JP2017156151A - トルク計測装置、歯車箱及びトルク計測方法 - Google Patents

トルク計測装置、歯車箱及びトルク計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転軸のひずみ振動の原因となるトルクの変動を長期的に監視することができるトルク計測装置を提供する。
【解決手段】トルク計測装置は、回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち少なくとも一方の振動を計測するセンサと、前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記センサが振動情報を計測した軸に加わるトルクを算出するトルク算出部と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、回転軸のトルク変動を計測するトルク計測装置、歯車箱及びトルク計測方法に関する。
モータ、レシプロ機関などのトルク変動を発する駆動装置に、圧縮機、ポンプ等の回転機械が連結されている場合、モータ等のトルク変動が回転軸に伝わり、ねじり振動が発生する場合がある。ねじり振動が大きくなると回転軸が破損する等の不具合が発生する。そのため、回転機械に連結された回転軸に対しては、トルク変動がどのくらいの大きさであるかを事前に実測などを行い、ねじり振動が生じた場合にも対応できるような設計を行う。このような場合に行われるトルク変動の実測方法には様々な方法が存在するが、一般的には回転軸の内部にロードセル(トルクメータ)を埋め込んだり、軸の表面にひずみゲージを貼ったりして回転軸に加わるトルクを計測する。あるいは、軸端の加工が可能な場合には、軸端にエンコーダなどを設けてエンコーダが計測したパルス列からトルク変動を計測している。このような計測方法の場合、計測信号を回転系から静止系へ送信するために、テレメータ、スリップリングなどが必要となる。また、スリップリングを動作させるためにはバッテリが必要になる。
なお、特許文献1には、トルクセンサを回転軸に設け、回転軸のトルク振動を監視することによって、回転軸の故障状態を評価する方法に関する記載がある。
特表2013−545081号公報
しかし、例えば、回転軸にロードセルを埋め込む方法や、ひずみゲージを貼る方法には、それらのセンサを回転軸に取り付けるのに手間がかかる。また、バッテリ寿命、スリップリング寿命の面から長期的な計測ができず、これらの機器を監視対象の回転軸系へ適用して、継続的にトルク変動をオンライン監視することができないという課題が存在する。また、軸端にエンコーダを設置する方法には、軸端がゆれる振動モードにしか使用できないという課題が存在する。
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできるトルク計測装置、歯車箱及びトルク計測方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様によれば、トルク計測装置は、回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち少なくとも一方の振動を計測するセンサと、前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記第一軸および前記第二軸のうち前記センサが振動情報を計測した軸である対象軸に加わるトルクを算出するトルク算出部と、を備える。
上記構成によれば、第一軸、若しくは第一軸と連動して回転する第二軸の振動を、静止系に設けたセンサで計測することができるので、長期的にトルク変動を監視する場合でもメンテナンスし易い。また、第一軸と第二軸とを連動させる機構には予め双方の軸に振動を計測するセンサが設けられていることも多く、その場合、新たなセンサの設置が不要である。
また、本発明の第2の態様によれば、前記センサは、前記第一軸と前記第二軸との間における動力伝達の反力方向の振動を計測してもよい。
上記構成によれば、第一軸と前記第二軸との間における動力伝達の反力方向に、ねじり振動に対応する軸振動が計測されやすいことに基づいて、センサの振動計測方向をこの振動方向に合わせるので、センサの計測感度を高めることができる。また、トルクの算出精度も向上する。
