JP2014041753A - 誘導加熱調理器およびその制御方法 - Google Patents

誘導加熱調理器およびその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014041753A
JP2014041753A JP2012183258A JP2012183258A JP2014041753A JP 2014041753 A JP2014041753 A JP 2014041753A JP 2012183258 A JP2012183258 A JP 2012183258A JP 2012183258 A JP2012183258 A JP 2012183258A JP 2014041753 A JP2014041753 A JP 2014041753A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
heating
power
heating coil
drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012183258A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6021516B2 (ja
Inventor
Miyuki Takeshita
みゆき 竹下
Masaru Shindoi
賢 新土井
Satoshi Nomura
智 野村
Kazuhiro Kameoka
和裕 亀岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Home Appliance Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Home Appliance Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Home Appliance Co Ltd, Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Home Appliance Co Ltd
Priority to JP2012183258A priority Critical patent/JP6021516B2/ja
Publication of JP2014041753A publication Critical patent/JP2014041753A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6021516B2 publication Critical patent/JP6021516B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B40/00Technologies aiming at improving the efficiency of home appliances, e.g. induction cooking or efficient technologies for refrigerators, freezers or dish washers

Landscapes

  • Induction Heating Cooking Devices (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)
  • General Induction Heating (AREA)

Abstract

【課題】ユーザの所望する火力に応じて、所定の火力を微細に調節できる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】複数の加熱コイルおよび電源部と、負荷抵抗および共振周波数を算出する検知部と、所望の目標火力を設定できる操作部と、制御部とを備えた誘導加熱調理器において、制御部は、a)算出された各加熱コイルの共振周波数のうち最大のものに、ユーザが設定した各加熱コイルの所望の目標火力に対応する所定の差分周波数を加えたものを駆動周波数と決定し、b)ユーザが設定した各加熱コイルの所望の目標火力および算出された各加熱コイルの負荷抵抗に基づいて、決定した駆動周波数を有する高周波電流が各加熱コイルに周期的に供給される時間間隔を調整するように各電源部を制御する。
【選択図】図11

Description

本願発明は誘導加熱調理器およびその制御方法に関するものである。
これまで複数の加熱コイルを有する誘導加熱調理器において、鍋底の大きさ等によって加熱コイルに供給する加熱電力を制御する技術がいくつか提案されている。
たとえば特許文献1に記載の誘導加熱調理器は、駆動手段の動作周波数を所定の設定範囲以内に設定した後に、電圧可変手段の設定を変更して電力を制御することにより加熱電力を制御するものである。
特許文献2に記載の誘導加熱調理器は、インバータ回路のスイッチング周波数を可変して入力電力の粗調整を行ない、インバータ回路に供給する直流電圧の微調整を行なうことにより入力電力の目標電力値を実現するものである。
特許文献3に記載の誘導加熱調理器は、複数のインバータを有し、これらのインバータを同時に動作させる場合の第1の最大電力と、単独で動作させる場合の第2の最大電力を設定し、少なくとも第1の最大電力までは複数のインバータの駆動周波数を一定にして動作させることにより干渉音を防止し、第1の最大電力を超える第2の最大電力までは各インバータの半導体スイッチの導通時間比率を可変して電力調整を行うものである。
特許文献4に記載の誘導加熱調理器は、複数の誘導加熱コイルを搭載し、各誘導加熱コイルに通電する電流の周波数を可変とすることにより出力制御を行ない、一方の誘導加熱コイルに用いる周波数帯の最大周波数よりも、他方の誘導加熱コイルに用いる周波数帯の最低周波数を15kHz以上高く設定することにより、同時に動作した場合の干渉音を防止するものである。また特許文献4には、インバータの駆動周波数を最大周波数として連続制御するとき、一方の誘導加熱コイルの最低電力よりも低い電力を負荷に投入する場合には、インバータの通電のオンオフ制御を併用することが記載されている。
特開2005−093088号公報 特開2006−351371号公報 特開2011−103225号公報 特開2011−155022号公報
しかしながら、特許文献1に記載の誘導加熱調理器によれば、電圧可変手段が必要となり、全体的な回路構成や制御方法が複雑化し、製造作業が煩雑となり、生産コストが増大してしまう。
また、特許文献2に記載の誘導加熱調理器によれば、磁性材料(たとえば鉄)で作製された鍋と非磁性材料(たとえばアルミニウム)で作製された鍋とを区別して加熱制御する場合、アルミ鍋を加熱する際の駆動周波数を90kHz程度に設定する必要があるが、負荷電力を制御する回路を別途設ける必要があり、特許文献1と同様、回路構成が複雑となり、生産コストの増大が避けられない。
また、特許文献3に記載の誘導加熱調理器は、周波数特性の異なる材質により作製された鍋を加熱するように構成され、各加熱コイルに供給される高周波電流の駆動周波数を一定にして、導通時間比率を調整することにより電力調整を行うものであるが、高い駆動周波数を用いてアルミ鍋等を加熱する場合、導通時間比率の調整のみにより、所望する広い範囲の電力を調整することは困難である。また複数のインバータの駆動周波数差が周波数可変領域に入ると、干渉音(うなり音)が発生し、ユーザに不快感を与えるおそれがある。
さらに特許文献4に記載の誘導加熱調理器によれば、複数の誘導加熱コイルのうちの一方に、他方の誘導加熱コイルの最低電力よりも低い電力を負荷に投入する場合には、インバータの通電のオンオフ制御を併用するものであるが、低電力投入時におけるインバータのオンオフ制御によりユーザに耳障りな磁歪音が発生するといった問題が生じ得る。
そこで本願発明は、電圧可変手段や負荷電力制御回路を設ける必要がなく、簡便な回路構成で、低電力投入時におけるインバータのオンオフ制御することなく、広い範囲の火力(出力電力)を極めて繊細に調整することを可能にする誘導加熱調理器およびその制御方法を提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、誘導加熱調理器に関し、
互いに隣接し、協働して単一の被加熱体を誘導加熱する複数(i個,iは2以上の自然数)の加熱コイルと、
前記各加熱コイルに所定の駆動周波数を有する高周波電流を個別に供給する複数の電源部と、
前記各加熱コイルに流れる駆動電流および該各加熱コイルの両端に印加される駆動電圧を検知するとともに、検知された駆動電流および駆動電圧から前記各加熱コイルの負荷抵抗および共振周波数を算出する検知部と、
前記各加熱コイルで消費される所望の目標火力をユーザにより設定できる操作部と、
前記検知部および前記操作部に接続された制御部とを備え、
前記制御部は、
a)算出された前記各加熱コイルの共振周波数(Fr)のうち最大のもの(Fr)に、ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力に対応する所定の差分周波数(ΔFr)を加えたものを駆動周波数(F=Fr+ΔFr)と決定し、
b)ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力および算出された前記各加熱コイルの負荷抵抗に基づいて、決定した駆動周波数(F)を有する高周波電流が前記各加熱コイルに周期的に供給される時間間隔(t)を調整するように前記各電源部を制御することを特徴とするものである。
本願発明の実施形態によれば、各加熱コイルの負荷抵抗および共振周波数を算出し、ユーザの所望する火力に応じて、特定の駆動周波数を決定することにより、鍋に供給できる複数の火力範囲を大まかに設定するとともに、駆動周波数を固定して、スイッチング素子の駆動の位相関係を制御し駆動電圧の印加時間を調整することでインバータ回路のスイッチング素子に流れる高周波電流の大きさを調整することにより、所定の火力を微細に調節できる誘導加熱調理器を提供することができる。
本願発明に係る誘導加熱調理器1の全体を概略的に図示する斜視図である。 トッププレートの一部を省略してIH加熱部を上から見た平面図である 実施の形態1に係るIH加熱部の図2のIII−III線からみた断面図である。 本願発明の誘導加熱調理器の電気的構成を模式的に示した概念図である。 実施の形態1に係る電源装置の電気的構成を示す模式図である。 実施の形態1に係る電源装置の電気的構成を示す回路ブロック図である。 一般的なLCR共振回路の回路ブロック図である。 実施の形態1に係る制御方法を示すフローチャートである。 操作部の詳細な形態を示す平面図である。 表示部の詳細な形態を示す平面図である。 目標火力に対して調整される駆動周波数の推移を示すグラフである。 所定の共振周波数を有する鍋にさまざまな駆動周波数を有する高周波電流を供給したときの高周波電流の大ききをプロットしたグラフである。 (a)は、インバータ回路の第1および第2のアームの高圧側および低圧側のスイッチング素子に供給される制御信号のタイミングチャートであり、(b)はLCR誘導加熱部に流れる高周波電流のタイミングチャートである。 (a)は、別の位相差でスイッチング素子に供給される制御信号のタイミングチャートであり、(b)はLCR誘導加熱部に流れる高周波電流のタイミングチャートである。 火力調節ダイヤルの調節量に対する、位相差による出力火力の変化量が離散的に推移するグラフである。 火力調節ダイヤルの調節量に対する、単一の制御位相差による出力火力の変化量が連続的に推移するグラフである。 (a)は、火力調節ダイヤルの調節量に対する位相差の変化量を示すグラフであり、(b)は位相差ステップに対する火力変化量(勾配)を示すグラフである。 火力調整量と設定火力との別の関係を示すグラフである。 実施の形態1において、設定出力に対する中央コイルおよび各周辺コイルの出力電力の配分を示すグラフである。 実施の形態2による設定火力を変更したときの制御方法を示すフローチャートである。 実施の形態2による設定火力を変更したときの別の制御方法を示す図20と同様のフローチャートである。 実施の形態3に係る電源装置の電気的構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る電源装置の電気的構成を示す回路ブロック図である。 実施の形態3において、設定出力に対する中央コイルおよび各周辺コイルの出力電力の配分を示すグラフである。 玉子焼き用のフライパンがIH加熱部のトッププレート上方に戴置されたときの平面図である。 実施の形態4に係るIH加熱部の平面図である。
以下、添付図面を参照して本願発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態を説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば「上方」、「下方」、「右」および「左」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものでない。
実施の形態1.
