JP2014044193A - クラッタ抑圧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができるようにする。
【解決手段】クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8に実施させ、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ9,10に実施させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、レーダ装置の受信信号に含まれている不要反射波であるクラッタを抑圧するクラッタ抑圧装置に関するものである。
レーダ装置では、地面、海面、雲や雨などに反射された不要反射波であるクラッタを抑圧する処理は、目標を検出する上で必須の処理である。
地面を反射源とするクラッタはグランドクラッタと呼ばれ、海面を反射源とするクラッタはシークラッタと呼ばれ、雲や雨を反射源とするクラッタはウェザクラッタと呼ばれる。
これらのクラッタは、単独で現れることもあれば、複数のクラッタが一緒に現れることもある。
例えば、比較的近距離では、グランドクラッタ又はシークラッタが単独で現れることが多く、遠距離では、ウェザクラッタが単独で現れることが多い。
ここで、クラッタのドップラースペクトル(以下、単に「スペクトル」と称する)は、振幅(あるいはパワー)スペクトルの山が1つの単峰性となる。
また、アンテナのビーム幅、ビーム方向やサイドローブの影響で、距離によっては、グランドクラッタあるいはシークラッタに、ウェザクラッタが加わって、2つのクラッタが現れることもある。2つのクラッタが現れた場合、その距離におけるクラッタのスペクトルは、振幅(あるいはパワー)スペクトルの山が2つある複峰性となる。
以下、本発明において、振幅スペクトルとパワースペクトルは本質的に相違がないので、パワースペクトルに統一する。単にスペクトルと言えば、パワースペクトルを意味するものとする。
以下の特許文献1〜6や非特許文献1には、クラッタのパワースペクトルのパラメータ(電力、帯域幅、中心周波数)を推定して、そのパラメータに基づく帯域阻止特性(ここでは、高域通過特性を含むものとする)を有するクラッタ抑圧フィルタを設定し、そのクラッタ抑圧フィルタを用いて、クラッタを抑圧する方法が開示されている。
特開平10−227851号公報 特開平5−142339号公報 特開平7−43452号公報 特開平5−223918号公報 特開平5−223919号公報 特開平5−203733号公報 特開2001−183453号公報 特開2003−279645号公報
A. Wojtkiewicz and M. Tuszynsky,"Polish radar technology Part V. Adaptive MTI filters for uniform and staggered sampling,"IEEE Transactions on Aerospace and Electronic Systems,vol. 27,No. 5,pp. 760-767,September 1991.
従来のクラッタ抑圧装置は以上のように構成されているので、特許文献1,2,3の場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離しているクラッタ(例えば、ブラッグ散乱によるシークラッタ)を対象としている。このため、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していないクラッタ(例えば、スペクトルの一方の山の途中から、もう一方の山が現れるようなクラッタ)の場合、適用が困難であり、クラッタを十分に抑圧することができない課題があった。
特許文献4,5には、クラッタのパワースペクトルのパラメータ推定方法が明確に開示されておらず、実際にはパラメータ推定の実行が困難である。また、クラッタスペクトルの山が1つである単峰性クラッタを対象としており、複峰性クラッタを抑圧することができない課題があった。
特許文献6の場合、帯域幅の推定精度が周波数弁別回路の周波数分解能に左右され、周波数弁別回路に離散フーリエ変換を用いるとすると、パルスヒット数が少ない場合には、クラッタの中心周波数と帯域幅の推定値が非常に大まかなものになってしまって、クラッタに対する適切なクラッタ抑圧フィルタを得ることができなくなる課題があった。
特許文献7,8の場合、複峰性クラッタのスペクトルパラメータのうち、それぞれの中心周波数の推定がパルスヒット数が少なくても可能であるが、複峰性クラッタのそれぞれの帯域幅の推定方法が開示されていない。このため、クラッタの抑圧帯域阻止フィルタの阻止域幅の設定を別の手段で行う必要がある課題があった。
非特許文献1の場合、複峰性クラッタとして、グランドクラッタとウェザクラッタを対象にして、グランドクラッタを抑圧してから、ウェザクラッタのパラメータを推定している。グランドクラッタの中心周波数はほとんど0であるので、グランドクラッタのスペクトルパラメータを推定せずに、MTI(Moving Target Indicators)で抑圧が可能あり、残ったウェザクラッタのみのパラメータを推定すればよい。ウェザクラッタ単独であるので、実質的に単峰性クラッタのスペクトルパラメータの推定で足りる。しかし、グランドクラッタと異なり、シークラッタは海面の状況によって中心周波数が0でなくなることや、帯域幅が変動する場合がある。このような場合、非特許文献1に開示されている方法では、シークラッタを抑圧することが困難になるなどの課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができるクラッタ抑圧装置を得ることを目的とする。
この発明に係るクラッタ抑圧装置は、受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、クラッタの数を判定するクラッタ判定手段と、注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、クラッタのスペクトルパラメータの初期値を設定する初期値設定手段と、パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと初期値設定手段により設定された初期値を用いて、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、非線形回帰分析によって1つのクラッタのスペクトルパラメータを推定し、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、非線形回帰分析によって複数のクラッタのスペクトルパラメータを推定するスペクトルパラメータ推定手段と、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、スペクトルパラメータ推定手段により推定された1つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタの抑圧処理を行う単一フィルタのフィルタ係数を設定し、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、複数のクラッタの抑圧処理を行う複数フィルタのフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段とを設け、クラッタ抑圧手段が、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を単一フィルタに実施させ、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を複数フィルタに実施させるようにしたものである。
また、初期値設定手段が、最初のビーム走査では、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によってスペクトルパラメータ推定手段により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定するようにしたものである。
この発明によれば、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、スペクトルパラメータ推定手段により推定された1つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタの抑圧処理を行う単一フィルタのフィルタ係数を設定し、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、複数のクラッタの抑圧処理を行う複数フィルタのフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段を設け、クラッタ抑圧手段が、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を単一フィルタに実施させ、クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を複数フィルタに実施させるように構成したので、パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができる効果がある。
また、初期値設定手段が、最初のビーム走査では、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によってスペクトルパラメータ推定手段により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定するように構成したので、ビーム走査を繰り返している途中で、受信信号に含まれているクラッタが別のクラッタに変化しても、そのクラッタを抑圧することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるクラッタ抑圧装置を示す構成図である。 (a)は式(3)の一例をスペクトルに関するパラメータAi,σci,fciと一緒に示し、(b)は式(4)の一例をスペクトルに関するパラメータAi,σci,fci,PNと一緒に示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるクラッタ抑圧装置のクラッタ抑圧部を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるクラッタ抑圧装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるクラッタ抑圧装置の初期値設定部を示す構成図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるクラッタ抑圧装置を示す構成図である。
