WO2015159451A1 - 誘導加熱調理器およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

 本発明に係る誘導加熱調理器は、被加熱体が載置されるトッププレートと、平面状に捲回された中央コイルと、中央コイルの周辺に配設された周辺コイルと、中央コイルおよび周辺コイルに高周波電流を供給する駆動部と、駆動部の両端に直流電圧を印加する電源部と、トッププレートを介して中央コイルおよび周辺コイルの上方に載置された被加熱体の部分の負荷特性を検知する検知手段と、検知された被加熱体の部分の負荷特性に基づいて、a)中央コイルおよび周辺コイルが電源部の直流電圧の両端に並列に接続された状態で駆動部を駆動する並列駆動モード、b)中央コイルおよび周辺コイルが電源部の直流電圧の両端に直列に接続された状態で駆動部を駆動する直列駆動モード、またはc)中央コイルおよび周辺コイルのいずれか一方が電源部の直流電圧の両端に接続された状態で駆動部を駆動する単独駆動モードのうちの1の駆動モードで駆動部を制御する制御部とを備える。

Description

誘導加熱調理器およびその制御方法
 本発明は、複数の誘導加熱コイルを用いて単一の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱調理器およびその制御方法に関するものである。
 これまでにも複数の誘導加熱コイルを用いて単一の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱調理器が提案されている。たとえば特許文献1には、共振周波数が高いハーフブリッジ駆動回路と、共振周波数が比較的に低いフルブリッジ駆動回路と、これらの駆動回路を任意に切り換えることができるリレーとを有し、アルミニウム等の透磁率が低い材料からなる鍋をハーフブリッジ駆動回路で誘導加熱し、鉄等の透磁率が高い材料からなる鍋をフルブリッジ駆動回路(約20kHz)で誘導加熱する電磁誘導加熱装置が記載されている。
 また特許文献2には、複数の加熱コイルを同時に、または交互に鍋を加熱する誘導加熱装置が提案されている。この誘導加熱装置は、2組の半導体スイッチの直列体を有し、各直列体の中点間に共振周波数を略同一に設定した2つの共振回路を接続し、2つの共振回路のそれぞれの接続点と電源の負極との間にリレーを有する。また特許文献2に記載の誘導加熱装置は、リレーの開閉状態を切り替えて、2組のハーフブリッジ回路と1組のフルブリッジ回路とを切り替えることにより、複数の加熱コイルに流れる電流の向きを変え、鍋などの負荷の形状や使用状態に応じて、また機器の使用状態に応じて加熱分布を使い分けることができる。
特開2010-80359号公報 特許第5169488号
 しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の誘導加熱装置は、複数の加熱コイルの切替回路を必要とし、その回路構成および制御方法が複雑となり、製造コストが増大するといった課題がある。また、加熱される単一の鍋が磁性材料(鉄系の透磁率の高い材料)と非磁性材料(アルミニウムや銅系の透磁率の低い材料)とからなる複合材料で構成されているとき、各加熱コイルの上方にある鍋は単一の被加熱体であるにもかかわらず、加熱コイルごとに異なる材料で構成されているものと判断され、誘導加熱を停止してしまう場合がある。また誘導加熱を継続できると判断しても、構成材料の違いにより、加熱コイルごとの共振点がずれてしまい、効率よく加熱できなくなる。さらに共振点のずれが大きい場合は、鍋を効率よく加熱することができず、駆動回路から生じた熱により、誘導加熱を中途で停止する虞がある。
 さらに、リレーを閉じて、加熱コイルごとに駆動回路を独立して駆動するように切り替えたとき、加熱コイルごとに検出される鍋の部分を構成する材料が異なると、加熱コイル間の共振周波数がずれてしまう。このとき、一方の加熱コイル(駆動回路)は磁性材料からなる鍋の部分を加熱し、他方の加熱コイル(駆動回路)は非磁性材料からなる鍋の部分を加熱することになり、複数の加熱コイルで複数の鍋を加熱するのと同様の状態となる。すなわち、鍋部分の共振周波数が異なるため、各加熱コイルの駆動周波数も異なり、両者の差分周波数が可聴周波数領域内にあると、差分周波数を有する干渉音(鍋鳴り)が生じる。このような使用者に不快な干渉音を回避するためには、各加熱コイルの駆動周波数を同一にする必要があるところ、非磁性材料の高い共振周波数に合わせて高く設定された駆動周波数を有する高周波電流により、低い共振周波数を有する磁性材料からなる鍋部分を誘導加熱しても、十分な電力を供給することができない場合がある。すなわち特許文献1および特許文献2に記載の誘導加熱装置を用いて、複合材料で構成された鍋を誘導加熱したとき、各加熱コイルのオン/オフ時間のデューティ比を調整しても、鍋の構成材料に起因する加熱むらが生じてしまう。
 そこで本発明は、複数の加熱コイルが協働して単一の鍋を加熱する場合に、切替回路等の余分な追加回路を必要とせず、簡単な構成で、共振周波数が異なる複数の材料(複合材料)で構成された鍋を効率よく加熱できる誘導加熱装置を提供するものである。
 本発明に係る誘導加熱調理器は、被加熱体が載置されるトッププレートと、平面状に捲回された中央コイルと、前記中央コイルの周辺に配設された周辺コイルと、前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給する駆動部と、前記駆動部の両端に直流電圧を印加する電源部と、前記トッププレートを介して前記中央コイルおよび前記周辺コイルの上方に載置された被加熱体の部分の負荷特性を検知する検知手段と、検知された被加熱体の部分の負荷特性に基づいて、a)前記中央コイルおよび前記周辺コイルが前記電源部の直流電圧の両端に並列に接続された状態で前記駆動部を駆動する並列駆動モード、b)前記中央コイルおよび前記周辺コイルが前記電源部の直流電圧の両端に直列に接続された状態で前記駆動部を駆動する直列駆動モード、およびc)前記中央コイルおよび前記周辺コイルのいずれか一方が前記電源部の直流電圧の両端に接続された状態で前記駆動部を駆動する単独駆動モードのうちから選択したいずれか1の駆動モードで前記駆動部を制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
 本発明に係る誘導加熱調理器によれば、小さい鍋を加熱する場合には、中央コイルにのみ高周波電流を供給して、周辺コイルを駆動する駆動部で生じ得る不要な回路損失を抑制するとともに、周辺コイルからの不要な磁束の漏れを抑制し、大きな鍋を加熱する場合には、中央コイルおよび周辺コイルの両方に高周波電流を供給して、鍋を効率よく加熱することができる。
 また本発明に係る誘導加熱調理器によれば、共振周波数が大きく異なる複数の材料で構成された鍋を加熱する場合には、複数の加熱コイルが協働して単一の鍋を加熱するように駆動部の回路構成を切り替えることにより、異なる共振周波数をもつ複合材料からなる鍋を単一の駆動周波数で駆動することができ、使用者に不快な干渉音の発生を回避することができる。また駆動部の回路構成を切り替えるために、前掲特許文献1,2に記載されたようなリレー等を必要とせず、回路構成を小型化し、安価に作成することができる。
本発明に係る誘導加熱調理器の斜視図である。 (a)および(b)は、加熱コイルの例示的な構成を示す平面図である。 加熱コイル、駆動部、および制御部の回路構成を示すブロック図である。 (a)は、加熱コイルの平面図であり、(b)は、(a)のA-A’線から見たIH加熱部の断面図である。 本発明に係る電源部、駆動部、および制御部のブロック回路図である。 並列駆動モードにおける半導体スイッチング素子のオン/オフ駆動を制御する制御信号のタイミングチャートである。 本発明に係る並列駆動モードにおける駆動部の回路構成を示す電気回路図である。 加熱コイルの平面図であって、各サブコイルに流れる高周波電流の向きを示す。 直列駆動モードにおける半導体スイッチング素子のオン/オフ駆動を制御する制御信号のタイミングチャートである。 本発明に係る直列駆動モードにおける駆動部の回路構成を示す電気回路図である。 加熱コイルの平面図であり、直列駆動モードにおいて各サブコイルに流れる高周波電流の向きを示すものである。 単独駆動モードにおける半導体スイッチング素子のオン/オフ駆動を制御する制御信号のタイミングチャートである。 加熱コイルの平面図であって、単独駆動モードにおける小鍋の配置位置を示す。 本発明に係る単独駆動モードにおける駆動部の回路構成を示す電気回路図である。 加熱コイルの平面図であり、単独駆動モードにおいて中央コイルに流れる高周波電流の向きを示す。 (a)および(c)は実施の形態2に係る加熱コイルの捲回方向を示し、(b)は直列駆動モードにおいて各サブコイルに流れる高周波電流の向きを示す。 実施の形態2に係る加熱コイルの平面図であり、直列駆動モードにおいて各サブコイルに流れる高周波電流の向きを示す。 実施の形態2に係る直列駆動モードにおける駆動部の回路構成を示す電気回路図である。 本発明に係る誘導加熱調理器の制御方法を示すフローチャートである。 (a)は、複合材料からなる特殊鍋の鍋底側から見た平面図であり、(b)は、(a)のB-B’線から見たIH加熱部の断面図である。
 以下、添付図面を参照して本発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態を説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば、「上」または「下」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
実施の形態1.