図1〜図19を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態1について以下詳細に説明する。図1は、本願発明に係る誘導加熱調理器1の全体を概略的に図示する斜視図である。図1および図2において、誘導加熱調理器1は、概略、主に板金などで構成された筐体2、その上側表面のほぼ全体を覆うガラスなどで形成されたトッププレート3、左右に配置された一対のIH加熱部10,11、中央に配置された中央加熱部4、および調理用グリル5を有する。
なお、図1では図中左側に示すIH加熱部10が本願発明に係るIH加熱部として図示説明するが、両方のIH加熱部10,11が本願発明を採用するものであってもよい。また、中央後方に配置された中央加熱部4は、IH(誘導加熱)方式またはラジエント方式のいずれの加熱方式を採用するものであってもよい。同様に、中央加熱部4を本願発明に係るIH加熱部として構成してもよい。さらに本願発明に係る誘導加熱調理器1において、IH加熱部の個数および配置位置は、図1に示すものに限定されず、より数多くのIH加熱部を設け、横一列や逆三角形状に配置したものであってもよい。
また、この実施の形態においては、調理用グリル5が筐体2のほぼ中央に配置された、いわゆるセンタグリル構造を有する誘導加熱調理器1について例示的に説明するが、本願発明は、これに限定されるものではなく、調理用グリル5がいずれか一方の側面に偏ったもの(いわゆるサイドグリル構造を有する誘導加熱調理器)、または調理用グリル5を具備しない誘導加熱調理器にも同様に適用することができる。
誘導加熱調理器1は、ユーザが各IH加熱部10,11、中央加熱部4および調理用グリル5を操作するために用いられる操作部(操作パネル)6、および「火力(出力電力)」を調整する火力調節ダイヤル7a,7b、ならびにこれらの制御状態や操作ガイドなどを表示するための液晶表示素子などを用いた表示部8a,8b,8cを備える。また表示部8は、ここでは図示しないが、ユーザが調節した火力の大きさや設定状態を表示する発光部(LEDレベルメータ)を有するものであってもよい。操作部6および表示部8に関し、これらの構成および配置位置等は図示したものに限定されるものではない。また、火力調節ダイヤル7についても、サイドグリル構造を有する誘導加熱調理器では、調理用グリル5とは反対側にまとめて配置してもよい。
また誘導加熱調理器1は、トッププレート3上の後面側に設けられた排気口9aおよび一対の吸気口9b,9cを有する。さらに、後述のように、誘導加熱調理器1にはIH加熱部10,11に高周波電流を供給する電源装置(電源部)12が内蔵されている。図1は、排気口9aおよび吸気口9b,9cの個数、大きさ、および配置位置等について一例を示すものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の詳細説明において、ユーザが操作部6を用いて火力などを設定する場合には「調節」、本願発明における制御回路が電源装置12等の構成部品の動作を設定・制御する場合には「調整」という用語を用いる。
図2は、トッププレート3の一部を省略してIH加熱部10を上から見た平面図である。図示のように、IH加熱部10は、中央に配置された少なくとも1つの加熱コイル(以下、単に「中央コイル」という。)20と、中央コイル20の周囲に配置された複数(実施の形態1では4つ)の加熱コイル(以下、単に「周辺コイル」という。)30a〜30dとを有する。すなわちIH加熱部10は、少なくとも1つの中央コイル20と複数の周辺コイル30a〜30dが協働して(一組として)単一の鍋Kを加熱するものである。
実施の形態1に係る中央コイル20は、同心円上に配置され、直列に接続された内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20bを有し、絶縁被膜された任意の金属からなる導電線(たとえばリッツ線等)の巻線が渦巻状に捲回されることにより構成されている。一方、各周辺コイル30a〜30dは、1/4円弧状(バナナ状または胡瓜状)の平面形状を有し、同様の導電線を各周辺コイル30a〜30dの1/4円弧状の形状に沿って捲回することにより形成されている。すなわち、各周辺コイル30a〜30dは、外側中央コイル20bに隣接する1/4円弧状領域において外側中央コイル20bの円形の平面形状に実質的に沿って延びるように構成されている。
なお、図2に示すように、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30d上に示す矢印は、ある時点における高周波電流の向きの一例を示すものであり、図中、中央コイル20と各周辺コイル30a〜30dの内側に流れる電流はコイルの近接部分において同一方向となるように制御されることが好ましい。
図3は、実施の形態1に係るIH加熱部10の図2のIII−III線からみた断面図を含む概略構成図である。このIH加熱部10は、上述のように、コイルベース14の上面に支持された中央コイル20および複数の周辺コイル30(図3では周辺コイル30a,30cのみ図示)と、コイルベース14の下面に支持された複数の磁性体(フェライトコア)15と、コイルベース14の周縁部に固定された磁性キャンセルリング18とを有する。磁性体15のそれぞれは、中央コイル20および周辺コイル30の下方に配置されている。各フェライトコア15は半径方向の磁気抵抗を低減するためのものである。フェライトコア15は棒状に形成され、半径方向に沿って(放射状に)配置されるものであってもよい。また磁性キャンセルリング18は、鍋Kの加熱に寄与しない磁束が半径方向外側に漏洩すること遮断するものである。
次に、本願発明に係る電源装置12について説明する。図4は、本願発明の誘導加熱調理器1の電気的構成を模式的に示した概念図である。図4に示す誘導加熱調理器1は、中央コイル20に高周波電流を供給するための中央インバータ回路(中央駆動回路)40、および各周辺コイル30a〜30dに高周波電流を供給するための周辺インバータ回路(周辺駆動回路)50a〜50dからなる電源装置(電源部)12を有する。また誘導加熱調理器1は、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dの両端の駆動電圧Vや、これらに流れる駆動電流Iを検出して鍋Kの負荷情報(負荷抵抗(インピーダンス)や共振周波数等)を検知する検知部60,70と、負荷情報に基づいて各インバータ回路40,50a〜50dを制御する制御部80とを有する。
図3に戻って、中央コイル20に給電する中央インバータ回路40、および周辺コイル30a,30cに給電する周辺インバータ回路50a,50cが図示され、これらは上述の検知部60,70および制御部80に接続され、制御部80には操作部6および表示部8が接続されている。
内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20bの間には、トッププレート3に当接するように温度センサ(図示せず)が配設されるため、たとえば20mm程度の間隙が設けられている。一方、外側中央コイル20bと各周辺コイル30a〜30dとの間には、たとえば10mm程度の間隙が設けられている。また各中央コイル20a,20bおよび各周辺コイル30a〜30dの上面とトッププレート3との間には、たとえば3mm程度の間隙d1が設けられている。なお、こうした間隔は、一例を示すものであり、本願発明を限定するものではない。
内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20bは直列に接続してもよく(図2)、各周辺コイル30a〜30dのそれぞれは、個別の周辺インバータ回路50a〜50dに接続して、独立して高周波電流が供給されるように構成してもよい(図4)。図5は、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dに高周波電流を供給する電源装置12の別の模式図である。中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dのそれぞれは、たとえば一対のアーム16,17(図6)からなるフルブリッジ式インバータ回路40,50a〜50dにより構成され、各加熱コイル20,30a〜30dに対する鍋Kの負荷情報(鍋の載置状態および大きさ、または鍋の構成材料を示す負荷抵抗および共振周波数)を検知する検知部60,70a〜70d、鍋Kの負荷情報に基づいて各インバータ回路40,50a〜50dを制御する制御部80、操作部6、および表示部8が同様に図示されている。
フルブリッジ式インバータ回路40,50a〜50dのそれぞれは、同様の回路構成を有するので、代表例として中央コイル20に高周波電流を供給するフルブリッジ式インバータ回路40を含む電源装置12について説明する。図6は、本願発明に係る電源装置12の電気的構成を示す回路ブロック図である。電源装置12は、概略、商用電源ACを全波整流する整流器(たとえばダイオードブリッジ)92と、全波整流波形を平滑するフィルタ回路94と、中央コイル20のための中央インバータ回路40(破線で囲む)とを有する。フィルタ回路94から出力された母線電圧はインバータ回路40に供給される。
本願発明に係るインバータ回路40は、ハーフブリッジ式インバータ回路も同様に採用できるが、ここではフルブリッジ式インバータ回路について説明する。このフルブリッジ式インバータ回路40は、第1の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW1U,SW1Dを含む第1のアーム16と、第2の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW2U,SW2Dを含む第2のアーム17とを有する。各スイッチング素子SW1U,SW1D,SW2U,SW2Dは、当業者に知られた任意のスイッチング素子を用いることができ、たとえばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよい。
図6において、中央コイル20は、インダクタンスLおよび抵抗Rの等価回路として図示され、これと直列に接続された共振コンデンサCとともに中央LCR誘導加熱部22を構成している。中央LCR誘導加熱部22は、第1のアーム16の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW1U,SW1Dの中間点と、第2のアーム17の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW2U,SW2Dの中間点との間に接続されている。なお、加熱コイル20上に鍋Kが載置されている場合は、インダクタンスLと抵抗Rは、鍋Kと加熱コイル20による合成インダクタンスLと合成抵抗(負荷抵抗)Rとなる。
制御部80は、各スイッチング素子SW1U,SW1D,SW2U,SW2Dに制御信号を供給することにより、中央コイル20に任意の駆動条件で高周波電流を供給するものであり、中央コイル20に高周波電流が供給されると、その周囲に交流磁場を形成し(交流磁場が導電体からなる被加熱体Kに鎖交し)、鍋底Kに渦電流を形成して、鍋底K自体が加熱される。
