JP2014043869A - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワーオンダウンシフト中のショック抑制およびドラビリ向上を両立できる車両の変速制御装置を提供する。
【解決手段】変速制御部84は、ロックアップクラッチ36が完全係合状態でパワーオンダウンシフトを行う場合には、上述した開放側摩擦装置が滑った状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御(本発明の第2の変速に対応)に切替え、ロックアップクラッチ36が開放状態でパワーオンダウンシフトを行う場合には、開放側摩擦装置が係合した状態でエンジントルクTeを伝達する上記従来の変速制御(本発明の第1の変速に対応)に切替えることで、ショック抑制とドラビリの向上とを両立できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、駆動力源と、自動変速機と、前記駆動力源と自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付トルクコンバータとを備えた車両の変速制御に関するものである。
駆動力源と、少なくともアクセル開度に基づいて、開放側摩擦係合装置の開放を行うことで変速する自動変速機と、前記駆動力源と前記自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付トルクコンバータとを、備える車両が良く知られている。例えば、特許文献1の自動変速機の制御装置がその一例である。
特許文献1には、自動変速機のダウンシフトに際して、アクセルペダルを踏み込まないパワーオフダウンシフトでは、開放側摩擦装置をスリップさせてからイナーシャトルクを駆動力源トルクで補償する補償制御を行って変速ショックを緩和しつつ変速速度を速くする一方、アクセルペダルの踏み込みによるパワーオンダウンシフトでは、開放側係合装置が係合した状態で駆動力源トルクを増加させる技術が開示されている。
特開2005−315084号公報
ところで、特許文献1では、自動変速機のダウンシフト制御がパワーオンダウンシフトおよびパワーオフダウンシフトの何れであるかを判断して、ダウンシフトの制御態様を切り替えているが、同じパワーオンダウンシフトであってもトルクコンバータに備えられているロックアップクラッチの係合状態によっては、ショックおよびドラビリ(応答性)が悪化する可能性があった。例えば、ロックアップクラッチの係合中に自動変速機のパワーオンダウンシフトが開始される場合、アクセルペダルの踏み増しによって駆動力源トルクが上昇して駆動力が増加し、さらにイナーシャ相が開始されると、駆動力源およびトルクコンバータのタービン翼車の回転を上昇させるためのイナーシャトルク損失が生じて駆動力が落ち込んでしまうことで、変速中に駆動力変動が生じてショックが発生する。また、ロックアップクラッチの係合時は、イナーシャが大きいために変速応答性も低下する。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、駆動力源と、自動変速機と、駆動力源と自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付トルクコンバータを備えた車両において、パワーオンダウンシフト中のショック抑制およびドラビリ向上を両立できる車両の変速制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)駆動力源と、少なくともアクセル開度に基づいて、開放側摩擦装置の開放を行うことで変速する自動変速機と、前記駆動力源と前記自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付トルクコンバータとを、備える車両の変速制御装置であって、(b)アクセルペダルの踏み増しにより前記自動変速機をダウンシフトするに際して、開放側摩擦装置の初期油圧を、その開放側摩擦装置において滑りが生じないトルク容量以上となる大きさで一時待機させ、その開放側摩擦装置が係合した状態で駆動力源トルクを変速中に伝達する第1の変速と、(c)前記開放側摩擦装置の初期油圧を前記第1の変速において設定される初期油圧よりも低い油圧に設定し、その開放側摩擦装置が滑った状態で駆動力源トルクを変速中に伝達する第2の変速とに、切替可能に構成され、(d)前記第2の変速に切り替えられるときの前記ロックアップクラッチの係合力は、前記第1の変速に切り替えられるときのそのロックアップクラッチの係合力よりも大きいことを特徴とする。
ロックアップクラッチの係合力が大きい場合には、変速時のイナーシャが大きくなる。このイナーシャが大きいことに起因して、ダウンシフト中の自動変速機の回転変化の応答性が悪化する。そこで、ロックアップクラッチが係合状態である場合には第2の変速に切り替え、開放側摩擦装置において滑りを生じさせてイナーシャを小さくした状態で駆動力源トルクを伝達することで、自動変速機の回転変化の応答性が向上する。また、開放側摩擦装置において滑りを生じさせるので、駆動源トルク上昇による駆動力増加のタイミングと、自動変速機の回転変化に起因するイナーシャトルク損失が生じるタイミングとを合わせることで、駆動力変動を抑制してショックを低減することもできる。
一方、ロックアップクラッチの係合力が小さい場合には、第1の変速に切り替える。ロックアップクラッチの係合力が小さい場合には、変速中のイナーシャが小さくなる。イナーシャが小さい場合には、自動変速機の回転変化の応答性も悪化しないので、変速応答性の悪化が問題とならない。また、ショックについてもロックアップクラッチが開放状態にあるので、トルクコンバータの流体伝動作用によってそのショックが効果的に吸収される。さらに、開放側摩擦装置の初期油圧が前記第2の変速のように大幅に低下しないので、油圧の制御性が悪化することも抑制されてショックがさらに抑制される。このように、ロックアップクラッチの係合状態に応じて自動変速機の変速を切替えることで、変速中のショック抑制およびドラビリ向上を両立することができる。
