JP2014042965A - ワーク移送方法およびワーク移送システム - Google Patents

ワーク移送方法およびワーク移送システム Download PDF

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Abstract

【課題】ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを確実に把持するとともに、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送方法およびワーク移送システムを提供する。
【解決手段】ワーク移送方法は、ロボットアームに装着するワーク把持装置に備えられる複数の当接部を、ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させるとともに、複数の当接部の少なくとも一つをワークに押圧させてワークを把持する工程(S3)と、ロボットアームを作動させてワークを搬送する工程(S5)と、ワークの搬送途中においてワークを傾けて姿勢を変化させる工程(S6)と、ワークWを受けるワーク受け部400に搬送されたワークWの把持を解除して、ワークWをワーク受け部400に渡す工程(S7)と、を有している。
【選択図】図16

Description

本発明は、ワーク移送方法およびワーク移送システムに係り、特に、ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを把持して搬送するワーク移送方法およびワーク移送システムに関する。
複数の部品を加工し組み付けて、多様なバリエーションを有する製品を完成させる生産ラインでは、多種類のワークに柔軟に対応して該ワークを把持し搬送するための技術が採用されている。
例えば特許文献1の第3頁左下欄第10〜14行には、「把持しようとするワーク形状に応じて、3本の指先部材の配置位置を、把持するのに適切な配置状態に変更させる事により、ワークを確実に把持する事のできるロボットハンド及び把持方法を提供する」と記載されている。
特開平4−82686号公報
しかしながら、特許文献1に記載のロボットハンドでは、3本の指先部材の配置位置を変更するために、3つの駆動モータが設置されており、ロボットアームに装着されるハンドが大きくて重く、しかも複雑となるという課題がある。このため、ロボット先端部の動作の制約等を招く虞がある。
また、特許文献1に記載のロボットハンドは、ワークが大型で重量物である場合には、さらにハンドが大きくて重くなるために対応が困難であり、指先部材から突出可能に設けられるピン部材でワークを把持する構成を採用している点(第4頁右下欄第5〜9行、第5頁右上欄第20行〜同左下欄第5行参照)からも、小型軽量のワークの把持しか想定していないと考えられる。
したがって、特許文献1に記載のロボットハンドは、小型軽量のワークを把持してそのままの姿勢で移動させて搬送する場合に適用されるものに過ぎず、大型で重量物等の各種のワークを把持し、例えば作業状況の要請から、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変える場合については全く想定しておらず、かかる構成を開示するものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを確実に把持するとともに、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送方法およびワーク移送システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ロボットアームに装着するワーク把持装置に備えられる複数の当接部を、ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させるとともに、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記ワークを把持する工程と、前記ロボットアームを作動させて前記ワークを搬送開始する工程と、前記ワークの搬送途中において前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程と、前記ワークを受けるワーク受け部に搬送された前記ワークの把持を解除して、前記ワークを前記ワーク受け部に渡す工程と、を有することを特徴とするワーク移送方法である。
この発明によれば、ワークの把持時に、複数の当接部をワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させ、複数の当接部の少なくとも一つをワークに押圧するようにしたので、ワークの外面または内面を把持することができ、ワークの大きさや重量に関わらず、確実にワークを把持することが可能となる。しかも、例えばワークに形成された突起や孔等の特定箇所を把持する方法では、把持対象となるワークが限定されるとともに把持力にも限界があるが、本発明は、ワークの外面または内面を把持するものであるため、任意形状のワークを把持できるとともに十分な把持力を得ることができる。したがって、ワークを傾けて姿勢を変化させることを実施でき、例えばワークに溜まった切削液、切粉、塵埃等を廃棄する必要がある場合や、設備レイアウト上、把持されたワークをそのままの姿勢で移動できない場合などに対応可能となる。
すなわち、ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを確実に把持するとともに、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送方法を提供できる。
また、ワークの外面または内面を把持することができるため、ワークに対して複数の当接部が正確に位置決めされていなくても、ワークの把持が可能となる。したがって、製造工程において、作業時間の短縮が図られると共に、ワークを把持できない作業ミスの発生を抑えることができる。さらに、ワークの形状が複雑であったとしても、ワークの外面または内面に当接部が当接する場所を確保してワークを把持することは容易であり、汎用性に優れる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程は、前記ワークを複数回傾斜させる工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、ワークに残存する切削液、切粉、塵埃等を効果的に廃棄することが可能となる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを複数回傾斜させる工程は、前記ワークを複数回異なる方向に傾斜させる工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、ワークに残存する切削液、切粉、塵埃等をより効果的に廃棄することが可能となる。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程は、前記ワークを反転させて一時停止する工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、ワークに残存する切削液、切粉、塵埃等を十分に廃棄することが可能となる。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを搬送開始する工程の前に、前記ワーク把持装置に備えられ前記ロボットアームに連結する支持プレート、に配設される可動フックを、前記ワークの被係合部の前記支持プレートと反対側に移動させて前記被係合部に係合する工程、をさらに有することを特徴とする。