図6の中央インバータ回路40は、高圧側のスイッチング素子SW1U,SW2Uと、低圧側のスイッチング素子SW1D,SW2Dとの間(すなわち中央LCR誘導加熱部22の両端)の駆動電圧Vを検出するための駆動電圧検出器24と、中央LCR誘導加熱部22に流れる駆動電流Iを検出するための駆動電流検出器25を有する。すなわち各インバータ回路40,50a〜50dに付随する検知部60,70a〜70dは、各LCR誘導加熱部22,32a〜32dの駆動電圧Vと駆動電流Iを検知するものである。なお、駆動電流検出器25は、中央LCR誘導加熱部22に流れる駆動電流Iを直接検出する電流計として図示したが、共振コンデンサCの両端の電圧を検出することにより駆動電流Iを検出するものであってもよい。また、ここでは明示しないが、インバータ回路50a〜50dにも、各々駆動電圧検出器及び駆動電流検出器を有するのは言うまでもない。
また検知部60,70a〜70dは、検出されたLCR誘導加熱部22,32a〜32dに流れる駆動電流Iと、その両端の駆動電圧Vから、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dの負荷抵抗R(インピーダンスZ)および共振周波数Frを算出できるように構成されている。すなわち検知部60,70a〜70dは、駆動電流Iおよび駆動電圧Vから、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dの負荷抵抗Rおよび共振周波数Frを算出できるものであれば、当業者に知られた任意の構成を有するものであってもよい。
具体例として、検知部60,70が、駆動電流検出器25および駆動電圧検出器24で検出された駆動電流Iおよび駆動電圧Vの1次成分を抽出して負荷抵抗Rおよび共振周波数Frを算出するように構成されたもの(1次成分抽出部)について、その構成および動作を以下説明する。
上述のように、各インバータ回路40,50a〜50dは、複数のスイッチング素子SW1U,SW1D,SW2U,SW2Dを含み、所定の駆動周波数(たとえば25kHz)を有する制御信号(ゲート信号)で駆動するとき、駆動電圧検出器24および駆動電流検出器25は、高周波変調された駆動電圧Vおよび駆動電流I、すなわち駆動周波数Fの自然数倍の高次周波数成分を含む合成波形を検出する。
検知部(1次成分抽出部)60,70は、アナログ信号として検出された駆動電圧Vおよび駆動電流Iを高いサンプリング周波数でデジタル信号に変換してサンプリングするA/D変換器(図示せず)を有し、高次周波数成分を有する駆動電圧Vおよび駆動電流Iを、たとえば駆動周波数Fの整数倍(たとえば30倍)のサンプリング周波数を用いて離散フーリエ変換することにより、駆動電圧Vおよび駆動電流Iの1次成分だけを抽出するように構成されている。なお高次周波数成分を有する信号から1次成分のみの信号を抽出する手法およびアルゴリズムとしては任意のものを利用することができ、一般に市販されたソフトウェアを用いて駆動電圧Vおよび駆動電流Iの1次成分だけを抽出することができる。
このとき検知部(1次成分抽出部)60,70は、駆動電圧Vおよび駆動電流Iの1次成分を、次式のように複素表示することができる。
Figure 2014041753
ここでV,Iは駆動電圧Vおよび駆動電流Iの1次成分を示し、V1Re,I1ReはV,Iの実部、V1Im,I1ImはV,Iの虚部、そしてjは虚数単位を示す。
また検知部(1次成分抽出部)60,70は、LCR誘導加熱部22,32のインピーダンスZ、および駆動電圧Vおよび駆動電流Iの位相(駆動電流Iに対する駆動電圧Vの位相またはインピーダンスZの位相)φを次式で算出することができる。
Figure 2014041753
ここでIm(Z)およびRe(Z)はそれぞれインピーダンスZの虚部および実部を意味する。なお、駆動電圧Vおよび駆動電流Iの位相は、arctanの代わりにarcsinまたはarccosを用いて算出してもよい。位相差φが90度付近ではarctanは発散し、誤差を多く含み得るので、arcsinまたはarccosを用いて位相差φを算出することが好ましい場合がある。
さらに検知部(1次成分抽出部)60,70は、複素表示の1次成分の駆動電圧Vおよび駆動電流Iから、有効電力値W、および電流実効値Iを、次式により算出することができる。
Figure 2014041753
ここでI はIの複素共役を示す。
一方、LCR誘導加熱部22,32を含む一般のLCR回路において、負荷抵抗R、インピーダンスZ、加熱コイル20,30のインダクタンスLおよび共振周波数Frは次式で表される。
Figure 2014041753
ここでωは1次成分の駆動周波数F(ω=2πFで表される)であり、Cは共振コンデンサCの静電容量であって、ともに既知である。したがって検知部(1次成分抽出部)60,70は、[数2]で算出したφを用いて、[数4]から共振周波数Frと負荷抵抗R(=R+R)を求めることができる。
なお、LCR誘導加熱部22,32のインピーダンスZは、被加熱体Kの有無または載置状態(被加熱体Kに鎖交する交流磁場)に依存して変動する。すなわち上式[数4]における負荷抵抗Rは、鍋Kが載置されていないときの加熱コイル20,30自体の線抵抗Rに、鍋Kを載置したことによる鍋Kの見かけ上の負荷抵抗Rを加えたものに相当する(R=R+R)。したがって、検知部(1次成分抽出部)60,70は、算出された共振周波数Frから鍋の材質(たとえば鉄、磁性または非磁性を有するSUS、銅、またはアルミニウム)を検知することができ、同時に鍋Kの見かけ上の負荷抵抗Rから加熱コイル20,30の上方に載置された鍋の戴置面積を検知することができる。こうした鍋の材質や鍋Kの加熱コイル20,30上方の戴置面積を示す負荷抵抗Rおよび共振周波数Fr(インダクタンスL)等を本願発明においては鍋Kの負荷情報という。
このように実施の形態に係る制御部80は、検知部(1次成分抽出部)60,70により算出された共振周波数Frと負荷抵抗R、およびユーザが操作部6により設定した所望の火力Pに応じて、中央コイル20および各周辺コイル30に対して適正な高周波電流を供給するように各インバータ回路40,50a〜50dを制御することができる。なお、この検知部60,70は、高周波変調された駆動電圧および駆動電流の単一の周期(すなわち、駆動周波数が25kHzのとき、1周期は40マイクロ秒)において検知された駆動電圧Vおよび駆動電流Iから、中央コイル20および各周辺コイル30のそれぞれに対して、共振周波数Frと負荷抵抗Rを極めて短い時間で算出することができる。よって制御部80は、検知部60,70からの負荷情報を瞬時に得て、各インバータ回路40,50a〜50dが適正な高周波電流が供給されるように制御することができる。
図7は、一般的なLCR共振回路の共振回路モデルを示すものである。LCR誘導加熱部22,32が鍋Kを加熱する電力Pは、LCR誘導加熱部22,32に流れる駆動電流Iの2乗および負荷抵抗(合成抵抗)Rに比例し、負荷抵抗Rは、上述のとおり、加熱コイル20,30自体の線抵抗Rに、鍋Kを載置したことによる鍋Kの見かけ上の負荷抵抗Rを加えたものに相当する(R=R+R)。
Figure 2014041753
たとえば制御部80は、検知部60,70で検知された負荷抵抗R(合成抵抗R=R+R)が所定の値を超えない場合、すなわち鍋Kによる見かけ上の負荷抵抗Rが小さいとき、中央コイル20または周辺コイル30a〜30d上には鍋Kが載置されていないか、鍋Kの一部のみが載置されていると判断して、その中央コイル20または周辺コイル30a〜30dに対する高周波電流の供給を停止または抑制することができる。
具体的には、制御部80は、検知部60,70からの負荷情報に加えて、操作部6や火力調節ダイヤル7からの設定情報(ユーザが所望する設定火力または目標火力P)に応じて、各インバータ回路40,50a〜50dに適切な制御信号を供給する。
とりわけ本願発明に係る制御部80は、以下詳述するように、共振周波数Fr、負荷抵抗R、および設定火力Pに応じた適切な制御信号の駆動周波数Fおよび各インバータ回路の位相差θを制御することにより、有効かつ緻密な火力調整を実現するものである。
次に、図8〜図19を参照しながら、本願発明に係る制御部80による誘導加熱調理器の制御方法について説明する。図8は、本願発明に係る制御部80の制御方法の概略を示すフローチャートである。
[ST01:共振周波数の算出]
図8のステップST01において、上記説明したように、検知部60,70を用いて、各加熱コイル20,30(LCR誘導加熱部22,33)の共振周波数Frおよび負荷抵抗R等を算出する。
[ST02:駆動周波数の決定]
図8のステップST02において、ユーザは操作部6を用いて所望する火力を設定・入力する。操作部6は、図9(a)〜図9(c)に示すような形態を有するものであってもよい。図9(a)の操作部6は、「弱」火力、「中」火力、および「強」火力を選択するボタン6aと、火力を増減させるための調節ボタン6b,6cを有する。図9(b)に示す火力調節ダイヤル7は、回転ダイヤル式の火力調節ダイヤルであって、右回転させると「強」火力が得られ、左回転させると「弱」火力が得られるように構成されている。図9(c)の操作部6は(図1には図示せず)、図9(a)と同様、付与された番号に応じて増大する火力を選択するボタン6dを有し、最大火力ボタン「3kW」ボタンを有する。
一方、表示部8は、図1で図示したものの他、図10に示すようなLEDレベルメータを用いて構成してもよく、12段階で設定された設定火力Pを表示するものである。たとえば図10の「火力1」には100W、「火力2」には200W、「火力3」には400W、「火力7」には700W、「火力10」には2000W、「火力12」には3000Wが割り付けられているものであってもよい。そして「弱」火力を選択するボタン6aを押下すると「火力2」が設定され、「中」火力ボタン6aを押すと「火力7」が設定され、「強」火力ボタン6aを押すと「火力10」が設定されるようにしてもよい。また「火力4」を設定したい場合には、「弱」火力ボタン6aを押した後、火力を増大させるための調節ボタン6cをさらに押して火力設定し、「火力6」を設定したい場合には、「中」火力ボタン6aを押した後、火力減少調節ボタン6bをさらに押して火力設定し、「火力12」を設定したい場合には、「強」火力ボタン6aを押した後、火力増大調節ボタン6cを2回に押して火力設定してもよい。なお、これらの数値やボタンと火力の割付、操作方法等は火力を設定する操作の一例を示すものであり、本願発明を限定するものではない。
図11は設定火力Pに対して調整される駆動周波数Fの推移を示すグラフである。制御部80は、検知部60,70で検知された中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dの共振周波数(Fr、iは中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dのそれぞれに対応する識別子、i=1〜5)のうち最大のもの(Fr)に、オフセット周波数(ΔFr、差分周波数ともいう。)を加えたものを駆動周波数(F=Fr+ΔFr)と決定する。