また、好適には、第2発明の要旨とするところは、第1発明の車両の変速制御装置において、前記第2の変速は、予め設定されている車両加速度を生じさせる前記駆動力源トルクが伝達されるタイミングで前記開放側摩擦装置が滑り出すように、その開放側摩擦装置の初期油圧が設定される。このようにすれば、予め設定されている加速度変化を生じさせる駆動力源トルクが伝達されるタイミングで開放側摩擦装置を滑らせて、イナーシャトルク損失を発生させることで、駆動力源トルクの上昇による変速時の駆動力変化を抑制し、ショックを抑制することができる。
また、好適には、第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明の車両の変速制御装置において、前記ロックアップクラッチが完全係合した場合には、前記第2の変速に切り替えられる。このようにすれば、ロックアップクラッチが完全係合した状態では、開放時と比べてイナーシャが大きくなる。このようなときに第2の変速を実行することで、変速中のショック抑制およびドラビリ向上を両立することができる。
また、好適には、第4発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明の車両の変速制御装置において、前記ロックアップクラッチの係合力が予め設定されている所定値以上である場合には、前記第2の変速に切り替えられる。このようにすれば、ロックアップクラッチの係合力が大きくなる程イナーシャが大きくなるので、ダウンシフト中の自動変速機の回転変化の応答性が悪化する。そこで、ロックアップクラッチの係合力が所定値以上である場合には、第2の変速に切り替えることで、変速中のショック抑制およびドラビリ向上を両立することができる。また、ロックアップクラッチの係合力が所定値よりも小さい場合には、イナーシャが小さくなることから、第1の変速を実行しても変速時の応答性は悪化せず、ショックも好適に抑制される。
本発明が適用された動力伝達装置を有する車両用駆動装置の一例を説明する概略構成図である。 図1のエンジン、トルクコンバータ、および自動変速機の骨子図である。 図1の自動変速機において、上記各ギヤ段を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表である。 図1の自動変速機の変速を規定する変速マップである。 図1の自動変速機のパワーオンダウンシフトが実行されたときの電子制御装置による作動状態を示すタイムチャートである。 図1の電子制御装置の制御作動の要部すなわち自動変速機のパワーオンダウンシフトにおいて、ショックの抑制およびドラビリの向上を両立できる制御作動を説明するためのフローチャートである。 本発明の他の実施例である電子制御装置の制御作動の要部すなわち自動変速機のパワーオンダウンシフトにおいて、ショックの抑制およびドラビリの向上を両立できる制御作動を説明するためのフローチャートである。
ここで、好適には、本明細書中に記載のイナーシャトルク損失とは、自動変速機のダウンシフト中において駆動力源およびトルクコンバータのタービン翼車の回転速度を引き上げるために消費されるトルク損失である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された駆動装置12を有する車両10の一例を説明する概略構成図で、エンジン(ENG)14、トルクコンバータ(T/C)16、および自動変速機(AT)18を含んで駆動装置12が構成されており、差動歯車装置20から左右の車軸22を経て駆動輪24に動力が伝達される。この駆動装置12は、車両の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるものである。駆動力源であるエンジン14は、燃料の燃焼で動力を発生するガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関で、トルクコンバータ16は流体式伝動装置に相当する。
図2は、上記エンジン14、トルクコンバータ16、および自動変速機18の骨子図で、エンジン14とトルクコンバータ16との間にはダンパ26が配設されている。ダンパ26は、エンジン14のトルク変動を吸収したりねじり振動を吸収したりするもので、軸心まわりに配設された複数の圧縮コイルスプリング28を備えて構成されている。
トルクコンバータ16は、ポンプ翼車16pおよびタービン翼車16tを有し、エンジン14からダンパ26を介して伝達された動力を、流体を介してタービン軸34に出力するとともに、エンジン14の動力を流体を介することなくタービン軸34に直接伝達するロックアップクラッチ(L/Uクラッチ)36を備えている。このロックアップクラッチ36は、係合側油室38内の油圧と開放側油室40内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチであり、それが完全係合(ロックアップON)させられることにより、エンジン14の動力がタービン軸34に直接伝達される。また、所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわちトルク容量がフィードバック制御されることにより、例えば50rpm程度の所定のスリップ量ΔN(差回転ΔN)でスリップ係合させられる。具体的には、図1に記載の油圧制御回路42に設けられたソレノイド弁SLにより係合(ロックアップON)および開放(ロックアップOFF)が切り換えられるとともに、リニアソレノイド弁SLUによってロックアップON時の差圧ΔPが制御されて所定のスリップ状態とされる。上記ポンプ翼車16pには機械式のオイルポンプ44が接続されており、エンジン14によって回転駆動されることにより、ロックアップクラッチ36を係合させたり前記自動変速機18を変速したりするための油圧が発生させられる。