また、本発明の第3の態様によれば、前記トルク算出部は、前記センサが計測した計測値に所定の変換係数を乗じてトルクを算出してもよい。
上記構成によれば、ねじり振動に対応する軸振動の振幅とトルクとが比例関係にあることに基づいて、軸振動の振幅を計測することによってトルクを算出することができる。
また、本発明の第4の態様によれば、前記センサが計測した振動情報から前記対象軸のねじり固有振動数に係る振動情報を抽出するフィルタ部、をさらに備え、前記トルク算出部は、前記フィルタ部の抽出した振動情報に基づいて前記対象軸に加わるトルクを算出してもよい。
上記構成によれば、センサが計測した振動情報のうち、ねじりの固有振動数に対応する振動情報を抽出することができる。これにより、より正確なトルクを算出することができる。
また、本発明の第5の態様によれば、前記第一軸と前記第二軸とは歯車により連動してもよい。
上記構成によれば、第一軸と第二軸とで歯車によって動力が伝達される構成を利用して、トルクの算出を行うことができる。
また、本発明の第6の態様によれば、前記センサは、前記歯車の噛み合い接線方向の振動を計測してもよい。
上記構成によれば、歯車による動力伝達機構を利用して、ねじれ振動の原因となるトルク変動の計測に有効な歯車の噛み合い接線方向の振動を計測することにより、トルクの算出を行うことができる。
また、本発明の第7の態様によれば、前記トルク算出部は、前記センサが計測した振動情報に含まれる前記歯車の噛み合い接線方向の振動情報に含まれる振幅に所定の変換係数を乗じて前記対象軸に加わるトルクを算出してもよい。
上記構成によれば、振動センサが計測した振動情報に含まれる、ねじれ振動の原因となるトルク変動の計測に有効な前記歯車の噛み合い接線方向の振動情報に基づいて、トルクの算出を行うことができる。
また、本発明の第8の態様によれば、前記トルク算出部は、予め定められた前記第一軸に加わるトルクと前記第二軸に加わるトルクとの関係、及び、前記対象軸に加わるトルクと、に基づいて前記対象軸と異なる側の軸に加わるトルクを算出してもよい。
上記構成によれば、センサによる軸振動の計測を行った回転軸と連動して回転する他の回転軸についても、トルクの算出を行うことができる。
また、本発明の第9の態様によれば、前記トルク算出部は、前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記第一軸および前記第二軸のうち少なくとも一方のトルクを算出するとともに、所定期間にわたって算出した前記トルクに基づいて、トルクの変動を算出してもよい。
上記構成によれば、監視対象の回転軸に生じるトルク変動の監視を長期的に行うことができる。
また、本発明の第10の態様によれば、トルク計測装置は、ねじり振動に係るトルクの変動を監視する回転軸が連結された歯車箱に設けられた軸振動センサであって、前記歯車箱が収容する歯車の噛み合い反力方向が当該軸振動センサの検出方向となるように設けられた軸振動センサと、前記軸振動センサが計測した振動情報の中から前記回転軸のねじれ固有振動数に係る振動情報を抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部が抽出した振動情報が示す前記回転軸の変位量に所定の変換係数を乗じて前記回転軸のトルクを算出するトルク算出部と、を備えていてもよい。
上記構成によれば、例えば、回転軸系に含まれる増減速機などの歯車箱、及び歯車箱に予め設けられた軸振動センサを利用して、対象回転軸のトルクを算出することができる。
また、本発明の第11の態様によれば、歯車箱は、第10の態様に記載のトルク計測装置を備えていてもよい。
上記構成によれば、歯車箱は、自装置に連結された回転軸のトルク変動を計測することができる。
また、本発明の第12の態様は、回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち少なくとも一方の振動をセンサが計測し、前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記センサが振動情報を計測した軸に加わるトルクを算出する、トルク計測方法である。
また、本発明の第13の態様は、回転機械に連結された第一軸と連動して回転する第二軸を装着し、前記第二軸の振動をセンサが計測し、前記センサが計測した振動情報に基づいて前記第二軸に加わるトルクを算出し、前記第二軸に加わるトルクに基づいて前記第一軸に加わるトルクを算出するトルク計測方法であってもよい。