クラッタ抑圧装置は、通常、レーダ装置を構成する一要素であり、レーダ装置に組み込まれた形で使用される。このレーダ装置の送信ベースバンドの波形はパルス列(パルス圧縮のためにパルス内を変調した波形を含んでいる)である。
図1において、クラッタ判定部1は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、受信信号(図示せぬ受信機により受信された高周波信号がベースバンドに周波数変換されたのち、アナログ−ディジタル変換されたディジタル同相・直交信号)を入力すると、例えば、上記特許文献8に開示されている方法を利用して、自己回帰(AR(Auto−Regressive))モデルを用いて、その受信信号に含まれているクラッタ#iの中心周波数fciを推定し、自己回帰モデルの伝達関数からクラッタ数を判定する処理を実施する。なお、クラッタ判定部1はクラッタ判定手段を構成している。
この実施の形態1では、クラッタ数が0,1,2の何れであるかを判定する例を説明するが、これは一例に過ぎず、例えば、クラッタ数が0,1,2,3,4の何れであるかを判定するようにしてもよい。
パワースペクトル算出部2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ判定部1によりクラッタ数がゼロでないと判定された場合、例えば、受信信号を離散フーリエ変換、あるいは、高速フーリエ変換することで、注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルとして、各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}(下記の式(1a),(1b)を参照:Nについては後述する)に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}を算出する処理を実施する。なお、パワースペクトル算出部2はパワースペクトル算出手段を構成している。
初期値設定部3は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fci又はパワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}から、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定する処理を実施する。
即ち、初期値設定部3は、最初のビーム走査では、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fci又はパワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}に応じて、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、2回目以降のビーム走査(2回目のビーム走査を含む)では、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によってクラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fci又はパワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}に応じて、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定する。なお、初期値設定部3は初期値設定手段を構成している。
クラッタスペクトルパラメータ推定部4は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}と初期値設定部3により設定された初期値を用いて、1つのクラッタ#1のスペクトルパラメータを推定する処理を実施する。
また、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}と初期値設定部3により設定された初期値を用いて、2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータを推定する処理を実施する。
なお、クラッタスペクトルパラメータ推定部4はスペクトルパラメータ推定手段を構成している。
この実施の形態1では、クラッタスペクトルパラメータ推定部4が、1つのクラッタ#1のスペクトルパラメータ、あるいは、2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータを推定する例を説明するが、クラッタ判定部1によりクラッタ数がP(例えば、P=3)であると判定された場合には、P個のクラッタ#1,#2,・・・,#Pのスペクトルパラメータを推定するようにする。
フィルタ設定部5は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタ#1のスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタ#1の抑圧処理を行う単一フィルタである帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータに基づいて、2つのクラッタ#1,#2の抑圧処理を行う複数フィルタである帯域阻止フィルタ9及び帯域阻止フィルタ10のフィルタ係数を設定する処理を実施する。なお、フィルタ設定部5はフィルタ係数設定手段を構成している。
この実施の形態1では、フィルタ設定部5が、単一フィルタである帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数、あるいは、複数フィルタである帯域阻止フィルタ9及び帯域阻止フィルタ10のフィルタ係数を設定する例を説明するが、クラッタ判定部1によりクラッタ数がP(例えば、P=3)であると判定された場合には、P個のクラッタ#1,#2,・・・,#Pの抑圧処理を行う複数フィルタ(直列に接続されているP個の帯域阻止フィルタ)のフィルタ係数を設定するようにする。
クラッタ抑圧部6aは選択スイッチ7a及び帯域阻止フィルタ8,9,10から構成されており、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を実施しないで出力する一方、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8に実施させ、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ9,10に実施させる処理部である。なお、クラッタ抑圧部6aはクラッタ抑圧手段を構成している。
この実施の形態1では、クラッタ抑圧部6aが、クラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8、あるいは、帯域阻止フィルタ9,10に実施させるようにしているが、クラッタ判定部1によりクラッタ数がP(例えば、P=3)であると判定された場合には、クラッタの抑圧処理をP個の帯域阻止フィルタに実施させるようにする。
クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aはクラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、受信信号を帯域阻止フィルタが挿入されていない経路Aに出力し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号を帯域阻止フィルタ8が挿入されている経路Bに出力し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、受信信号を帯域阻止フィルタ9,10が挿入されている経路Cに出力する処理を実施する。
クラッタ抑圧部6aの帯域阻止フィルタ8はフィルタ設定部5によりフィルタ係数が設定されて、1つのクラッタ#1の抑圧処理を実施する単一のディジタルフィルタである。
帯域阻止フィルタ9,10はフィルタ設定部5によりフィルタ係数が設定されており、例えば、帯域阻止フィルタ9はクラッタ#1の抑圧処理を実施し、帯域阻止フィルタ10はクラッタ#2の抑圧処理を実施するディジタルフィルタである。
なお、帯域阻止フィルタ9と帯域阻止フィルタ10は、阻止域の中心周波数が異なっている。パルス間隔が等間隔の場合には、帯域阻止フィルタ9と帯域阻止フィルタ10の順番が逆でも構わない。
また、2つの帯域阻止フィルタ9,10の縦続接続は、縦続接続したものと等しい伝達関数を持つ1つの帯域阻止フィルタとして実現するようにしてもよい。
図1の例では、クラッタ抑圧装置の構成要素であるクラッタ判定部1、パワースペクトル算出部2、初期値設定部3、クラッタスペクトルパラメータ推定部4、フィルタ設定部5及びクラッタ抑圧部6aのそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、クラッタ抑圧装置がコンピュータで構成されていてもよい。
クラッタ抑圧装置がコンピュータで構成されている場合、クラッタ判定部1、パワースペクトル算出部2、初期値設定部3、クラッタスペクトルパラメータ推定部4、フィルタ設定部5及びクラッタ抑圧部6aの処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