図12は、共振周波数Frを有する材質からなる鍋Kにさまざまな駆動周波数を有する高周波電流を供給したときの高周波電流IHFの大ききをプロットしたグラフである。図12から明らかなように、高周波電流IHFは、駆動周波数Fの関数であって、共振周波数Frをピークとするコーシー分布曲線で推移する。すなわち高周波電流IHFは、共振周波数Frに近づくほど、指数関数的に増大し、各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子SWに流れる駆動電流Iも、駆動周波数Fが共振周波数Frに近づくほど増大する。ただし駆動電流Iが、スイッチング素子SWの最大許容駆動電流IMAXを超えると、スイッチング素子SWが破壊されるおそれがあるので、駆動周波数Fは共振周波数Frより高い周波数(F>Fr)を選択する方が望ましい。
一方、一般の誘導加熱調理器の電源装置12のインバータ回路に用いられるスイッチング素子の駆動周波数の帯域(IH加熱周波数帯域)は、法令で20kHz〜100kHzと定められており、各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子SWを破壊することなく、より安全に、かつ高い信頼性で高周波電流IHFを供給するためには、20kHz〜100kHzの範囲で、かつ、共振周波数Frより所定のオフセット周波数ΔFr(差分周波数)だけ高い駆動周波数Fで駆動することが好ましい。換言すると、駆動周波数Fは、オフセット周波数ΔFrがより小さいほど、より大きい高周波電流IHFを鍋に供給して、より大きな火力Pを実現することができる。
ただし、図12から明らかなように、高周波電流IHFは、駆動周波数Fが共振周波数Frを越えて大きくなるほど指数関数的に減少することから、駆動周波数Fのみを調整して鍋Kに流れる高周波電流IHFを調整することは可能ではあるが、繊細な調整という観点において、やや制御しにくいという側面がある。そこで本願発明は、詳細後述するように、第1に駆動周波数Fを調整することにより(第1の調整手段)、鍋Kに供給する火力を複数の所定の火力範囲に調節し、第2に駆動周波数Fを固定して、各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子SWに高周波電流が流れる時間(位相差)を調整することにより(第2の調整手段)、所定の火力範囲における設定火力Pをさらに細かく調整しようとするものである。
具体例として、鍋Kが鉄製であり、検知部60,70で検知された各加熱コイル20,30の共振周波数Frのうちの最大共振周波数Frが20kHzであった場合を仮定する。このときユーザが操作部6を用いて、図11に示すように、
i)500W未満の「弱」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを3kHzとして、駆動周波数Fを23kHz(駆動周波数FDA)とし、
ii)500W〜1500Wの「中」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを2.5kHzとして、駆動周波数Fを22.5kHz(駆動周波数FDB)とし、
iii)1500W〜3000Wの「強」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを2kHzとして、駆動周波数Fを22.0kHz(駆動周波数FDC)と決定する(FDA>FDB>FDC)。
これらのオフセット周波数ΔFrおよび駆動周波数Fは制御部80によって決定される。
このように、3つのオフセット周波数ΔFrは、ΔFr>ΔFr>ΔFrの関係にあり、これらのオフセット周波数ΔFrをユーザが選択した火力に応じて最大共振周波数Frに加算して駆動周波数Fを決定し、図11に示すように、3つの火力帯(「弱」火力帯、「中」火力帯、および「強」火力帯)を設定する。なお、この実施の形態では、3つの火力帯を設定したが、これに限定するものではなく、火力帯を2つとしてもよいし、4つ以上にしてもよい。すなわち、最大共振周波数に加えるオフセット周波数ΔFrは、最大火力またはそれを含む領域(火力帯)において最も小さく、最低火力またはそれを含む領域(火力帯)において最も大きい値となる。
[ST03:位相差の決定]
次に、図8のステップST03において、各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子に高周波電流が流れる時間(時間間隔t)を決定する方法について説明する。
図13(a)は、図6に示す中央インバータ回路40を構成する第1のアーム16の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW1U,SW1Dと、第2のアーム17の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW2U,SW2Dに供給される制御信号の一例を示すタイミングチャートである。高周波電流が第1のアーム16の高圧側スイッチング素子SW1Uから、負荷(LCR誘導加熱部22)を経由することなく、低圧側のスイッチング素子SW1Dに直接流れると、スイッチング素子SW1U,SW1Dの損失増大、ひいては過電流破壊が起こり得る。これを防止するために、第1のアーム16の高圧側スイッチング素子SW1Uと低圧側のスイッチング素子SW1Dに供給される制御信号がオンおよびオフの状態にあるときの期間(オン位相およびオフ位相という)は、通常、相補的(または排他的)となるように制御部80により制御される。同様の理由から、第2のアーム17の高圧側スイッチング素子SW2Uと低圧側のスイッチング素子SW2Dに供給される制御信号のオン位相とオフ位相は、常に相補的となるように制御部80により制御される。オン位相とオフ位相の合計が駆動信号1周期Tであり、定義より駆動周波数Fの逆数で表される(T=1/F)。
一方、一般に利用可能なスイッチング素子SWにおいては、制御部80から供給される制御信号は、完全な矩形形状を有するものではなく、歪みや遅延を有するものであるため、オン状態の制御信号(ゲート信号)を供給してから負荷(LCR誘導加熱部22)に高周波電流が流れ始めるまでには遅延が生じ得る。そこで高周波電流が第1のアーム16の高圧側スイッチング素子SW1Uから、LCR誘導加熱部22を経由することなく、低圧側のスイッチング素子SW1Dに直接流れることを防止するために、高圧側スイッチング素子SW1Uにオン/オフ制御信号が供給されるタイミングと、低圧側のスイッチング素子SW1Dにオフ/オン制御信号が供給されるタイミングとの間にはデッドタイムd(駆動休止期間)を設けるように制御される。仮に、各スイッチング素子が歪みや遅延が生じない理想的なスイッチング素子を用いて、デッドタイムdをゼロ(0)としたとき、図13(a)において例えば制御信号がオン位相とオフ位相が等しい信号、いわゆるデューティ50%の信号の場合は、オン/オフ制御信号が供給されている時間は、最大で駆動周期Tの1/2に等しくなる。
図13(a)に示すように、スイッチング素子SW1U,SW1D,SW2U,SW2Dにオン/オフ制御信号が供給されると、LCR誘導加熱部22には図13(b)に示すタイミングで駆動電圧が印加される。すなわち、第1のアーム16の高圧側スイッチング素子SW1Uと第2のアーム17の低圧側スイッチング素子SW2Dがオン状態にあるとき、LCR誘導加熱部22に図6の左から右方向の(正方向の)高周波電流Iが流れ、第2のアーム17の高圧側スイッチング素子SW2Uと第1のアーム16の低圧側スイッチング素子SW1Dがオン状態にあるとき、LCR誘導加熱部22に図6の左から右方向へ(負方向の)高周波電流Iが流れる。
図14(a)は、同様に、図6に示す第1の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW1U,SW1Dと、第2の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW2U,SW2Dに供給される制御信号の一例を示すタイミングチャートである。図13(a)と図14(a)が相違する点は、第2の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW2U,SW2Dに対してオン/オフ制御信号が供給されるタイミング(オン位相およびオフ位相)が、第1の高圧側および低圧側のスイッチング素子SW1U,SW1Dに対してオン/オフ制御信号が供給されるタイミング(オン位相およびオフ位相)に比して、図13(a)ではπ遅れており、図14(a)では遅延時間τだけ遅れている点である。すなわち、駆動周期Tにおける遅延時間τは、遅延位相差θにより次式で表される。
Figure 2014041753
よって、デッドタイムdをゼロ(0)としたとき、オン制御信号が供給されている最大時間が駆動周期Tの1/2となるので、遅延位相差θの設定範囲は次式で表される。
Figure 2014041753
ただし、デッドタイムd(>0)を考慮すると、遅延時間τに2倍のデッドタイムdを加えた時間が駆動周期Tの1/2となるので、遅延位相差θは次式で表される。
Figure 2014041753
デッドタイムdは、上述のとおり、スイッチング素子SWの損失を低減し、過電流破壊を回避するためのものであるので、スイッチング素子SWの特性および駆動周波数Fに依存するが、たとえば2.5μ秒であってもよい。
このとき図14(a)に示すタイミングでスイッチング素子SW1U,SW1D,SW2U,SW2Dにオン/オフ制御信号が供給されると、図14(b)に示すタイミングで、第1の高圧側スイッチング素子SW1Uと第2の低圧側スイッチング素子SW2Dがオン状態にあるとき、LCR誘導加熱部22に正方向の電流が流れ、第2の高圧側スイッチング素子SW2Uと第1の低圧側スイッチング素子SW1Dがオン状態にあるとき、LCR誘導加熱部22に負方向の電流が流れる。
図13(b)と図14(b)のタイミングチャートを比較すれば明らかなように、各加熱コイル20,30に周期的に供給される時間間隔t、すなわちフルブリッジ式インバータ回路の対をなすアーム16,17の位相差(遅延位相)θ、つまり第1のアーム16のSW1Uと第2のアーム17のSW2D(または第2のアーム17のSW2Uと第1のアーム16のSW1D)が同時にオンする期間を制御することにより、LCR誘導加熱部22に供給される高周波電流(目標火力または出力電力)を調整することができる。なお、詳細説明しないが、ハーフブリッジ式インバータ回路を採用した場合であっても、スイッチング素子のオン時間を調整することにより、同様に、一定の駆動周波数Fを有する高周波電流が各LCR誘導加熱部22,32に周期的に供給される時間間隔tを調整することにより、LCR誘導加熱部22,32に供給される火力Pを調整することができる。これらの遅延時間τ(位相差θ)は、ユーザが操作部6を用いて設定した火力Pに応じて、制御部80によって決定される。