上記構成によれば、歯車箱などの動力伝達機構に連結されていない回転軸についてもトルク変動を計測することができる。
本発明によれば、回転軸に生じるトルク変動を長期に渡って計測することができる。
本発明に係る第一実施形態における回転軸系の概要図である。 本発明に係る第一実施形態における増減速機の断面の一例を示す図である。 本発明に係る第一実施形態におけるセンサの検出方向を説明する図である。 本発明に係る第一実施形態におけるトルク変動による軸振動の軌跡の一例を示す図である。 本発明に係る第一実施形態におけるセンサの計測結果とトルクの関係を示す図である。 本発明に係る第一実施形態におけるトルク計測装置の一例を示す図である。 本発明に係る第一実施形態におけるトルク計測装置の処理の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る第二実施形態におけるトルク計測装置の一例を示す図である。 本発明に係る第二実施形態におけるトルク計測装置の処理の一例を示すフローチャートである。
<第一実施形態>
以下、本発明の一実施形態によるトルク計測装置を図1〜図7を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第一実施形態における回転軸系の概要図である。
図示するように回転軸系1は、動力源であるモータ8と、モータ8に連結して設けられた回転軸7と、回転軸7に回転軸5を連結し、回転軸7の回転数を増加または減速させて回転軸5に伝達する増減速機6と、増減速機6によって回転する回転軸5と、回転軸5と回転軸3を連結するカップリング4と、回転軸3と連結し回転軸3などを介して伝達されたモータ8の動力により稼働するポンプ2と、回転軸5、7に加わるトルクを計測する分析装置10とを含む。回転軸系1においてモータ8、ポンプ2の起動時や、回転数の変更時などにトルク変動が生じる。その場合、回転軸5、7にはそのトルク変動によるねじり振動が生じ、最悪の場合、例えば回転軸5が折損するなどの不具合が発生する可能性がある。分析装置10は、回転軸5などに加わるトルクを継続的に算出する。なお、図示しないトルク計測装置20は、増減速機6に設けられたセンサと分析装置10とを含んで構成される。トルク計測装置20については後述する。
図2は、本発明に係る第一実施形態における増減速機の断面の一例を示す図である。
図2において、増減速機6が備える歯車6Aは回転軸7と連結され、歯車6Bは回転軸5と連結される。センサS1、S2は、振動センサである。増減速機6には、軸の振動を計測するために振動センサが設けられていることが多い。振動センサには、例えば、渦電流式の非接触変位センサが用いられる。非接触変位センサは、計測対象(回転軸7)との距離を計測し、計測した距離の変動によって振動の情報(振幅や振動数)を計測する。以下、本実施形態におけるセンサS1、S2は、渦電流式の非接触変位センサであるとして説明を行う。
一般にセンサS1、S2は、回転軸7断面円の中心を通る垂直線の左右斜め45度の方向から中心に向けて設置される。本実施形態では、センサS1をトルクの計測に適した方向に向けて取り付ける。線Kは、センサS1が振動を検出する方向を示す線である。センサS1は、線K方向の振動を感度良く検出する。
ところで、回転軸系1において増減速機6などの歯車箱が存在する場合、回転軸5、7にトルク変動が生じたときには、増減速機6が収容する歯車6A、6Bの歯面の噛み合い力には、そのトルク変動の大きさに比例した変動が発生する。歯車6A、6B間で伝達される力の全ては、回転方向の力として伝わるわけではないので、噛み合い力に変動が生じると、回転軸5、7にはその変動による軸振動が発生する。本実施形態では、この歯車歯面の噛み合い力変動によって引き起こされた軸振動を計測することでトルクを推定する。
図3は、本発明に係る第一実施形態におけるセンサの検出方向を説明する図である。
次に図3を用いて、本実施形態におけるセンサS1の取り付け方向を説明する。上述のとおり本実施形態では、センサS1を、線Kの方向の振動を検出するように取り付ける。線Kの方向とは、歯車6Aと歯車6Bの噛み合い点(ピッチ点)における歯面の接線に対する法線方向(噛み合い接線方向)である。換言すれば、歯車6Aから歯車6Bへの動力伝達における反力方向(噛み合い反力方向)である。本実施形態では、センサS1が振動を検出する方向をこの線K上の振動を検出する方向に向けて設置する(例えば、矢印K1の方向)。これにより、矢印K1方向に向けたセンサS1は、回転軸7の線K上の振動を計測する。
