JP2014042909A - 排煙脱硫装置および排煙脱硫方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】竪向きの塔1内に、横断面に関し実質的に均等な流通路を有する規則充填物20を設け、これより下方において、塔内に被処理ガスを吹込み、前記規則充填物20上方に実質的に均等配置の開口を有する多孔板5を設け、その多孔板5の上方に多孔板上面に対し海水を分散供給する海水分散供給手段3,4を設け、塔内を吹き上がる被処理ガスと下降する液とを気液接触させ、被処理ガスを処理するようにした。
【選択図】図1
Description
多孔板上または充填物表面で海水と効率よく接触させることは、排ガスの処理効率(脱硫効率)を高めるためにきわめて重要なことである。
実際、本発明者らは、長期間運転した排煙脱硫設備のモレタナ上には、死後離脱した貝の欠片の大きな堆積物すら観察されることに、大いに驚いた次第である。
他の課題は、充填物の流路全体に海水を分散供給できるようにすることにより、被処理ガスの高い処理効率を確保することにある。
さらに、海水法特有の課題として、海生生物の装置内への侵入に伴う、接触効率の低下を防止することにある。
前記規則充填物上方に実質的に均等配置の多数の開口を有する多孔板を設け、その多孔板の上方に多孔板上面に対し海水を分散供給する海水分散供給手段を設け、
吹き上がる被処理ガスと、下降する海水とを気液接触させ、被処理ガスを処理するようにしたことを特徴とする排煙脱硫装置である。
他方、海水分散供給手段は、供給管とこれに連通する多数の下向きの供給ノズルを含み、供給ノズルは2個/m2〜4個/m2の割合で均等分散配置されている構造のものを使用できる。
また、海水分散供給手段の供給ノズル径は50〜150mm、特に65〜125mmであるのが好ましく、ノズルの断面積は0.002〜0.018m2/個が望ましい。さらに、供給ノズル1個からの流下投影面積中に多孔板の開口が6個〜135個、特に13〜65個有することが好ましい。
吹き上がる前記ガスと、下降する海水とを気液接触させ、被処理ガスを処理することを特徴とする排煙脱硫方法を提供する。
これに対向する、多孔板の開口径は、5〜20mmφ、特に8〜12mmφであるのが好ましく、かつ、開口率は25〜60%、特に30〜40%であるのが望ましい。
多孔板の開口数は、3000個/m2〜7800個/m2であるのが望ましい。
前記規則充填物の高さ方向流通路の最小通過径が10〜30mmであるのが望ましい。
しかし、貝類には、幼生など小さいもの、あるいは配管中で割れるなどして微小化したものもある。そこで、多孔板の開口を通った小径分は、規則充填物の流通路を通して落下させるようにする。
さらに多孔板上で捕捉された貝類は、多孔板上に形成された海水による液層中で下方から吹き上がるガスによってバブリングされ、貝類が多孔板の開口を塞がない、あるいは詰まることがない遊動状態にすることが重要であることを知見したのである。
また、海生生物の装置内への侵入に伴う、接触効率の低下を防止することができ、接触効率の向上と長時間の安定した運転の両者を達成できる。
火力発電所等から排出された燃焼排ガスを供給する排ガスファン51と、排ガスファン51から供給された排ガスを処理する海水法排煙脱硫装置50、海水法排煙脱硫装置50で硫黄を除去されたガスを排出する煙突52、海水法排煙処理装置50に海水を供給する海水供給ポンプ53、海水中の海生生物を除去するスクリーン54、および海水供給配管55からなる。海水供給ポンプ53により供給される海水中に海生生物が含まれている。これらの海生生物のうち、スクリーン54で除去しきれない小さな幼生などが海水供給配管55中に付着し成長する。
海水法排煙脱硫装置50下部の海水は、排水処理設備56において別途供給される海水57と混合されたのち、曝気ブロワ58による曝気処理を受け、海洋の海水中に排水されるものである。
なお、本実施例において「新鮮な海水」SWとは、代表例は海から導いた海水のことであり、後述する気液接触塔1内の多孔板5上で行われる吸収処理後の硫黄酸化物を含む海水と区別される。新鮮な海水は、前記のように海から直接取水したもの以外にも、ボイラー設備の復水器(コンデンサ)から出る使用済み冷却水や、海水脱塩設備から出るブラインを使用可能である。