上述のとおり、駆動周波数Fは、検知部60,70で検知した各加熱コイル20,30の共振周波数のうちの最大共振周波数(Fr)にオフセット周波数ΔFrを加えたものとして一定に維持することにより、各加熱コイル20,30に供給する火力を、500W未満の「弱」火力、500W〜1500W未満の「中」火力、または1500W〜3000W未満の「強」火力からなる火力帯を決定することができる。さらに、この実施の形態では、検知部60,70により検知された各加熱コイル20,30の負荷抵抗RまたはインピーダンスZに基づいて、各加熱コイル20,30に高周波電流を供給するフルブリッジ式インバータ回路の遅延位相(または各LCR誘導加熱部22,32に周期的に供給される時間間隔t(遅延時間τ)であって、以下単に「位相差θ」という。)を調整することができる。このとき駆動周波数Fは、各インバータ回路40,50a〜50dにおいて一定に維持されるので、各加熱コイル20,30に供給する駆動周波数Fが異なったとき生じる干渉音(うなり音)を未然防止することができる。
より具体的には、制御部80は、8ビット情報(256(=2)ステップの分解能)を有するAD変換器やマイクロコントローラ(図示せず)を用いると、最大256ステップの位相差θを実現することができる。すなわち500W未満の「弱」の火力帯において、理論的には約2W(=500/256)ごとの繊細な火力調整を実現することができる。制御部80は、たとえば200Wの火力を所望する場合、駆動周波数FDAを固定し、約2Wを1ステップとして、約100ステップに相当する位相差θを決定し、その位相差θで各インバータ回路40,50a〜50dを制御する。また制御部80のAD変換器等が4ビット情報(16(=2)ステップの分解能)を有する場合であっても、約31W(=500/16)の微調整を行うことができる。
同様に、制御部80のAD変換器等が8ビット相当の分解能(256(=2)ステップ)を有する場合、1500W未満の「中」火力帯においては、約5.9W(=1500/256)ごとの火力、そして3000W未満の「強」火力帯においては、約11.7W(=3000/256)ごとの火力を繊細に火力調整することができる。すなわち、この実施の形態によれば、弱火でじっくりと煮込む料理において、ユーザは極めて精緻に火加減の調節を行うことができる。このように位相差θを調整して火力を制御することは、駆動周波数Fのみを調整して火力(高周波電流)を調整する場合に比して、高周波電流が駆動周波数Fに依存して指数関数的に増減することに起因した火力調整の困難性を補完するものである。
なお制御部80のAD変換器等の分解能が大きいほど、微細な調整が可能である。一方、実際のAD変換器等において、これを駆動するための電源電圧は一般的に5V程度と小さく、外因性ノイズ等が重畳されると、1ビットの変化量に対する感度が低減し、実質的に分解能に悪影響を及ぼし得る。したがってノイズ等の悪影響をできるだけ排除するためには、ノイズに対するマージンを確保するため、意図的に感度(分解能)を小さくして、調整ステップ(調節可能な火力単位)大きくして、離散的な火力調整を行うようにしてもよい。
上記のように、制御部80のAD変換器等が4ビット情報(16(=2)ステップの分解能)を有する場合、500W未満の「弱」の火力帯(FDA)、1500W未満の「中」火力帯(FDB)、および3000W未満の「強」火力帯(FDC)において、1ステップの分解能に対応する位相差θ(以下、「単位位相差θ」という。)は、それぞれ約31W(=500/16)、約93W(=1500/16)、および約187W(=3000/16)の調整加熱量に相当する。図15は、設定火力Pから駆動周波数Fを決定し、位相差θ(X/16ステップ)を調整したときに実際の出力火力の関係を示したグラフである。このとき、上記値Xが0になるとき、高周波電流Iは流れなくなるので、単位位相差θで調整可能な火力は、それぞれ500W(弱火力)、1500W(中火力)、および3000W(強火力)の最大値の1/16である点に留意すべきである。
次の表1は、各火力帯(駆動周波数F)において、位相差θの分解能ステップを変化させたときの火力調整量を示すものである。たとえば中火力帯において、位相差θのステップを5/16または4/16としたとき、弱火力帯に属する500W未満の火力に調整することができ、下表においては、括弧を付して記載している。
同様に、強火力帯において、位相差θのステップを4/16〜7/16としたとき、中火力帯に属する1500W未満の火力に調整することができる。
Figure 2014041753
このように3つの火力帯が設定されている場合、たとえば「弱」の火力帯から「中」の火力帯に移行時において、連続的な火力調節を可能とするように、「中」の火力帯において最小の火力調整量を実現する6/16ステップを、隣接する火力帯の境界を示す位相差ステップとしてあらかじめ設定しておいてもよい。すなわち制御部80は、「弱」火力帯の駆動周波数FDAの16/16ステップ位相差θで調整される火力と、「中」火力帯の駆動周波数FDBの6/16ステップ位相差θで調整される火力が連続していることを認識した上で各インバータ回路40,50a〜50dを制御することが好ましい。同様に、制御部80は、「中」火力帯の駆動周波数FDBの16/16ステップ位相差θで調整される火力と、「強」火力帯の駆動周波数FDCの9/16ステップ位相差θで調整される火力が連続していることを認識して各インバータ回路40,50a〜50dを制御することが好ましい。
また、制御部80のAD変換器等が十分に大きい分解能を有するように設計(たとえば制御部80のAD変換器等が16ビット相当の分解能(65536(=216)ステップを有するように設計)した上で、「弱」、「中」、および「強」の火力帯における複数のステップ位相差θで調節可能な火力単位を一定とすることにより、図16に示すように、火力調節ダイヤル7の調節を、ユーザの触感に応じた直線的なものとすることができる。たとえば1Wの火力を調整するために、「弱」火力帯の駆動周波数FDAの約131/65536のステップに相当する位相差θ、「中」火力帯の駆動周波数FDBの約44/65536のステップに相当する位相差θ、「強」火力帯の駆動周波数FDCの約22/65536のステップに相当する位相差θ、を単一の制御位相差として各インバータ回路40,50a〜50dを制御することにより、図16に示すような直線的な出力火力を実現することができる。
この実施の形態に係る制御部80は、デジタル回路であるAD変換器等を用いて分解能に応じた離散的な値のステップ量を位相差θに対応させて制御するものであるが、その他の当業者に広く知られたアナログ信号回路(詳細図示せず)を用いて、連続的に位相差θを調整してもよい。連続的に位相差θを調整する場合、ユーザは、火力調節ダイヤル7の調節量に応じて、より触感に即した滑らかな火力調節を行うことができる。
また図17に示すように、ユーザによる火力調節ダイヤル7の調節量(制御量)に対して、単一の制御位相差による出力火力の変化量を非線形に変化させるようにしてもよい。たとえば単一の制御位相差による出力火力の制御量が、「弱」の火力帯においては緩やかに、「強」の火力帯においては急峻に応答するように、制御部80を構成してもよい。これにより、火力(出力電力)を非線形に変化させることができる。すなわち各火力帯における単一の制御位相差による出力火力が変化するため、任意の火力帯における火力変化量(勾配)を自在に設定することができる(図17(b))。
図17(b)の他、火力調整値(単一の制御位相差による出力火力の制御量)と設定火力Pとの関係は、図18(a)〜図18(c)に示すような関係を有していてもよく、制御部80は、両者の関係を表わす関数式や数値テーブルを事前に記憶し、両者の関係を誘導加熱調理器1の製品仕様(調節仕様)に併せて設定することもできる。
[ST04:インバータ回路の制御]
図8のステップST04において、上述のように、制御部80は、火力調節ダイヤル7の調節量に応じて、駆動周波数F(火力帯)を決定し、駆動周波数Fを固定して、各インバータ回路40,50a〜50dの位相差θを調整することにより、任意の繊細な設定火力Pが得られるように各インバータ回路40,50a〜50dを制御する。
また、この実施の形態に係る検知部60,70は、インピーダンスZ(負荷抵抗R)を検知することにより、各加熱コイル20,30の上方に鍋Kが戴置されているか否か、鍋Kの戴置面積等を含む負荷情報を知ることができるので、各加熱コイル20,30の負荷抵抗R等に基づいて設定火力Pを配分することができる。
制御部80は、各加熱コイル20,30の負荷抵抗R等に基づいて、中央コイル20に供給すべき出力電力P1および各周辺コイル30a〜30dに供給すべき出力電力P2の比(P1:P2)を、たとえば4対1と設定して、全体の目標火力Pが2000Wであるとき、中央コイル20に1000W、各周辺コイル30a〜30dに250Wずつ電力供給するように電源装置12を制御してもよい(P=P1+4×P2、図19参照)。また中央コイル20および各周辺コイル30に供給すべき出力電力の比は任意であり、各中央コイル20および各周辺コイル30の負荷抵抗R等に依存して変化させてもよい。なお、中央コイル20および各周辺コイル30の各位相差を示すタイミングチャートについては、当業者ならば理解されると考えられるので、図示を省略した。
上記実施の形態においては、鍋Kは鉄などの磁性体材料で構成され、共振周波数Frが20kHzであるとして説明したが、本願発明は、任意の共振周波数Frを有する構成材料からなる鍋Kを誘導加熱する場合に採用することができる。
たとえばアルミニウム製の鍋Kの共振周波数Frが60kHzであることを検知部60,70が検知したとき、制御部80は、
i)500W未満の「弱」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを7kHzとして、駆動周波数Fを67kHz(駆動周波数FDA)とし、
ii)500W〜1500W未満の「中」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを5kHzとして、駆動周波数Fを65kHz(駆動周波数FDB)とし、
iii)1500W〜3000W未満の「強」火力を選択した場合、オフセット周波数ΔFrを2kHzとして、駆動周波数Fを62.0kHz(駆動周波数FDC)と決定する(FDA>FDB>FDC)。
そして、「弱」、「中」、「強」の火力帯において、制御部80は、駆動周波数Fを固定して、ユーザが火力調節ダイヤル7の調節量に応じた位相差θを制御することにより、ユーザの所望する設定火力Pを実現することができる。
以上のように、本願発明によれば、検知部60,70により検知された各加熱コイルの最大共振周波数Frに、ユーザが設定した各加熱コイルの所望の加熱電力(設定火力P)に対応する所定のオフセット周波数ΔFrを加えたものを駆動周波数Fと決定して(第1の火力調整手段)、駆動周波数Fを固定した状態で、所望の設定火力Pに対応して段階的にまたは連続的に位相差θを制御することにより、さらに火力を微調整することができる(第2の火力調整手段)。したがって、本願発明によれば、各加熱コイルの共振周波数Frを検知して、これにオフセット周波数ΔFrだけを加えた駆動周波数Fを有する高周波電流を供給するため、より大きな電流を鍋Kに流すことができ、きわめて効率よく電力を供給することができる。また本願発明によれば、高周波電流が駆動周波数Fに依存して指数関数的に変化することから、駆動周波数Fのみを制御する場合に比して精緻な火力調整を実現し、位相差θのみを制御する場合に比してきわめて広範囲の火力を調整することができる。
実施の形態2.