 図1~図15を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理器1の実施の形態1について以下詳細に説明する。図1は誘導加熱調理器1の全体を概略的に示す斜視図である。図1において、誘導加熱調理器1は、概略、主に板金で構成された筐体2、その上側表面のほぼ全体を覆うガラスなどで形成されたトッププレート3、トッププレート3上に左右に配置された加熱部9,10、その後方に配置された別の加熱部11、および調理用グリル4を備える。加熱部9および加熱部10には、トッププレート3の下方に誘導加熱コイル100が配設されたIH加熱部である。さらに、別の加熱部11は、ラジエントヒータを用いたラジエント加熱部でもよく、誘導加熱を用いたIH加熱部でもよい。図中左側に示す加熱部10が本発明に係るIH加熱部として図示説明するが、加熱部9の他、加熱部11も本発明を採用するIH加熱部として構成してもよい。なお、加熱部の数や配置は、これに限定されず、加熱部が1口、2口、3口以上であってもよく、また加熱部は、横一列や逆三角形状に配置されたものであってもよい。さらに、調理用グリル4が筐体2のほぼ中央に配置された、いわゆるセンターグリル構造を有する誘導加熱調理器について例示的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、調理用グリル4がいずれか一方の側面に偏ったサイドグリル構造を有する誘導加熱調理器、または調理用グリル4を具備しない誘導加熱調理器にも同様に適用することができる。
 誘導加熱調理器1は、ユーザが各加熱部9,10,11および調理用グリル4を操作するために用いられる上面操作部5、火力(出力)などを調整する調整ダイヤルなどで構成される前面操作部6a,6b、およびこれらの制御状態や操作ガイドなどを表示するための液晶などの表示部7a,7b,7cを備えてもよい。また誘導加熱調理器1は、上面操作部5には設定された火力の大きさを示すLEDなどの表示器を備えてもよい。また、上面操作部5や表示部7は、図に示す形態に限定されず、操作部と表示器が一体となったようなものでもよい。さらに誘導加熱調理器1は、トッププレート3上の後面側に設けられた吸排気窓8a,8b,8cを有する。ここでは詳細図示しないが、誘導加熱調理器1にはIH加熱部9,10に高周波電流を供給する駆動部40を含む電源部30が内蔵されている。なお本発明は、図に示す各構成要素の配置および個数には限定されない。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 図2(a)および(b)は、トッププレート3の下方に配置されたIH加熱部10の加熱コイル100の例示的な構成を示す平面図である。加熱コイル100は、線状導体(リッツ線等)を巻き回してなるサブコイルが、同心円状に複数個配置されて構成されている。図2(a)に示す加熱コイル100は、同心円状に配置された3つのサブコイル101,102,103で構成されている。各サブコイルは電気的に並列に接続してもよいが、内側に配置された2つのサブコイル101,102を直列に接続して「中央コイル」を構成し、最も外側に配置されたサブコイル103を単独で「周辺コイル」を構成してもよい。すなわち本発明において、中央コイルおよび周辺コイルはそれぞれ、1つまたは2以上のサブコイルで構成されたサブコイル群であり、加熱コイル100は、少なくとも2つのサブコイル群(中央コイルおよび周辺コイル)で構成される。
 各サブコイル101,102,103は、駆動部40等の回路構成にもよるが、図2(a)の矢印で示すように、(同一周期内で)同一方向に高周波電流が流れるように配置してもよい。図2(a)に示す加熱コイル100は、3つのサブコイル101,102,103で構成されているが、図2(b)に示す加熱コイル100は、4つのサブコイル101,102,103,104で構成され、任意の数のサブコイルで構成された中央コイルおよび周辺コイル(サブコイル群)を有する。図2(b)の加熱コイル100は、たとえばサブコイル101,102が中央コイルを構成し、サブコイル103,104が周辺コイルを構成するものであるが、これらのサブコイルの組み合わせは限定されない。図2(b)に示す他、各サブコイル101~104が独立するものであってもよいし、他のいずれかのサブコイルと直列または並列に接続されたものであってもよいが、本発明に係る加熱コイル100は中央コイルと周辺コイルで構成されるものである。
 本発明に係る加熱コイル100は、中央コイルと周辺コイルのサブコイル群で構成されたものである。また図2(a)および図2(b)では、各サブコイル101~104は、円形形状を有し、互いに同心円上に配置されるものとして図示したが、本発明に係る加熱コイル100を構成する各サブコイルの形状および配置位置は、これに限定されるものではない。たとえば複数の周辺コイルを、中央コイルと同心円上に配置せず、その周囲に沿って取り囲むように配置された小径の複数のサブコイルからなるコイル群として構成してもよい(図示せず)。
 ここで図2(a)および図2(b)に示す中央コイルを構成するサブコイル102は、好適には、いわゆる小鍋の加熱に適した約14cmまでの外径を有し、図2(a)に示す周辺コイルを構成するサブコイル103は、それ以上の大きさの鍋でさらに24cm程度の大きさの鍋の加熱にも適した外径を有する。また、図2(b)に示す周辺コイルを構成するコイル103は、好適には、小鍋より大きく、中程度の大きさの鍋で20cm前後の鍋を加熱するのに適した外径を有し、図2(b)に示すサブコイル104は、好適には、それ以上のいわゆる大鍋を加熱するのに適した外径を有し、図2(a)のサブコイル103と同程度の大きさを有する。
 図3は、加熱コイル100、駆動部40、および制御部50の回路構成を示すブロック回路図である。図3において、加熱コイル100は、サブコイル101,102からなる中央コイルと、サブコイル103,104からなる周辺コイルで構成されている。なお、加熱コイル100は、中央コイルと周辺コイルからなる誘導加熱コイルであって、中央コイルおよび周辺コイルを構成するサブコイルの数は、図3に示すものに限定されない。以下では、例示的に、中央コイルが2つのサブコイル101,102で構成され、周辺コイルが別の2つのサブコイル103,104で構成されるケースについて説明する。
 加熱コイル100は駆動部40により駆動される。駆動部40は、サブコイル101,102を直列に接続して構成された中央コイルを駆動する第1の駆動回路40aと、サブコイル103,104を直列に接続して構成された周辺コイルを駆動する第2の駆動回路40bと、トッププレート3を介して加熱コイル100の上方に載置された鍋Pの負荷特性を検知する検知手段60を含む。検知手段60は、中央コイルと周辺コイルのそれぞれの負荷特性を検出する。制御部50は、検知手段60の検知結果に基づき、中央コイルを駆動する第1の駆動回路40aと、周辺コイルを駆動する第2の駆動回路40bを制御する。詳細後述するが、鍋Pの負荷特性とは、たとえば本願と同一の出願人の特開2012-54179号に記載されているように、中央コイルおよび周辺コイルの上方に載置された鍋Pの共振周波数、インダクタンス、または負荷抵抗等を含み、電源部30に流れる電流、中央コイルおよび周辺コイルのそれぞれに流れる電流およびこれに印加される電圧、ならびに共振コンデンサ80に印加される電圧等の電気的特性に基づいて検知されるものである。すなわち、本願において、被加熱体(鍋P)の負荷特性は、電源部30、中央コイルおよび周辺コイルに関する測定可能な電流および電圧を検知手段60により検知することにより求められるものである。ただし、鍋Pの負荷特性の検知方法は、上記特許出願公開公報に記載されたものに限定されるものではなく、中央コイルおよび周辺コイル等の周辺構成回路の任意の電気的特性を検出して検知するものであってもよい。
 図4(a)は、図3(b)と同様の加熱コイル100の平面図である。図4(b)は、図4(a)のA-A’線から見たIH加熱部10の断面図であって、駆動部40、制御部50、および加熱コイル100(各サブコイル101~104)等の回路構成を示すものである。図3および図4における同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 図4(b)において、サブコイル101,102は直列に接続され中央コイルを構成し、第1の駆動回路40aに接続されている。第1の検知手段60aは、トッププレート3とはギャップdを介して中央コイル上に載置された鍋Pの負荷特性を検出する。一方、サブコイル103,104は直列に接続され周辺コイルを構成し、第2の駆動回路40bに接続されている。第2の検知手段60bは、トッププレート3とはギャップdを介して周辺コイル上に載置された鍋Pの負荷特性を検出する。第1および第2の検知手段60a,60bは、電源部30および駆動部40(中央コイルおよび周辺コイル)に流れる電流およびこれに印加される電圧等の電気的特性を検出し、この電気的特性に基づいて鍋Pの負荷特性を検出する。
 制御部50は、第1および第2の検知手段60a,60bで検出された鍋Pの負荷特性より、鍋Pの有無や位置、大きさ、共振周波数、負荷抵抗、および材質等の負荷特性を検知し、たとえば鍋の材質に適した駆動周波数を選択し、使用者が操作部5,6を介して設定した火力に対応した大きさの高周波電流を加熱コイル100に供給するように、第1および第2の駆動回路40a,40bを制御する。このとき制御部50は、第1および第2の検知手段60a,60bの検出結果(負荷特性)に基づき、トッププレート3上に鍋Pが存在しないと判断した場合は、駆動部40の駆動を停止し、表示部7を介して使用者に鍋Pが載置されていないことを報知する。報知する手段は、ここでは図示しないが、たとえば光による明滅やブザーなどの音声であってもよい。
 図5は、図4の駆動部40のさらに詳細な構成を示した電気回路図である。以下、同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 図5は、被加熱物である鍋Pを加熱するための高周波磁界を発生する電流を加熱コイル100に供給する駆動部40のブロック回路図である。図5に示す電源部30は、交流電源31から供給される電源をダイオードブリッジ32で整流し、コイル331と平滑コンデンサ332からなる平滑回路33で直流に変換し、駆動部40に電源を供給する。駆動部40は、制御部50からの指令(制御信号S1~S6)に基づき、加熱コイル100に高周波電流を供給する。使用者が、鍋Pを加熱するため、たとえば上面操作部5または前面操作部6(図1参照)を操作し、鍋を加熱する火力を調節すると、制御部50は、使用者が設定した火力で鍋Pを加熱するために、駆動周波数または電流の大きさ(すなわち制御信号S1~S6)を制御して、加熱コイル100に高周波電流を供給するように駆動部40を制御する。
 駆動部40は、中央コイルを構成するサブコイル101,102に高周波電流を供給する第1の駆動回路40aと、周辺コイルを構成するサブコイル103,104に高周波電流を供給する第2の駆動回路40bを含む。
 第1の駆動回路40aは、2つの半導体スイッチング素子401a,401bが直列に接続されたスイッチング素子対401(以下、「第1のアーム」401という。)と、2つの半導体スイッチング素子402a,402bが直列に接続されたスイッチング素子対402(以下、「第2のアーム」402という。)を含む。また第1の駆動回路40aは、第1および第2のアーム401,402のそれぞれの中点間に、中央コイルを構成するサブコイル101,102および共振コンデンサ80aが直列に接続され、フルブリッジインバータ回路を構成している。
 同様に、第2の駆動回路40bは、第1のアーム401と、2つの半導体スイッチング素子403a,403bが直列に接続されたスイッチング素子対403(以下、「第3のアーム」403という。)を含む。また第2の駆動回路40bは、第1および第3のアーム401,403のそれぞれの中点間に、周辺コイルを構成するサブコイル103,104および共振コンデンサ80bが直列に接続され、フルブリッジインバータ回路を構成している。
 図5に示す第1および第2の駆動回路40a,40bはそれぞれ、中央コイルおよび周辺コイルに流れる電流およびこれらに印加される電圧を検出して、中央コイルおよび周辺コイルの上方に載置された鍋Pの負荷特性を検出する第1および第2の検知手段60a、60bを有する。また制御部50は、検出された負荷特性に基づき、トッププレート3上の鍋Pの載置状態、たとえば鍋Pの有無や材質、または鍋位置の位置ずれ等を判断する。第1および第2の検知手段60a、60bが鍋Pの負荷特性を検出するために検出すべき駆動部40の電気的特性は、中央コイルおよび周辺コイルや共振コンデンサ80a、80bに流れる電流およびこれらに印加される電圧の他、詳細図示しないが、電源部30に流れる電流等であってもよい。また第1および第2の検知手段60a、60bは、トッププレート上に載置された鍋Pの状態を検知するための温度センサまたは光センサ等であってもよい。