図4は、本発明に係る第一実施形態におけるトルク変動による軸振動の軌跡の一例を示す図である。
回転軸の固有ねじり振動数は、演算で算出することができる。図4のような軌跡は、例えば、センサS1、センサS2によって計測した回転軸7の振動情報に対して、演算した固有ねじり振動数を抽出するフィルタ処理を行うことによって得ることができる。図4は、そのような解析の結果得た、回転軸7のある1点がトルク変動によって軸振動したときの軌跡を示している。図4によると、ねじり振動の原因となるトルク変動が引き起こす、歯車の噛み合い力の変動による軸振動の軌跡は、上述した線K上に沿っている。これにより、図2、図3のようにセンサS1を取り付けると、トルク変動による軸振動への感度を高くすることができることが分かる。
図5は、本発明に係る第一実施形態におけるセンサの計測結果とトルクの関係を示す図である。
図5は、センサS1で計測した回転軸7の軸振動における変位量(振幅)と、センサS1による計測と並行して行ったひずみゲージによる回転軸7に生じるトルクの計測値とをプロットしたグラフである。図5の横軸は回転軸7の軸振動の変位量、縦軸は回転軸7に生じるトルクを示している。図示するように、この計測結果によると、トルク変動によって生じる軸振動の変位量とそのとき変動トルクとは、線形関係(比例)にあることが分かる。例えば、変位量をX、トルクをYとしたときに、両者の関係がY=αXで表されるとすると、軸振動における変位量Xを計測することができれば、この線形関係を用いて、変動トルクの大きさ(αX)を算出することができる。
これまでに説明したことにより、増減速機6で生じる歯車の噛み合い接線方向の振動の振幅を計測し、予め実測等で求めた変換係数αを乗じることによって、回転軸7に生じるトルクを推定することができる。次に図6を用いて本実施形態のトルク計測装置20について説明する。
図6は、本発明に係る第一実施形態におけるトルク計測装置の一例を示す図である。
トルク計測装置20は、センサS1と、フィルタ部11と、トルク算出部12とを備えている。なお、分析装置10は、フィルタ部11と、トルク算出部12とを備えている。
センサS1は、回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち一方の軸(対象軸)の振動を計測する。また、センサS1は、特に第一軸と第二軸との間における動力伝達の反力方向の振動を計測する。図6の例では、センサS1は、回転軸P3(対象軸)に対して、歯車P1、P2の噛み合い接線方向の振動を計測する。
フィルタ部11は、センサS1が計測した振動情報から対象軸のねじり固有振動数に係る振動情報を抽出する。フィルタ部11は、例えば、バンドパスフィルタである。なお、対象軸のねじり固有振動数については予め演算によって求める。
トルク算出部12は、フィルタ部11の抽出した振動情報に所定の変換係数αを乗じて対象軸に加わるトルクを算出する。なお、所定の変換係数αについては、図5で説明したように予め実測などを行い、軸振動の振幅とトルクの大きさの相関から求める。
図7は、本発明に係る第一実施形態におけるトルク計測装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7を用いて、トルク計測装置20が回転軸に生じるトルクを算出する処理の流れについて図6の構成を例に説明を行う。
前提として、トルク変動を監視したい回転軸P3における軸振動の振幅とトルクの変換係数αは予め求められているとする。また、回転軸P3のねじり固有振動数も予め演算に求められており、フィルタ部11のバンドパスフィルタは、回転軸P3のねじり固有振動数に対応した所定の範囲の周波数の振動情報だけを通すよう構成されているとする。また、センサS1は、歯車P1、P2の噛み合い接線方向の振動を検出するように設置されているとする。