図20および図21を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、ユーザが火力調節ダイヤル7を用いて火力を調節した後、制御部80は各加熱コイル20,30の一定の設定火力Pに対して、各インバータ回路40,50a〜50dを制御するものであったが、実施の形態2では、設定火力Pがユーザにより変更された場合に、駆動周波数Fおよび位相差θを再度決定して各インバータ回路40,50a〜50dを制御する点を除き、実施の形態1の誘導加熱調理器1と同様の構成を有するので、重複する内容については説明を省略する。
図20は、ユーザが所望する設定火力Pを変更したときの、実施の形態2に係る誘導加熱調理器1の制御方法を示すフローチャートであり、図21は別の制御方法を示すフローチャートでる。まず図20に示す制御方法について説明する。
当初、ユーザが500W〜1500Wの「中」火力(すなわち「中」火力帯)を選択しており、制御部80が駆動周波数FDBを決定し、これを維持して、各インバータ回路40,50a〜50dの位相差θを調整して所望の設定火力Pを得るように各インバータ回路40,50a〜50dを制御していたものと仮定する。
ステップST11において、制御部80は、火力調節ダイヤル7を用いてユーザが火力を変更したことを検知し、変更された火力(以下、単に「目標火力P」という。)が同一の「中」火力帯に属するか否か判断する。
制御部80は、目標火力Pが「中」火力帯に属すると判断したときは、ステップST17において、制御部80は、目標火力Pと現在の火力Pを比較し、目標火力Pを得るために必要な位相差θを再計算する。そして制御部80は、火力を大きくする必要があると判断したとき、ステップST18において位相差θを増大させ、火力を小さくする必要があると判断したとき、ステップST19において位相差θを低減させるように各インバータ回路40,50a〜50dを制御する。
一方、ステップST11,ST12において、制御部80は、目標火力Pが「強」火力帯に属すると判断したときは、ステップST13において、駆動周波数FDC(<FDB)に変更するとともに、ステップST14において、位相差θを従前より小さい値、たとえば「強」火力を実現する最小の位相差θ(たとえば[表1]の8/16ステップに相当する位相差θ)に変更する。駆動周波数Fだけを小さくして、位相差θをそのままにすると、高周波電流が急激に増大し、各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子SW等が破壊されるのを防止するためである。換言すると、制御部80は、目標火力Pを実現する高周波電流の駆動周波数が「強」火力の駆動周波数FDCと「中」火力の駆動周波数FDBの2つ以上あると判断したとき、「強」火力の駆動周波数FDCに変更するとともに、位相差θを最小の位相差θに変更することが好ましい。
そして制御部80は、ステップST17〜ST19において上記説明したように、目標火力Pと現在の火力Pを比較し、目標火力Pを得るために必要な位相差θを調整してインバータ回路40,50a〜50dを制御する。ただし制御部80は、ステップST14において、位相差θを「強」火力を実現する最小の位相差θ(たとえば1500Wの火力)に変更していた場合には、ステップST18において、位相差θを増大させて、各インバータ回路40,50a〜50dを制御する。
他方、ステップST11,ST12において、制御部80は、目標火力Pが「弱」火力帯に属すると判断したときは、ステップST15において、駆動周波数FDA(>FDB)に変更するとともに、ステップST16において、位相差θをそのままとするか、あるいは従前より小さい値に変更する。なお、ステップST13とST14、またステップST15とST16は、それぞれ手順が入れ替わってもよい。
そしてステップST17〜ST19において上記説明したように、目標火力Pと現在の火力Pを比較し、目標火力Pを得るために必要な位相差θを調整してインバータ回路40,50a〜50dを制御する。なお、必要ならば、ステップST16において、位相差θを、たとえば「弱」火力を実現する最大の位相差θ(たとえば[表1]の16/16ステップに相当する位相差θ)に変更してもよく、ステップST19において2段階で火力を弱めるようにしてもよい。
次に、図21のフローチャートを参照しながら、別の制御方法について説明する。この制御方法は、図20に示す上記制御方法とほぼ同様のものである。ただし、この制御方法は、ステップST21においてユーザにより目標火力Pが変更されたことを制御部80が検知すると、ステップST40において一旦鍋Kへの給電を停止し、ステップST41において鍋Kの載置状態などの負荷情報を再度検知する点が図20の制御方法とは異なる。すなわち検知部60,70は、ステップST41において共振周波数Frを改めて算出し、制御部80は、ステップST22において、目標火力Pがより高い火力帯に属するか否か判断する。たとえば制御部80は、目標火力Pがより高い火力帯に属すると判断したとき、ステップST23でオフセット周波数ΔFrを小さくして駆動周波数FDC(<FDB)に変更し、一方、目標火力Pがより低い火力帯に属すると判断したとき、ステップST26でオフセット周波数ΔFrを高くして駆動周波数FDA(>FDB)に変更して、ステップST24およびステップST27で加熱を再開する。図21の制御方法によれば、ステップST40で鍋Kへの給電を停止しているので、ステップST41で負荷情報の再検知を行なうことで、共振周波数Frや負荷抵抗Rを最新の状態に更新し、駆動周波数Fとともに、目標火力Pを実現する位相差θを再計算することができる。択一的には、上記具体例において、駆動周波数FDAに変更された場合には、「弱」火力を実現する最大の位相差θ(たとえば[表1]の16/16ステップに相当する位相差θ)に変更し、駆動周波数FDCに変更された場合には、「強」火力を実現する最小の位相差θ(たとえば[表1]の8/16ステップに相当する位相差θ)に変更してもよい。
その後、ステップST17〜ST19において上記説明したように、ステップST29〜ST31において、目標火力Pと現在の火力Pを比較し、目標火力Pを得るために必要な位相差θを調整してインバータ回路40,50a〜50dを制御する。
このように検知部60,70が共振周波数Frを更新することにより、鍋Kを加熱している間に鍋Kの戴置位置に変更があった場合(鍋振りなどによる鍋の位置ずれがあった場合)や加熱コイル20,30の温度が上昇したことによる回路特性に変化があった場合にも対応して、最新の状態における負荷抵抗Rおよび共振周波数Frを検知し、最適な出力電力比または駆動周波数Fを選択することができるので、より適正な加熱条件でのインバータ回路40,50a〜50dの駆動制御が可能となり、回路損失の低減や、各加熱コイル20,30間の加熱の均一性を維持することができる。
ところで、上記説明したように、本願発明は、まず駆動周波数Fを調整することにより(第1の調整手段)、鍋Kに供給する火力を複数の所定の火力範囲に調節し、次に駆動周波数Fを固定して、高周波電流が各インバータ回路40,50a〜50dのスイッチング素子に流れる時間(位相)を調整することにより(第2の調整手段)、所定の火力範囲における火力をさらに細かく調節しようとするものである。
ところで、500W未満でそれ以下の目標火力Pがユーザにより設定された場合、制御部80は、「弱」火力帯、すなわち駆動周波数FDAを選択して、位相差θを制御するが、再び表1を参照すると、「中」火力帯、すなわち駆動周波数FDBを選択して、位相差θを制御しても500W未満の目標火力P(たとえば位相差θが4/16ステップまたは5/16ステップ)を実現することができる。同様に、500W〜1500Wの目標火力Pが設定された場合、通常、制御部80は、「中」火力帯、すなわち駆動周波数FDBを選択して、位相差θを制御するが、「強」火力帯、すなわち駆動周波数FDCを選択して、位相差θを制御しても「中」火力帯の目標火力P(たとえば位相差θが4/16ステップ〜7/16ステップ)を実現することができる。
このとき、図12を用いて説明したように、駆動周波数Fが共振周波数Frにより近い方が効率的に高周波電流を供給することができる。したがって目標火力Pを実現するために、駆動周波数FDAと位相差θ、および駆動周波数FDBと位相差θの2通りの組み合わせを用いることができるとき、より小さい駆動周波数FDBおよびより小さい位相差θを用いて各インバータ回路40,50a〜50dを制御することにより、電力損失のより少ない効率的な給電を実現することができる。
このように、制御部80は、駆動周波数Fと位相差θについて、事前に設定し、図示しないメモリに記憶しておき、目標火力Pを実現するために必要な駆動周波数Fと位相差θを、必ずしも火力帯に拘泥せず、用途等に応じて適宜選択するように構成してもよい。
実施の形態3.
