JP2014035337A - モータ診断装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ診断装置10は、センサ40からモータ20の回転軸の動きを反映した波形信号41を入力する入力部11と、この波形信号41からモータの実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出する抽出部14と、この低周波成分に基づいてモータ20の軸受30の嵌合部22における摩耗の有無を判定する摩耗判定部15と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
さらに収録したデータの変化の傾向を分析し、モータの分解点検時期の推定を行っている。なお、モータの異常や劣化の判断は、国際標準化機構(ISO)などの判定基準や複数回の測定データから求めた基準値をベースとし、警報発令や運転停止の条件を定めている。
また、モータの電流波形においても、特定の周波数成分に変化が観測されることを利用して、異常や劣化の有無が判断される。
これらの傷や損傷等が発生すると、対応する周波数成分の変化が、振動や電流等の監視データの変化として即座に検知されるため、異常の発生が早期に判断される。
熱伸縮の繰り替えしにより嵌合部が徐々に摩耗する場合や、モータとモータに接続される負荷装置(例えばポンプ)との据付不良(センタリングのずれ)がある場合は、モータの回転軸の振動が大きくなり、転がり軸受にかかる荷重が大きくなることにより嵌合部に摩耗が発生する場合がある。嵌合部の摩耗が進行すると転がり軸受が移動しやすくなることから、さらに摩耗が進行しやすくなる。
この嵌合部の摩耗が進行すると、モータの回転子と固定子が接近し焼き付きにいたる場合がある。
そして、モータの分解点検時に、ハウジングの嵌合部の寸法を測定し、異常な摩耗の有無を確認している。このように、嵌合部の摩耗の発見は、定期的な分解点検によるしかない状況にある。
しかし、直近の分解点検において異常が無くとも、運転中に、嵌合部の摩耗が進行しモータ故障にいたることが懸念される。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、モータ診断装置10は、センサ40からモータ20の回転軸24の動きを反映した波形信号41を入力する入力部11と、この波形信号41からモータの実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出する抽出部14と、この低周波成分に基づいてモータ20の軸受30の嵌合部22における摩耗の有無を判定する摩耗判定部15と、を備えている。
これにより、回転軸24の軸方向に熱伸縮が発生すると、軸受30は、ハウジング21に対して相対変位することにより、ストレスを逃がしている。
回転軸24に半径方向の力が加わった状態で外輪32は、ハウジング21の片側に偏って接触し反対側に隙間を形成する。
モータ駆動により回転軸24に付与する遠心力により、外輪32が嵌合部22の内周面23を回転する。
このような外輪32の回転運動が繰り返された場合は、嵌合部22の内周面23の摩耗が進行し、隙間が広がっていく。隙間が形成された場合、さらに外輪32が移動しやすくなり、加速的に摩耗が進行し、隙間が広がっていくこととなる。
このように隙間が広がっていくと、図1に示される回転子25と固定子26の間隔が狭まり、両者が接触し焼きつきにいたる場合がある。
またセンサ40は、これらに限定されるものではなく、モータ20の回転軸24の動きを反映した物理量を検出するものであれば適宜採用される。
変位センサ40aは、非接触式のものが好適であるが、接触式のものであってもよい。
磁束センサ40bは、固定子26と回転子25との電磁相互作用により発生した磁束のうち、ハウジング21の外部に漏出した磁束の密度変化を検出するものである。
このような磁束の密度変化量は、固定子26と回転子25との相対的な位置変化に依存するために、回転軸24の動きを反映している。
なお、A/D変換部12及び記録部13は、モータ診断装置10の内部に配置されている必要はなく、センサ40と一体化されていてもよい。
このように、記録部13に時系列に記録された波形信号41には、モータ20の実回転の周波数Nを主成分として嵌合部22の摩耗量に依存する低周波成分が含まれている。