クラッタ判定部1は、受信信号(図示せぬ受信機により受信された高周波信号がベースバンドに周波数変換されたのち、アナログ−ディジタル変換されたディジタル同相・直交信号)を入力すると、例えば、自己回帰(AR(Auto−Regressive))モデルを用いて、その受信信号の注目レンジビンに含まれているクラッタ#iの中心周波数fciを推定し、自己回帰モデルの伝達関数からクラッタ数を判定する。
自己回帰モデルを用いて、クラッタ#iの中心周波数fciを推定する処理や、クラッタ数の判定処理は、例えば、上記の特許文献8に開示されているため詳細な説明を省略する。
クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aは、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、受信信号にはクラッタが含まれておらず、クラッタの抑圧処理を実施する必要がないので、その受信信号を帯域阻止フィルタが挿入されていない経路A、つまり図示せぬ目標検出部に出力する。
クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aは、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1である場合(パワースペクトルの形状が、山が1つである単峰性である判定された場合)、受信信号に含まれている1つのクラッタ#1を抑圧するため、その受信信号を帯域阻止フィルタ8が挿入されている経路Bに出力する。これにより、帯域阻止フィルタ8によるクラッタ#1の抑圧処理後の受信信号が図示せぬ目標検出部に出力される。
また、クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aは、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2である場合(パワースペクトルの形状が、山が2つである複峰性である判定された場合(山が完全に分離しておらず、一方の山の途中から、もう一方の山が現れている場合も含む))、受信信号に含まれている2つのクラッタ#1,#2を抑圧するため、その受信信号を帯域阻止フィルタ9,10が挿入されている経路Cに出力する。これにより、帯域阻止フィルタ9,10によるクラッタ#1,#2の抑圧処理後の受信信号が図示せぬ目標検出部に出力される。
以下、クラッタの抑圧処理を実施する帯域阻止フィルタ8,9,10に対するフィルタ係数の設定方法を具体的に説明する。
最初に、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2である場合(複峰性クラッタである場合)について説明する。
パワースペクトル算出部2は、クラッタ判定部1によりクラッタ数がゼロでないと判定された場合、例えば、受信信号を離散フーリエ変換、あるいは、高速フーリエ変換することで、注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルとして、各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}を算出する。
通常、FFTは、高速フーリエ変換を称するものであるが、ここでは説明の便宜上、高速フーリエ変換だけでなく、離散フーリエ変換も含めて、FFTと称するものとする。
ここで、NはFFT点数に等しいデータ数である。また、Nはパルスヒット数に等しい値である。
また、各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}は、パルス繰り返し周波数で正規化されており、下記の式(1a)もしくは式(1b)で表されるものとする。どちらか都合のいい方を用いる。
以下、単に周波数と言えば、式(1a),(1b)に限らず、パルス繰り返し周波数で正規化されているドップラー周波数を意味するものとする。
n=−0.5+((n−1)/N) (1a)
n=(n−1)/N (1b)
(n=1,2,・・・,N)
ここでは、パワースペクトル算出部2が注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出しているが、算出に用いるレンジビンは、注目レンジビンそのものではなく、注目レンジビンに隣接している複数のレンジビンのパワースペクトルを算出し、複数のレンジビンのパワースペクトルの平均値を注目レンジビンのパワースペクトルとしてもよい。
単一レンジビンのパワースペクトル、あるいは、複数レンジビンのパワースペクトルの平均値に対して、さらに隣接する複数ヒット間で中間値(メジアン)をとったものを注目レンジビンのパワースペクトルとしてもよい。
後述するクラッタスペクトルパラメータ推定部4では、非線形回帰分析を実施することで、クラッタ#iのスペクトルパラメータを推定するが、その非線形回帰分析には、非線形最適化、例えば、Generalized Reduced Gradient法や準ニュートン法が用いられるため、スペクトルパラメータの初期値が必要である。
そこで、初期値設定部3は、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fciから、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定する。
ここでは、下記の式(3)〜(5)のいずれかで、クラッタスペクトルを数式モデル化する場合について説明する。
即ち、初期値設定部3は、クラッタ#iのスペクトルパラメータのうち、クラッタ#iの中心周波数fciの初期値については、クラッタ判定部1によるクラッタ#iの中心周波数fciの推定値を設定する。
クラッタ#iの中心周波数fciに対するパワースペクトル値Ai(以下、単に「パワースペクトル値Ai」と称する)の初期値については、中心周波数fciの初期値におけるパワースペクトル値のN倍を設定する。
ただし、中心周波数fciの初期値が、式(1a),(1b)のどれかになるとは限らないので、そのときは補間等を用いて計算する。
クラッタ#iの帯域幅σciの初期値については、搬送波周波数や、シークラッタ、ウェザクラッタ等のクラッタの種類に応じて考えられる概略の典型値を設定するが、事前に大まかな帯域幅が分かっていれば、事前に分かっているその帯域幅を設定するようにしてもよい。
雑音電力PN(添字のNはヒット数を表すものではなく、雑音であることを意味する)の初期値については、予め、クラッタ抑圧装置に入力される雑音電力を計測して記録しておき、その計測値を設定する。
ここでは、初期値設定部3が、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fciからクラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定するものを示したが、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}を参照して、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定するようにしてもよい。
また、最初のアンテナビーム走査では、初期値を上記の説明のように設定し、それ以降のビーム走査では、直前のビーム走査におけるクラッタ#iのスペクトルパラメータの推定値を初期値としてもよい。
ただし、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fci又はパワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}に応じて、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定し直すようにしてもよい。
非線形回帰分析によるレーダエコーのドップラースペクトルの数式モデルへのフィッティングは、下記の非特許文献2に示されているが、この実施の形態1に合うように説明する。
[非特許文献2]
K.Wakasugi,A. Mizutani,M. Matsuo,S. Fukao,and S. Kato,“A Direct Method for Deriving Drop-Size Disribution and Vertical Air Velocities form VHF Doppler Radar Spectra,”Jounal of Atomospheric and Oceanic Technology,Vol. 3,pp. 623-629, December 1986.
クラッタスペクトルパラメータ推定部4は、クラッタ判定部1によりクラッタ数が2であると判定された場合、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}と初期値設定部3により設定された初期値を用いて、2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータを推定する。
即ち、クラッタスペクトルパラメータ推定部4は、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}を2つのガウス関数の和で数式モデル化し(下記の式(3)を参照)、非線形回帰分析によって数式モデル化しているガウス関数のパラメータであるスペクトルパラメータを推定する。
あるいは、各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}に対して、定数項である雑音電力PNを加えて対数をとっている下記の式(4)を数式モデルとし、非線形回帰分析によって数式モデル化しているガウス関数のパラメータであるスペクトルパラメータを推定する。
つまり、クラッタスペクトルパラメータ推定部4では、N個のデータの組(f1,S1),・・・,(fN,SN)を用いて、式(3)に当て嵌めるデータフィッティング、あるいは、N個のデータの組(f1,10log101),・・・,(fN,10log10N)を用いて、式(4)に当て嵌めるデータフィッティングを実施することで、以下に示すスペクトルパラメータの推定値を求める。ここでは、対数を常用対数として更に10倍しているが、これに限られるものではない。