自動変速機18は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース50内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置52を主体として構成されている第1変速部54と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置56およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置58を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部60とを共通の軸心上に有し、タービン軸34の回転を変速して出力回転部材62から出力する。タービン軸34は、自動変速機18の入力部材に相当する。また、出力回転部材62は自動変速機18の出力部材に相当するもので、本実施例では図1に示す差動歯車装置20のドリブンギヤ(大径歯車)64と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤである。なお、この自動変速機18および前記トルクコンバータ16は、中心線(軸心)に対して略対称的に構成されており、図2の骨子図においてはその中心線の下半分が省略されている。
自動変速機18は、2つのクラッチC1、C2、および3つのブレーキB1〜B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)を備えており、それ等のクラッチCおよびブレーキBがそれぞれ係合、開放されることにより、第1変速部54および第2変速部60の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)の連結状態が変更されて、第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の6つの前進ギヤ段が成立させられるとともに、後進ギヤ段「Rev」が成立させられる。クラッチCおよびブレーキBは、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式の摩擦係合装置で、油圧制御回路42のリニアソレノイド弁SL1〜SL5によってそれぞれ係合、開放状態が切り換えられるとともに、係合、開放時の過渡油圧などが制御される。図3は、上記各ギヤ段を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表で、「○」は係合、空欄は開放、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合、「△」は駆動時のみ作動、を意味している。
図3において、前進ギヤ段では、クラッチC1とブレーキB2との係合により第1速ギヤ段「1st」が、クラッチC1とブレーキB1との係合により第2速ギヤ段「2nd」が、クラッチC1とブレーキB3との係合により第3速ギヤ段「3rd」が、クラッチC1とクラッチC2との係合により第4速ギヤ段「4th」が、クラッチC2とブレーキB3との係合により第5速ギヤ段「5th」が、クラッチC2とブレーキB1との係合により第6速ギヤ段「6th」が、それぞれ成立させられる。また、ブレーキB2とブレーキB3との係合により後進ギヤ段「Rev」が成立させられ、クラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3が何れも開放されることにより、動力伝達を遮断するニュートラル「N」が成立させられる。上記各ギヤ段の変速比γ(=タービン軸34の回転速度Nt/出力回転部材62の回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置52、第2遊星歯車装置56、および第3遊星歯車装置58の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3に応じて定められ、第1速ギヤ段「1st」の変速比γが最も大きく、高速側(第6速ギヤ段「6th」側)程小さくなる。
このような駆動装置12は、図1に示すように電子制御装置80(本発明の変速制御装置に対応)を備えている。電子制御装置80は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン14の出力制御や自動変速機18の変速制御、ロックアップクラッチ36のON・OFF制御等を実行するようになっている。この電子制御装置80は、必要に応じてエンジン制御用や変速制御用等に分けて構成される。
上記電子制御装置80には、アクセル開度センサ66により検出されたアクセルペダル68の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル操作量信号、エンジン回転速度センサ70により検出されたエンジン14の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号、冷却水温センサ72により検出されたエンジン14の冷却水温THwを表す信号、スロットル弁開度センサ74により検出された電子スロットル弁の開度θthを表すスロットル弁開度信号、タービン回転速度センサ76により検出されたタービン軸34の回転速度であるタービン回転速度Ntを表す信号、車速センサ78により検出された出力回転部材62の回転速度Noutすなわち車速Vに対応する車速信号、などがそれぞれ供給される。