この発明によれば、例えばワークが濡れている場合等に当接部によりワークをうまく把持できないときでも、可動フックとワークとの係合状態が保たれるため、万一ワークが脱落するおそれを除くことができる。これにより、ワークを把持した状態で例えば揺することも可能となり、切削液、切粉、塵埃等をより十分に廃棄することができる。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを把持する工程は、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記複数の当接部を前記ワークの前記複数の被当接部にそれぞれ当接させた後、前記ワークに押圧させた当接部を前記ワークから一旦離間させ、前記ワークから離間させた当接部を前記ワークに再度押圧させて前記ワークを把持するものであることを特徴とする。
一回の動作でワークを把持する場合には、何らかの事情で想定よりもワークの位置がずれていると、当接部によるワークの把持が不十分であったり、強すぎてワークに損傷を与えたりするおそれがあるが、二段階の把持動作を行う本発明によれば、一回目でワークに軽く当たりをつけて二回目でより確実に把持することができ、ワークの把持を適切に実施することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のワーク移送方法であって、前記ワークを把持する工程の前に、前記ワーク把持装置に備えられ前記ロボットアームに連結する支持プレート、に配設されるノズルにより、前記複数の当接部をエアブローする工程、をさらに有することを特徴とする。
この発明によれば、例えば前に行われた把持作業においてワークから当接部に切削液、切粉、塵埃等が移転した場合であっても、これらを除去することができる。したがって、当接部に切削液、切粉、塵埃等が付着したまま作業を続行してワークに損傷を与えたりワークが万一脱落したりするおそれを除くことができる。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のワーク移送方法であって、前記ワークは、シェル形状を呈するシェル部を有しており、前記ワークの前記被当接部は、前記シェル部の外面または内面に位置することを特徴とする。
この発明によれば、シェル形状を呈するシェル部の外面または内面を把持して、ワークを確実に保持することができる。したがって、いわゆるシェル構造(殻構造)から構成され、製品のバリエーションに応じてシェル部の形状や大きさが変わるトランスミッションケースやトルクコンバータケース等のワークを把持して搬送するためのワーク把持システムとして、特に好適に使用することができる。
請求項9に係る発明は、ロボットアームを備えるロボットと、ロボットアームに連結する支持プレートを備え、該支持プレートに配設される複数の当接部を、ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させるとともに、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記ワークを把持するワーク把持装置と、前記ロボットアームを作動させて前記ワークを搬送するとともに前記ワークの搬送途中において前記ワークを傾けて姿勢を変化させる制御を行うロボット制御部と、搬送先で把持が解除された前記ワークを受けるワーク受け部と、を有することを特徴とするワーク移送システムである。
この発明によれば、ワークの把持時に該ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接して前記ワークを把持する複数の当接部を備え、複数の当接部の少なくとも一つをワークに押圧するようにしたので、ワークの外面または内面を把持することができ、ワークの大きさや重量に関わらず、確実にワークを把持することが可能となる。しかも、例えばワークに形成された突起や孔等の特定箇所を把持する方法では、把持対象となるワークが限定されるとともに把持力にも限界あるが、本発明では、ワークの外面または内面を把持するものであるため任意形状のワークを把持できるとともに十分な把持力を得ることができる。したがって、ワークを傾けて姿勢を変化させることを実施でき、例えばワークに溜まった切削液、切粉、塵埃等を廃棄する必要がある場合や、設備レイアウト上、把持されたワークをそのままの姿勢で移動できない場合などに対応可能となる。
すなわち、ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを確実に把持するとともに、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送システムを提供できる。
また、ワークの外面または内面を把持することができるため、ワークに対して複数の当接部が正確に位置決めされていなくても、ワークの把持が可能となる。したがって、製造工程において、作業時間の短縮が図られると共に、ワークを把持できない作業ミスの発生を抑えることができる。さらに、ワークの形状が複雑であったとしても、ワークの外面または内面に当接部が当接する場所を確保してワークを把持することは容易であり、汎用性に優れる。
本発明によれば、ロボットアームに装着するワーク把持装置によりワークを確実に把持するとともに、把持されたワークの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送方法およびワーク移送システムを提供できる。
本発明の一実施形態に係るワーク移送システムの全体構成を示す概略平面図である。 図1に示されるワーク把持装置でワークを把持する様子を説明するための概略平面図である。 図1に示されるワーク把持装置の概略斜視図である。 図1に示されるワーク把持装置の概略底面図である。 図4のV−O線に沿う断面図である。 図5の平面図である。 図5の左側面図である。 図5に示される駆動機構のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。 図5のIX−IX線に沿う断面図である。 図4のO−X線に沿う断面図である。 図4のO−XI線に沿う断面図である。 図11の底面図である。 図11の右側面図である。 (a)はフック装置の側面図であり、(b)はフック装置の底面図である。 ワーク移送システムの制御ブロック図である。 ワーク移送システムの動作の内容を示すフローチャートである。 (a)〜(d)は、ワークを傾けて姿勢を変化させる様子を説明するための図である。 駆動機構の変形例のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。 変形例に係る駆動機構のアーム側から見た図である。 図19のXX−XX線に沿う断面図である。 (a)(b)は、駆動機構の取付構造の変形例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(c)は、ワークの把持方法のバリエーションについて説明するための概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク移送システムの全体構成を示す概略平面図である。図2は、図1に示されるワーク把持装置でワークを把持する様子を説明するための概略平面図である。図3は、図1に示されるワーク把持装置の概略斜視図である。図4は、図1に示されるワーク把持装置の概略底面図である。