Figure 2014044193

Figure 2014044193

Figure 2014044193
式(3),(4)において、fはパルス繰り返し周波数で正規化された周波数である。
式(3),(4)で推定されるパラメータは、以下の通りである。
i :クラッタ#iの中心周波数f=fciにおけるパワースペクトル値
σci:クラッタ#iの帯域幅
ci:クラッタ#iの中心周波数
(i=1,2)
N:雑音電力
なお、式(3)の代わりに、式(3)の右辺に雑音電力PNを加えた下記の式(5)でもよい。

Figure 2014044193

式(4)は、単位をデシベル(dB)とするため、常用対数の10倍をとっている。それに対応させるため、上述のようにスペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}については常用対数の10倍をとり、式(2)のデータと式(4)を用いて非線形回帰分析を行う。
式(3)〜(5)の意味するところは、各クラッタ#iのパワースペクトルをガウス関数と仮定し、それらの和でもって複峰性クラッタスペクトルを数式モデル化していることである。
図2(a)は式(3)の一例、図2(b)は式(4)の一例をスペクトルに関するパラメータAi,σci,fci,PNと一緒に示している。
式(3)〜(5)において、|f|>0.5に対しては、|f|≦0.5に折り返したものを考えている。
フィルタ設定部5は、クラッタ判定部1によりクラッタ数が2であると判定された場合、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータに基づいて、2つのクラッタ#1,#2の抑圧処理を行う複数フィルタである帯域阻止フィルタ9及び帯域阻止フィルタ10のフィルタ係数を設定する。
即ち、フィルタ設定部5は、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された式(3)〜(5)のパラメータによって、帯域阻止フィルタ9及び帯域阻止フィルタ10のフィルタ係数を設定する。
具体的には、帯域阻止フィルタ9における阻止域の中心周波数は、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定されたクラッタ#1の中心周波数fc1を設定し、帯域阻止フィルタ10における阻止域の中心周波数は、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定されたクラッタ#2の中心周波数fc2を設定する。
また、帯域阻止フィルタ9,10の阻止域幅と阻止域減衰量は、パワースペクトル値Aiの推定値や帯域幅σciの推定値に基づき、所望のクラッタ抑圧度が満たされるように設定する。
あるいは、阻止域幅や阻止域減衰量の異なる帯域阻止フィルタを予め複数種類用意しておき、パワースペクトル値Ai、帯域幅σci、中心周波数fciの推定値から、2つの帯域阻止フィルタの阻止域中心周波数をそれぞれ推定されたクラッタ中心周波数fc1とfc2に設定して縦続接続したときのクラッタ抑圧度を計算し、予め用意している複数種類の帯域阻止フィルタの中から、所望のクラッタ抑圧度が満たされる帯域阻止フィルタの組み合わせを選定するようにしてもよい。
クラッタ抑圧度は、後述するように、クラッタ自己相関行列と帯域阻止フィルタのインパルス応答から下記の式(17)で計算することができる。
設定法の一例としては、2つのクラッタスペクトルの山が完全に分離していなくても、帯域阻止フィルタ9,10のそれぞれに対して、上記の特許文献1に開示されている帯域阻止フィルタの設定方法を適用することも可能である。
上記のようにして、帯域阻止フィルタ9と帯域阻止フィルタ10のフィルタ係数が設定されると、上述したように、クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aが、受信信号を帯域阻止フィルタ9,10が挿入されている経路Cに出力することで、クラッタ#1,#2の抑圧処理後の受信信号を図示せぬ目標検出部に出力させる。
次に、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1である場合(単峰性クラッタである場合)について説明する。
この場合、例えば、公知のパルスペア法やモーメント法によってクラッタの中心周波数やクラッタ帯域幅を推定し、その推定結果から単一フィルタである帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定することができる。
ここでは、パルスペア法やモーメント法とは別のクラッタスペクトルパラメータの推定法、つまり複峰性クラッタの場合と同様に、非線形回帰分析を用いて、単峰性クラッタのスペクトルパラメータを推定する方法によって、クラッタの中心周波数やクラッタ帯域幅などを推定する方法を説明する。
初期値設定部3は、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#1の中心周波数fc1から、クラッタ#1のスペクトルパラメータの初期値を設定する。
即ち、初期値設定部3は、クラッタ#1のスペクトルパラメータのうち、クラッタ#1の中心周波数fc1の初期値については、クラッタ判定部1によるクラッタ#1の中心周波数fc1の推定値を設定する。
パワースペクトル値A1の初期値については、中心周波数fc1の初期値におけるパワースペクトル値のN倍を設定する。ただし、中心周波数fc1の初期値が、式(1a),(1b)のどれかになるとは限らないので、そのときは補間等を用いて計算する。
クラッタ#1の帯域幅σc1の初期値については、搬送波周波数や、シークラッタ、ウェザクラッタ等のクラッタの種類に応じて考えられる概略の典型値を設定するが、事前に大まかな帯域幅が分かっていれば、事前に分かっているその帯域幅を設定するようにしてもよい。また、パルスペア法やモーメント法などによって求めた帯域幅を初期値としてもよい。
雑音電力PNの初期値については、予め、クラッタ抑圧装置に入力にされる雑音電力を計測して記録しておき、その計測値を設定する。
ここでは、初期値設定部3が、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#1の中心周波数fc1からクラッタ#1のスペクトルパラメータの初期値を設定するものを示したが、パワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}を参照して、クラッタ#1のスペクトルパラメータの初期値を設定するようにしてもよい。
また、最初のアンテナビーム走査では、初期値を上記の説明のように設定し、それ以降のビーム走査では、直前のビーム走査におけるクラッタ#iのスペクトルパラメータの推定値を初期値としてもよい。
ただし、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定部1により推定されたクラッタ#iの中心周波数fci又はパワースペクトル算出部2により算出された各ドップラー周波数{f1,f2,・・・,fN}に対するパワースペクトルデータ{S1,S2,・・・ ,SN}に応じて、クラッタ#iのスペクトルパラメータの初期値を設定し直すようにしてもよい。
単峰性クラッタの場合、上記の式(3)〜(5)に対応するパワースペクトルの式は、下記の式(6)〜(8)のようになる。

Figure 2014044193

Figure 2014044193

Figure 2014044193

クラッタスペクトルパラメータ推定部4は、式(6)〜(8)のどれかを用いて、それに当て嵌まるように、複峰性クラッタの場合と同様に、非線形回帰分析を用いて、クラッタスペクトルパラメータA1,σc1,fc1,PNの推定を行う。
フィルタ設定部5は、クラッタ判定部1によりクラッタ数が1であると判定された場合、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタ#1のスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタ#1の抑圧処理を行う単一フィルタである帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定する。
即ち、フィルタ設定部5は、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された式(6)〜(8)のパラメータによって、帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定する。
具体的には、帯域阻止フィルタ8における阻止域の中心周波数は、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定されたクラッタ#1の中心周波数fc1を設定する。
また、帯域阻止フィルタ8の阻止域幅と阻止域減衰量は、パワースペクトル値A1の推定値や帯域幅σc1の推定値に基づき、所望のクラッタ抑圧度が満たされるように設定する。
あるいは、阻止域幅や阻止域減衰量の異なる帯域阻止フィルタを予め複数種類用意しておき、パワースペクトル値A1、帯域幅σc1の推定値から所望のクラッタ抑圧度を計算し、予め用意している複数種類の帯域阻止フィルタの中から、所望のクラッタ抑圧度が満たされる帯域阻止フィルタを選定するようにしてもよい。
予め用意している複数種類の帯域阻止フィルタの中から、所望のクラッタ抑圧度が満たされる帯域阻止フィルタを選定する場合でも、その帯域阻止フィルタの阻止域中心周波数は上記のように設定する。
上記のようにして、帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数が設定されると、上述したように、クラッタ抑圧部6aの選択スイッチ7aが、受信信号を帯域阻止フィルタ8が挿入されている経路Bに出力ことで、クラッタ#1の抑圧処理後の受信信号を図示せぬ目標検出部に出力させる。
以上まとめると、ある注目レンジビンに対して、クラッタ判定部1によって受信信号中のクラッタ数が0と判定された場合は、クラッタ抑圧部6aが受信信号を図示せぬ目標検出部へ出力し、クラッタ判定部1によって受信信号中のクラッタ数が1以上と判定された場合は、受信信号に対して以上説明したクラッタスペクトルパラメータ推定と、それに基づくクラッタ抑圧処理を行って図示せぬ目標検出部へ出力する。これを1CPI(Coherent Processing Interval)内の各レンジビン又は予め定められたレンジビン数(例えば、クラッタマップの距離分解能に相当するレンジビン数)毎に繰り返し実行する。
クラッタスペクトルの数式モデルとしては、式(3)〜(8)に示しているガウス関数がよく知られているが、その他に、以下の非特許文献3で示されているように、式(9)や式(10)がある。ここでは、中心周波数が0の単峰性スペクトルとして示している。
この実施の形態1では、クラッタスペクトルの数式モデルは、ガウス関数に限られるものではなく、式(9)や(10)、あるいは、それ以外でも構わない。また、それらが混在していてもよい。
[非特許文献3]
J. Barrie Billingsley,“Low-Angle Radar Land Clutter,”William Andrew Publishing,2002.

