成手段11からトナー組成液を吐出する前に、液滴形成手段11から、トナー組成液の溶媒である酢酸エチルを吐出させ、チャンバー内の温度を安定化させた。このときの酢酸エチルの吐出量は、予め、液滴形成手段11から吐出されるトナー組成液中の溶媒量に相当する量とした。このとき、粒子捕集手段であるサイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は31℃であった。この気流は気流温度低下手段である熱交換器を通過し、粒子捕集手段での入り口温度は11℃であった。
その後、液滴吐出手段から吐出していた酢酸エチルをトナー組成液に切り替えて1時間吐出させ、チャンバー61内で、トナー組成液から形成される液滴を乾燥させた。そして、得られたトナー粒子を、粒子捕集手段であるサイクロンで捕集した。
液滴形成手段11から1時間の吐出後、液滴形成ユニット111から吐出されるトナー組成液の量は徐々に減少して初期値の約31%まで減少していた。この結果、トナー組成液の溶媒揮発による蒸発潜熱の減少によって、粒子捕集手段であるサイクロン手前の温度は初期の11℃から14℃まで上昇していた。一方、トナー組成液を噴霧・乾燥し、固化粒子捕集部で得られるトナーの軟化温度は、35℃であった。これはトナーの重量に対して約5質量%の溶媒を含んでいるためと考えられる。このため、粒子捕集手段での粒子温度は軟化温度に対して充分に低い温度を保っていたといえる。
なお、この捕集したトナーを2次乾燥(40℃、72時間送風下に放置)して実施例3のトナーを得た。2次乾燥によって完全に溶媒を除去した場合のトナーの軟化温度は60℃であった。
熱交換器70を用いなかった以外は、実施例3と同様にして、トナーを製造した。
1時間の吐出後、液滴形成ユニット111から吐出されるトナー組成液の量は初期値の約33%まで減少していた。サイクロン入り口(搬送気流排出口65)の温度は、吐出初期は42℃に達しており、粒子捕集手段62の入り口温度も同様に42℃まで上昇していた。このようにして得た固化粒子の軟化温度は、35℃であった。これはトナーの重量に対して約5質量%の溶媒を含んでいるためと考えられる。このため、粒子捕集手段での粒子温度は軟化温度に対して高かったといえる。
得られたトナーの体積平均粒径(Dv)の平均は7.6μm、個数平均粒径(Dn)の平均は6.1μmであり、Dv/Dnの平均は1.25であった。なお、サイクロンにはトナーが半溶融状態で固着しており、トナーの収率は22%であった。
<1> 少なくとも1つの吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成手段と、
前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する粒子形成手段と、
固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集手段と、
前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる気流温度低下手段とを有することを特徴とする粒子製造装置である。
<2> 気流温度低下手段が、熱交換器である前記<1>に記載の粒子製造装置である。
<3> 熱交換器へ供給される冷媒の温度が、粒子形成手段で発生した溶媒蒸気の露点よりも高い前記<2>に記載の粒子製造装置である。
<4> 熱交換器によって冷却された後の気流の温度が、粒子捕集手段で捕集される粒子の軟化温度よりも低い前記<2>から<3>のいずれかに記載の粒子製造装置である。
<5> 熱交換器が、多管式熱交換器である前記<2>から<4>のいずれかに記載の粒子製造装置である。
<6> 気流温度低下手段が、溶媒を吐出する溶媒吐出手段である前記<1>に記載の粒子製造装置である。
<7> 液滴形成手段から吐出する樹脂組成液の吐出量を計測する吐出量計測手段と、
前記吐出量計測手段の計測結果に基づいて、溶媒吐出手段から吐出する溶媒の吐出量を調整する吐出量調整手段とを有する前記<6>に記載の粒子製造装置である。
<8> 吐出量調整手段が、吐出量計測手段の計測結果に基づいて、液滴形成手段から吐出する樹脂組成液中の溶媒の量と、溶媒吐出手段から吐出する溶媒の量との合計量を一定にするように、溶媒吐出手段から吐出する溶媒の吐出量を調整する前記<7>に記載の粒子製造装置である。
<9> 溶媒吐出手段が吐出する溶媒と、樹脂組成液中の溶媒とが、同じ溶媒である前記<6>から<8>のいずれかに記載の粒子製造装置である。
<10> 溶媒吐出手段が、溶媒を吐出する1流体ノズルを有する前記<6>から<9>のいずれかに記載の粒子製造装置である。
<11> 溶媒吐出手段が、溶媒を吐出する回転部材を有する前記<6>から<9>のいずれかに記載の粒子製造装置である。
<12> 少なくとも1つの吐出孔から、樹脂及び溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成工程と、
前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する粒子形成工程と、
固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集手段を用いて、固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集工程と、