図1に示すように、ワーク移送システムは、ロボットアーム101を備えるロボット100と、ロボットアーム101の先端部102に装着するワーク把持装置1と、ロボットアーム101を旋回、移動等、作動させてワークWを搬送するとともにワークWの搬送途中においてワークWを傾けて姿勢を変化させる制御を行うロボット制御部501(図15参照)と、搬送先において把持が解除されたワークWを受けるワーク受け部400と、を有している。
ワーク受け部400は、ワークWがセットされる治具(図示せず)を備えている。ワークWは、ワーク受け部400の治具にセットされた状態で、作業装置410に投入されて、所定の作業が施されるようになっている。
ここでは、前工程が切削加工工程であり、作業装置410で行われる作業工程は、切削液、切粉、塵埃等の除去工程、あるいは乾燥・検査工程である。なお、作業装置410で行われる作業工程は、前記した工程に限定されるものではなく、例えば前工程が鋳造等の成形加工工程の場合には、バリ取り工程、巣穴等の検査工程、あるいは穴あけ等の加工工程であり、例えば前工程が加工完了工程の場合には、組立工程である。
ワーク把持装置1は、多関節ロボット100のロボットアーム101の先端部102に装着して種々のバリエーションを有するワークWを把持して保持する保持装置(ロボットハンド)として好適に使用することができる。
多関節ロボット100は、ローラコンベア等の搬送装置200によって取り出し位置まで搬送されてきたワークWを、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1により把持し、ロボットアーム101を旋回、移動等、作動させて、ワークWを次工程まで搬送する工程を担っている。
図1および図2に示すように、ワーク把持装置1は、ロボットアーム101に連結する支持プレート2と、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に該ワークWの第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2にそれぞれ当接してワークWを把持する駆動側の当接部11(図5を併せて参照)および受け側の当接部12,12と、を備えている。なお、図2中の符号「8」は、後記する押さえ部材8を示す。また、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、自在移動機構5a,5b(図3等参照)により、ワークWの種類に応じて、それぞれ図2中の二点鎖線で示す矢印方向に移動可能とされている。
本実施形態では、ワークWは、いわゆるシェル構造(殻構造)から構成されており、シェル形状を呈するシェル部(リブ状壁部)Sを有している。ワークWとして、例えばトランスミッションケースやトルクコンバータケース等が挙げられる。ここでは、ワークWの第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2は、それぞれシェル部Sの外面に位置する。
図3および図4に示すように、支持プレート2は、略三角形の板状を呈しており、略円筒形状の取付部21を介してロボットアーム101の先端部102に連結される。なお、図4中の符号「O」は、支持プレート2の中心、つまり、ロボットアーム101の先端部102が連結される取付部21の中心を示す。駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、ここでは、支持プレート2の中心Oのまわりの周方向に概ね等角度(120度)間隔で配設されている。ただし、必ずしも等角度間隔でなくてもよい。
また、ワーク把持装置1は、支持プレート2に配設され、ワークWの把持時に駆動側の当接部11をワークWの第1の被当接部W1に押圧する駆動機構3と、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12を支持プレート2に対して自在移動可能に支持する自在移動機構5a,5bと、自在移動機構5a,5bによる自在移動を規制する移動規制装置71,71と、を備えている。
図4中の符号「9」は、後記するフック装置9を示す。フック装置9は、ブラケット91を介して支持プレート2に固定されて配設されている。ここでは、フック装置9は、支持プレート2に2個設置されているが、設置個数は任意に設定可能である。なお、図2および図3では、説明の都合上、フック装置9の図示を省略している。
図5は、図4のV−O線に沿う断面図である。図6は、図5の平面図である。図7は、図5の左側面図である。図8は、図5に示される駆動機構のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。図9は、図5のIX−IX線に沿う断面図である。
図5〜図7に示すように、自在移動機構5aは、支持プレート2に固定される支持部材51a,51bと、支持部材51a,51bに回転自在に支持されるねじ軸52と、ねじ軸52に螺合されるナット部材53と、ナット部材53に固定され、駆動側の当接部11が取り付けられた駆動機構3が配設される取付部材54aと、取付部材54aを支持プレート2に対してねじ軸52の軸方向に移動自在に案内する直線運動案内装置55(図6参照)と、を有している。また、駆動側の当接部11のワークWとの接触面をエアブローするノズル13(図5参照)が、取付部材(図示せず)を介して支持プレート2に取り付けられている。
ナット部材53と取付部材54aとは、例えばねじ部材58によって固定されている(図6参照)。なお、図6中の符号22は、ワーク把持装置1の組立作業において必要な逃がし孔を示す。
ねじ軸52は、ワーク把持装置1の外部に設けられる駆動装置の回転軸(図示せず)に接続可能な接続部52aを備えている。接続部52aは、外部の駆動装置の回転軸に設けられた係合部(図示せず)に、回転力が伝達可能に係合されることが可能となっている。
直線運動案内装置55は、支持プレート2と取付部材54aとの間に設けられており、支持プレート2の下面にねじ軸52の軸方向に沿って配設されたガイドレール56と、取付部材54aの上面に固定され、ガイドレール56に沿って移動自在に配設されたホルダ57とを備えている。
移動規制装置71は、ねじ軸52が移動規制装置71の内部を挿通するように、支持プレート2の外縁に取付板23を介して設置されている。移動規制装置71は、自在移動機構5aによる自在移動の規制時に、ねじ軸52をクランプして回転を止める。ここでは、移動規制装置71は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。例えば、移動規制装置71は、エア供給口71aからのエアの供給により、ねじ軸52をクランプするクランプ部をばね部材(いずれも図示せず)の付勢力に抗して開くことによってねじ軸52をアンクランプし、エア供給口71aからのエアの供給を停止することにより、ばね部材の付勢力によってクランプ部が閉じてねじ軸52をクランプするものであり、市販品のシャフトクランプを使用することができる。ただし、移動規制装置71の構成はこれに限定されるものではない。