Figure 2014044193

Figure 2014044193

式(9)において、Cは電力に関するパラメータ、βは形状パラメータ、λは搬送波の波長である。
また、式(10)において、Kは電力に関するパラメータ、nは形状パラメータ、f0はスペクトルがピーク値の1/2となる周波数である。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタの抑圧処理を行う帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された2つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、2つのクラッタの抑圧処理を行う帯域阻止フィルタ9,10のフィルタ係数を設定するフィルタ設定部5を設け、クラッタ抑圧部6aが、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8に実施させ、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ9,10に実施させるように構成したので、パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、初期値設定部3が、最初のビーム走査では、クラッタ判定部1により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によってスペクトルパラメータ推定部4により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定部1により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定するように構成したので、ビーム走査を繰り返している途中で、受信信号に含まれているクラッタが別のクラッタに変化しても、そのクラッタを抑圧することができる効果を奏する。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、フィルタ設定部5が、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタの抑圧処理を行う帯域阻止フィルタ8のフィルタ係数を設定し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が2であれば、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された2つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、2つのクラッタの抑圧処理を行う帯域阻止フィルタ9,10のフィルタ係数を設定するものを示したが、この実施の形態2では、クラッタ自己相関行列Rcを利用して、帯域阻止フィルタを設定する例を説明する。
クラッタスペクトルパラメータ推定部4によりクラッタのスペクトルパラメータが数式モデルで推定されると、その逆フーリエ変換である自己相関関数を用いて、下記の式(11)に示すように、クラッタ自己相関行列Rcを計算することができる。
特に、クラッタスペクトルを式(3)のようにガウス関数の和で表す場合には、式(12)で示すように、自己相関関数もガウス関数の和で表される。
式(12)において、mはパルス繰返し周期で正規化したタイムラグであり、単峰性スペクトルの場合はA2=0である。
クラッタスペクトルがガウス関数でない場合は、対応する自己相関関数を数値積分などで計算する。
式(11)において、肩文字*は複素共役を表している。また、Mは帯域阻止フィルタのタップ数であり、M≦ヒット数Nである。
クラッタ自己相関行列Rcとクラッタ自己相関関数rc(m)は、レンジビンにより異なるが、ここではレンジビン番号は省略する。

Figure 2014044193

Figure 2014044193
クラッタ自己相関行列Rcを利用して、帯域阻止フィルタを設定する方法としては、フィルタ入出力の信号対クラッタ電力比の改善量であるインプルーブメントファクタを最大化する方法や、フィルタ周波数応答を拘束する周波数点を設けて、クラッタ入力時のフィルタ出力電力を最小化する拘束付出力電力最小化法などがある。
これらの方法は、クラッタスペクトルが単峰性であるか複峰性であるかによらない。そして、帯域阻止フィルタは、複峰性クラッタに対しても、2つの帯域阻止フィルタの縦続接続ではなく、単一の帯域阻止フィルタとなる。
したがって、図1のクラッタ抑圧部6aの内部構成図が、この実施の形態2では、図3に示すような構成図になる。図3では、クラッタ抑圧部の符号を6bとしている。
図3のクラッタ抑圧部6bは、選択スイッチ7bと帯域阻止フィルタ11から構成されており、帯域阻止フィルタ11はフィルタ設定部5によりインパルス応答(式(13)のh(m))が設定された単一フィルタである。
選択スイッチ7bは、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、受信信号にはクラッタが含まれておらず、クラッタの抑圧処理を実施する必要がないので、その受信信号を帯域阻止フィルタが挿入されていない経路A、つまり図示せぬ目標検出部に出力する。
一方、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1以上である場合、受信信号に含まれている1以上のクラッタを抑圧するため、その受信信号を帯域阻止フィルタ11が挿入されている経路Bに出力する。これにより、帯域阻止フィルタ11によるクラッタの抑圧処理後の受信信号が図示せぬ目標検出部に出力される。
クラッタ抑圧部6b以外の構成は、上記実施の形態1と同様である。
以下、帯域阻止フィルタ11に対するフィルタ係数の設定方法ついて説明する。
帯域阻止フィルタ11の伝達関数H(z)は、インパルス応答をh(m)として、式(13)で表される。ここで、z-1はパルス繰り返し周期分の遅延を表している。

Figure 2014044193
インプルーブメントファクタを最大化するインパルス応答h=[h(0),h(1),・・・,h(M−1)]T(hはインパルス応答ベクトルであり、肩文字Tは転置を表している)を帯域阻止フィルタとして設定する場合は、例えば、下記の非特許文献4に開示されているように、[h(0),h(1),・・・,h(M−1)]Tをクラッタ自己相関行列Rcの最小固有値に対応する固有ベクトルとする。
[非特許文献4]
F. Chiuppesi,G. Galati,and P. Lombardi,“Optimisation of rejection filters,”IEE Proceedings,Vol.127,Part. F,No.5,pp. 354-360,Oct. 1980.
フィルタ周波数応答を拘束する周波数点を設けて、クラッタ入力時のフィルタ出力電力を最小化する拘束付出力電力最小化法によって、帯域阻止フィルタ11を設定することもできる。
拘束付出力電力最小化法では、周波数特性値を拘束する周波数点をf01, f02,・・・,f0Lとする。これらは異なる周波数である。
Lは拘束点数であり、L<Mである。また、それらの周波数における周波数応答値をg1, g2,・・・,gLとする。周波数応答値g1, g2,・・・,gLのうち、いくつかは0でもよいが、すべてを0にはできない。拘束行列Cを下記の式(14)、拘束応答ベクトルgを下記の式(15)のように定義する。

Figure 2014044193

Figure 2014044193
アダプティブアレーの方向拘束付出力電力最小化法(例えば、下記の非特許文献5の第5章に開示されている)と同様に、インパルス応答h=[h(0),h(1),・・・,h(M−1)]Tは式(16)のようにする。行列とベクトルの肩文字*は全要素の複素共役を取ることを意味する。