 ところで、中央コイル(サブコイル101,102)のインダクタンスをLa、これに直列に接続する共振コンデンサ80aのコンデンサ容量をCaとすると、中央コイルと共振コンデンサ80aで構成される直列共振負荷回路の共振周波数f0aは、一般に次式で求めることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 また周辺コイル(サブコイル103,104)のインダクタンスをLb、これに直列に接続した共振コンデンサ80bのコンデンサ容量をCbとすると、周辺コイルと共振コンデンサ80bで構成される直列共振負荷回路の共振周波数f0bは次式で求めることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 第1および第2のアーム401,402、中央コイル(サブコイル101,102)、および共振コンデンサ80aで構成されるフルブリッジインバータ回路(第1の駆動回路40a)を駆動する駆動周波数fswaは、上記[数1]で求められる中央コイルの共振周波数f0aより大きく設定することが好ましい(fswa>f0a)。同様に、第1および第3のアーム401,403、周辺コイル(サブコイル103,104)、および共振コンデンサ80bで構成されるフルブリッジインバータ回路(第2の駆動回路40b)を駆動する駆動周波数fswbは、上記[数2]で求められる周辺コイルの共振周波数f0bより大きく設定することが好ましい(fswb>f0b)。これは、共振周波数f0より低い周波数で第1および第2の駆動回路40a,40bを駆動したとき、各アームの401,402,403の半導体スイッチング素子の回路損失が増大し破壊に至る虞があるのを防ぐためである。特に、第1および第2の駆動回路40a,40bの駆動周波数が共振周波数f0に一致するとき、半導体スイッチング素子に過電流が流れ、その回路損失が電流の二乗に比例して極めて大きくなり、過電流破壊される虞がある。
 なお、第1、第2および第3のアーム401,402,403を構成する各半導体スイッチング素子には、スイッチング時のノイズを軽減するように、適宜、スナバコンデンサ(図示せず)を並列に接続してもよい。
 ここで、トッププレート3上に鍋Pが載置されていない状態、いわゆる無負荷の状態での共振周波数f0a,f0bが20kHz前後であって、それぞれの共振周波数f0a,f0bの差Δf0が3kHzより小さくなるよう互いに比較的に近い値になるように、サブコイル101~104のインダクタンスの値、および共振コンデンサ80a,80bのコンデンサ容量の値を選択することが望ましい。
 いわゆる鍋鳴り(ノイズ)を解消するために、中央コイルおよび周辺コイルをともに同一の駆動周波数fswで駆動する必要がある。一方、中央コイルの共振周波数f0aと駆動周波数fswとの差が、周辺コイルの共振周波数f0bと駆動周波数fswとの差より大きい場合、周辺コイルにより大きな高周波電流が流れ、逆に、中央コイルの共振周波数f0aと駆動周波数fswとの差が、周辺コイルの共振周波数f0bと駆動周波数fswとの差より小さい場合、中央コイルにより大きな高周波電流が流れる。すなわち共振周波数f0a,f0bの差に起因して、中央コイルおよび周辺コイルにそれぞれ流れる高周波電流の大きさに違いが生じ、中央コイルおよび周辺コイルの上方に載置された鍋Pに発生する熱量が不均一となってしまう。したがって、中央コイルおよび周辺コイルの上方に載置された鍋Pを均一に加熱して、鍋Pの加熱むらを抑制するためには、上述のように、共振周波数f0a,f0bの差が小さくなるように、中央コイルおよび周辺コイルのそれぞれのインダクタンスLa,Lbおよび共振コンデンサ80a,80bのコンデンサ容量を選択することが望ましい。
 図6は、制御部50から出力され、第1、第2および第3のアーム401~403の半導体スイッチング素子のオン/オフ駆動を制御する制御信号S1~S6のタイミングチャートである。図5に示すように、第1のアーム401を構成する半導体スイッチング素子401a,401bには、それぞれ制御信号S1,S2が供給され、制御信号S1,S2は、その位相が互いに対して固定的で、排他的にオン/オフ期間が存在する一対の相補信号である。
 図6を参照して、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401a,401bの動作について説明する。図6に示す制御信号S1がHighレベルにあるとき、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401aがオン状態となり、Lowレベルのときにオフ状態となる。なお、一組の相補信号である制御信号S1,S2の駆動信号波形に歪や遅れが生じて、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401a,401bが同時に導通する期間(第1のアーム401が短絡状態となる期間)が存在しないように、同時に非導通状態となる休止期間(デッドタイムTdr、Tdf)が設けられている。これは半導体スイッチング素子401a,401bが同時に導通すると、半導体スイッチング素子に過大電流が流れてしまうため、この休止期間は、半導体スイッチング素子が破壊しないための保護措置である。ここで、各信号のオン期間は周期Tからデッドタイムを除いた時間の1/2の時間に等しい。すなわち、デッドタイム(Tdr、Tdf)が0の場合、制御信号S1,S2は、周期Tの1/2のON時間(デューティ50%)を有する信号である。同様に、第2のアーム402を構成する半導体スイッチング素子402a,402bには、それぞれ制御信号S3,S4が供給され、第3のアーム403を構成する半導体スイッチング素子403a,403bには、それぞれ制御信号S5,S6が供給される。制御信号S3,S4および制御信号S5,S6は、制御信号S1,S2と同様、それぞれデッドタイムTdr、Tdfが設定された一対の相補信号である。
 サブコイル101,102からなる中央コイルに供給される高周波電流の大きさは、制御信号S1,S3(制御信号S2,S4)の位相差θ1(>0)により決定される。θ1が大きいほど中央コイルに流れる高周波電流は大きくなる。一方、サブコイル103,104からなる周辺コイルに供給される高周波電流の大きさは、制御信号S1,S5(制御信号S2,S6)の位相差θ2(>0)により決定される。制御部50は、使用者が上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ1あるいはθ2を調整する。
 一方、制御部50は、中央コイルと周辺コイルを駆動する高周波電流の周波数差による干渉音を回避するため、制御信号S1~S6の周波数f(=1/T)を同一周波数に設定する。
 制御信号S1~S6の周波数fは、駆動部40の各半導体スイッチング素子を駆動する駆動周波数fswであり、加熱コイル100に供給される高周波電流の周波数に等しい。このときの駆動周波数fswは、検知手段60で検出された負荷特性(鍋Pの共振周波数)に基づき制御部50で決定される。
 検知手段60は、トッププレート3上に鍋Pが載置されたときの駆動部40の電気的特性を検出して、鍋Pの負荷特性を検出し、制御部50は、検知手段60の検出結果(共振周波数f0)に基づき、鍋Pの加熱に最適な高周波電流の周波数(=駆動周波数fsw)を決定する。駆動周波数fswは、検出結果、つまり鍋Pがトッププレート3を介して加熱コイル100上に載置されたときの駆動部40の負荷特性(=電気的特性)に応じてあらかじめ設定された値でもよく、また検知手段60で検出された負荷特性に基づいて制御部50で共振周波数を決定してもよい。
 上記のように、制御部50が決定する駆動周波数fswは、駆動部40が検出した電気的特性より決定される。トッププレート3上に鍋Pが載置されると、鍋Pを構成する金属材料と各サブコイル101~104との磁気的な結合により、各サブコイルのインダクタンスが変化する。鍋Pと各サブコイルが磁気的に結合したときのインダクタンスの変化に伴い、サブコイル101,102と共振コンデンサ80aからなる直列共振負荷回路の共振周波数f0a、およびサブコイル103,104と共振コンデンサ80bからなる直列共振負荷回路の共振周波数f0bも変化する。すなわち、第1および第2の駆動回路40a,40bの共振周波数f0a,f0bは、鍋Pの材質(構成材料)によって変化するため、制御部50は、この電気的特性(共振周波数)の違いから、トッププレート3上の鍋Pの材質を判別することができる。
 上述の通り、第1および第2のアーム401,402、中央コイル(サブコイル101,102)、および共振コンデンサ80aで構成されるフルブリッジインバータ回路(第1の駆動回路40a)を駆動する周波数fswaは、中央コイルのインダクタンスLaと共振コンデンサ80aのコンデンサ容量Caより求められる共振周波数f0aより大きい周波数であることが望ましい。同様に、第1および第3のアーム401,403、周辺コイル(サブコイル103,104)、および共振コンデンサ80bで構成されるフルブリッジインバータ回路(第2の駆動回路40b)を駆動する周波数fswbは、周辺コイルのインダクタンスLbと共振コンデンサ80bのコンデンサ容量Cbより求められる共振周波数f0bより大きい周波数であることが望ましい。
 たとえば、共振周波数f0a,f0bと、駆動周波数fswa,fswbとの差Δfa(=fswa-f0a),Δfb(=fswb-f0b)は、1kHz以上であることが望ましく、加えて鍋Pの載置状態によって変化する第1および第2の駆動回路40a,40bの電気的特性に応じて、これらの駆動回路の回路損失を低減する値に設定してもよい。これは、第1および第2の駆動回路40a,40bの各スイッチング素子の回路損失が増大し、さらには過電流により破壊されることを防ぐためである。また中央コイルと周辺コイルを駆動する高周波電流の差分周波数に起因する干渉音を防止するため、制御信号S1~S6の周波数f(=1/T)を同一周波数に設定するのが望ましい。
 そこで制御部50は、検知手段60a,60bの検出結果から、第1および第2の駆動回路40a,40bの共振周波数f0a,f0bを算出するとともに、共振周波数f0a,f0bの差が所定の閾値より小さい場合に、共振周波数f0a,f0bより大きい駆動周波数fswを設定し、これを制御信号S1~S6の周波数fに設定する。
 択一的には、制御部50は、第1および第2の駆動回路40a,40bの電気的特性に適当な駆動周波数をあらかじめ設定して、図示しないメモリ等に記憶しておき、検知手段60a,60bの検出結果に基づいて、あらかじめ設定された駆動周波数の中から適当な周波数fswを選択するようにしてもよい。
 第1および第2の駆動回路40a,40bは、このように設定された駆動周波数fswによって、図6に示す駆動信号S1~S6によって駆動される。
 図7は、本発明に係る駆動部40の回路構成を示す電気回路図である。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。図7において、第1のアーム(直列体)401を構成する高圧側の半導体スイッチング素子401aと低圧側の半導体スイッチング素子401bの間の中点に、共振コンデンサ80aの一方の端子が接続され、その他方の端子は中央コイルを構成するサブコイル101の一方の端子(巻き始め端子、図7の黒丸ドットで表示)に接続されている。さらにサブコイル101の他方の端子は、サブコイル102の一方の端子(巻き始め端子、図7の黒丸ドットで表示)に接続され、サブコイル102の他方の端子は、第2のアーム402を構成する高圧側の半導体スイッチング素子402aと低圧側の半導体スイッチング素子402bの間の中点に接続されている。すなわち、中央コイル(サブコイル101,102)および第1の共振コンデンサ80aが、第1および第2のアーム401,402の中点間に直列に接続されている。
 同様に、図7において、第1のアーム(直列体)401を構成する高圧側の半導体スイッチング素子401aと低圧側の半導体スイッチング素子401bの間の中点に、共振コンデンサ80bの一方の端子が接続され、その他方の端子は周辺コイルを構成するサブコイル103の一方の端子(巻き始め端子、図7の黒丸ドットで表示)に接続されている。さらにサブコイル103の他方の端子は、サブコイル104の一方の端子(巻き始め端子、図7の黒丸ドットで表示)に接続され、サブコイル104の他方の端子は、第3のアーム403を構成する高圧側の半導体スイッチング素子403aと低圧側の半導体スイッチング素子403bの間の中点に接続されている。すなわち、周辺コイル(サブコイル103,104)および第2の共振コンデンサ80bが、第1および第3のアーム401,403の中点間に直列に接続されている。図7において、各サブコイル101~104の巻き始め端子を黒丸ドットで示している。
 図7は、互いに直列に接続されたサブコイル101,102(中央コイル)および共振コンデンサ80aに流れる高周波電流Iaを示し、互いに直列に接続されたサブコイル103,104(周辺コイル)および共振コンデンサ80bに流れる高周波電流Ibを示す。図示のように、高周波電流Iaは、第1および第2のアーム401,402からなる第1のフルブリッジインバータ回路(第1の駆動回路40a)に流れ、高周波電流Ibは、第1および第3のアーム401,403からなる第2のフルブリッジインバータ回路(第2の駆動回路40b)に流れる。このように、第1のアーム401を第1および第2の駆動回路40a,40bの共通のアームとして、第2および第3のアーム402,403に高周波電流を同時に供給するように駆動部40を制御する方法(モード)を、本願においては「並列駆動モード」という。換言すると、並列駆動モードとは、中央コイルおよび周辺コイルが電源部30の直流電圧の両端に並列に接続された状態で駆動部40を駆動する駆動モードをいう。
 図7では、高周波電流IaおよびIbは、第1のアーム401の高圧側の半導体スイッチング素子401aから、それぞれ第2および第3のアーム402,403の低圧側の半導体スイッチング素子402b,403bに流れるものとして図示した。ただし、逆位相においては、高周波電流IaおよびIbは、それぞれ第2および第3のアーム402,403の高圧側の半導体スイッチング素子402a,403aから、第1のアーム401の低圧側の半導体スイッチング素子401bに流れることは言うまでもない。