まず、センサS1は、回転軸P3の軸振動を計測し、計測した振動情報を分析装置10へ出力する。分析装置10では、フィルタ部11が振動情報を取得する(ステップS11)。次にフィルタ部11が、バンドパスフィルタを通して回転軸P3のねじり固有振動数に対応した周波数成分だけを抽出する(ステップS12)。フィルタ部11は、抽出した振動情報をトルク算出部12へ出力する。トルク算出部12は、フィルタ部11から取得した振動情報の振幅(μm)に変換係数αを乗じて回転軸P3に加わるトルク(kNm)を算出する(ステップS13)。
このようにトルク計測装置20は、継続的に歯車噛み合い接線方向の軸振動を計測し、回転軸P3に加わるねじり振動に関するトルクを逐次算出する。トルク算出部12は、算出したトルクをトルク計測装置20が備える記憶部(図示せず)に記録する。さらに、トルク算出部12は、所定期間にわたって算出したトルクを記憶部から読み出して、時間の経過に伴うトルク変動を計算する。これにより、トルク変動の監視が可能になり、そのトルクの変動が引き起こす、ねじり振動がどの程度のものであるかを判定することができる。このように本実施形態によれば、回転軸に生じるトルクの変動を長期間にわたって常時監視することが可能になり、ねじり振動による回転軸5などの破損の防止などに役立てることができる。
なお、ここでは、回転軸P3(対象軸)のトルク変動を算出する場合を例に説明を行ったが、トルク算出部12は、予め定められた第一軸に加わるトルクと第二軸に加わるトルクとの関係に基づいて、図6において図示しない第一軸のトルク変動を算出してもよい。予め定められた第一軸に加わるトルクと第二軸に加わるトルクとの関係とは、例えば、歯車P1と歯車P2のギア比、あるいは、例えば、予め第一軸と第二軸のそれぞれにひずみゲージを貼り付けて実測を行った結果から求めた関係性であってもよい。
従来から回転軸系のトルク変動を計測するために回転軸にひずみゲージなどを設置してトルク変動を実測している。この方法は、手間がかかり、また、長期的な計測には適さないことが知られている。本実施形態のトルク計測装置20によれば、回転軸系の一部に含まれる増減速機6及び、増減速機6に設けられた非接触型の変位センサを利用して、回転軸のトルク変動を計測することができる。この方法であれば、新たなセンサを設置する必要が無い。また、トルクと軸振動の関係を示す変換係数は長期に渡って変わることはなく、長期的な監視が可能である。
また、増減速機6に設けられたセンサS1は、図3で例示した矢印K1の方向に向けて設置することが計測精度の点から好ましい。これにより、トルク変動による軸振動への感度を高くすることができ,小さなトルク変動まで計測可能となる。しかし、センサS1は、必ずしも矢印K1の方向でなくてもよい。例えば、センサS1は、既存の増減速機6に設けられている位置に設置したままであってもよい。あるいは、既存の増減速機6に設けられている軸振動センサは、そのままの位置に設置し、3本目の新たなトルク変動監視用の振動センサを振動の検出方向が矢印K1の方向となるように設けてもよい。また、センサS1は、渦電流式の非接触型変位センサの他、レーザ変位計などであってもよい。
また、トルク変動の計測に利用する歯車機構は、増減速機6に限らず、回転速度を等速のまま伝達する歯車箱であってもよい。また、トルク変動が引き起こす、歯車の噛み合い力変動による軸振動の計測には、例えば、増減速機6(歯車箱)のハウジングや軸受などに設けた加速度センサなどを利用してもよい。例えば、この加速度センサが計測した振動を周波数分析して、歯車の噛み合い接線方向の振動を抽出する。そして、抽出した振動情報についてステップS12以降の処理を行うようにしてもよい。
また、上記の例では回転軸のトルク変動に応じた力が、歯車の噛み合い力の変動として現れることを利用してトルク変動の算出を行ったが、回転軸間で動力伝達機構は、歯車に限らない。例えば、ベルト、チェーンによって動力を伝達する場合に本実施形態のトルク計測方法を適用しても良い。この場合、軸振動の計測に適した方向は、動力伝達の反力方向である。
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態によるトルク計測装置を、図8〜図9を参照して説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第一実施形態は、回転軸系1に増減速機6などの動力伝達機構が含まれていることを前提としていた。本実施形態では、動力伝達機構が含まれていない回転軸系に生じるトルク変動の計測方法について説明する。