前記のような構成によれば、ねじ軸52の接続部52aにワーク把持装置1の外部に設けられる駆動装置(図示せず)を接続して作動させることにより、ねじ軸52とナット部材53とのねじ送り作用によって、駆動側の当接部11をねじ軸52の軸方向に移動させることができる。ただし、作業者が工具を用いて接続部52aを回転させることにより、駆動側の当接部11を移動させて調整することも可能である。また、ねじ軸52をクランプして回転を止めることにより、自在移動機構5aによる自在移動を容易に規制することができる。このようにして、自在移動機構5aおよび移動規制装置71を、簡易でコンパクトな構成とすることができる。
また、ねじ軸52には、ナット部材53と螺合する、ねじ山の断面が台形を呈する台形ねじが形成されている。台形ねじは、ねじ山の頂角が一般的な三角ねじよりも小さく、ねじ山の斜面の傾斜がきつくなっている。したがって、台形ねじの使用によるセルフロック効果が働くことにより、ナット部材53とねじ軸52とを保持することができ、例えばワークWのワーク把持装置1からの脱落等の不測の事態を抑止することが可能となる。
図5、図7および図8に示すように、駆動機構3は、駆動力を発生する駆動源31と、駆動源31が取り付けられる本体部32と、駆動源31の駆動力により軸方向に移動させられるシャフト33と、本体部32に設けられたピン(支点)34のまわりで揺動可能に配置されるアーム35と、を有している。アーム35は、ワークWの把持時に、その一端側(上端側)がシャフト33により図5中の左方向に押圧されると共に、他端側(下端側)が駆動側の当接部11をワークWに向けて押圧するように構成されている。このような構成によれば、駆動機構3の占有空間を有効に活用してワークWを確実に保持でき、駆動機構3をコンパクト化することができる。
また、駆動機構3は、駆動源31の駆動力により回転されるドライブギア36と、本体部32に固定されるナット部37と、を有している。そして、シャフト33には、ドライブギア36に噛合するドリブンギア38が固定されており、シャフト33の外周面には、ナット部37と螺合するおねじ39が形成されている。
このような構成によれば、駆動源31の駆動力によりドライブギア36を回転させてシャフト33に固定されたドリブンギア38を回転させることにより、おねじ39が形成されたシャフト33とナット部37とのねじ送り作用によって、シャフト33を軸方向に移動させることができる。このようにして、駆動機構3を簡易でよりコンパクトな構成とすることができる。
本体部32は、ドライブギア36、ドリブンギア38、およびナット部37が配置されるハウジング32aと、ハウジング32aの開口端側に取り付けられるカバー32bとを有している。ハウジング32aのアーム35側には、ピン34を支持する一対の支持板部32cが形成されている。カバー32bには、駆動源31と、移動規制装置72とが例えばねじ締結等により取り付けられている。
ここでは、駆動源31は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。例えば、駆動源31は、エア供給口31aからのエアの供給によりドライブギア36を時計方向に所定角度(例えば180度)だけ回転させ、一方、エア供給口31bからのエアの供給によりドライブギア36を反時計方向に所定角度(例えば180度)だけ回転させるものであり、市販品のロータリーアクチュエータを使用することができる。ただし、駆動源31の構成はこれに限定されるものではない。
移動規制装置72は、シャフト33が移動規制装置72の内部を挿通するように、設置されている。移動規制装置72は、駆動側の当接部11のワークWからの離間時に、シャフト33をクランプして回転を止めて、ワークWのアンクランプ状態を維持するのに使用される。ここでは、移動規制装置72は、空圧機器であり、空気圧によって作動する。移動規制装置72として、例えば、前記した移動規制装置71と同様の構造のものを使用することができるが、移動規制装置72の構成はこれに限定されるものではない。
シャフト33に形成されたおねじ39は、ナット部37と螺合する、ねじ山の断面が台形を呈する台形ねじである。したがって、台形ねじの使用によるセルフロック効果が働くことにより、ナット部37とシャフト33とを保持することができ、例えばワークWのワーク把持装置1からの脱落等の不測の事態を抑止することが可能となる。
駆動側の当接部11は、ここでは円筒形状を呈しており、ワークWとの当接面が樹脂から形成されている。これにより、ワークWを傷つけることなく把持することができる。具体的には、当接部11は、樹脂から形成される外層11aと外層11aの内側に配置される金属から形成される内層11bとを有している(図7参照)。このように外層11aのみを樹脂から形成することにより、例えば把持時の衝撃等で樹脂部材に変形やクラック等が発生する虞を抑制できる。当接部11の外層11aの材料としては、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等が挙げられる。ただし、当接部11は、ワークWよりも硬度の低い他の材料から形成されていてもよい。
駆動側の当接部11は、円筒形状のカラー41を介装して、ねじ部材42によりアーム35の下端に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、当接部11は、ワークWと頻繁に接触するものであるが、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。
図5および図9に示すように、駆動機構3は、シャフト33の先端側とアーム35の上端側とを連結する連結機構43を有している。そして、連結機構43は、シャフト33の先端側の外周面に円周方向に沿って形成された環状の溝43aと、アーム35の上端側に設けられ、溝43aに係合するピン43bとを有している。連結機構43は、アーム35の上端側に形成された円形の凹部44内に配置されており、ピン43bは、凹部44の内面から半径方向内方に突出するように設けられている。
このような構成によれば、部品点数が少ない簡易な構成の連結機構43により、シャフト33の先端側とアーム35の上端側とを連結することができる。そして、シャフト33をアーム35と反対側に移動させることにより、連結機構43を介してアーム35を揺動させ、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1から離間させて、その状態を維持することができるようになっている。
また、凹部44の底面には、例えば円板状の被押圧部材45が圧入等により設置されている。したがって、シャフト33をアーム35側に移動させることにより、シャフト33の先端で被押圧部材45を押圧してアーム35を揺動させ、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1に押圧することができる。被押圧部材45は、耐摩耗性が良好で高強度の例えば鋼板から形成されており、シャフト33の先端による頻繁な押圧によっても摩耗・損傷を抑えることができる。
図10は、図4のO−X線に沿う断面図である。