 図8は、図2(b)に示す加熱コイル100の各サブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを追加した平面図である。図8において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。サブコイル101,102、およびサブコイル103,104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIa,Ibに等しい(Ia1=Ia2=Ia,Ib1=Ib2=Ib)。
 各サブコイル101~104の巻線は、各サブコイルの内側から巻き始め、たとえば時計回りに捲回されている。なお、捲回する方向は、各サブコイル101~104がすべて同一方向に捲回されるならば、反時計回りに捲回されていてもよい。
 制御部50から駆動部40に供給される制御信号S1~S6の1周期T(=1/f、fは駆動周波数fsw)内において、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わるが、周期T内の同一位相において、サブコイル102~104には同一方向に電流が流れる。図7に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、ある位相において、高周波電流Iaは、第1のアーム401から共振コンデンサ80aを経由して、サブコイル101,102の巻き始めに流れ込み、第2のアーム402に流れる(図8においてIa1→Ia2)。この位相において、高周波電流Ibは、第1のアーム401から共振コンデンサ80bを経由して、コイル103,104の巻き始めから流れ込み、第3のアーム403に流れる(図8においてIb1→Ib2)。
 図7および図8で上記説明したように、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104には同一方向に電流が流れる。なお、共振コンデンサ80aとサブコイル101,102、および共振コンデンサ80bとサブコイル103,104の接続順序は図7のものに限定されない。すなわち図7では、第1のアーム401の中点から順に、共振コンデンサ80a,80b、サブコイル101,103の巻き始め、サブコイル102,104の巻き始め、ならびに第2および第3のアーム402,403の中点が順次接続されているが、第1のアーム401の中点から順に、サブコイル101,103の巻き始め、サブコイル102,104の巻き始め、共振コンデンサ80a,80b、ならびに第2および第3のアーム402,403の中点が順次接続されるように配置してもよい。
 図8に示すように、並列駆動モードにおいて、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは同一であるため、各サブコイルが互いに近接する領域において磁束を強め合い、鍋Pを加熱する効率を向上させることができ、ひいては駆動部40の回路損失を低減するとともに、駆動部40を冷却するための冷却構造(たとえば冷却ファンやヒートシンク)を小型化することができる。
 図9は、第1および第2の駆動回路40a,40bを別の駆動モードで駆動する制御信号S1~S6のタイミングチャートである。図9において、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401a,401bを制御する制御信号S1,S2はLowレベル(オフ状態)に維持されている。また制御信号S3,S4および制御信号S5,S6の位相関係およびデッドタイムは、図5で説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。図9において、たとえば制御信号S3がHighレベルにあるとき、第2のアーム402の半導体スイッチング素子402aがオン状態となり、Lowレベルのときにオフ状態となる。
 図9のタイミングチャートに示すように、制御信号S1,S2がLowレベルに維持されているとき、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401a,401bはオフ状態(非導通状態)に維持される。そして制御信号S3,S4および制御信号S5,S6が図示のように制御されるとき、図5に示す第2および第3のアーム402,403の半導体スイッチング素子402a,402b,403a,403bのみが駆動される
 誘導加熱調理器用として市販されている鍋およびフライパン等の被加熱体は、その全体が同一の金属材料で構成されているものの他、比較的安価なものとして、トッププレート3と接する鍋底部分に磁性材料(鉄等)を用いて構成され、鍋底の周辺部分および鍋肌部分等のその他の部分には非磁性材料(アルミニウム等)を用いて構成される場合がある。このように鍋Pの部分により磁性材料および非磁性材料を組み合わせて構成するものを、以下便宜上、複合材料からなる鍋Pという。
 本発明に係るIH加熱部10の上に、複合材料からなる鍋Pを載置したとき、サブコイル101~104に対向する鍋底の材質が互いに異なる場合がある。複合材料からなる鍋Pが、たとえば非磁性材料の本体部分および鍋底部分を有し、鍋底部分の中央に直径が約16cmの磁性材料の円板が貼り付けられている場合を想定する。一方、図2(b)に示す加熱コイル100がたとえば24cmの直径を有し、サブコイル103が約15cmの内径を有し、サブコイル104が約20cmの内径を有するものと仮定する。このとき、複合材料からなる鍋Pの磁性材料の円板は、サブコイル101,102の全体およびサブコイル103の一部を覆い、鍋Pの非磁性材料で構成された部分は、約20cm以上の径を有するとき、サブコイル103の残りの部分およびサブコイル104の全体または一部を覆い、約20cm未満の径を有するとき、サブコイル104の上方には載置されない(よってサブコイル104にとっては無負荷の状態となる。)。
 このような状態で、検知手段60a,60bが中央コイル(サブコイル101,102)および周辺コイル(サブコイル103,104)に対する負荷特性を検出するとき、磁性材料と磁気的に結合した中央コイルの電気的特性(たとえばインダクタンス、中央コイルに流れる高周波電流およびその両端の電圧)と、非磁性材料と磁気的に結合した周辺コイルの電気的特性は大きく異なる。
 制御部50は、中央コイルおよび周辺コイルの電気的特性と、あらかじめ設定された判定値と比較する。その結果、制御部50は、中央コイルおよび周辺コイル上に載置された鍋の構成材料が異なると判断し、第1~第3のアーム401~403を同一周波数で駆動することが適切でない複合材料からなる鍋Pであると判断したとき、第1のアーム401の半導体スイッチング素子に供給される制御信号S1,S2をLowレベルに維持し、第2および第3のアーム402,403の半導体スイッチング素子に制御信号S3~S6を出力する。
 制御部50は、第2および第3のアーム402,403、共振コンデンサ80a,80b、およびサブコイル101~104からなるフルブリッジインバータ回路として動作するように、制御信号S3~S6を制御する。具体的には、図9に示すように、制御信号S1,S2の信号レベルをLowレベルとして第1のアーム401を非動作状態に維持し、第2のアーム402の半導体スイッチング素子402a,402bを制御信号S3,S4で制御し、第3のアーム403の半導体スイッチング素子403a,403bを制御信号S5,S6で制御する。
 図10は、本発明に係る駆動部40の回路構成を示す図7と同様の電気回路図である。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。図示のように、共振コンデンサ80a,80b、およびサブコイル101~104は直列に接続され、第2および第3のアーム402,403の中点間に接続されたフルブリッジインバータ回路(第3の駆動回路40c)を構成するので、制御信号S3(S4)と制御信号S5(S6)との間の位相差θ3(図9)に応じた大きさの高周波電流がコイル101~コイル104に流れる。このように、第1のアーム401を非動作状態に維持し、第2および第3のアーム402,403の中点の間に、共振コンデンサ80a,80bならびに中央コイルおよび周辺コイルを直列に接続して、高周波電流を供給するように駆動部40を制御する方法(モード)を、本願においては「直列駆動モード」という。換言すると、直列駆動モードとは、中央コイルおよび周辺コイルが電源部30の直流電圧の両端に直列に接続された状態で駆動部40を駆動する駆動モードをいう。
 この直列駆動モードにおいて、制御部50は、再度、検知手段60a,60bで検出した負荷特性に基づき、第2および第3のアーム402,403、コイル101~104、ならびに共振コンデンサ80a,80bからなるフルブリッジインバータ回路(第3の駆動回路40c)を駆動する制御信号S3~S6の周波数fを決定する。
 負荷特性(電気的特性)から共振周波数f0を算出して駆動周波数fswを決定する場合について説明する。たとえば、駆動回路40aの検知手段60aの検出結果および駆動回路40bの検知手段60bの検出結果より得られるそれぞれの駆動回路の電気的特性に基づき、電気的特性ごとにあらかじめ設定された駆動周波数の中から、検出された電気的特性に適した周波数fswを選択するようにしてもよい。
 第2および第3のアーム402,403、コイル101~104、ならびに共振コンデンサ80a,80bで構成される第3の駆動回路40cにおける直列共振負荷回路の共振周波数f0cは、中央コイルおよび周辺コイルのインダクタンスLa,Lb、ならびに共振コンデンサ80a,80bのコンデンサ容量Ca,Cbを用いて、次式で求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 制御部50は、駆動回路40cの駆動周波数fswを共振周波数f0cより所定の微小値Δfだけ高いfswcに決定する。この所定の微小値Δfは、たとえば、1kHz以上であることが望ましく、さらに、鍋Pの載置状態によって変化する電気的特性によって、駆動部40の回路損失を低減する値に設定してもよい。
 なお、図10に示す駆動回路40cの構成では、サブコイル101~104が直列接続されて、加熱コイル全体のインダクタンスは増加するが、共振コンデンサ80a,80bが直列に接続されることによって全体のコンデンサ容量は小さくなるため、図10に示す駆動回路40cの共振周波数f0cは、並列駆動モード時における第1および第2の駆動回路40a,40bの共振周波数f0a,f0bとほぼ同じ値となる。上記したように、元々、駆動回路40a、40bの共振周波数f0a、f0bが近い値になるように、中央コイルのインダクタンスLaと共振コンデンサ80aのコンデンサ容量Ca、周辺コイルのインダクタンスLbと共振コンデンサ80bのコンデンサ容量Cbを選定しておくことで、たとえば、中央コイルおよび周辺コイルのインダクタンスLa,Lbが等しく(La=Lb=L)、共振コンデンサ80a,80bのコンデンサ容量Ca,Cbが等しい(Ca=Cb=C)とき、第1および第2の駆動回路40a,40bの共振周波数f0a,f0bは、次式で求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 一方、駆動回路40cの共振周波数f0cは、次式で求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 上記[数4]および[数5]から明らかなように、第1および第2の駆動回路40a,40bを同時に駆動する並列駆動モードから第3の駆動回路40cを駆動する直列駆動モードに切り替えた場合でも、第3の駆動回路40cの共振周波数f0cは、第1および第2の駆動回路40a,40bの共振周波数f0a,f0bと同一となる。したがって、制御部50が電気的特性から種々の判定をするためにあらかじめ設定しておく各種データを増やす必要がなく、直列駆動モードを設けたことによりCPUのメモリ容量を増大させる必要がない。
 図10において、第1のアーム(直列体)401を構成する高圧側の半導体スイッチング素子401aと低圧側の半導体スイッチング素子401bの間の中点に、共振コンデンサ80aの一方の端子が接続され、その他方の端子は中央コイルを構成するサブコイル101の一方の端子(巻き始め端子)に接続されている。図10において、各サブコイル101~104の巻き始め端子を黒丸ドットで示している。
 さらにサブコイル101の他方の端子は、サブコイル102の一方の端子(巻き始め端子)に接続され、サブコイル102の他方の端子は、第2のアーム402を構成する高圧側の半導体スイッチング素子402aと低圧側の半導体スイッチング素子402bの間の中点に接続されている。すなわち、中央コイル(サブコイル101,102)および第1の共振コンデンサ80aが、第1および第2のアーム401,402の中点間に直列に接続されている。
 同様に、図10において、第1のアーム(直列体)401を構成する高圧側の半導体スイッチング素子401aと低圧側の半導体スイッチング素子401bの間の中点に、共振コンデンサ80bの一方の端子が接続され、その他方の端子は周辺コイルを構成するサブコイル103の一方の端子(巻き始め端子)に接続されている。