また、電子制御装置80からは、電子スロットル弁の開度θthを操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、エンジン14の点火時期を指令する点火信号、エンジン14の吸気管または筒内に燃料を供給し或いは停止する燃料噴射装置によるエンジン14への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、等のエンジン制御信号Seが出力されるとともに、エンジン14を始動する際にはエンジン14をクランキングするためのモータ駆動信号Smがスタータモータ30に出力される。また、自動変速機18のギヤ段(ニュートラル「N」を含む)を切り換えるために油圧制御回路42内のリニアソレノイド弁SL1〜SL5を制御する変速制御信号Sc、ロックアップクラッチ36のON、OFFやスリップ量ΔNを制御するソレノイド弁SLおよびリニアソレノイド弁SLUを駆動するためのロックアップ制御信号Spなどが出力される。
上記電子制御装置80は、エンジン出力制御部82、変速制御部84、およびロックアップ判定部86を機能的に含んで構成されている。エンジン出力制御部82(エンジン出力制御手段)は、アクセル開度Accが増加する程エンジン出力が増大するように、スロットルアクチュエータにより電子スロットル弁をアクセル開度Accに応じて開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置による燃料噴射量を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置による点火時期を制御するなどして、エンジン14の出力制御を実行する。
変速制御部84(変速制御手段)は、自動変速機18の変速制御やニュートラル制御等を行うもので、例えば図4に示すような車速Vおよびアクセル開度Accからなる予め設定されている変速マップに従って、実際の車速Vおよびアクセル開度Accを参照することで、第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」を変速制御したり、前記後進ギヤ段「Rev」を成立させたり、総てのクラッチCおよびブレーキBを開放してニュートラル「N」にしたりする。
図4に示すように、変速マップは、車速Vおよびアクセル開度Accからなる2次元マップで構成され、各変速段に対応する実線で示すアップシフト線および破線で示すダウンシフト線が設定されている。そして、車両の走行状態が何れかの変速線を跨いだ位置に変化すると、その変速線に対応する変速段への変速が実行される。例えば、運転者のアクセルペダルの踏み込みによってアクセル開度Accが増加し、図4に示す走行状態bから走行状態aに変化すると、破線で示す第3速ギヤ段(3rd)から第2速ギヤ段(2nd)へのダウンシフト線を跨ぐので、第3速ギヤ段から第2速ギヤ段へのダウンシフトが判断される。また、車速Vが低下することで、図4に示す走行状態cから走行状態aに変化した場合も同様に、破線で示す破線で示す第3速ギヤ段(3rd)から第2速ギヤ段(2nd)へのダウンシフト線を跨ぐので、第3速ギヤ段から第2速ギヤ段へのダウンシフトが判断される。なお、第3速ギヤ段から第2速ギヤ段へのダウンシフトにおいて、図3の係合作動表に示すように、第1ブレーキB1が係合されると共に、第3ブレーキB3が開放される。したがって、例えば第3速ギヤ段から第2速ギヤ段へのダウンシフトでは、第1ブレーキB1が係合側摩擦装置となり、第3ブレーキB3が開放側摩擦装置となる。すなわち、自動変速機18は、係合側摩擦装置の係合と開放側摩擦装置の開放とが為されることで変速される。
ところで、アクセルペダル68の踏み込みに伴うアクセル開度Accの増加による自動変速機18のダウンシフト、所謂パワーオンダウンシフトが実行されるに際して、従来では、ロックアップクラッチ36の係合状態を考慮せず、一律な変速制御が実行されていた。従来の変速制御では、変速時に開放される開放側摩擦装置の油圧を、その開放側摩擦装置において滑りが生じない程度の初期油圧まで低下させて一時的に待機し、所定時間経過すると開放側摩擦装置の油圧を漸減する。この過渡期に自動変速機18の入力軸としても機能するタービン軸34の回転変化が生じる、所謂イナーシャ相が発生する。このような制御が実行されると、変速初期では、エンジントルクTeの増加に伴って駆動輪24から出力される駆動力が増加し、イナーシャ相が開始されるとイナーシャトルク損失が生じて駆動力が減少する。このように駆動力が変動することで、運転者にショックを与えていた。特に、ロックアップクラッチ36が完全係合されている状態で上記従来の変速制御を実行すると、トルクコンバータ16が本来有する流体によるショック吸収作用も殆ど機能しない。また、ロックアップクラッチ36が完全係合されていると、タービン軸34のイナーシャが大きくなるので、タービン回転速度Ntの回転上昇のレスポンスも悪く、変速応答性が悪くなる問題もあった。そこで、変速制御部84は、ロックアップクラッチ36の係合力に応じてパワーオンダウンシフトの変速制御方法を切り替えて実行する。以下、変速制御部84による自動変速機18のパワーオンダウンシフトについて詳細に説明する。
変速制御部84は、アクセルペダル68の踏み込み操作によってアクセル開度Accが増加し、変速マップのダウンシフト線を跨いたことを判断すると、自動変速機18のダウンシフト、所謂アクセルペダル68の踏み込みによるパワーオンダウンシフトの実行を判断する。ここで、パワーオンダウンシフトの変速開始に先だって、ロックアップ判定部86は、ロックアップクラッチ36の係合状態が完全係合状態であるか否かを判定する。