多孔板には、開口5aが3000個/m2〜7800個/m2 の範囲で形成される。
多孔板の開口形状は、丸形、角形、多角形など限定されないが、丸形が好ましい。多孔板の開口口径は、5〜20mm、特に8〜12mmであるのが好ましい。開口口径は、形状が、角形、多角形の場合、開口の最大長さを指す。5〜20mmとすることで、海水分散供給手段から噴射された新鮮な海水中に含まれる貝などの夾雑物が多孔板の開口から規則充填物上に、安易に落下し、他方で多孔板5で長期に滞留することを防止することができる。このように海水分散供給手段のノズル口径より多孔板上の開口口径を小さくすることで、海水中に含まれる夾雑物(特に貝類)を多孔板上で捕集することが可能となる。なお、捕集した夾雑物は、運転停止時に除去することができる。
他方、気液接触装置として、規則充填物を設け、その上方から海水を噴霧するものも知られている。
本発明においては、両者を併用するもので、多孔板5の下方に、規則充填物20を設けるものである。21は、規則充填物20の底面を支持する多孔支持部材である。規則充填物は、一段に限定されず、複数段とするのが接触効率を高めるために望ましい。
他方、新鮮な海水SWが、供給管3を通じて供給ノズル4に供給される。なお、供給管3は、気液接触塔1の下方に貯留された硫黄酸化物を吸収した海水の一部を供給する配管とも連結されており、運転に応じて海水を循環使用することができる。気液接触塔1上部に設けられた供給ノズル4から下方へ噴射された新鮮な海水SWは、排ガスGと、気液接触塔1内中部に設けられた多孔板5上及び規則充填物20の上端及び流路内で向流接触する。当該向流接触によって、排ガス中に含まれる硫黄酸化物は新鮮な海水SWに吸収され、排ガス中から除去される。排ガス中の硫黄分を吸収した硫黄酸化物は、気液接触塔1の下方に設けられた排出口から流路を介して排水処理設備に送られる。
このとき、排ガスGの流量G(kg/m2 ・hr)と新鮮な海水SWの流量L(kg/m2 ・hr)の比(L/G)は、3以上、好ましくは4〜15である。
硫黄酸化物が除去された処理排ガスTGは、気液接触塔1上部に設けられた排気口6から排気される。また、硫黄酸化物を吸収した海水は、気液接触塔1内下方へ降下する。
したがって、規則充填物20の高さ方向に長い通路をもった各流路20a,20a…を通り抜ける過程でも気液接触するので、気液接触の時間が長いものとなり、この観点からも気液接触効率が高いものとなる。
一方、ノズル4を多数配置するとなると、海水分散供給手段3,4のコストが高いものとなる。しかしながら、本発明では、各供給ノズル4から海水を供給する際に、予め海水の供給位置を多孔板5上で面方向に拡散した状態に位置設定しておくことにより、規則充填物20に分散供給が可能であり、その各流路20a,20a…を円滑に下方に通り抜けるようにしてある。その結果、ノズル4の配設個数を少なくしたとしても、十分な海水の拡散性が確保される。
図4の例は、規則充填物及び海水を供給する海水分散供給手段を設け、さらに、その上方に規則充填物、開口を有する多孔板及び海水を供給する海水分散供給手段を設けた例を示した。図4の例では、上段での海水を供給する海水分散供給手段及び多孔板によって、上段の規則充填物には均一に海水が流下するようになっているので、あえて、下段に開口を有する多孔板を追加設置する必要がなく、かつ、圧力損失の防止を図る意味もある。
実験装置:吸収塔寸法1500mm×1500mmで高さ3000mm
充填物:樹脂製規則充填物(300mm高さ/モジュール)
充填高さ:1段積み
供給ガス流量:24,000m3/H
供給ガス成分:空気
供給液流量:144m3/H
<実験1>:規則充填物上方に多孔板なし(図3の構成)
<実験2>:規則充填物上方に多孔板あり(図2の構成)
本実験結果に基づいて所定の気液接触効率を得るために必要なノズル個数を算出した。
算出結果によると実験1の場合には、ノズルを約20個/m2配置する必要があったものに対し、実験2の場合には、ノズルは約4個/m2の配置で足りることを知見した。