 さらにサブコイル103の他方の端子は、サブコイル104の一方の端子(巻き始め端子)に接続され、サブコイル104の他方の端子は、第3のアーム403を構成する高圧側の半導体スイッチング素子403aと低圧側の半導体スイッチング素子403bの間の中点に接続されている。すなわち、周辺コイル(サブコイル103,104)および第2の共振コンデンサ80bが、第1および第3のアーム401,403の中点間に直列に接続されている。
 図10に示したように、ここでは図示しない制御部50が、Lowレベルの制御信号S1,S2を第1のアーム401に出力するため、その半導体スイッチング素子401a,401bはオフ状態(非導通状態)に維持される。他方、制御部50は、第2および第3のアーム402,403に、図9のタイミングチャートで示すような制御信号S3~S6を出力し、半導体スイッチング素子402a,402b,403a,403bを駆動する。
 このとき高周波電流Icは、互いに直列に接続されたサブコイル101,102、共振コンデンサ80a,80b、および互いに直列に接続されたサブコイル103,104に流れる。すなわち高周波電流Icは、第2および第3のアーム402,403からなるフルブリッジインバータ回路(第3の駆動回路40c)に流れ、第1のアーム401には流れない。上述のように、第1のアーム401を非動作状態に維持し、中央コイルおよび周辺コイルを直列に接続して、高周波電流を供給するように駆動部40を制御する方法(モード)を直列駆動モードという。
 なお図10では、高周波電流Icは、第2のアーム402の高圧側の半導体スイッチング素子402aから、第3のアーム403の低圧側の半導体スイッチング素子403bに流れるものとして図示した。ただし、逆位相においては、高周波電流Icは、第3のアーム403の高圧側の半導体スイッチング素子403aから、第2のアーム402の低圧側の半導体スイッチング素子402bに流れることは言うまでもない。
 高周波電流Icの大きさは、制御信号S3(S4)と制御信号S5(S6)との間の位相差θ3(>0)により決定される。位相差θ3が大きいほど、サブコイル101~104に流れる高周波電流Icは大きくなる。制御部50は、使用者が上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ3を調整する。
 図11は、図2(b)に示す加熱コイル100の各サブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを追加した平面図である。図11において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。各サブコイル101~104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIcに等しい(Ia1=Ia2=Ib1=Ib2=Ic)。
 各サブコイル101~104の巻線は、各サブコイルの内側から巻き始め、たとえば時計回りに捲回されている。なお、捲回する方向は、各サブコイル101~104がすべて同一方向に捲回されるならば、反時計回りに捲回されていてもよい。
 図10に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T(=1/f、fは駆動周波数fsw)内のある位相において、高周波電流Icは、第2のアーム402からサブコイル102の巻き終わりに流れ込み、サブコイル102の巻き始めからサブコイル101の巻き終わりへ、さらにサブコイル101の巻き始めを経由して共振コンデンサ80aに流れる。第1のアーム401は、制御部50から出力される制御信号S1,S2がLowレベルのため非導通状態にあるので、高周波電流Icは、第1のアーム401の中点を介して、共振コンデンサ80bに流れ、さらにサブコイル103の巻き始めに流れ込み、サブコイル103の巻き終わりからサブコイル104の巻き始めに流れ、サブコイル104巻き終わりを経由して第3のアーム403に流れる。なお、制御部50から駆動部40に供給される制御信号S3~S6の1周期T内において、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わる。
 一方、図11に示すサブコイル101,102は、たとえば時計回りに捲回されているため、高周波電流Icは、1周期T内(=1/fsw)のある位相において、サブコイル102の巻き終わりから流れ込み、図11の矢印Ia2で示すように反時計回りに流れ、サブコイル101の巻き終わりから流れ込み、矢印Ia1で示すように反時計回りに中心に向かって流れる。
 また図11に示すサブコイル103,104は、同様に時計回りに捲回されているため、高周波電流Icは、1周期T内の同一位相において、サブコイル103の巻き始めから流れ込み、図11の矢印Ib1で示すように時計回りに流れ、サブコイル104の巻き始めから流れ込み、矢印Ib2で示すように時計回りに流れる。つまり、図11において、高周波電流IcはIa2→Ia1→Ib1→Ib2のように流れる。なお、共振コンデンサ80aとサブコイル101,102、および共振コンデンサ80bとサブコイル103,104の接続順序は図11に示したものに限定されない。
 本発明に係る駆動部40を上記説明したように構成したので、鍋Pの鍋底の中央部分および周辺部分を異なる金属材料で構成したとき、中央コイルと周辺コイルの負荷特性(電気的特性)が異なるため、本来ならば同一周波数で駆動できない。また、干渉音発生を回避するために同一周波数で中央コイルと周辺コイルを並列して(独立して)高周波電流を供給すると、中央コイルおよび周辺コイルの共振周波数と駆動周波数との差に起因して、中央コイルおよび周辺コイルに流れる高周波電流の大きさに不均衡が生じて、鍋Pの位置による加熱むらが生じてしまう。しかし本発明に係る制御部50は、第1の駆動回路40aをオフ状態とする直列駆動モードにおいて、サブコイル101~104が単一の加熱コイルとなるように駆動部40(第2および第3のアーム402,403)を制御し、検知手段60は、鍋Pの鍋底の中央部分および周辺部分について、単一の被加熱体の合成された負荷特性を検出するので、同一の周波数fを有する高周波電流を中央コイルおよび周辺コイルに供給するように制御することができる。すなわち本発明によれば、前掲特許文献1および2のリレー等の複雑で高価な装置を採用することなく、第1の駆動回路40をオフ状態とするというきわめて簡便な制御を行うことにより、駆動周波数fswと同一の周波数を有する高周波電流をサブコイル101~104に供給することができる。さらに、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、不要な切り替え回路を必要とせず、容易に直列駆動モードの回路構成を実現できる。
 また、図11に示すように、高周波電流Icは、サブコイル101~104を連続的に流れるが、サブコイル102とサブコイル103の近接する領域で逆方向に流れるので、この領域において磁束が互いに打ち消し合い、高周波電流Icにより生じる磁界が弱められ、鍋Pを均一に加熱することができる。
 図12は、第1および第2の駆動回路40a,40bをさらに別の駆動モードで駆動する制御信号S1~S6のタイミングチャートである。図12において、第3のアーム403の半導体スイッチング素子403a,403bを制御する制御信号S5,S6はLowレベル(オフ状態)に維持されている。また制御信号S1,S2および制御信号S3,S4の位相関係およびデッドタイムは、図6で説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。図12において、たとえば制御信号S3がHighレベルにあるとき、第2のアーム402の半導体スイッチング素子402aがオン状態となり、Lowレベルのときにオフ状態となる。
 図12のタイミングチャートに示すように、制御信号S5,S6がLowレベルに維持されているので、第3のアーム403の半導体スイッチング素子403a,403bはオフ状態(非導通状態)に維持される。すなわち制御信号S1,S2および制御信号S3,S4が図12のタイミングチャートに示すように制御されるとき、図5に示す第1および第2のアーム401,402の半導体スイッチング素子401a,401b,402a,402bのみが駆動される。
 本発明に係るIH加熱部10の上に、中央コイル(サブコイル101,102)の外径と同程度の大きさを有する、いわゆる小鍋Pが載置された場合を想定する。図13は、図2(b)に示す加熱コイル100の上に載置された小鍋P(太線の円で示す)を追加した平面図である。このような小鍋Pがトッププレート3を介して加熱コイル100の上方に載置されたとき、サブコイル103,104の上方には小鍋Pが存在せず、サブコイル103,104にとっては無負荷の状態となる。
 このような状態で、検知手段60a,60bが中央コイル(サブコイル101,102)および周辺コイル(サブコイル103,104)の負荷特性を検出すると、小鍋Pの金属材料と磁気的に結合した中央コイルについて検出された負荷特性(電気的特性)と、小鍋Pが載っていない状態の周辺コイルについて検出された負荷特性(電気的特性)とは大きく異なる。
 制御部50は、2つの負荷特性(電気的特性)をあらかじめ設定された判定値(閾値)と比較する。その結果、制御部50は、中央コイル(サブコイル101,102)上には小鍋Pが存在する一方、周辺コイル(サブコイル103,104)上には小鍋Pがないと判断すると、第3のアーム403に出力される制御信号S5,S6をLowレベルに維持し、制御信号S1~S4を図12のタイミングチャートに示すように制御して、第1の駆動回路40aのみを駆動する。このとき中央コイル(サブコイル101,102)および共振コンデンサ80aには、制御信号S1(S2)と制御信号S3(S4)との間の位相差θ4(>0)で決まる大きさを有する高周波電流Idが流れる。位相差θ4が大きいほど、中央コイル(サブコイル101,102)に流れる高周波電流は大きくなる。制御部50は、使用者が上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ4を調整する。このように、第3のアーム403を非動作状態に維持し、中央コイルのみに高周波電流を供給するように駆動部40を制御する方法(モード)を、本願においては「単独駆動モード」という。
 このとき制御部50は、検知手段60aで検出された負荷特性に基づき、アーム401,402、サブコイル101,102、および共振コンデンサ80aからなるフルブリッジインバータ回路(第1の駆動回路40a)を駆動する制御信号S1~S4の周波数fを決定する。
 負荷特性(電気的特性)から共振周波数f0を算出して駆動周波数fswdを決定する場合について説明する。たとえば、駆動回路40aの検知手段60aの検出結果より得られる駆動回路40aの電気的特性に基づき、電気的特性ごとにあらかじめ設定された駆動周波数の中から、検出された電気的特性に適した周波数fswdを選択するようにしてもよい。
 第1および第2のアーム401,402、サブコイル101,102、および共振コンデンサ80aで構成されるフルブリッジインバータ回路(第1の駆動回路40a)の直列共振負荷回路の共振周波数f0dは、サブコイル101,102(中央コイル)のインダクタンスをLa、共振コンデンサ80aのコンデンサ容量Caとすると、次式で求められる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 制御部50は、駆動回路40aの駆動周波数fswを共振周波数f0dより所定の微小値Δfだけ高いfswdに決定する。この所定の微小値Δfは、たとえば、1kHz以上であることが望ましく、さらに、鍋Pの載置状態によって変化する電気的特性によって、駆動部40の回路損失を低減する値に設定してもよい。
 図14は、本発明に係る駆動部40の回路構成を示す図7と同様の電気回路図である。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。図14において、第1のアーム401の中点から順に、共振コンデンサ80a、サブコイル101の巻き始め、サブコイル102の巻き始め、および第2のアーム402の中点が順次接続されている。また図14において、第1のアーム401の中点から順に、共振コンデンサ80b、サブコイル103の巻き始め、サブコイル104の巻き始め、および第3のアーム403の中点が順次接続されている。図中、各サブコイル101~104の巻き始め端子を黒丸ドットで示している。
 制御部50(図示せず)は、第1および第2のアーム401,402、共振コンデンサ80a、およびサブコイル101,102からなるフルブリッジインバータ回路として動作するように、制御信号S1~S4を制御する。具体的には、図12に示すように、制御信号S5,S6の信号レベルをLowレベルとして、第3のアーム403を非動作状態に維持し、第1のアーム401の半導体スイッチング素子401a,401bを制御信号S1,S2で制御し、第2のアーム402の半導体スイッチング素子402a,402bを制御信号S3,S4で制御する。
 なお図14では、高周波電流Idは、第1のアーム401の高圧側の半導体スイッチング素子401aから、第2のアーム402の低圧側の半導体スイッチング素子402bに流れるものとして図示した。ただし、逆位相においては、高周波電流Idは、第2のアーム402の高圧側の半導体スイッチング素子402aから、第1のアーム401の低圧側の半導体スイッチング素子401bに流れることは言うまでもない。