図10に示すように、ワーク把持装置1はまた、支持プレート2に支柱83を介して配設される押さえ部材8を備えている。押さえ部材8は、ワークWの把持時にワークWの支持プレート2側の端面に接触するものである。このような構成によれば、駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1(図2参照)に押圧してワークWを把持する際にワークWを押さえ部材8で押さえることができ、ワーク把持装置1に対してワークWが傾斜してしまう虞を未然に防止することが可能となる。これにより、ワークWの把持姿勢が変化してしまってワークWの搬送先での作業に支障をきたす事態を回避することができる。
支柱83は、支持プレート2の平面に垂直な方向に延在する長尺の板部材84と、板部材84の支持プレート2側に固定される取付板85とを有している。取付板85は、支持プレート2にねじ締結等により固定されており、押さえ部材8は、板部材84の支持プレート2と反対側の端部にねじ締結等により固定されている。
押さえ部材8は、長尺のものであり、支持プレート2の中心O(図4参照)から半径方向外方に向かう方向に沿って延在している。これにより、異なる大きさや形状を有する種々のワークWに柔軟に対応して、ワークWを押さえ部材8で押さえることが可能となっている。また、押さえ部材8は、支持プレート2の中心Oに対して、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12(図2参照)の反対側にそれぞれ配置されている。具体的には、押さえ部材8は、支持プレート2の中心Oのまわりの周方向に概ね等角度(120度)間隔で、かつ、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12における各当接部間に配置されている。したがって、ワークWを把持する際に支持プレート2の中心Oに対してワークWの被当接部W1,W2,W2(図2参照)と反対側をそれぞれ押さえ部材8で押さえることができ、ワークWの把持姿勢の変化を、より効果的に抑制することが可能となる。なお、かかる押さえ部材8の配置とする場合、当接部同士が支持プレート2の中心Oに対して互いに反対側とならない設定となる。
押さえ部材8は、ワークW側に位置される接触部81と、ワークWと反対側に位置される取付部82とを有している。接触部81は、ここでは樹脂から形成されている。これにより、ワークWを傷つけることなく押さえることができる。接触部81の材料となる樹脂としては、例えば当接部11と同様のものが挙げられる。ただし、接触部81は、ワークWよりも硬度の低い他の材料から形成されていてもよい。接触部81は、例えばねじ締結により取付部82の下面に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、接触部81は、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。
図11は、図4のO−XI線に沿う断面図である。図12は、図11の底面図である。図13は、図11の右側面図である。
図11〜図13に示すように、自在移動機構5bは、支持プレート2に固定される支持部材51a,51bと、支持部材51a,51bに回転自在に支持されるねじ軸52と、ねじ軸52に螺合されるナット部材53と、ナット部材53に固定され、受け側の当接部12が配設される取付部材54bと、取付部材54bを支持プレート2に対してねじ軸52の軸方向に移動自在に案内する直線運動案内装置55と、を有している。また、受け側の当接部12のワークWとの接触面をエアブローするノズル13(図11参照)が、取付部材(図示せず)を介して支持プレート2に取り付けられている。
自在移動機構5bは、取付部材54bの大きさや形状が取付部材54aと異なっているが、その他の構成は、図5〜図7に示す自在移動機構5aと同様であるため、詳しい説明を省略する。また、図11〜図13に示す移動規制装置71も、図5〜図7に示すものと同様であるため、詳しい説明を省略する。
受け側の当接部12は、取付部材54bに支柱部材61を介して配設される。支柱部材61は、取付部材54bの平面に垂直な方向に延在する長尺の円柱部62と、円柱部62の取付部材54b側に固定される板状部63とを有している。板状部63は、取付部材54bにねじ締結等により固定される。受け側の当接部12は、円筒形状のカラー41を介装して、ねじ部材42により、円柱部62の取付部材54bと反対側の端部に固定されており、ワーク把持装置1に対して着脱可能となっている。したがって、当接部12は、損傷またはその虞がある場合には容易に交換でき、ワークWの保持をより確実にすることができる。受け側の当接部12は、ここでは駆動側の当接部11と同様の構成であるため、詳しい説明を省略する。
次に、フック装置9について説明する。図14(a)は、フック装置の側面図であり、図14(b)は、フック装置の底面図である。
図14に示すように、フック装置9は、シリンダ本体90と、シリンダ本体90内で摺動自在には位置されるピストン(図示せず)に接続されるロッド93と、ロッド93の先端部に固定される可動フック92とを備えている。ロッド93は、シリンダ本体90内に配置されるばね部材(図示せず)によりシリンダ本体90内に後退する方向に付勢されている(実線で示す)。そして、アンクランプポート94に例えば空気圧を供給することにより、ロッド93は、シリンダ本体90から外方に進出する方向に移動させられる(二点鎖線で示す)。
ここで、ロッド93は、例えばカム機構(図示せず)の作用によりロッド93の進退移動に伴って90度回転するように構成されており、ロッド93の進出時には可動フック92の先端92aがワークW側方向に直交する方向に向いてワークWから離間し、ロッド93の後退時には可動フック92の先端92aがワークW側方向に向いてワークWに近接するようになっている。すなわち、アンクランプポート94に空気圧が供給されてロッド93が進出した後に、アンクランプポート94への空気圧の供給が停止されると、ロッド93が後退するとともに軸まわりに90度回転させられ、可動フック92は、ワークWの被係合部W3の支持プレート2(図4参照)と反対側に移動させられて、該被係合部W3に係合できるように構成されている。フック装置9としては、市販品の例えばイマオ社製のエアスイングクランプ(フック付き)を使用することができる。ただし、フック装置9は、前記した構成に限定されるものではない。
図15は、ワーク移送システムの制御ブロック図である。
図15に示すように、ワーク移送システム全体の制御を司る制御装置500は、ロボット100(図1参照)の動作を制御するロボット制御部501と、ワーク把持装置1の動作を制御するワーク把持制御部502とを有している。ここで、ロボット制御部501とワーク把持制御部502とは、相互に通信可能となっている。ただし、これらの制御部の機能を一つの処理装置が果たす構成であってもよい。ロボット制御部501は、撮像装置504と接続されている。ロボット制御部501は、例えばワークWの把持時には、ワークWの取出し位置にあるワークWを撮像した画像情報を撮像装置504から受信する。
次に、図16および図17を参照して、本実施形態に係るワーク移送システムの動作とともにワーク移送方法について説明する。
図16は、ワーク移送システムの動作の内容を示すフローチャートである。図17(a)〜(d)は、ワークを傾けて姿勢を変化させる様子を説明するための図である。