また、海水分散供給手段の他の例として、図10に示すように、上方開口管路と、その側壁に形成された流出堰開口を含み、前記堰開口は2個/m2〜50個/m2の割合で分散配置されている構造のものでもよい。
他方、気液接触塔1上部に設けられた供給ノズル4から下方へ噴射された新鮮な海水SWは、排ガスGと、気液接触塔1内中部に設けられた多孔板5上及び規則充填物20の上端及び流路内で向流接触する。当該向流接触によって、排ガス中に含まれる硫黄酸化物は新鮮な海水SWに吸収され、排ガス中から除去される。図8に示すように、好適にはノズル4の上方には、処理された排ガスG中のミストを除去するエリミネ−タ22が設けられている。
この要因によって、新たな問題を生じる。すなわち、当初、本発明者らは、海水分散供給手段3,4から流出させた海水は最終的に多孔板5上で分散するので、ノズルの向きは上向きに流出させるようにしてもよいのではないかと考えた。
しかし、上昇するガスの空塔速度が速いので、多孔板上方の横断面において、少しでもガスの偏流が生じていると、海水がガスの偏流に影響されて横断面に関し偏って流下するようになることが知見された。
よって、海水は、供給ノズルを下向きに設置し、供給することが望ましい。海水法排煙脱硫装置として適用する場合、規則充填物20直上での海水の流下速度は2.0m/秒以上、特に2.5m/秒以上にするのが望ましい。
海水分散供給ノズル4から流下する海水は、多孔板5上で跳ね返ったりしながら、面方向に拡散する。通常、排ガスGの流量G(kg/m2 ・hr)と新鮮な海水SWの流量L(kg/m2 ・hr)の比(L/G)は、4〜15であることから
海水多孔板5上で液層を形成する。このときの液層の深さは、排ガスGの供給が無い状態で5mm〜200mmである。また、液層は、排ガスガスの上昇によって激しく流動化する。さらに、貝類などの夾雑物を流動化させながら、多孔板5の開口5aの閉塞防止する。
しかるに、多孔板5上面に対して海水分散供給ノズル4から流下する液流の位置が、多孔板5の開口5a位置と鉛直方向に実質的に一致していると、その流下液の運動エネルギーが上昇するガスエネルギーに対して明確に優勢となる。
その結果、図6に示す流下速度分布のように、多孔板5の開口5a中心と鉛直方向に実質的に一致している位置において、ピークを示す。
そして、流下速度分布がある横断面において、多数のピークを示すと、そのピーク位置においては、流下液の運動エネルギーが、上昇ガス流れに対して遙かに優勢なのであるから、あたかも、当該開口5aから液の流下が始まるような形態となり、規則充填物20の流路20a内に確実に液が流入するようになる。しかも、多孔板5から各開口5a位置のみでなく、分散して状態で液が流下するから、規則充填物20の各流路20a内に分散して流下するようになり、きわめて好適な形態となる。
図11に供給ノズル4口径と多孔板5の開口5aとの大きさ、および供給ノズル4口径1個に対する流下投影面積上の多孔板5の開口5aの位置関係例を図示した。
1つの供給ノズル4の流下投影面積中に多孔板の開口が6個〜135個が含まれる位置関係が好ましく、特に13〜63個が含まれる位置関係がより好ましい。図11には約13個の例で示されている。1つの供給ノズル4の流下投影面積中において多孔板の開口が複数含むよう配置されているため、供給ノズル4の下に位置する多孔板5の開孔5aの一つが閉塞したとしても残る開口5aの少なくとも1つは、流下速度のピークを示すこととなるため、確実に規則充填物20へ海水を供給することができる。
かかる適宜の容積サイズとして規則充填物20は、塔1内に敷き詰め、この敷き詰めは1段又は適宜の複数段をもって行なうことができる。規則充填物20の敷き詰めに際しては、流路方向がよりランダムになるように、単一の規則充填物20ごとに方向性を変更することができる。
規則充填物としては、挙示の例に限定されず、市販の又は公知の種々の規則充填物を使用できる。
硫黄酸化物を吸収した海水は、排出管路67と通じて海へ放出される。
2・・・供給口
3・・・供給管
4・・・ノズル
5・・・多孔板(モレタナ)
5a・・・開口
6・・・排気口
7・・・海水貯留部
8・・・堰