 単独駆動モードにおける高周波電流Idの大きさは、制御信号S1(S2)と制御信号S2(S4)との間の位相差θ4(>0)により決定される。位相差θ4が大きいほど、サブコイル101,102に流れる高周波電流は大きくなる。制御部50は、使用者が上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ4を調整する。
 図15は、図2(b)に示す加熱コイル100の各サブコイル101,102に流れる高周波電流の向きを追加した平面図である。図15において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101,102に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2で示す。サブコイル101,102は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIdに等しい(Ia1=Ia2=Id)。なお、第3のアーム403が非動作状態に維持されているので、各サブコイル103,104には高周波電流は流れない。
 本発明に係る駆動部40を上記説明したように構成したので、周辺コイルのサブコイル103より小さい鍋PをIH加熱部10の上方に載置したとき、制御部50は、第3のアーム403を非動作状態に維持する単独駆動モードにおいて、第1および第2のアーム401,402を制御することにより、複雑で高価な切り替え回路を必要とせず、高周波電流をサブコイル101,102に供給することができる。さらに、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、切り替え回路を必要とせず、容易に単独駆動モードの回路構成を実現できる。また小鍋Pが載置されない周辺コイルに高周波電流を流さないようにしたので、無駄な電力が発生するのを抑制し、効率のよい駆動ができるとともに、周辺コイルから磁束が漏れるのを防止することができる。さらに、駆動回路の回路損失が低減できるので、冷却構造の小型化が可能となる。
 なお、図12および図13では、トッププレート3上に置かれた鍋Pが小鍋であるときに、コイル101,102にのみ高周波電流が流れるように、駆動回路40aが単独で動作する単独駆動モードについて説明したが、調理モードによっては、より大きなサイズの鍋Pにおいて、鍋底周辺を重点的に加熱したい場合、周辺の加熱をコイル103,104のみに高周波電流が流れるように、駆動回路40bを単独で駆動するようにしてもよい。この場合、制御部50は、第2のアーム402を非動作状態に維持し、第1および第3のアーム401,403を制御することにより、鍋底の周辺部分を重点的に加熱することができる。すなわち本願に係る単独駆動モードとは、中央コイルのみに高周波電流を供給するように駆動部40を制御する方法のみならず、周辺コイルのみに高周波電流を供給するように駆動部40を制御する方法をも含む。
 なお、本発明に係る実施形態において、被加熱体である鍋Pは、いわゆる「鍋」であってもよいし、「フライパン」であってもよく、誘導加熱可能な構成材料からなる被加熱体であれば、同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
 図7、図10、図16~図17を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態2について以下詳細に説明する。実施の形態2に係る誘導加熱調理器1は、中央コイルと周辺コイルの捲回方向が、実施の形態1では同一方向であったのに対し、実施の形態2では互いに対して逆方向とした点を除き、実施の形態1に係る誘導加熱調理器1と同様の構成を有するので、重複する点については説明を省略する。 
 図16(a)および(b)は、実施の形態2に係る加熱コイル100の例示的な構成を示す、図2(b)と同様の平面図であって、この加熱コイル100は、線状導体(リッツ線等)を巻き回してなるサブコイルが、同心円状に複数個配置されて構成されている。
 各サブコイル101~104の線状導体は、半径方向の内側から外側に向かって捲回されている点については共通しているが、図16(a)の破線矢印で示すように、中央コイル(サブコイル101,102)の線状導体が時計回りに捲回され、周辺コイル(サブコイル103,104)の線状導体が反時計回りに捲回されている点が異なる。すなわち、実施の形態2の中央コイルと周辺コイルを構成する線状導体は、互いに異なる方向に捲回されている。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 ここで再び図7を参照して、図16(a)に示すように構成された加熱コイル100を用いて、被加熱体である鍋Pを加熱する場合の高周波電流の向きについて説明する。まず、上記説明した並列駆動モードについて検討する。
 並列駆動モードにおいて、図7に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T内のある位相において、高周波電流Iaは、第1のアーム401から共振コンデンサ80aを経由して、サブコイル101,102の巻き始めに流れ込み、第2のアーム402に流れる(図16(b)において、Ia1→Ia2)。この位相において、高周波電流Ibは、第1のアーム401から共振コンデンサ80bを経由して、コイル103,104の巻き始めから流れ込み、第3のアーム403に流れる(図16(b)において、Ib1→Ib2)。なお、1周期T内の別の位相においては、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わる。
 図16(b)において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。サブコイル101,102、およびサブコイル103,104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIa,Ibに等しい(Ia1=Ia2=Ia,Ib1=Ib2=Ib)。
 上述のように、サブコイル101,102の巻線が時計回りに捲回され、サブコイル103,104の巻線が反時計回りに捲回されているため、図16(b)に示すように、ある位相におけるサブコイル101,102に流れる高周波電流Ia1,Ia2は、時計方向に流れる一方、サブコイル103,104に流れる高周波電流Ib1,Ib2は、反時計方向に流れる。
 すなわち実施の形態2に係る加熱コイル100の中央コイル(サブコイル101,102)と周辺コイル(サブコイル103,104)に流れる高周波電流は、並列駆動モードでは互いに逆方向に流れるので、サブコイル102とサブコイル103が近接する領域における磁束が互いに打ち消し合い、磁界が弱められ、鍋Pを均一に加熱する効果がある。したがって、実施の形態2に係る加熱コイル100を用いて、鍋Pを並列駆動モードで加熱すると、鍋Pを均一に加熱し、調理性能を向上させるという効果が得られる。
 次に、ここで再び図10を参照して、図16(a)に示すように構成された加熱コイル100を用いて、被加熱体である鍋Pを加熱する場合の高周波電流の向きについて、上記説明した直列駆動モードについて検討する。
 直列駆動モードにおいて、図10に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T内のある位相において、高周波電流Icは、第2のアーム402からサブコイル102の巻き終わりに流れ込み、サブコイル102の巻き始めからサブコイル101の巻き終わりへ、さらにサブコイル101の巻き始めを経由して共振コンデンサ80aに流れる。上記のように、直列駆動モードにおいては、第1のアーム401は非導通状態にあるので、高周波電流Icは、第1のアーム401の中点を介して、共振コンデンサ80bに流れ、さらにサブコイル103の巻き始めに流れ込み、サブコイル103の巻き終わりからサブコイル104の巻き始めに流れ、サブコイル104巻き終わりを経由して第3のアーム403に流れる。なお、1周期T内の別の位相においては、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わる。
 図17は、実施の形態2に係る図16(a)に示す加熱コイル100を用いて、直列駆動モードで鍋Pを加熱したときに各サブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを示す平面図である。図17において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。各サブコイル101~104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIcに等しい(Ia1=Ia2=Ib1=Ib2=Ic)。
 上述のように、サブコイル101,102の巻線が時計回りに捲回され、サブコイル103,104の巻線が反時計回りに捲回されているため、図17に示すように、ある位相におけるサブコイル101,102に流れる高周波電流Ia1、Ia2、すなわちIcとして巻線の捲回方向に沿って反時計方向に流れ、続いてサブコイル103,104に反時計方向の電流Ib1,Ib2、すなわちIcとして流れる。つまり図17において、高周波電流Icは、Ia2→Ia1→Ib1→Ib2のように流れる。
 図17に示すように、実施の形態2の直列駆動モードにおいて、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは同一であるため、各サブコイルが互いに近接する領域において磁束を強め合い、鍋Pを加熱する効率を向上させることができ、ひいては駆動部40の回路損失を低減するとともに、駆動部40を冷却するための冷却構造(たとえば冷却ファンやヒートシンク)を小型化することができる。したがって、磁性材料および非磁性材料の複合材料からなる鍋Pを強い磁界で加熱でき、調理性能を向上させることができる。なお鍋Pが単一の金属材料で構成されている場合であっても、強い磁界で加熱したい場合は、制御部50は、直列駆動モードで鍋Pを加熱するように加熱部40を制御してもよい。
 さらに制御部50は、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、切り替え回路を必要とせず、容易に駆動モードに対応した回路構成を実現できる。また、本発明に係る実施の形態2において、被加熱体である鍋Pは、いわゆる「鍋」であってもよいし、「フライパン」であってもよく、誘導加熱可能な構成材料からなる被加熱体であれば、同様の効果を得ることができる。
 なお、実施の形態2において、被加熱体として載置された鍋Pが小鍋であるとき、図16(a)に示すように構成された加熱コイル100を用いて、鍋Pを単独駆動モードで加熱する場合は、実施の形態1と同一の動作および効果が得られるのでここでは詳細説明は省略する。
 実施の形態3.
 図16~図18を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態3について以下詳細に説明する。図18は、実施の形態3に係る駆動部40の回路構成を示す、図10と同様の電気回路図である。すなわち図18に示す駆動部40は、図10におけるサブコイル103,104の巻き始めの位置、およびサブコイル103、104の位置が入れ替わっている点以外は図10と同様のものであり、同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 以下、図16(c)で示す加熱コイル100を図18に示すように回路に接続して、上記説明した並列駆動モードで鍋Pを加熱する場合について検討する。加熱コイル100に示すサブコイル101~104の巻線と図18に示す回路の接続や高周波電流の大きさの調整方法等については、上記した並列駆動モードと同じであり、でここでは説明を割愛する。
 ここで図18に示すサブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T内のある位相において、高周波電流Ia(図示せず)は、図7に示した高周波電流Iaと同様に、第1のアーム401から共振コンデンサ80aを経由して、サブコイル101,102の巻き始めに流れ込み、第2のアーム402に流れる((図16(b)においてIa1→Ia2)。この位相において、高周波電流Ib(図示せず)は、図7に示した高周波電流Ibと同様に、第1のアーム401から共振コンデンサ80bを経由して、サブコイル104、103の巻き終りに流れ込み、第3のアーム403に流れる(図16(b)においてIb2→Ib1)。なお、1周期T内の別の位相においては、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わる。
 このときサブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを図16(b)の矢印で示す。図16(b)において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。サブコイル101,102、およびサブコイル103,104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIa,Ibに等しい(Ia1=Ia2=Ia,Ib1=Ib2=Ib)。
 上述のように高周波電流が流れることで、図16(c)におけるサブコイル101~104の巻線が時計回りに捲回されているため、図16(b)に示すように、1周期T内のある位相におけるサブコイル101,102に流れる高周波電流Ia1,Ia2は、時計方向に流れる一方、サブコイル103,104に流れる高周波電流Ib1,Ib2は、反時計方向に流れる。