ロックアップ判定部86(ロックアップ判定手段)は、ロックアップクラッチ36の係合状態が完全係合、または開放状態の何れであるかを判定する。ロックアップ判定部86は、例えば予め設定されている車速Vおよびアクセル開度Accからなるロックアップクラッチ36の図示しない切替マップから、実際の車速Vおよびアクセル開度Accを参照することで、ロックアップクラッチ36の係合状態を判定する。或いは、ロックアップ判定部86は、図1に記載の油圧制御回路42に設けられたロックアップクラッチ36のオンオフを切替える切替圧を出力するソレノイド弁SLの切替圧、またはソレノイド弁SLへの指令信号に基づいてロックアップクラッチ36の係合状態を判定する。そして、変速制御部84は、ロックアップクラッチ36が完全係合状態および開放状態の何れであるかが判定されると、それに応じたパワーオンダウンシフトを実行する。
先ず、ロックアップ判定部86が、ロックアップクラッチ36が完全係合状態であると判定した場合の自動変速機18のパワーオンダウンシフトについて、図5に示すタイムチャートを用いて説明する。なお、このロックアップクラッチ36が完全係合状態であると判定した場合の自動変速機18のパワーオンダウンシフトが、本発明の第2の変速に対応している。図5のタイムチャートは、パワーオンダウンシフトが実行されたときの電子制御装置80の制御作動による作動状態(作動結果)を示しており、上から順番に、エンジン回転速度Ne(タービン回転速度Nt)、エンジントルクTe、駆動力に対応する自動変速機18の出力トルクTout、および係合側摩擦要素の係合側油圧Pclose(以下、油圧Pclose)、開放側摩擦装置の開放側油圧Popen(以下、油圧Popen)の作動状態(時間変化)を示している。なお、図5の実線が、ロックアップクラッチ36の完全係合状態でのパワーオンダウンシフトを示し、破線が、ロックアップクラッチ36の開放状態でのパワーオンダウンシフトを示している。
変速制御部84は、ロックアップクラッチ36が完全係合状態であると判定されると、運転者が車両挙動を感じる車両加速度αを生じさせる出力トルクToutが発生するタイミング、言い換えれば、車両挙動を感じる車両加速度αを生じさせるエンジントルクTeが伝達されるタイミングで開放側摩擦装置が滑り出す、すなわちタービン回転速度Ntが上昇し出す開放側摩擦装置の油圧Popenを算出し、算出された油圧Popenを指令圧として油圧制御回路42に出力する。これより、運転者が車両挙動を感じる車両加速度αが生じるエンジントルクTeが発生するときには、開放側摩擦装置が滑った状態となるので、運転者が車両挙動を感じることも防止される。ここで、前記油圧Popenは、予め実験や解析的に求められた関係マップとして記憶されており、例えば車両加速度αが0.1Gとなる駆動力(出力トルクTout)が出力されるタイミングで、タービン回転速度Ntが上昇し出す値に設定されている。具体的には、例えばエンジントルクTe等をパラメータとした油圧Popenの関係マップが予め求められており、その関係マップからアクセルペダル68が踏み込まれた時点でのエンジントルクTeを参照して、油圧Popenを決定する。なお、エンジントルクTeは、例えばアクセル開度Accおよび車速Vから成る予め求められたエンジントルクTeの関係マップから、実際のアクセル開度Accおよび車速Vを参照することで算出される。また、前記関係マップに基づいて決定される油圧が、本発明の開放側摩擦装置の初期油圧に対応している。
図5のタイムチャートにおいて、前記関係マップに基づいて決定される油圧Popen(初期油圧)は、t1時点の実線で示す油圧に対応している。開放側摩擦装置の油圧Popenがこの決定された油圧(指示圧)に設定されると、運転者が車両挙動を感じる車両加速度αを生じさせる出力トルクToutが発生する(すなわち、運転者が車両挙動を感じる車両加速度αを生じさせるエンジントルクTeが伝達される)t2時点において、開放側摩擦装置が滑り出し、タービン回転速度Ntの上昇が開始される。このように、エンジントルクTeの上昇により出力トルクToutが増加するタイミングと、タービン回転速度Ntの回転変化によるイナーシャトルク損失の発生のタイミングとが、合わせられることで、自動変速機18の出力トルクToutの駆動力変動が抑制されてショックが低減される。また、アクセルペダル68の踏み込みからタービン回転速度Ntが上昇するまでの応答時間が従来の変速制御と比べて短くなり、ドラビリが向上する。また、変速制御部84は、t2時点以降において、タービン回転速度Ntが予め設定されている変化率で上昇するように油圧Popenのフィードバック制御を実行する。なお、図5のタイムチャートでは、t2時点からt4時点までのでイナーシャ相中に開放側摩擦装置の油圧Popenが一定とされているが、実際には、前記フィードバック制御が実行されることで逐次変化する。変速制御部84は、t4時点において、タービン回転速度Ntが変速後に設定される同期回転速度に同期したことを判断すると、開放側摩擦装置の油圧Popenをさらに漸減させて開放側摩擦装置のトルク容量を零まで低下させて変速を終了する。
また、ダウンシフト時に締結される係合側摩擦装置の油圧制御について説明すると、t1時点から所定の遅れ時間経過後、変速制御手段84は、係合側摩擦装置の実際の油圧を速やかに引き上げるため、油圧Pclose(指示圧)を一時的に高い値に設定する所謂ファーストフィル制御を実行する。次いで、変速制御手段84は、イナーシャ相中において係合側摩擦装置のトルク容量が最小に維持される油圧で待機させる。そして、タービン回転速度Ntが変速後に設定される同期回転速度と略同期すると、変速制御手段84は、タービン回転速度Ntが吹き上がらないように油圧Pcloseを増圧する。
このように、ロックアップクラッチ36が完全係合状態でのパワーオンダウンシフトである場合には、上記変速制御を実行することで、ダウンシフト時のショックが低減されると共に、ドラビリ(変速応答性)も向上するという効果が得られる。
次いで、ロックアップ判定部86が、ロックアップクラッチ36が開放状態にあると判断した場合の自動変速機18のパワーオンダウンシフトについて説明する。なお、このロックアップクラッチ36の開放状態での自動変速機18のパワーオンダウンシフトは、前記従来の変速制御に対応し、本発明の第1の変速に対応している。