9・・・海水誘導部
10・・・海水路
13・・・排出口
20・・・規則充填物(構造充填物)
G・・・排ガス
TG・・・処理排ガス
SW・・・新鮮な海水
Claims (14)
- 竪向きの塔内に、横断面に関し実質的に均等な流通路を有する規則充填物を設け、これより下方において塔内にガスを吹込み、塔内を吹き上がるようになし、
前記規則充填物上方に実質的に均等配置の多数の開口を有する多孔板を設け、その多孔板の上方に多孔板上面に対し海水を分散供給する海水分散供給手段を設け、
吹き上がる被処理ガスと、下降する海水とを気液接触させ、被処理ガスを処理するようにしたことを特徴とする排煙脱硫装置。 - 海水分散供給手段は、海水を多孔板に供給する複数の開口を有し、前記開口の少なくとも一部は、当該開口中心が前記多孔板の開口と鉛直方向に一致している請求項1記載の排煙脱硫装置。
- 海水分散供給手段は、供給管とこれに連通する複数の下向きの供給ノズルを含み、前記供給ノズルは2個/m2〜50個/m2の割合で分散配置されている請求項1又は2記載の排煙脱硫装置。
- 海水分散供給手段は、供給管とこれに連通する複数の下向きの供給ノズルを含み、前記供給ノズルは、口径が50〜150mmであり、供給ノズル1個からの流下投影面積中に多孔板の開口が6個〜135個含まれる位置に設けられた請求項1又は2記載の排煙脱硫装置。
- 前記海水供給手段は供給管と、供給管と連通する、口径が50〜150mmである複数の供給ノズルを備え、かつ、前記多孔板の開口径は、5〜20mmであることを特徴とする請求項1記載の海水法排煙脱硫装置
- 竪向きの塔内に、横断面に関し実質的に均等な流通路を有する規則充填物を設け、これより下方において塔内にガスを吹込み、塔内を吹き上がるようになし、
前記規則充填物上方に実質的に均等配置の多数の開口を有する多孔板を設け、その多孔板の上方に多孔板上面に対し海水を分散供給する海水分散供給手段を設け、
多孔板上には、海水により液層が形成され、前記規則充填物では
吹き上がる前記ガスと、下降する海水とを接触させ、被処理ガスを処理することを特徴とする排煙脱硫方法。 - 海水分散供給手段は、海水を多孔板に供給する多数の開口を有し、前記開口の少なくとも一部は、当該開口中心が前記多孔板の開口と鉛直方向に一致している請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 多孔板の開口径は、5〜20mmであり、かつ、開口率は25〜60%である請求項6又は7記載の排煙脱硫方法。
- 多孔板の開口数は、3000個/m2〜7800個/m2である請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 海水分散供給手段は、供給管とこれに連通する多数の下向き供給ノズルを含み、供給ノズルは2個/m2〜50個/m2の割合で分散配置されている請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 海水分散供給手段は、供給管とこれに連通する多数の下向き供給ノズルを含み、その供給ノズルは口径が50〜150mmであり、供給ノズル1個からの流下投影面積中に多孔板の開口が6個〜135個含まれる位置に設置され、供給ノズル先端の流速が2.0〜3.0m/秒である請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 塔内に吹込まれ吹き上がる前記ガスの空塔速度を2.0m/秒〜3.2m/秒とし、前記規則充填物直上での海水の流下速度が2.0m/秒以上である請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 前記規則充填物の高さ方向中間には、下方から吹き込まれるガスの斜め流通路を多数有し、かつ、少なくとも上端部に、前記斜め流通路を通る斜め上昇ガスを竪向きに上昇させる流通路を有する請求項6記載の排煙脱硫方法。
- 前記規則充填物の高さ方向流通路の最小通過径が10〜30mmである請求項6記載の排煙脱硫方法。
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