図8は、本発明に係る第二実施形態におけるトルク計測装置の一例を示す図である。
図8において、回転軸Q1は、トルク変動の監視対象となる回転軸である。回転軸Q1は、図示しない回転機械に連結されている。また、この回転軸Q1には、増減速機などが連結されていない。第二実施形態では、回転軸Q1の外周に歯車Q2を形成する。歯車Q2を形成するとは、回転軸Q1の外周に歯車Q2を装着してもよいし、あるいは、回転軸Q1を研削する等して歯車Q2を形成してもよい。
動力伝達機構を有さない回転軸Q1のトルク変動を監視するために用いる補助装置H1は、回転軸H2、歯車H3、センサS1を含んで構成される。回転軸H2の外周には歯車H3が形成されており、回転軸Q1に形成された歯車Q2と動力伝達を行う。回転軸H2、歯車H3、センサS1は、歯車箱H4に収納されており、センサS1は、歯車Q2と歯車H3の噛み合い接線方向から回転軸H2の中心を向くように歯車箱H4に支持されている。なお、上述の歯車Q2は、歯車H3と噛み合うように形成する。また、図8において図示を省略したが、センサS1は分析装置10と接続されている。
本実施形態では、監視対象の回転軸Q1に設けた歯車Q2と噛み合うように構成された歯車H3を含むもう一つの歯車系(補助装置H1)を、回転軸Q1に対して装着し、回転軸H2の軸振動をセンサS1によって計測することで回転軸Q1に生じるトルク変動を推定する。本実施形態によれば、動力伝達機構が含まれていない回転軸系における長期的なトルク変動の計測が可能である。また、外付けの補助装置H2を小型化することにより、監視システムの大型化を防ぐことができる。
図9は、本発明に係る第二実施形態におけるトルク計測装置の処理の一例を示すフローチャートである。
次に図8の構成を前提として、図9を用いて、本実施形態におけるトルク計測装置20によるトルク算出処理の流れについて説明を行う。
まず、監視対象の回転軸Q1に歯車Q2を形成する(ステップS21)。次に補助装置H1を監視対象の回転軸系に装着する(ステップS22)。このとき、歯車H3と歯車Q2を噛み合うように補助装置H1を装着する。次にセンサS1は、回転軸H2における、歯車H3と歯車Q2との噛み合い接線方向の軸振動を計測し、計測した振動情報を分析装置10へ出力する。分析装置10では、フィルタ部11が振動情報を取得する(ステップS23)。次にフィルタ部11が、取得した振動情報をバンドパスフィルタに通して回転軸H2のねじり固有振動数に対応した周波数成分だけを抽出する(ステップS24)。トルク算出部12は、フィルタ部11が抽出した周波数成分の振動情報を取得する。次にトルク算出部12は、取得した振動情報の振幅に変換係数αを乗じて回転軸H2に加わるトルクを算出する(ステップS25)。次に、トルク算出部12は、回転軸H2に加わるトルクと回転軸Q1に加わるトルクの関係に基づいて、対象の回転軸(回転軸Q1)に加わるトルクを算出する(ステップS26)。なお、回転軸H2に加わるトルクと回転軸Q1に加わるトルクの関係は、例えば、歯車H3と歯車Q2のギア比に基づいて、あるいは、回転軸H2と回転軸Q1とにひずみゲージを貼って実測を行うなどして予め求められているものとする。例えば、回転軸H2に加わるトルク(T1)と回転軸Q1に加わるトルク(T2)の関係が、T2=βT1であるとき、トルク算出部12は、回転軸H2に加わるトルクにβを乗じて回転軸Q1のトルクを算出する。このようにトルク計測装置20は、歯車箱などを備えない回転軸系についても、継続的にトルク変動を監視することができる。
なお、1つの回転軸系に対して、補助装置H1を装着する位置は、対象とする回転軸系の振動モードから決定し、その数は2ヶ所以上であってもよい。例えば、演算によってねじり振動に弱い位置が分かれば、その位置に補助装置H1を装着するよう設計することができる。また、1軸の回転軸系において、ねじり振動による損傷を招く可能性のある位置を1ヶ所に絞ることは難しい場合が多い。本実施形態によれば、補助装置H1を装着する位置を複数設けることで、過大なねじり振動が生じる可能性のある位置における監視を容易に行うことができる。
なお、第二実施形態において、回転軸H2と回転軸Q1とを連動させる機構は歯車以外、チェーンやベルトであってもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1・・・回転軸系
2・・・ポンプ