変速制御部84は、ロックアップクラッチ36が開放状態であると判断された場合、開放側摩擦装置の油圧Popenを低下し、その開放側摩擦装置において滑りが生じないトルク容量以上となる油圧、すなわち開放側摩擦装置に入力されるトルクを伝達できるトルク容量を確保できる油圧以上で一時的に待機させ、開放側摩擦装置が係合した状態でエンジントルクTeを伝達する。この油圧Popenは、図5のフローチャートにおいて破線で示すt1時点(変速開始時点)での油圧に対応している。図5からもわかるように、t1時点におけるロックアップクラッチ36の開放時の油圧Popenは、実線で示すロックアップクラッチ36の完全係合時の油圧Popenに比べて高い値となっている。なお、開放側摩擦装置に入力されるトルクは、エンジントルクTeやトルクコンバータ16の特性マップ等に基づいて算出され、そのトルクを伝達できるトルク容量を確保できる油圧Popenは、開放側摩擦装置を構成するピストンの受圧面積やリターンスプリングの弾性率等の各諸元から算出される。
このとき、開放側摩擦装置がトルク伝達可能なトルク容量を有しているので、、図5の破線で示すように、エンジントルクTeの増加に伴って自動変速機18の出力トルクToutが増加する。その後、変速制御部84は、開放側摩擦装置の油圧を低下させ、所定の油圧まで低下したt3時点においてイナーシャ相が開始され、タービン回転速度Ntが上昇する。変速制御部84は、タービン回転速度Ntが予め設定されている変化率で上昇するように、開放側摩擦装置の油圧Popenのフィードバック制御を実行する。これより、イナーシャトルク損失が生じて出力トルクToutが減少する。このように、図5のt2時点〜t4時点の間で、破線で示すような出力トルクToutのトルク変動が生じるが、ロックアップクラッチ36が開放されているため、そのトルク変動によって生じるショックがトルクコンバータ16の流体によるショック吸収作用によって吸収される。また、ロックアップクラッチ36の開放時ではイナーシャも小さいので、イナーシャトルク損失自体も小さくなる。そして、変速制御部84は、タービン回転速度Ntが変速後の同期回転速度に同期したことを判断すると、開放側摩擦装置のトルク容量が零となるように油圧Popenを低下させて変速を終了する。
また、ダウンシフト時に締結される係合側摩擦装置の油圧制御について説明すると、t1時点から所定の遅れ時間経過後、変速制御手段84は、係合側摩擦装置の実際の油圧を速やかに引き上げるため、油圧Pclose(指示圧)を一時的に高い値に設定する所謂ファーストフィル制御を実行する。次いで、変速制御手段84は、イナーシャ相中のトルク容量が最小に維持される油圧で待機させる。そして、タービン回転速度Ntが変速後に設定される同期回転速度に略同期すると、変速制御手段84は、タービン回転速度Ntが吹き上がらないように油圧Pcloseを上昇させる。
このように、ロックアップクラッチ36が開放されている場合のパワーオンダウンシフトは、上述した従来の変速制御(第1の変速)が実行される。ロックアップクラッチ36が開放された状態では、トルクコンバータ16の作動流体によってショックが吸収されるので、上記変速制御によってトルク変動が生じてもそれによるショックが抑制される。また、ロックアップクラッチ36が開放されているので、タービン軸34のイナーシャが小さくなっており、エンジントルクTeに対するタービン回転速度Ntの上昇の応答性(レスポンス)も高い。すなわち、従来の変速制御を実行しても変速応答性の悪化は殆ど生じない。さらに、ロックアップクラッチ36が完全係合されている場合に実施される、上述した変速制御のように、開放側摩擦装置の油圧Popenを大幅に低下させないので、油圧Popenが不安定になることもなく、油圧の制御性低下によるショックも抑制される。従って、ロックアップクラッチ36が開放されている状態では、上記のように従来の変速制御を実行しても変速応答性の悪化も殆どなく、ショックも好適に抑制される。このように、ロックアップクラッチ36が開放状態でのパワーオンダウンシフトである場合には、上述した従来の変速制御を実行することで、変速応答性の悪化も殆どなく、変速時のショックも好適に抑制されるという効果が得られる。
図6は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち自動変速機18のパワーオンダウンシフトにおいて、ショックの抑制およびドラビリの向上を両立できる制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、変速制御部84に対応するステップS1(以下、ステップを省略する)において自動変速機18のパワーオンダウンシフトの開始が判断されると、ロックアップ判定部86に対応するS2において、ロックアップクラッチ36の係合状態が判定される。ロックアップクラッチ36が開放状態にあると判断されると、変速制御手段84に対応するS7において、上述したロックアップクラッチ36の開放時に実施される従来の変速制御が実行される。一方、S2において、ロックアップクラッチ36が完全係合状態と判定されると、変速制御部84に対応するS3において、開放側摩擦装置の油圧Popenが、車両挙動を感じる車両加速度αが生じるタイミングで開放側摩擦装置が滑り出す値に設定され、初期油圧として出力される。そして、変速制御部84に対応するS4において、タービン回転速度Ntの上昇制御が開始される。具体的には、タービン回転速度Ntが所定の変化率で上昇するようにフィードバック制御が実行される。そして、変速制御部84に対応するS5において、タービン回転速度Ntが変速後の同期回転速度と同期したか否かが判定される。S5が否定される場合、S4に戻り、タービン回転速度Ntの上昇制御(フィードバック制御)が繰り返し実行される。S5が肯定される場合、変速制御部84に対応するS6において、変速終了が判定されて本ルーチンを終了する。