Figure 2014044193

[非特許文献5]
菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」、科学技術出版、1998.
クラッタ抑圧度CRは、帯域阻止フィルタ11のインパルス応答の設定法には関係なく、下記の式(17)で与えられる。
複数の帯域阻止フィルタの縦続接続の場合は、それらのインパルス応答を畳込みして得られた結果をベクトルhとする。
CR=受信クラッタ電力/hHch (17)
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1以上である場合、フィルタ設定部5が、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1以上のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1以上のクラッタの抑圧処理を行う帯域阻止フィルタ11(単一フィルタ)のフィルタ係数を設定し、クラッタ抑圧部6bが、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ11に実施させるように構成したので、上記実施の形態1と同様に、パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができる効果を奏する。また、帯域阻止フィルタの個数を削減することができる効果を奏する。
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3によるクラッタ抑圧装置を示す構成図であり、図において、図1及び図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
クラッタ抑圧部6cは、選択スイッチ7b、フィルタバンク13、フィルタバンク14から構成されており、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、選択スイッチ7bが経路Aを選択することで、受信信号に対するクラッタ抑圧処理を行わずに、フィルタバンク13によってコヒーレント積分処理だけを実施させて図示せぬ目標検出部に出力する。
一方、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1以上であれば、選択スイッチ7bが経路Bを選択することで、受信信号に対する1つのクラッタ#1、あるいは、2つのクラッタ#1,#2の抑圧処理とコヒーレント積分処理をフィルタバンク14に実施させて図示せぬ目標検出部に出力する。
なお、クラッタ抑圧部6cはクラッタ抑圧手段を構成している。
この実施の形態3では、1つのクラッタ#1又は2つのクラッタ#1,#2の抑圧処理とコヒーレント積分処理をフィルタバンク14に実施させる例を説明するが、クラッタ判定部1によりクラッタ数がN(例えば、N=3)であると判定された場合、N個のクラッタ#1,#2,・・・,#Nの抑圧処理をフィルタバンク14に実施させるようにしてもよい。
フィルタバンク設定部12は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1以上であれば、フィルタバンク14が1つあるいは2つのクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理を行えるようにするために、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタ#1、あるいは、2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータに基づいて、フィルタバンク14に対して、フィルタ係数である正方行列を設定する処理を実施する。なお、フィルタバンク設定部12はフィルタ係数設定手段を構成している。
この実施の形態3では、1つのクラッタ、あるいは、2つのクラッタがある場合のフィルタ係数をフィルタバンク14に設定するものを示しているが、クラッタ判定部1によりクラッタ数がN(例えば、N=3)であると判定された場合、N個のクラッタ#1,#2,・・・,#Nの抑圧処理とコヒーレント積分処理を行えるように、フィルタバンク14にフィルタ係数である行列を設定するようにしてもよい。
図4の例では、クラッタ抑圧装置の構成要素であるクラッタ判定部1、パワースペクトル算出部2、初期値設定部3、クラッタスペクトルパラメータ推定部4、フィルタバンク設定部12及びクラッタ抑圧部6cのそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、クラッタ抑圧装置がコンピュータで構成されていてもよい。
クラッタ抑圧装置がコンピュータで構成されている場合、クラッタ判定部1、パワースペクトル算出部2、初期値設定部3、クラッタスペクトルパラメータ推定部4、フィルタバンク設定部12及びクラッタ抑圧部6cの処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
フィルタバンク設定部12及びクラッタ抑圧部6c以外は、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、フィルタバンク設定部12及びクラッタ抑圧部6cの処理内容を説明する。
フィルタバンク13は、従来良く使われているN点のFFTであり、クラッタ判定部1によりクラッタがないと判定された場合、フィルタバンク13により処理された受信信号が図示せぬ目標検出部に出力される。
クラッタ判定部1によりクラッタ数が1以上と判定された場合、フィルタバンク14により受信信号に対するクラッタ抑圧処理とコヒーレント積分処理が同時に行われて、図示せぬ目標検出部に出力される。
ここで、フィルタバンク14に入力される受信信号が、あるレンジビンのNヒットの信号であるN×1の列ベクトルxであるとすると、L×1の列ベクトルであるフィルタバンク12の出力信号yは、下記の式(18)のようになる。

Figure 2014044193

式(18)において、行列AはL×N行列である。
これらのベクトルと行列はレンジビンにより異なるが、レンジビン番号は表記から省略する。Lはフィルタバンクを構成する帯域フィルタの数であり、L=ヒット数Nが一般的である。
この実施の形態3におけるLは、上記実施の形態2における周波数拘束点の数とは異なる。
行列Aの各行は、フィルタバンク14を構成する各帯域フィルタのインパルス応答ベクトルであり(下記の式(19)を参照)、以下に示すように、例えば、最大SNR法(例えば、非特許文献5の第4章を参照)に基づいて、フィルタバンク設定部12が計算する。
SNRは、一般的に信号対雑音電力比のことを示すが、ここでは、受信信号に対する信号電力と雑音とクラッタの和の電力との比(SCNR:Signal to Clutter plus Noise Ratio)のことを示している。
フィルタバンク14を構成する各帯域フィルタの中心周波数をfd1,fd2,・・・,fdLとし、これらの中心周波数fd1,fd2,・・・,fdLは予め設定されている。
中心周波数fdl(l=1,2,・・・,L)の帯域フィルタのインパルス応答ベクトルhl=[hl(0),hl(1),・・・,hl(N−1)]T(これらの帯域フィルタの伝達関数は式(13)と同様であり、インパルス応答の長さをNとしたものである)は、下記の式(20)で求められる。
IはN×Nの単位行列であり、式(20)でhlが求まったら、必要に応じて適当な係数でスケーリングする。

Figure 2014044193

Figure 2014044193

Figure 2014044193
以上の処理は、1CPI(Coherent Processing Interval)内の各レンジビン、または、予め定められたレンジビン数(例えば、クラッタマップの距離分解能に相当するレンジビン数)毎に繰り返し実行される。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が0であれば、フィルタバンク13がコヒーレント積分処理を実施し、クラッタ判定部1により判定されたクラッタ数が1以上であれば、フィルタバンク14が1つのクラッタ#1、もしくは、2つのクラッタ#1,#2の抑圧処理とコヒーレント積分処理を行えるように、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタ#1、もしくは、2つのクラッタ#1,#2のスペクトルパラメータに基づいて、フィルタバンク14にフィルタ係数を設定し、クラッタ抑圧部6cが、受信信号に対するクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理をフィルタバンク13又はフィルタバンク14に実施させるように構成したので、上記実施の形態1,2と同様に、パルスヒット数が少ない場合、複峰性クラッタスペクトルの山が完全に分離していない場合や、一方のクラッタのスペクトル中心周波数が0でない場合でも、複峰性クラッタを抑圧することができるとともに、単峰性クラッタも抑圧することができる効果を奏する。
また、フィルタバンク13,14がコヒーレント積分処理を実施しているので、信号対雑音比を改善することができる効果を奏する。
実施の形態4.
上記実施の形態1では、複峰性クラッタにおいて、初期値設定部3で設定されるクラッタ#i(i=1,2)の帯域幅σciの初期値が概略の典型値であるものを示したが、この実施の形態3では、クラッタ#i(i=1,2)の帯域幅σciの初期値を受信信号に応じて適宜設定する方法について説明する。
図5はこの発明の実施の形態4によるクラッタ抑圧装置の初期値設定部3を示す構成図である。
図5において、電力算出部21は受信信号の電力(あるいは、絶対値二乗平均値)を算出する処理を実施する。なお、電力算出部21は第1の電力算出手段を構成している。
2パルスキャンセラ22は零点周波数fを有し、受信信号を入力して処理後の受信信号を出力する。
電力算出部23は2パルスキャンセラ22の出力信号の電力(あるいは、絶対値二乗平均値)を算出する処理を実施する。なお、電力算出部23は第2の電力算出手段を構成している。
雑音電力記憶部24は受信信号が受信されていない状態で計測された雑音電力を記憶しているメモリである。
初期値算出処理部25はクラッタ#iの中心周波数fciに対するパワースペクトル値Aiの初期値や、雑音電力PNの初期値については、上記実施の形態1〜3と同様の方法で設定するが、クラッタ#iの帯域幅σciの初期値については、受信信号と、電力算出部21,23により算出された電力と、パワースペクトル値Aiの初期値と、雑音電力PNの初期値と、クラッタ判定部1により推定されたクラッタの中心周波数fciとから算出する。
次に動作について説明する。
ただし、初期値設定部3以外の処理内容は、上記実施の形態1〜3と同様であるため、ここでは、初期値設定部3の処理内容だけを説明する。
電力算出部21は、受信信号を入力すると、その受信信号の電力(あるいは、絶対値二乗平均値)を算出して、その受信信号の電力を初期値算出処理部25に出力する。
2パルスキャンセラ22は、零点周波数fを有しており、受信信号を入力すると、その受信信号に対する処理後の受信信号を電力算出部23に出力する。
ここで、2パルスキャンセラ22の伝達関数G(z)は、パルス繰返し周期分の遅延をz-1で表すと、下記の式(22)のように表される。
Figure 2014044193
電力算出部23は、2パルスキャンセラ22の出力信号の電力(あるいは、絶対値二乗平均値)を算出し、その出力信号の電力を初期値算出処理部25に出力する。
初期値算出処理部25は、複峰性の2つのクラッタの中心周波数fc1,fc2に対するパワースペクトル値A1,A2の初期値や、雑音電力PNの初期値については、上記実施の形態1〜3と同様の方法で設定して、パワースペクトル値A1,A2の初期値や雑音電力PNの初期値をクラッタスペクトルパラメータ推定部4に出力する。
初期値算出処理部25は、2つのクラッタの帯域幅σc1,σc2の初期値については、下記のように算出する。
まず、式(12)のパワースペクトルのクラッタ電力rは、下記の式(23)で表される。式(23)は、式(12)において、m=0の場合である。このクラッタ電力rには、雑音電力が含まれていない。
Figure 2014044193
複峰性の2つのクラッタを入力とする零点周波数fの2パルスキャンセラ22の出力信号の電力Pは、下記の式(24)で表される。この電力Pには、雑音電力が含まれていない。
Figure 2014044193