図1に示すように、ワークWは、搬送装置200により搬送されて、取出し位置にて停留させられる。ここでは、ワーク把持装置1に撮像装置504(図15参照)が搭載されているものとする。そして、ワークWが取出し位置に停留させられた状態で、ロボット制御部501(図15参照)の指令により、ロボット100は、撮像装置504が搭載されたワーク把持装置1をワークWの撮影位置に移動させ、該撮像装置504によりワークWを撮像し、得られた画像情報から搬送装置200上に載置されたワークWの姿勢及び位置を検知する(図16のステップS1)。なお、ロボット制御部501に接続される画像処理装置(図示せず)により、ワークWの特徴形状部分と予め用意されているマスター画像とのマッチングが行われ、目的のワークWでない不適ワークであると判定された場合には、該不適ワークはワーク排出部(図示せず)に排出される。
続いて、得られた画像情報に基づいて、ロボット制御部501の指令により、ロボット100がワーク把持装置1の姿勢及び位置を変化させることにより、ワーク把持装置1をワークWに正対させる。このとき、駆動側の当接部11は、水平方向に僅かの隙間を有して、ワークWの第1の被当接部W1(図2参照)に対向する位置にある。また、2つの受け側の当接部12,12は、水平方向に僅かの隙間を有して、ワークWの2つの第2の被当接部W2,W2(図2参照)にそれぞれ対向する位置にある。
続いて、ワークWを把持する前に、ワーク把持制御部502(図17参照)の指令により、支持プレート2に配設されるノズル13(図5、図11参照)が、支持プレート2に配設される複数の当接部11,12,12をエアブローする(ステップS2)。これにより、例えば前に行われた把持作業においてワークWから当接部11,12,12に切削液、切粉、塵埃等が移転した場合であっても、これらを除去することができる。
そして、ワーク把持制御部502の指令により、駆動機構3の駆動源31が作動されることによって、シャフト33が軸方向に移動させられてアーム35の上端側を押圧し、アーム35が図5における反時計方向に揺動させられる。これにより、アーム35の下端側に設けられた駆動側の当接部11がワークWの第1の被当接部W1を押圧する。この結果、駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12は、ワークWの外面に位置する第1の被当接部W1および第2の被当接部W2,W2に、3方向からそれぞれ当接してワークWを把持する(ステップS3)。このとき、押さえ部材8も、ワークWの支持プレート2側の端面に当接する。
本実施形態では、ステップS3において、ワーク把持装置1は、駆動側の当接部11をワークWに押圧させて複数の当接部11,12,12をワークWの複数の被当接部W1,W2,W2にそれぞれ当接させた後、ワークWに押圧させた当接部11をワークWから一旦離間させ、ワークWから離間させた当接部11をワークWに再度押圧させてワークWを把持する。一回の動作でワークWを把持する場合には、何らかの事情で想定よりもワークWの位置がずれていると、当接部11,12,12によるワークWの把持が不十分であったり、強すぎてワークWに損傷を与えたりするおそれがあるが、二段階の把持動作を行う本実施形態によれば、一回目でワークWに軽く当たりをつけて二回目でより確実に把持することができ、ワークWの把持を適切に実施することができる。
続いて、ワーク把持制御部502の指令により、ワークWを搬送開始する前に、支持プレート2に配設されるフック装置9の可動フック92が、ワークWの被係合部W3の支持プレート2と反対側に移動させられて、被係合部W3に係合させられる(ステップS4、図14参照)。これにより、可動フック92とワークWとの係合状態が安定的に保たれるため、ワークWがより確実に保持される。なお、ステップS4は、ステップS3と同時あるいはその前に実行されてもよい。
続いて、ロボット制御部501の指令により、ロボット100は、ワーク把持装置1によりワークWが把持された状態でロボットアーム101を旋回、移動等、作動させて、ワークの搬送を開始する(ステップS5)。
そして、ワークWの搬送途中において、ロボット制御部501の指令により、ロボット100は、ワーク把持装置1により把持されたワークWを傾けて姿勢を変化させる(ステップS6)。これにより、ワークWに溜まった切削液、切粉、塵埃等を廃棄する必要がある場合や、設備レイアウト上、把持されたワークWをそのままの姿勢で移動できない場合などに対応可能となる。
ステップS6において、ワークWは、複数回(例えば同じ方向に)傾斜させられてもよい。これにより、ワークWに残存する切削液、切粉、塵埃等を効果的に廃棄することが可能となる。さらには、ステップS6において、ワークWは、複数回異なる方向に傾斜させられてもよい。例えば、ワークWは、図17(a)の把持初期の状態から、図17(a)における右方向Rに例えば90度〜120度傾斜させられた後(図17(b)参照)、今度は反対側である左方向Lに例えば90度〜120度傾斜させられる(図17(c)参照)。これにより、ワークWに残存する切削液、切粉、塵埃等をより効果的に廃棄することが可能となる。なお、ワークWを傾けて姿勢を変化させる動作は、ワークWの搬送途中において、一旦搬送動作を停止した状態で行われてもよいし、ワークWの搬送動作の継続中に行われてもよい。
また、ステップS6において、ワークWは、反転させられて一時停止されてもよい(図17(d)参照)。これにより、ワークWに残存する切削液、切粉、塵埃等を十分に廃棄することが可能となる。
続いて、ロボット制御部501の指令により、ロボット100は、ワーク把持装置1によりワークWが把持された状態でロボットアーム101を旋回、移動等、作動させて、ワークWをワーク受け部400(図1参照)まで搬送し、ワークWの把持を解除して、該ワークWを搬送先であるワーク受け部400に渡す(ステップS7)。そして、ワークWは、ワーク受け部400に備えられた治具にセットされた状態で、作業装置410(図1参照)に投入される。ここで、ワークWは搬送途中で傾けられて姿勢が変化させられて、ワークWに残存する切削液、切粉、塵埃等が廃棄されるため、その後の作業装置410における作業は、より良好に実施され得る。
前記したように、本実施形態のワーク移送方法は、ロボットアーム101に連結する支持プレート2に配設される複数の当接部11,12,12を、ワークWの複数の被当接部W1,W2,W2にそれぞれ当接させるとともに、複数の当接部11,12,12のうちの駆動側の当接部11をワークWに押圧させてワークWを把持する工程(ステップS3)と、ロボットアーム101を作動させてワークWを搬送開始する工程(ステップS5)と、ワークWの搬送途中においてワークWを傾けて姿勢を変化させる工程(ステップS6)と、ワークWを受けるワーク受け部400に搬送されたワークWの把持を解除して、ワークWをワーク受け部400に渡す工程(ステップS7)と、を有している。
したがって、本実施形態によれば、ワークWの把持時に、複数の当接部11,12,12をワークWの複数の被当接部W1,W2,W2にそれぞれ当接させ、駆動側の当接部11をワークWに押圧するようにしたので、ワークWの外面または内面を把持することができ、ワークWの大きさや重量に関わらず、確実にワークWを把持することが可能となる。しかも、例えばワークWに形成された突起や孔等の特定箇所を把持する方法では、把持対象となるワークWが限定されるとともに把持力にも限界があるが、本実施形態は、ワークWの外面または内面を把持するものであるため、任意形状のワークWを把持できるとともに十分な把持力を得ることができる。したがって、ワークWを傾けて姿勢を変化させることを実施でき、例えばワークWに溜まった切削液、切粉、塵埃等を廃棄する必要がある場合や、設備レイアウト上、把持されたワークWをそのままの姿勢で移動できない場合などに対応可能となる。