図22〜図25を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態3について説明する。実施の形態1では、周辺コイル30a〜30dは、個別のインバータ50a〜50dにより高周波電流が供給されるものであったが、実施の形態3では、概略、周辺コイル30a,30cおよび周辺コイル30b,30dが直列に接続されている点を除き、実施の形態1,2の誘導加熱調理器1と同様の構成を有するので、重複する内容については説明を省略する。
図22は、中央コイル20および各周辺コイル30a〜30dに高周波電流を供給する電源装置12の図5(実施の形態1)と同様の模式図であり、実施の形態3においては、上述のとおり、周辺コイル30a,30cおよび周辺コイル30b,30dが直列に接続されている。図23は、実施の形態3の電源装置12の回路ブロック図であり、中央コイル20および周辺コイル30a,30cに高周波電流を供給するフルブリッジ式インバータ回路40,50aは、図6の回路ブロック図と同様の電気的構成を有するものである。なお、図23においては、図面を明確にするために、周辺コイル30b,30dに高周波電流を供給するフルブリッジ式インバータ回路50bを省略している。
これに限定されるものではないが、図23に示すように、中央コイル20および周辺コイル30a+30cに高周波電流を供給するインバータ回路40,50aは、第1のアーム16を共有してもよく、部品点数を削減し、生産コストを低減することができる。すなわち中央コイル20および周辺コイル30a+30cに高周波電流を供給するフルブリッジ式インバータ回路40,50aは、SW1U,SW1Dを含む第1の共有アーム16と、中央コイル20に接続されたSW2U,SW2Dを含む第2のアーム17aと、周辺コイル30a+30cに接続されたSW3U,SW3Dを含む第3のアーム17bとを有する。第1の共有アーム16に用いられるスイッチング素子SW1U,SW1Dには、中央コイル20および周辺コイル30a+30cの両方の高周波電流が流れることから、シリコンカーバイド(SiC)などを構成材料とする高出力のスイッチング素子を用いることが好ましい。
このように構成された誘導加熱調理器1において、実施の形態1,2と同様、制御部80は、
i)検知部60,70を用いて、各加熱コイル20,30の共振周波数Fr(および負荷抵抗R)を算出し、
ii)操作部6で入力された所望する目標火力Pに基づいて、オフセット周波数ΔFr、すなわち火力帯(駆動周波数F)を決定し(第1の火力調整手段)、
iii)駆動周波数Fを固定して、中央インバータ回路40,周辺インバータ回路50a,50bのスイッチング素子に流れる時間(位相差θ)を決定し、
iv)各インバータ回路40,50a,50bを制御することにより、目標火力Pを微調整することができる(第2の火力調整手段)。
したがって、実施の形態3によれば、鍋Kが載置された状態でのインピーダンスZに適した条件で駆動できるので、より大きな電流を流すことができ、きわめて効率よく電力を供給することができ、一定の駆動周波数F、および所望される火力に応じた位相差θを有する高周波電流を供給されるように各インバータ回路40,50a,50bを制御して、精緻な火力調整を実現することができる。
また制御部80は、各加熱コイル20,30の上方にある鍋Kの負荷状態を示す負荷抵抗Rに基づいて、それぞれの出力電力を制御してもよい。たとえば図24に示すように、ある火力帯(駆動周波数F)においてユーザが設定した設定火力Pに対し、検知部60,70が鍋Kの載置状態を検知し、中央コイル20、周辺コイル30a+30c、および周辺コイル30b+30d上の鍋の戴置面積がS1,S2,S3であった(S1>S2>S3)とき、制御部80は、中央コイル20、周辺コイル30a+30c、および周辺コイル30b+30dのそれぞれに供給すべき出力電力P,P,Pの比(たとえば4対2対1)を決定して、各インバータ回路40,50a,50bの位相差θを調整することにより、それぞれの火力を制御してもよい。このときユーザが設定した目標(設定)火力Pは、中央コイル20、周辺コイル30a+30c、および周辺コイル30b+30dの出力電力P,P,Pの合計値となり(P=P+P+P)、制御部80は、駆動周波数Fを一定にして、各インバータ回路40,50a,50bの出力電力P,P,Pに応じた位相差θ,θ,θを決定し、それぞれの加熱コイル20,30で得られる火力を制御してもよい。なお、各加熱コイル20,30の各位相差を示すタイミングチャートについては、当業者ならば理解されるので、図示を省略した。
また、図25に示すように玉子焼き用のフライパンKがトッププレート3上に戴置されたとき、周辺コイル30a+30c上には実質的に戴置されず、検知部70aによる鍋Kの見かけ上の負荷抵抗Rは小さくなる。制御部80は、周辺コイル30a+30cの負荷抵抗Rが所定の閾値より小さいと判断したとき、周辺コイル30a+30cへの給電を停止してもよい。このように、本願発明によれば、検知部60,70により検知された負荷情報に基づいて、適正で有効な高周波電流を供給することができる。
実施の形態4.
図26を参照しながら、本願発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態4について説明する。実施の形態1〜3に係る誘導加熱調理器1は、中央コイル20(直列接続された内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20b)と、4つの周辺コイル30a〜30dを有するものであったが、実施の形態4に係る誘導加熱調理器1は、中央コイル20と、これと同心円状に配置された外周コイル30とを有する点を除き、実施の形態1〜3の誘導加熱調理器1と同様の構成を有するので、重複する内容については説明を省略する。
図26は、実施の形態4に係るIH加熱部10の平面図であり、トッププレート3等を省略したものであり、図2と同様のものである。このIH加熱部10は、中央コイル20(直列接続された内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20b)と、これとは独立した外周コイル30とを有し、トリプルリングコイル式のIH加熱部ともいう。内側中央コイル20aおよび外側中央コイル20bの間には、実施の形態1と同様、トッププレート3に当接するように温度センサが配設されている。
実施の形態4に係る電源装置12の回路構成は、上記実施の形態のものと基本的に同じであるから説明を割愛するが、図23(インバータ回路50bを省略したもの)と同等のものである。また各インバータ回路40,50の第1のアームについて、共用アームとしてもよいし(図23と同様)、個別のものとして構成してもよい。
このように構成された誘導加熱調理器1において、実施の形態1〜3と同様、制御部80は、
i)検知部60,70を用いて、中央コイル20および外周コイル30の共振周波数Fr(および負荷抵抗R)を算出し、
ii)操作部6で入力された所望する火力Pに基づいて、オフセット周波数ΔFr、すなわち火力帯(駆動周波数F)を決定し(第1の火力調整手段)、
iii)駆動周波数Fを固定して、高周波電流が中央インバータ回路40および外周インバータ回路50のスイッチング素子に流れる時間間隔t(≒位相差θ)を決定し、
iv)各インバータ回路40,50を制御することにより、目標火力Pを微調整することができる(第2の火力調整手段)。
したがって、実施の形態4によれば、鍋Kが載置された状態でのインピーダンスZに適した条件で駆動できるので、より大きな電流を流すことができ、きわめて効率よく電力を供給することができ、一定の駆動周波数F、および所望される火力に応じた位相差θを有する高周波電流を供給されるように各インバータ回路40,50を制御して、精緻な火力調整を実現することができる。
また制御部80は、各加熱コイル20,30の上方にある鍋Kの負荷状態を示す負荷抵抗R(またはインピーダンス)に基づいて、それぞれの出力電力を制御することができる。たとえば図26に示すように、小型の鍋Kがトッププレート3上に戴置された場合、外周コイル30の上方には実質的に戴置されず、外周コイル30に対する鍋Kの見かけ上の負荷抵抗Rは小さくなる。このとき、検知部60,70が鍋Kの載置状態を検知し、外周コイル30の上方には鍋Kが戴置されないものと判断して、中央コイル20のみに高周波電流を供給することが好ましい。このとき検知部60は、中央コイル20の駆動周波数Fを求め、制御部80は、ユーザが所望する目標火力Pに応じて駆動周波数Fおよび位相差θを決定して、適正で有効な高周波電流が供給されるように、中央インバータ回路40を制御する。
上記説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1〜3と同様、鍋Kにより大きな電流を流すことができ、きわめて効率よく電力を供給することができ、一定の駆動周波数F、および所望される火力に応じた位相差θを有する高周波電流を供給されるように各インバータ回路40,50を制御して、精緻な火力調整を実現することができる。
1…誘導加熱調理器、2…筐体、3…トッププレート、4…中央加熱部、5…調理用グリル、6…操作部(操作パネル)、7…火力調節ダイヤル、8…表示部、9a…排気口、9b,9c…吸気口、10,11…IH加熱部、12…電源装置(電源部)、14…コイルベース、15…磁性体(フェライトコア)、16…第1のアーム、17…第2のアーム、18…磁性キャンセルリング、20…中央コイル、20a…内側中央コイル、20b…外側中央コイル、22,32…LCR誘導加熱部、24…駆動電圧検出器、25…駆動電流検出器、30a〜30d…周辺コイル、40…中央インバータ回路、50a〜50d…周辺インバータ回路、60,70…検知部(1次成分抽出部)、80…制御部、K…鍋、SW…スイッチング素子。

Claims (14)

  1. 互いに隣接し、協働して単一の被加熱体を誘導加熱する複数(i個,iは2以上の自然数)の加熱コイルと、
    前記各加熱コイルに所定の駆動周波数を有する高周波電流を個別に供給する複数の電源部と、
    前記各加熱コイルに流れる駆動電流および該各加熱コイルの両端に印加される駆動電圧を検知するとともに、検知された駆動電流および駆動電圧から前記各加熱コイルの負荷抵抗および共振周波数を算出する検知部と、
    前記各加熱コイルで消費される所望の目標火力をユーザにより設定できる操作部と、
    前記検知部および前記操作部に接続された制御部とを備え、
    前記制御部は、
    a)算出された前記各加熱コイルの共振周波数(Fr)のうち最大のもの(Fr)に、ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力に対応する所定の差分周波数(ΔFr)を加えたものを駆動周波数(F=Fr+ΔFr)と決定し、
    b)ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力および算出された前記各加熱コイルの負荷抵抗に基づいて、決定した駆動周波数(F)を有する高周波電流が前記各加熱コイルに周期的に供給される時間間隔(t)を調整するように前記各電源部を制御することを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 制御部は、複数の火力帯を設定し、同一の火力帯においては各加熱コイルに対して同一の駆動周波数(F)を決定することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 電源部は、高圧側および低圧側のスイッチング素子を含む第1および第2のアームからなるフルブリッジ回路を有し、
    加熱コイルは、前記第1のアームの前記高圧側および低圧側のスイッチング素子の中間点と、前記第2のアームの前記高圧側および低圧側のスイッチング素子の中間点との間に接続され、
    制御部は、操作部で設定された各加熱コイルの負荷抵抗および所望の目標火力に基づいて、前記第1のアームの前記高圧側スイッチング素子から前記第2のアームの前記低圧側スイッチング素子に印加される駆動電圧の位相と、前記第2のアームの前記高圧側スイッチング素子から前記第1のアームの前記低圧側スイッチング素子に印加される駆動電圧の位相との位相差(θ)を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 位相差θで設定される時間間隔(t)は、駆動周波数(F)を有する高周波電流の半周期(T/2)よりデッドタイム時間(d)を2倍した時間だけ短いこと(τ=T/2−2d)を特徴とする請求項3に記載の誘導加熱調理器。
  5. 制御部は、複数の離散的な差分周波数(ΔFr)を記憶し、所望の目標火力に応じて決定された差分周波数を最大の共振周波数(Fr)に加えることにより駆動周波数(F)を決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  6. 制御部は、所望の目標火力を加熱コイルに供給できる高周波電流の駆動周波数が2以上あることを判断したとき、より小さい駆動周波数に変更するとともに、より短い時間間隔(t)に変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  7. 加熱コイルは、中央コイルおよびその周辺に配置された少なくとも1つ以上の周辺コイルからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  8. 検知部は、