このように、変速制御部84は、ロックアップクラッチ36が完全係合状態でパワーオンダウンシフトを行う場合には、上述した開放側摩擦装置が滑った状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御(本発明の第2の変速に対応)に切替え、ロックアップクラッチ36が開放状態でパワーオンダウンシフトを行う場合には、開放側摩擦装置が係合した状態でエンジントルクTeを伝達する上記従来の変速制御(本発明の第1の変速に対応)に切替えることで、ショック抑制とドラビリの向上とを両立できる。言い換えれば、本発明の第2の変速に切り替えられるときのロックアップクラッチ36の係合力は、本発明の第1の変速に切り替えられるときのロックアップクラッチ36の係合力よりも大きいことで、ショック抑制とドラビリの向上とを両立できる。
上述のように、本実施例によれば、ロックアップクラッチ36の係合力が大きい場合には、変速時のイナーシャが大きくなる。このイナーシャが大きいことに起因して、ダウンシフト中のタービン回転速度Ntの応答性が悪化する。そこで、ロックアップクラッチ36が係合状態である場合には、開放側摩擦装置において滑りを生じさせてイナーシャを小さくした状態でエンジントルクTeを伝達することで、自動変速機18の回転変化の応答性が向上する。また、開放側摩擦装置において滑りを生じさせるので、エンジントルクTe上昇による駆動力増加のタイミングと、自動変速機18の回転変化に起因するイナーシャトルク損失が生じるタイミングとを合わせることで、駆動力変動を抑制してショックを低減することもできる。一方、ロックアップクラッチ36の係合力が小さい場合には、従来の変速制御(第1の変速)に切り替えられる。ロックアップクラッチ36の係合力が小さい場合には、変速時のイナーシャが小さくなる。イナーシャが小さい場合には、自動変速機18の回転変化の応答性も悪化しないので、変速応答性の悪化が問題とならない。また、ショックについてもロックアップクラッチ36が開放状態にあるので、トルクコンバータ16の流体伝動作用によってそのショックが効果的に吸収される。さらに、開放側摩擦装置の初期油圧が大幅に低下しないので、油圧の制御性が悪化することも抑制されてショックがさらに抑制される。このように、ロックアップクラッチ36の係合状態に応じて自動変速機18の変速を切替えることで、変速中のショック抑制およびドラビリ向上を両立することができる。
また、本実施例によれば、予め設定されている車両加速度αを生じさせるエンジントルクTeが伝達されるタイミングで前記開放側摩擦装置が滑り出すように、その開放側摩擦装置の初期油圧Popenが設定される。このようにすれば、予め設定されている加速度変化αを生じさせるエンジントルクTeが伝達されるタイミングで開放側摩擦装置を滑らせて、イナーシャトルク損失を発生させることで、エンジントルクTeの上昇による変速時の駆動力変化を抑制し、ショックを抑制することができる。
また、本実施例によれば、ロックアップクラッチ36が完全係合した場合には、前記開放側摩擦装置において滑りが生じた状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御(第2の変速)に切り替えられる。このようにすれば、ロックアップクラッチ36が完全係合した状態では、開放時と比べてイナーシャが大きくなる。このようなときに上記変速制御を実行することで、変速中のショック抑制およびドラビリ向上を両立することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
また、前述の実施例では、ロックアップクラッチ36が完全係合および開放の何れであるかを判断してパワーオンダウンシフトの変速制御方法を切り替えていたが、更にスリップ係合を考慮し、ロックアップクラッチ36の係合力に応じて変速制御方法を切り替えて実施することもできる。ロックアップクラッチ36の係合力が強くなるに従ってタービン軸34のイナーシャも大きくなる。そこで、ロックアップクラッチ36の係合力が予め設定されている所定値βより低い領域では、従来の変速制御を実行し、係合力が前記所定値β以上となると、開放側摩擦装置に滑りを生じさせる変速制御に切替えることでも、前述の実施例と同様の効果を得ることができる。
本実施例のロックアップ判定部86は、ロックアップクラッチ36の係合力が予め設定されている所定値β以上か否かを判定する。ここで、ロックアップクラッチ36の係合力は、例えば係合側油室38内の油圧と開放側油室40内の油圧との差圧ΔPやタービン回転速度Ntとポンプ回転速度Np(すなわちエンジン回転速度Ne)とのスリップ量ΔN(差回転ΔN)で推定することができる。例えば差圧ΔPが大きくなるに従って、ロックアップクラッチ36の係合力が大きくなる。また、スリップ量ΔN(差回転ΔN)が大きくなるに従って、ロックアップクラッチ36の係合力が小さくなる。そこで、ロックアップ判定部86は、ロックアップクラッチ36の差圧ΔP、或いはスリップ量ΔNに基づいてロックアップクラッチ36の係合力を推定し、その係合力が予め設定されている所定値β以上か否かを判定する。なお、前記所定値βは、予め実験や解析によって求められる値であり、この所定値βで変速制御方法を切替えることで、パワーオンダウンシフト時のショック抑制とドラビリ向上とを両立できるような値に設定されている。また、所定値βは、必ずしも一定値とはならず、例えばエンジントルクTe等のパラメータに応じて変化しても構わない。