抽出部14は、このように波形信号41からモータ20の実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出することができれば特に限定はなく、波形信号41をフーリエ変換した結果から低周波成分を抽出してもよい。
ぞして、外輪32の1回転当りの回転軸24(内輪34)の回転数Rは、(1)式で表される。さらに、モータ20の実回転の周波数Nとすると、外輪32の回転周波数Fは、(2)式で表される。また、外輪32が1回転に要する時間Tは、(3)式で表される。そして、(1)式及び(2)式から(4)式が導かれる。
F=N/R (2)
T=1/F (3)
C=D×F/N=E/(N/F−1) (4)
ここで、例えば、D=100mm、C=0.1mm、N=50Hzとした場合、式(1)から(3)より、F=0.05Hzとなる。
このようにモータ20の実回転の周波数Nと比較して外輪32の回転周波数Fは、非常に低いことがわかる。
ここで、E(D)は軸受仕様、Nは運転条件から決まるため、摩耗判定部15においてF(<N)が判定されれば、摩耗量Cが算定され表示部17に表示される。このように、モータ運転を継続しながら嵌合部22の摩耗量が定量的に導かれることにより、摩耗の進行状況を推定し、交換が必要となる時期を推定することが可能となる。
超音波センサ40cは、ハウジングの嵌合部22の外側に設置される。嵌合部22の内周面が摩耗して隙間が生じると、外輪32が回転移動し、超音波センサ40cの直下に隙間がある場合(図4(A)上側)と、その直下に隙間が無い場合(図4(A)下側)とが現れる。
一方、図4(A)下側のように超音波センサ40cの直下に隙間が無い場合は、この嵌合部22の内周面からのエコー波43に加え、外輪32の内周面からのエコー波44も観測される。
これにより、上式(3)(4)に基づいて嵌合部22の摩耗量Cを求めることができる。
そして、上式(3)(4)に基づいて嵌合部22の摩耗量Cを求めることができる。
このような負荷部27が設けられることにより、回転軸24の半径方向に遠心力をより強く働かせ、センサ40においてより高感度に外輪32の回転移動を検出できることができ、より高精度に摩耗の判定ができる。
この場合、汎用的なコンピュータにセンサ40からの波形信号を入力する構成とし、モータ診断プログラムによって動作するプロセッサによって上述した磨耗判定、ならびに磨耗量算定を行う。
Claims (6)
- センサからモータの回転軸の動きを反映した波形信号を入力する入力部と、
前記波形信号から前記モータの実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出する抽出部と、
前記低周波成分に基づいて前記モータの軸受の嵌合部における摩耗の有無を判定する摩耗判定部と、を備えることを特徴とするモータ診断装置。 - 前記嵌合部の寸法、前記実回転の周波数及び前記低周波成分の周波数を入力し、前記嵌合部における摩耗量を算定する算定部を、さらに備える請求項1に記載のモータ診断装置。
- 前記センサは、
前記モータの回転軸の半径方向の変位量を計測する変位センサ、前記モータの漏れ磁束を計測する磁束センサ、前記嵌合部を含む領域に発信した超音波のエコーを検出する超音波センサ及び前記嵌合部を含む領域に生じさせた渦電流を検出する渦電流センサのなかから選択されるものである請求項1又は請求項2に記載のモータ診断装置。 - 前記モータの回転軸には、その回転バランスを不均衡にさせる負荷部が設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ診断装置。
- センサからモータの回転軸の動きを反映した波形信号を入力するステップと、
前記波形信号から前記モータの実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出するステップと、
前記低周波成分に基づいて前記モータの軸受の嵌合部における摩耗の有無を判定するステップと、を含むことを特徴とするモータ診断方法。 - コンピュータに、
センサからモータの回転軸の動きを反映した波形信号を入力するステップ、
前記波形信号から前記モータの実回転よりも周波数の低い低周波成分を抽出するステップ、
前記低周波成分に基づいて前記モータの軸受の嵌合部における摩耗の有無を判定するステップ、を実行させることを特徴とするモータ診断プログラム。
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