    加熱コイル、およびこれに直列に接続された共振コンデンサとからなるLCR誘導加熱部の両端に印加される駆動電圧を検出する駆動電圧検出部と、
    前記LCR誘導加熱部に流れる駆動電流を検出する駆動電流検出部と、
    検出された駆動電圧および駆動電流から、駆動周波数と同一の周波数を有する1次成分を含む1次駆動電圧および1次駆動電流を抽出する1次成分抽出部とを有し、
    制御部は、1次駆動電圧および1次駆動電流から、各加熱コイルの負荷抵抗および共振周波数を算出し、算出された負荷抵抗および共振周波数が所定の閾値より大きいときに、前記LCR誘導加熱部に高周波電流を供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  9. 互いに隣接し、協働して単一の被加熱体を誘導加熱する複数(i個,iは2以上の自然数)の加熱コイルと、前記各加熱コイルに所定の駆動周波数を有する高周波電流を個別に供給する複数の電源部と、前記各加熱コイルに流れる駆動電流および該各加熱コイルの両端に印加される駆動電圧を検知するとともに、検知された駆動電流および駆動電圧から前記各加熱コイルの負荷抵抗および共振周波数を算出する検知部と、前記各加熱コイルで消費される所望の目標火力をユーザにより設定できる操作部と、前記検知部および前記操作部に接続された制御部とを備えた誘導加熱調理器の制御方法であって、この制御部において、
    a)算出された前記各加熱コイルの共振周波数(Fr)のうち最大のもの(Fr)に、ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力に対応する所定の差分周波数(ΔFr)を加えたものを駆動周波数(F=Fr+ΔFr)と決定するステップと、
    b)ユーザが設定した前記各加熱コイルの所望の目標火力および算出された前記各加熱コイルの負荷抵抗に基づいて、決定した駆動周波数(F)を有する高周波電流が前記各加熱コイルに周期的に供給される時間間隔(t)を調整するように前記各電源部を制御するするステップとを有することを特徴とする制御方法。
  10. 複数の火力帯を設定し、同一の火力帯においては各加熱コイルに対して同一の駆動周波数(Fr)を決定するステップを有することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
  11. 電源部は、高圧側および低圧側のスイッチング素子を含む第1および第2のアームからなるフルブリッジ回路を有し、加熱コイルは、前記第1のアームの前記高圧側および低圧側のスイッチング素子の中間点と、前記第2のアームの前記高圧側および低圧側のスイッチング素子の中間点との間に接続され、
    操作部で設定された各加熱コイルの負荷抵抗および所望の目標火力に基づいて、前記第1のアームの前記高圧側スイッチング素子から前記第2のアームの前記低圧側スイッチング素子に印加される駆動電圧の位相と、前記第2のアームの前記高圧側スイッチング素子から前記第1のアームの前記低圧側スイッチング素子に印加される駆動電圧の位相との位相差(θ)を制御するステップを有することを特徴とする請求項9または10に記載の制御方法。
  12. 位相差θで設定される時間間隔(t)は、駆動周波数(F)を有する高周波電流の半周期(T/2)よりデッドタイム時間(d)を2倍した時間だけ短いこと(τ=T/2−2d)を特徴とする請求項11に記載の制御方法。
  13. 複数の離散的な差分周波数を記憶するステップと、
    所望の目標火力に応じて決定された差分周波数を最大の共振周波数(Fr)に加えることにより駆動周波数(F)を決定するステップとを有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1に記載の制御方法。
  14. 所望の目標火力を加熱コイルに供給できる高周波電流の駆動周波数が2以上あることを判断したとき、より小さい駆動周波数に変更するとともに、より短い時間間隔(t)に変更するステップを有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1に記載の制御方法。
JP2012183258A 2012-08-22 2012-08-22 誘導加熱調理器およびその制御方法 Active JP6021516B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012183258A JP6021516B2 (ja) 2012-08-22 2012-08-22 誘導加熱調理器およびその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012183258A JP6021516B2 (ja) 2012-08-22 2012-08-22 誘導加熱調理器およびその制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014041753A true JP2014041753A (ja) 2014-03-06
JP6021516B2 JP6021516B2 (ja) 2016-11-09

Family

ID=50393851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012183258A Active JP6021516B2 (ja) 2012-08-22 2012-08-22 誘導加熱調理器およびその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6021516B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015198060A (ja) * 2014-04-03 2015-11-09 富士電機株式会社 誘導加熱装置の制御回路
JP2018515739A (ja) * 2015-11-27 2018-06-14 佛山市順徳区美的電熱電器制造有限公司 電磁加熱装置
WO2019073574A1 (ja) * 2017-10-12 2019-04-18 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器
KR102142411B1 (ko) * 2019-01-31 2020-08-07 (주)쿠첸 주파수 간섭에 의한 소음을 감소시킨 조리 기기
JP2020145183A (ja) * 2019-02-28 2020-09-10 三菱電機株式会社 誘導加熱コイルおよび誘導加熱装置
WO2022179228A1 (zh) * 2021-02-25 2022-09-01 广东美的白色家电技术创新中心有限公司 一种加热检测电路
WO2023003171A1 (ko) * 2021-07-23 2023-01-26 삼성전자 주식회사 가열 장치 및 가열 장치의 출력 제어 방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102211947B1 (ko) * 2014-05-30 2021-02-05 삼성전자주식회사 조리 장치 및 그 제어 방법
KR102044911B1 (ko) * 2018-08-10 2019-12-05 길승환 다양한 관광객 체중에 맞는 상하행 다기능 모터 짚 안전 시스템

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009117057A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Mitsubishi Electric Corp 誘導加熱調理器
WO2012070320A1 (ja) * 2010-11-22 2012-05-31 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器およびその制御方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009117057A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Mitsubishi Electric Corp 誘導加熱調理器
WO2012070320A1 (ja) * 2010-11-22 2012-05-31 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器およびその制御方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015198060A (ja) * 2014-04-03 2015-11-09 富士電機株式会社 誘導加熱装置の制御回路
JP2018515739A (ja) * 2015-11-27 2018-06-14 佛山市順徳区美的電熱電器制造有限公司 電磁加熱装置
WO2019073574A1 (ja) * 2017-10-12 2019-04-18 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器
CN111406439A (zh) * 2017-10-12 2020-07-10 三菱电机株式会社 感应加热烹调器
JPWO2019073574A1 (ja) * 2017-10-12 2020-07-27 三菱電機株式会社 誘導加熱調理器
CN111406439B (zh) * 2017-10-12 2022-03-22 三菱电机株式会社 感应加热烹调器
US11533790B2 (en) 2017-10-12 2022-12-20 Mitsubishi Electric Corporation Induction cooker
KR102142411B1 (ko) * 2019-01-31 2020-08-07 (주)쿠첸 주파수 간섭에 의한 소음을 감소시킨 조리 기기
JP2020145183A (ja) * 2019-02-28 2020-09-10 三菱電機株式会社 誘導加熱コイルおよび誘導加熱装置
JP7233390B2 (ja) 2019-02-28 2023-03-06 三菱電機株式会社 誘導加熱コイルおよび誘導加熱装置
WO2022179228A1 (zh) * 2021-02-25 2022-09-01 广东美的白色家电技术创新中心有限公司 一种加热检测电路
WO2023003171A1 (ko) * 2021-07-23 2023-01-26 삼성전자 주식회사 가열 장치 및 가열 장치의 출력 제어 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP6021516B2 (ja) 2016-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6021516B2 (ja) 誘導加熱調理器およびその制御方法
EP2405715B1 (en) Induction-heating cooking system
JP5474213B2 (ja) 誘導加熱調理器およびその制御方法
JP5662344B2 (ja) 誘導加熱装置およびそれを備えた誘導加熱調理器
JP5478735B2 (ja) 誘導加熱調理器およびその制御方法
US10455646B2 (en) Induction heating cooker
JP5943683B2 (ja) 誘導加熱装置
WO2015063942A1 (ja) 誘導加熱調理器
WO2018173262A1 (ja) 誘導加熱調理器
WO2015159451A1 (ja) 誘導加熱調理器およびその制御方法
WO2013137287A1 (ja) 誘導加熱調理器
WO2015059801A1 (ja) 誘導加熱調理器
JP4331071B2 (ja) 加熱調理器
EP3927114B1 (en) Induction heating cooker
JP5106575B2 (ja) 誘導加熱調理器
WO2015059802A1 (ja) 誘導加熱調理器
CN107567122B (zh) 电磁加热烹饪系统及其加热控制装置和控制方法
WO2015159353A1 (ja) 誘導加熱調理器
JP2011171040A (ja) 誘導加熱装置およびそれを備えた誘導加熱調理器
JP2010267636A (ja) 誘導加熱調理器
JP5058296B2 (ja) 誘導加熱調理器
KR102175638B1 (ko) 복수의 서브 워킹 코일들을 포함하는 가열 장치
JP5625296B2 (ja) 誘導加熱装置
JP2014017273A (ja) 誘導加熱調理器
JP2014175277A (ja) 誘導加熱調理器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6021516

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250