すなわち、ロボットアーム101に装着するワーク把持装置1によりワークWを確実に把持するとともに、把持されたワークWの姿勢を搬送途中で変えることができるワーク移送方法を提供できる。
また、ワークWの外面または内面を把持することができるため、ワークWに対して複数の当接部11,12,12が正確に位置決めされていなくても、ワークWの把持が可能となる。したがって、製造工程において、作業時間の短縮が図られると共に、ワークWを把持できない作業ミスの発生を抑えることができる。さらに、ワークWの形状が複雑であったとしても、ワークWの外面または内面にワーク把持装置1の当接部11,12,12が当接する場所を確保してワークWを把持することは容易であり、汎用性に優れる。
また、本実施形態は、ワークWを把持する工程(ステップS3)の前に、ワーク把持装置1に備えられロボットアーム101に連結する支持プレート2、に配設されるノズル13により、複数の当接部11,12,12をエアブローする工程(ステップS2)をさらに有している。これにより、例えば前に行われた把持作業においてワークWから当接部11,12,12に切削液、切粉、塵埃等が移転した場合であっても、これらを除去することができる。したがって、当接部11,12,12に切削液、切粉、塵埃等が付着したまま作業を続行してワークWに損傷を与えたりワークWが万一脱落したりするおそれを除くことができる。
また、本実施形態は、ワークWを搬送開始する工程(ステップS5)の前に、ワーク把持装置1に備えられロボットアーム101に連結する支持プレート2、に配設されるフック装置9の可動フック92を、ワークWの被係合部W3の支持プレート2と反対側に移動させて被係合部W3に係合する工程(ステップS4、図14参照)をさらに有している。これにより、可動フック92とワークWとの係合状態が安定的に保たれるため、ワークWがより確実に保持される。したがって、例えばワークWが濡れている場合等に当接部11,12,12によりワークWをうまく把持できないときでも、万一ワークWが脱落するおそれを除くことができる。さらには、ワークWを把持した状態で例えば揺することも可能となり、切削液、切粉、塵埃等をより十分に廃棄することができる。
次に、前記した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成(変形例)に関して説明する。前述した実施形態と同じ構成については同じ符号を付して重複する説明を適宜省略し、相違する点について主に説明する。
図18は、駆動機構の変形例のアーム周辺を示す斜め下方から見た概略斜視図である。図19は、変形例に係る駆動機構のアーム側から見た図である。図20は、図19のXX−XX線に沿う断面図である。
図18〜図20に示すように、駆動機構3aは、駆動側の当接部11が設置され、ワークWの把持時にアーム35aの下端側により押圧される押圧部材46と、ワークWの把持時に押圧部材46をワークWに向けて直線方向に移動するように案内する案内機構47と、を有している。
押圧部材46は、アーム35aの下端部35bを囲繞するようにして係合する矩形枠状を呈する係合部46aと、係合部46aが下面に設けられる移動片46bとを備えている。この移動片46bの下面に、駆動側の当接部11がねじ部材42により固定されている。案内機構47は、移動片46bの側端面に形成された一対の溝部47a,47aと、本体部32に固定された一対のレール部材48,48の対向する内側に位置され、溝部47a,47a内にそれぞれ摺動自在に嵌合する一対の側方端縁47b,47bとから構成されている。このようにして、押圧部材46は、一対のレール部材48,48の間で摺動自在に支持されており、シャフト33の軸方向に沿って移動自在となっている。
このような構成によれば、シャフト33がアーム35aの上端側を押圧すると、アーム35aが揺動して、アーム35aの下端部35bが押圧部材46を押圧し、駆動側の当接部11が設置された押圧部材46は、案内機構47により案内されてワークWに向けて直線方向に移動する。これにより、ワーク把持装置1の駆動側の当接部11をワークWの被当接部W1に対して略垂直の直線方向に押圧することができ、ワークWをより確実に保持することができる。
図21(a)(b)は、駆動機構の取付構造の変形例を模式的に示す断面図である。なお、図21では、各部を適宜拡大、縮小、簡略化等して描いている。
図21に示す変形例では、支持プレート2と駆動機構3との間に、支持プレート2と駆動機構3とを連結する連結部材24が備えられている。支持部材51a,51bは、ねじ部材25により連結部材24に固定され、連結部材24は、ねじ部材26により支持プレート2に固定される。すなわち、支持部材51a,51bは、連結部材24を介して支持プレート2に固定されている。また、図21では図示省略するが、ガイドレール56(図7参照)が、連結部材24の下面に固定されている。すなわち、ガイドレール56は、連結部材24を介して支持プレート2にねじ軸52の軸方向に沿って配設されている。
そして、連結部材24の支持プレート2に対する該支持プレート2に平行な平面内での設置方向は、連結部材24が前記平面内で所定角度回転されることにより変更可能に構成されている。このような構成によれば、駆動側の当接部11をワークWの第1の被当接部W1に押圧する際に、駆動側の当接部11の押圧方向を、ワークWの中心に近付く方向(図21(a)参照)や、ワークWの中心から遠ざかる方向(図21(b)参照)等、各種の方向に設定することができる。したがって、ワークWの種類に応じて押圧方向を調整でき、ワークWをより確実に保持することが可能となる。
具体的には、ねじ部材26は、ここでは、支持プレート2に平行な平面内における四角形の頂点に当たる4箇所に配設されている。したがって、ねじ部材26を外して連結部材24を支持プレート2に平行な平面内で180度回転させた後、ねじ部材26で連結部材24を支持プレート2に再度固定すれば、駆動側の当接部11の押圧方向を180度反対方向に変更することができる。これにより、単一のワーク把持装置1で、駆動側の当接部11をワークWの外面および内面のいずれにも押圧させることができ、ワークWの外面および内面のいずれをも把持することが可能となる。なお、ねじ部材26は、支持プレート2に平行な平面内における円周上等角度間隔で複数箇所に配設されてもよい。このようにすれば、駆動側の当接部11の押圧方向を、隣接するねじ部材26の角度間隔の整数倍だけ変化させることが可能となる。