 すなわち実施の形態3に係る加熱コイル100の中央コイル(サブコイル101,102)と周辺コイル(サブコイル103,104)に流れる高周波電流は、並列駆動モードにおいては、互いに逆方向に流れるので、サブコイル102とサブコイル103が互いに近接する領域において磁束が打ち消し合い、磁界が弱められ鍋Pを均一に加熱する効果がある。したがって、実施の形態3に係る加熱コイル100を用いて、鍋Pを並列駆動モードで加熱すると、鍋Pを均一に加熱し、調理性能を向上させるという効果が得られる。
 さらに制御部50により、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、図18において切り替え回路を必要とせず、容易に並列駆動モードの回路構成を実現できる。
 次に、図16(c)に示す加熱コイル100を図18に示すように回路に接続して、上記説明した直列駆動モードで鍋Pを加熱する場合について検討する。図16(c)に示す各サブコイル101~104の巻線は、各サブコイルの内側から巻き始め、たとえば時計回りに捲回されている(図2に示したものと同様の構成)。なお、捲回する方向は、各サブコイル101~104がすべて同一方向に捲回されるならば、反時計回りに捲回されていてもよい。図18は、実施の形態3に係る直列駆動モードで鍋Pを加熱する駆動部40の回路構成を示すものである。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 ここで図18に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T内のある位相において、高周波電流Icは、第2のアーム402からサブコイル102の巻き終わりに流れ込み、サブコイル102の巻き始めからサブコイル101の巻き終わりへ、さらにサブコイル101の巻き始めを経由して共振コンデンサ80aに流れる。第1のアーム401は、制御部50(図示せず)から出力される制御信号S1,S2がLowレベルのため非導通状態にあるので、高周波電流Icは、第1のアーム401の中点を介して、共振コンデンサ80bに流れ、さらに、サブコイル104の巻き終わりに流れ込み、サブコイル104の巻き始めからサブコイル103の巻き終わりに流れ、サブコイル103の巻き始めを経由して第3のアーム403に流れる。ただし、逆位相においては、高周波電流Icは、第3のアーム403の高圧側の半導体スイッチング素子403aから、第2のアーム402の低圧側の半導体スイッチング素子402bに流れることは言うまでもない。
 高周波電流Icの大きさは、図9に示したように、制御信号S3(S4)と制御信号S5(S6)との間の位相差θ3(>0)により決定される。位相差θ3が大きいほど、サブコイル101~104に流れる高周波電流は大きくなる。ここでは図示しないが、制御部50は、ユーザが上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ3を調整する。
 図17は、実施の形態2に係る図16(c)に示す加熱コイル100を用いて、実施の形態3による直列駆動モード(図18)で鍋Pを加熱したときに各サブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを示す平面図である。サブコイル102の巻き終わりから流れ込んだ高周波電流Ia2(=Ic)は反時計方向に流れ、サブコイル101の巻き始めを経由して、Ib2(=Ic)としてサブコイル104の巻き終わりに流れ込み、巻線の捲回方向に沿って流れ、続いてサブコイル103に反時計方向の電流Ib1(=Ic)として流れる。つまり図17において、高周波電流Icは、Ia2→Ia1→Ib2→Ib1のように流れる。したがって、実施の形態3に係る加熱コイル100を用いて、直列駆動モードで鍋Pを加熱すると、各サブコイル101~104には同一方向に高周波電流が流れる。
 図17に示すように、実施の形態3の直列駆動モードにおいて、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは同一であるため、各サブコイルが互いに近接する領域において磁束を強め合い、鍋Pを加熱する効率を向上させることができ、ひいては駆動部40の回路損失を低減するとともに、駆動部40を冷却するための冷却構造(たとえば冷却ファンやヒートシンク)を小型化することができる。したがって、磁性材料および非磁性材料の複合材料からなる鍋Pを強い磁界で加熱でき、調理性能を向上させることができる。なお鍋Pが単一の金属材料で構成されている場合であっても、強い磁界で加熱したい場合は、制御部50は、直列駆動モードで鍋Pを加熱するように加熱部40を制御してもよい。
 さらに制御部50は、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、切り替え回路を必要とせず、容易に直列駆動モードの回路構成を実現できる。また、実施の形態3において小鍋Pが載置された場合でも、実施の形態1と同様の動作および効果が得られるので詳細な説明については割愛する。
 なお、本発明に係る実施の形態3において、被加熱体である鍋Pは、いわゆる「鍋」であってもよいし、「フライパン」であってもよく、誘導加熱可能な構成材料からなる被加熱体であれば、同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
 図8、図11、および図16~図18を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理器の実施の形態4について以下詳細に説明する。実施の形態4に係る誘導加熱調理器1は、中央コイルと周辺コイルの捲回方向が、実施の形態3では同一方向であったのに対し、実施の形態4では互いに対して逆方向とした点が異なる。すなわち、実施の形態4に係る中央コイルと周辺コイルを構成する線状導体は、互いに異なる方向に捲回されている点を除き、実施の形態3に係る誘導加熱調理器1と同様の構成を有するので、重複する点については説明を省略する。
 図18は、実施の形態3に係る駆動部40の回路構成を示す、図10と同様の電気回路図である。すなわち図18に示す駆動部40は、図10におけるサブコイル103,104の巻き始めの位置、およびサブコイル103、104の位置が入れ替わっている点以外は図10と同様のものであり、同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 以下、図16(a)で示す加熱コイル100を図18に示すように回路に接続して、上記説明した並列駆動モードで鍋Pを加熱する場合について検討する。加熱コイル100に示すサブコイル101~104の巻線と図18に示す回路の接続や高周波電流の大きさの調整方法等については、上記した並列駆動モードと同じであり、でここでは説明を割愛する。
 ここで図18に示すサブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、1周期T内のある位相において、高周波電流Ia(図示せず)は、図7に示した高周波電流Iaと同様に、第1のアーム401から共振コンデンサ80aを経由して、サブコイル101,102の巻き始めに流れ込み、第2のアーム402に流れる(図8においてIa1→Ia2)。この位相において、高周波電流Ib(図示せず)は、図7に示した高周波電流Ibと同様に、第1のアーム401から共振コンデンサ80bを経由して、サブコイル104、103の巻き終りに流れ込み、第3のアーム403に流れる(図8においてIb2→Ib1)。なお、1周期T内の別の位相においては、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わる。
 このときサブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを図8の矢印で示す。図8において、加熱コイル100を構成する各サブコイル101~104に流れる高周波電流をそれぞれIa1,Ia2,Ib1,Ib2で示す。サブコイル101,102、およびサブコイル103,104は直列に接続されているので、これらの高周波電流の大きさはIa,Ibに等しい(Ia1=Ia2=Ia,Ib1=Ib2=Ib)。
 上述のように高周波電流が流れることで、図16(a)におけるサブコイル101,102の巻線が時計回りに捲回され、サブコイル103,104の巻線が反時計回りに捲回されているため、図8に示すように、1周囲T内のある位相におけるサブコイル101,102に流れる高周波電流Ia1,Ia2、および103,104に流れる高周波電流Ib1,Ib2は、時計方向、つまり同一方向に流れる。
 すなわち実施の形態4に係る加熱コイル100の中央コイル(サブコイル101,102)と周辺コイル(サブコイル103,104)に流れる高周波電流は、並列駆動モードにおいては、互いに同一方向に流れるので、サブコイル102と103が互いに近接する領域において磁束を強め合い、鍋Pを加熱する効率を向上させることができ、ひいては駆動部40の回路損失を低減するとともに、駆動部40を冷却するための冷却構造(たとえば冷却ファンやヒートシンク)を小型化することができる。したがって、磁性材料および非磁性材料の複合材料からなる鍋Pを強い磁界で加熱でき、調理性能を向上させるという効果が得られる。
 さらに制御部50により、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、図18において切り替え回路を必要とせず、容易に並列駆動モードの回路構成を実現できる。
 次に、図16(a)に示す加熱コイル100を図18に示すように回路に接続して、上記説明した直列駆動モードで鍋Pを加熱する場合について検討する。図16(a)の破線矢印で示すように、中央コイル(サブコイル101~102)の線状導体、いわゆる巻線は、各サブコイルの内側から巻き始め、例えば時計回りに捲回され、一方、周辺コイル(サブコイル103~104)の巻線は反時計回りに捲回されている。
 図18は、実施の形態4に係る直列駆動モードで鍋Pを加熱する駆動部40の回路構成を示すものである。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 ここで、図18に示す各サブコイル101~104の巻き始めを示す点に着目すると、直列駆動モードにおける1周期T内のある位相において、高周波電流Icは、第2のアーム402からサブコイル102の巻き終わりに流れ込み、サブコイル102の巻き始めからサブコイル101の巻き終わりへ、さらにサブコイル101の巻き始めを経由して共振コンデンサ80aに流れる。上記のしたように、直列駆動モードにおいては、第1のアーム401は、制御部50(図示せず)から出力される制御信号S1,S2がLowレベルのため非導通状態にあるので、高周波電流Icは、第1のアーム401の中点を介して、共振コンデンサ80bに流れ、さらに、サブコイル104の巻き終わりに流れ込み、サブコイル104の巻き始めからサブコイル103の巻き終わりに流れ、サブコイル103の巻き始めを経由して第3のアーム403に流れる。なお、1周期T内の別の位相においては、各サブコイル101~104に供給される高周波電流の向きは入れ替わることは言うまでもない。
 また、高周波電流Icの大きさは、図9に示したように、制御信号S3(S4)と制御信号S5(S6)との間の位相差θ3(>0)により決定される。位相差θ3が大きいほど、サブコイル101~104に流れる高周波電流は大きくなる。ここでは図示しないが、制御部50は、ユーザが上面操作部5または前面操作部6を介して設定した火力が得られるように、位相差θ3を調整する。
 図11は、実施の形態2に係る図16(a)に示す加熱コイル100を用いて、実施の形態4による直列駆動モードで鍋Pを加熱した時に、各サブコイル101~104に流れる高周波電流の向きを示す平面図である。サブコイル102の巻き終わりから流れ込んだ高周波電流Ia2(=Ic)は反時計方向に流れ、Ia1(=Ic)としてサブコイル101の巻き始めを経由して流れ、さらにIb2(=Ic)としてサブコイル104の巻き終わりに流れ込み、巻線の捲回方向と逆の方向、すなわち時計方向に流れ、続いてサブコイル103に時計方向の電流Ib1(=Ic)として流れる。つまり、図11において、高周波電流Icは、Ia2→Ia1→Ib2→Ib1のように流れる。
 したがって、実施の形態4に係る加熱コイル100を用いて、直列駆動モードで鍋Pを加熱すると、高周波電流Icは、サブコイル101~104を連続的に流れるが、中央コイル(サブコイル101,102)と周辺コイル(サブコイル103,104)に流れる高周波電流Icは、直列駆動モードでは互いに逆方向に流れるので、サブコイル102とサブコイル103の近接する領域における磁束が互いに打ち消し合い、磁界が弱められ鍋Pを均一に加熱する効果がある。したがって、実施の形態4に係る加熱コイル100を用いて、鍋Pを直列駆動モードで加熱すると、鍋Pを均一に加熱し、調理性能を向上させるという効果が得られる。
 さらに制御部50により、制御信号S1~S6の組合せを制御することで、図18において切り替え回路を必要とせず、容易に直列駆動モードの回路構成を実現できる。また、実施の形態4において、小鍋Pが載置された場合でも、実施の形態1における単独駆動モードと同様の動作および効果が得られるので、詳細な説明については割愛する。
 なお、本発明に係る実施の形態4において、被加熱体である鍋Pは、いわゆる「鍋」であってもよいし、「フライパン」であってもよく、誘導加熱可能な構成材料からなる被加熱体であれば、同様の効果を得ることができる。
実施の形態5.