Figure 2014044193
このことは下記の非特許文献6に記載されており、容易に導出することが可能である。
[非特許文献6]
R. M. Thompson, “An Approach To Control MTI Filter Order Selections during Search” Proceedings of IEEE National Radar Conference, pp.7-12, 1997.
式(24)において、fは任意の周波数であるが、非特許文献6では、受信した複峰性クラッタをあえて単峰性とみなして、パルスペア法で中心周波数を推定した結果をfとしている。この実施の形態4では、それに倣って受信信号をパルスペア法で推定した結果をクラッタ中心周波数としている。
式(23)、式(24)において、クラッタ電力rは電力算出部21により算出された受信信号の電力から雑音電力記憶部24に記憶されている雑音電力Pを差し引いたものであり、電力Pは2パルスキャンセラ22の出力信号の電力から雑音電力記憶部24に記憶されている雑音電力Pを差し引いたものであり、算出可能である。また、式(25)のω0iは既知である。
よって未知数は、2つのクラッタの帯域幅σc1,σc2である。式が2つで、未知数が2つであるため、式(23)、式(24)は非線形の2元連立方程式となる。これを解いた結果を2つのクラッタ帯域幅σc1,σc2の初期値とする。
そこで、式(23)を下記の式(26)のように変形し、式(26)を式(24)に代入すると、下記の式(27)が得られる。
Figure 2014044193

Figure 2014044193
よって、式(27)を数値的に解くことで、クラッタ帯域幅σc1の初期値が求めるが、単純に、式(27)の右辺のσc1に対して、適当な刻み幅で値を代入して、Pに最も近くなるσc1の値をクラッタ帯域幅σc1の初期値としてもよい。
また、以上のようにして求めたパワースペクトル値Aiの初期値やクラッタ帯域幅σciの初期値を、クラッタ判定部1により推定されたクラッタの中心周波数fciや雑音電力PNの初期値と一緒に、スペクトルパラメータ推定値として、図1(または、図4)の破線で示すように、直接、フィルタ設定部5(または、フィルタバンク設定部12)に出力して、帯域阻止フィルタ9,10,11(または、フィルタバンク14)を設定するようにしてもよい。
この場合、初期値設定部3は、スペクトルパラメータ推定部4と同様の働きをすることを意味する。即ち、初期値設定部3は、スペクトルパラメータ推定手段を構成していることになる。
したがって、非線形回帰分析を行う必要がないため、より短時間で、帯域阻止フィルタやフィルタバンクを設定することができる。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定された1つのクラッタ#1のスペクトルパラメータに基づいて、帯域阻止フィルタ8,9,10又はフィルタバンク14のフィルタ係数を設定し、クラッタ抑圧部6a,6b,6cが、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8,9,10又はフィルタバンク14に実施させるものを示したが、クラッタスペクトルパラメータ推定部4によるスペクトルパラメータの推定結果をクラッタマップに反映してから、クラッタを抑圧するようにしてもよい。
具体的には、以下の通りである。
まず、クラッタマップは、レーダの覆域を所定の角度幅と所定の距離幅の複数のセルで分割し、それぞれのセルに対してクラッタ数、クラッタ数が1以上であればクラッタの電力や帯域幅、中心周波数を格納したものである。
この実施の形態5の場合、最初のアンテナビーム走査では、クラッタ判定部1により判定されたクラッタの数が、クラッタマップ内で対応するセルに格納される。
また、クラッタ判定部1により判定されたクラッタの数が1以上である場合、クラッタスペクトルパラメータ推定部4により推定されたスペクトルパラメータが、クラッタマップ内で対応するセルに格納される。
クラッタ判定部1での判定処理とクラッタスペクトルパラメータ推定部4の推定処理は、クラッタマップにおける全てのセルに推定結果が格納されるまで繰り返し実施され、最初のビーム走査では、クラッタの抑圧処理は行われない。
次のビーム走査では、フィルタ設定部5又はフィルタバンク設定部12が、クラッタマップにおける全てのセルからスペクトルパラメータの推定結果を読み出し、その推定結果に基づいて、セル毎に、上記実施の形態1〜4と同様にして、帯域阻止フィルタ8,9,10,11又はフィルタバンク14のフィルタ係数を設定し、クラッタ抑圧部6a,6b,6cがクラッタの抑圧処理を帯域阻止フィルタ8,9,10,11又はフィルタバンク14に実施させる。クラッタが存在しない場合には、クラッタの抑圧処理は行われない。
次のビーム走査でも、更に次のビーム走査でのクラッタの抑圧処理に備えるため、クラッタ判定部1がクラッタ数の判定結果をクラッタマップ内で対応するセルに格納して更新する。
また、クラッタ数が1以上と判定された場合には、クラッタスペクトルパラメータ推定部4がスペクトルパラメータの推定結果をクラッタマップ内で対応するセルに格納して更新する。
上記実施の形態1〜4と同様に、2回目以降のビーム走査では、直前のビーム走査におけるスペクトルパラメータ推定値、即ち、クラッタマップに格納された値を現在のビーム走査におけるクラッタスペクトルパラメータ推定の際の初期値としてもよい。
ただし、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、上記実施の形態1と同様に、クラッタ判定部1により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定し直すようにする。
以下、上記の処理を繰り返し実施する。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 クラッタ判定部(クラッタ判定手段)、2 パワースペクトル算出部(パワースペクトル算出手段)、3 初期値設定部(初期値設定手段)、4 クラッタスペクトルパラメータ推定部(スペクトルパラメータ推定手段)、5 フィルタ設定部(フィルタ係数設定手段)、6a,6b,6c クラッタ抑圧部(クラッタ抑圧手段)、7a,7b 選択スイッチ、8 帯域阻止フィルタ(単一フィルタ)、9,10 帯域阻止フィルタ(複数フィルタ)、11 帯域阻止フィルタ(単一フィルタ)、12 フィルタバンク設定部(フィルタ係数設定手段)、13,14 フィルタバンク、21 電力算出部(第1の電力算出手段)、22 2パルスキャンセラ、23 電力算出部(第2の電力算出手段)、24 雑音電力記憶部、25 初期値算出処理部。