変速制御部84は、ロックアップクラッチ36の係合力が予め設定されている所定値β以上である場合には、前述した実施例のロックアップ完全係合時の変速制御すなわち開放側摩擦装置において滑りを生じさせた状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御(本発明の第2の変速に対応)に切り替えて実行する。一方、ロックアップクラッチ36の係合力が予め設定されている所定値βよりも小さい場合には、変速制御部84は、前述した実施例においてロックアップクラッチ36の開放時に実施される従来の変速制御、すなわち開放側摩擦装置が係合した状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御(本発明の第1の変速に対応)に切り替えて実行する。すなわち、本発明の第2の変速に切り替えられるときのロックアップクラッチ36の係合力は、本発明の第1の変速に切り替えられるときのロックアップクラッチ36の係合力よりも大きい。なお、変速制御手段84による具体的な変速制御については、前述した実施例と同様であるので、その説明を省略する。
図7は、本発明の他の実施例である電子制御装置80の制御作動の要部すなわち自動変速機18のパワーオンダウンシフトにおいて、ショックの抑制およびドラビリの向上を両立できる制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、変速制御部84に対応するS1において自動変速機のパワーオンダウンシフトの開始が判断されると、ロックアップ判定部86に対応するS22において、ロックアップクラッチ36の係合力が所定値β以上か否かが判定される。S22が否定される場合、変速制御部84に対応するS7において、上述した従来の変速制御が実行される。一方、S22が否定される場合、S3以下のステップが実行される。なお、S3以下の具体的な制御作動についても前述した実施例と同じであるため、その説明を省略する。
上述したように、本実施例のように、ロックアップクラッチ36の係合力に応じて自動変速機18のパワーオンダウンシフト時の変速制御方法を切替えることでも、前述した実施例と同様に効果を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例の変速マップは、車速Vおよびアクセル開度Accからなる2次元マップで構成されるとしたが、例えば、車速Vを出力回転速度Nout、アクセル開度Accをスロットル弁の開度θthに置き換えて実施しても構わない。
また、前述の実施例において、開放側摩擦装置が滑り出すタイミングを、例えば車両加速度が0.1Gとなる時点としたが、これは一例であって、車両加速度の値は適宜変更しても構わない。
また、前述の実施例では、油圧Popenは、エンジントルクTeをパラメータとした関係マップに基づいて決定するとしたが、エンジントルクTeに限定されず、さらに車速V等も考慮した関係マップであっても構わない。また、関係マップに限定されず、予め求められた関係式に基づいて決定するものであっても構わない。
また、前述の実施例において、自動変速機18のイナーシャ相が開始されると、タービン回転速度Ntが予め設定されている変化率で上昇するようにフィードバック制御を実行するとしたが、必ずしも必要なくフィードバック制御を行わない態様であっても構わない。
また、前述の実施例において、ロックアップクラッチ36の係合力に基づいて開放側摩擦装置が滑った状態でエンジントルクTeを伝達する変速制御を実施する場合には、開放側摩擦装置の初期油圧Popenについても前記係合力に応じて変更されるのが好ましい。
また、前述の実施例において、開放側摩擦装置が開放されると共に、係合側摩擦装置が係合されるが、前記係合側摩擦装置に代えてワンウェイクラッチを用いる構成であっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
14:エンジン(駆動力源)
16:トルクコンバータ
18:自動変速機
26:ロックアップクラッチ
80:電子制御装置(変速制御装置)
B1〜B3:ブレーキ(摩擦係合装置)
C1、C2:クラッチ(摩擦係合装置)

Claims (4)

  1. 駆動力源と、少なくともアクセル開度に基づいて、開放側摩擦係合装置の開放を行うことで変速する自動変速機と、前記駆動力源と前記自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付トルクコンバータとを、備える車両の変速制御装置であって、
    アクセルペダルの踏み増しにより前記自動変速機をダウンシフトするに際して、前記開放側摩擦装置の初期油圧を、該開放側摩擦装置において滑りが生じないトルク容量以上となる大きさで一時待機させ、該開放側摩擦装置が係合した状態で駆動力源トルクを変速中に伝達する第1の変速と、
    前記開放側摩擦装置の初期油圧を前記第1の変速において設定される油圧よりも低い油圧に設定し、該開放側摩擦装置が滑った状態で駆動力源トルクを変速中に伝達する第2の変速とに、切替可能に構成され、
    前記第2の変速に切り替えられるときの前記ロックアップクラッチの係合力は、前記第1の変速に切り替えられるときの該ロックアップクラッチの係合力よりも大きいことを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 前記第2の変速は、予め設定されている車両加速度を生じさせる駆動力源トルクが伝達されるタイミングで前記開放側摩擦装置が滑り出すように、該開放側摩擦装置の初期油圧が設定されることを特徴とする請求項1の車両の変速制御装置。
  3. 前記ロックアップクラッチが完全係合した場合に、前記第2の変速に切り替えられることを特徴とする請求項1または2の車両の変速制御装置。
  4. 前記ロックアップクラッチの係合力が予め設定されている所定値以上である場合には、前記第2の変速に切り替えられることを特徴とする請求項1または2の車両の変速制御装置。
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