図19および図20を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理器1の実施の形態5について以下詳細に説明する。実施の形態5においては、上記説明した誘導加熱調理器1の並列駆動モード、直列駆動モード、および単独駆動モードのうちのいずれか1つの駆動モードを選択(切替)する方法、すなわち本発明に係る誘導加熱調理器1の制御方法について説明する。よって実施の形態5に係る誘導加熱調理器1は、実施の形態1~4のものと同様の構成を有するので、重複する点については説明を省略する。同一の参照符号は、同一の機能を有する構成部品を示す。
 図19は、本発明に係る誘導加熱調理器1の制御方法を示すフローチャートである。図20(a)は、磁性材料および非磁性材料を組み合わせて構成された複合材料からなる鍋Pの平面図であり、図20(b)は、図20(a)のB-B’線から見たIH加熱部10の断面図であって、駆動部40、制御部50、および加熱コイル100(各サブコイル101~104)等の回路構成を示すものである。
 図20(a)に示す鍋Pは、磁性材料からなる中央部P1、非磁性材料からなる周縁部P2、およびそれ以外の鍋肌部P3から構成されている。鍋肌部P3は、鍋P全体の重量を軽減するためにアルミニウム等の非磁性材料から構成されるものであってもよい。鍋Pは、図20(b)に示すように、中央部P1が中央コイル(サブコイル101,102)に対向し、周縁部P2が周辺コイル(サブコイル103,104)に実質的に対向するようにトッププレート3上に載置されるものであってもよい。なお図20(a)においては、中央部P1および周縁部P2は、鍋Pの中心に配置された円板状部品およびリング状部品として図示されているが、鍋Pは、一定のパターンで磁性材料および非磁性材料を混在させて構成したものであってもよい(以下、「特殊鍋」ともいう。)。
 図19のフローチャートを参照して、制御部50および駆動部40の動作について以下説明する。図19における各判定ステップは、各サブコイル101~104に高周波電流を供給する前において、いわゆる負荷検知の一連の判定処理の中で行うことが望ましい。なお図19では、制御部50がトッププレート3上に載置された被加熱体を誘導加熱できるか否かの判定するステップを省略しており、ステップST01以降の各ステップは、被加熱体が誘導加熱可能であることを前提とするものである。
 まず制御部50は、鍋Pが中央コイルの上方に載置されているか否かの判断を行う。ここでは制御部50は、第1の検知手段60aにより検出されたサブコイル101,102(中央コイル)の電気的特性(ステップST01)と、あらかじめ設定された判定値とを比較し、鍋Pの有無を判定する(ステップST02)。制御部50は、鍋Pが中央コイルの上方に載置されていないと判断した場合(NOの場合)、駆動部40の第1~第3のアームのすべての半導体スイッチング素子をオフ状態とする制御信号S1~S6を供給し、駆動部40の駆動を停止する(ステップST15)。
 制御部50は、鍋Pが中央コイルの上方に載置されていると判断した場合(ステップST02のYESの場合)、ステップST03で第2の検知手段60bにより検出されたサブコイル103,104(周辺コイル)の電気的特性と、あらかじめ設定された判定値とを比較し、鍋Pの有無を判定する(ステップST04)。制御部50は、鍋Pが周辺コイルの上方に載置されていないと判断した場合(NOの場合)、すなわち鍋Pが小鍋であると判断した場合、駆動部40の第3のアームの半導体スイッチング素子403a,403bをオフ状態とする制御信号S5,S6を供給して、周辺コイルのための第2の駆動回路40bを停止し(ステップST12)、単独駆動モードで、中央コイル(小鍋P)のための第1の駆動回路40aのみを駆動するように制御する(ステップST13)。
 一方、制御部50は、鍋Pが周辺コイルの上方にも載置されていると判断した場合(ステップST04のYESの場合)、第1の検知手段60aが中央コイルに対向する鍋Pの部分の構成材料(鉄またはアルミニウム等)を共振周波数として検知し、これに応じた中央コイルの駆動周波数を暫定的に特定し(ステップST05)、同様に、第2の検知手段60bが周辺コイルに対向する鍋Pの部分の構成材料を共振周波数として検知し、これに応じた周辺コイルの駆動周波数を暫定的に特定する(ステップST06)。
 鍋Pが図20(a)に示すような特殊鍋でなく、均一な金属材料で構成されている場合、制御部50は、第1および第2の検知手段60a,60bが検知する共振周波数が実質的に一致するため、中央コイルおよび周辺コイルを同一の駆動周波数で駆動可能であると判断する(ステップST07のYESの場合)。この場合、制御部50は、並列駆動モードで、同一の駆動周波数を有する制御信号S1~S6を用いて、中央コイルおよび周辺コイルを駆動するように駆動部40を制御する(ステップST14)。
 一方、鍋Pが図20(a)のような特殊鍋であるとき、すなわち第1の検知手段60aが検知する磁性材料からなる中央部P1の共振周波数と、第2の検知手段60bが検知する非磁性材料からなる周縁部P2の共振周波数とが大きく異なるとき、すなわち中央部P1の共振周波数と周縁部P2の共振周波数との差が所定の差分閾値より大きいと判断したとき、制御部50は、中央コイルおよび周辺コイルを同一の駆動周波数で駆動可能でないと判断する(ステップST07のNOの場合)。この場合、制御部50は、直列駆動モードに切り替え、駆動部40の第1のアームの半導体スイッチング素子401a,401bをオフ状態とする制御信号S1,S2を供給し、制御信号S3~S6による直列駆動モードで動作するように駆動部40を制御する(ステップST08)。このとき各サブコイル101~104が直列接続されており、検知手段60は、鍋Pに対して1つの連続した加熱コイル全体としての電気的特性(中央部P1、周縁部P2、および鍋肌部P3の合成された電気的特性)を検出する(ステップST09)。さらに検知手段60は、合成された電気的特性に基づいて、加熱コイル全体と鍋Pからなる合成共振周波数を検知し、制御部50は、これに応じた駆動周波数を決定し(ステップST10)、直列駆動モードで、同一の駆動周波数を有する制御信号S3~S6を用いて、中央コイルおよび周辺コイルを駆動するように駆動部40を制御する(ステップST11)。
 なお、上記説明では、駆動モードの選択は主に共振周波数により行う具体例について示したが、上述のように、電源部30に流れる電流、中央コイルおよび周辺コイルのそれぞれに流れる高周波電流およびこれに印加される電圧、ならびに共振コンデンサ80に印加される電圧などの電気的特性に基づいて検知される負荷特性から、鍋の部分の負荷特性の違いが識別できる情報に基づいて、駆動モードを選択してもよい。
 以上の説明では、被加熱体である鍋Pは、いわゆる「鍋」であっても、「フライパン」であっても、誘導加熱調理器対応の被加熱体であれば、同様の効果を得られる。
 以上のように本発明に係る誘導加熱調理器1によれば、被加熱体が特殊鍋である場合のようにサブコイル101~104を同一周波数で駆動することが不適当な特殊鍋の場合、直列駆動モードで単一の駆動周波数を有する制御信号S3~S6を用いて駆動部40を制御することができ、誘導加熱調理器1の簡便な制御方法を実現することができる。また、サブコイル101~104を直列に接続する直列駆動モードに容易に切り替えることで、各サブコイルに供給される高周波電流のアンバランスが解消され、鍋の加熱ムラを改善することができるので、調理性能が向上する。さらに、中央コイルおよび周辺コイルを単一の周波数で駆動するため、周波数の違いによる干渉音の発生を防ぐことができる。
1…誘導加熱調理器、2…筐体、3…トッププレート、4…グリル部、5…上面操作部、6…前面操作部、7…表示部、8…吸排気口、9…IH加熱部、10…IH加熱部、11…ラジエント加熱部、100…加熱コイル、101~104…サブコイル、30…電源部、31…交流電源、32…ダイオードブリッジ、33…平滑回路、40…駆動部(駆動回路)、401~403…半導体スイッチング素子のアーム、401a~403a,401b~403b…半導体スイッチング素子、50…制御部、60…検知手段、70…共振負荷回路、80…共振コンデンサ、S1~S6…制御信号、Ia,Ib,Ic,Id…高周波電流、P…被加熱物(鍋)、P1,P2,P3…特殊鍋の部分。

Claims (12)

  1.  被加熱体が載置されるトッププレートと、
     平面状に捲回された中央コイルと、
     前記中央コイルの周辺に配設された周辺コイルと、
     前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給する駆動部と、
     前記駆動部の両端に直流電圧を印加する電源部と、
     前記トッププレートを介して前記中央コイルおよび前記周辺コイルの上方に載置された被加熱体の部分の負荷特性を検知する検知手段と、
     検知された被加熱体の部分の負荷特性に基づいて、
    a)前記中央コイルおよび前記周辺コイルが前記電源部の直流電圧の両端に並列に接続された状態で前記駆動部を駆動する並列駆動モード、
    b)前記中央コイルおよび前記周辺コイルが前記電源部の直流電圧の両端に直列に接続された状態で前記駆動部を駆動する直列駆動モード、および
    c)前記中央コイルおよび前記周辺コイルのいずれか一方が前記電源部の直流電圧の両端に接続された状態で前記駆動部を駆動する単独駆動モードのうちから選択したいずれか1の駆動モードで前記駆動部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする誘導加熱調理器。
  2.  前記駆動部は、
     前記電源部の直流電圧が印加され、直列に接続された一対のスイッチング素子からなる第1、第2、および第3のアームと、
     前記第1および第2のアームの中点間に直列に接続された前記中央コイルおよび第1の共振コンデンサと、
     前記第1および第3のアームの中点間に直列に接続された前記周辺コイルおよび第2の共振コンデンサとを有することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3.  前記制御部は、並列駆動モードにおいて、第1、第2、および第3のアームのスイッチング素子が駆動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  4.  前記第1および第2のアームならびに前記中央コイルおよび第1の共振コンデンサが前記中央コイルに高周波電流を供給する第1のフルブリッジ駆動回路を構成し、
     前記第1および第3のアームならびに前記周辺コイルおよび第2の共振コンデンサが前記周辺コイルに高周波電流を供給する第2のフルブリッジ駆動回路を構成することを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱調理器。
  5.  前記制御部は、直列駆動モードにおいて、前記第1のアームのスイッチング素子が駆動せず、前記第2および第3のアームのスイッチング素子が駆動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  6.  前記第1および第3のアーム、直列に接続された前記中央コイルおよび前記周辺コイル、ならびに第1および第2の共振コンデンサが、前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給する第3のフルブリッジ駆動回路を構成することを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱調理器。
  7.  前記制御部は、直列駆動モードにおいて、前記中央コイルおよび前記周辺コイルに流れる高周波電流が実質的に同一の周方向に流れるように前記駆動部を駆動することを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱調理器。
  8.  前記制御部は、単独駆動モードにおいて、前記第2および第3のアームのいずれか一方のスイッチング素子が駆動せず、他方のスイッチング素子が駆動するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱調理器。
  9.  前記中央コイルおよび前記周辺コイルは、協働して単一の被加熱体を加熱するように構成されたことを特徴とする請求項1~8のいずれか1に記載の誘導加熱調理器。
  10.  前記制御部は、被加熱体の部分の共振周波数と、あらかじめ設定した閾値とを比較して、駆動モードを選択するように構成されたことを特徴とする請求項9に記載の誘導加熱調理器。
  11.  前記制御部は、前記中央コイルの上方に載置された被加熱体の部分の第1の共振周波数と、前記周辺コイルの上方に載置された被加熱体の部分の第2の共振周波数との差があらかじめ設定した差分閾値より大きいと判断したとき、前記検知手段が直列に接続された前記中央コイルおよび前記周辺コイルの合成共振周波数を再度検知し、合成共振周波数に基づいて、直列駆動モードで前記駆動部を制御することを特徴とする請求項10に記載の誘導加熱調理器。
  12.  直列に接続された一対のスイッチング素子からなる第1、第2、および第3のアームと、前記第1および第2のアームの前記一対のスイッチング素子の中点の間に直列に接続された中央コイルおよび第1の共振コンデンサと、前記第1および第3のアームの前記一対のスイッチング素子の中点の間に直列に接続された周辺コイルおよび第2の共振コンデンサとを備えた誘導加熱調理器の制御方法であって、
     前記第1、第2、および第3のアームの両端に直流電圧を印加するステップと、
     前記中央コイルおよび前記周辺コイルに対向する被加熱体の部分の負荷特性を検出するステップと、
     検出された被加熱体の前記各部分の負荷特性に基づいて、
    a)並列駆動モードにおいて、並列に接続された前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給するために、前記第1、第2、および第3のアームの前記一対のスイッチング素子を駆動し、
    b)直列駆動モードにおいて、直列に接続された前記中央コイルおよび前記周辺コイルに高周波電流を供給するために、前記第1のアームの前記一対のスイッチング素子を駆動することなく、前記第2および第3のアームの前記一対のスイッチング素子を駆動し、または
    c)単独駆動モードにおいて、前記中央コイルおよび前記周辺コイルのいずれか一方にのみ高周波電流を供給するために、前記第2および第3のアームのいずれか一方の前記一対のスイッチング素子を駆動することなく、その他方および前記第1のアームの前記一対のスイッチング素子を駆動するように制御するステップとを有することを特徴とする制御方法。
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