Claims (14)

  1. 受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定するクラッタ判定手段と、注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、クラッタのスペクトルパラメータの初期値を設定する初期値設定手段と、上記パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと上記初期値設定手段により設定された初期値を用いて、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、非線形回帰分析によって1つのクラッタのスペクトルパラメータを推定し、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、非線形回帰分析によって複数のクラッタのスペクトルパラメータを推定するスペクトルパラメータ推定手段と、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、上記スペクトルパラメータ推定手段により推定された1つのクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1つのクラッタの抑圧処理を行う単一フィルタのフィルタ係数を設定し、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、上記スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、複数のクラッタの抑圧処理を行う複数フィルタのフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段と、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1であれば、上記受信信号に対するクラッタの抑圧処理を上記単一フィルタに実施させ、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、上記受信信号に対するクラッタの抑圧処理を上記複数フィルタに実施させるクラッタ抑圧手段とを備え、
    上記初期値設定手段は、最初のビーム走査では、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、
    2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によって上記スペクトルパラメータ推定手段により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する
    ことを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  2. クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1以上である場合、
    フィルタ係数設定手段は、スペクトルパラメータ推定手段により推定された1以上のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、1以上のクラッタの抑圧処理を行う単一フィルタのフィルタ係数を設定し、
    クラッタ抑圧手段は、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を上記単一フィルタに実施させる
    ことを特徴とする請求項1記載のクラッタ抑圧装置。
  3. 受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定するクラッタ判定手段と、注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、クラッタのスペクトルパラメータの初期値を設定する初期値設定手段と、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1以上であれば、上記パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと上記初期値設定手段により設定された初期値を用いて、非線形回帰分析によって1以上のクラッタのスペクトルパラメータを推定するスペクトルパラメータ推定手段と、上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が1以上であれば、フィルタバンクが1以上のクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理を行えるように、上記スペクトルパラメータ推定手段により推定された1以上のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、上記フィルタバンクにフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段と、上記受信信号に対するクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理を上記フィルタバンクに実施させるクラッタ抑圧手段とを備え、
    上記初期値設定手段は、最初のビーム走査では、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する一方、
    2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によって上記スペクトルパラメータ推定手段により推定されたスペクトルパラメータを設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定する
    ことを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  4. フィルタ係数設定手段は、受信信号に対する信号電力と雑音とクラッタの和の電力との比が最大化するように、フィルタバンクにフィルタ係数を設定する
    ことを特徴とする請求項3記載のクラッタ抑圧装置。
  5. スペクトルパラメータ推定手段は、非線形回帰分析に用いる数式モデルを対数で表現し、対数表現の数式モデルを構成しているガウス関数のパラメータをクラッタのスペクトルパラメータとして推定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のクラッタ抑圧装置。
  6. クラッタ判定手段は、自己回帰モデルを用いて、受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のクラッタ抑圧装置。
  7. 初期値設定手段は、
    受信信号の電力を算出する第1の電力算出手段と、
    所定の零点周波数を有し、上記受信信号を入力する2パルスキャンセラと、
    上記2パルスキャンセラの出力信号の電力を算出する第2の電力算出手段と、
    上記受信信号と、上記第1及び第2の電力算出手段により算出された電力と、上記受信信号が受信されていない状態で計測された雑音電力と、パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数とからクラッタのスペクトルパラメータの初期値を算出する初期値算出処理部とから構成されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のクラッタ抑圧装置。
  8. 最初のビーム走査では、スペクトルパラメータ推定手段がスペクトルパラメータの推定結果をクラッタマップに反映し、
    次のビーム走査では、フィルタ係数設定手段が上記クラッタマップに反映されている上記スペクトルパラメータ推定手段の推定結果に基づいてフィルタ係数を設定して、クラッタ抑圧手段がクラッタの抑圧処理を実施させることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のクラッタ抑圧装置。
  9. 初期値設定手段は、2回目以降のビーム走査では、スペクトルパラメータの初期値として、直前のビーム走査によってクラッタマップに反映されたスペクトルパラメータ推定手段の推定結果を設定するが、ビーム走査の数が所定数に到達した場合、あるいは、ビーム走査を開始してから所定時間が経過した場合には、2回目以降のビーム走査でも、クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数に応じてスペクトルパラメータの初期値を設定することを特徴とする請求項8記載のクラッタ抑圧装置。
  10. 受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定するクラッタ判定手段と、
    注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、
    上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、所定の零点周波数を有する2パルスキャンセラで処理された受信信号の電力と、上記受信信号が受信されていない状態で計測された雑音電力と、上記パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数とを用いて、複数のクラッタのスペクトルパラメータを推定するスペクトルパラメータ推定手段と、
    上記スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、複数のクラッタの抑圧処理を行う複数フィルタのフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段と、
    上記受信信号に対するクラッタの抑圧処理を上記複数フィルタに実施させるクラッタ抑圧手段と
    を備えたクラッタ抑圧装置。
  11. クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数である場合、
    フィルタ係数設定手段は、スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、複数のクラッタの抑圧処理を行う単一フィルタのフィルタ係数を設定し、
    クラッタ抑圧手段は、受信信号に対するクラッタの抑圧処理を上記単一フィルタに実施させる
    ことを特徴とする請求項10記載のクラッタ抑圧装置。
  12. 受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定するクラッタ判定手段と、
    注目レンジビンに対応する受信信号のパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、
    上記クラッタ判定手段により判定されたクラッタ数が複数であれば、所定の零点周波数を有する2パルスキャンセラで処理された受信信号の電力と、上記受信信号が受信されていない状態で計測された雑音電力と、上記パワースペクトル算出手段により算出されたパワースペクトルと、上記クラッタ判定手段により推定されたクラッタの中心周波数とを用いて、複数のクラッタのスペクトルパラメータを推定するスペクトルパラメータ推定手段と、
    フィルタバンクが複数のクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理を行えるように、上記スペクトルパラメータ推定手段により推定された複数のクラッタのスペクトルパラメータに基づいて、上記フィルタバンクにフィルタ係数を設定するフィルタ係数設定手段と、
    上記受信信号に対するクラッタの抑圧処理とコヒーレント積分処理を上記フィルタバンクに実施させるクラッタ抑圧手段と
    を備えたクラッタ抑圧装置。
  13. フィルタ係数設定手段は、受信信号に対する信号電力と雑音とクラッタの和の電力との比が最大化するように、フィルタバンクにフィルタ係数を設定する
    ことを特徴とする請求項12記載のクラッタ抑圧装置。
  14. クラッタ判定手段は、自己回帰モデルを用いて、受信信号に含まれているクラッタの中心周波数を推定するとともに、上記クラッタの数を判定することを特徴とする請求項10から請求項13のうちのいずれか1項記載のクラッタ抑圧装置。
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