前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる気流温度低下工程とを含むことを特徴とする粒子製造方法である。
<13> 気流温度低下工程が、熱交換器を用いて行われる前記<12>に記載の粒子製造方法である。
<14> 熱交換器へ供給される冷媒の温度が、粒子形成工程で発生した溶媒蒸気の露点よりも高い前記<13>に記載の粒子製造方法である。
<15> 熱交換器によって冷却された後の気流の温度が、粒子捕集工程で捕集される粒子の軟化温度よりも低い前記<13>から<14>のいずれかに記載の粒子製造方法である。
<16> 熱交換器が、多管式熱交換器である前記<13>から<15>のいずれかに記載の粒子製造方法である。
<17> 気流温度低下工程が、溶媒を吐出する溶媒吐出工程である前記<12>に記載の粒子製造方法である。
<18> 液滴形成工程において吐出する樹脂組成液の吐出量を計測する吐出量計測工程と、
前記吐出量計測工程の計測結果に基づいて、溶媒吐出工程において吐出する溶媒の吐出量を調整する吐出量調整工程とを含む前記<17>に記載の粒子製造方法である。
<19> 吐出量調整工程が、吐出量計測工程の計測結果に基づいて、液滴形成工程において吐出する樹脂組成液中の溶媒の量と、溶媒吐出工程において吐出する溶媒の量との合計量を一定にするように、溶媒吐出工程において吐出する溶媒の吐出量を調整する前記<18>に記載の粒子製造方法である。
<20> 溶媒吐出工程において吐出する溶媒と、樹脂組成液中の溶媒とが、同じ溶媒である前記<17>から<19>のいずれかに記載の粒子製造方法である。
<21> 溶媒吐出工程において、溶媒が1流体ノズルから吐出される前記<17>から<20>のいずれかに記載の粒子製造方法である。
<22> 溶媒吐出工程において、溶媒が回転部材から吐出される前記<17>から<20>のいずれかに記載の粒子製造方法である。
11 液滴形成手段
14 樹脂組成液
19 吐出孔
21 液滴
32 溶媒吐出手段
36 溶媒
60 粒子形成手段
70 熱交換器
101 搬送気流
Claims (8)
- 少なくとも1つの吐出孔を有し、該吐出孔から、樹脂及び第1の溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成手段と、
前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する粒子形成手段と、
固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集手段と、
前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる気流温度低下手段とを有し、
前記気流温度低下手段が、第2の溶媒を吐出する溶媒吐出手段であり、
前記溶媒吐出手段が、1流体ノズルまたは回転部材を有し、前記液滴形成手段の近傍に第2の溶媒を吐出するものであることを特徴とする粒子製造装置。 - 液滴形成手段から吐出する樹脂組成液の吐出量を計測する吐出量計測手段と、
前記吐出量計測手段の計測結果に基づいて、溶媒吐出手段から吐出する第2の溶媒の吐出量を調整する吐出量調整手段とを有する請求項1に記載の粒子製造装置。 - 吐出量調整手段が、吐出量計測手段の計測結果に基づいて、液滴形成手段から吐出する樹脂組成液中の第1の溶媒の量と、溶媒吐出手段から吐出する第2の溶媒の量との合計量を一定にするように、溶媒吐出手段から吐出する第2の溶媒の吐出量を調整する請求項2に記載の粒子製造装置。
- 溶媒吐出手段が吐出する第1の溶媒と、樹脂組成液中の第2の溶媒とが、同じ溶媒である請求項1から3のいずれかに記載の粒子製造装置。
- 液滴形成手段を用いて、少なくとも1つの吐出孔から、樹脂及び第1の溶媒を含有する樹脂組成液を吐出させ、液滴を形成する液滴形成工程と、
前記液滴を気流中で乾燥させて固化し、粒子を形成する粒子形成工程と、
固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集手段を用いて、固化された前記粒子を気相中から捕集する粒子捕集工程と、
前記粒子捕集手段に流入する気流の温度を低下させる気流温度低下工程とを含み、
前記気流温度低下工程において、第2の溶媒を吐出する溶媒吐出手段を用い、
前記溶媒吐出手段が、1流体ノズルまたは回転部材を有し、前記液滴形成手段の近傍に前記第2の溶媒を吐出するものであることを特徴とする粒子製造方法。 - 液滴形成工程において吐出する樹脂組成液の吐出量を計測する吐出量計測工程と、
前記吐出量計測工程の計測結果に基づいて、溶媒吐出工程において吐出する第2の溶媒の吐出量を調整する吐出量調整工程とを含む請求項5に記載の粒子製造方法。 - 吐出量調整工程が、吐出量計測工程の計測結果に基づいて、液滴形成工程において吐出する樹脂組成液中の第1の溶媒の量と、溶媒吐出工程において吐出する第2の溶媒の量との合計量を一定にするように、溶媒吐出工程において吐出する第2の溶媒の吐出量を調整する請求項6に記載の粒子製造方法。
- 溶媒吐出工程において吐出する第2の溶媒と、樹脂組成液中の第1の溶媒とが、同じ溶媒である請求項5から7のいずれかに記載の粒子製造方法。
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