なお、駆動機構3の本体部32は、ここでは、取付部材54aに平行な平面内における四角形の頂点に当たる4箇所に配設されたねじ部材27により、取付部材54aに固定されるように構成されている(図21参照)。このため、ねじ部材27を外して駆動機構3を取付部材54aに平行な平面内で180度回転させた後、ねじ部材27で駆動機構3を取付部材54aに再度固定すれば、駆動側の当接部11の押圧方向を180度反対方向に変更することが可能である。この場合、取付部材54aが、支持プレート2と駆動機構3との間に配置され支持プレート2と駆動機構3とを連結する連結部材24として、機能することになる。なお、ねじ部材27は、取付部材54aに平行な平面内における円周上等角度間隔で複数箇所に配設されてもよい。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態(変形例を含む)に記載した構成に限定されるものではなく、前記した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば図2では、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの外面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図22(a)〜(c)は、ワークの把持方法のバリエーションについて説明するための概略平面図である。なお、図22中の矢印は、駆動側の当接部11によるワークWへの押圧方向を示す。
図22(a)に示すように、ワーク把持装置1は、シェル構造を有さない例えば中実の円柱形状を呈するワークWの外面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持するのに使用されてもよいことは勿論である。また、図22(b)に示すように、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの内面に駆動側の当接部11および受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させてワークWを把持するのに使用されてもよい。この場合、例えば図5における駆動機構3を取付部材54aに平行な平面内で180度回転させた位置で固定した構成にするとよい。また、図22(c)に示すように、ワーク把持装置1は、ワークWのシェル部Sの外面に駆動側の当接部11を当接させると共に、ワークWのシェル部Sの内面に受け側の当接部12,12をそれぞれ当接させて、ワークWを把持するのに使用されてもよい。
また、前記した実施形態においては、ワーク把持装置1は、1つの駆動側の当接部11と2つの受け側の当接部12,12との3つの当接部をワークWに当接させて把持するように構成したが、これに限定されるものではない。ワーク把持装置1は、2つの当接部をワークWに当接させて把持するように構成してもよく、4つ以上の当接部をワークWに当接させて把持するように構成してもよい。また、複数設けられた当接部のうち少なくとも一つの当接部が駆動側の当接部11であればよく、例えばすべての当接部が駆動側の当接部11であってもよい。さらに、前記した実施形態においては、3つの当接部11,12,12のすべてが自在移動機構5a,5bにより支持プレート2に対して自在移動可能に支持されているが、これに限定されるものではない。本発明は、複数の当接部の少なくとも一つが自在移動機構により支持プレート2に対して自在移動可能に支持されるように構成されてもよい。
1 ワーク把持装置
2 支持プレート
5a,5b 自在移動機構
9 フック装置
11 駆動側の当接部
12 受け側の当接部
13 ノズル
71 移動規制装置
92 可動フック
100 ロボット
101 ロボットアーム
400 ワーク受け部
500 制御装置
501 ロボット制御部
S シェル部
W ワーク
W1,W2,W2 被当接部
W3 被係合部

Claims (9)

  1. ロボットアームに装着するワーク把持装置に備えられる複数の当接部を、ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させるとともに、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記ワークを把持する工程と、
    前記ロボットアームを作動させて前記ワークを搬送開始する工程と、
    前記ワークの搬送途中において前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程と、
    前記ワークを受けるワーク受け部に搬送された前記ワークの把持を解除して、前記ワークを前記ワーク受け部に渡す工程と、
    を有することを特徴とするワーク移送方法。
  2. 前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程は、前記ワークを複数回傾斜させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のワーク移送方法。
  3. 前記ワークを複数回傾斜させる工程は、前記ワークを複数回異なる方向に傾斜させる工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のワーク移送方法。
  4. 前記ワークを傾けて姿勢を変化させる工程は、前記ワークを反転させて一時停止する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のワーク移送方法。
  5. 前記ワークを搬送開始する工程の前に、前記ワーク把持装置に備えられ前記ロボットアームに連結する支持プレート、に配設される可動フックを、前記ワークの被係合部の前記支持プレートと反対側に移動させて前記被係合部に係合する工程、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のワーク移送方法。
  6. 前記ワークを把持する工程は、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記複数の当接部を前記ワークの前記複数の被当接部にそれぞれ当接させた後、前記ワークに押圧させた当接部を前記ワークから一旦離間させ、前記ワークから離間させた当接部を前記ワークに再度押圧させて前記ワークを把持するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のワーク移送方法。
  7. 前記ワークを把持する工程の前に、前記ワーク把持装置に備えられ前記ロボットアームに連結する支持プレート、に配設されるノズルにより、前記複数の当接部をエアブローする工程、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のワーク移送方法。
  8. 前記ワークは、シェル形状を呈するシェル部を有しており、
    前記ワークの前記被当接部は、前記シェル部の外面または内面に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のワーク移送方法。
  9. ロボットアームを備えるロボットと、
    ロボットアームに連結する支持プレートを備え、該支持プレートに配設される複数の当接部を、ワークの複数の被当接部にそれぞれ当接させるとともに、前記複数の当接部の少なくとも一つを前記ワークに押圧させて前記ワークを把持するワーク把持装置と、
    前記ロボットアームを作動させて前記ワークを搬送するとともに前記ワークの搬送途中において前記ワークを傾けて姿勢を変化させる制御を行うロボット制御部と、
    搬送先で把持が解除された前記ワークを受けるワーク受け部と、
    を有することを特徴とするワーク移送システム。
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