3・・・回転軸
4・・・カップリング
5・・・回転軸
6・・・増減速機
6A、6B・・・歯車
7・・・回転軸
8・・・モータ
10・・・分析装置
S1、S2・・・センサ
20・・・トルク計測装置
P1、P2・・・歯車
P3・・・回転軸
H1・・・補助装置
H2・・・回転軸
H3・・・歯車
H4・・・歯車箱

Claims (13)

  1. 回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち少なくとも一方の振動を計測するセンサと、
    前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記第一軸および前記第二軸のうち前記センサが振動情報を計測した軸である対象軸に加わるトルクを算出するトルク算出部と、
    を備えるトルク計測装置。
  2. 前記センサは、
    前記第一軸と前記第二軸との間における動力伝達の反力方向の振動を計測する、
    請求項1に記載のトルク計測装置。
  3. 前記トルク算出部は、前記センサが計測した計測値に所定の変換係数を乗じてトルクを算出する、
    請求項1または請求項2に記載のトルク計測装置。
  4. 前記センサが計測した振動情報から前記対象軸のねじり固有振動数に係る振動情報を抽出するフィルタ部、
    をさらに備え、
    前記トルク算出部は、前記フィルタ部の抽出した振動情報に基づいて前記対象軸に加わるトルクを算出する、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載のトルク計測装置。
  5. 前記第一軸と前記第二軸とは歯車により連動する、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載のトルク計測装置。
  6. 前記センサは、前記歯車の噛み合い接線方向の振動を計測する、
    請求項5に記載のトルク計測装置。
  7. 前記トルク算出部は、前記センサが計測した振動情報に含まれる前記歯車の噛み合い接線方向の振動情報に含まれる振幅に所定の変換係数を乗じて前記対象軸に加わるトルクを算出する、
    請求項6に記載のトルク計測装置。
  8. 前記トルク算出部は、予め定められた前記第一軸に加わるトルクと前記第二軸に加わるトルクとの関係、及び、前記対象軸に加わるトルクと、に基づいて前記対象軸と異なる側の軸に加わるトルクを算出する、
    請求項1から請求項7の何れか1項に記載のトルク計測装置。
  9. 前記トルク算出部は、前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記第一軸および前記第二軸のうち少なくとも一方のトルクを算出するとともに、所定期間にわたって算出した前記トルクに基づいて、トルクの変動を算出する、
    請求項1から請求項8の何れか1項に記載のトルク計測装置。
  10. ねじり振動に係るトルクの変動を監視する回転軸が連結された歯車箱に設けられた軸振動センサであって、前記歯車箱が収容する歯車の噛み合い反力方向が当該軸振動センサの検出方向となるように設けられた軸振動センサと、
    前記軸振動センサが計測した振動情報の中から前記回転軸のねじれ固有振動数に係る振動情報を抽出するフィルタ部と、
    前記フィルタ部が抽出した振動情報が示す前記回転軸の変位量に所定の変換係数を乗じて前記回転軸のトルクを算出するトルク算出部と、
    を備えるトルク計測装置。
  11. 請求項10に記載のトルク計測装置、
    を備える歯車箱。
  12. 回転機械に連結された第一軸および前記第一軸と連動して回転する第二軸のうち少なくとも一方の振動をセンサが計測し、
    前記センサが計測した振動情報に基づいて、前記センサが振動情報を計測した軸に加わるトルクを算出する、
    トルク計測方法。
  13. 回転機械に連結された第一軸と連動して回転する第二軸を装着し、
    前記第二軸の振動をセンサが計測し、
    前記センサが計測した振動情報に基づいて前記第二軸に加わるトルクを算出し、
    前記第二軸に加わるトルクに基づいて前記第一軸に加わるトルクを算出する
    トルク計測方法。
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